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2024年8月25日 (日)

JR貨物食堂(JR貨物岡山機関区)で「ハチクマライス」を味わう

 岡山市北区にある「JR貨物岡山機関区」を訪問しました。

 この岡山機関区の構内に「JR貨物食堂」という職員食堂があります。

 今回は、この「JR貨物食堂」と「ハチクマライス」について御紹介したいと思います。


JR貨物岡山機関区とJR貨物食堂

 JR貨物岡山機関区周辺を歩いていると、JR貨物食堂の看板がありました。

(JR貨物 岡山機関区とJR貨物食堂の看板)
Photo_20240825115101

 看板には「JR貨物食堂 一般の方もどうぞ」と書かれています。

 「JR貨物食堂」は、JR貨物職員以外の方でも気軽に利用することが出来ます。
 ※現在、平日のみの営業となっています。

(JR貨物食堂へ続く道)
Photo_20240825115501

 看板の矢印が示す方向へ歩きました。

(JR貨物食堂(店舗裏))
Photo_20240825115701

 途中、「JR貨物食堂」と書かれた赤い店舗テントが見えましたが、ここはどうやら店舗の裏側のようです。

 さらに歩くと、職員出入口に着きました。

(JR貨物 岡山機関区・職員出入口(手前))
Photo_20240825115702

 食堂へは、この職員出入口から入るようです。

(JR貨物 岡山機関区・職員出入口)
Photo_20240825115801

 職員出入口には、業務を終えたJR貨物職員向けに「お疲れ様でした」と書かれています。

 その一方で「関係者以外立入禁止」・「防犯カメラ作動中」という標識も…

 駐輪場には、乗務員が構内を移動するための自転車がずらりと駐輪されていました。

(JR貨物 岡山機関区とJR貨物食堂)
Photo_20240825115901

 構内に入ると、JR貨物食堂の案内看板はパタッとなくなるのですが、自動販売機がまとまって設置されている建物が福利厚生棟で、ここに食堂も入っているだろうと、自動販売機へ向かって歩きました。


JR貨物食堂の様子

 予想どおり自動販売機近くにJR貨物食堂の玄関があったので、緊張と期待でドキドキしながら入店しました。

(JR貨物食堂)
Photo_20240825132001

 平日・月曜日の朝9時に伺ったのですが、JR貨物職員の方が数名食事されていました。

 厨房でメニューを注文し、先に精算を済ませる方式です。

 メニュー札には、うどん・そば・カレーライス・焼き飯・カツ丼・天とじ丼などの定番メニューのほか、日替わりの朝定食や単品のおかずも用意されていました。

 お店の方からは「朝定食はいかがですか。今日のおかずは焼き鯖です」とすすめていただきましたが、私は最初に単品のおかずコーナーへ行き、目当ての料理がないか探しました。

 私が目玉をキョロキョロさせて探したのは「目玉焼き」です。

 なぜなら、鉄道関係の食堂で「ハチクマライス」を食べたかったからです。

 「ダメもと」、「なくて当たり前」と思いながらも探してみると…

 「あった!!」

 1皿だけ目玉焼きが用意されていました。

 実は、目玉焼きがなかったら、無理を承知でお店の方に目玉焼きを作っていただくようお願いしようかとまで考えていただけに、あって本当に嬉しかったです。

 朝定食はまたの機会に味わうこととし、目玉焼き(100円)、それに単品でライス(150円)と味噌汁(50円)を注文しました。

(ライス・味噌汁・目玉焼き)
Photo_20240825133601

 目玉焼きには、千切りキャベツも添えられています。

 漬物はセルフサービスで、たくあんときゅうりの漬物を小皿に盛りました。

 スプーンにクルクルと紙ナプキンが巻かれていますが、こうしたところにお店の方のプライドを感じました。


ハチクマライス

 「ハチクマライス」は、ごはんに目玉焼きをのせた、鉄道乗務員向けの「まかない丼」です。

 かつて、長距離夜行列車(ブルートレインなど)の乗務員が、まかないの食事として、食堂車の営業時間(乗客の食事時間)を外した時間帯に、ハチクマライスが食べられたようです。

 ハチクマライスの由来は、古典落語(江戸落語)で常連の登場人物「八五郎(ハチゴロウ)」と「熊五郎(クマゴロウ)」の名前にあやかったものと言われています。

 粗忽な(ドジでおっちょこちょいな)の「ハチ」や、荒っぽい「クマ」でも簡単に美味しく作れるという意味を込めて命名されたのだとか。

 私はハチクマライスという料理があることを、広島の洋食レストラン「広亭タナカ」の先代シェフ・田中恒士さんから教わりました。
 (かつて、このお店でハチクマライス用の万能ソースが販売されていました。)

 鉄道ファン(鉄道マニア)、鉄道関係者、昔の洋食に詳しい人ぐらいしか知らないであろうハチクマライス。

 そのハチクマライスを、JR貨物食堂で作ってみました。

 ごはんに目玉焼きをのせ、テーブルに置かれていた調味料から「中濃ソース」を選んで、目玉焼きにかけました。

(ハチクマライス)
Photo_20240825141701

 これです、これです、私がJR貨物食堂でやってみたかったことが実現出来ました。
 (JR貨物食堂の関係者様へお詫び申し上げます。)

