魚柄仁之助先生の世界7 -「自家製かんぴょう」と「しそ塩」(かんぴょうの味噌汁・かんぴょう煮・かんぴょう卵とじ・しそ塩サラダ・トンテキ梅風味・しそ塩チキン棒)-
魚柄仁之助先生から「自家製かんぴょう」と「しそ塩」が届く
食文化研究家の魚柄仁之助さんから,長野で採れた夕顔で作られた「かんぴょう」と「しそ塩」を送っていただきました。
手紙の封筒に入れて私の自宅へ送ってくださいました。
(郵送で届いた「かんぴょう」と「しそ塩」)
突然送られてきたので驚きましたが,尊敬する魚柄先生からの贈り物だけに,とても嬉しかったです。
天使の乙女が描かれた封筒と送り主とのギャップを感じつつ、開封しました(笑)
自家製かんぴょうとしそ塩は,それぞれ保存袋に入れられ、さらにラップで丁寧に包まれていました。
同封されたお手紙には、
「おこんにちわっ。干瓢(かんぴょう)としそ塩です。赤しその葉を洗って干し、塩漬1年経ってから、天日で干して粉にしました。ハーブソルトと思って、サラダやおにぎりなどに使ってください」
と書かれていました。
かんぴょうは、夕顔を薄くスライスし、魚柄先生の御自宅(東京)のベランダにある物干しハンガーで干されたものです。
(自家製かんぴょう)
このようにグルグル巻きにして送っていただきました。
そして「しそ塩」です。
(しそ塩)
この「しそ塩」は、市販とは異なり、無糖(赤しそと塩のみ)なのだそうです。
確かに「しそ」はハーブの一種で、それを塩漬けしたものは「ハーブソルト」で間違いありませんが、こういう発想をしたことはなく、新鮮味がありました。
赤しそを約1年塩漬けして、それをさらに天日干しにし、粉にした、手間暇かけられた一品です。
いくつか料理して,魚柄先生お手製の「かんぴょう」と「しそ塩」をいただくことにしました。
かんぴょうの味噌汁
魚柄先生から「細長いままの干瓢はとっつきにくいが、カットしてあれば味噌汁、煮物などにポイポイ入れるだけ」と教えていただいたので、実践してみました。
(かんぴょう(カット・瓶詰め))
乾物をカットし、空きびんなどに保存しておくアイデアは、魚柄先生が考案されたもので、こうしておけば乾物も必要な量だけすぐに使うことができます。
いつもの味噌汁にカットしたかんぴょうをポイポイ入れてみました。
(かんぴょうの味噌汁)
かんぴょうはやわらかく元に戻り、いとも簡単にかんぴょう料理ができました。
かんぴょうは、シャクシャクした食感で、味噌との相性も抜群でした。
かんぴょうを調理するのは面倒なイメージがありますが、ちょっとの工夫で簡単に調理することが可能なことがわかりました。
かんぴょう煮
だしパックでだしをとり,醤油・みりん・砂糖で味付けしただし汁でかんぴょうを煮て,かんぴょう煮を作りました。
(かんぴょう煮)
自家製かんぴょうは,肉厚・幅広なのでだし汁がよく浸みており,とてもやわらかくなっていました。
かんぴょうの持ち味を生かすなら,魚柄先生がおっしゃるように,夕顔を肉厚・幅広に切った方が良いことがわかりました。
かんぴょうの卵とじ
かんぴょう煮を溶き卵で煮て「かんぴょう卵とじ」を作りました。
(かんぴょうの卵とじ)
だし汁が浸み込んだ肉厚のかんぴょうが鶏肉や油揚げのような役目をし、ごはんにかけたら親子丼や衣笠丼(※)そっくりだと思いました。
※衣笠丼(きぬがさどん)…京都市北区・右京区の衣笠山にちなんだ京都のご当地料理。刻んだ油揚げと九条ねぎを卵とじにしてごはんにのせた丼
しそ塩サラダ
魚柄先生のお手紙に「サラダに使ってください」とあったので、サラダ用に「しそ塩ドレッシング」を作ってみました。
(しそ塩ドレッシング)
材料は米酢、油、塩、しそ塩です。
