チョコレートの新しい潮流4 -「ラテアートカフェ クレマ」のチョコレートとカカオサブレ・広島修道大学公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」-
「ラテアートカフェ クレマ」のチョコレート・カカオサブレ
広島県東広島市八本松にあるカフェ「ラテアートカフェ クレマ」を訪問しました。
(「ラテアートカフェ クレマ」店舗)
エスプレッソ、カプチーノ、デザート、ランチのほか、手作りのビーントゥバーチョコレートも提供されています。
チョコレートの製造・販売は、広島大学名誉教授の佐藤清隆先生との御縁によるものです。
今回は、このお店のチョコレートを購入するために訪問しました。
お店に入ると、チョコレートやクッキーなどの販売コーナーがあり、お店の代表者である竹崎さんが、ランチタイムでお忙しいにもかかわらず、親切・丁寧に対応してくださいました。
このお店では、スイスのダニエル・ペーター(※)が開発したミルクチョコレート(ダニエル・ペーターのレシピをもとに再現したミルクチョコレート)も販売されているのですが、この商品は不定期販売で、一度に作られる量も少ないため、訪問日には販売されていませんでした。
※世界で初めてミルクチョコレートを開発した人物
そこで私は、そのダニエル・ペーターのミルクチョコレートと同じ原材料を使用して作られた「ホワイトチョコレート」と、チョコレートクッキーを購入しました。
ホワイトチョコレートには、説明書と保冷剤も付けていただきました。
(ホワイトチョコレート(包装・説明書))
竹崎さんがチョコレートにかけておられる情熱や愛情が伝わってきました。
佐藤先生のお話をすると、竹崎さんは喜んでくださり、「チョコレートと佐藤先生のどちらがお好きなのですか?」と問われました。
私は少し照れながら「どっちもです」とお答えしました。
続けて「佐藤先生にはどんな印象を持たれていますか?」と問われたので、私は「ずばり「お調子者」ですかね。私も同じなので、波長が合うんです(笑)」とお答えすると、竹崎さんは「そうそう、その表現ぴったりですね」と笑いながらおっしゃっていました。
バリスタである竹崎さんの接客サービス・お人柄の良さに触れたワンシーンでした。
お店の外で、面白い看板を見つけました。
(「激痛公園」案内看板)
「激痛公園?そんな名前の公園があるんだ」と思い、歩いて行ってみました。
(「激痛公園・健康の小路」)
足つぼマッサージが出来る公園でした。
八本松ガーデンプレイスは面白い所だなと思いつつ、自宅に帰りました。
自宅でホワイトチョコレートを開封しました。
(チョコレート包装紙(裏面))
包装紙の裏面にメッセージがありました。
佐藤先生との出会いにより、クレマのチョコレートが生まれたことが説明されています。
(ホワイトチョコレート)
銀紙を外すと、中に長方形のタブレットチョコレート(板チョコ)が入っていました。
口に含むと、カカオバターのコクとミルクの甘い香りが広がりました。
きめ細かく、口の中でやさしく溶ける美味しいホワイトチョコレートでした。
続いて、カカオサブレをいただきました。
(カカオサブレ(包装))
カカオニブがのせられた、丸いチョコレートクッキー(サブレ)です。
(カカオサブレ)
甘さを抑えたチョコレートクッキーとほろ苦いカカオニブを一緒にいただくと、不思議なことに、クッキーのわずかな甘みが強く引き出されました。
ビターで芳醇なカカオの美味しさをダイレクトに味わえる、チョコレート好きの方におすすめのクッキーです。
修道オーブンアカデミー公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」
2024年6月22日、広島修道大学で修道オーブンアカデミー公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」が開催されました。
担当講師は、広島修道大学人文学部の松崎雅広教授と広島大学の佐藤清隆名誉教授です。
チョコレートをカカオを極めたい一心で、私も受講させていただきました。
久しぶりに広島修道大学を訪問しました。
(広島修道大学7号館)
広島修道大学7号館です。
(広島修道大学7号館玄関)
7号館の玄関に、今回の公開講座のポスターが掲示されていました。
(公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」ポスター)
カカオの原産地、ヒトとカカオの遭遇、カカオの生産、チョコレートの製造など、チョコレートやカカオに関する様々な研究成果が学べる講座です。
私は最前列の席で佐藤先生に御挨拶し、受講しました。
※広島修道大学関係者様へ
以下の記事は講座の概要紹介に留め、直接研究内容に触れる資料・レジュメについては掲載しておりませんが、何か支障となる記事や表現がございましたら御連絡ください。すぐに修正させていただきます。
今回の講座で新たに学んだこと
今回の講座で私が新たに学んだことをまとめます。
・カカオ豆は、赤ちゃんのミルクのように栄養が豊富
