こども食堂について理解を深める -こども食堂関連イベント「モアニカフェ」・「ひろしまこども食堂フェア2025」に参加して-
2025年5月に、「こども食堂」運営者による各種イベントが開催されました。
「こども食堂」については、最近よく話題になっており、街中で見かけることも多くなりましたが、実際にどんな思いで、どんな活動をされているかについては、「こども食堂」の運営者・参加者でないとわかりづらい状況にあるように思います。
そこで今回は、「こども食堂」関連イベントの紹介を通じて、皆さんと一緒に「こども食堂」の理解・認識を深めていけたらと思います。
モアニカフェ(初日)
2025年5月3日から5日の3日間、広島市中区大手町の「大手街倶楽部」で「モアニカフェ」が開催されました。
(モアニカフェ(チラシ))
「こども(地域)食堂」を支援するボランティアグループ「モアニクラブ」の皆さんによる、食べて支援できる募金イベントです。
ちなみに、「モアニ」とはハワイの言葉で「そよ風、穏やかな風」という意味があります。
モアニクラブのメンバーの方からお誘いいただき、興味を持ってオープン初日に参加しました。
(大手街倶楽部とモアニカフェ)
「大手街倶楽部」は、広島平和記念公園の近くにあります。
建物1階入口がポップコーンなどの販売コーナー、2階がカフェとなっていました。
少し緊張しながら2階のカフェに入ると、お誘いいただいた方が受付をしておられ、メンバーの皆さんが温かく迎え入れてくださいました。
モアニカレー、そしてデザートとしてコーヒーとバナナケーキを注文しました。
テーブル席に座り、しばらく待っていると、モアニカレー…ではなく、コーヒーとバナナケーキが先に運ばれてきました(笑)
(コーヒーとバナナケーキ)
レストランで注文する感覚で、一度に会計を済ませた方が良いだろうという気持ちもあり、まとめて注文したのですが、これは私の思い込みだったことに気付きました。
ほどなくして、別のスタッフの方からモアニカレーも運ばれてきました。
(モアニカレー(初日))
一度にそろって、贅沢な気分になりました。
最初にモアニカレーからいただきました。
モアニカレーは、ほうれん草と鶏肉のオリジナルカレーです。
ほうれん草のカレー(パラクカレー・サグカレー)は、インドでも人気の定番カレーです。
モアニカレーライスの頂上には半熟の温泉卵がのせられ、周りにサラダとキャロットラぺが添えられていました。
カレーにコクと旨みが増すよう、牛脂も加えられたそうです。
鶏の挽き肉と細かく刻んだほうれん草を使った、やさしい味のカレーライスでした。
ちなみに、ほうれん草は農家の方から、お米(「あきさかり」)は農事組合法人「清流の郷 泉」(広島県三原市)からそれぞれ御支援いただいたものです。
モアニカレーをいただいた後、コーヒーとバナナケーキをいただきました。
コーヒーを飲み始めた時、「先にコーヒーをお出しして冷めてしまったので、お詫びに…」と、コーヒーをもう一杯御用意いただきました。
「いえいえ、別にいいんですよ。お気になさらず」とお伝えしましたが、最後は御厚意を受け止め、御用意いただいたコーヒーをいただきました。
代わりに冷めてしまったコーヒーを取り下げようとされていたので、貧乏性の私はあわてて、「せっかくなのでこちらもいただきます。もったいないですから」とお伝えしました。
(コーヒー2杯とバナナケーキ)
本当に美味しいコーヒーは冷めても美味しく、熱い時とは違った味わいが楽しめるのですが、今回のコーヒーはまさにそうでした。
一杯ずつ丁寧に淹れられた、すっきりとした味わいのコーヒーでした。
バナナケーキも、バナナの風味がしっかりと感じられる、手作り感あふれるケーキでした。
2杯のコーヒーをいただきながら、カフェでゆったりと過ごしました。
追加のコーヒー代をお支払いする気持ちも込めて、わずかながら募金をし、お礼を申し上げて、カフェを後にしました。
モアニカフェ(3日目)
モアニカフェオープン3日目、大手街倶楽部のモアニカフェを再訪しました。
モアニクラブの皆さんに「また来ていただいたのですね」と歓迎していただきました。
(モアニカフェ(窓の装飾))
今回はピザを注文するつもりでしたが、受付で「モアニカレー、スパイスを増やしてみたんですよ」というお話を伺い、それならと再度モアニカレーを注文しました。
テーブル席で待つ間、レモンを入れた「お冷や」をいただきましたが、このレモンは広島県大崎上島町のレモン農家さんから御支援いただいたものでした。
