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2025年5月

2025年5月25日 (日)

イギリス料理の特徴と主な料理6 -ベイクウェルプディング・マーマレードケーキ・キャロットケーキ・イートンメス・ミンスパイ・クロテッドクリーム・スコーン-

 広島市内のデパート・福屋 八丁堀本店で「英国展」(2025年5月8日~13日)が開催されました。

 会場でイギリスのお菓子が販売されていたので、いくつか購入しました。

 今回はこの「英国展」で購入したお菓子を中心に、イギリスのお菓子について理解を深めたいと思います。


ベイクウェルプディング

 「ベイクウェルプディング(Bakewell Pudding)」は、イングランド北部のピークディストリクト国立公園にある小さな村・ベイクウェルで生まれた地方菓子です。

 日本で「プリン(プディング)」と言えば、卵・牛乳・砂糖などを蒸して冷やし固めた「カスタードプリン」が一般的ですが、イギリスの「プディング」はもっと広い意味で使われます。

 イギリスの「プディング」は、「小麦粉・パン・米などに卵・牛乳などを混ぜて蒸したり焼いたりしたやわらかい食べ物」といった意味で使われているのです。

 「ベイクウェルプディング」は、パイ生地の一種「パフ・ペイストリー(Paff Pastry)」にジャムをのせ、さらにアーモンドフィリング(アーモンドクリームの生地)を流し込んで焼き上げたお菓子です。

 このお菓子は、「小麦粉を使ってふわふわに焼き上げている」ことから「プディング」と呼ばれています。

(ベイクウェルプディング)
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 外側がふわふわのペイストリー、中心がしっとりとしたアーモンドフィリングとなっています。

(ベイクウェルプディング(中身))
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 底に赤いラズベリージャムが入っています。

 パフ・ペイストリーはパイ生地の一種ですが、小麦粉生地とバターを何層にも折り重ねたサクサクのパイではなく、シュークリームの皮に似たやわらかい(フニャフニャした)練り粉のパイです。

 その食感は、ローストビーフに添えられる「ヨークシャープディング(Yorkshire Pudding)」にも似ています。

 対照的に、中のアーモンドフィリングはアーモンド風味のしっとりした生地に仕上げられていました。

 甘酸っぱいラズベリージャムがアクセントとなったお菓子でした。


マーマレードケーキ

 「マーマレード(Marmalade)」はイギリスで人気の果皮入りジャムです。

 オレンジのマーマレードが使われた「マーマレードケーキ(Marmalade Cake)」をいただきました。

(マーマレードケーキ)
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 焼き上げられたケーキの上にオレンジマーマレードがたっぷりかけられています。

(マーマレードケーキ(オレンジピール))
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 しっとりとしたケーキで、中にオレンジピールがザクザク入っていました。

 オレンジマーマレードとオレンジピールが使われた、オレンジの風味を存分に楽しめるケーキでした。


キャロットケーキ

 「キャロットケーキ(Carrot Cake)」は、生地にすりおろした人参を使ったケーキです。

 砂糖が高価だった中世に、砂糖の代わりに人参の甘さを利用して考案されたケーキです。

 日本で販売されているキャロットケーキには、ケーキの上にクリームチーズのフロスティングがのせられたものも多く見かけます。

(キャロットケーキ)
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 ケーキ生地に粗く刻んだ人参とクルミがたっぷり入っていました。

 人参の甘みとスパイス(シナモン、ナツメグ、オールスパイスなど)の風味がよく効いた素朴なケーキでした。


イートンメス

 「イートンメス(Eton Mess)」は、生クリームにメレンゲやいちごを加えた、イギリスの夏を代表するお菓子です。

 イギリスのパブリックスクール「イートン校」発祥の、「ごちゃ混ぜの・乱雑な(mess)」という意味をもつお菓子です。

 この発想・呼び方は、同じイギリスのお菓子「トライフル(Trifle:つまらないもの)」とよく似ています。

(イートンメス)
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 生クリームにメレンゲといちごがのせられています。

(イートンメス(中身))
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 生クリームの中にもメレンゲといちごが混ぜ込まれていました。

 上にのせられたメレンゲはサクサク、生クリームに混ぜられたメレンゲはしっとり柔らかくなっていて、異なる食感を一度に味わうことができました。

 生クリームに甘いメレンゲと甘酸っぱいいちごが加わった、シンプルで美味しいお菓子です。


ミンスパイ

 「ミンスパイ(Mince Pie)」は、洋酒(ブランデー・ラム酒など)にドライフルーツやナッツ、スパイス(シナモン・クローブなど)を漬け込んだ「ミンスミート」と呼ばれるフィリングが詰められたパイ菓子です。

 「ミンス」は日本で言う「ミンチ」のことで、細かく刻んだ肉(ミンチ)を詰めた肉入りのパイがミンスパイの起源とされています。

 その名残で、現代でもフィリングに牛脂(ミンスミート)を加えて作る製法があるようです。

 クリスマスプディングと同様に、クリスマスシーズンに人気の伝統菓子です。

(ミンスパイ)
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 丸いパイ生地の中にミンスミートが詰められ、上に星形のパイがのせられています。