 こちらの食堂は、ごはんの盛りがよく、なおかつ美味しいので、丼物にしても美味しくいただけました。

 鉄道職員さん達と同じ食堂でいただいたハチクマライスは格別で、思い出に残る朝食となりました。


まとめ

 ハチクマライスでお腹を満たした後、少しだけ岡山機関区を見学しました。

(JR貨物 岡山機関区)
Photo_20240825142501

 岡山機関区の玄関には、蒸気機関車「C62-1」の車輪が展示されています。

 もしかすると、この蒸気機関車がけん引した「あさかぜ」・「さくら」などの寝台特急の食堂車で、本当にハチクマライスが食べられていたのかも知れません。

 続いて線路沿いを歩いてみました。

(EF210形電気機関車(桃太郎))
Photo_20240825142601

 手前の車両は、西日本を中心に活躍するEF210形電気機関車で、「桃太郎」という愛称で呼ばれています。

 ちなみに、東日本では「金太郎」という愛称の赤い電気機関車(EH500形電気機関車)が活躍しています。

 「桃太郎」も「金太郎」も、力強く貨物を引っ張る、たくましさや頼もしさを感じます。


 今回御紹介したハチクマライスは、「鉄道博物館」(さいたま市大宮区)や「京都鉄道博物館」(京都市下京区)のレストランでも用意されているようです。

(鉄道博物館・京都鉄道博物館のハチクマライス)
Photo_20240825150201
 (「鉄道博物館」・「京都鉄道博物館」のウェブサイトから一部引用・加工)

 自宅でも簡単に作れますので、御興味を持たれた方は御賞味ください。


<関連サイト>
 「JR貨物食堂」(岡山市北区西島田町2-1)
 「鉄道博物館」(さいたま市大宮区大成町三丁目47)
 「京都鉄道博物館」(京都市下京区観喜寺町)

<関連記事>
 「広島の洋食店「広亭タナカ」の魅力 -桃のコンポートと創作付合せ野菜-
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コメント

学生時代に晴海の集中郵便局でバイトした事がありますが、職員食堂には一般的な大衆食堂とは一味違う雰囲気や味わいがある様な気がします^ ^
なーまんの目玉焼きの好みは、白味のふちカリカリ黄味半生、ソースでなく醤油ですm(_ _)m
千切りキャベツはソースですけど(^.^)
「桃太郎」と「金太郎」のお話は以前伺った記憶がありますが、JR東日本がハチクマライスなら、西日本は上方落語に因んだ名前にしてほしいですね(^_−☆

なーまん 様

なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

私も学生時代、郵便局でバイトしたことがあります(笑)
食堂で郵便局職員の方々とお話ができ、色々と勉強になりました。
職員食堂は、どこか職場の延長のようなところもありますが、今回のJR貨物食堂は、それも魅力の1つです。

なーまんさんと一緒で、私も黄身は半熟が好みですが、今回の目玉焼きは固焼きでした。
しかも醤油派なのですが、ハチクマライス(洋食)のイメージから、ソースをかけてみました。
なーまんさんが、千切りキャベツが添えられた目玉焼きをどう調味されるのか、見てみたいです(笑)

関西でハチクマライスに似た食べ物として、「ソーライス(ソーライ)」があります。
「ソースライス」の略で、ライスにウスターソースをかけただけの料理です。
昭和恐慌の際、阪急の小林一三さんが阪急百貨店で進んで提供されたことで一躍有名になりましたが、よく考えるとJR(国鉄)ではなく阪急ですね(笑)

どんなライスかと思ったら、ごはんに目玉焼きだけ(笑)
自宅でもすぐ作れちゃうけど、鉄道会社の社食で食べることに意味があるライスですね。
桃太郎は大宮でわりとよく見かるような…はるばる西日本から来ているとは。

chibiaya 様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

そう、ハチクマライスは誰にでも簡単に作れる丼物なんですよー。
それをJR貨物の職員食堂でいただくことに意味があると思い、「単品のおかずコーナーに目玉焼きがありますように…」と祈るような気持ちで食堂へ伺いました。
鉄道ファンの人の中には、JR貨物食堂へ行かれて、私と同じことをされる方がいらっしゃるかも知れません…。

桃太郎、確かに東日本でも走っているようですね。
エリア別というより、用途(直流か交流(交直両用))で使い分けられているようです。

大宮で「桃太郎」を御覧になり、鉄道博物館で「ハチクマライス」を召し上がるプランはいかがでしょうか(笑)

JR職員さんの食堂でご飯を食べられる、それから鉄道も見学できるなんて、
食べ鉄や撮り鉄といった方々などに知られてないんでしょうか?きっとそんなことは
ないんでしょうけれど、鉄道好きにはなにかと満たされる魅力的な場所ですね。
ハチクマライス、ごはんが……朝から頑張れって聞こえてくるような山盛り~。

サウスジャンプ 様

サウスさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

今回御紹介したJR貨物食堂は、鉄道ファンでも御存知の方は少ないと思います。
また、御存知でも、岡山で、しかも平日のみの営業なので、行って味わえる機会が限られているようにも思います。
私もたまたまネットで知り、それなら夏休みを利用して行ってみようかと訪問した次第です。
でも、おっしゃるとおり、鉄道ファンの方が行かれると、本物の現場ですから、とても楽しめること間違いなしです。

ハチクマライス、寝台特急乗務員の「まかない」だったようですが、確かに山盛りのごはんだと元気が湧いてきますよね!

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