クロアチア料理の特徴と主な料理 -シュトゥルクリ・チェヴァプチチ・アイバル・フリタヤ・ポレンタ・山羊のチーズ・クレームシュニッタ-
クロアチアとクロアチアの食文化
東京で世界の朝食が味わえるお店「World Breakfast Allday(ワールド・ブレックファースト・オールデイ)」。
2024年10月・11月限定の朝ごはんは「クロアチアの朝ごはん」です。
クロアチアは、東ヨーロッパのバルカン半島に位置する国です。
(クロアチア)
(帝国書院白地図の一部を引用・加工)
クロアチアは、1991年に旧ユーゴスラヴィアから独立するまで、周辺国・地域との合併と分離が繰り返された歴史があります。
食文化においても、かつてのハプスブルク帝国(オーストリア・ハンガリーなど)やオスマン帝国(トルコ・ハンガリーなど)、そしてイタリアなどの影響を受けた多層的な食文化が形成されています。
(クロアチアと周辺国)
(帝国書院白地図の一部を引用・加工)
東西南北に広がるクロアチアは、アドリア海(地中海)沿岸部ではイタリアの影響を受けたシーフード・オリーブ(オイル)・ぶどう・ハーブなどが、北部・東部ではオーストリア・ハンガリー・トルコの影響を受けたチーズなどの乳製品や肉、パプリカやニンニクなどが料理に使われています。
クロアチアの朝ごはん
今回「World Breakfast Allday」で御用意いただいたクロアチアの朝ごはんプレートがこちらです。
(クロアチアの朝ごはんプレート)
シュトゥルクリ、チェヴァプチチ、アイバル、フリタヤ、ポレンタ、そして山羊のチーズが盛り付けられたプレートです。
それでは順に料理を御紹介します。
【シュトゥルクリ】
「シュトゥルクリ」は、小麦粉(パスタ生地)を練った皮にチーズを包んだ、クロアチアの伝統的家庭料理です。
(シュトゥルクリ)
「ペチェニ・シュトゥルクリ」と呼ばれる焼いたタイプと、「クハニ・シュトゥルクリ」と呼ばれるゆでたタイプがあります。
今回お店で提供されたシュトゥルクリは、焼いたタイプでサワークリームが添えられていました。
生地は表面がこんがり焼けてサクサクで、パイのようでした。
中の具は、白い粒状のもので、その食感は豆腐の「おから」に似ていました。
(シュトゥルクリ(中身))
お店の方に中身を尋ねると、2種類のチーズとナツメグで作られたとのことでした。
チーズはフェタチーズ(塩味の強いギリシャ生まれのフレッシュチーズ)やカッテージチーズ(白くてやわらかい、そぼろ状のチーズ)だと思います。
挽き肉のミートパイのような感覚でいただきました。
【チェヴァプチチ】
「チェヴァプチチ」は、スパイスで調味した挽き肉を小さく筒状に丸めてグリルした料理です。
(チェヴァプチチとアイバル)
赤いペースト「アイバル」と玉ねぎ(みじん切り)が添えられています。
「アイバル」は、パプリカをオイル・ニンニク・塩などとあわせて煮込み、ペースト状にした保存食です。
「チェヴァプチチ」はトルコ料理のケバブに由来するものです。
また「アイバル」もトルコが発祥とされています。
チェヴァプチチの食感は弾力のあるソーセージ、味はハンバーグそのもので、付け合わせのアイバルとの相性も抜群でした。
【フリタヤ】
「フリタヤ」はオムレツのようなクロアチアの卵料理です。
イストラ地方の名産・アスパラガスを具にしたフリタヤをいただきました。
(フリタヤ)
アスパラガス入りのスクランブルエッグだと思いました。
料理名や使われる食材がイタリア料理の「フリッタータ」とよく似ており、イタリアの食文化の影響を受けた料理となっています。
【ポレンタ】
「ポレンタ」はイタリア北部の代表的な料理で、トウモロコシ粉を「お粥(おかゆ)」や「マッシュポテト」のように煮た料理です。
クロアチアでは「ジュガンツィ」と呼ばれています。
様々な歴史を経てイタリアからクロアチアに伝えられたのでしょう。
(ポレンタ)
今回提供されたポレンタは、ほのかに甘いカラメルのデザートのような仕上がりで、粒々の食感を楽しみながらいただきました。
【山羊のチーズ】
トッピングとして「山羊のチーズ(シェーブルチーズ)」を付けていただきました。
(山羊のチーズ)
水分が少なめで、口に含むとポロポロと崩れます。
塩辛いので、薄くスライスしていただくのが適していました。
クセがなく、おつまみ感覚でいただけるチーズでした。
【クレームシュニッタ】
デザートとして「クレームシュニッタ」をいただきました。
「クレームシュニッタ」は、カスタードクリームをパイ生地ではさんだ、クロアチアの代表的なお菓子です。
クロアチアの首都・ザグレブに近い「サモボル」の名物でもあります。
(クレームシュニッタ)
厚めのパイ生地に、冷たいカスタードクリームがたっぷりとサンドされていました。
しっかりと焼き上げられたパイ生地とやわらかいカスタードクリームの組合せなので、ナイフとフォークで容易に切ることができず、パイ生地にナイフを10往復ぐらいさせて慎重に切り分けました。
フランスのミルフィーユに似ています。
クロアチアでは軽い食感のカスタードクリームが人気で、クロアチア人のカスタードクリームの取り扱いは抜群に上手なのだそうです。
<関連サイト>
「World Breakfast Allday」(東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F(外苑前店)ほか)
<関連記事>
「セルビアの朝食(コーンブレッド・アイバル・ヨーグルト)と手作りアイバル」
世界の料理については,当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。
<参考文献>
「World Breakfast Allday」クロアチア料理紹介リーフレット
地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken
地球の歩き方編集室「世界のお菓子図鑑」Gakken
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