 初期のミンスパイは、キリスト降誕の言い伝えにならい、飼い葉桶(かいばおけ)の形をしたパイにミンスミートが詰められ、その上に小さな人形のパイがのせられましたが、清教徒(ピューリタン)革命以後、これが「偶像崇拝」にあたるとされ、現在のような丸い形のパイになりました。

(ミンスパイ(中身))
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 ミンスミートは干しぶどう・りんご・アーモンドが使われており、甘くねっとりとして、ラム酒の風味もよく効いていました。


クロテッドクリーム・スコーン

 「クロテッドクリーム(Clotted cream)」は、生乳を低脂肪乳と生クリームに分離させ、その生クリームを低温で加熱して作られるクリームです。

(ロダス・コーニッシュ クロテッドクリーム(包装))
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 こちらは「ロダス(Roddas)」の「コーニッシュ クロテッドクリーム」です。

(クロテッドクリーム)
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 ロダスのクロテッドクリームは、低温オーブンで蒸し焼きして作られるため、表面に黄色い膜(クラスト)ができています。

 試しにクロテッドクリームだけで食べてみましたが、濃厚でクセのない(塩気もない)クリームでした。

 スコーンに塗っていただくのが一番とされるので、スコーンとジャム(いちごジャム)も用意しました。

(スコーン・クロテッドクリーム・いちごジャム)
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 スコーンをパカッと横に割りました。

 「はい、大きく口を開けてー」と歯医者さんになった気分です。

(スコーンを横に割った様子)
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 割ったスコーンに、クロテッドクリームを塗り、さらにいちごジャムを塗りました。

(スコーンにクロテッドクリームといちごジャムを塗った様子)
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 スコーンだけでも十分美味しいのに、さらにクロテッドクリームといちごジャムを添えていただくとは、何とも贅沢な食べ方です。

 今回、紅茶と一緒にこのスコーンをいただいたのですが、クロテッドクリームやいちごジャムは紅茶との相性も良く、スコーン(クロテッドクリーム・ジャム)と紅茶のセットが「クリームティー(Cream Tea)」と呼ばれる理由も理解できました。


「イギリストースト」と「ふらいすこーん」

 おまけとして、イギリスの食文化を踏まえ、日本人向けにアレンジされた創作パン・創作菓子を御紹介します。

 スコーンにクロテッドクリームといちごジャムを添えていただいた際、ふと頭に浮かんだのが、日本でロングセラー商品となっている、食パンにマーガリンといちごジャムを塗った菓子パン(ジャム&マーガリン)です。

(イギリストースト・ジャムストライプ)
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 特に「工藤パン」(青森市)の「イギリストースト」シリーズの「ジャムストライプ」は、スコーンがイギリスパン、クロテッドクリームがマーガリンになっただけで、よく似ています。


 もう1つ、広島の和菓子店「青柳屋」で販売されている「ふらいすこーん・つぶあんバター(折生地スコーン)」を御紹介します。

(ふらいすこーん・つぶあんバター(折生地スコーン))
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 スコーンを油で揚げ、あんこ(つぶあん)とバターをサンドした創作菓子です。

 揚げたスコーンはザクッとしたクッキーのような食感で、あんドーナツ・小倉トースト・あんバターサンド・かりんとう饅頭といった様々な要素が取り入れられた創作菓子です。


 日本でも様々な形でイギリス菓子が取り入れられ、独自のアレンジもなされていることがよくわかります。


<関連サイト>
 「ブリティッシュプディング」(大阪市住之江区西住之江2-7-9)
 「ジェリーズ・パイ」(京都市右京区嵯峨天龍寺瀬戸川町6-7)
 「ロダス」(銀座三越店 東京都中央区銀座4-6-16ほか)
 「フォートナム・アンド・メイソン」(三越広島店 広島市中区胡町5-1ほか)
 「イギリストースト」(工藤パン 青森市金沢三丁目22-1)
 「青柳屋(インスタグラム)」(広島市中区幟町5-8)

<関連記事>
 今回のイギリス料理を含む世界の料理は、「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」を御覧ください。

<参考文献>
 21世紀研究会編「食の世界地図」文春新書
 地球の歩き方編集室「世界のお菓子図鑑」Gakken

2025年5月18日 (日)

こども食堂について理解を深める -こども食堂関連イベント「モアニカフェ」・「ひろしまこども食堂フェア2025」に参加して-

 2025年5月に、「こども食堂」運営者による各種イベントが開催されました。

 「こども食堂」については、最近よく話題になっており、街中で見かけることも多くなりましたが、実際にどんな思いで、どんな活動をされているかについては、「こども食堂」の運営者・参加者でないとわかりづらい状況にあるように思います。

 そこで今回は、「こども食堂」関連イベントの紹介を通じて、皆さんと一緒に「こども食堂」の理解・認識を深めていけたらと思います。


モアニカフェ(初日)

