国立科学博物館特別展「和食」-日本にある料理と「和食」の違い・「和食」とはどんな料理なのか-
国立科学博物館特別展「和食」
東京・上野公園にある国立科学博物館で、「特別展「和食」-日本の自然、人々の知恵-」が開催されています。(2023年10月28日~2024年2月25日)
(国立科学博物館特別展「和食」パンフレット)
私は「和食の日」にあたる2023年11月24日(11(いい)24(にほんしょく)の日)に国立科学博物館を訪問しました。
(国立科学博物館)
特別展「和食」は、国立科学博物館の地球館・特別展示室で開催されています。
(特別展「和食」・会場MAP)
こちらは会場マップです。
「「和食」とは?」という問いかけから始まり、「日本列島の食材の紹介」、「和食の成り立ち」、「和食の真善美」、「わたしの和食」、「和食のこれから」(特設ショップ)という構成となっています。
特別展「和食」会場の様子
展示会場では、和食に関する様々な事例が紹介されています。
その一部を御紹介したいと思います。
【和食が育む食材】
食材の展示コーナーに、和食の原点となる「日本の水」の紹介コーナーがありました。
そこでは「硬水(こうすい)」と「軟水(なんすい)」(※)について触れられており、日本は総じて「軟水」の国だと説明されていました。
※ミネラル成分(カルシウム・マグネシウム)が多く含まれる水を「硬水」、少ない水を「軟水」といいます。
各都道府県別の水道水(原水)の硬度マップを見ると、沖縄と熊本、そして関東南部の硬度が高く、逆に山形、宮城、愛知、広島の硬度が低いことがわかりました。
硬度が高い地域は、石灰岩などを多く含む地質(琉球石灰岩、阿蘇火山による溶結凝灰岩、関東ローム層など)が影響していますが、国土が狭く降雨量が多い日本では、総じて軟水地域が多いのが特徴です。
西条(広島)は、灘(兵庫)や伏見(京都)と並ぶ「日本三大酒処」として有名ですが、それは三浦仙三郎さんが広島で初めて製造が難しいとされる軟水を使った酒造に成功し、その技術が全国に伝えられたからです。
「なぜ広島は全国指折りの軟水地域なのか」と思いつつ会場を歩いていると、「あっ、これか」とわかる展示がありました。
(花崗岩と塊状石灰岩)
花崗岩(かこうがん)と塊状石灰岩(かいじょうせっかいがん)の展示なのですが、花崗岩は「水の硬度を上げにくい地質試料」として、塊状石灰岩は「水の硬度を上げる地質試料」として紹介されていました。
広島はこの花崗岩が多いのです。
和食料理人・平野 寿将(ひらの ひさま)さんが、だしをとるのに最適な水(軟水)を求めて、広島に来られた理由もわかりました。
キノコのコーナーでは、興味深い標本が展示されていました。
(マツタケとバカマツタケ)
バカマツタケって…(笑)
マツタケよりもこのバカマツタケを食べてみたいです。
野菜のコーナーでは、次のような問いかけがありました。
「ジャガイモのどこを食べてる?」
「サツマイモのどこを食べてる?」
ジャガイモは「茎」、サツマイモは「根」を食べているそうです。
ジャガイモは土中の茎の先端に栄養を蓄えて太くなったもの、サツマイモは根が栄養を蓄えて太くなったものなのだそうです。
ジャガイモのくぼみにあるのは芽で、サツマイモのくぼみから生えているのは細い根であることがその証拠です。
栽培する際、ジャガイモは種芋を植え、サツマイモは茎を植えるのも、結局同じ茎の部分を植えているということなのですね。
さらに歩くと、ダイコンが勢ぞろいしていました。
(多彩な地ダイコン)
ちなみに、ダイコンは地上に出た部分(青い部分)は「胚軸(はいじく)」、地下の部分(白い部分)は「根」と分けられるようです。
魚のコーナーでは、マグロの仲間が展示されていました。
(マグロの仲間)
海の中にいるような気分になりました。
続いて「発酵」に関する展示コーナーがありました。
(日本人が飼いならしたカビ コウジカビ)
コウジカビ(コウジ菌)は、遺伝子が部分的に壊れ、固体に生えると機能し、野外ではめったに見つからず、日本人が麹をつくる目的で飼いならしたものとのことです。
コウジカビを使って作られる、日本酒、醤油、味噌などの原材料や製造工程の展示もありました。
(しょうゆの分類)
写真左側、色の濃い方から、再仕込みしょうゆ、たまりしょうゆ、濃口しょうゆ、淡口しょうゆ、白しょうゆです。
