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2024年7月14日 (日)

沖縄の食文化探訪4-城まんじゅう、くんじゃんナントゥ、いもぽき、ポーポー、こんぺん・くんぺん-

 今回は沖縄のお菓子を御紹介します。

城まんじゅう

 沖縄県うるま市の「うるマルシェ」には、沖縄のお菓子がたくさん販売されています。

(うるマルシェ)
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(うるま市の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)

 そのほとんどが地元のお菓子として販売されているのですが、県外客にとっては珍しいお菓子ばかりです。

(城まんじゅう(包装))
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 こちらは「城(ぐすく)まんじゅう」です。

 「北中城(きたなかぐすく)名物」と書かれています。

(北中城村の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)

 「城まんじゅう」(北中城村)で作られた饅頭で、1パック280円(税込)でした。

(城まんじゅう)
Photo_20240714094401

 小麦粉と山芋粉の生地で、緑色の生地には「アーサ」と呼ばれる海藻が練り込まれています。

 白い饅頭は「小豆まんじゅう」、緑色の饅頭は「アーサまんじゅう」と呼ばれています。

 饅頭の底には、「サンニン(月桃、げっとう)」の葉が敷かれています。

 生地の中には、小豆あん(粒あん)がぎっしり入っています。

 モチモチした生地で、さわやかで香ばしいサンニン(月桃)の香りに包まれた饅頭でした。

 ちなみに、今回の白と緑の組合せは「法事」用として、これに赤を加えた組合せは「お盆(旧盆)」や「シーミー(清明祭)」用として、セット販売もされています。


くんじゃんナントゥ

 「うるマルシェ」で「くんじゃんナントゥ」が販売されていました。

(くんじゃんナントゥ(包装))
Photo_20240714095001

 「ふじや食品」(国頭村(くにがみそん))の商品で、1つ280円(税込)でした。

(国頭村の位置図)
Photo_20240714102401
 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)


 「くんじゃん」は「国頭」、「ナントゥ」は餅菓子という意味です。

(くんじゃんナントゥ)
Photo_20240714095101

 黒糖の餅菓子で、側面に白ゴマがまぶされています。

 見た目や触感から、黒糖の「ういろう」をイメージしました。

 沖縄の「ナントゥ」には味噌が使われることが多いのですが、この「くんじゃんナントゥ」は、味噌ではなく生姜が使われています。

 いただくと、ナントゥも強い生姜の風味を感じました。

 生姜がたくさん入っているので、次第に体がポカポカ温まりました。

 黒糖と生姜の風味を効かせた(名古屋の)ういろうのようなお菓子です。


いもぽき

 「うるマルシェ」で「いもぽき」が販売されていました。

(いもぽき(包装))
Photo_20240714102402

 伊計島(いけいじま)産の甘藷「黄金芋(おうごんいも)」を使った芋菓子です。

(伊計島の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)

 「黄金茶屋」(うるま市)の商品で、1袋260円(税込)でした。

 包装に「焼き芋の皮までまるごとたっぷり入れた逸品をお楽しみください」とありました。

(いもぽき)
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 長さ約15cmのスティックが3本入っていました。
(1本は様子がわかるように、ぽきっと折っています)

 スティック状に加工された焼き芋クッキーです。

 焼き芋をそのままギュッと濃縮させて焼き固めたような、自然な甘味とほろ苦さを感じるクッキーでした。


ポーポー

 「うるマルシェ」で「ポーポー」が販売されていました。

(ポーポー)
Photo_20240714102801

 読谷村在住の方が作られたお菓子で、2本セットで270円(税込)でした。

 味噌や黒糖で味付けした生地をクレープ状に焼き、筒状にグルグル巻きにしたお菓子です。

 「ポーポー」という名称の由来は、中国の「包子(パオズ)」・「炮炮(ポーポー)」など諸説ありますが、中国から沖縄へ伝えられたお菓子のようです。

 沖縄では、旧暦の5月4日に「ユッカヌヒー(四日の日)」と呼ばれる海神様への祈願祭が行われ、子供のおやつとして「ポーポー」が食べられてきました。

 今回のポーポーは読谷村の「楚辺ポーポー」と呼ばれる黒糖入りのポーポーで、長さは約18cmでした。

(読谷村の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)