 2025年5月3日から5日の3日間、広島市中区大手町の「大手街倶楽部」で「モアニカフェ」が開催されました。

(モアニカフェ(チラシ))
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 「こども(地域)食堂」を支援するボランティアグループ「モアニクラブ」の皆さんによる、食べて支援できる募金イベントです。

 ちなみに、「モアニ」とはハワイの言葉で「そよ風、穏やかな風」という意味があります。

 モアニクラブのメンバーの方からお誘いいただき、興味を持ってオープン初日に参加しました。

(大手街倶楽部とモアニカフェ)
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 「大手街倶楽部」は、広島平和記念公園の近くにあります。

 建物1階入口がポップコーンなどの販売コーナー、2階がカフェとなっていました。

 少し緊張しながら2階のカフェに入ると、お誘いいただいた方が受付をしておられ、メンバーの皆さんが温かく迎え入れてくださいました。

 モアニカレー、そしてデザートとしてコーヒーとバナナケーキを注文しました。

 テーブル席に座り、しばらく待っていると、モアニカレー…ではなく、コーヒーとバナナケーキが先に運ばれてきました(笑)

(コーヒーとバナナケーキ)
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 レストランで注文する感覚で、一度に会計を済ませた方が良いだろうという気持ちもあり、まとめて注文したのですが、これは私の思い込みだったことに気付きました。

 ほどなくして、別のスタッフの方からモアニカレーも運ばれてきました。

(モアニカレー(初日))
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 一度にそろって、贅沢な気分になりました。

 最初にモアニカレーからいただきました。

 モアニカレーは、ほうれん草と鶏肉のオリジナルカレーです。

 ほうれん草のカレー(パラクカレー・サグカレー)は、インドでも人気の定番カレーです。

 モアニカレーライスの頂上には半熟の温泉卵がのせられ、周りにサラダとキャロットラぺが添えられていました。

 カレーにコクと旨みが増すよう、牛脂も加えられたそうです。

 鶏の挽き肉と細かく刻んだほうれん草を使った、やさしい味のカレーライスでした。

 ちなみに、ほうれん草は農家の方から、お米(「あきさかり」)は農事組合法人「清流の郷 泉」(広島県三原市)からそれぞれ御支援いただいたものです。

 モアニカレーをいただいた後、コーヒーとバナナケーキをいただきました。

 コーヒーを飲み始めた時、「先にコーヒーをお出しして冷めてしまったので、お詫びに…」と、コーヒーをもう一杯御用意いただきました。

 「いえいえ、別にいいんですよ。お気になさらず」とお伝えしましたが、最後は御厚意を受け止め、御用意いただいたコーヒーをいただきました。

 代わりに冷めてしまったコーヒーを取り下げようとされていたので、貧乏性の私はあわてて、「せっかくなのでこちらもいただきます。もったいないですから」とお伝えしました。

(コーヒー2杯とバナナケーキ)
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 本当に美味しいコーヒーは冷めても美味しく、熱い時とは違った味わいが楽しめるのですが、今回のコーヒーはまさにそうでした。

 一杯ずつ丁寧に淹れられた、すっきりとした味わいのコーヒーでした。

 バナナケーキも、バナナの風味がしっかりと感じられる、手作り感あふれるケーキでした。

 2杯のコーヒーをいただきながら、カフェでゆったりと過ごしました。

 追加のコーヒー代をお支払いする気持ちも込めて、わずかながら募金をし、お礼を申し上げて、カフェを後にしました。


モアニカフェ(3日目)

 モアニカフェオープン3日目、大手街倶楽部のモアニカフェを再訪しました。

 モアニクラブの皆さんに「また来ていただいたのですね」と歓迎していただきました。

(モアニカフェ(窓の装飾))
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 今回はピザを注文するつもりでしたが、受付で「モアニカレー、スパイスを増やしてみたんですよ」というお話を伺い、それならと再度モアニカレーを注文しました。

 テーブル席で待つ間、レモンを入れた「お冷や」をいただきましたが、このレモンは広島県大崎上島町のレモン農家さんから御支援いただいたものでした。

 しばらくして、モアニカレーが運ばれてきました。

(モアニカレー(3日目))
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 違いがはっきりとわかるレベルです(笑)

 カレー粉(またはカレールウ)を大幅に足されたようです。

 カレーの具にパプリカが、トッピングにパセリが加えられていました。

(モアニカレー(3日目・半熟卵))
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 半熟の温泉卵の黄身をつぶし、カレーにまぶしながらいただきました。

 馴染み深いカレーの味で、美味しくいただきました。

 食べ終えてから再び受付へ行き、コーヒーとチュロスを注文しました。

 「チュロスは少しお時間をいただきますが…」というお話でしたが、その分、期待が膨らみました。

 わずかながら募金をし、米粉クッキーも購入しました。

(コーヒーと米粉クッキー詰め合わせ)
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 クッキーは飴野 歩さんの商品です。

 グルテンフリー・ヴィーガン対応(小麦粉・白砂糖・添加物不使用)のやさしい味のクッキーでした。

 チュロスが出来上がるのを待っていると、音楽ライブが始まりました。

(音楽ライブ・yu-ko&宮田大)
Yuko

 yu-koさんと宮田大さんによる音楽ライブで、カフェのスタッフ・お客さんも含めて、みんなで盛り上がりました。

 ほどなくして、チュロスを御用意いただきました。

(チュロス)
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 シナモンがたっぷりまぶされた、アツアツのチュロスです。

