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2024年1月28日 (日)

群馬の食文化の特徴を探る(6)-ポテト入り焼きそばと子供洋食・スタイルブレッド・築地銀だこ・焼きまんじゅう・赤城山麓 徳川埋蔵金-

東京・浅草から東武鉄道で群馬・桐生へ

 2023年12月末に,群馬県桐生市の武正米店を訪問しました。

 前回の訪問が2021年12月末なので,約2年ぶりです。

 これで4回目の訪問となります。

 広島から飛行機で羽田空港へ行き,東武鉄道浅草駅から「特急りょうもう」赤城行に乗車して,桐生を目指しました。

(浅草駅・特急りょうもう・赤城行)
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 「特急りょうもう」の車両です。

(東武鉄道浅草駅ホーム)
Photo_20240128115301

 東武鉄道浅草駅のホームは、出発方向から右側に大きくカーブしています。

 この形状だとホームと車両との間にすき間が生じるため、車両のドアには乗降ステップが敷かれます。

(行先表示板(赤城行))
Photo_20240128115302

 行先を確かめ、乗車しました。

(特急りょうもう車内)
Photo_20240128115303

 「特急りょうもう」車内の様子です。

 浅草駅を出発した時点では比較的空いていたのですが、北千住駅で大勢の人が乗車し、座席はほぼ満席となりました。

 その後、春日部、久喜、館林、足利市、太田などの駅を経て、新桐生駅に到着しました。

(新桐生駅ホーム)
Photo_20240128115401

 これまではずっと桐生駅で下車していたため、新桐生駅で下車したのは今回が初めてです。

 新桐生駅から歩いて武正米店へ向かいました。

 新桐生駅前の大通りを真っすぐ歩いていくと、大きな橋が近づいてきました。

 渡良瀬川にかかる錦桜橋(きんおうばし)です。

(錦桜橋から眺めた渡良瀬川)
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 錦桜橋からしばらく渡良瀬川を眺めました。

 錦桜橋を渡ってさらに歩くと、「新宿一丁目」と表記された信号機がありました。

(新宿一丁目信号)
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 「桐生市内にも新宿があるんだ」と興味深くその信号機を眺めました。

 街並みを楽しみながら歩いているうちに、武正米店にたどり着きました。


武正米店の「ポテト入り焼きそば」・「子供洋食」

(武正米店)
Photo_20240128115901

 武正米店です。何度訪れても、お店の前では緊張します。

 米店とクリーニング店と飲食店を兼業されています。

 「こんにちはー」とお店に入ると,皆さんは奥の住居でお正月を迎える準備をされている様子でした。

 しばらくして奥様が私の存在に気付き、「あー広島の方!」と応対してくださいました。

 そのあとで御主人も出て来られ、お二人と再会することができました。

 電車の中で注文する料理を考えていたのですが、私が注文する前に御主人が「焼きそばと子供洋食だよね」と厨房で調理を開始されました。

 正解!お見事です(笑)

(店内の様子)
Photo_20240128133001

 しばらくして「ポテト入り焼きそば」が出来上がりました。

(ポテト入り焼きそば)
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 茹でたじゃがいもともやしが入った焼きそばです。

 仕上げに青のりがかけられ,紅生姜も添えられています。

 ウスターソースの風味に近いさらりとした焼きそばソースが使われています。

 私が作る焼きそばは、お好み焼に使われる濃厚甘口ソースを使う(お好み焼と焼きそばでソースの使い分けをしない)ので、同じ焼きそばでも味はかなり異なります。

 このお店の焼きそばソースは、麺だけでなく、茹でたじゃがいもにもよく合います。

 もっちりとした麺,ホクホクのじゃがいも,シャキシャキのもやしが甘いソースとからまり,ボリューム満点の美味しい焼きそばでした。

 続いて「子供洋食」が出来上がりました。

(子供洋食)
Photo_20240128134101

 武正米店の看板料理「子供洋食」です。

 子供洋食は,茹でたじゃがいもと刻んだねぎ,干し海老をソースで炒め,仕上げに青のりをかけて,紅生姜を添えた料理です。

 じゃがいもにソースがねっとりと絡みつき,ねぎの甘みや干し海老の香ばしさも加わって,焼きそばやお好み焼と同等の立派な料理となっています。

 童心に帰り、ほっこりとした気持ちにさせてくれる郷土食です。


桐生と粉もの・ソースの食文化

 食後に奥様がコーヒーを淹れてくださり,コーヒーをいただきながら会話を楽しみました。

(コーヒー)
Photo_20240128135301

 その時のお話をいくつか御紹介します。

【焼きそば・子供洋食の持ち帰り容器】
 焼きそばや子供洋食を持ち帰る際、昔は「経木(きょうぎ、へぎ)」と呼ばれる木を紙のように薄く切ったものが使われていたそうです。
 「そう言えば、たこ焼きの皿に舟形の経木が使われているのを見たことがあるな」と思いました。
 経木に焼きそばや子供洋食をのせ、持ち運びできるよう三角に折ってお客さんに提供されていたそうです。

