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2024年12月

2024年12月29日 (日)

侍MANEKI珈琲(兵庫県姫路市)のアーモンドトーストとバックハウスイリエ(兵庫県尼崎市)のクリームパン

侍MANEKI珈琲のアーモンドトースト

 兵庫県姫路市を訪問しました。

 JR姫路駅で有名なのが「まねき食品」の「えきそば」です。

(まねきのえきそば(ディスプレイケース))
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 この「えきそば」の特徴は、「そば」という名称で、和風のそばつゆなのですが、麺に黄色い中華めん(かんすい入りのラーメンのような麺)が使われていることです。

 最初に食べた時は少し違和感を感じたのですが、食べる回数が増えるにつれ、姫路駅へ寄った時は必ず食べたいと思うほどになりました。

 地元の熱烈なファンの中には、姫路駅の入場券を買って、この「えきそば」を食べに来られる強者(つわもの)までいらっしゃるようです。

 そして忘れてはならないのが、「まねき食品」は日本で初めて「幕の内弁当」を販売された会社だということです。

 そんな「まねき食品」が、2022年4月23日に、JR姫路駅構内2階(新幹線コンコース)に喫茶店「侍MANEKI珈琲」をオープンされました。

(侍MANEKI珈琲・店舗)
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 朝、新幹線でJR姫路駅へ到着した際にお店を見つけた私は、「なるほど、まねき食品さんはカフェ事業も展開されたのか」と思ったのですが、お店の入口の電子看板に目が釘付けになりました。

(トーストモーニングセットの電子看板)
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 「このお店で姫路の名物・アーモンドトーストが味わえるんだ!」

 そうと知ったからには、素通りすることはできず、お店に入りました。

 朝7時から11時の時間帯は、ドリンク料金にプラス150円で「トーストモーニングセット」をいただくことができます。

 お店の入口で注文・精算し、セルフで席へ運ぶ方式かと思っていましたが、テーブル席へ案内され、席に着いてから注文する喫茶店方式でした。

 モーニングセットを注文する際、厚切りトーストに塗るものとして「姫路名物・自家製アーモンドバター」か「マーガリン」か「いちごジャム」を選ぶことができます。

 私は迷うことなくアーモンドバターを注文しました。

 また、ドリンクはホットコーヒーを注文しました。

 すると、お店の方がコーヒーを淹れ、食パンにアーモンドバターを塗ってこんがりとトーストしてくださいました。

 しばらくして、席にトーストモーニングセットが提供されました。

(トーストモーニングセット(コーヒー・アーモンドトースト・ゆで卵))
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 ホットコーヒー、厚切りトースト(アーモンドトースト)、そしてゆで卵のセットです。

 コーヒーは、「トアルコトラジャ(インドネシア・スラウェシ島・トラジャ地方のコーヒー豆)」が使用されています。

 コクと深みがありながら、ストレートでも飲みやすく、フルーティーな風味を感じました。

(アーモンドトースト・ゆで卵)
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 ゆで卵は、兵庫県市川町の「タズミの卵」が使われています。

 そして姫路名物のアーモンドトーストです。

 関西では、厚切りの食パンが好まれる傾向にありますが、期待どおりの厚切りで、アーモンドバターがたっぷり塗られていました。

 姫路のアーモンドトーストは、アーモンドバターを贅沢に厚塗りし、表面がふつふつとなるぐらいこんがりと焼くことで美味しくなるのですが、まさにその仕上がりのアーモンドトーストでした。

 粗目に砕いたクラッシュアーモンドのザクザク感・ゴロゴロ感が楽しめる、ほどよい甘さのアーモンドバターです。

 ちなみに、このお店のアーモンドバターは、「侍MANEKI珈琲特製ザクゴロアーモンドバター」として、通信販売もされているようですので、御興味を持たれた方は御利用ください。


back haus IRIE(バックハウスイリエ)のクリームパン

 阪急三宮駅から阪急電車に乗って、園田駅にやってきました。

 園田駅から北へ向かって徒歩約10分の場所に「back haus IRIE(バックハウスイリエ)」園田本店があります。

(back haus IRIE(バックハウスイリエ)園田本店)
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 カスタードクリームパンで有名な老舗ベーカリーで、現在はフィナンシェなどの洋菓子で有名な「アンリシャルパンティエ」と同じシュゼットグループのお店です。

 クリームパンは、これまで年間100万個を売り上げた記録をお持ちの人気店です。

 お店に入ると、焼きたてのクリームパンが「ばんじゅう(プラスチック製運搬ケース)」に入った状態で販売されていました。

 クリームパンを購入しようとレジで順番を待っていたところ、店内に「園田本店限定商品 絞りたてたっぷりクリームパン」の広告が目に留まりました。

 こちらも気になり、私に順番が回ってきた際、お店の方に「クリームパン」と「絞りたてたっぷりクリームパン」との違いについて伺いました。

 するとお店の方から、
「「クリームパン」はオリジナル商品で、ただいまアツアツの焼きたてを販売しております」
「「絞りたてたっぷりクリームパン」はこのお店でしか売ってない商品で、カスタードクリームが加熱されていない(パンを焼き上げた後にクリームを注入する)ため、冷やした状態で販売しております」
「絞りたてたっぷりクリームパンのカスタードクリームの量はクリームパンの1.5倍です」
と御説明いただきました。

 オリジナルのクリームパンと本店限定のクリームパン、どちらも食べてみたくなり、両方購入しました。

 再び園田駅まで戻り、2種類のパンを確認しました。

(バックハウスイリエのクリームパン(別包装))
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 クリームパンはまだ焼きたてで温かく、逆に絞りたてたっぷりクリームパンは冷たかったので、別々に包装していただいたのですが、こうした対応にお店の方のクリームパンへの愛情が感じられました。

 マチ付きビニール袋の底には、クリームパンの形が崩れないように厚紙まで敷かれていました。

(「クリームパン」と「絞りたてたっぷりクリームパン」)
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 今思えば、焼きたてのクリームパンをすぐに食べてみるべきでした…。

