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2024年8月

2024年8月25日 (日)

JR貨物食堂(JR貨物岡山機関区)で「ハチクマライス」を味わう

 岡山市北区にある「JR貨物岡山機関区」を訪問しました。

 この岡山機関区の構内に「JR貨物食堂」という職員食堂があります。

 今回は、この「JR貨物食堂」と「ハチクマライス」について御紹介したいと思います。


JR貨物岡山機関区とJR貨物食堂

 JR貨物岡山機関区周辺を歩いていると、JR貨物食堂の看板がありました。

(JR貨物 岡山機関区とJR貨物食堂の看板)
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 看板には「JR貨物食堂 一般の方もどうぞ」と書かれています。

 「JR貨物食堂」は、JR貨物職員以外の方でも気軽に利用することが出来ます。
 ※現在、平日のみの営業となっています。

(JR貨物食堂へ続く道)
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 看板の矢印が示す方向へ歩きました。

(JR貨物食堂(店舗裏))
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 途中、「JR貨物食堂」と書かれた赤い店舗テントが見えましたが、ここはどうやら店舗の裏側のようです。

 さらに歩くと、職員出入口に着きました。

(JR貨物 岡山機関区・職員出入口(手前))
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 食堂へは、この職員出入口から入るようです。

(JR貨物 岡山機関区・職員出入口)
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 職員出入口には、業務を終えたJR貨物職員向けに「お疲れ様でした」と書かれています。

 その一方で「関係者以外立入禁止」・「防犯カメラ作動中」という標識も…

 駐輪場には、乗務員が構内を移動するための自転車がずらりと駐輪されていました。

(JR貨物 岡山機関区とJR貨物食堂)
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 構内に入ると、JR貨物食堂の案内看板はパタッとなくなるのですが、自動販売機がまとまって設置されている建物が福利厚生棟で、ここに食堂も入っているだろうと、自動販売機へ向かって歩きました。


JR貨物食堂の様子

 予想どおり自動販売機近くにJR貨物食堂の玄関があったので、緊張と期待でドキドキしながら入店しました。

(JR貨物食堂)
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 平日・月曜日の朝9時に伺ったのですが、JR貨物職員の方が数名食事されていました。

 厨房でメニューを注文し、先に精算を済ませる方式です。

 メニュー札には、うどん・そば・カレーライス・焼き飯・カツ丼・天とじ丼などの定番メニューのほか、日替わりの朝定食や単品のおかずも用意されていました。

 お店の方からは「朝定食はいかがですか。今日のおかずは焼き鯖です」とすすめていただきましたが、私は最初に単品のおかずコーナーへ行き、目当ての料理がないか探しました。

 私が目玉をキョロキョロさせて探したのは「目玉焼き」です。

 なぜなら、鉄道関係の食堂で「ハチクマライス」を食べたかったからです。

 「ダメもと」、「なくて当たり前」と思いながらも探してみると…

 「あった!!」

 1皿だけ目玉焼きが用意されていました。

 実は、目玉焼きがなかったら、無理を承知でお店の方に目玉焼きを作っていただくようお願いしようかとまで考えていただけに、あって本当に嬉しかったです。

 朝定食はまたの機会に味わうこととし、目玉焼き(100円)、それに単品でライス(150円)と味噌汁(50円)を注文しました。

(ライス・味噌汁・目玉焼き)
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 目玉焼きには、千切りキャベツも添えられています。

 漬物はセルフサービスで、たくあんときゅうりの漬物を小皿に盛りました。

 スプーンにクルクルと紙ナプキンが巻かれていますが、こうしたところにお店の方のプライドを感じました。


ハチクマライス

 「ハチクマライス」は、ごはんに目玉焼きをのせた、鉄道乗務員向けの「まかない丼」です。

 かつて、長距離夜行列車(ブルートレインなど)の乗務員が、まかないの食事として、食堂車の営業時間(乗客の食事時間)を外した時間帯に、ハチクマライスが食べられたようです。

 ハチクマライスの由来は、古典落語(江戸落語)で常連の登場人物「八五郎(ハチゴロウ)」と「熊五郎(クマゴロウ)」の名前にあやかったものと言われています。

 粗忽な(ドジでおっちょこちょいな)の「ハチ」や、荒っぽい「クマ」でも簡単に美味しく作れるという意味を込めて命名されたのだとか。

 私はハチクマライスという料理があることを、広島の洋食レストラン「広亭タナカ」の先代シェフ・田中恒士さんから教わりました。
 (かつて、このお店でハチクマライス用の万能ソースが販売されていました。)