【子供洋食とポテト焼きそば、どっちが先?】
 子供向けのおやつとして、子供洋食が先に食べられていたようです。
 その後、養蚕・織物工場で働く女工さん向けの昼食として、麺を加えたポテト焼きそばが考案されたそうです。

【内陸で喜ばれた海産物加工品のトッピング】
 桐生は海から遠く離れた地域のため、昔の子供たちは鰹節・青のり・干し海老といった「海の香りがする食べ物」(海産物加工品)を喜んで食べたそうです。
 甘くてホクホクのじゃがいも、洋食の味であるソース、そして「海の香りがする食べ物」で作られた子供洋食は、まさに子供たちの好きなものばかりで、最高のおやつだったことでしょう。

【ぎゅうてん】
 御主人は当初、焼きそばや子供洋食ではなく「ぎゅうてん」のお店をされたかったそうです。
 私はとっさに「牛天」という漢字をイメージし、牛肉や天ぷら(天かす・揚げ玉)の入ったお好み焼のことかと思いましたが、実際は小麦粉の生地に山芋や干し海老などを加えたお好み焼の名称で、焼く時に生地を「ぎゅっと」押すことから「ぎゅうてん」と呼ばれているそうです。

【冷凍パン「スタイルブレッド」と桐生】
 全国のホテルやレストランで採用されている「スタイルブレッド」の冷凍パン。
 この会社はもともと桐生のパン屋さんで、その後冷凍パンメーカーとして桐生を拠点に全国展開されているとのことでした。

【「築地銀だこ」と桐生】
 たこ焼き店「築地銀だこ」(株式会社ホットランド)の創業者は、桐生の御出身なのだそうです。
 創業者の佐瀬守男さんは、桐生のお菓子「アイスまんじゅう」や、粉もの文化・ソース文化にヒントを得た「たこ焼き」を販売するお店を経営された後、「築地銀だこ」のお店で全国展開され、現在に至っています。
 同店のたこ焼きは、佐瀬さんが幼い頃から桐生の「焼きそば」・「子供洋食」・「ぎゅうてん」などに慣れ親しんでおられたからこそ生まれた商品だとも言えるでしょう。
 また、たこ焼きに経木の皿が使われたり、青のり・鰹節・干し海老といった「海の香りがする食べ物」が重視されていたり、メニューにソース焼きそばもあったりと、桐生発祥ならではの発想やこだわりも感じられます。

 桐生が小麦粉・粉もの文化の街であることを実感しました。

 「炭水化物のまち桐生」バンザイ!

 今回も興味深いお話をたくさん伺うことができました。

 奥様に広島のお土産をお渡しし,お礼を述べたあと,御主人に車で新桐生駅まで送っていただきました。

 新桐生駅に着き,御主人にお礼を申し上げた後,感謝を込めて車が見えなくなるまでお見送りしました。

 私が遠い広島から飛行機と特急電車を乗り継いで訪問する理由は、「子供洋食」や「ポテト入り焼きそば」を味わうことはもちろん、その先にある、お店の皆さんの温かな人情に触れることができるからです。


桐生のお土産

 新桐生駅の売店で、桐生のお土産を購入しました。

【焼きまんじゅう】

 「に志きや」の「焼きまんじゅう」を購入しました。

(焼きまんじゅう(包装))
Photo_20240128141201

 かために焼き上げたパンのような厚みと弾力があります。

(焼きまんじゅう(焼きまんじゅうとタレ))
Photo_20240128141202

 開封してみると、焼きまんじゅうとタレが入っていました。

 「電子レンジで温め、タレをかけてお召し上がりください」と説明書きがあったので、そのようにしてみました。

(焼きまんじゅう)
Photo_20240128141301

 こちらが焼きまんじゅうです。

 小麦粉のほかに、米やもち米も入った生地で、温めるともっちりとした食感になりました。

 タレはみたらし団子のタレに似た、醤油ベースの甘辛いタレです。

 ちなみに「まんじゅう」ですが、中にあんこなどは入っていません。

 もっちりとした薄焼きのパンに、みたらし団子のタレをかけていただく感じでした。

【赤城山麓 徳川埋蔵金】

 青柳の「赤城山麓 徳川埋蔵金」というお菓子も購入しました。

(青柳「赤城山麓 徳川埋蔵金」(包装))
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 幕末、江戸幕府が官軍に江戸城を明け渡す前に、当時の勘定奉行 小栗上野介忠順(おぐりこうずけのすけただまさ)が幕府再興のために御用金を密かに領国の赤城山麓に埋蔵したという「徳川埋蔵金伝説」にちなんだお菓子です。

 マカダミアナッツを練り込んだサブレでホワイトチョコレートをはさんだ、小判形のお菓子です。

(青柳「赤城山麓 徳川埋蔵金」)
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 香ばしいマカダミアナッツとホワイトチョコレートの味が楽しめる群馬のお菓子です。