 表面はパリッと、中はしっとりとした食感の美味しいチュロスでした。

 音楽を楽しみながら、カフェでのんびり過ごしました。

 明るく生き生きと活動されるモアニクラブの皆さんともお話ができ、楽しいひとときでした。


ひろしまこども食堂フェア2025

 モアニカフェで「ひろしまこども食堂フェア2025」を紹介していただきました。

(ひろしまこども食堂フェア2025(チラシ))
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 広島県内の「こども食堂」の活動をより多くの人に知ってもらうためのイベントで、初開催です。

 2025年5月10日には、こども食堂のお食事体験コーナーも設けられるとのことだったので、この日に会場の「ひろしまゲートパーク」を訪問しました。

(ひろしまゲートパーク)
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 「ひろしまゲートパーク」は、広島市中心部・旧広島市民球場跡地に作られたイベント広場です。

 イベントをしている雰囲気がなく、少し不安になりながら園内を歩き回ってみると、「大屋根ひろば」で開催されていました。

(ひろしまこども食堂フェア2025会場)
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 会場内には、広島県内の「こども食堂」の紹介コーナーがありました。

(広島県内こども食堂マップ)
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 広島県内では、約130の「こども食堂」が運営されているようです。

 都市部に多いのは、それだけニーズが高いということなのでしょう。

(広島県内こども食堂の様子(写真展示))
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 「こども食堂」の写真を拝見すると、こどもだけでなく、提供者・運営者をはじめとする大人も生き生きと楽しみながら取り組んでおられる様子が伝わってきました。

 お食事コーナーで飲食品も購入しました。

 訪問したのが15時過ぎで、終盤に差し掛かっていたのですが、何とか滑り込みセーフで買うことが出来ました。

(えびピラフ・やきとり・みかんジュース)
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 「笑愛家(にこや)」(広島市佐伯区)の「えびピラフ」と「やきとり」、そして「夕焼けぽっぽ食堂」(広島市中区)の「みかんジュース」です。

 「えびピラフ」は、海老と細かく刻んだ人参・ピーマン・マッシュルームなどを具にした洋風ピラフです。

 「やきとり」は、鶏肉(モモ・皮)を使った甘辛い醤油だれの焼き鳥です。

 スーパーマーケットなどで売られている市販の焼き鳥とよく似ていたのですが、後日伺った話では、(冷凍)総菜を食品メーカーさんから「こども食堂」へ提供していただくことも多く、その実例として販売されたのではないかということでした。

 「みかんジュース」は、広島みかん100%(ストレート)のジュースで、トッピングに大崎上島の薄切りレモンをのせていただきました。


まとめ

 後日、モアニクラブのメンバーの方から「こども食堂」についてお話を伺いました。

 「こども食堂」と聞くと、こどもだけを対象にしているイメージがありますが、対外的に便宜上「こども」という名称を使っているだけで、本当は大人も含めた地域の交流・憩いの場とすることを目指しておられるそうです。

(こども食堂は「みんなの居場所」)
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 (ひろしまこども食堂フェア2025(チラシ)を一部引用)

 「ひろしまこども食堂フェア2025」のチラシにも、
「「こども食堂」は、こどもだけでなく、赤ちゃんからお年寄りまで、誰もが気軽に集える「みんなの居場所」です。そして、単なる食事提供の名ではありません。誰もがほっとできる居場所、人のつながりを紡ぐ場を地域でつくりだすために存在しています。」
と紹介されています。

(こども食堂の願い)
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 (ひろしまこども食堂フェア2025(チラシ)を一部引用)

 さらに、
「社会に孤立・無関心が広がる中、私たちは「こども食堂」を通じて、地域で暮らす人々の間に、あたたかい声かけとあたたかい眼差しが広がることを願い、活動しています。」
とも紹介されています。

 これまで私が抱いていた「こども食堂」のイメージとは少し異なることがわかりました。

 こども食堂を運営する際の課題として、
 ・こどもだけでなく、大人にも来てほしいこと
 (こどもは無料、大人は有料としているケースが多いが、お金を得られるとそれを運営費に回せるため)
 ・タンパク質が不足していること
 (農家からの野菜の支援は多いが、冷凍保存できる肉や魚の支援は少ない)
 ・オーガニック、無添加などにこだわると経費がかさむこと
 ・こども食堂をかけもちで運営されているケースもあり、運営者側の負担も大きいこと
 ・こどもの貧困、孤食、ネグレクトにも向き合う必要があること
などがあることがわかりました。

 これからもイベントなどがあれば参加し、少しずつ「こども食堂」への理解を深めていけたらと思います。

2025年5月11日 (日)