 鉄道ファン(鉄道マニア)、鉄道関係者、昔の洋食に詳しい人ぐらいしか知らないであろうハチクマライス。

 そのハチクマライスを、JR貨物食堂で作ってみました。

 ごはんに目玉焼きをのせ、テーブルに置かれていた調味料から「中濃ソース」を選んで、目玉焼きにかけました。

(ハチクマライス)
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 これです、これです、私がJR貨物食堂でやってみたかったことが実現出来ました。
 (JR貨物食堂の関係者様へお詫び申し上げます。)

 こちらの食堂は、ごはんの盛りがよく、なおかつ美味しいので、丼物にしても美味しくいただけました。

 鉄道職員さん達と同じ食堂でいただいたハチクマライスは格別で、思い出に残る朝食となりました。


まとめ

 ハチクマライスでお腹を満たした後、少しだけ岡山機関区を見学しました。

(JR貨物 岡山機関区)
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 岡山機関区の玄関には、蒸気機関車「C62-1」の車輪が展示されています。

 もしかすると、この蒸気機関車がけん引した「あさかぜ」・「さくら」などの寝台特急の食堂車で、本当にハチクマライスが食べられていたのかも知れません。

 続いて線路沿いを歩いてみました。

(EF210形電気機関車(桃太郎))
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 手前の車両は、西日本を中心に活躍するEF210形電気機関車で、「桃太郎」という愛称で呼ばれています。

 ちなみに、東日本では「金太郎」という愛称の赤い電気機関車(EH500形電気機関車)が活躍しています。

 「桃太郎」も「金太郎」も、力強く貨物を引っ張る、たくましさや頼もしさを感じます。


 今回御紹介したハチクマライスは、「鉄道博物館」(さいたま市大宮区)や「京都鉄道博物館」(京都市下京区)のレストランでも用意されているようです。

(鉄道博物館・京都鉄道博物館のハチクマライス)
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 (「鉄道博物館」・「京都鉄道博物館」のウェブサイトから一部引用・加工)

 自宅でも簡単に作れますので、御興味を持たれた方は御賞味ください。


<関連サイト>
 「JR貨物食堂」(岡山市北区西島田町2-1)
 「鉄道博物館」(さいたま市大宮区大成町三丁目47)
 「京都鉄道博物館」(京都市下京区観喜寺町)

<関連記事>
 「広島の洋食店「広亭タナカ」の魅力 -桃のコンポートと創作付合せ野菜-
 「新幹線車内で駅弁とレモンケーキを味わう -上越新幹線・JR貨物コンテナ弁当・湘南ハニーレモン・ホットサンドスペシャル-

2024年8月18日 (日)

広島のいなり寿司 -「尾道いなり」と「棒いなり」(ばあちゃんの駅弁・いなりとチキン)-

 今回は広島県内の「いなり寿司」を2種類、御紹介します。


尾道いなり

 広島県尾道市に「尾道いなり」と呼ばれるいなり寿司があります。

 この「尾道いなり」を、広島市西区のいなり寿司専門店「狐尾(きつねのお)」(「LECT(レクト)」1階)で購入しました。

(「狐尾」のいなり寿司(パック))
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 包装紙にキツネのロゴマークが描かれています。

(「狐尾」ロゴマーク)
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 このキツネ、よく見ると玉に片足を乗せています。

 これは、尾道の石工職人が作った「玉乗り狛犬(たまのりこまいぬ)」がモチーフにされているからです。

 狛犬は神社などに左右一対で設置されている像で、様々なタイプがありますが、「玉乗り狛犬」は「尾道型」とも呼ばれ、石工で栄えた尾道を象徴する石造物なのです。

 つまり、玉乗りのキツネには、「尾道のキツネ(狐)」という意味があるのです。

 店名の「狐尾」もこの意味から名付けられたのではないかと思います。

(尾道いなり)
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 こちらが「尾道いなり」です。

 いなり寿司の上下をひっくり返し、すし飯の上に薄桃色の「えびのおぼろ(えび粉)」がたっぷりまぶされているのが特徴です。

 「えびのおぼろ(えび粉)」は茹でた海老の身を包丁で叩いて細かくし、砂糖・みりん・酒などで甘く炒りつけたもので、巻き寿司やちらし寿司などに用いられます。

(尾道いなり(中身))
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 すし飯には人参・ごぼう・椎茸が入っており、そのすし飯が甘めに炊かれた「いなりあげ」で包まれています。