・カカオ豆ほど脂肪の含有率が高い豆はない
・チョコレートの健康効果として、抗ガン・抗炎症、糖尿病・動脈硬化予防、利尿作用、血流の促進、中枢神経刺激、肥満防止、脳梗塞の抑止などが期待される
・カカオは、日差しが強く高温な熱帯の環境下でも自らを酸化させないよう、抗酸化作用のあるポリフェノールをたくさん保有している
・カカオの生育には、気温16℃以上、年間雨量1500ミリ以上、湿度70%以上を確保できる環境が必要
・地球は過去に何度も氷期を迎えたが、最終氷期(ヴュルム氷期:7万年~1万8500年前)にも、アマゾン川周辺だけは熱帯雨林として残り、カカオは絶滅を免れた。
(最終氷期のアマゾン川周辺の熱帯雨林)
佐藤清隆「チョコレートを極める12章」幸書房 p83 図4.9を引用
空色の斜線部分が熱帯雨林として残ったエリアです。
ちなみに、この講座が開催された6月22日は世界熱帯雨林の日でした。
・カカオの外皮は非常に硬く、それを割って中の甘い果肉(カカオポッド)を得られるのは、ゾウやサイなどの大型哺乳類(メガファウナ)かヒトのみ
・メガファウナやヒトを介することにより、カカオの種子はより遠くへ運ばれた
・現在のカカオ生産は、西アフリカが中心で、ガーナとコートジボワールだけで全体の約60%を占める
・カカオ農家のうち、生活収入ライン(5.81USドル/日)以下が約73%、極度貧困ライン(1.9USドル/日)以下が約35%を占めている
・カカオ豆の国際価格は、ロンドンやニューヨークの先物市場の取引で決められるため、実態に即していない(フェアトレードがなされていない)
・最近の世界的な異常気象(西アフリカの大雨・洪水・干ばつ、フィリピンの洪水、アマゾン流域の干ばつ等)で、カカオ豆の国際価格が暴騰している
カカオニブの試食と産地当てテスト
講演の途中、カカオニブの試食と産地当てテストが行われました。
フィリピン産とベネズエラ産のカカオニブを試食してそれぞれの特徴をつかんだ上で、改めて出されたカカオニブがどちらの産地のものか、ブラインドテストで当てるというものです。
テスト開始の際、佐藤先生が「最前列には、いつも私の講演に参加してくれる人がおられますが、このテストで当たらなかったらやめなさい!」と挑戦状が出されました。
ほら、お調子者でしょう(笑)
同じお調子者の私は「必ず当ててみせる!」との意気込みでテストに臨みました。
まずはフィリピン産とベネズエラ産、それぞれのカカオニブを試食し、その特徴をとらえました。
(カカオニブ(フィリピン産))
フィリピン産は、フルーティで酸味を強く感じました。
水を飲んで舌をリセットし、続いてベネズエラ産のカカオニブをいただきました。
ベネズエラ産は、酸味が控えめな分、若干の渋味があり、ワインかシャンパンのようなアルコールの香りと、ナッツのような香ばしい香りを感じました。
私が感じた特徴をグラフにお示しすると、次のとおりです。
(カカオ産地別の特徴(テスト))
※画像をクリックすると拡大します
このグラフは私が感じた特徴をお示ししたもので、一般的な産地の特徴をお示ししたものではないことに御留意ください。
こうした特徴をつかんだ上で、改めてブラインドテスト用のカカオニブが用意され、どの産地のものか当てるテストが開始されました。
熟成されたアルコールの香りがしたことから、私はベネズエラ産だと判断しました。
正解は「ベネズエラ産」でした。
何とか当てることができ、私は次回以降も佐藤先生の講演に参加することが認められました(笑)
まとめ
講演会終了後,佐藤先生に御挨拶に伺いました。
私が「ラテアートカフェ クレマ」へ伺ったことをお話しすると、喜んでおられました。
その後、ちょうどお昼を迎えたので、大学の食堂「フォレスト」でランチをいただきました。
(フォレスト「ふわふわオムライス」)
チキンライスをふわふわの卵で包んだオムライスをいただきました。
大学からの帰りがけに、お店で明治のハイカカオチョコレート「チョコレート効果 Cacao 86%」を買いました。
(明治「チョコレート効果 Cacao 86%」)
ダークチョコレートは55%前後のものが多く流通しているようで、カカオ86%だと相当苦いレベルです。
知れば知るほど、その奥深さに驚くチョコレートとカカオの世界。
当ブログのカカオ・チョコレートの内容もハイレベルになれるよう、これからもフィールドワーク・記事作成を続けていきたいと思います。
<関連サイト>
「ラテアートカフェ クレマ」(広島県東広島市八本松東6-2-31 八本松ガーデンプレイス1階)
「広島修道大学」(広島市安佐南区大塚東1-1-1)
「チョコレート効果」(明治)
<関連記事>
「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「チョコレートの研究」を御参照ください。
<参考文献>
佐藤清隆「チョコレートを極める12章」幸書房
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私も「チョコレートとあんこのどちらがお好きなのですか?」と問いたいです!