平松洋子さんの名作「パセリカレー」を作る -パセリカレーライス・パセリカレー麺-

パセリカレーの材料

 広島市内のデパートの野菜売場で、花束ぐらいの大きさ・量のパセリ(徳島県産)が1袋100円(税込み108円)で販売されていました。

 購入した大量のパセリを目の前に、パッとひらめいたのが平松洋子さんが考案された「パセリカレー」です。

 美味しいと評判のパセリカレーですが、「パセリで本当に美味しいカレーが作れるのか?」と半信半疑だった私は、「今こそチャンス!」と思い、パセリカレーを作ってみることにしました。

(パセリ・合挽き肉・にんにく・生姜)
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 パセリカレーの材料となるパセリ(大・7~8本)、牛肉と豚肉の合挽き肉(約300グラム)、にんにく(1片)、生姜(にんにくと同量)です。

 このほか、トマトピューレ(濃縮トマト)、カレー粉、塩、こしょう、唐辛子(パウダー)を用意しました。

 シンプルで用意しやすい材料ばかりです。

 カレーに欠かせない玉ねぎがないのも驚きです。

 材料の揃えやすさも、パセリカレーが多くの人から支持される理由の1つと言えそうです。


パセリカレーを作る

 カレーを作る際、面倒なのが玉ねぎ・にんにく・生姜などのみじん切りです。

 今回のパセリカレーは、パセリさえ細かく刻めば、挽き肉はそのまま使えるし、にんにくと生姜はすりおろせば済むので、比較的楽にカレーが作れるだろうと思っていました。

 しかし、いざパセリを刻んでみると、茎の部分と葉の部分を分けて刻んだり、大量の葉をできるだけ細かく刻んだりと、意外と時間がかかりました。

(みじん切りにしたパセリ)
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 手前が細かく刻んだ茎、奥(上側)が細かく刻んだ葉です。

 もう二度とやりたくないと思ったほど(笑)、大量のパセリを刻みました。

 にんにくと生姜もすりおろしておきます。

(すりおろしにんにく・生姜)
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 どうせ鍋の中で混ざってしまうのだからと、両方同じすりおろし器ですりおろしました。

 ちなみに、にんにくの後で生姜をすりおろせば(刻めば)、にんにくの臭いが手に残るのを軽減させることができます。

 これで料理の下ごしらえが済みました。

 鍋を加熱し、合挽き肉とカレー粉を入れて炒めます。

 油は合挽き肉から大量の油脂が出るので不要です。

 生の挽き肉にカレー粉を加え、カレー粉を挽き肉に馴染ませるよう炒めるのがコツです。

 挽き肉を炒めてからカレー粉を加えると、挽き肉が脂でコーティングされた状態でカレー粉を加えることになり、カレー風味がよく浸み込まないのだそうです。

(挽き肉とカレー粉)
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 カレー粉を別に炒めたり、ルウを作る必要がないので楽です。

 このように挽き肉にカレー粉を馴染ませながら炒めると…

(挽き肉を炒めた様子)
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 挽き肉、特に豚肉の挽き肉を炒めると、大量の油脂が出てきます。

 挽き肉に焼き色が付き、カレー粉と馴染んだところで、細かく刻んだパセリを同じ鍋にドサッと加えます。

(炒めた挽き肉にパセリを加えた様子)
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 挽き肉とパセリが馴染むよう、数回に分けて入れるのがコツです。

 こうすることにより、パセリの水分も飛びやすくなります。

 挽き肉とパセリが馴染んだところで、トマトピューレ、ニンニクとショウガのすりおろしを加えます。

(トマトピューレとにんにく・生姜のすりおろしを加えた様子)
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 水を加えるとスープのようなカレーになってしまうので、私はあえて水は加えませんでした。

 平松洋子さんのレシピでは少量の水を加えるようになっていますが、水よりもトマトピューレの割合が多く、その後によく煮込む(水分を飛ばす)よう説明されています。

 カレーにトマト(ピューレ)を加えることにより、とろみがつき、甘みとコクが出て、さらにカレーの黄色(ターメリックの色)の発色が良くなる効果があります。

 約15分、時々混ぜ返しながら煮込み、最後に塩で調味してパセリカレーの完成です。

(パセリカレーの完成)
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 大量に入れたパセリが、加熱されたことにより凝縮し、挽き肉と一体化してキーマカレーかドライカレーのような感じに仕上がりました。

 平松洋子さんのレシピには、挽き肉の分量が6人分で500グラムとなっています。

 私は当初、「この分量では挽き肉の量が多いのでは」と思ったのですが、出来上がったパセリカレーを見て、挽き肉をたくさん使う理由が理解できました。

 パセリが熱で凝縮し、具が挽き肉主体のカレーになるからです。

(パセリカレーライス)
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 皿にごはんとパセリカレーを盛り付け、パセリカレーライスにしました。

