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2025年4月27日 (日)

鉄道博物館交流協力企画展「和風×台味 台湾鉄路の食文化」-トレインレストラン特製魯肉飯・マンゴーシャーベット・ビューレストラン特製牛肉麺-

鉄道博物館駅から鉄道博物館へ

 2025年3月、さいたま市を訪問しました。

 大宮駅に着くと、ポスターなどで「鉄道のまち大宮」というコピーをよく見かけました。

 大宮駅からニューシャトルに乗って、鉄道博物館駅へ向かいました。

 ニューシャトルは、東北・上越・北陸新幹線の高架軌道に沿って走る新交通システムです。

 大宮駅を出発すると、次の駅が鉄道博物館駅です。

(ニューシャトル・鉄道博物館駅・内宿行)
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 現代的なデザインで、グッドデザイン賞を受賞した2020系車両です。

(鉄道博物館駅(駅名標))
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 「鉄道博物館駅」…鉄道ファンや鉄道好きの子どもたちにはたまらない駅名です。

 入館券を提示し、鉄道博物館に入館しました。

 訪問した日は平日の月曜日でしたが、親子連れや子どもを中心に多くの人で賑わっていました。

(鉄道博物館・車両ステーション)
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 鉄道博物館の中心にある「車両ステーション」には、数多くの鉄道車両が展示されていました。

(特急「ひばり」(クハ481形)と急行列車(クモハ455形))
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 特急「ひばり」(写真左)は、かつて東京・上野~仙台を結んでいた特急列車です。

 一方、急行列車(クモハ455系)(写真右)は、かつて東北本線や常磐線などで活躍した交直両用の急行列車です。

 貨物列車も展示されていました。

(貨物列車・コンテナ内部)
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 山口県下関市からコンテナで海産物が運ばれる様子だと思います。

 寝台特急・ブルートレインも展示されていました。

(寝台特急「あさかぜ」・B寝台車)
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 ブルートレインに乗ったことがないので、とてもワクワクしました。

(寝台特急「あさかぜ」・B寝台車(内部))
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 寝台車の中を見学しましたが、想像していたより狭く、簡易な作りでした。

 私が寝台車に乗ったら、寝る間を惜しんで車窓から外を眺め、寝ることはないでしょう(笑)


交流協力企画展「和風×台味(タイウェイ) 台湾鉄路の食文化」

 今回、鉄道博物館を訪問した一番の理由は、企画展「和風×台味 台湾鉄路の食文化」を鑑賞し、館内のレストランで企画展コラボ料理を味わうことでした。

(「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化」広告(日本語版))
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 2024年の年末、JR上野駅で偶然このチラシを見つけ、訪問することを決めました。

 「台湾の鉄道と食」の観点から、台湾の鉄道、日台の食堂車の歴史・概要、駅弁の歴史、2027年オープン予定の台北の国家鉄道博物館などを紹介する企画展です。

(「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化」広告(台湾華語版))
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 チラシをひっくり返すと、このような台湾華語版の広告となっています。

 鉄道博物館のエントランスホールにも案内看板がありました。

(「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化」案内看板)
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 企画展初日には、日本と台湾の駅弁文化をテーマにした「駅弁シンポジウム」(主催:株式会社広島駅弁当)も開催されました。

(「和風×台味 台湾鉄路の食文化」会場入口)
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 「和風×台味 台湾鉄路の食文化」会場入口の様子です。

 会場内は写真撮影禁止となっていたので、御紹介することはできませんが、日本と台湾の鉄道・食堂車・駅弁の歴史について、興味深く学ぶことができました。


「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」から台湾の食文化を学ぶ

 ミュージアムショップで「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」を購入しました。

(「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」)

 図録は、「Ⅰ 台湾の鉄道路線」、「Ⅱ 列車内外のレストラン」、「Ⅲ 台湾の駅弁」、「Ⅳ 出発!国家鉄道博物館プロジェクト ただいま進行中」という4章で構成されています。

 図録のコラムに、「日本統治時代の台湾の駅では、駅弁の他に何を売ってたの?」という題名で、1916年の台湾日日新報の記事内容がイラスト付きで紹介されていました。

(1916年当時 台湾の駅のホームで販売されていた商品)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p41のイラストを一部加工・引用)

 当時の台湾の駅では、国姓爺(こくせんや)まんじゅう、巻き寿司、弁当、ミカン、スイカ、柿、まんじゅう、牛乳、芭蕉実(実芭蕉(みばしょう):バナナの一種)、スモモ、国姓爺もち、寿ずし(いなり寿司)、羊羹などが販売されていたようです。