 自宅に帰り、「クリームパン」と「絞りたてたっぷりクリームパン」をいただきました。

 まずはバックハウスイリエの看板商品「クリームパン」から御紹介します。

(バックハウスイリエのクリームパン)
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 艶やかなパンの上に、スライスアーモンドがのせられています。

(バックハウスイリエのクリームパン(中身))
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 中にはカスタードクリームがたっぷりと入っていました。

 あんこの代わりにカスタードクリームが入った薄皮まんじゅうのようです。

 いただいてみると、パンはふんわりとしてとてもやわらかく、甘い香りがしました。

 そしてカスタードクリームの味ですが、この味はズバリ「カスタードプリン」です(笑)

 しっかりと卵の味がするカスタードプリンがパンにたっぷりと詰められているイメージです。

 人気の理由が理解できました。

 続いて「園田本店限定商品 絞りたてたっぷりクリームパン」を御紹介します。

(絞りたてたっぷりクリームパン)
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 オリジナルのクリームパンに比べて、中に詰められているカスタードクリームの量が多い分、パンの山が高くなっています。

 パン自体も、オリジナルのクリームパンと比べて生地がしっかりしている(弾力がある)ものとなっています。

(絞りたてたっぷりクリームパン(中身))
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 別名「飲めるクリームパン」とも呼ばれるだけあって、カスタードクリームの量がすごいことになっていました。

 オリジナルのクリームパンもカスタードクリームたっぷりなのですが、その1.5倍ともなると、ずっしりと重量感があり、厚みも大きく異なります。

 こちらのカスタードクリームも、やはりカスタードプリンの味なのですが(笑)、パンと一緒に加熱されてない分、くちどけがよく、より生のカスタードクリーム感がありました。

 ちなみに、オリジナルの「クリームパン」が260円(税抜)、「絞りたてたっぷりクリームパン」が280円(税抜)でした。(※)
 ※2024年12月時点の価格

 わずか20円程度の差でカスタードクリームの量が1.5倍とはお得感があります。

 絶大な人気を誇る「クリームパン」と園田本店限定の「絞りたてたっぷりクリームパン」、どちらも魅力的なクリームパンです。


<関連サイト>
 「まねき食品」(兵庫県姫路市北条953)
 「侍MANEKI珈琲(インスタグラム)」(兵庫県姫路市南駅前町125 JR姫路駅構内2F)
 「トアルコトラジャ」(キーコーヒー)
 「back haus IRIE(バックハウスイリエ)」(園田本店:兵庫県尼崎市東園田町2-48-2 ほか)
 「back haus IRIE(バックハウスイリエ)(インスタグラム)」(園田本店:兵庫県尼崎市東園田町2-48-2 ほか)

<関連記事>
 「姫路の食文化探訪 -姫路のカフェ・喫茶店でアーモンドトーストを味わう-

2024年12月22日 (日)

あずきの研究19 -「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」の特長と人気の理由を探る-

「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」とは

 宮城県に全国的に有名な「おはぎ」があります。

 仙台市太白区の「秋保(あきう)温泉」にあるスーパーマーケット「主婦の店 さいち」で販売されている「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」です。

 テレビや雑誌で紹介されたことがきっかけで、朝から行列ができるほどの人気商品となりました。

 私は2017年3月に仙台駅を訪問した際、「さいちのおはぎ」の販売コーナーを見かけたことがありますが、人気商品ですでに売り切れており、現物を見る機会はありませんでした。

 宮城県内外のお客さんだけでなく、全国のスーパーマーケット関係者や製あん業者も「主婦の店 さいち」へ視察に来られるほどの人気ぶりです。


「宮城県の物産と観光展」と「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」

 この人気おはぎが、2024年11月から12月にかけての3日間、広島市内のデパートで開催された「宮城県の物産と観光展」で特別販売されました。

 仙台と広島を空路で結ぶIBEX(アイベックス)エアラインズの全面協力で、仙台のお店から広島まで空輸で運ばれてくる「空飛ぶおはぎ」として話題になりました。

 ただ、このおはぎを購入するにはとてもハードルが高く、販売日は2024年11月24日(日)・28日(木)・12月1日(日)の3日間のみ、お一人様1パック限り、朝10時の開店時に購入引換券(有効期限は当日17時まで)が配布され、同日13時から販売開始、「あずき」は各日限定240パック、「ごま」と「きなこ」は各日限定40パックという条件をクリアする必要がありました。

 デパートに1日2回も足を運ぶことは大変なので、私は当初から購入を諦めました。

 そんな中、販売最終日(12月1日)の夕方に奇跡が起きたのです。

 「宮城県の物産と観光展」の会場へ行ってみると、「さいちのおはぎ」が山積みされていて、何と一般客(購入引換券を持ってない客)にも販売されていたのです。

 しかもお店の方から「何パック購入されますか」と聞かれるほどでした。

 こうした現象は、次のいくつかの理由が重なって発生したものと思われます。
 ①購入引換券を交付した枚数以上の「おはぎ」が用意された。
 ②購入までのハードルが高いため、お客さんが購入引換券での購入を敬遠された。
 ③消費期限が当日のため、売り切る必要があった。
 ④広島では「さいちのおはぎ」の知名度が意外と低かった。

 いずれにせよ、私は奇跡的に「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」を1パック購入することができました。


「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」の紹介

 「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」を御紹介します。

(さいちのおはぎ(秋保おはぎ)パック)
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 ボリューム満点のおはぎが2個詰められています。

 原材料はシンプルに「もち米(宮城県産)、うるち米、小豆、砂糖、食塩」のみです。

 おはぎを取り出してみましょう。

(さいちのおはぎ(秋保おはぎ))
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 色濃い粒あんがまとまりきらないほど、たっぷりとまぶされています。