 どんな味に仕上がっているか、ドキドキしながらいただきました。

 「パセリの香りが強いのでは」と想像していたのですが、パセリをじっくり炒めたことにより、パセリが「さわやかな香りのスパイス」に変化していました。

 玉ねぎやセロリなどの「香味野菜」としての役割をパセリが担っているのです。

 カレーを作る際、よく炒めた玉ねぎを使うことが多いですが、その玉ねぎの役割をパセリが担い、玉ねぎよりも香り高い香味野菜としての効果を発揮していました。

 美味しくてあっという間になくなるので、パセリと挽き肉はたくさん使うことをおすすめします。


パセリカレー麺

 ラーメン用の生麺を使って「パセリカレー麺」も作ってみました。

 パセリカレーがスパゲッティのミートソースに似ていることからの発想です。

(パセリカレー麺)
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 生麺を茹で、ザルでお湯を切って皿にのせ、その上にパセリカレーを盛り付けました。

 一口食べてみて、少し一体感がないように感じたので、汁なし担々麵のようにかき混ぜ、「まぜ麺」にしてみました。

(パセリカレー麺(まぜ麺))
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 汁なし担々麵に似た、パセリと挽き肉たっぷりのカレー麺になりました。

 パセリカレーは、今回のようなラーメンのほか、うどんやパスタにも合いそうです。

 半熟の温泉卵を添え、黄身を崩しながら食べても美味しいでしょう。


まとめ

 パセリカレーを実際に作ってみて思ったこと、学んだことをメモしておきます。

 ・挽き肉は、炒めた際に出る油脂の量を考慮すると、牛と豚の合挽きミンチが最適(鍋に油をひく必要がない)

 ・玉ねぎをみじん切りにする手間がない分、大量のパセリをみじん切りにする手間がかかる

 ・パセリは炒めるとカサが減り、トマトの汁気も飛ばすので、挽き肉の量が仕上がるカレーの量に直結する

 ・汁気のあるカレーを作る感覚で塩を加えると、塩辛くなってしまう

 ・パセリを炒めると、パセリ特有の香りは抑えられ、香味野菜とスパイス両方の効果を発揮する


 大量のパセリを刻むのに少し手間がかかりますが、シンプルな調理法で美味しく仕上がるカレーなので、御興味を持たれた方はぜひお試しください。


<関連サイト>
 「平松洋子さんの名作「パセリカレー」のレシピを公開!」(「dancyu」)

<関連記事>
 「産直市・産直野菜コーナーの魅力3 -広島の伝統野菜「祇園パセリ」の特徴とパセリ料理-

<参考文献>
 「平松洋子さんのパセリBOOK(dancyu 2022年12月号)」(プレジデント社)

2025年5月 4日 (日)

台湾の食文化の特徴と主な料理2 -「和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」と「駅弁ひとり旅」から台湾の駅弁を理解する・魯肉飯(滷肉飯)と台湾の駅弁「排骨便當」を作る-

鉄道博物館交流協力企画展「和風×台味 台湾鉄路の食文化」

 2025年3月、さいたま市大宮区にある「鉄道博物館」を訪問し、交流協力企画展「和風×台味(タイウェイ) 台湾鉄路の食文化」(開催期間:2025年2月22日~同年6月2日)を見学しました。

(「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化」広告(日本語版))
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 この企画展では、「台湾の鉄道と食」の観点から、台湾の鉄道、日台の食堂車の歴史・概要、駅弁の歴史、2027年オープン予定の台北の国家鉄道博物館などが紹介されています。

 館内のレストラン・カフェでは、この企画展の会期中に台湾名物のコラボメニューも用意されており、「トレインレストラン特製魯肉飯(ルーローハン)&マンゴーシャーベットセット」、「ビューレストラン特製牛肉麺(ニョウロウメェン)」、「タピオカミルクティー」を味わうことができます。


「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」にみる台湾の排骨便當

 交流協力企画展「和風×台味 台湾鉄路の食文化」では、駅弁が誕生した日本統治時代から現在に至る「台湾の駅弁」について詳しく紹介されていました。

(「和風×台味 台湾鉄路の食文化」会場入口)
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 会場内は写真撮影禁止となっていたので、会場内の様子を御紹介することはできませんが、この企画展の図録の一部から、台湾の駅弁を御紹介したいと思います。

 日本統治時代(1895年~1945年)、台湾の駅弁には日本と台湾、両方の物産(食材)が利用されていました。

 主食はごはん、メインは煮魚、魚・豚肉・野菜の天ぷら、魚の塩焼きなど、副菜は卵焼き、野菜の煮物、煮豆、たくあん・漬物などで構成されていました。

 戦後、台湾総督府鉄道部は「台鉄(台湾鉄道)」に引き継がれました。

 そして、台中鉄道食堂のマネージャー・陶徳鱗(とうとくりん)氏(浙江省出身)と上海出身のシェフが、「江浙料理(こうせつりょうり・江蘇省と浙江省の料理)」をもとに「初代台鉄排骨菜飯弁当(パイコーなめしべんとう)」を開発します。

(初代台鉄排骨菜飯弁当)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p35を一部引用)
 (陳朝強寄贈・国家鉄道博物館準備処所蔵)

 こちらが初代台鉄排骨菜飯弁当です。

 主食はごはんにラードとチンゲン菜を加えて炒めた「菜飯(なめし)」、主菜は素揚げの排骨(パイコー、骨付き豚肉、スペアリブ)、副菜は煮卵、きゅうりの漬物、高菜で構成されています。