 ちなみに「国姓爺」とは、「鄭成功(ていせいこう)」という人物の別称です。

 鄭成功は、江戸時代初期の1624年に今の平戸市で貿易商だった中国人の父(鄭芝龍)と日本人の母(田川マツ)との間に生まれました。

 1645年、21歳のとき、隆武帝から明王朝の姓(国姓)である「朱」姓を賜わったことから、人々の間で「国姓爺」(「国の姓」を賜った「爺(旦那)」という意味)と呼ばれるようになりました。

 「明」王朝の復興を願って大陸の「清」と戦い(反清復明運動)、その後、オランダに占拠されていた台湾を解放した功績から、台湾では英雄としてたたえられています。

 近松門左衛門は、この鄭成功をモデルに「国性爺合戦(こくせんやかっせん)」という物語を描き、人形浄瑠璃や歌舞伎で人気を得ました。

 こうした背景から、「国姓爺まんじゅう」や「国姓爺もち」など「国姓爺」という名を冠した菓子・お土産が人気だったようです。

(「国姓爺まんじゅう」・「国姓爺もち」の広告)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p41の広告を一部引用)

 私も成功して「乞爺菌」と呼ばれるように頑張ります!
 (と言いつつ、本当にこう呼ばれたら、ちょっと嫌かも…(笑))


トレインレストラン特製魯肉飯(ルーローハン)&マンゴーシャーベットセット

 お昼時になったので、館内のレストランで企画展コラボメニューをいただくこととしました。

 本館2階の「トレインレストラン日本食堂」を訪問しました。

(トレインレストラン特製魯肉飯&マンゴーシャーベット案内看板)
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 こちらのお店の企画展コラボメニューは、「トレインレストラン特製魯肉飯&マンゴーシャーベット」です。

 お店に入ると、店員さんから「窓側のお席と車内のお席どちらになされますか?」と尋ねられました。

 窓側の席で行き交う列車を眺めながら食事をいただくか、車内席で食堂車の雰囲気を楽しみながら食事をいただくかを決める必要があったので、私は車内席をお願いしました。

(トレインレストラン日本食堂・車内席)
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 テーブル席を御案内いただき、席に着いた後、私は「トレインレストラン特製魯肉飯&マンゴーシャーベット」を注文しました。

 ちなみに「魯肉飯」は、本来は「滷肉飯」と表記するのが正しいとされています。

 「滷」という文字に「(長時間)汁で煮込む」という意味があるからです。

 しかし、あまりにも複雑な字のため、発音の同じの「魯」であてられるようになったと言われています。

 しばらくして、魯肉飯が運ばれてきました。

(トレインレストラン特製魯肉飯(テーブル席))
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 台湾の食堂車(臺灣餐車)に乗って食事しているような気分になりました。

(トレインレストラン特製魯肉飯)
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 ごはんの上に豚肉の煮込みが盛られ、その上に糸唐辛子が飾られています。

 チンゲン菜と煮卵が添えられていました。

 大きな角切りの豚肉は、醤油ベースの甘辛で、八角(スターアニス)の香りが効いており、口の中でホロリと崩れるほどやわらかく煮込まれていました。

 豚肉はごはんとの相性も抜群で、あっという間に食べ終えてしまいました。

 その後、デザートとしてマンゴーシャーベットをいただきました。

(マンゴーシャーベット)
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 マンゴーシャーベットにウエハースが添えられていました。

 マンゴーそのものをいただいているような、ねっとりした食感のシャーベットでした。


ビューレストラン特製牛肉麺(ニョウロウメェン)

 満腹中枢が働く前に、続けて南館4階の「ビューレストラン」を訪問しました。

 店名のとおり、(実際に走行している新幹線の)眺めを楽しみながら食事することができるレストランです。

 事前に食券を購入し、厨房へ注文するセルフサービスのレストランで、広い店内に大勢のお客さんが利用されていました。

 私は「ビューレストラン特製牛肉麺」の食券を購入し、注文しました。

 空いている席に座り、しばらく待っていると、出来上がりを知らせる呼び出しベルが鳴ったので、料理を受け取りに行きました。

(ビューレストラン特製牛肉麺)
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 台湾の牛肉麺(ニョウロウメェン)は、「外省人」(がいしょうじん:中国各地の省から台湾へ移住した人やその子孫)の故郷の味と、地元台湾の食材を融合して生み出された料理です。

 醤油ベースの汁麺に、角切りの牛肉の煮込みがたっぷり盛られていました。

(ビューレストラン特製牛肉麺(牛肉))
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 具は、牛肉煮込み、チンゲン菜、煮卵、白ねぎです。