 長さ約9cm、幅約6.5cm、高さ約4cmで、一般的なおはぎと比べて大きく、ずっしりと重量感もあります。

(さいちのおはぎ(秋保おはぎ))
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 このフォルム(形状)とボリューム感、あんこ好きにはたまりません。

(さいちのおはぎ(秋保おはぎ)とその中身)
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 おはぎを半分に切った様子です。

 包丁で半分に切るのが難しいほど、ねばりのあるもち米が使われています。

(さいちのおはぎ(秋保おはぎ)中身)
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 あんこだけでなく、中の餅(ごはん)もたっぷり詰められていることがわかります。


「さいちのおはぎ(秋保おはぎ)」が人気の理由

 「さいちのおはぎ」をいただきました。

 人気の理由は、食べたら一発でわかりました。

 いただいた感想も含めて、人気の理由をまとめてみます。

【「さいちのおはぎ」が人気の理由】
 ①小豆を炊いて作った手作りのあんこだけが持つ、小豆本来の味・風味が感じられる。
 ②あんこの甘さが控えめで、その分、小豆の風味が生かされている。
 ③餅(ごはん)に、ほどよい甘みと強いねばりがある。
 ④あんこも餅(ごはん)も値段(2個351円(※))の割にボリュームがある。
  ※2024年12月現在の物産展での販売価格(税込)

 自分で小豆を炊いて「あんこ」を作った経験のある方ならよく御理解いただけると思いますが、手作り・作りたてのあんこが持つ小豆の風味やそれを食べた時の感動は、市販のあんこではなかなか味わえません。

 その風味や感動が「さいちのおはぎ」なら味わえる、それが人気の最大の理由です。

 つまり、何か企業秘密があるわけでなく、「さいち(佐市)」では「おはぎを小豆ともち米から手作りする」・「作りたてを提供する」という当たり前のことがなされているだけのことなのです。

 なので、おはぎを自分ですべて手作りすれば「さいちのおはぎ」に近い味は出せるでしょう。

 「さいちのおはぎ」の人気は、「おはぎを一から作る余裕がない、だけど手作りの感動を味わいたい」と思う人がいかに多いかを物語っているとも言えます。

 あと、ボリューム満点で、出し惜しみされてないことも人気の理由の1つでしょう。

 「お客さんに対してケチったら、その分だけお客さんからもケチられる」ものだからです。

 「美味しいおはぎを、腹いっぱい食べていただきたい」その純粋で素直な気持ちが消費者にも伝わり、感動を呼ぶからこそ、「さいちのおはぎ」は人気なのです。


<関連サイト>
 「主婦の店 さいち」(仙台市太白区秋保町湯元字薬師27)

<関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「あずきの研究」を御参照ください。
 「宮城県仙台市 「賣茶翁」のみちのくせんべいと「立ちそば処 杜」の鶏から揚げそば

<参考文献>
 芝崎本実「あんこのことがすべてわかる本」誠文堂新光社

2024年12月15日 (日)

広島市植物公園・人の暮らしを支える「植物と油」展-「植物油の栄養と機能」講演会-

広島市植物公園・人の暮らしを支える「植物と油」展

 広島市植物公園の特別企画展として「人の暮らしを支える「植物と油」展」が開催されています。
(2024年9月14日~12月22日)

(「人の暮らしを支える「植物と油」展」チラシ)
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 この特別企画展で2つの講演会が開催されました。

 1つは、当ブログでも御紹介した、チョコレートの専門家・佐藤清隆先生(広島大学名誉教授)による「植物からとれる油で作るお菓子の王様 チョコレートの魅力」という講演会です。

 そしてもう1つが、今回御紹介する、元・日清オイリオグループ株式会社研究所長の青山敏明先生による「植物油の栄養と機能 体に良い油を見分けるには?」という講演会です。

 料理やお菓子に欠かせない油についての理解を深めるため、2024年11月17日に広島市植物公園を訪問しました。


広島市植物公園と植物(オリーブ・ホルトノキ)

 広島市植物公園に到着しました。

(広島市植物公園)
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 葉が赤や黄色に染まり、クリスマスツリーや電飾も飾られていました。

 今回は油について学ぶことをテーマにしているため、油を作る代表的な植物の1つ「オリーブ」の木を観察しておこうと思いました。

 そこで近くにおられたガイドボランティアさんにオリーブの木がある場所を尋ねました。

 しばらくして、オリーブの木が原爆ドーム模型の近くに植えられていることがわかり、その場所をガイドボランティアさんに御案内いただきました。

(「HIROSHIMA」と原爆ドーム模型)
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 ここは「チョコレートの魅力」講演会開催日にも訪れたことがある場所です。

(オリーブの木)
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 確かにオリーブの木がありました。

 オリーブの表面の葉は細長くてはっきりとした緑色で、裏面の葉は白っぽい(銀白色)となっています。

 よく観察すると、黒いオリーブの実もなっていました。

(オリーブの実)
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 この果実からオリーブオイルが作られます。

(オリーブの木(シプレッシーノ))
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 こちらは「シプレッシーノ」と呼ばれる品種のオリーブです。

 オリーブをじっくりと観察した後、同行いただいたガイドボランティアの方から、「日本でオリーブと間違えられた木も御案内しましょう」と、植物公園中心部・ベゴニア温室近くの広場へ連れていっていただきました。

 「これです」と指差された先に、オリーブによく似た植物がありました。

(ホルトノキ(ネームプレート))
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 「ホルトノキ」と呼ばれる植物です。

 「ホルトノキ」という名称は、江戸時代、平賀源内がこの木を見つけた際、「この木はポルトガル(ホルト)から伝わった、オリーブオイルが採れる「ホルトノキ」だ」と間違って命名したことに由来します。

 実際には、この木から「ホルト油(オリーブオイル)」は採れないのですが…。

(ホルトノキ)
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 葉の形や葉の色(表面が緑色・裏面が銀白色)はオリーブとよく似ているのですが、一部の葉が紅葉しているところがオリーブと異なっています。