 ほのかに黒糖の甘さと風味を感じる、素朴なお菓子でした。

 「ポーポー」という名称は、その愛らしい響きが好まれてか、新潟県に沖縄の「ポーポー」そっくりの「ぽっぽ焼き」があったり、アケビに似た「ポーポー(ポポ)」と呼ばれる果物があったり、福島県いわき市に「ポーポー焼き」と呼ばれるサンマの「つくね・ハンバーグ」があったりと、全国各地で使われています。

 ちなみに、新潟県の「ぽっぽ焼き」の由来は、「焼き器の蒸気口に笛をつけポーポーと鳴る音で客寄せをしたことから」とか「蒸気が上がる様子が蒸気機関車(ポッポ)に似ていることから」など諸説あります。
 ※新潟県観光協会「にいがた観光ナビ」の記事による。

 また、福島県いわき市の「さんまポーポー焼き」の由来は、「漁師が船上で料理をする際、サンマの脂が炭火に落ちてポーポーと炎が出たから」とか、「アツアツをポーポーと息をしながら食べたから」だと伝えられています。


こんぺん

 「うるマルシェ」で「こんぺん」が販売されていました。

(こんぺん(包装))
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 包装に「煎り胡麻が香ばしい」、「ピーナツ餡こんぺん」、「琉球伝統菓子」と紹介されています。

 「佐久本もち店」(うるま市)の商品で、1個130円(税込)でした。

(こんぺん)
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 小麦粉・砂糖・油脂・卵・牛乳などの生地を焼き上げた、クッキーのようなお菓子です。

 中国から琉球(沖縄)へ伝わったお菓子で、「くんぺん(薫餅)」とも呼ばれています。

(こんぺん(中身))
Photo_20240714104201

 中には、煎り胡麻たっぷりのピーナツあんが入っていました。

 ねっとりとしたコク・風味のピーナツあんと香ばしい煎り胡麻を、サックリとした生地で包み込んだ焼菓子でした。


くんぺん

 「道の駅いとまん」や那覇空港の売店で「くんぺん」が販売されていました。

(道の駅いとまん「うまんちゅ市場」)
Photo_20240519140501

 先程御紹介した「こんぺん」と同じお菓子です。

(くんぺん(包装))
Photo_20240714104301

 包装に「沖縄・石垣島銘菓」と紹介されています。

(石垣島の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)

 「宮城菓子店」(石垣市)の商品です。

(くんぺん)
Photo_20240714105501

 小麦粉・砂糖・卵・オリーブオイル・黒糖・ハチミツなどの生地を焼き上げた、ソフトクッキーのようなお菓子です。

(くんぺん(中身))
Photo_20240714105701

 中には、ピーナツバター、さらに中心部には黒ゴマあんが入っていました。

 ピーナツバター、黒ゴマあん、いずれも濃厚でコクがありますが、それらをクッキー生地がうまく包み込んでいました。

 電子レンジやオーブントースターで温めると、ピーナツバターや黒ゴマあんが程よく溶けて風味が増し、より一層美味しくいただけます。

 私は職場仲間へ沖縄のお土産として配りましたが、好評でした。


<関連サイト>
 「うるマルシェ」(沖縄県うるま市字前原183-2)
 「地域に愛される沖縄銘菓・北中城自慢の名産品「城まんじゅう」」(北中城村観光情報サイト)
 「黄金茶屋」(沖縄県うるま市与那城照間1860-1)
 「ポッポ焼き」(にいがた観光ナビ・新潟県観光協会)
 「佐久本もち店」(沖縄県うるま市兼箇段1762−4)
 「宮城菓子店」(沖縄県石垣市石垣727-1)
 「道の駅いとまん」(沖縄県糸満市西崎町4-20-4)

<関連記事>
 「ポポ -なぜ「幻の果物」と呼ばれるのか-

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コメント

うるマルシェすっかり脳裏に焼き付きました^o^
耳タコでしょうが、その度に小田急沿線にコッソリ支店を出して欲しいと思います!
できれば鵠沼海岸辺りに(^.^)
まんじゅうも、かまぼこ同様地域差があって面白いですね^ ^
こちらでよもぎを練り込む様に、沖縄では海藻を練り込むのでしょうか?
ご存知の様に、ういろうは断絶した京都の外郎家の使用人達が広めたものですが、名古屋がすっかり「総本店」になりましたね(^^;;
沖縄の食材といえばピーナッツも欠かせませんね!
ジーマーミ豆腐は昔から好物です(^.^)v
小豆のあんこは粒とこし、どちらがお好きですか?

