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2024年4月14日 (日)

東京會舘の「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」と「マロンシャンテリー」

 東京・日本橋、日本橋三越本店の本館7階にある「特別食堂日本橋」を訪問しました。

 このお店では、東京會舘の伝統的な料理やデザートを味わうことが出来ます。

 今回は、東京會舘の伝統的な料理・デザートを御紹介します。


本日のスープ(カボチャのポタージュ)

 本日のスープとして、カボチャのポタージュが提供されました。

(本日のスープ(カボチャのポタージュ))
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 カボチャの甘みとコクが楽しめる、濃厚なポタージュでした。


舌平目の洋酒蒸 ボンファム

 東京會舘の代表的な料理の1つに「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」があります。

 舌平目とシャンピニオン(マッシュルーム)を白ワインと魚の出汁で煮込み、さらに卵黄とバターたっぷりの「オランデーズソース」をかけてオーブンで焼き色を付けた料理です。

 この料理はとても手間がかかります。

 料理のベースとなるフォン(だし)やソースだけでも、①魚の「あら」からとったフォン「フュメ・ド・ポワソン」、②フュメ・ド・ポワソンに白ワインや生クリーム・バターなどを加えた「ヴァンブランソース(白ワインソース)」、③卵黄やバターで作った「オランデーズソース」を用意する必要があるのです。

 こうして作られる濃厚で重いソースは、正統派・クラシックフレンチの特徴でもあります。

 「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」がテーブルに運ばれてきました。

(舌平目の洋酒蒸 ボンファム)
Photo_20240414101501

 お皿の中心に舌平目を置き、その周りに刻んだシャンピニオン入りのソースがたっぷりとかけられています。

(舌平目の洋酒蒸 ボンファム(接写))
Photo_20240414105401

 焼き色が付けられたソースから香ばしいバターの香りが漂い、食欲がそそられました。

 舌平目は、ふっくらとジューシーに焼き上げられています。

 舌平目の淡白な白身と、バタークリームをベースにした濃厚なソースの相性が抜群でした。

 この料理のもう1つのお楽しみは、ライス(またはパン)との組合せです。

 私はライスを選びました。

 ライスとソースを交互にいただくのも美味しいのですが、ライスをソースに混ぜていただくのもおすすめです。

(舌平目の洋酒蒸 ボンファムとライス)
Photo_20240414102201

 少々お行儀が悪いですが、こうしてソースの上にライスをのせ…

(ライスにソースを混ぜ合わせた様子)
Photo_20240414102501

 ライスにソースを混ぜ合わせます。

 濃厚なクリームシチューにご飯を混ぜたような味わいで、あまりの美味しさに、あっという間に食べ尽くしてしまいました。

【「ボンファム」の意味を考える】

 「ボンファム」はフランス語で「Bonne Femme」と表記されます。

 日本語に直訳すれば「良い女性」で、料理名では「貴婦人風」・「良い妻風」・「おふくろ風」などと訳されています。

 念のため手元の仏和辞典で調べてみると、「bonne femme」は口語で「おばさん」と訳されていました。

 貴婦人からおばさんまで訳し方によって随分違いがあります(笑)

 「貴婦人」には「dame(ダム)」という表現もあることから、私としては、この料理には「(こなれた・仕立ての良い)お母さん・おふくろの味」といった意味をあてるのが適当ではないかと思います。


マロンシャンテリー

 デザートとして、東京會舘の代表的なお菓子「マロンシャンテリー」をいただきました。

(マロンシャンテリーとコーヒー)
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 マロンシャンテリーは、東京會舘の初代菓子長がモンブランを日本人向けにアレンジしたお菓子です。

(マロンシャンテリー)
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 東京會舘のマロンシャンテリーと言えば、この生クリームの外観が有名ですが、中身がどうなっているのかも気になります。

(マロンシャンテリー(中身))
Photo_20240414104401

 マロンシャンテリーの中身はこんな感じになっています。

 そぼろ状にした黄色い栗のペーストが入っています。

 黄色いモンブランのマロンクリームと生クリームを逆に盛り付けたようなお菓子です。

 この栗ペーストは、和菓子の「きんとん(そぼろ状のあんこ)」とよく似ており、和菓子の要素を組み入れた洋菓子だと思いました。

 甘くてほろりとした栗のペーストを、生クリームがしっかりと受け止めてくれる、東京會舘オリジナルのお菓子です。


<関連サイト>
 「東京會舘」(特別食堂日本橋・東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店本館7Fほか)

<参考文献>
 辻調理師専門学校監修「基礎からわかるフランス料理」柴田書店

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コメント

とにかく手間を惜しまず、じっくりと調理するのが正統派・クラシックフレンチの真髄という理解で宜しいのでしょうか?
ちょっと調べてみたら、舌平目は下処理も手間が掛かる様ですね!
舌平目がカレイの仲間というのも驚きでした!
よく鍋料理の〆にご飯を入れておじやにしますが、そんな感覚でしょうか?
手鍋持参で、その場でグツグツしたら叱られそうですが^o^

マロンシャンテリー、クリームのたっぷり具合がいいですね。
中身は栗ペーストだけで、スポンジケーキとか一切なしですか?
ライスをソースに入れちゃうの、孤独のグルメの五郎さんみたいです(笑)

なーまん 様

なーまんさん、こんばんは。
免疫力アップのコメント、ありがとうございます。

おっしゃるとおり、正統派・クラシックフレンチ(古典料理)は、手間暇かけて、じっくり調理がなされ、現在に至るフランス料理の基礎となっています。
ソースはルー(小麦粉とバター)や生クリームを加えた重たいもの・濃いものが中心だったのですが、その後に、軽いソースで素材を重視した「ヌーベル・キュイジーヌ(新しい料理)」が支持されるようになりました。
舌平目の下処理、確かに手元にあるフランス料理の本でも、何ページにもわたって説明されています。
日本でもそうですが、平目やカレイの下処理は大変ですね…。
舌平目がカレイの仲間だというのは、今初めて知りました。しかも左側に目がついているのに。
舌平目が舌出してベーッっと笑ってそうです(笑)

今回、ソースとライスを混ぜていただきましたが、確かに〆のおじやに似ています。
バターと生クリームでかなり濃厚なので、味はリゾットやドリアにも似ているように感じました。
こちらのお店なら、手鍋持参しなくても、言えばグツグツ温め直してくれそうですが(笑)

chibiaya 様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

マロンシャンテリーはクリームがたっぷりで、1人用ですがホールケーキのように見事にデコレーションされていますよね!
中身は栗のペーストのみで、スポンジケーキはありませんでした。
栗のペーストの周りに生クリームをのせているだけなので、とても繊細でやわらかいお菓子です。
とても広島まで持って帰れません(笑)

今回、ソースにライスを混ぜていただきましたが、これは「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」の楽しみ方として半ば認められており、こうでもしないとソースだけが大量に余ってしまうのです(笑)
孤独のグルメの井之頭五郎さんのように上品に食べることができればいいのですが…(笑)

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