 さらに近づいてみると…

(ホルトノキの実)
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 なるほど。葉だけでなく、実も緑色のオリーブの実そっくりです。

 私もホントノキのような気がしてきました。

 オリーブ1つとっても、いろんな物語があるものですね。


「森のカフェ」でランチ

 お昼時になったので、公園内のレストラン・カフェ「森のカフェ」で昼食をいただきました。

(広島市植物公園「森のカフェ」)
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 ログハウスのお店です。

 入口の券売機で、前回と同様にカツカレーを選び、厨房で注文しました。

(「森のカフェ」のカツカレー)
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 カレーライスに、揚げ立てのトンカツをのせてくれるカツカレーがおすすめです。

 「カレーライスに揚げ物だと相当な脂質と炭水化物になるのでは…」

 はい、わかってます。今回は特に「油」がテーマですから、しっかり油の恩恵に授かりたいという思いも込めて注文しました。

 香味野菜がたっぷり使われ、野菜の旨みとコクが引き出されたカレーと、肉厚でジューシーなトンカツを組み合わせたカツカレー。

 「アブラカタブラ 油過多ブラ…」

 「やっぱり油はうまい!」という境地に達しました。


薔薇饅頭(ばらまんじゅう)と薔薇羊羹(ばらようかん)

 園内で、薔薇饅頭(ばらまんじゅう)と薔薇羊羹(ばらようかん)の広告が目に留まりました。

(薔薇饅頭・薔薇羊羹広告)
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 バラの花をイメージした皮に、バラのエキスが入ったあんこが詰められた饅頭のようです。

(薔薇饅頭販売の様子)
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 売店に入ると、薔薇饅頭と薔薇羊羹が販売されていました。

 興味を持ち、薔薇饅頭を1箱購入しました。

(薔薇饅頭)
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 いただいてみると、確かにバラの良い香りがする饅頭でした。


展示資料館・人の暮らしを支える「植物と油」展

 「植物と油」展の展示会場・講演会場である展示資料館へ行きました。

(展示資料館と催物案内看板「人の暮らしを支える「植物と油」展」)
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 展示資料館1階は、人の暮らしを支える「植物と油」展の展示会場となっています。

(人の暮らしを支える「植物と油」展・展示会場入口)
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 植物と油の関係について、クイズも交えながら楽しく学ぶことが出来ました。

(植物があぶらをつくる理由)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 「植物があぶらをつくるのは、いきのこるためなんだよ~」

 確かに、人間が体内に脂肪をため込むのと同じ理屈です。

 油(脂)を美味しいと感じるのも、他の栄養素に比べてカロリーが高く、生き残るために優位な食べ物だからです。

(植物と油)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 植物は油を作り出すことで、発芽のエネルギー源とし、油を好む動物に種子を運んでもらい、香気成分を発して動物を忌避・誘引しています。

 無機物(水・二酸化炭素など)から光合成を経て有機物(炭水化物・脂質など)を作り出す植物は、まさに奇跡のような存在です。

(食用油脂について(脂と油))
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 (「植物と油」展 展示資料)

 食用油脂は「動物性油脂」と「植物性油脂」に分かれ、「植物性油脂」はさらに空気に触れて固まりやすいものを「乾性油」、固まりにくいものを「不乾性油」、その中間を「半乾性油」と呼ばれています。
(カカオバターのような常温で固体のものは「植物脂」に分類)

(植物油の原料)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 植物油の原料として、アブラナ(菜の花)、ダイズ、ゴマ、ベニバナ、ヒマワリ、オリーブあたりはイメージできますが、イネ(コメ)やトウモロコシとなると、どこにそんな油があるのか、すぐにはイメージできません。

(アマ・アマニ油)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 また、アマニ油(亜麻仁油)が「アマ」という植物の種子から採った油だというのも初めて知りました。

(オリーブとオリーブオイル)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 こちらは馴染み深いオリーブとオリーブオイルです。

(醤油は油?)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 醤油の「油」は、醤(ひしお)からとれた「油のような液体」という意味なのだそうです。

 また醤油のエピソードとして、オランダの宣教師が日本から大量の大豆を自国に持ち帰った際、大豆のことを間違えて「shoyu(醤油)」、「soya」と記載したため、のちにヨーロッパで大豆のことを「Soybeans」と呼ばれるようになったという説もあるようです。

(キャノーラ油の由来)
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 (「植物と油」展 展示資料)

 キャノーラ油はアブラナ(ナタネ)を原料とする油で、「キャノーラ」という名称は「Canadian Oil Low Acid(酸の少ないカナダの油)」に由来します。

 ここでいう「酸が少ない」は心疾患などを引き起こす要因とされた「エルカ酸」が少ないという意味で使われています。


講演会「植物油の栄養と機能 体に良い油を見分けるには?」

 この展示資料館の2階講堂で、青山敏明先生による講演会「植物油の栄養と機能 体に良い油を見分けるには?」が開催されました。

(講演会の様子(スクリーン))
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 青山先生は、日清オイリオ「日清MCTリセッタ」の開発者でもあります。

 冒頭、青山先生から受講者へ「油を使った料理・お菓子は美味しいですよね。その油ってどんな味がするでしょうか」という問いかけがありました。

 言われてみれば、油がどんな味かを表現することはとても難しく、私も即答できませんでした。

 ティッシュペーパーに衣を付けて油で揚げただけでも美味しいと感じる方が多いくらいなので、やはり油には不思議なパワーが秘められているようです。

 「油の味の直接表現はない(油味という表現はない)」というのが油の1つの特徴です。

 また「油は水より軽い」、「油は熱しやすく冷めやすい」、「油は膨らむ」という性質もあります。

 「油は水より軽い」・「油は膨らむ」ので、油は液体にもかかわらず重さ「g・kg(グラム・キログラム)」で販売されており、ペットボトルに詰められた油は上部に空間が設けられています。

