デンマーク料理の特徴と主な料理6 -サーモン・ニシンのマリネ・豚バラ煮込み・サムソーチーズ・フレスケスタイ・赤キャベツのピクルス・スメアブロ・キャロットケーキ-
アンデルセンの「デンマークフェア」と広島アンデルセン
2024年6月1日から30日までの期間,アンデルセンの各店舗で「デンマークフェア 2024」が開催されました。
デンマークのパン・料理・ドリンク・食材・雑貨などの販売や,デンマーク関係のセミナー・パーティーの開催など,デンマークの魅力を知り,味わい,楽しむことができる盛りだくさんのイベントが実施されました。
アンデルセンとデンマークのつながりは,アンデルセンの創業者・高木俊介氏が,デンマークでデニッシュの製法を学び,日本で最初にデニッシュを紹介されたことに始まります。
広島アンデルセンを訪問しました。
(広島アンデルセンと「デンマークフェア2024」のぼり)
店舗に「デンマークフェア2024」ののぼりが掲示されていました。
「HYGGE(ヒュッゲ)」とは、デンマーク語で「人と人とのふれあいから生まれる、温かな居心地のよい雰囲気」を意味する言葉です。
広島アンデルセン2階のアンデルセンキッチンで「デンマークビュッフェ」をいただきました。
今回はデンマークフェアで提供されたデンマーク料理やお菓子を中心に御紹介したいと思います。
アンデルセンキッチンの「デンマークビュッフェ」
「デンマークビュッフェ」では,通常の料理に加え,様々なデンマーク料理が用意されていました。
大皿やチェーフィングディッシュに用意された料理を自由に皿に取っていただくビュッフェ形式ですが、一部の料理は注文を受けてから提供されるオーダー形式でした。
(オーダーメニュー)
オーダーメニューには、代表的なデンマーク料理「フレスケスタイ(クリスピーデニッシュポーク)」や「スメアブロ」も用意されていました。
ひととおり料理を取り揃えてみました。
(デンマークビュッフェの料理)
自分で好みの料理を選び、テーブルに並べた瞬間、何とも言えない幸せを感じました。
デンマーク料理
デンマークビュッフェでいただいたデンマーク料理をいくつか御紹介します。
【サーモングリル】
(サーモングリル・サーモンエスカベッシュ・ニシンのマリネ・豚バラ煮込み)
「サーモングリル」、「ニシンのマリネ」、「豚バラ煮込み」、そして「サーモンエスカベッシュ」のプレートです。
(サーモングリル)
「サーモングリル」は石窯でグリルしたサーモンにハーブバターソースをかけ、ピンクペッパー(粒コショウ)とディルが添えられた料理です。
ハーブバターソースは酸味の効いたマヨネーズソースのような味わいで,サーモングリルとよく合いました。
【サーモンエスカベッシュ】
(サーモンエスカベッシュ)
「サーモンエスカベッシュ」は油で揚げたサーモンを酢漬けにした料理で、いわゆる「サーモンの南蛮漬け」です。
【ニシンのマリネ】
(ニシンのマリネ)
「ニシンのマリネ」はニシンを酢でしめた料理で、レモン、紫玉ねぎ、ケイパーが添えられています。
弾力のある「しめ鯖」のような食感・味でした。
【豚バラ煮込み】
(豚バラ煮込み)
「豚バラ煮込み」の正式な料理名は「豚バラとリンゴとプルーンの赤ワイン煮込み」で、赤ワインで煮込んだ豚バラにスライスリンゴとプルーンが添えられた料理です。
「豚バラ肉に甘いリンゴやプルーンは合うのか」と少し抵抗がありましたが、いただくと赤ワイン煮込みの甘みをうまく引き立て、肉の美味しさがより一層増しました。
【茹で海老・ハム・ローストビーフ】
(茹で海老・ミートボール・サムソーチーズ・ハム・ローストビーフ)
「茹で海老」、「ミートボール」、「サムソーチーズとスモークチーズ」、そして「ハム・ローストビーフ」のプレートです。
「茹で海老」と「ハム・ローストビーフ」は、そのまま味わうだけでなく、オープンサンド(スメアブロ)の具としても美味しくいただけます。
【ミートボール】
(ミートボール)
「ミートボール」は、甘いリンゴンベリーソースを添えていただくと、リンゴンベリーの甘味と酸味が加わり、ソースに深いコクが出て、より美味しくいただけました。
【サムソーチーズ】
(サムソーチーズとスモークチーズ)
「サムソーチーズ」(写真上側)は、デンマークの代表的なチーズです。
マイルドな味わいでクセがなく、なめらかで適度な弾力があるのが特徴です。
「スモークチーズ」(写真下側)と一緒に美味しくいただきました。
【フレスケスタイと赤キャベツのピクルス】
(フレスケスタイと赤キャベツのピクルス・スメアブロ)
