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2024年12月 1日 (日)

ドライブインの魅力3 -山口県岩国市「ドライブインあけみ」のマヨカツ丼と貝汁-

 大阪市北区から北九州市門司区に至る国道2号は、西日本の交通の大動脈で、ドライブインも多く存在します。

 今回は、そんなドライブインの1つ、山口県岩国市周東町(しゅうとうちょう)の「ドライブインあけみ」を御紹介します。


欽明館自動販売機コーナー

 広島市から自動車でお店を目指しました。

 広島県側から岩国市玖珂町へ向かう際にショートカットのルートとなる山口県道15号(欽明路道路・きんめいじどうろ)を走っていると、欽明路のドライブイン「欽明館自動販売機コーナー」がありました。

(欽明館自動販売機コーナー)
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 自動販売機がずらりと並び、昔からドライバーやライダーの憩いの場となっています。

 ここは、レトロ自動販売機があることでも有名なスポットです。

(チューインガム・キャンディ自動販売機)
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 すでに販売を終了したガムもありますが、この自動販売機は展示品で、そもそも稼働してないようです。

(うどん・そば・ラーメン自動販売機)
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 そしてこちらは、うどん・そば・ラーメンの自動販売機です。

 うどん・そばだけでなく、ラーメンまで用意されている自動販売機は珍しいです。

 この自動販売機は現役で、このうどん・そば・ラーメンを目当てに欽明館を訪問される方も多くいらっしゃいます。

 私もこのお店のそばやラーメンを味わったことがあるのですが、今回は間近に迫ったドライブインでの食事があるため、やむなく、またの機会にいただくこととしました。


周防大島と宮本常一記念館

 岩国市玖珂町を過ぎ、同市周東町に入った国道2号沿いに「ドライブインあけみ」があります。

(ドライブインあけみ・開店前)
Photo_20241201134001

 朝8時半ごろ訪問したところ、まだ営業されていませんでした。

 グルメサイトの情報が最新の状況に追い付いてないことはよくあることです。

 気持ちを切り替え、昼前の開店まで近隣をドライブすることにしました。

 向かったのは瀬戸内海の周防大島です。

(大島大橋)
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 周防大島から眺めた大島大橋です。

 山口県の県道のガードレールはオレンジ色(夏みかん色)で、瀬戸内海の風景にうまく溶け込んでいます。

 島内を快適にドライブし、宮本常一記念館に到着しました。

(宮本常一記念館(全景))
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 宮本常一さん(1907年~1981年)は、カメラ片手に全国を「歩く・見る・聞く」民俗学を実践された民俗学者です。

 カメラ片手に全国を旅し、現地の生活や文化を研究されたことに私も共感するところがあり、「塩の道」や「忘れられた日本人」などの本も読みました。

(宮本常一記念館(エントランス))
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 館内には、その地に住む人々の生活や文化がわかる写真、民具、図書、関係資料などが展示されており、宮本常一さんへの理解を深めることができました。


「ドライブインあけみ」のマヨカツ丼と貝汁

 周防大島町のドライブを楽しんだ後、再び岩国市周東町の「ドライブインあけみ」を訪問しました。

(ドライブインあけみ・営業中)
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 到着がお昼の12時近くとなり、駐車場も賑やかになっていました。

(ドライブインあけみ・店舗)
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 広々とした建物や駐車場は、ドライブインならではの光景です。

 日本酒「獺祭(だっさい)」の旗も掲げられていますが、旭酒造の「獺祭」は、ここ岩国市周東町で製造されています。

 お店に入ると、大勢のお客さんがおられました。

 食券を購入する前金制かなと思いましたが、席で注文する方式でした。

 メニュー表を見て、何を注文するか吟味しました。

(ドライブインあけみ・メニュー表)
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 料理のジャンル別に色分けされており、ピンク色が鉄板系(肉)、黄色が魚系、赤色が丼系、オレンジ色が揚げ物系、緑色が炒め物系となっています。

 ごはんは、追加料金で大盛や特盛にしてもらうことが可能です。

 また、定食や丼物についているみそ汁は、プラス220円で貝汁かブタ汁(豚汁)に変更することが可能です。

(定食・料理のイラスト)
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 また、それぞれの定食・料理には手書きのイラストもあり、初めての人でもイメージしやすい工夫がなされています。

(ドライブインあけみ・お礼メッセージ)
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 お店からのお礼メッセージも手作り感満載です。