 なお、輸入品のオリーブオイルだけは「ml・l(ミリリットル・リットル)」で販売されています。
(この話を知っている人はほとんどいないとのお話でした。)

 そして、「油」と「脂」の違いについても教えていただきました。

 「油」は常温で液体のあぶらで、一般的に植物由来のものが多く、「脂」は常温で固体のあぶらで、一般的に動物由来のものが多いとのことでした。

 魚の場合は常温で液体なので「魚油」という表現が使われます。

 そのため「脂がのったサンマ」という表現は適切ではないことになります。

 また、カカオの場合は、世界中どこでも固体であることが求められるため「カカオ脂」と表現する方が適切とのことでした。


今回の講演会で新たに学んだこと

 今回の講演会で私が新たに学んだことをまとめます。

・三大栄養素は「炭水化物、たんぱく質、脂質(脂肪ではない)」

・脂質=脂肪ではなく、脂質には脂肪のほかコレステロールやリン脂質なども含まれる。

・脂肪酸は、二重結合を持たない「飽和脂肪酸」と二重結合を持つ「不飽和脂肪酸」に分けられる。

(飽和/不飽和による分類)
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(「植物と油」展 講演会「植物油の栄養と機能 ”体に良い油”を見分けるには?」資料を一部加工して引用)

・二重結合を持つ=脂肪酸が曲がって不揃いになる=結晶になりにくい=常温で液体。

・脂肪酸の末端から数えて何番目に二重結合があるのかを示したのがω(オメガ)表示。
(末端から9番目の場合はω-9(オメガ9)、3番目の場合はω-3(オメガ3)となる)
 ※「ω(オメガ)はギリシャ文字の最後の文字」

(脂肪酸の種類と表記)
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 (「植物と油」展 講演会「植物油の栄養と機能 ”体に良い油”を見分けるには?」資料を一部加工して引用)

・魚に多く含まれるEPAやDHAは二重結合がたくさんあるため、油がサラサラ。これは冷たい水の中でも魚が身動きできるようにするため。

・二重結合を持っていると、酸化(=劣化)しやすく安定性が低い。

 ・二重結合があるのに曲がってない(二重結合を境目にして水素原子が反対側にある)ものをトランス型(トランス脂肪酸)という。

(脂肪酸(シス型とトランス型))
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 (農林水産省ウェブサイト「油脂やトランス脂肪酸の基本的な情報」を一部加工して引用)

・トランス脂肪酸の生成には、①反すう動物の体内でバクテリアにより生成、②食用油を加工する際の水素添加の過程で生成、③食用油の精製過程の1つ「脱臭」の過程で生成、④油を高温で加熱する調理過程で生成、が挙げられる。

・大豆油は大量に採れるのに、一般消費者向けにはほとんど販売されず、主に業務用(外食用・給食用等)として使われている。その理由は、大豆油が光に弱く(ビンやペットボトルでは保存できず)、主に一斗缶で流通・販売されているため。

(日清スーパー長持ち油(大豆))
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 (日清オイリオ ウェブサイトから一部引用)

・ナタネ油はオレイン酸が多く、軽くて淡白な味わい。大豆油と同様、単独ではあまり売られていない。

・オリーブ油は、ヨーロッパで唯一採れる油。そのためEU(欧州連合)が積極的に売り出しており、ほとんどの健康効果があるように紹介されている。

・オリーブ油の「BOSCO(ボスコ)」は、日清グループが立ちあげたメーカー。

・ゴマ油は、香油からクッキングオイルとして利用されるようになった。高級天ぷら店などで使われる。

・アマニ油は、健康に良いと評判になっている油。酸化が早く、冷蔵庫に入れてもすぐ酸化する。

・綿実油は、かつて(太白ゴマ油の前)は「油の王様」と呼ばれ、天ぷら店でもよく使われた。

・ベニバナ(サフラワー)油に使われるベニバナ(サフラワー)は、品種改良しやすいのが特徴。

・今の日本製のマーガリンやショートニングは、パーム油に大豆油を加えて作られているので、トランス脂肪酸はほとんど含有していない。

・油の劣化は、①水と熱(加水分解)、②酸素(酸化分解)によって起こる。

・市販の油は酸化を防ぐため、空気の部分に窒素を充填している。

・脂肪酸は、その長さにより「短鎖脂肪酸」、「中鎖脂肪酸」、「長鎖脂肪酸」に分類できる。

・中鎖脂肪酸(MCT:Medium Chain Triglyceride)は、従来の長鎖脂肪酸の油に比べて(脂肪酸の長さ(チェーン)が短いため)、消化吸収が早く、すぐにエネルギーになりやすい。

(中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸)
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 (日清オイリオ ウェブサイト「What is MCT」から一部引用)

・中鎖脂肪酸は、ココナッツオイル(ヤシ油)やパームフルーツ、母乳などに含まれている。

(純正ごま油・BOSCOエキストラバージンオリーブオイル・MCTリセッタ)
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・コレステロールを下げる効果がある油には、「植物ステロール」が含まれている。

・コレステロールも植物ステロールも腸管で「胆汁酸ミセル」に溶けて体内へ吸収されるが、植物ステロールがあると、その分、胆汁酸ミセルに溶けるコレステロールが減り、残ったコレステロールが腸管から対外へ排出される(コレステロールが体内に吸収されない)効果がある。

(植物ステロールの役割)
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 (「植物と油」展 展示資料)

・油脂の美味しさは「においセンサー」や「食感センサー」で解析することはできても、「味センサー」での解析は難しい(現段階では数値化は不可)。


まとめ

 講演会終了後、質問コーナーが設けられたので、私から青山先生に1つ質問させていただきました。

私:「私たちの生活に一番身近なサラダ油はどんな油なのでしょうか。またなぜ「サラダ」という名称なのでしょうか」

青山先生:「サラダ油は、主に大豆油とナタネ油の混合油です。安価に提供できるよう、その時々で大豆油とナタネ油の割合を変えています。冷たいサラダにかけても固まらない油という意味でサラダ油と呼ばれています」

