ひろしま国際プラザ「難民の故郷の味フェア」 -ミャンマーのオンタミンとチェッターヒン、ベトナムの鶏肉八角焼き、インドネシアのソトアヤム、スリランカのパリップサラーダヤ-
6月20日は世界難民の日
毎年6月20日は「世界難民の日」(World Refugee Day:ワールド・リフュージー・デー)です。
難民の保護と支援に対する世界的な関心を高めることを目的に,2000年12月4日の国連総会で決議されました。
日本でも,全国各地で「世界難民の日」にちなんだイベントが行われています。
今回は,そのイベントの1つ,「ひろしま国際プラザ」で開催された「難民の故郷の味フェア」について御紹介したいと思います。
ひろしま国際プラザ(HIP)
広島県東広島市鏡山には,試験・研究機関が集積する「広島中央サイエンスパーク」があります。
(広島中央サイエンスパーク)
そしてこの「広島中央サイエンスパーク」内に「ひろしま国際プラザ」があります。
(ひろしま国際プラザ)
「ひろしま国際プラザ」(HIP:Hiroshima International Plaza)は,「広島県立広島国際協力センター(HICC:Hiroshima International Cooperation Center)」と「国際協力機構(JICA)中国センター」が一体化した複合施設です。
(ひろしま国際プラザ入口(レストラン「ラコルト」と宿泊棟))
手前の丸い建物がレストラン「ラコルト」,奥が海外からの研修員などが宿泊・滞在する宿泊棟です。
私はJICA中国やHICCの職員の方々とインドネシアへ出張したり,このHIPで中国・四国地方各県の海外研修員の皆さんと交流事業を企画・実施したことがあるので,HIPには親しみと懐かしさを感じます。
難民の故郷の味フェア
「難民の故郷の味フェア」は,「世界難民の日」にちなんだイベントで,今年度(2024年度)は6月11日から24日まで開催されています。
(難民の故郷の味フェア(2024年)チラシ)
JICA中国ウェブサイト(イベント)から引用
ひろしま国際プラザの玄関に、レストラン「ラコルト」のメニューと「難民の故郷の味フェア」の案内がありました。
(レストラン「ラコルト」メニュー・難民の故郷の味フェア案内)
「MEAL For Refugees(ミール・フォー・リフュージーズ)」とは、食(ミール)を通じて難民(リフュージーズ)への理解を深める取組みのことです。
フェア期間中は、「食」を通じて難民問題を知ることを目的に,難民を多く輩出している国の料理が毎日2品以上提供されます。
レストラン「ラコルト」に入店しました。
ランチは定額制(大人900円、小学生800円、3歳~小学生未満350円、3歳未満は無料)でバイキング形式となっています。
世界各国の料理が日替わりで提供され,それにご飯・野菜カレー・フレッシュサラダ・ドリンク(コーヒー・紅茶・ウーロン茶・お茶)・デザートが付きます。
レジで支払いを済ませ、セルフサービスで料理を皿に盛りました。
それでは、今回味わった料理を御紹介します。
(レストランラコルトのランチ(2024年6月15日))
私が訪問した2024年6月15日のランチです。
近くにおられた海外研修員(イスラム圏出身の女性)と私では、皿の盛り付け方が全く異なることに気付きました。
私はライス、スープ、おかずを別々の皿に分け、定食のような盛り付けにしたのですが、その海外研修員の方は1枚の大皿にライスとおかずを一緒に盛り付け、ワンプレートランチにされていました。
食文化の違いが、こういうシチュエーションでも無意識に出てくることを実感しました。
それでは,それぞれの料理を御紹介します。
オンタミン(ミャンマー)
最初に、ミャンマーの「オンタミン」を御紹介します。
(オンタミン(チェーフィングディッシュ))
ミャンマーの「ココナッツミルクご飯」です。
ハラルフードにはネームプレートに緑色の「Halal」シールが貼られており、イスラム圏の人々へ配慮がなされています。
(オンタミン)
ココナッツミルクの香ばしさが楽しめる米料理です。
わずかに油と塩分を感じ、ピラフやバターライスに似た料理でした。
ちなみに「タミン」は「ご飯」という意味で、ミャンマーでは、日本語と同様に「食事」という意味でもこの単語が用いられています。
チェッターヒン(ミャンマー)
続いて、同じミャンマーの「チェッターヒン」を御紹介します。
(チェッターヒン(大皿))
「チェッター」が鶏、「ヒン」がカレー(風の煮込み)で、ミャンマーの「チキンカレー」です。
