チリ料理の特徴と主な料理 -ぺブレ・エンパナーダ・セビッチェ・カスエラ デ マリスコス・パステル デ チョクロ・モテ コン ウエシージョ-
神戸のチリ料理店「グラン ミカエラ イ ダゴ」
全国的にも珍しい「チリ料理」のお店が神戸にあります。
神戸市の中心街・三宮から北方向へ歩いた、ハンター坂沿いにある「グラン ミカエラ イ ダゴ」というお店です。
ディナータイムにお店に伺いました。
(グラン ミカエラ イ ダゴ 店舗)
お店はレンガ造りの建物の2階にあります。
写真の2階正面、角のチリの国旗が掲げられているところが「グラン ミカエラ イ ダゴ」です。
1階の入口に、チリの位置を示した南米の地図がありました。
(チリの位置(南米地図))
チリは南米大陸にあるアンデス山脈の西側にある、南北に細長い形をした国です。
階段を上がり、お店の玄関にたどり着きました。
(グラン ミカエラ イ ダゴ)
カラフルでワクワクするようなお店です。
少し緊張気味にお店に入ると、オーナーシェフのクリスティアン・メリリャン一色さんが温かく迎えてくださいました。
店内には、チリにまつわる装飾のほか、国内外のサッカーユニフォームなど、サッカー関連のグッズも数多く展示されていました。
これらの装飾・展示品は、クリスティアンさんがヴィッセル神戸をはじめとするJリーグのサッカーチームの通訳をされてきたことによるものです。
私は壁に展示されているサンフレッチェ広島のユニフォームを指差し、クリスティアンさんに「今日はここから来ました」とお話ししました。
するとクリスティアンさんから、サンフレッチェ広島の通訳として広島市内に住んでおられた時のお話や、広島でよく通われたお店のお話などをしていただき、場が和みました。
常連客のように親しく会話してくださるクリスティアンさんに、お人柄の良さを感じました。
チリ料理
メニュー表を眺め、しばらく考えて、チリの代表的な料理が味わえる「チリカジュアルコース」を注文しました。
【ベリージンジャー】
コースとは別に、「ベリージンジャー」というドリンクをいただきました。
(ベリージンジャー)
ジンジャーエールにブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリーなど様々なベリーを浮かべたドリンクです。
ジンジャーエールにベリーの酸味とフレーバーが加わり、さわやかなテイストが楽しめました。
【ぺブレ】
コース料理の一皿目として、「ぺブレ」を御用意いただきました。
「ぺブレ」は、トマトのサルサ(トマト、玉ねぎ、唐辛子などを刻んだソース)です。
(ぺブレ・パン・自家製ローズヒップバター)
写真左がぺブレ、右が自家製ローズヒップバター、奥がパンです。
チリのサルサ(ぺブレ)の特徴は、コリアンダーを入れることです。
チリ(唐辛子)も入っていますが辛さは控えめで、むしろトマトの甘みやコリアンダーのさわやかな香りを強く感じました。
ホカホカに温められたパンと一緒にいただきました。
ローズヒップバターは、バターに細かく刻んだローズヒップを加えたものです。
ローズヒップは、乾燥ナツメやレーズンの味に近いと思いました。
ローズヒップのほのかな甘さを感じるバターは、ぺブレと同様、温かいパンとよく合いました。
ぺブレもローズヒップバターも存分に味わいたかったので、パンをおかわりしました。
【エンパナーダ】
「エンパナーダ」は、パイ包み料理で、チリの代表的な料理の1つです。
(エンパナーダ)
牛肉のエンパナーダ(オーブン焼き)をいただきました。
(パイ包みを油で揚げたエンパナーダのフライもあるようです。)
(エンパナーダ(中身))
パイをガブリとかぶりつくと、中には角切りの牛肉、玉ねぎ、ゆで卵、オリーブ、レーズンなどがぎっしり詰められており、大満足でした。
ぺブレ(サルサ)を添えていただくのもおすすめです。
【セビッチェ】
「セビッチェ(セビーチェ)」は、魚介の切り身(刺身)に玉ねぎなどの野菜を加え、レモンやライムなどでしめた(マリネした)料理で、環太平洋一帯で食されている料理です。
(セビッチェ)
鯛(白身魚)・タコ・イカなどの魚介類と、紫玉ねぎ・ベビーリーフ・プチトマトなどの野菜にレモン果汁を加えてマリネし、刻んだコリアンダーと輪切りのレモンをのせたセビッチェを御用意いただきました。
中に酸味が効いた魚介類がたっぷりと入っていて、いくらでも食べられそうな美味しさでした。
クリスティアンさんに、ビネガー(酢)も入っているのではないかと伺ったところ、レモン果汁のみ(酢は使っていない)とのことでした。