 なるほど、ここでやっと消費者向けの大豆油が登場するわけですね。

 油脂は美味しいですが、それ単独では無味で科学的分析にも限界があるようです。

 私は人間が油脂を美味しいと思う理由は、油脂を摂ると「本能が喜ぶ」からだと思います。

 これは、三大栄養素の1グラムあたりのエネルギー量が、炭水化物とたんぱく質がそれぞれ4キロカロリーなのに対して、脂質はその倍以上の9キロカロリーもあることからも説明できます。

 また脂質が食物の栄養(脂溶性ビタミン(A、D、E、K)など)の吸収を促進させることからも説明できます。
(これがサラダに油を用いる理由にもつながっています。)


 油脂は他の食材と一緒に食べることで美味しいと感じ、使えば使うほど美味しさが増す不思議な食材です。

 油脂の使い過ぎには注意を払う必要がありますが、様々な油脂をバランスよく、適度な量で摂取することが、油脂との理想的な付き合い方だと言えるでしょう。

 講演会終了後,青山先生に御挨拶したのですが、その際に「油脂の世界は化学の知識が求められ、難しいですね…」と率直な感想をお伝えしたところ、微笑みながら「そうですね」とおっしゃっていただけました。

 青山先生はお忙しいそうだったので、お礼申し上げ、その後は油を売らずに会場を後にしました。

 そうそう、青山先生のお好きな油と私の好きな油が一緒だったので、その油を御紹介します。

 それは「太白ごま油」です。

 このゴマ油は、ゴマを煎らずに生のまま絞っているので、無色透明でゴマの香りもありません。

 「そんなのゴマ油か!」と言われそうですが、私は小豆島の旅館の朝食で、この「太白ごま油」を生姜入りのごはんにかけた「ごま油ごはん」をいただいた時、その美味しさに感動しました。

 御興味を持たれた方は、一度お試しください。


<関連サイト>
 「広島市植物公園」(広島市佐伯区倉重三丁目495番地)
 「日清オイリオ」(東京都中央区新川一丁目23-1)
 「What is MCT」(日清オイリオ)

<関連記事>
 「チョコレートの新しい潮流5 -広島市植物公園・人の暮らしを支える「植物と油」展と「チョコレートの魅力」講演会-

2024年12月 8日 (日)

中央アジア・コーカサス諸国の料理(ラグマン・カザフシャルガム・オジャクリ・カラムリピログ)と協力隊珈琲

JICA関西

 日本の政府開発援助(ODA)を通じて開発途上国への国際協力を行っている国際協力機構(JICA・ジャイカ)。

 そのJICAの関西の拠点が「JICA関西」で、神戸市中央区にあります。

 このJICA関西の食堂で「中央アジア・コーカサス諸国料理」が提供されていることを知り、興味を持って訪問しました。

 今回は、少し距離がありましたが、神戸の中心街・三宮から歩いてJICA関西を訪問しました。

(JICA関西・夜景)
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 今までランチタイムに何度か訪問しましたが、ディナータイムの訪問は初めてです。

 JICA関西食堂は昼だけでなく夜も営業されていますが、これは宿泊している研修員の食事を提供する役割もあるためです。

(JICA関西玄関)
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 JICA関西の玄関では「JICA」の文字がライトアップされていました。

(JICA関西食堂案内板)
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 ディナータイムはどんな雰囲気なのか、ワクワクしながら施設に入りました。


JICA関西食堂の中央アジア・コーカサス諸国料理

 JICA関西食堂は、施設の1階にあり、誰でも利用することが出来ます。

(JICA関西食堂・玄関)
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 入口で「月替わりエスニック料理」の食券を購入し、厨房へ持っていくと、「少しお時間をください」と、呼び出しベルが手渡されました。

 ひとまずテーブル席へ向かうと、大きなモニター画面に月替わりエスニック料理の案内がありました。

 2024年12月の月替わりエスニック料理は中央アジア・コーカサス諸国料理です。

(月替わりエスニック料理案内(中央アジア・コーカサス諸国料理))
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 このモニターの目の前の席に座り、それぞれの料理を確かめながら食事することにしました。

 中央アジア・コーカサス諸国は、中央アジア(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)と、コーカサス(アルメニア、ジョージア、アゼルバイジャン)で構成される地域の総称です。

(中央アジア・コーカサス諸国)
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 JICAウェブサイト・広報誌「mundi(2017年4月号)」から一部加工・引用

 今回は中央アジア、ジョージア、カザフスタン、ウズベキスタンの料理をいただきます。

 しばらく待っているとブザーが鳴ったので、再び厨房へ行くと、料理が提供されました。

(JICA関西食堂・中央アジア・コーカサス諸国料理)
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 こちらが中央アジア・コーカサス諸国料理のセットです。

 写真左側手前のメインプレートがラグマンです。

 写真右上の四角いプレートには、3種の料理(カザフシャルガム・オジャクリ・カラムリピログ)が盛り付けられています。

 それぞれの料理を簡単に御紹介します。


【ラグマン(麺料理 / Noodle dishes)】

 「ラグマン」は、ウズベキスタンやキルギスなど中央アジアで広く食べられている料理です。

(ラグマン)
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 日本の「うどん」に具だくさんのトマトシチューをかけたような料理です。

 トマトシチューは、玉ねぎ・ナス・牛肉・サヤインゲン・パプリカ(ピーマン)・セロリ・ネギなどの具をトマトでじっくり煮込んだものです。

 美味しいのですが、麺が太くて食べるのが大変でした。

 麺をプラスチックの箸で食べようとするとツルツル滑り、フォークで食べようとすると太すぎてクルクル巻けないのです。

 私の場合は、最終的に麺は箸、スープはスプーンでいただくことで落ち着きました。


【カザフ・シャルガム(大根サラダ / Radish salad)】

 「カザフ・シャルガム」はカザフスタンの料理で、大根サラダです。

(カザフ・シャルガム)
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 大根、人参、パプリカのサラダで、粉唐辛子をまぶしてピリ辛に仕上げられています。