 この「いなりあげ」ですが、三角形に(いなりあげの角が中心に立つように)握られるのは、キツネの耳の形に似ているからなのだそうです。

 旨味が凝縮したほんのり甘い「えびのおぼろ」が、甘めのいなり寿司とよく合いました。

(狐尾いなり)
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 こちらは「狐尾いなり」です。

 「尾道いなり」とは「えびのおぼろ(えび粉)」がまぶされているかどうかの違いだけで、すし飯の具は一緒です。

 「えびのおぼろ(えび粉)」は尾道の郷土料理であり、これを用いたいなり寿司が「尾道いなり」と呼ばれているのです。

 さらに私には、いなり寿司をひっくり返した姿が港町・尾道に関わりの深い「船」の形にも見えるのですが、いかがでしょうか。


元祖名物おばあちゃんの棒いなり

 広島駅の「ekie(エキエ)」2階にある「安芸太田町みんなの店」では、「棒いなり」や「ばあちゃんの駅弁」、安芸太田町のお土産・特産品などが販売されています。

 お店の前を歩いていて、ふと「ばあちゃんの駅弁」に目が留まりました。

(「ばあちゃんの駅弁」販売の様子)
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 手書きの商品POPで「ばあちゃんの駅弁」が面白く説明されています。

 例えば…
 「子供や孫に食べさせちゃいものを はなえてみたけぇねぇ(作ってみましたの意味)」
 「今日は暑くなるみたいなけぇ、塩は少し多めかなぁ」
 「さぁ~今日も笑顔で楽しんでこうねぇ みんないつもありがとう」
 「ばあさんより」

 ごはんもおかずもぎっしりと詰められた愛情たっぷりの「ばあちゃんの駅弁」です。

 お弁当のごはん(広島菜にぎりめし・炊き込みご飯・棒いなり)もおかずも、様々な種類・組合せがあり、お好みのものを選ぶことが出来ます。

 私は、このお店の名物「棒いなり」が入った「ばあちゃんの駅弁」を手に取り、レジへ向かいました。

 レジ前では単品の「棒いなり」が販売されていました。

(「棒いなり」販売の様子)
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 「棒いなりは しいたけ・人参・かんぴょう・ごま・油あげ・山くらげ・竹の子が入ってますよぉ~♪」

 外国人観光客向けに、英語でいなり寿司を説明したPOPもありました。
 「Inari sushi is sushi made by stuffing vinegared rice in fried tofu」
 (いなり寿司は、油揚げにすし飯を詰めた寿司です)

 本当にばあさんが書いているのか?(笑)

 レジで私より先に並ばれた外国人観光客の方がお弁当を購入されるのを待っていると、年配の女性店員さんがその外国人観光客と英語で流暢に会話されていたので驚きました。

 私の順番となったので、私はその女性店員さんに「棒いなり」についてお話を伺いました。

私:「この棒いなりは大きいですね。通常のいなり寿司の2倍くらいありそうですね」
店員さん:
 「(手で棒いなりの長さを測りながら)うーん、どうなんでしょう」
 「名古屋からいらっしゃるお客さんの話では、名古屋のいなり寿司の3倍くらいあるそうです」
 「名古屋のいなり寿司は小ぶりで具がなく、うちのような具だくさんの田舎いなりは珍しいようです」
 「その名古屋のお客さんは広島に来られる度にうちの棒いなりを買ってくださいます」
私:「なるほど、ありがとうございます」

 精算の際、その店員さんから「650万円です」と言われ、ついさっきまで外国人に英語で値段を伝えておられたのに…とクスっと笑ってしまいました。

 県外にもファンがいる理由は、商品の魅力だけでなく、店員さんのお人柄の良さにもあるようです。

 それでは私が購入した「ばあちゃんの駅弁」を御紹介します。

(ばあちゃんの駅弁)
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 棒いなり1本に、様々なおかずがセットになった弁当です。

 なぜ私がこの弁当を選んだのか、その理由は、いなり寿司と鶏の唐揚げがセットになっていたからです。

(いなりとチキン)
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 このお弁当を見つけた瞬間、「こっ、これは沖縄で人気の『いなりとチキン』の組合せじゃないか!」と嬉しくなりました。