しばらくして、モアニカレーが運ばれてきました。
(モアニカレー(3日目))
違いがはっきりとわかるレベルです(笑)
カレー粉(またはカレールウ)を大幅に足されたようです。
カレーの具にパプリカが、トッピングにパセリが加えられていました。
(モアニカレー(3日目・半熟卵))
半熟の温泉卵の黄身をつぶし、カレーにまぶしながらいただきました。
馴染み深いカレーの味で、美味しくいただきました。
食べ終えてから再び受付へ行き、コーヒーとチュロスを注文しました。
「チュロスは少しお時間をいただきますが…」というお話でしたが、その分、期待が膨らみました。
わずかながら募金をし、米粉クッキーも購入しました。
(コーヒーと米粉クッキー詰め合わせ)
クッキーは飴野 歩さんの商品です。
グルテンフリー・ヴィーガン対応(小麦粉・白砂糖・添加物不使用)のやさしい味のクッキーでした。
チュロスが出来上がるのを待っていると、音楽ライブが始まりました。
(音楽ライブ・yu-ko&宮田大)
yu-koさんと宮田大さんによる音楽ライブで、カフェのスタッフ・お客さんも含めて、みんなで盛り上がりました。
ほどなくして、チュロスを御用意いただきました。
(チュロス)
シナモンがたっぷりまぶされた、アツアツのチュロスです。
表面はパリッと、中はしっとりとした食感の美味しいチュロスでした。
音楽を楽しみながら、カフェでのんびり過ごしました。
明るく生き生きと活動されるモアニクラブの皆さんともお話ができ、楽しいひとときでした。
ひろしまこども食堂フェア2025
モアニカフェで「ひろしまこども食堂フェア2025」を紹介していただきました。
(ひろしまこども食堂フェア2025(チラシ))
広島県内の「こども食堂」の活動をより多くの人に知ってもらうためのイベントで、初開催です。
2025年5月10日には、こども食堂のお食事体験コーナーも設けられるとのことだったので、この日に会場の「ひろしまゲートパーク」を訪問しました。
(ひろしまゲートパーク)
「ひろしまゲートパーク」は、広島市中心部・旧広島市民球場跡地に作られたイベント広場です。
イベントをしている雰囲気がなく、少し不安になりながら園内を歩き回ってみると、「大屋根ひろば」で開催されていました。
(ひろしまこども食堂フェア2025会場)
会場内には、広島県内の「こども食堂」の紹介コーナーがありました。
(広島県内こども食堂マップ)
広島県内では、約130の「こども食堂」が運営されているようです。
都市部に多いのは、それだけニーズが高いということなのでしょう。
(広島県内こども食堂の様子(写真展示))
「こども食堂」の写真を拝見すると、こどもだけでなく、提供者・運営者をはじめとする大人も生き生きと楽しみながら取り組んでおられる様子が伝わってきました。
お食事コーナーで飲食品も購入しました。
訪問したのが15時過ぎで、終盤に差し掛かっていたのですが、何とか滑り込みセーフで買うことが出来ました。
(えびピラフ・やきとり・みかんジュース)
「笑愛家(にこや)」(広島市佐伯区)の「えびピラフ」と「やきとり」、そして「夕焼けぽっぽ食堂」(広島市中区)の「みかんジュース」です。
「えびピラフ」は、海老と細かく刻んだ人参・ピーマン・マッシュルームなどを具にした洋風ピラフです。
「やきとり」は、鶏肉(モモ・皮)を使った甘辛い醤油だれの焼き鳥です。
スーパーマーケットなどで売られている市販の焼き鳥とよく似ていたのですが、後日伺った話では、(冷凍)総菜を食品メーカーさんから「こども食堂」へ提供していただくことも多く、その実例として販売されたのではないかということでした。
「みかんジュース」は、広島みかん100%(ストレート)のジュースで、トッピングに大崎上島の薄切りレモンをのせていただきました。
まとめ
後日、モアニクラブのメンバーの方から「こども食堂」についてお話を伺いました。
「こども食堂」と聞くと、こどもだけを対象にしているイメージがありますが、対外的に便宜上「こども」という名称を使っているだけで、本当は大人も含めた地域の交流・憩いの場とすることを目指しておられるそうです。
(こども食堂は「みんなの居場所」)
(ひろしまこども食堂フェア2025(チラシ)を一部引用)
「ひろしまこども食堂フェア2025」のチラシにも、
「「こども食堂」は、こどもだけでなく、赤ちゃんからお年寄りまで、誰もが気軽に集える「みんなの居場所」です。そして、単なる食事提供の名ではありません。誰もがほっとできる居場所、人のつながりを紡ぐ場を地域でつくりだすために存在しています。」