 昭和37年創業の長年愛されているドライブインです。

 私はお店の人気メニューの1つ「マヨカツ丼」を注文しました。

 そして、マヨカツ丼に付くみそ汁を「貝汁(かいじる)」に変更していただくようお願いしました。

 その際、お店の方から「揚げ物なので少しお時間をいただきます」とお話があったのですが、むしろきちんと揚げ立てを提供していただける証拠だと好感を持ちました。

 このお店はごはんの盛りが半端ないことでも有名なので、料理を待つ間、周囲のお客さんが召し上がっているごはんの量を観察しました。

 その際、「てんこ盛りまではいかないけど、意外と普通盛りだな」と思ったのですが、お客さんの注文内容と実際の盛りを確認するうちに、私が普通盛りだと思っていた量が、実はごはん「小」であることがわかりました。

 普通に(何も言わずに)注文したら大盛のごはんが提供されるので、常連のお客さん達はそれを知っていて、ほとんどの人が「ごはん少なめで」と注文されているのです。

 このお店は、一般的な普通盛りが「小」、大盛が「普通」という設定で、それ以上の「大盛」や「特盛」レベルになると、かなりの量になるので、メニュー表にもあるように「自信のある方限定」となります。

 このことを知らずに注文すると、大変なことになります。

 私が注文したマヨカツ丼も大盛にするかどうか迷いましたが、(あまりたくさん食べられない私は)大盛にしなくてよかったと安堵しました。

 しばらくして、マヨカツ丼と貝汁が提供されました。

(マヨカツ丼と貝汁)
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 「来た来た、やったー!」

 マヨカツ丼も貝汁も丼サイズで、予想どおりボリューム満点です。

 これでも普通盛りなのですが、こうした盛りのよさはドライブインならではのお楽しみです。

 それではマヨカツ丼をじっくり観察してみましょう。

(マヨカツ丼)
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 大盛ごはんの上に、大きくて厚みがあるロースカツがどっかーんと盛られ、そのロースカツにはとんかつソースがたっぷりとかけられ、さらに目玉焼きまでのせられています。

 目玉焼きをずらして、ロースカツを確認しました。

(マヨカツ丼(ロースカツ))
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 ロースカツだけでもお腹いっぱいになりそうなビッグサイズです。

(マヨカツ丼(千切りキャベツと辛子マヨソース))
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 次にロースカツをずらすと、千切りキャベツと辛子マヨネーズソースの層がありました。

 この下には、掘っても掘っても食べ切れないほどのごはんが盛られています。

 甘めのとんかつソースと辛子マヨネーズソースがロースカツとよく合い、ごはんが進みました。

 途中で休憩するほどの量がありましたが(笑)、美味しく完食しました。

 そして「貝汁」もいただきました。

 「貝汁」とは「あさりのみそ汁」のことですが、山口県内のドライブインにはこの「貝汁」が提供されているお店が多く、人気メニューの1つとなっています。

(貝汁)
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 貝汁も大きな丼で提供されました。

 汁の中には、あさりがたっぷりと入っていました。

 貝汁が人気なのは、あさりがメインではないかと思えるほどあさりをたくさん食べられるからです。

 今回もあさりの殻入れを入れるための小皿が用意されていました。

 あさりの滋味深いエキスが溶け込んだ、美味しいみそ汁でした。


まとめ

 飲食店で大事なことは、料理もサービスもケチらないことで、ケチれば結局お客さんからもケチられることになります。

 これは値段にかかわらず、大衆店から高級店まで共通して言えることだと思います。

 「ドライブインあけみ」は、安くて美味しくてボリューム満点の食事を提供されており、なおかつサービスも行き届いているお店なので、こうしたお店の姿勢が、長年、地元の人々やドライバー・ライダーに愛されている理由なのだろうなと思いました。

 単品でカレーライスやカツカレーを注文されるお客さんも多く見かけましたが、これまたとても大きな皿にカレーとライスが山盛りで、カツも大きくてとても魅力的でした。

 また訪問する機会があれば、今度はカツカレーに挑戦したいと思います。


<関連サイト>
 「ドライブインあけみ」(山口県岩国市周東町下久原大柿1653)
 「旭酒造(獺祭)」(山口県岩国市周東町獺越2167-4)

<関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「ドライブインの魅力」を御参照ください。
 「懐かしのうどん・そば・ラーメン自動販売機1 -広島県三次市「福原酒店」の天ぷらそば・自動販売機のうどん・そばの魅力-
 「懐かしのうどん・そば・ラーメン自動販売機2 -島根県浜田市「ドライブイン日本海」の天ぷらうどん・日清食品カップヌードルの自動販売機-