 以来、台湾鉄道の代表的な駅弁はこの「排骨(パイコー)弁当」となります。

(2代目台鉄排骨弁当)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p36を一部引用)

 こちらは、林火柴(りんかさい)氏が開発した2代目台鉄排骨弁当です。

 排骨は揚げたあとにタレで煮込み、おかずも塩分を増やすなど、暑い台湾の気候に合わせて、おかずを傷みにくく(腐りにくく)する工夫がなされました。

(3代目台鉄排骨弁当)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p37を一部引用)

 こちらは、李玉霞(りぎょくか)氏が開発した3代目台鉄排骨弁当です。

 排骨は必ずスジ切りして叩くなど調理工程が統一され、タレもネギ・生姜・八角・花椒・玉ねぎ・醤油・氷砂糖・酒などを使う健康的な配合のものに改良されて、現在の定番「排骨弁当」に至っています。


台湾の排骨弁当の特徴-「駅弁ひとり旅」で紹介されている排骨弁当の事例をもとに-

 「駅弁ひとり旅」(双葉社)は、駅弁に特化したグルメ漫画です。

 主人公の大ちゃん(中原大介)が、全国の駅弁を求めて鉄道旅行をする物語ですが、ザ・ワールド編として台湾へも遠征し、台湾の鉄道と駅弁が紹介されています。

 この漫画から、台湾の「排骨弁当」の事例をみてみましょう。

(台北駅・八角排骨便當)
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 (櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p65を一部引用)

 台北駅の「八角排骨便當」です。

 「便當(ヴェンタン)」は「弁当」という意味です。

 白飯に排骨、煮玉子、魚の燻製、野菜炒め、高菜が盛り付けられた弁当です。

(台中駅・台鐡便當)
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 (櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p103を一部引用)

 こちらは、台中駅の「台鐡便當」です。

 白飯に排骨、煮玉子、福神漬、ザーサイ漬物が盛り付けられた弁当です。

(自強号車販・台鐡便當)
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 (櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p179を一部引用)

 こちらは、自強号(特急)車内販売の「台鐡便當」です。

 白飯に排骨、煮玉子、薄い干し豆腐、ししゃもフライ、大根キムチ、ブロッコリーが盛り付けられた弁当です。

 こうして見てみると、台湾の排骨弁当には、「排骨と煮卵(煮玉子)がセットになっている」という共通点を見い出すことができます。

 台湾の「煮卵(煮玉子)」は、日本の弁当の「卵焼き」と同じような定番おかずとなっているのです。

 台湾の「排骨弁当」は、日本の「鮭弁当(鮭と卵焼き)」や「のり弁当(白身魚フライと卵焼き)」と似ています。

 また、台湾では八角の風味が好まれ、弁当のおかずにも甘い八角の風味を効かせた排骨や鶏肉などがよく使われています。

 そのため、揚げ物や煮物が多い、いわゆる「茶色い弁当」になっています。

 そして弁当の盛り付け方も、日本と台湾では異なります。

(台湾駅弁の盛り付け・おかずの配置)
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 (櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p92を一部引用)

 「おかずの味が染みついて美味しい」・「量も少なく見えるし何か物足りない感じがする」といった理由から、「台湾の弁当は(日本のような仕切りで分けた弁当ではなく、)ご飯の上におかずを乗せた「どんぶり形式」が多い」ことが紹介されています。


魯肉飯(滷肉飯)を作る(「和風×台味 台湾鉄路の食文化」企画展コラボメニューを再現する)

 鉄道博物館で「和風×台味 台湾鉄路の食文化」企画展のコラボメニューとして味わった、トレインレストラン日本食堂の「魯肉飯(滷肉飯、ルーローハン)」を作ってみました。

(煮豚)
Photo_20250504080101

 煮汁は醤油・酒・みりんで、香りづけに「五香粉(ウーシャンフェン、ミックススパイス)」を加えました。

 少ない煮汁で、豚肉にすぐ染み込むよう、角切りにした豚肉を煮込みました。

 皿にごはんを盛り付け、茹でたチンゲン菜を添えて完成です。

(魯肉飯(滷肉飯))
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 写真では香りまでお伝えすることはできませんが、五香粉や八角を入れると、本格的な風味の煮豚に仕上がります。

 甘みはみりんだけなので、あっさりした味の魯肉飯(滷肉飯)が出来上がりました。

 これに煮卵と針唐辛子を加えればよかった…と後から気付きました(笑)


台湾の駅弁「排骨便當(パイコーヴェンタン)」を作る

 「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」と「駅弁ひとり旅」を読み、台湾の駅弁「排骨便當」について学んだところで、今度は実際に作って味わってみたくなりました。

 そこで一発奮起し、この弁当を作ってみることとしました。

 台湾の弁当容器は丸いものが多いように感じていたところ、「駅弁ひとり旅」に、その丸い容器についての説明がありました。

(台湾の丸形・フタ付駅弁)
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 (櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p58を一部引用)