「フレスケスタイ(クリスピーデニッシュポーク)」と「赤キャベツのピクルス」、そして「スメアブロ」のプレートです。
(フレスケスタイと赤キャベツのピクルス)
フレスケスタイを注文すると,シェフが大きな肉の塊をその場で切り分けてくださいました。
フレスケスタイは、豚肉の表面の皮の部分に「ハモの骨切り」のように包丁で細かく切り込みを入れ,その切れ目に塩・ローリエ・クローブなどの調味料やスパイスをすり込んで下味をつけ,オーブンで焼いた料理です。
パリパリで塩気のある皮とジューシーな肉を一度に味わうことができます。
酸味の効いた赤キャベツのピクルスと一緒にいただきました。
デンマークでは,お祝いの日に食べられる特別な料理です。
(フレスケスタイ・赤キャベツのピクルス・リンゴンベリーソース)
フレスケスタイをおかわりし、今度は試しにリンゴンベリーソースを添えてみました。
塩味の効いた豚肉に甘いソースが合うだろうと思ったのですが…実際は、それぞれの味が独立したままで、うまく調和しませんでした(笑)
ミートボールや「ウインナーシュニッツェル(仔牛のカツレツ)」には、甘いベリーのソースが抜群に合うのですが…。
甘い果物系のソースは揚げ物や濃厚なソースには合いますが、肉に直接合わせると果物系の甘味と酸味だけが際立ってしまうことがわかりました。
【パン】
様々な料理と一緒にパンをいただきました。
(トレコンブロート・クルミパン)
奥のパンは「トレコンブロート」と呼ばれるゴマのパンで、パンの表面には白ゴマが、中には黒ゴマがたっぷりと使われています。
手前のパンは「クルミパン」で、パン生地にクルミがザクザク入っていました。
(クルミパン・パンオノア・シリアルブレッド)
こちらは「クルミパン」(写真右側)、「パンオノア」(写真左手前)、「シリアルブレッド」(写真左奥)のプレートです。
「パンオノア」は、見た目が黒っぽいこともあり、私はフランス語で「黒い(noir)パン」という意味だと思ったのですが、このパンの「ノア」は「クルミ(noix)」の意味だと後で知りました。
仏和辞典で調べると、「黒いパン」の場合は(形容詞なので)定冠詞を付けず「パンノア(pain noir)」と表現されるようです。
「クルミパン」と「パンオノア」どっちも用意されているから、こんなことになるのです(笑)
【スメアブロ】
(スメアブロ)
「スメアブロ」は、薄く切ったパンにバターを塗り,様々な具を彩りよく盛り付けたオープンサンドイッチです。
ゆで卵と海老、スモークサーモン、フレスケスタイをのせたスメアブロをいただきました。
パンは「ソフトカーネラグブロート(やわらかい種入りのライ麦パン)」と呼ばれる、ひまわりの種、亜麻仁、ゴマ、ライ麦粒などが入ったライ麦パンが使用されています。
どっしりとした生地のパンなので,薄くスライスしたものでも,具材をしっかりと受け止めることができます。
オープンサンドにすることで,それぞれの具材をより一層美味しくいただくことができました。
デンマークでは「スメアブロパーティー」が催されるようですが、このパーティーは日本の「手巻き寿司パーティー」と似た楽しさや魅力があるように思います。
アンデルセンキッチンの人気・定番料理
デンマーク料理のほかに,アンデルセンキッチンの人気・定番料理もいただきました。
【ローストビーフ】
(ローストビーフ)
広島アンデルセンの自家製ローストビーフとマッシュポテトです。
ホースラディッシュを添えていただきました。
【高原黒牛のビーフシチュー】
(高原黒牛のビーフシチュー)
広島アンデルセンの人気メニューの1つ,ビーフシチューです。
注文すると,鉄鍋に入った熱々のビーフシチューが供されました。
牛肉のかたまりが、やわらかくトロトロに煮込まれていました。
【広島熟成どりのクラブハウスサンド】
(広島熟成どりのクラブハウスサンド)
やわらかい蒸し鶏,ベーコン,ゆで卵,トマト,レタス,レッドキャベツなどをパンで挟んだクラブハウスサンドです。
パンは軽くトーストされていました。
このクラブハウスサンドだけを延々と食べ続けても良いと思えるぐらい、クオリティと完成度の高いサンドイッチでした。
各種デザートとエルダーフラワーのジュレ
【デザートプレート】
(デザートプレート)
デザートとして、フルーツ(パイナップル、キウイ、グレープフルーツ、オレンジ)、マカロン、抹茶のケーキ、ベリーのケーキ、そして「エルダーフラワーのジュレ」をいただきました。
(エルダーフラワーのジュレ)
こちらは「エルダーフラワーのジュレ」です。
エルダーフラワーは花の一種で,ライチやマスカットに似たさわやかでフルーティーな風味が特徴です。