(チェッターヒン)
鶏肉・玉ねぎ・トマトなどの具を炒め、ターメリックやチリペッパーなどのスパイスを合わせて煮込まれた料理でした。
ピリ辛のカレー煮込みで、オンタミンと一緒にいただきました。
イスラム圏の出身の女性研修員は、大皿にオンタミンを盛り、その上からチェッターヒンをかけて召し上がっていましたが、これが正解だと思います。
鶏肉の八角焼き(ベトナム)
続いて、ベトナムの「鶏肉の八角焼き」を御紹介します。
(鶏肉の八角焼き(チェーフィングディッシュ))
スパイスの「八角(はっかく、スターアニス)」で香り付けしたグリルチキンです。
(鶏肉の八角焼き)
醤油ベースの甘辛なタレに、八角の甘くてさわやかな風味が加わった中華風の鶏料理でした。
ソトアヤム(インドネシア)
続いて、インドネシアの「ソトアヤム」を御紹介します。
(ソトアヤム(お椀))
汁椀が用意されていたので、それに「ソトアヤム」(スープ)を注ぎ入れました。
カレー風味の鶏肉汁で、具は鶏肉、玉ねぎ、人参などが入っていました。
スープの色を確かめるため、おかわりをいただき、今度は皿に「ソトアヤム」を注ぎ入れてみました。
(ソトアヤム(皿))
ターメリックで黄色味を帯びたスープでした。
実は私、メニュー表を見た時点では、すっかり「サテアヤム」(鶏の串焼き)だと思い込んでいたので、スープジャーに入った「ソトアヤム」を見た瞬間、「さて?」と少し戸惑いました(笑)
ちなみに、インドネシア語で「ソト」は「スープ」、「サテ」は「串焼き」、「アヤム」は「鶏」という意味になります。
「サテアヤム」はこれまで何度か味わったことがありますが、「ソトアヤム」は今回初めていただきました。
パリップサラーダヤ(スリランカ)
続いて、スリランカの「パリップサラーダヤ」を御紹介します。
(パリップサラーダヤ)
「パリップ」は「レンズ豆」のことで、「パリップサラーダヤ」は「レンズ豆のサラダ」という意味です。
レンズ豆のほか、刻んだパプリカや赤玉ねぎが入った、さっぱりとした冷製サラダでした。
カレーコロッケ・デザート(冷やし焼き芋)・コーヒー
難民の故郷の料理とは別に、カレーコロッケや冷やし焼き芋もいただきました。
(鶏肉の八角焼き・カレーコロッケ・冷やし焼き芋)
カレーコロッケは揚げ立てで、サクサク・ホクホク感が楽しめました。
冷やし焼き芋は、ねっとりとした食感でとても甘く、締めくくりのデザートとして最適でした。
食後にコーヒーをいただきました。
(コーヒーと難民紹介文(フレディ・マーキュリー))
カウンターにイギリスのロックバンド「クイーン」のボーカリスト「フレディ・マーキュリー」の紹介文がありました。
タンザニアのサンジバルで生まれ、その地に住んでいたことのあるフレディ・マーキュリーも難民の1人だったそうです。
難民の苦労・辛さ・大変さについて考えつつ、コーヒーをいただきました。
(「MEAL For Refugees」の紹介と募金箱)
食事を済ませてレストランを後にする際,「MEAL For Refugees」の一環として募金箱が設置されていたので,わずかながら募金させていただきました。
訪問した日は多くの研修員・留学生が食事しておられ,国際色豊かな環境での食事となりました。
ひろしま国際プラザ館内見学
ランチを済ませた後、ひろしま国際プラザ館内を見学しました。
「世界難民の日」にちなんで,世界の難民の状況を紹介するコーナーがありました。
(「難民って聞いたことありますか?」(紹介・展示コーナー))
「難民」という言葉を聞いたことはありますが、周りを海に囲まれた日本に住んでいると、どこか遠い国の出来事のような感じもします。
だからこそ、日本でも意識啓発が必要なのでしょう。
(ミャンマーの子供たち)
自分の背丈ほどの収穫物を背負って仕事をしているミャンマーの子供たちの写真がありました。
この子供たちの屈託のない笑顔を絶やすことのないよう、国際問題を1つ1つ解決していく必要があると感じました。
また、玄関ロビーでは、JICA青年海外協力隊の平和活動が紹介されていました。
(ヒロシマから世界へ~協力隊員が伝える原爆~)
さらに同時開催で、「G7広島サミット」に出席された各国首脳・国際機関の長の芳名録も展示されていました。
(G7広島サミット・各国首脳・国際機関の長・芳名録)
皆さん横書きで書かれている中、飛び込みで参加されたウクライナのゼレンスキー大統領だけが思いっきり斜めに書いておられます(笑)(写真右下)
岸田総理の芳名録もありました。