 台湾の弁当容器は、丸型でプラのフタ付きが多いようです。

 「どんぶり形式」の弁当が多いことも、丸型が多い理由の1つと言えるでしょう。

 奮起湖(ふんきこ)駅の「奮起湖弁当」の容器を御覧ください。

(奮起湖弁当の容器)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p39を一部引用)

 排骨(パイコー)弁当に、金属製の、繰り返し使用されて多少ボコボコになったような丸型容器を使うと、現地の雰囲気まで味わえそうです。

(奮起湖駅・奮起湖便當)
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(櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p159を一部引用)

 こちらは奮起湖駅の「奮起湖便當」です。

 白飯に排骨、鶏もも肉、キャベツ、豆絲(トースー、豆腐を薄く伸ばして乾燥させ細切りにしたもの)、干しタケノコ、たくあんが盛り付けられた弁当です。

 こうした事例を踏まえ、これから作る排骨弁当にも丸い容器を使うことに決めました。

 100円ショップへ行き、プラスチックのフタが付いた丸型の容器(紙製)を購入しました。

 メインの排骨は、本来は豚のあばら肉(スペアリブ)が使われますが、大きなかたまり肉はなかなか入手できないので、今回は豚バラ肉のかたまりを使用しました。

(豚バラ肉)
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 この豚バラ肉を縦に半分に切り、さらに側面から二等分(厚みを半分)に切ったものを1人前としました。

(チンゲン菜・豚バラ肉・八角・五香粉)
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 今回使用した食材(チンゲン菜・豚バラ肉・八角・五香粉)です。

 まずは豚バラ肉を叩いて薄く伸ばしました。

(豚バラ肉をうろこ取りで叩いて伸ばす)
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 豚肉をどうやって薄く伸ばそうかとしばらく考えましたが、たまたまあった魚の「うろこ取り」で肉を叩いて薄く伸ばしました。

 チンゲン菜は1本1本にちぎり、洗ってから、お湯でさっと茹でました。

(チンゲン菜を茹でる)
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 外側の葉が大きいチンゲン菜は、包丁で縦に半分に切ってから茹でました。

(煮汁)
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 煮汁は、醤油・酒・みりんをベースに、ホールの八角(スターアニス)をひとかけ入れ、五香粉もパラパラと加えて風味付けしました。

(糸唐辛子・煮卵・チンゲン菜)
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 排骨が出来上がってすぐに盛り付けられるよう、糸唐辛子・煮卵・茹でたチンゲン菜を別皿に用意しておきます。

 本当はすべて手作りにしたかったのですが、時間の関係上、煮卵だけは市販のものを準備しました。

 下拵えができ、あとは排骨を調理するのみです。

(片栗粉をまぶした豚肉)
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 薄く伸ばした豚肉の両面に片栗粉をまぶしました。

(片栗粉をまぶした豚肉を揚げ焼きする)
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 フライパンに油を注ぎ、片栗粉をまぶした豚肉を揚げ焼きしました。

(揚げ焼きした豚肉)
Photo_20250504090801

 フライパンから油が飛び跳ねて大変でした…

 片栗粉の衣なので、表面がパリパリに仕上がりました。

 この揚げたての豚肉を、別鍋で煮立てた煮汁の中に入れ、煮込みました。

(揚げ焼きした豚肉を煮込む)
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 揚げ焼きした時点では「少し焦げ色が薄いかな」と思いましたが、煮込んだらちょうどよい焼き色に仕上がりました。

 丸い容器にごはんをよそい、出来上がった豚肉、チンゲン菜、煮卵、針唐辛子を盛り付けたら完成です。

(排骨便當)
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 「成為炸過再滷的臺灣味排骨便當!」
 (揚げてから煮込む、台湾テイストの排骨弁当ができました!)

 八角の甘い香りがする、醤油風味の排骨(豚肉)です。

 サクサクの衣に、甘辛のタレがジュワッと浸み込んでいました。

 丸い容器も、台湾の排骨弁当らしさを演出し、現地で食事しているような感じがしました。

 こうした排骨と煮卵の組合せは、美味しくて、ごはんとよく合い、傷みにくいことから、台湾で定番の弁当となったのでしょう。

 最後に私の感想を…

 「排骨(パイコー)便當、最高(サイコー)!」


<関連サイト>
 「鉄道博物館」(さいたま市大宮区大成町三丁目47番)

<関連記事>
 「台湾料理の特徴と主な料理1 -燜齋鴨(素食北京ダック)と菜食主義(ベジタリアン)-
 「鉄道博物館交流協力企画展「和風×台味 台湾鉄路の食文化」-トレインレストラン特製魯肉飯・マンゴーシャーベット・ビューレストラン特製牛肉麺-
 「ザ・キャピトルホテル東急「ORIGAMI」の受け継がれた味 -シーフードサラダ・排骨拉麺(パーコーメン)・ジャーマンアップルパンケーキ-

<参考文献>
 「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」鉄道博物館・国家鉄道博物館準備処
 櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅(ザ・ワールド 台湾+沖縄編)」双葉社
 「マンガと鉄道(旅と鉄道 増刊 2023年5月)」天夢人・山と渓谷社

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