デンマークでは初夏に「フーゴ」と呼ばれる、エルダーフラワーシロップ入りの微炭酸ソフトドリンクが飲用されています。
アンデルセンキッチンの定番メニューやデザートも含め,デンマークビュッフェをお腹いっぱい堪能しました。
カミラさんのキャロットケーキ
広島アンデルセン1階のベーカリーショップで,デンマークフェア限定のキャロットケーキが販売されていたので購入しました。
(カミラさんのキャロットケーキ)
「カミラさんのキャロットケーキ」です。
アンデルセン・デンマーク店でパティシェをされているカミラさん(※)が考案されたお菓子です。
※「デンマークフェア2024」のぼりに写っている人物
キャロットケーキにクリームチーズフィリングが盛られ、オレンジピールが飾られています。
ケーキ生地の中には、刻んだクルミが入っていました。
褐色に焼き上げられたケーキで、キャロット(人参)のほのかな甘みのほか、深みのあるコクも感じられました。
また、さわやかなシナモンの風味も楽しめました。
キャロットケーキは今まであまり食べたことがなかったのですが、今回いただいたことで、その美味しさ・魅力に目覚めました。
今年もアンデルセンの「デンマークフェア」でデンマーク料理を楽しむことが出来ました。
<関連サイト>
「広島アンデルセン」(広島市中区本通7-1)
<関連記事>
「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」にある「デンマーク料理」を御参照ください。
<参考文献>
「Denmark Fair 2024」アンデルセン広報誌
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デンマークというと海に突き出た平坦な半島で、農業も漁業も盛んなイメージがありますが、お料理を見ると確かに食材も豊かな様ですね(^.^)
やはりドイツ料理とスカンジナビアン料理の影響が強いのでしょうか?
ミートボールのリンゴンベリーソース添えが合い、塩味の効いた豚肉とリンゴンベリーソース添えが合わないというお話、日々研鑽を積んでいらっしゃるのだなあと、感服致しましたm(_ _)m
投稿: なーまん | 2024年7月 7日 (日) 16時04分
なーまん 様
なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、デンマークは高緯度の割に暖かく、農業、酪農、養豚、漁業が盛んな国なので、食材の宝庫ですね。
デンマーク料理が、ドイツ料理やスカンジナビアン料理との関連性が高いというお話、これまでのデンマーク料理の記事で触れたことがありますが、丁寧に読んでくださったのですね。
誠にありがとうございます<(_ _)>
ドイツとは豚肉・ソーセージ・ハム・ビールといった食文化と、スカンジナビア諸国とはスモーガスボード(バイキング料理)・スモーブロー(オープンサンドイッチ)・ニシンといった食文化と共通点があるようです。
ミートボール用のリンゴンベリーソースを、あえてフレスケスタイ(塩味の効いた豚肉)にかけてみるという実験は、ビュッフェ形式だからこそ可能なことでした。
感服どころか、軽蔑されても仕方ないのですが…(笑)、何事も実際にやってみないとわからないものですね。
合わないことを知った分だけ勉強になりました(^^ゞ
投稿: コウジ菌 | 2024年7月 7日 (日) 22時46分
どれもこれも美味しそうなお料理ですね。
さすがアンデルセンなだけあってパンがどれも美味しそうです。こういう食事パン、好きですよねえ。
キャロットケーキに開眼されましたか?!(笑)
オレンジピールがのっているのはデンマーク流なのか?
投稿: chibiaya | 2024年7月 7日 (日) 22時55分
chibiaya 様
chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、アンデルセンなのでパンに力を入れておられ、ご飯ものはチャーハンだけでした。
スメアブロ(オープンサンドイッチ)やクラブハウスサンドをおかずに、パンをいただきました(笑)
お酒が飲める方は、「パン飲み」も出来ますね。
キャロットケーキ、chibiayaさんがよく紹介されているので、いつかチャレンジしようと思っていたところ、デンマークフェアで提供されていたので、買って食べてみました。
確かに美味しいですね!おかげさまで開眼しました(笑)
デンマークでオレンジ(ピール)はあまり関係がなさそうで、カミラさんの創作でしょうね。
投稿: コウジ菌 | 2024年7月 8日 (月) 19時34分