(G7広島サミット・岸田文雄総理大臣・芳名録)
なるほど、こんな字を書かれるのか(笑)
JICAプラザの一角には、「世界のファッション紹介コーナー」がありました。
(世界のファッション紹介コーナー)
カラフルで様々な絵柄があるものですね。
今回のひろしま国際プラザ訪問は、世界各国の料理を楽しみ、難民や世界平和など国際問題を考える良い機会となりました。
<関連サイト>
「ひろしま国際プラザ(HIP)」(広島県東広島市鏡山3-3-1 広島中央サイエンスパーク内)
「国際協力機構(JICA)中国センター」(広島県東広島市鏡山3-3-1)
「難民支援協会(JAR)」(東京都千代田区西神田2-5-2 TASビル4階)
「世界難民の日」(UNHCR(国連難民高等弁務官事務所))
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「ひろしま国際プラザ「難民の故郷の味フェア」 -チキンのレモン煮・麻婆豆腐・アメリカンドッグ・ブロッコリーライス・チルカーノ・アスウィットサラダ・ケニア紅茶-」
<参考文献>
沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会
地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」学研プラス
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JICA中国?C国にもJICAがあるの?
と、くだらない冗談からスタート (^。^)
私もJICA横浜で食事をした事があるので、雰囲気は伝わってきます(^.^)
先日小田原城でもムスリムの女性達を見かけましたが、食事はどうされているのか?
鶏肉は好物ですし八角も大丈夫なので、今回のメニューは試食したいものばかりでした ^ ^
カレーコロッケや冷やし焼き芋があるところが、JICAのレストランぽいですね (^。^)
投稿: なーまん | 2024年6月16日 (日) 17時48分
なーまん 様
なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
中国(地方)という表現は、地元では当たり前で違和感ないのですが、やはり中華人民共和国をイメージされますか…。
まぁ、実際、店内でも、「やっぱり中華が美味しい」とおっしゃってた地元のお客さんもおられました(笑)
そうそう、なーまんさんがJICA横浜へ行ってお食事された様子をブログで御紹介いただいたこと、よく覚えていますよ!
最近はハラルフードを売られているお店も多いですし、ムスリムの方向けのお店の情報交換も活発なようですね。
あと、海外の場合は割と柔軟に対応されている方も多いようです。
今回のランチは、鶏肉が多かったように思います(笑)
ただ、日ごろの食事も、国際レストランなので、牛肉や豚肉ではなく、鶏肉が多いのではないかと思います。
豚肉ではなく、鶏肉にも八角が合うことがわかったのは感動ものでした。
カレーコロッケや毎日提供される野菜カレーなどは、日替わり料理が合わない人向けに用意されている一面もあると思います。
デザートの冷やし焼き芋、実は今回のランチで私が一番美味しく感じた食べ物で、結局食べ慣れたものを美味しく感じるのかと思った次第です(^^ゞ
投稿: コウジ菌 | 2024年6月16日 (日) 19時08分
一番最初のランチの写真を見て、焼き芋って難民の故郷の味なんだ?!どこだろう?と思ったら、難民と関係なかった(^^;)
ココナッツミルクは甘いイメージがあるのですが、オンタミンは甘くはないのですか?
投稿: chibiaya | 2024年6月16日 (日) 19時09分
chibiaya 様
chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
そうですね…確かに…最初のランチの写真で中心の一番注目するところに焼き芋とコロッケを配置したのは、不自然でしたね(笑)
海外研修員だけでなく、施設周辺の住民の方々もこのレストランに食事に来られるので、様々な人々が来られることを想定しておかずを用意する必要があるのだと思います。
でも、焼き芋もコロッケも素朴ながら美味しかったです!
「オンタミン」は、ココナッツの甘みよりは、少し塩気のあるピラフのような仕上がりでした。
おかずと合わせやすいよう、工夫されたのかも知れませんが…。
投稿: コウジ菌 | 2024年6月16日 (日) 22時20分