 ちなみに鶏の唐揚げは「ひとくち山賊からあげ」と呼ばれるにんにく醤油味の唐揚げで、こちらもお店の看板商品です。

 棒いなりをもう少し詳しく見てみましょう。

(棒いなり)
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 棒のように長く、ずっしりと重いいなり寿司です。

 測ってみると、長さ約13cm、幅約4cm、高さ約3.5cmありました。

 底がどうなっているか、ひっくり返してみましょう。

(棒いなり(底))
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 大きな「いなりあげ」で全体がきっちりと包まれており、すし飯が見えません。

 この「いなりあげ」を広げてみました。

(棒いなり(いなりあげを広げた様子))
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 具だくさんのすし飯が入っていました。

 「いなりあげ」も「すし飯」も、甘くべったりした感じに仕上げられています。

(棒いなり(中身))
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 しいたけ・人参・かんぴょう・ごま・油あげ・山くらげ・竹の子・ゴマと、山の幸たっぷりのいなり寿司です。

 しっかりとした甘辛さを感じる「田舎いなり」ならではの味付けとなっています。

 1本で十分な食べ応えがありました。

 おかずも、大きな鶏の唐揚げ(ひとくち山賊からあげ)2個をはじめ、海老天ぷら、カマボコ(花と三色団子)、インゲンのゴマ和え、紅白なます、煮しめ(しいたけ・コンニャク・がんもどき)、もち(メロン風味・カスタードあん)と、たくさん詰められており、それぞれ美味しくいただきました。

 こちらのお店では、「棒いなり」と「山賊焼き(鶏肉の串焼き)」をお得なセット価格で販売されています。

 これも「チキンといなり」のセットとなっており、「チキンといなり」の人気が沖縄だけではないことがわかりました。

 このほか、広島菜、祇園坊(柿)のお菓子、絶大な人気を誇る「鯛焼屋よしお」の鯛焼き(冷凍)など、地元ならではの食品・お宝級の食品も販売されています。


 広島県内のいなり寿司だけでもバラエティーに富んでいるだけに、全国には様々ないなり寿司があることでしょう。

 いなり寿司から地域の食文化を分析してみるのも面白そうです。


<関連サイト>
 「いなり寿司 狐尾(キツネノオ)、尾道生まれの専門店が広島市に初出店」(広島ニュース 食べタインジャー)
 「えび粉/巻き寿司 広島県」(「うちの郷土料理」農林水産省)
 「安芸太田町みんなのお店」(広島駅「ekie(エキエ)」2階(インスタグラム))
 「鯛焼屋よしお」(広島県山県郡安芸太田町加計3494-9)

<関連記事>
 「沖縄の食文化探訪6 -沖縄のいなり寿司の特徴・なぜ沖縄で「いなりとチキン」が人気なのか-
 「尾道の夏のお菓子「ふなやき」 -「ふなやき」の由来と「麩の焼き」について-

<参考文献>
 「LECTR(レクター)vol.22」(2023年10月)

2024年8月16日 (金)

菓子パン「アベック」の謎に迫る2 -ニシカワ食品「アベックレモン」-

ニシカワパン「アベックレモン」

 兵庫県加古川市の「ニシカワ食品」から、期間限定で「アベックレモン」という菓子パンが販売されています。

 広島市中区の「パントリー そごう広島店」で購入しました。

(アベックレモン(包装))
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 「たっぷりのミルクホイップを瀬戸内産レモン使用の爽やかなレモンコーティングで仕上げた 夏限定のアベック」と説明書きがあります。

 袋を開けてみましょう。

(アベックレモン)
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 パンの間にホイップクリームが詰められ、その上にレモンチョコレートがコーティングされています。

(アベックレモン(真上))
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 真上から眺めると、オリジナル商品「アベック」と同様に、キスを求める唇のようにも見えます。

(アベックレモン(断面))
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 断面を見ると、パンがハート形に見えます。

 そのパンの谷間には、ホイップクリームがぎっしり詰められていることがわかります。

 パンを裏返してみました。

(アベックレモン(底面))
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 チョコレートの「アベック」と同様に、平たい円形のパンに切れ目を入れ、その切れ目で半分に折り返してボリューム感のある立体型に仕上げられています。

