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2025年1月12日 (日)

カナダ料理の特徴と主な料理 -ブルーベリーパンケーキ・プーティン・チーズカード・ピーミールベーコン・プディングショムール-

 東京で世界の朝食が味わえるお店「TASTE THE WORLD(テイスト・ザ・ワールド)」。

 以前は「World Breakfast Allday(ワールド・ブレックファースト・オールデイ)」という店名でしたが、2024年11月に名称変更されました。

 年末の朝、いつもどおり外苑前店へ伺うと、外苑前店だけ一足早く年末年始の休業期間に入っておられました。

 そこで近くの新宿店へ行くこととしました。

 外苑前店と原宿店(現在は閉店)しか利用したことのない私は、「どんなお店なのだろう」と思いながら訪問しました。

(TASTE THE WORLD 新宿店)
Photo_20250111223901

 2024年11月にオープンした「TASTE THE WORLD 新宿店」です。

 外苑前店と比べて店内が広いですが、隣の席との間隔は外苑前店と同じにされているのが面白いところです。
 (外苑前店の縦長のテーブルが2つ置かれていました。)


カナダの食文化

 「TASTE THE WORLD」の2024年12月・2025年1月限定の朝ごはんは「カナダの朝ごはん」です。

 北アメリカ大陸の北部に位置するカナダは、国土面積がロシアに次ぐ世界第2位で、海岸線の長さでは世界一です。

 カナダは世界中から多くの移民を受け入れてきた歴史があり、大西洋岸や五大湖畔にイギリス系、ケベック地方にフランス系、太平洋岸に中国系、その中間に北欧系や東欧系の人々が住んでおられます。

 こうした背景から、カナダの食文化は、先住民の料理のほか、イギリス料理、アメリカ料理、フランス料理、中国料理、北欧料理、東欧料理など様々な国・地域の料理が存在しています。

 そのため、ベジタリアン・ヴィーガン向けの料理やハラルフードなども充実しています。

 カナダの代表的な食材・飲料としては、メープルシロップ、穀物(トウモロコシ・小麦・大麦など)、豆類(大豆、エンドウ豆など)、シーフード(ロブスター、タラ、ホタテ)、鮭(サーモン)、アルバータ牛、ポーク、ジビエ(鹿、トナカイ、アザラシなど)、チーズ、ベリー(ブルーベリー、クランベリーなど)、キノコ類、アイスワイン・アイスシードル(ぶどうやりんごを凍結させ、糖度を高めた酒)などが挙げられます。

 また、日本でもよく知られている「キャノーラ油」は、1978年にカナダで生み出された「キャノーラ」と呼ばれる品種のアブラナ(ナタネ)を原料とする油で、「キャノーラ」という名称は「Canadian Oil Low Acid(酸の少ないカナダの油)」に由来します。


カナダの朝ごはん

 今回「TASTE THE WORLD」で御用意いただいたカナダの朝ごはんプレートがこちらです。

(カナダの朝ごはんプレート)
Photo_20250111225401

 ブルーベリーパンケーキ、プーティン(スコッチエッグ、チーズカード)、ピーミールベーコン、焼きトマトが盛り付けられたプレートです。

 それでは順に料理を御紹介します。


【ブルーベリーパンケーキ】

 カナダでは食卓にブルーベリーがよく登場します。

 「ブルーベリーパンケーキ」は、ほんのり甘いパンケーキにブルーベリーソースがかけられた料理です。

(ブルーベリーパンケーキ)
Photo_20250111225601

 ブルーベリーソースは、お店で生のワイルドブルーベリーを煮詰めて作られたそうです。

(ブルーベリーパンケーキ(中身))
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 パンケーキを切ってみると、パンケーキの中にもワイルドブルーベリーの果実がゴロゴロ入っていました。

 パンケーキに加え、カナダの人気食材・ブルーベリーもたっぷりと堪能することができました。


【プーティン・スコッチエッグ・チーズカード】

 「プーティン」はケベック州発祥のフライドポテトにチーズカード(※)とグレービーソースをかけた料理で、カナダの代表的な料理の1つです。
 ※チーズカード:熟成させる前のフレッシュチーズ。「カード」は、乳が固まって豆腐状になったものの名称で、「凝乳(ぎょうにゅう)」とも呼ばれている。

(プーティン・スコッチエッグ・チーズカード)
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 今回のプーティンは、フライドポテトにチーズカードを混ぜ、スコッチエッグをのせて、仕上げにオランデーズソース(卵黄、バター、レモン汁などを混ぜたソース)をかけたものが提供されました。

 厚切りのフライドポテトは熱々で、表面はサクサク、中はホクホクでした。

 オランデーズソースをまぶすとコクと酸味が増し、いくらでも食べられるほどの美味しさになりました。

 角切りのチーズカードは、やわらかくてほどよい塩気があり、油で揚げたフライドポテトとの相性が抜群でした。

 中盤に差し掛かったところで、スコッチエッグの黄身をくずしました。

(プーティンと半熟の黄身)
Photo_20250112063201

 フライドポテトに半熟の黄身をまぶすと、その美味しさは頂点に達しました。

【ピーミールベーコン・焼きトマト】

 「ピーミールベーコン」は、豚ロースから脂身を取り除き、スパイス入りの塩水で熟成させ、仕上げにコーンミール(粗挽きトウモロコシ粉)を肉の表面にまぶした食肉加工品です。