「だしの科学」コーナーでは、「うま味」の資料として、池田菊苗博士が昆布から抽出したグルタミン酸(具留多味酸)が展示されていました。
(第一号抽出具留多味酸)
「うま味」は池田博士が命名した味覚の分類上の表現、「旨味」は美味しさの表現と区別されています。
【和食の成り立ち】
和食の成り立ち(歴史)のコーナーでは、各時代の様々な料理が展示されていました。
(織田信長の饗応膳)
こちらは1582(天正10)年5月に、織田信長が安土城で徳川家康をもてなした時の料理を再現したものです。
5つの膳で構成されている本膳料理です。
当時は鶴(つる)、鴫(しぎ)、白鳥などの野鳥や、鮒(ふな)、鯉(こい)のような川魚がごちそうだったようです。
江戸時代の屋台を再現したコーナーがありました。
(江戸時代の屋台(再現))
そば、寿司、天ぷらの屋台が展示されていました。
(江戸時代の寿司(再現))
寿司の屋台では、アナゴ、アユ、エビ、卵巻き、コハダ、白魚、マグロの握り寿司が紹介されていました。
さらに時代は幕末へと進みます。
(ペリー提督の饗応膳)
こちらは幕末の1854(嘉永7)年、2度目の来日となるペリーを横浜の応接所でもてなした時の料理を再現したものです。
江戸の料理屋「百川(ももかわ)」が料理を請け負いました。
吸い物、刺身、煮物、なます…と、まさに当時の日本の贅を尽くした料理が用意されたようです。
これらの料理について、アメリカ人のペリーがどう受け止めたのか興味深いところです。
アメリカの民謡「ヤンキードゥードゥル」(※)を流しながら浦賀に登場したペリーと当時の日本では、文化の差がかなりあったことでしょうから。
※日本では「アルプス一万尺」の歌として親しまれています。
明治以降、日本独自に発展した洋食も紹介されていました。
(ライスカレーなど洋食の紹介)
ライスの山のくぼみにカレーが注がれているライスカレーに、ひときわ興味を持ちました。
「和食」特別展記念料理・デザート
特別展の展示をひととおり見学し、特設ショップで買い物をした後、地球館中2階のレストラン「ムーセイオン」でランチをいただきました。
特別展「和食」の開催期間中は、記念メニューも用意されています。
(「和食」特別展記念メニュー(料理))
料理は「牛タンシチュー赤味噌仕立て 生海苔バターソース」と「イクラと紅鮭の和食丼 ばら海苔を添えて」の2種類です。
バターソースに生海苔が使われていたり、サーモンではなく紅鮭(本当の親子丼!)が使われているところが大きな魅力です。
どちらにするかとても悩ましいところですが、牛タンシチューを注文しました。
(牛タンシチュー・玉ねぎスープ・ライス)
玉ねぎスープとライス(又はパン)も付いています。
(牛タンシチュー赤味噌仕立て 生海苔バターソース)
赤味噌仕立てのデミグラスソースでじっくり煮込まれた厚切りの牛タンに、生海苔入りのバターソースが添えられています。
オクラ、アスパラガス、ズッキーニなどの野菜も彩り良く盛り付けられていました。
デミグラスソースに赤味噌を加えることで、コクと深みのあるシチューに仕上げられていました。
また、牛タンに生海苔のバターソースを添えていただくと、さわやかな海苔の風味が口の中に広がり、味に変化と美味しさが加わりました。
ライスとの相性も抜群でした。
続いてデザートをいただきました。
デザートも記念メニューが用意されています。
(「和食」特別展記念メニュー(デザート))
盆栽仕立ての和風ムースです。
(白あん黒蜜のムース 盆栽仕立て)
南天の葉やエディブルフラワーが添えられ、盆栽のように仕上げられています。
バニラアイス、焼きさつまいも、抹茶わらびもち、黒蜜ソース、白あんムース、黒まめ、ワッフルコーンが使われています。
ワッフルコーンの中にはイチゴが隠されています。
(ワッフルコーンとイチゴ)
和のテイストを生かしたデザートで、ボリュームのある洋食をいただいた後でもすんなりといただくことができました。
朝日新聞記念号外「特別展和食」と「科博寄席 on 和食の日」
館内では、朝日新聞の記念号外も配布されています。
(朝日新聞記念号外「特別展和食」)
マンガ「サザエさん」の新聞記事も掲載されています。
(新聞記事「磯野家にみる食卓の変化」)
「サザエさん」は戦後から現代までの食卓の変化がマンガに反映されており、こうした視点から「サザエさん」を読むのも面白いと思います。
午後は日本館2階の講堂で、「和食の日」にちなんだ寄席や手品を楽しみました。