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コメント

以前、広島と岡山の関係は「微妙」と伺った記憶はありますが、山口との関係は如何でしょうか?
岩国と福山ではどちらに親近感を感じますか?
不躾な質問で恐縮ですが、御座候と回転焼の様に言葉や食は一山越えると変わる様な先入観があるもので(^^;;
アサリもお吸い物派と味噌汁派がいらっしゃるようで!
私はシジミは味噌汁派でハマグリはお吸い物派ですが(^。^)
家庭によって違うのでしょうか?
ソースカツ丼はご飯の上にキャベツはあり?なし?
これも両派に分かれる様です (^^;;
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1164944336
でも、記事を拝見していると、甘めのとんかつソースと辛子マヨネーズソースのコラボ、美味しそうですね(^。^)v

孤独のグルメに出てきそうなお店ですねー!
というか、今週の回は千葉のドライブインだったから余計にそんな気がするのかもしれませんが。
https://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume_sorezore/backnumber/
メニューを見ているだけで楽しい店(笑)
このマヨカツ丼、でも目玉焼きがのっているのもいい感じで超美味しそうです。
貝汁、いろんな貝が混ざったみそ汁なのかと思ったらあさりですか。
そういえば、しじみもあさりもハマグリも入ってます、っていうみそ汁ってないですね。
何でだろう?

なーまん 様

なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

広島と山口はあまりライバル意識はないと思います。
特に山口県東部と広島県西部は、広島から山口へはドライブで、山口から広島へはショッピングで互いの交流・ニーズがあります。
ただ、特に山口県西部は広島県よりも福岡県・九州寄りの文化となっています。
広島市から岩国市へは近いので気軽に行けますが、一方で他県という意識もあります。
広島市から福山市へは100km程度離れており、方言も文化もかなり違いますが、同県の意識が強いことも確かです。
一山超えると言葉も文化も変わるというお話は、おっしゃるとおりだと思います。

山陽地方では、貝と言えばあさりで、シジミやハマグリの汁物はあまり見かけません。
ただ、なーまんさんとは逆に、シジミは味噌汁、ハマグリは吸い物というイメージがあります。

カツ丼は、ソースか卵とじか、キャベツをのせるかのせないか、ウスターソースかとんかつソースかデミグラスソースかと、全国様々なバージョンがありますね。
キャベツも千切りキャベツだったり、茹でキャベツだったりします。
いずれも、その地域では正解なのだと思います。

chibiaya 様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

今週の「孤独のグルメ」の内容と、今回の記事が同じドライブインでドンピシャだったようですね(笑)
広島はテレビ東京系がないので、いつも「孤独のグルメ」が視聴できるとはうらやましいです。
千葉のドライブインも行ってみたいな(^-^)

今回のお店、メニューがカラフルでイラスト入りで工夫されてますよね!

マヨカツ丼、美味しく完食しましたが、これだけで夕食が要らないくらい、お腹いっぱいになりました(笑)

貝汁と言えば、山口や広島ではあさり汁です。
こちらでは、アサリ以外はあまり採れないからか、シジミやハマグリの味噌汁・お吸い物はあまり食べる機会がありません。
貝からは美味しいだしが取れるので、アサリ・シジミ・ハマグリを一度に入れた汁があったら、とても美味しい汁ができそうですね。
ラーメンスープならありそうです。
あと、貝料理と言えば、お隣の韓国でよく食べられているイメージがあります。

欽明館!レトロ自販機の聖地のひとつですね、
わたしはテレビでしか知らないので羨ましいです足を運ばれて。
そこを運営されてるご主人が自販機用のうどんを作るとき、
容器に盛り付けられたそれにギターを弾いて聴かせる
(そうするとおいしくなるみたいな)っていうのを観て
(それはたぶんテレビ撮影用のジョークなんでしょうけど)、
欽明館に魅力をおぼえました。

サウスジャンプ 様

サウスさん、おはようございます。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

山口県岩国市の「欽明館」、御存知なんですね!
そうです、ここはレトロ自動販売機の聖地となんですよ。
広島から近く、車でよく通る道です。

ただ、うどんやそばにギターの音楽を聴かせるというお話は知りませんでした(笑)
そこまで愛情がかけられている商品だということでしょうね。
うどん・そばのレトロ自動販売機は、天ぷらなどが手作りで、想像以上に手間暇かけて作られているようです。
自動販売機ごとに様々な味があり、人の温もりも感じられることが、人を惹きつけるのでしょうね。

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