 カナダの代表的な食べものの1つです。

 このピーミールベーコンを焼き、焼きトマトを添えたものが提供されました。

(ピーミールベーコン・焼きトマト)
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 豚肉の旨みが凝縮されており、ベーコンというよりステーキに似た味わいでした。

 お店の方から「パンケーキのブルーベリーソースをピーミールベーコンにかけていただくのもおすすめです」とお話がありました。

 確かに、デンマークの「フリカデラ(挽き肉ハンバーグ)」とラズベリー風味のピクルス,オーストリアの「ウィンナーシュニッツエル(薄切り肉のカツレツ)」とベリーソース,アメリカの「ローストターキー」とクランベリーソースなど,肉料理と甘いベリーソースの組合せは世界各地で見受けられ、好まれています。

 そこで、ピーミールベーコンにもブルーベリーソースを添えてみました。

(ピーミールベーコン ブルーベリーソース添え)
Photo_20250112065101

 これはこれで美味しくなりましたが、ピーミールベーコンにブルーベリーソースの甘みがダイレクトに伝わるので、ブルーベリーソースは少量でよいことに気付きました。

 このあと、別の試みとして、ピーミールベーコンに(プーティンの)オランデーズソースや半熟の黄身をつけていただいたのですが、こちらも美味でした。


プディング・ショムール

 デザートとして「プディング・ショムール」をいただきました。

 「プディング・ショムール」は、「失業者のプディング(プリン)」という意味のお菓子です。

 世界大恐慌で多くの人々が職を失い、シンプルな材料(小麦粉や砂糖など)しか手に入らなかった時に生まれた、ケベック州(フランス系カナダ人)の伝統的なお菓子です。

(プディング・ショムール)
Photo_20250112070501

 蒸しパンのようなしっとり感・ふわふわ感がある温かいプディング(ケーキ)にメープルシロップがかけられ、ローズマリーがのせられています。

 プレートには、バニラアイスとラズベリーが添えられています。

 プディング(ケーキ)生地は、シンプルな材料で空気を多く含ませて焼き上げられているため、メープルシロップをかけるとよく染み込み、プディングのジュワッとした食感とメープルシロップの深い甘みを楽しむことが出来ました。


<関連サイト>
 「TASTE THE WORLD」(東京都新宿区新宿4-3-15-103(新宿店)ほか)

<関連記事>
 「広島市植物公園・人の暮らしを支える「植物と油」展-「植物油の栄養と機能」講演会-」(キャノーラ油の紹介)
 世界の料理については,当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。

<参考文献>
 「TASTE THE WORLD」カナダ料理紹介リーフレット
 佐原秋生・大岩昌子「食と文化の世界地図」名古屋外国語大学出版会
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken

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コメント

新しい店名の方が簡潔で良いですね^ ^
旧名は分かり易いけれど、英語が苦手な私には読むのが面倒(^^;;
パンケーキとスコッチエッグというと、ベースになっているのはイギリス料理でしょうか?
ピーミールベーコン・焼きトマト美味しそう(^.^)
アメリカの食材より健康的な気がするし!
ジビエ料理も食べたいですね(^_−

なーまん様

なーまんさん、こんにちは。
続いてコメントいただき、誠にありがとうございます。

前の店名の方が馴染みがあるのですが、長い店名でした(笑)
朝ごはんだけでなく、色々な世界の料理を提供していただけたらと期待しています。

パンケーキにスコッチエッグ、それにグレービーソースとくれば、イギリス料理ですよね。
でも発祥とされるケベック州は、フランスとの関わりが大きいので、うーんと考え込んでしまいます。
多数の移民による多様な食文化から生まれた、カナダの創作料理だと思います。

ピーミールベーコンは、トンテキに近いと思いました。焼きトマトを添えていただくと美味しさが増しました。

アメリカに比べ、自然の恵みを受けた幅広い食材が使われているようにも思います。
ジビエや水産物は、食べたことないようなものも多く、興味深いですよね。

そういえば、この企業の系列の恵比寿のパン屋、去年閉店してしまいました。
そのうち行こうと思っていたのに、まさかこんなに早く閉店してしまうとは…
ピーミールベーコンなんていうのがあるんですね。
豚ロースを焼いただけに見えてしまうのですが、ちゃんと燻製されているのでしょうか?
普通のベーコンとメープルシロップの組み合わせは有名ですが、今回はブルーベリーソースなんですね。
カナダといえばメープルシロップなのに(笑)

chibiaya 様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

ええっ、系列のパン屋さん「パダリア」、閉店になったのですか!
https://kojikin.air-nifty.com/blog/2023/04/post-72789d.html
ついこの前、開店したように記憶しているのですが…
色々御事情はあったのでしょうが、閉店には早すぎますね…。

ピーミールベーコン、これは燻製されてないものを焼かれたのだと思います。
塩気も少なく、おっしゃるように、豚ロースを焼いたものに近い味でした。

カナダはブルーベリーが好まれているようで、ブルーベリーソースもありだと思いますが、定番のメープルシロップも味わってみたいところです。
私は別にデザートのプディング・ショムールでメープルシロップをいただいたこともあって気付きませんでしたが、定番ものもあった方がいいですね。
お店の人に要望すれば、メープルシロップに変えてもらえるという話もあったように記憶しています。

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