(「科博寄席 on 和食の日」パンフレット)
(「科博寄席 on 和食の日」案内と参加整理券)
三遊亭右左喜(さんゆうてい うさぎ)さんの「正しいラーメンの食べ方」と、三遊亭遊馬(さんゆうてい ゆうば)さんの「百川(ももかわ)」、そしてきょうこさんの「和妻(わづま)」(日本古来の手品)を観賞しました。
日本にある料理と「和食」の違い・「和食」とはどんな料理なのか
2013年に「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを機に、和食は国内のみならず、世界からも注目される食文化となりました。
その一方で、今の日本では、全国の食材・料理のみならず、世界各国の食材・料理まで入手し、味わえるようになっています。
では、日本にある料理と「和食」の違いは何なのでしょうか。
そして、そもそも「和食」とはどんな料理をいうのでしょうか。
今回の特別展「和食」は科学的・歴史的な観点から和食にアプローチする展覧会ですが、この問いかけに対し、明確な回答が導き出されているわけではありません。
世界各国から様々な料理を取り入れ、自国の料理に組み入れてきた日本は、伝統食である和食と、それ以外の料理を線引きすることがとても難しいからです。
どこまでを「和食」ととらえるかは人によってまちまちで、主催者はその傾向を把握するためのアンケートまで実施されています。
(あなたにとっての「和食」アンケート回答結果(中国・四国地方))
すき焼き、あんパン、オムライス、照り焼きバーガー、焼き餃子などはいずれも日本の国民食ですが、「和食」だと思うかどうかは別であることがわかります。
また、しょうゆ、味噌、うどんなど、多くの人が「和食」だと思う食べ物であっても、その原材料の多くが海外からの輸入品というケースも多いのです。
一般的な「和食」の定義として、次のようなものが挙げられます。
・明治時代以降の「洋食」や「中華」に対する言葉
・日本人の伝統的な食文化
・油脂や肉食を排除した食文化
・米飯を中心とした食事(ご飯と副食(汁・おかず・漬物)で構成される食事)体系
・食材の持ち味を重視する料理(「料理しない料理」・「引き算の料理」)
・コウジカビ(コウジ菌)から展開する発酵食文化(しょうゆ、味噌、日本酒など)
・甘味、酸味、塩味、苦味に次ぐ第五の味「うま味」を重視する食文化
そもそも「洋食」ですら、海外の料理を日本に取り入れ、日本人向けにアレンジされた料理なのですから、「和食」と呼ぶか「洋食」と呼ぶか「中華」と呼ぶか本国の「○○料理」と呼ぶかはとても難しく、人によって意見が分かれるのです。
室町時代にポルトガルから伝来した「天ぷら」は「和食」だと思う人が多いのも、歴史が作り上げた1つの結果だと思います。
人それぞれの思いが積み重なり、「和食」のイメージが形成されているのでしょう。
「和食」とはどんな料理をいうのか、御興味のある方は特別展「和食」(今後、山形、宮城、長野、愛知、京都、熊本へ巡回予定)でヒントを探してみてください。
<関連サイト>
公式ウェブサイト「国立科学博物館特別展 和食」
「国立科学博物館」(東京都台東区上野公園7-20)
<関連記事>
「日本料理の特徴と主な料理1 -日本料理は引き算の文化-」
「日本料理の特徴と主な料理2 -料理人 平野寿将さんから熟成魚の魅力を学ぶ-」
「安芸津のじゃがいもと肉じゃが・杜氏と広島の日本酒 -広島県東広島市安芸津町-」
<参考文献>
公式ガイドブック「特別展 和食 日本の自然、人々の知恵」朝日新聞社
朝日新聞記念号外「特別展和食」
「時空をこえる本の旅50選」東洋文庫
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先を越されてしまった!(笑)
まだ行っていないので、この記事は行ってからちゃんと読むことにします(^^;)
投稿: chibiaya | 2024年1月14日 (日) 16時52分
chibiaya 様
chibiayaさん、こんにちは。
速攻で、見てはいけない記事にコメントいただき、ありがとうごさいました(笑)
近々この特別展へ行かれる御予定ですから、楽しみは取って置かれる方が良いでしょうね。
阿古真理さんの「和食って何?」という本もお読みになって予習されているようですし、純粋な気持ちで特別展を楽しんで来てくださいね!