 お土産を買い、ホームで待っていると、浅草行きの「特急リバティりょうもう」が入線しました。

(新桐生駅・特急リバティりょうもう・浅草行)
Photo_20240128142101

 またいつか武正米店を訪問したいと思いつつ,桐生を後にしました。


<関連サイト>
 「武正米店」(群馬県桐生市浜松町1-6-35)
 「ぎゅうてん」(「うちの郷土料理」農林水産省)
 「スタイルブレッド」(群馬県桐生市広沢町1-2525-2)
 「築地銀だこ」(株式会社ホットランド)
 「に志きや」(群馬県桐生市仲町3-6-8)
 「上州菓匠 青柳」(群馬県桐生市本町5-364)

<関連記事>
 「群馬の食文化の特徴を探る(2)-桐生市「子供洋食」からわかる群馬の食文化-
 「群馬の食文化の特徴を探る(3)-スバル最中,コロリンシュウマイ,花ぱん,アイスまんじゅう,食文化を通じた地域の研究-
 「群馬の食文化の特徴を探る(4)-「子供洋食」と「ミックス ポテト入り焼きそば」-
 「群馬の食文化の特徴を探る(5)-桐生市・武正米店の「ポテト入り焼きそば」と「子供洋食」-

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コメント

「せっかくだから,桐生に寄っていけばいいのに。」
この桐生観光広告、大成功でしたね^o^
なんで「子供洋食」なんだっけ?
と思い、思わず(1)から見直してしまいました!
ネーミングやキャッチコピーって、大事だなぁーと改めて思いましたm(_ _)m
羽田空港からだと浅草まで直通で行けますが、浅草と上野は微妙な距離ですから北千住から乗る人が多いのは納得です(^_^)
渡良瀬川の錦桜橋で見る夕日も、とてもキリュウなんでしょうね^o^
「築地銀だこ」はウチの近所にもあちこちにあります!
以前新関西国際空港に降りて、真っ先に見かけたのが「築地銀だこ」でびっくりしました!
関西人のコナモン愛はコンナモンなの?
と、隠れコナモン王国群馬の人に言われそうですね^o^

新桐生の駅の感じが、春日部駅に似た感じなのに驚きました。
同じ東武鉄道だから似ていても不思議じゃないのかもしれないけど、それにしても似てる。
武正米店の店構え、どこからどう見ても食べ物を扱っているように見えないです(笑)
広島に住んでいるコウジ菌さんが、どうやってこのお店のことを知ったのでしょうか?
何かのマンガなのかな…?

なーまん 様

なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

「群馬の食文化」シリーズ、じっくり読んでいただいたようで、誠にありがとうございました。
そうです。群馬のガイドブックに「せっかくだから,桐生に寄っていけばいいのに。」と紹介されていたことがきっかけで、桐生を訪問しました。
うまく引っかかり、桐生ばかり行くようになりました(笑)
ほんのちょっとしたきっかけ、そしてそこから生まれた御縁が大きく花を咲かせることもあるのですね。
「子供洋食」、私の好奇心をふくらませるに十分なネーミングです(笑)
それがきっかけで、桐生や群馬の様々な食文化の理解が深まりました。

北千住からの利用客が多いことは、東武電車に乗ってみてわかりました。
ただ、なーまんさんのように土地勘はないので、北千住から東武電車に乗れるということすら知りませんでした…。

錦桜橋で夕日を…見る前に帰ってしまいましたが、渡良瀬橋の歌が思い浮かんだのは事実です(笑)

「築地銀だこ」、神奈川にもたくさんあるようですね!
関西国際空港で見つけたのが「築地銀だこ」ですと?!
そしてコナモンがコンナモンとは…。もう笑いが止まりません(爆笑)
たこ焼きの本場でも通用する、全国で人気のお店だという証拠ですね。
今回のネタとギャグ、お見事です!!

chibiaya 様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

新桐生駅と春日部駅、確かに三角屋根とか、よく似た感じですね!
東武鉄道は、桐生、栃木、日光そして会津若松と、結構利用させていただいてます。
なので春日部もよく通ってます(笑)

武正米店、メインはお米屋さんですが、お店に近づくと子供洋食と書かれた札が貼られています。
お米屋とクリーニング屋と軽食店を1つのお店でされているのはスゴイことですが、御主人が地域のリーダー役の方で、お店は地域活動の拠点にもなっています。

武正米店をなぜ知ったかですが、これは群馬のガイドブック(まっぷる)に桐生市の広告が掲載されており、そこに「子供定食は実際に見たら予想を裏切られます。」と私の好奇心をあおるようなキャッチコピーがあったからです。
そこでネットで「子供洋食」と検索したら、武正米店がヒットしたので訪問しました。
この時の一番の目的は、群馬の食ではなく、群馬のご当地耳かきを探すことだったんですよ(笑)

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