 いただいてみると…レモンケーキに使われるレモンチョコレートがたっぷりとコーティングされており、ホイップクリームをサンドした巨大なレモンケーキだと思いました。

 パンがフワフワでとても軽いので、意外とすんなりいただけました。

 レモンチョコレートとホイップクリームがアベック(ペア)になった、レモンケーキのような菓子パンです。


<関連サイト>
 「ニシカワ食品」(兵庫県加古川市野口町長砂799番地)

<関連記事>
 「菓子パン「アベック」の謎に迫る1 -ニシカワ食品「アベック」・岡野製パン所「アベックパン」-

2024年8月11日 (日)

沖縄の食文化探訪6 -沖縄のいなり寿司の特徴・なぜ沖縄で「いなりとチキン」が人気なのか-

沖縄のいなり寿司・「いなりとチキン」

 午前中に那覇空港に着き、レンタカーを借りて、すぐさま向かったのが、有名な観光地や絶景スポット…ではなく、いなり寿司のお店です。

 沖縄はいなり寿司が人気で、食事やおやつとして、よく食べられています。

 「いなりとチキン」(いなり寿司とチキンの揚げ物)の組合せも人気で、セットで販売されているお店も多く見かけます。

 いなり寿司やチキンが売り切れ次第閉店というお店も多く、こうしたお店では早めに購入する必要があります。

 沖縄のいなり寿司にはどんな特徴があるのか、「いなりとチキン」はどんな食べ物なのか、そしてなぜ沖縄で人気があるのか、真相を解明すべく、車で沖縄県内のお店を巡ってみました。


「いなり寿し家」の「いなり寿し」

 那覇市から車で沖縄市へ向かいました。

 レンタカーのお店で「沖縄の道路のアスファルトには、サンゴ礁(琉球石灰岩)が使われているので、雨の時はスリップに注意してください」と伺ったので、「サンゴ礁が埋まっているのかな」と、道路の舗装を眺めながら走行しました。

 あと、道路沿いに「軍用地売買」の不動産広告が点在していることにも興味を持ちました。

 前回、友人の結婚式で沖縄を訪問した際の移動手段は借上げバスやタクシーだったので、今回は「ごっぱち(国道58号)」を中心とした沖縄のドライブも楽しみました。

 そのうち、車は沖縄市内に入りました。

 最初に目指したお店「いなり寿し家」は、沖縄市の「沖縄こどもの国」近く、沖縄郵便局通り沿いにありました。

(「いなり寿し家」郵便局通り店)
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 売り切れ次第終了のお店です。

 お店ではお客さんの列が途絶えることがなく、沖縄のいなり寿司人気は本物だと実感しました。

 店頭に「法事用いなり寿し」の案内がありました。

(法事用いなり寿しの案内)
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 沖縄では、お供え物としても「いなり寿司」や「レモンケーキ」が用いられることを知りました。

 確かにどちらも色・形・大きさがそっくりで、大勢の人におすそ分けすることも出来ます。

 やがて私が注文する番となり、私はチキンを重さ(グラム)で注文するのか個数で注文するのかよくわからないまま、「いなり寿し2個とチキン2本ください」と注文しました。

 チキンは本数で注文し、お店の方がその重さを量って値段が決まる仕組みでした。

 いなり寿し2個とチキン2本が包装され、無事購入出来ました。

 いなり寿しもチキンも、お好みの数量で注文できるところがいいですね。

 これなら、食事としてしっかり食べたい時、おやつとして軽く食べたい時など、その時の状況に合わせて必要な分だけ気軽に購入することが出来ます。

(いなり寿しとチキン(包装))
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 スーパーマーケットなどで見かける普通のポリ袋に、いなり寿司とチキンが詰められています。

 地元の人が食事・軽食用として購入されることを想定した簡易包装となっています。

(いなり寿しとチキン)
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 いなり寿しもチキンも結構大きめのサイズです。

 いなりあげ(油揚げ)は、薄くて白っぽく、味も薄味に仕上げられていました。

 すし飯も甘さ控えめの、あっさりとした味付けでした。

 いなりあげとすし飯は三角形に握られ、すし飯に白ゴマがトッピングされていました。

 チキンは、鶏肉にパン粉をまぶして揚げた、いわゆる「チキンカツ」でした。

 ガーリック(にんにく)が効いていて、食欲が増しました。

 このチキンに、あっさりとした味付けのいなり寿しが実によく合いました。

 揚げ物のチキンを食べた後でいなり寿しを食べると、適度な酸味と甘味で口の中がさっぱりとし、またチキンが食べたくなる…という無限ループにはまってしまいます。

 揚げ物と沖縄のいなり寿司は最強のコンビであることが理解出来ました。


「丸一食品」塩屋店

 続いて、車でうるま市へ向かいました。

 次に目指すお店は「丸一食品」です。

 いなり寿司とチキンを中心に販売されているお店で、売り切れ次第終了の人気店です。

 11時頃、那覇市内からお店へ電話して在庫を確認したところ、「まだ若干ございますが、早めにお越しいただいた方が良いと思います」とのお話だったので、急いでお店へ向かいました。