なーまん 様

なーまんさん、こんばんは。
早速コメントいただき、ありがとうございます。

「うるマルシェ」テーマ別に整理したら、頻繁に登場する結果となり、恐縮です。
小田急沿線、しかも鵠沼海岸辺りへの出店とは、また具体的ですね(笑)

小田原のかまぼこのお話、興味深く拝読しました。地域差は、その土地の特徴とも言えるでしょうね。

緑色の「アーサまんじゅう」は、おっしゃるとおり、アーサと呼ばれる海藻を生地に練り込んだまんじゅうです。
アーサは、恩納村の道の駅「おんなの駅」で乾燥アーサが「恩納村特産品」として売られていました。

ういろうのお話、小田原、名古屋、山口と思い浮かべた時、名古屋のういろうに近いかなと思って御紹介したのですが、小田原のういろうを忘れていたわけではありませんので、御容赦ください(笑)

ジーマーミ豆腐は、今回いただいてないのですが、ゴマ豆腐のようなコクがあって美味しそうですね。
くんぺん・こんぺんもそうですが、沖縄の食べ物にはピーナツも重要な食材なのですね。

小豆あんの粒とこし、どちらが好きか?
とても難問です。私が導き出した結論は、「お菓子によって異なる」というものです。
和菓子の練切、あんまん、まんじゅう、京菓子には「こし」ですし、和菓子の鹿の子やきんつば、ぜんざい、小倉トースト、名古屋めし、今川焼・たい焼きには「粒」と、適材適所があるように思います。
では意見が分かれる「あんパン」は?…私は「こし」なので、「こしあん派」かな(笑)

くんじゃんナントゥ、1回だけ食べたことがありますが、もちもちで美味しかった記憶があります。
黒糖の甘いお菓子だと思ったらショウガが効いていて驚いた記憶も。
そして同じく外郎みたいだなと思いました(笑)
沖縄のお菓子文化は独特で、外国みたいで楽しいですね。

chibiaya 様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

くんじゃんナントゥ、召し上がったことがあるんですね!
私も見た目から、黒糖味のういろうをイメージしていたのですが、黒糖以上に生姜がすごく効いていて驚きました。
これは、「生姜黒糖ういろう」ですね(笑)
ただ、山口のツルンとした外郎とは違いますよね。

今回は沖縄のお菓子文化をまとめて御紹介しましたが、沖縄のお菓子は中国からもたらされたお菓子が多いことや、レモンケーキ・城まんじゅう・ポーポー・タームパイ・ムーチー・くんぺん(こんぺん)など、年中行事のお供え物にするお菓子も多いことを学びました。

お菓子によってその名前が楽しい響きにも感じられて、
それがまた魅力的。でも、そのものをしらずに名前だけ聞かされたら、
くんぺん?ポーポー?…正解がぱっと出てきません、
食べ物っぽくもあり動物か植物のようにも思えたり。
沖縄をその土地のお菓子で南北縦断プラス島も渡った感じですね、
読みながら旅行気分に得した気分。。。

サウスジャンプ 様

サウスさん、おはようございます。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

沖縄で様々なお菓子や総菜を買いましたが、その謎めいた・楽しい響きのネーミングに魅せられて買ったものもたくさんあります(笑)
「ムーチー」は「餅」、「ターム」は「田芋」、「ジーマーミ」は「地豆(落花生)」、「クーブー」は「昆布」など、漢字を当てはめれば理解できるのですが、こうした予備知識なしに店頭で見かけると、「これなんだろう?」と、つい買ってしまうのです(笑)
謎めいたものに惹かれる・魅力を感じることってありますよね。

沖縄本島の、北は恩納村から南は糸満市までのエリアを訪問しましたが、沖縄県の広範囲なお菓子を買うことができ、お菓子を通じて沖縄の食文化を知ることができました。
サウスさんに旅行気分を味わっていただけたこと、とても嬉しいです!

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