 酢の酸味はあまり感じなかったものの、日本の「紅白なます」によく似ていると思いました。


【オジャクリ(ジャガイモ料理 / Potato dishes)】

 「オジャクリ」はジョージアの料理で、ジャガイモの煮込み料理です。

(オジャクリ)
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 ジャガイモを玉ねぎ、豚肉、パプリカ(黄色)と一緒に煮込んだもので、仕上げにコリアンダー(パクチー・香菜)がのせられています。

 見た目もそうですが、「肉じゃが」そっくりの味でした。

 ワインビネガーが使われているからか、わずかな酸味も感じました。

 フランス・アルザス地方の郷土料理「ベッコフ」もそうですが、改めて、ジャガイモを玉ねぎや肉と一緒に煮込むと「肉じゃが」の味に近づくのだなと思いました。


【カラムリ・ピログ(キャベツパイ / Cabbage pie)】

 「カラムリ・ピログ」はウズベキスタンの料理で、キャベツパイです。

(カラムリ・ピログ)
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 主な具はキャベツと玉ねぎです。

 いただいてみると、コショウやクミンの香りを感じました。

 そして、甘いキャベツに粒コショウがピリッと辛いアクセントとなっていました。

(カラムリ・ピログ(中身))
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 中身を観察すると、キャベツや玉ねぎのほか、クミンシード(クミンの種子)も入っていました。

 表面はサクサク、中身はしっとりとしたパイでした。


 中央アジア・コーカサス諸国に思いを馳せながら、美味しくいただきました。


付記

 青年海外協力隊でペルーに行かれる方から、あいさつの品としてコーヒーをいただきました。

(協力隊珈琲(ペルー))
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 「協力隊珈琲 ペルーに行ってきます」と記載されています。

 協力隊珈琲(JOCABUCKS COFFEE)には、「煌(きらめき)」、「爽(さわやか)」、「深(ふかみ)」の3種類があります。

 いただいたコーヒーは「煌(きらめき)」でした。

(煌(きらめき)・食品表示)
Photo_20241208151001
 
 裏をめくってみると、コーヒーの原産国はペルー…ではなく、ブラジル、コロンビア、グアテマラとなっていました。

 こうしたちょっとした贈り物があると便利ですね。

 ペルーでの御活躍をお祈り申し上げます。


<関連サイト>
 国際協力機構「JICA関西」(神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2)
 「青年海外協力協会(JOCA)」(長野県駒ヶ根市中央16-7)

<関連記事>
 「ウズベキスタン・キルギス料理の特徴と主な料理 -ノン・ラグマン-
 「ジョージア(グルジア)料理の特徴と主な料理 -クヴェヴリワイン・ハルチョー・サラダ・チュルチヘラ・アジカ・ハチャプリ-
 「フランス料理の特徴と主な料理11 -フォアグラクッキー・アナグマのリエット・生牡蠣とウニ・和牛のロティ・アナグマの煮込み・ベッコフ-

2024年12月 1日 (日)

ドライブインの魅力3 -山口県岩国市「ドライブインあけみ」のマヨカツ丼と貝汁-

 大阪市北区から北九州市門司区に至る国道2号は、西日本の交通の大動脈で、ドライブインも多く存在します。

 今回は、そんなドライブインの1つ、山口県岩国市周東町(しゅうとうちょう)の「ドライブインあけみ」を御紹介します。


欽明館自動販売機コーナー

 広島市から自動車でお店を目指しました。

 広島県側から岩国市玖珂町へ向かう際にショートカットのルートとなる山口県道15号(欽明路道路・きんめいじどうろ)を走っていると、欽明路のドライブイン「欽明館自動販売機コーナー」がありました。

(欽明館自動販売機コーナー)
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 自動販売機がずらりと並び、昔からドライバーやライダーの憩いの場となっています。

 ここは、レトロ自動販売機があることでも有名なスポットです。

(チューインガム・キャンディ自動販売機)
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 すでに販売を終了したガムもありますが、この自動販売機は展示品で、そもそも稼働してないようです。

(うどん・そば・ラーメン自動販売機)
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 そしてこちらは、うどん・そば・ラーメンの自動販売機です。

 うどん・そばだけでなく、ラーメンまで用意されている自動販売機は珍しいです。

 この自動販売機は現役で、このうどん・そば・ラーメンを目当てに欽明館を訪問される方も多くいらっしゃいます。

 私もこのお店のそばやラーメンを味わったことがあるのですが、今回は間近に迫ったドライブインでの食事があるため、やむなく、またの機会にいただくこととしました。


周防大島と宮本常一記念館

 岩国市玖珂町を過ぎ、同市周東町に入った国道2号沿いに「ドライブインあけみ」があります。

(ドライブインあけみ・開店前)
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 朝8時半ごろ訪問したところ、まだ営業されていませんでした。

 グルメサイトの情報が最新の状況に追い付いてないことはよくあることです。

 気持ちを切り替え、昼前の開店まで近隣をドライブすることにしました。

 向かったのは瀬戸内海の周防大島です。

(大島大橋)
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 周防大島から眺めた大島大橋です。

 山口県の県道のガードレールはオレンジ色(夏みかん色)で、瀬戸内海の風景にうまく溶け込んでいます。

 島内を快適にドライブし、宮本常一記念館に到着しました。

(宮本常一記念館(全景))
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 宮本常一さん(1907年~1981年)は、カメラ片手に全国を「歩く・見る・聞く」民俗学を実践された民俗学者です。

 カメラ片手に全国を旅し、現地の生活や文化を研究されたことに私も共感するところがあり、「塩の道」や「忘れられた日本人」などの本も読みました。

(宮本常一記念館(エントランス))
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 館内には、その地に住む人々の生活や文化がわかる写真、民具、図書、関係資料などが展示されており、宮本常一さんへの理解を深めることができました。