 かかっているスパイスは花椒(ホアジャオ)だと思います。

 醤油ベースのピリ辛スープと、甘辛く仕上げられた牛肉煮込みが麺とよく合いました。

 魯肉飯に続けて牛肉麺を食べると、ごはんか汁麺かの違いだけで、同じような具・味付けのものをいただいているような感じもしましたが、いずれもあらかじめ作っておいて、注文に応じて素早く提供できるというメリットがあると思いました。

 パスタや洋食を食べる親子連れ、うどんやラーメンを食べるシニア世代、カツカレーを箸で食べる欧米人など、多種多様な国の料理・人々で構成される面白いレストランでした。


まとめ

 食事を終え、館内から外を眺めると、様々な列車を見ることができました。

(新幹線E4系Max・E259系・E231系)
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 写真手前のE4系Max(二階建て新幹線)は鉄道博物館の展示列車ですが、その奥を走るE259系(成田エクスプレスなどで使用される列車)や、E231系(二階建て・グリーン車を有する在来線)は、実際に運行されている車両です。

 帰り際、鉄道博物館駅構内で、アーケードゲーム「電車でGO!!」を見かけました。

(電車でGO!!(鉄道博物館駅構内))
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 私もかつて広島駅の改札口に設置されていた「電車でGO!」にハマり、通勤・通学客に注目されながら運転していたことを思い出しました。

(ニューシャトル・鉄道博物館駅・大宮行)
Photo_20250427104001

 2000系車両がやってきました。

 写真左側は新幹線の高架で、ニューシャトルと新幹線が並行して走っています。

 「鉄道のまち大宮」で、鉄道や台湾の鉄道の食文化について学ぶことができました。
 (「鐡道之街-大宮」可見鐡道與臺灣鐡路的飲食文化)


<関連サイト>
 「鉄道博物館」(さいたま市大宮区大成町三丁目47番)
 「鉄道のまち大宮」(JR東日本)

<関連記事>
 「台湾の食文化の特徴と主な料理2 -「和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」と「駅弁ひとり旅」から台湾の駅弁を理解する・魯肉飯(滷肉飯)と台湾の駅弁「排骨便當」を作る-

<参考文献>
 「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」鉄道博物館・国家鉄道博物館準備処

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コメント

父親の田舎が宮城なので子供の頃、特急「ひばり」もブルートレインも乗ったことがあります^ ^
通路側に簡易の腰掛けがあり、早朝の景色を眺めるのが気持ちよかったです( ̄∇ ̄)
魯肉飯というと中華街で食べたワンコインの魯肉飯を思い出しますが、流石に盛り付けもお上品で、全く別の料理の様に見えますね(^.^)
台湾の鉄道には乗ったことがないので、もし行く機会があれば、是非新幹線に乗ってみたいですね(^_^)

なーまん 様

なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

ブルートレインは全国的に有名ですが、特急「ひばり」は初めて知りました。
大宮の鉄道博物館は東日本の列車を中心に展示されているので、もの珍しく見学しました。

ブルートレインも乗られたことがあるのですね。いいなぁ。
夜中に延々と走り、やがて列車内で朝を迎える…今ではむしろ贅沢な旅となってしまいましたね。

なーまんさんは、中華街とか湘南で、お手頃価格でいただける中華料理店をよく御存知ですね。
魯肉飯は、豪快に食べる方が合っているような気がします。

台湾へは行ったことがないのですが、鉄道も日本製をはじめ、様々な国から技術支援・車両支援を受けておられるようで、様々な列車が運行されているようです。

なーまんさんも、機会があれば台湾の新幹線にお乗りいただき、魯肉飯のようなボリューム満点の駅弁をお召し上がりください(笑)

大宮へようこそ!
鉄道博物館で食のイベントもやっているんですね。
こういう情報は見逃さないところがさすがコウジ菌さんです。
壁一面の駅弁、見ましたか?

chibiaya 様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

久し振りに埼玉へ遊びに行きました。
実はこの日の朝、高崎の手前の本庄駅まで行き、「ナピラ」(納豆ピザライス)というご当地料理を食べようと思っていたのですが、3軒のお店すべてが営業時間外または閉店で、急いで大宮まで戻って、鉄道博物館に伺いました。

鉄道博物館、chibiayaさんのブログ記事で御紹介いただいたのが約2年前でしたね。
その際私は「いつか行ってみたい場所の1つです」とコメントさせていただきましたが、その約2年後に実現しました!
壁一面の駅弁、確かに見学しましたが、あまり記憶に残っておらず、chibiayaさんのブログ記事を再度拝見して、「あっ、あったな」と思い出しました(笑)

今回の企画展は今年6月2日までですので、chibiayaさんも機会があれば、また鉄道博物館へお出かけください。

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