【カスエラ デ マリスコス】
「カスエラ デ マリスコス」は、チリの具だくさん魚介スープです。
海鮮(マリスコス)、の(デ)、鍋(カスエラ)を意味しています。
(カスエラ デ マリスコス)
土鍋に大きな海老やムール貝などがのせられており、見た目にインパクトがありました。
具は、魚介類が海老、鯛(白身魚)、アサリ、イカ、ムール貝、野菜類が玉ねぎ、トマトなどです。
フランスのブイヤベースに似た、魚介の旨みたっぷりのスープです。
レモンを絞ったり、刻んだコリアンダーをかけたりしながら美味しくいただきました。
【パステル デ チョクロ】
コース料理を食べ終え、「パステル デ チョクロ」を追加注文しました。
「パステル デ チョクロ」は、「トウモロコシのグラタン風オーブン焼き」です。
トウモロコシ(チョクロ)のケーキ(パステル)を意味しています。
(パステル デ チョクロ)
粗挽きトウモロコシがオーブンで焼かれ、鮮やかな黄色と美味しそうな焦げ色に変化しています。
中身を確かめてみましょう。
(パステル デ チョクロ(挽き肉・玉ねぎ・ゆで卵))
中には挽き肉、玉ねぎ、ゆで卵が入っていました。
さらに食べ進めると…
(パステル デ チョクロ(鶏肉・黒オリーブ・レーズン))
鶏肉や黒オリーブ、レーズンまで登場しました。
「挽き肉などの具がたっぷり入ったオーブン重ね焼き」という意味では、イタリアの「ラザニア」やギリシャの「ムサカ」とよく似ています。
ラザニアやムサカに使われる「チーズ」を「粗挽きトウモロコシ」に変えると、「パステル デ チョクロ」に近い味になりそうです。
粗挽きトウモロコシがとても甘くて香ばしく、挽き肉やゆで卵などの具とよく合いました。
「クリスティアンさん監修で、食品メーカーや飲食チェーン店がこの料理を商品化すればブレイクするのでは」と思えるほどの美味しさでした。
クリスティアンさんに「この料理は日本人向けにアレンジされているのですか」と尋ねたところ、「本場の味です。だからチリ出身の方もお店にいらっしゃるのです」と教えてくださいました。
【モテ コン ウエシージョ】
とても楽しいひとときだったので、単品のデザートも注文させていただきました。
クリスティアンさんに「何かおすすめのデザートがありますか」と尋ねると、「お任せください」と御用意いただいたのが「モテ コン ウエシージョ」です。
(モテ コン ウエシージョ)
「モテ コン ウエシージョ」は、麦と桃入りのデザートです。
麦(モテ)、~と一緒に(コン)、桃(ウエシージョ)を意味しています。
茹でてやわらかくした麦に、シナモンを効かせた甘く冷たいシロップがかけられ、中心に桃がのせられています。
スッキリした甘さで食べやすく、甘酸っぱい桃と交互にいただきました。
和食のデザートのような感じもしました。
チリの独立記念日(9月18日)のお祝いなどでも食べられるデザートなのだそうです。
まとめ
食後にコロンビアのコーヒーをいただきながら、しばらくの間、クリスティアンさんと会話を楽しみました。
(コーヒー)
私からクリスティアンさんに「広島はハワイや中南米への移民が多かったので、チリへ行かれた方も多かったのでは」と伺ったところ、予想に反して、「日本人移民は少なく、東欧・ドイツなどヨーロッパからの移民が多い」とのことでした。
また、チリの地理についても教えていただきました。
チリはニューヨークのほぼ真下(真南)に位置し、日本から空路でチリへ行くには、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアのどの経由でも所要時間は大体同じになるそうです。
クリスティアンさんから私に「チリで有名なものと言えば何をイメージしますか」と尋ねられたので、私は「うーん、やはりチリワインですかね」とお答えすると、クリスティアンさんもチリワインの輸入・普及に御尽力されているのだとお話がありました。
続けて、「チリは銅や鮭(サーモン)も有名ですよ」と教えていただきました。
私は「あっ、言われてみれば、確かにスーパーマーケットなどで売られている鮭(サーモン)はチリ産が多いですね!」と気付きました。
その後もしばらく会話を楽しませていただき、「また機会があればお店に伺いたい」と思いつつ、お店を後にしました。
<関連サイト>
「グラン ミカエラ イ ダゴ」(神戸市中央区中山手通二丁目13-8 エール山手2階)
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