 お店には13時30分頃到着しました。

(「丸一食品」塩屋店)
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 すると、お店に併設した広い駐車場のゲートが半分閉められ、駐車場内には車が1台のみという状態でした。

 ただならぬ気配を感じ、駐車場におられたお店の方に尋ねてみると、「売り切れで営業を終了しました」と申し訳なさそうにお答えいただきました。

 とても残念でしたが、諦めるほかありませんでした。

 いなり寿司とチキンは、地元の人々に絶大な人気がある食べ物なのだと改めて認識しました。


「城まんじゅう」の「アーサいなり」

 続いて、「丸一食品」塩屋店からほど近い、うるま市の「うるマルシェ」を訪問しました。

(うるマルシェ)
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 こちらの産直コーナーで珍しいいなり寿司が販売されていました。

 「城(ぐすく)まんじゅう」から販売されている「アーサいなり」です。

(アーサいなり(包装))
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 アーサ(朝)でなく、昼過ぎでもいなり寿司が1パックだけありました。

 すし飯に北中城(きたなかぐすく)特産のアーサ(海藻)が混ぜられているいなり寿司です。

(アーサいなり)
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 三角形のいなり寿司が5個入っていました。

 すし飯といなりあげを分けてみました。

(アーサいなり(すし飯といなりあげ))
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 すし飯には、緑色の海藻「アーサ」が混ぜられ、隠し味としてマヨネーズも加えられていました。

 一方、いなりあげは、「いなり寿し家」と同様に、薄くて白っぽく、味も薄味に仕上げられていました。

 爽やかなアーサの風味や、ほのかに感じるマヨネーズのコクと旨味が、いなり寿司をより一層美味しくさせていました。

 このお店でも、法事や香典返し用のいなり寿司セット(折詰・重箱)が用意されています。

(城まんじゅうチラシ(法事・香典返し用))
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 (食べログ・城まんじゅう公式ページより一部引用・価格は2024年8月11日現在)

 生地にアーサが練り込まれた「城まんじゅう」が法事の際にも使われることについては、当ブログでも御紹介しました(「関連記事」参照)が、これにいなり寿司を加えたセットを「法事・香典返し用」として販売されているのです。

 さらに、ここでもチキンが登場し、「いなりとチキン」のセットにもなっているところが興味深いです。

 沖縄県ならではの法事用折詰・香典返しです。


まとめ

 沖縄のいなり寿司には、いくつか特徴が見い出せます。

・三角形が中心で、比較的大きい
・いなりあげは白っぽくて厚みがなく、薄味(甘さ控えめ)に仕上げられている
・すし飯はあっさりしており、具はほとんど入っていない
・チキン(揚げ物)との相性が抜群に良い

 沖縄では揚げ物やファストフードが好まれる傾向にありますが、そのニーズにぴったり合う食事・軽食の1つが「いなりとチキン」なのです。


<関連サイト>
 「いなり寿し家」(沖縄県沖縄市園田2-13-6)
 「丸一食品」(「塩屋店」沖縄県うるま市塩屋494-6(インスタグラム))
 「うるマルシェ」(沖縄県うるま市字前原183-2)
 「城まんじゅう」(沖縄県中頭郡北中城村仲順230)

<関連記事>
 「沖縄の食文化探訪4-城まんじゅう、くんじゃんナントゥ、いもぽき、ポーポー、こんぺん・くんぺん-

2024年8月 6日 (火)

2024年8月6日を迎えて -広島市平和祈念公園レストハウス「ピアノカフェ」の広島はっさくスカッシュ-

 8月6日は、広島に原爆が投下された日です。

 今日で被爆から79年が経ちました。

(原爆ドームと元安川)
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 私は8月4日の午後、平和記念公園を訪問しました。