「ドライブインあけみ」のマヨカツ丼と貝汁

 周防大島町のドライブを楽しんだ後、再び岩国市周東町の「ドライブインあけみ」を訪問しました。

(ドライブインあけみ・営業中)
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 到着がお昼の12時近くとなり、駐車場も賑やかになっていました。

(ドライブインあけみ・店舗)
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 広々とした建物や駐車場は、ドライブインならではの光景です。

 日本酒「獺祭(だっさい)」の旗も掲げられていますが、旭酒造の「獺祭」は、ここ岩国市周東町で製造されています。

 お店に入ると、大勢のお客さんがおられました。

 食券を購入する前金制かなと思いましたが、席で注文する方式でした。

 メニュー表を見て、何を注文するか吟味しました。

(ドライブインあけみ・メニュー表)
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 料理のジャンル別に色分けされており、ピンク色が鉄板系(肉)、黄色が魚系、赤色が丼系、オレンジ色が揚げ物系、緑色が炒め物系となっています。

 ごはんは、追加料金で大盛や特盛にしてもらうことが可能です。

 また、定食や丼物についているみそ汁は、プラス220円で貝汁かブタ汁(豚汁)に変更することが可能です。

(定食・料理のイラスト)
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 また、それぞれの定食・料理には手書きのイラストもあり、初めての人でもイメージしやすい工夫がなされています。

(ドライブインあけみ・お礼メッセージ)
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 お店からのお礼メッセージも手作り感満載です。

 昭和37年創業の長年愛されているドライブインです。

 私はお店の人気メニューの1つ「マヨカツ丼」を注文しました。

 そして、マヨカツ丼に付くみそ汁を「貝汁(かいじる)」に変更していただくようお願いしました。

 その際、お店の方から「揚げ物なので少しお時間をいただきます」とお話があったのですが、むしろきちんと揚げ立てを提供していただける証拠だと好感を持ちました。

 このお店はごはんの盛りが半端ないことでも有名なので、料理を待つ間、周囲のお客さんが召し上がっているごはんの量を観察しました。

 その際、「てんこ盛りまではいかないけど、意外と普通盛りだな」と思ったのですが、お客さんの注文内容と実際の盛りを確認するうちに、私が普通盛りだと思っていた量が、実はごはん「小」であることがわかりました。

 普通に(何も言わずに)注文したら大盛のごはんが提供されるので、常連のお客さん達はそれを知っていて、ほとんどの人が「ごはん少なめで」と注文されているのです。

 このお店は、一般的な普通盛りが「小」、大盛が「普通」という設定で、それ以上の「大盛」や「特盛」レベルになると、かなりの量になるので、メニュー表にもあるように「自信のある方限定」となります。

 このことを知らずに注文すると、大変なことになります。

 私が注文したマヨカツ丼も大盛にするかどうか迷いましたが、(あまりたくさん食べられない私は)大盛にしなくてよかったと安堵しました。

 しばらくして、マヨカツ丼と貝汁が提供されました。

(マヨカツ丼と貝汁)
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 「来た来た、やったー!」

 マヨカツ丼も貝汁も丼サイズで、予想どおりボリューム満点です。

 これでも普通盛りなのですが、こうした盛りのよさはドライブインならではのお楽しみです。

 それではマヨカツ丼をじっくり観察してみましょう。

(マヨカツ丼)
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 大盛ごはんの上に、大きくて厚みがあるロースカツがどっかーんと盛られ、そのロースカツにはとんかつソースがたっぷりとかけられ、さらに目玉焼きまでのせられています。

 目玉焼きをずらして、ロースカツを確認しました。

(マヨカツ丼(ロースカツ))
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 ロースカツだけでもお腹いっぱいになりそうなビッグサイズです。

(マヨカツ丼(千切りキャベツと辛子マヨソース))
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 次にロースカツをずらすと、千切りキャベツと辛子マヨネーズソースの層がありました。

 この下には、掘っても掘っても食べ切れないほどのごはんが盛られています。

 甘めのとんかつソースと辛子マヨネーズソースがロースカツとよく合い、ごはんが進みました。

 途中で休憩するほどの量がありましたが(笑)、美味しく完食しました。

 そして「貝汁」もいただきました。

 「貝汁」とは「あさりのみそ汁」のことですが、山口県内のドライブインにはこの「貝汁」が提供されているお店が多く、人気メニューの1つとなっています。

(貝汁)
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 貝汁も大きな丼で提供されました。

 汁の中には、あさりがたっぷりと入っていました。

 貝汁が人気なのは、あさりがメインではないかと思えるほどあさりをたくさん食べられるからです。

 今回もあさりの殻入れを入れるための小皿が用意されていました。

 あさりの滋味深いエキスが溶け込んだ、美味しいみそ汁でした。


まとめ

 飲食店で大事なことは、料理もサービスもケチらないことで、ケチれば結局お客さんからもケチられることになります。

 これは値段にかかわらず、大衆店から高級店まで共通して言えることだと思います。

 「ドライブインあけみ」は、安くて美味しくてボリューム満点の食事を提供されており、なおかつサービスも行き届いているお店なので、こうしたお店の姿勢が、長年、地元の人々やドライバー・ライダーに愛されている理由なのだろうなと思いました。

 単品でカレーライスやカツカレーを注文されるお客さんも多く見かけましたが、これまたとても大きな皿にカレーとライスが山盛りで、カツも大きくてとても魅力的でした。

 また訪問する機会があれば、今度はカツカレーに挑戦したいと思います。


<関連サイト>
 「ドライブインあけみ」(山口県岩国市周東町下久原大柿1653)
 「旭酒造(獺祭)」(山口県岩国市周東町獺越2167-4)

<関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「ドライブインの魅力」を御参照ください。
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