しそ塩の塩分が控えめなため、少し塩を足しました。
(サラダ)
サラダも用意しました。
このサラダに「しそ塩ドレッシング」をかけてみましょう。
(しそ塩サラダ)
ドレッシングがかかっているところがはっきりわかりますね。
はっきり言います。これはいまいちでした。
しその酸味に酢の酸味も加わって、酸っぱくなり過ぎたのです。
ドレッシングの酸味はしそ塩だけで十分で、油と塩としそ塩で作ればよかったようです。
トンテキ梅風味
しそ塩をハーブソルトとしてトンテキを作ってみました。
豚ロース肉の両面を焼き、仕上げにしそ塩をふりかけました。
(トンテキ梅風味)
トンテキに、梅干しの風味と酸味がほどよく加わり、さっぱりと美味しくいただけました。
しそ塩チキン棒
魚柄先生が考案された料理の1つに「チキン棒」があります。
チキン棒は、鶏のムネ肉やササミに塩をすり込み、肉の水分を飛ばして鶏の旨味を凝縮させ、それを蒸した料理です。
塩をして水分を飛ばすことで保存性が高まり、地鶏のような食感のハム・サラダチキンが出来上がるのです。
チキン棒は過去に一度作ったことがあるのですが、今回は魚柄先生お手製の「しそ塩」を使った「魚柄スペシャルチキン棒」を作ってみました。
鶏のささみに軽く塩を振り、さらに「しそ塩」をまぶしました。
(しそ塩をまぶした鶏ささみ)
バジルをまぶしたサラダチキンがあるので、ハーブソルトのように「しそ塩」をまぶしたサラダチキンも相性が良さそうです。
前回チキン棒を作った時は、自宅のベランダで干すことをためらい、冬場に室内でラップをして3~4日干したのですが、水分が完全に飛ばず、肉を少し傷ませてしまいました。
そこで今回は思い切って、外のベランダでそのまま干してみることにしました。
晴れて日差しが強かったこともあり、みるみるうちに肉の水分が飛んでいきました。
(天日干しした鶏ささみ)
昼間の約7時間、ベランダで天日干しした鶏ささみです。
水分が飛んで、旨味が凝縮され、肉の色も濃くなりました。
(その分、肉も小さくなりましたが…)
わずか半日でこの状態です。
晴れた日に洗濯物を干すと一気に乾くのと同じ原理で、改めて日光の力はすごいなと感じました。
エアコンの室外機の上に置いておいたからかも知れませんが(笑)
天日干しした鶏ささみをラップで包み、蒸し器にセットしました。
(鶏ささみを蒸し器にセット)
15分ぐらい蒸せば完成です。
(鶏ささみ蒸し上がり)
ラップにぴっちりと包まれたチキン棒が出来上がりました。
しばらく冷ましてから、ラップを取り外しました。
(しそ塩チキン棒)
市販のバジルをまぶしたサラダチキンのようです。
いただいてみると…「うまいっ!」
肉の旨味が凝縮され、しそ塩の酸味もほどよく効いたチキン棒になりました。
(しそ塩チキン棒(中身))
肉に弾力が増し、噛みしめるとモギュモギュとした食感が楽しめました。
その味わい・食感は、ささみの燻製そっくりでした。
晴れた日は、洗濯物と一緒に、鶏肉や夕顔(かんぴょう)を干すことをおすすめします(笑)
<関連サイト>
KOKOCARA「「チキン棒」を作ってみた!」生協パルシステム
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「魚柄仁之助先生の世界3 -長野の自家製かんぴょう(かんぴょう煮・かんぴょうの油炒め・かみなり汁)-」
「魚柄仁之助先生の世界6 -エゴマ味噌・エゴマの実を使った料理、「縁食」と「非円食」について-」
<参考文献>
魚柄仁之助「うおつか流 食べつくす!」農文協
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