 元安川(もとやすがわ)にかかる元安橋を渡ったところに、広島市平和記念公園レストハウスがあります。

(広島市平和記念公園レストハウス)
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 このレストハウスに寄りました。

 建物の3階に爆心地近くの模型が展示されていました。

(爆心地近くの模型)
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 建物の3階に爆心地近くの模型が展示されていました。

 写真中央上側に産業奨励館(現在の原爆ドーム)とレストハウスがあります。

 次に建物の2階へ行くと、喫茶ホール「ピアノカフェ」があり、被爆ピアノが展示されていました。

(明子さんの被爆ピアノ)
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 こちらのお店でカフェタイムとしました。

 私は「広島はっさくスカッシュ」を選び、トッピングでアイスクリームを浮かべていただきました。

(広島はっさくスカッシュとフロートアイス)
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 柑橘の「はっさく(八朔)」は、広島県尾道市因島が発祥の地とされています。

 甘味の中にはっさく特有の「ほろ苦さ」も感じる、爽やかな柑橘ドリンクでした。

 カフェの窓から、原爆ドームや元安川を眺めることができました。

(レストハウスから眺めた原爆ドームと元安川)
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 世界各国・日本各地から大勢の人が広島に来られていました。

 カフェでしばらく休憩した後、平和記念公園内を散策しました。

(広島平和記念資料館と「嵐の中の母子像」)
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 こちらは広島平和記念資料館と「嵐の中の母子像」(写真左手前)です。

(平和記念公園緑地のマハトマ・ガンジー像)
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 こちらは「非暴力・不服従」で有名な「マハトマ・ガンジー」の像です。

 G7広島サミット招待国のインドから2023年5月20日に寄贈されたものです。


 ここ最近、広島平和記念公園へ行く機会がなかったのですが、平和記念式典を前に、ちょっとだけ意識して足を運んだことで、平和について考える機会が得られたような気がします。

 ちょっとだけ意識を持つこと、ちょっとだけ行動する勇気を持つことは、案外大切なことなのかも知れませんね。


<関連サイト>
 「広島市平和記念公園レストハウス」(広島市中区中島町1-1)

2024年8月 4日 (日)

「ガトーキングダム せとうち」のレモン菓子・レモンケーキ -せとれもん・マドレーヌ・ブッセ・瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ-

シャトレーゼ ガトーキングダム せとうち

 広島県呉市安浦町は、野呂山を有し、瀬戸内海が広がる風光明媚な地域です。

 2024年9月、この町に「シャトレーゼ ガトーキングダム せとうち」が開業します。

 その開業に先行して、2024年4月29日にシャトレーゼの売店がオープンしました。

 そこで私は、この先行オープンしたシャトレーゼの売店を訪問しました。

 「シャトレーゼ ガトーキングダム せとうち」の駐車場に車を止め、周囲を見渡すと、美しい瀬戸内海と島の光景が目に映りました。

(瀬戸内海と横島)
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 しばらく瀬戸内の光景を楽しんだ後、シャトレーゼの売店へ向かいました。

(ガトーキングダムせとうち・正面玄関)
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 「シャトレーゼ ガトーキングダム せとうち」は、シャトレーゼホールディングスが2023年に呉市から購入した「グリーンピアせとうち」(リゾート・宿泊施設)を活用した、新たなリゾートホテル・レジャー施設です。

 私も研修でこの施設(旧グリーンピア)に宿泊したことがあるので、懐かしさと新鮮さを感じながら入館しました。

(ガトーキングダムせとうち・看板)
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 「シャトレーゼ」という名前はフランス語っぽい響きだなと思い、シャトレーゼのウェブサイトで調べてみると、フランス語の「シャトー(城)」と「レザン(ぶどう)」を合わせた「ぶどうの城」という意味なのだそうです。

 それなら、この施設の愛称は、瀬戸内のレモン(フランス語でシトロン)を売りにした「シャトロン」(レモンの城)でいかがでしょう(笑)

 ロビーのすぐ近くに、シャトレーゼの売店がありました。

(ガトーキングダムせとうち・シャトレーゼ売店)
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 地元の瀬戸内レモンを使ったお菓子をいくつか購入しました。


せとれもん

 この店舗では、地元の瀬戸内レモンを使ったレモンケーキが販売されています。

 菓匠・徳増俊則さん監修が監修された、全国で唯一、この店舗だけで販売されているレモンケーキです。

(せとれもん(包装))
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 正式名称は「瀬戸内レモンマドレーヌ せとれもん」と言います。