と紹介されています。
(こども食堂の願い)
(ひろしまこども食堂フェア2025(チラシ)を一部引用)
さらに、
「社会に孤立・無関心が広がる中、私たちは「こども食堂」を通じて、地域で暮らす人々の間に、あたたかい声かけとあたたかい眼差しが広がることを願い、活動しています。」
とも紹介されています。
これまで私が抱いていた「こども食堂」のイメージとは少し異なることがわかりました。
こども食堂を運営する際の課題として、
・こどもだけでなく、大人にも来てほしいこと
(こどもは無料、大人は有料としているケースが多いが、お金を得られるとそれを運営費に回せるため)
・タンパク質が不足していること
(農家からの野菜の支援は多いが、冷凍保存できる肉や魚の支援は少ない)
・オーガニック、無添加などにこだわると経費がかさむこと
・こども食堂をかけもちで運営されているケースもあり、運営者側の負担も大きいこと
・こどもの貧困、孤食、ネグレクトにも向き合う必要があること
などがあることがわかりました。
これからもイベントなどがあれば参加し、少しずつ「こども食堂」への理解を深めていけたらと思います。
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5月5日のモアニカフェの様子がXに投稿されていました(^_^)
https://x.com/uko_songflower/status/1919387746193576297
5月5日というと、なーまんが川崎でオリオンビールを飲んでた頃ですね(^^;;
これはパラクキーマカレーでしょうか?
キーマカレーの本場インド、パキスタンでは宗教上の理由から牛肉や豚肉は使用しない様ですね(^.^)
ご飯に比べカレーの量が倍増された様ですが?
日本の子供の貧困率は世界水準になりつつある様ですし、老人の孤独死もますます社会問題になりそうですね!
今度近所の子供食堂を訪問したいと思いました(^_^)
投稿: なーまん | 2025年5月18日 (日) 18時02分
なーまん 様
なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
なーまんさんがオジー自慢のオリオンビールを飲まれていた頃、私はこども食堂自慢のカレーやケーキ・コーヒーをいただいていたサー(笑)
Xの投稿記事も御紹介いただき、ありがとうございます。
そうそう、こんな感じでした。
日本でキーマカレーと言えば、牛と豚の合挽き肉や、牛肉のミンチがよく使われますが、インド・パキスタンではこれらの肉は使われないようですね。
それを踏まえると、今回のモアニカレー(パラクキーマカレー)はよく考えられています。
確かに、初日と3日目ではカレーとライスの比率が逆転していますね(笑)
日本のこどもの抱える問題と高齢者の抱える問題、こうした問題を食事での交流を通じて解決を目指そうとする活動が「こども食堂」だと思います。
ちょっと勇気を出して「こども食堂」を利用し、みんなと一緒に食べてみたり交流したりすれば、いろんな社会勉強が出来そうです。
投稿: コウジ菌 | 2025年5月18日 (日) 22時29分
小学生ぐらいの子どもなら食べる量はたかが知れているかもしれませんが、
それでも人数がいたら無料で提供するって大変なことでしょうね。
いつも同じ食材が手に入るわけではないだろうし、限られたものの中からメニューを考えるのも大変そうです。
こういう活動をされている方には本当に頭が下がります。
投稿: chibiaya | 2025年5月18日 (日) 23時22分
chibiaya 様
chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
そうですね。よく考えてみると、たとえ無料で食材が入手できたとしても、会場借上代、光熱水費、人件費、広告宣伝費…と様々な事にお金がかかるので、これらの経費を含めて、こどもに無料で提供することはかなり大変ですね。
食材だって、同じものが一度に大量に届くことだってあるでしょうし、何を作ればこどもたちが美味しく食べてくれるかをいつも考えておられるでしょうし…。
ボランティア精神がないとできないし、続かないと思います。
本当に頭が下がります。
こども食堂については、まだまだ知らないことが多いので、また機会があればこうしたイベントに参加し、勉強したいと思います。
投稿: コウジ菌 | 2025年5月19日 (月) 22時45分