投稿: コウジ菌 | 2024年1月14日 (日) 17時46分
実は去年の大晦日から年越しにかけて飲んだお酒は広島の賀茂鶴(^.^)
正月は神戸の福寿と山口の獺祭を飲みましたが、賀茂鶴が一番口当たりが良かったカモ^o^
ニッカの創業者竹鶴政孝のドラマで、広島県賀茂郡で造り酒屋を営む父親が広島の水は柔らかくて酒造りが大変!
と言ってたのを覚えています^^
元々南の穀物だったのに雪国が米どころになったり、日本人は条件が悪い方がもえるのでしょうか?
国立科学博物館特別展「和食」面白そうなので、用事を作っていって来ようかと思います^^
投稿: なーまん | 2024年1月14日 (日) 18時10分
なーまん 様
なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
へぇー、年末年始のお酒は広島の賀茂鶴を召し上がったんですね。
これは嬉しいカモ。
確か広島だけでなく、新潟県加茂市の日本酒も召し上がったことがおありでしたよね。
カモ氏はなーまんさんの歴史記事にもよく登場するので親しみがあります。
広島県竹原市出身の竹鶴政孝がニッカウヰスキー創業者であることは知っていましたが、竹鶴酒造のお父様が軟水で困っていたという話は知りませんでした。
こういう話がすぐ出てくるとは、さすが、なーまんさん!
言われてみれば、稲は確かに南の穀物ですよね。
それが全国で栽培されるようになったのは、日本が水田稲作に適していたことに加え、米のもつ栄養価(糖質だけでなく、相当量のたんぱく質と脂質もあること)も関係しているようです。
ましてや(建前上)肉食禁止となったわけですから、なおさら逆境でも頑張って米が作られたのでしょう。
日本酒も作れますし(笑)
特別展「和食」、日本の歴史についても様々な展示がありますので、機会があればお出かけください。
投稿: コウジ菌 | 2024年1月14日 (日) 22時38分
和食を科学すると、日本人が見えてくる。といった趣でいいですねこの企画展。
大根のずらりと紹介されてる絵って、シュールで、アートっぽくて、なんだか愛らしくも。マグロも^^
コウジカビを「飼いならす」って、いい表現ですね。繊細な微生物だからこその表現って感じでしっくりです。
和食の定義に、見た目を思ったのですけれど…一般的とは言い難いのかな。盛り付け方に
日本画のような繊細さや美しさが感じ取れたり、盛り付ける器も日本の土をつかって
焼き上げるお皿だったり…。そっか、魯山人ぽい定義は確かに特殊な感じっていえますね。
投稿: サウスジャンプ | 2024年5月 4日 (土) 01時05分
サウスジャンプ 様
サウスさん、こんばんは。
丁寧に記事をお読みいただき、ありがとうございます。
サウスさんは、博物学とかアートに御興味がおありのようですね。
大根も、マグロも、様々な種類をただ並べているのではなく、アートの観点も重視し、大根は地中から、マグロは海中から眺めているような展示にされているように思います。
コウジカビは、絶やさず、そして日本人の食・趣向に合うよう、飼いならされてきたようです。
コウジ菌は国の宝、国菌ですから(笑)
和食の定義は本当に難しいですが、それだけ日本人は海外から様々な食・料理を受け入れ、自らの食文化に組み入れる能力に長けているので、結果として様々な「和食」が創られてきたとも言えるでしょうね。
一方で、「食材にあまり手を加えない」・「素材そのものの味を生かす」という観点から、刺身・姿造りのように見た目の美しさにも力を注いだり、盛り付ける器にもこだわったりと、芸術作品と言ってもいいような料理は「日本料理」という表現が合うように思います。
ただ、そうした「日本料理」が、日本人にとって身近な(身近に食べられる)料理ではなくなってきているようにも思え、少し心配です…。
投稿: コウジ菌 | 2024年5月 4日 (土) 22時12分