 「せとうち れもん」を意識した(略した)ネーミングなのでしょう。

 個人的には「ドラえもん」を意識してしまいますが…(笑)

 マドレーヌタイプのレモンケーキです。

(せとれもん)
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 ケーキ生地からボコッと丸い頭が飛び出し、船のような形をしています。

 横約7.5cm、幅約5cm、高さ約3cmのレモンケーキです。

 通常はレモンケーキを横にカットするのですが、今回は形が珍しいので縦にカットしてみました。

(せとれもん(中身))
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 見てください、船の形ですよね(笑)

 ではなぜ「マドレーヌ」という名称なのか。その答えは、この船をひっくり返すとわかります。

(せとれもん(マドレーヌ))
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 底から眺めると確かにマドレーヌの形をしています。

 しっとりして、みっしり詰まったケーキ生地で、表面にはレモン果汁たっぷりの砂糖がコーティングされています。

 豪快にガブリといただくと、レモンを丸ごとかじったかのような、爽やかなレモンの風味と酸味を感じました。

 現在はこの「ガトーキングダムせとうち」1店舗のみの販売ですが、今後全国展開される可能性もあるようです。


瀬戸内レモンのマドレーヌ

 瀬戸内レモンのお菓子として、「瀬戸内レモンのマドレーヌ」を購入しました。

(瀬戸内レモンのマドレーヌ(包装))
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 先程御紹介した「瀬戸内レモンマドレーヌ せとれもん」とよく似た名称なので、マドわさレーヌよう注意が必要です(笑)

 こちらはシェル型ではなく菊型(丸型)のマドレーヌです。

(瀬戸内レモンのマドレーヌ(中身))
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 袋を開けた瞬間、バターの良い香りを感じました。

 ケーキ生地の中には、比較的大きめにカットされたレモンピールが混ぜ込まれており、バターだけでなくレモンの風味も楽しめました。


瀬戸内レモンブッセ

 同じ瀬戸内レモンのお菓子として、「瀬戸内レモンブッセ」を購入しました。

(瀬戸内レモンブッセ(包装))
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 瀬戸内レモンを96%使用されたブッセです。

 「保管は25℃以下で」と記載されているのですが、真夏の昼間に持って帰っているうちに高温になったようで、ブッセ表面の皮が包装袋にくっついてしまいました。

(瀬戸内レモンブッセ(中身))
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 フワフワなケーキ生地に、レモンクリームがたっぷりと挟まれています。

 レモン風味・酸味を効かせたレモンクリームが嬉しいブッセです。


瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ

 「ガトーキングダムせとうち」の売店では、購入したお菓子やドリンクをその場でいただく(イートインする)ことが出来ます。

 しかも、お菓子と一緒なら、ドリンクがセット価格でお得にいただけます。

 ケーキのコーナーに、瀬戸内レモンを使ったケーキがあったので、このケーキとホットコーヒーをいただきました。

(瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ(ドリンクセット))

 「瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ」とホットコーヒーのセットです。
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 「ガトーキングダムせとうち」のロビーやテラスでいただくことが出来ます。

(瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ)
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 こちらが「瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ」です。

 このケーキは、アールグレイ茶葉入りのスポンジケーキの上に、クレープと紅茶クリーム(ダージリン)をミルクレープのように交互に何層も重ね、その中にレモンピール入りのレモンカード(レモンのスプレッド)を入れて仕上げられたものです。

(瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ(構造図))
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 (シャトレーゼのウェブサイトから引用)

 スポンジケーキとミルクレープの組合せを3枚重ね合わせた三層構造となっています。

 2種類の紅茶(ダージリン・アールグレイ)のフレーバーと、瀬戸内レモンの爽やかな酸味・フレーバーを一度に楽しむことが出来ます。

 もっちりしたクレープとフワフワのスポンジケーキ、食感の異なる2種類の生地が紅茶クリームでうまくまとめられており、ボリュームがあるのにいくらでも食べられる美味しさでした。


 2024年9月に本格開業される「シャトレーゼ・ガトーキングダムせとうち」

 瀬戸内地域での展開に期待しています。


<関連サイト>
 「シャトレーゼ・ガトーキングダムせとうち」(広島県呉市安浦町三津口326-48)
 「シャトレーゼ」(山梨県甲府市下曽根町3440-1)
 「菓匠徳増」(横浜市港南区丸山台3-30-4)

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