二者択一でお願いします (^_^o)
広島修道大学は修道院が運営する大学かと思ったら、広島藩の藩校だったのですね!
昔、修道院でチョコレートを薬として飲んでいたのを思い出したもので ^ ^
こうして人脈を広げ「食文化研究家」として講演する側になれると良いですね (^.^)v
投稿: なーまん | 2024年6月23日 (日) 17時44分
激痛公園の足つぼマット?とクレマのホワイトチョコレートが双子のように見えるのは気のせいでしょうか?
ホワイトチョコレートにイボイボがあったら、ますますそっくり(笑)
カカオがいつから地球に存在しているかなんて考えたことなかったですが、そんなに大昔からある植物だとは意外です。
投稿: chibiaya | 2024年6月23日 (日) 20時39分
なーまん 様
なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
非常に回答に困るお問い合わせですね…(笑)
チョコレートとあんこ(小豆)は、どちらも「研究シリーズ」にするほど多くの記事を書いており、どちらも好きなのですが、二者択一と言われれば…あんこ(小豆)です。
広島修道大学は、キリスト教系ではなく、藩校をルーツとする学校です。
修道は中国の古典「中庸」に由来する言葉のようです。
確かに昔の修道院は、パン焼いたり、ワインを製造したり、救護所や役場の役割を果たしたり、西洋の街の中心的存在ですよね。
歴史研究家のなーまんさんらしい着眼点だと思います。
私が講演することになったら(ありえませんが…)、「お調子者」と呼ばれるような気がします(笑)
投稿: コウジ菌 | 2024年6月23日 (日) 21時58分
chibiaya 様
chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
確かに、言われてみれば、激痛公園の白い長方形の足つぼマットと、ホワイトチョコレートのタブレットの形がそっくりですね。
おかしくて、笑いのツボにはまってしまいました(笑)
このホワイトチョコレート、写真では明るくてつぶれていますが、実は表面に細かい網目(メッシュ)が入っているので、本当に足つぼマットとよく似ています。
チョコレートを食べ、足つぼマッサージもやれば、激うま・激痛ですが(笑)、健康に良いことは間違いないでしょう。
もし氷期に熱帯雨林が消滅していたら、カカオの生育できる場所がなくなり、カカオは絶滅していたことでしょう。
熱帯雨林が残ったエリアでカカオも奇跡的に生き延びることが出来たため、そのエリアがカカオの原産地だと言えるのだそうです。
投稿: コウジ菌 | 2024年6月23日 (日) 22時27分
チョコの“甘さ”その言葉の対極にあるような“激痛”公園に足つぼ小路、
そこ歩いたなら体のあちこちが弱ってるのを露呈してしまいそうです。
大昔の氷河期を乗り越えたカカオがあって、私も今チョコボールが味わえるんですね。
学食のオムライスにふわふわなのおいしそう。
投稿: サウスジャンプ | 2024年7月12日 (金) 22時17分
サウスジャンプ 様
サウスさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
チョコの甘さと激痛公園の対比、とても笑えました(笑)
自称「健康のコウジ」ですが、この「健康の小路」は歩き通せる自信がありません…
足つぼマッサージすら、受ける勇気がないので…
御紹介したオムライスは学食の看板メニューでした。
チョコボールはカカオがアマゾンの一部で氷河期を乗り越えてくれたおかげと言えますね(笑)
カカオが寒さで絶滅しそうだったところに、金のエンゼルと銀のエンゼルが出現して、おもちゃのカンヅメで助けてくれたのだクエ。
サウスさん絶好調ですね!とても楽しませていただきました(笑)
投稿: コウジ菌 | 2024年7月12日 (金) 23時05分