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2025年6月15日 (日)

美術館とカフェ・レストランの魅力10 -広島県立美術館「ダリ展」とコラボメニュー(スペイン・カタルーニャ地方の料理)・サルバドールダリとチュッパチャプスのロゴマーク-

特別展「生誕120周年 サルバドール・ダリ -天才の秘密-」とダリの特徴

 広島県立美術館で、特別展「生誕120周年 サルバドール・ダリ -天才の秘密-」が開催されました。(2025年4月15日~6月8日)

(広島県立美術館)
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 ダリの作品を鑑賞するため、広島市中区上幟町の広島県立美術館を訪問しました。

(サルバドール・ダリ)
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 サルバドール・ダリ(1904-1989)は、スペイン・カタルーニャ州フィゲラス生まれの芸術家です。

(スペイン・カタルーニャ州フィゲラス)
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 帝国書院ウェブサイト「白地図・ヨーロッパ」を一部引用・加工

 ダリは、絵画の世界では「抽象美術」・「シュルレアリスム」の画家として知られます。

 「シュルレアリスム(超現実主義)」は、人間の心の中や現実の背後にあるものを描くもので、理性を否定したニーチェや過去の芸術を否定した「ダダイズム」、無意識の世界を広めたフロイトらの思想が影響しています。

(「ダリ展」ポスター)
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 このダリ展のポスターで紹介されているダリの「ビキニの3つのスフィンクス」は、ビキニ諸島の核実験をもとにした作品で、人間の頭の形をした「きのこ雲」などが描かれています。

 ダリは広島・長崎に原爆が投下されたことに影響を受け、原子をテーマにした作品も描きました。

 ダリの特徴がよく表現されている作品が「ヴィーナスの夢」です。

(サルバドール・ダリ「ヴィーナスの夢」)
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 (サルバドール・ダリ「ヴィーナスの夢」広島県立美術館)

 ダリは自分が気に入った画題を度々作品に描いており、それがダリの絵の特徴となっています。

 ダリの作品には、燃えるキリン、柔らかい時計、ロブスター、チョウ、アリ、自動車などがよく登場します。

(柔らかい時計)
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 (サルバドール・ダリ「ヴィーナスの夢」の一部を抜粋)

 この柔らかそうな、ドロドロに溶けた時計は、ダリがカマンベールチーズが溶ける様子にヒントを得て描かれたと言われています。

(ロブスターとアリ)
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 (サルバドール・ダリ「ヴィーナスの夢」の一部を抜粋)

 ダリは、「かたい鎧(よろい)をまとっているけど中身は柔らかい」ロブスターが好物でした。

 また、「恐怖や不安を感じさせるもの」の象徴として群れをなす小さな黒アリもよく登場します。

 このほか、「自由の象徴」としてチョウを描いたり、「高級なものの象徴」として自動車(ロールスロイス)を描いたりと、影響を受けたもの、心の中にあるもの、小さな頃から記憶に残っているものを作品で表現しています。

 ダリの特徴をまとめると…
①常識にとらわれない天才肌の人物
②具体的なモノを組み合わせて、現実にはあり得ない世界を描いている
③1つの事象を様々な視点・角度で多面的に描き、様々な意味を持たせている
④人へもモノへも「こだわり」や「偏り」がみられる
⑤一見、簡単そうに描かれた絵でも、実はとても緻密で精巧に描かれている
⑥色彩感覚が優れている
⑦夢・無意識(な性欲)と人間の行動を結び付けたフロイトの思想との共通点がある
といったことが挙げられると思いました。

 シュルレアリスムは「現実離れした、常識では考えられない(理解できない)もの」というイメージがありましたが、ダリの作品を鑑賞して、「現実にはあり得ない組合せから新たな現実を作り、それには(理解可能な)何らかの意味・メッセージが込められている」ことがわかりました。


「ダリ展」コラボメニュー(ティールーム 徒夢創家)

 特別展の開催期間中、広島県立美術館内のカフェ・レストランで「ダリ展」コラボメニューが提供されました。

 ぜひ味わってみたいと思い、まずは「ティールーム 徒夢創家(トムソーヤ)」に伺いました。

(「ティールーム 徒夢創家」のメニュー)
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(「ダリ展」コラボメニュー(ティールーム 徒夢創家))
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 「ダリ展」のコラボメニューは、ダリの出身地スペインにちなんだ「ボガディージョ&ガスパチョセット」と「サングリア&チュロスセット」の2種類が用意されていました。

 いずれも1日10食限定で、「ボガディージョ&ガスパチョセット」はすでに売り切れでした。

 そこで「サングリア&チュロスセット」を注文しました。

(サングリア&チュロスセット)
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 「サングリア」は赤ワインに果物やスパイス、甘味料を加えたフレーバードワインです。

 今回のドリンクは、ぶどう果汁に輪切りのレモンを添えたノンアルコールでした。

(チュロス(チョコレート・抹茶))
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 チュロスはチョコレート(チョコレートソース入り)と抹茶(こしあん入り)の2種類をいただきました。

(チュロス(抹茶とこしあん))
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 チョコレートはまだしも、抹茶とこしあんを組合せたチュロスは、スペイン本国の人からみればシュールな食べ物だと思います(笑)

 すっきり、さわやかなサングリアと熱々のチュロスを美味しくいただきました。


「ダリ展」コラボメニュー(ゾーナ イタリア イン チェントロ)

 同日の夜、広島県立美術館内のレストラン「ゾーナ イタリア イン チェントロ」で、「ダリ展」とコラボしたディナーコースをいただきました。

(コース案内カード)
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 ダリの故郷であるスペイン・カタルーニャ地方の郷土料理のエッセンスを取り入れた料理・デザートで構成されたフルコースです。

 縮景園を眺めながらいただきました。


【鰤のカルパッチョ 大葉とカルボネールのソース】

(鰤のカルパッチョ 大葉とカルボネールのソース)
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 ブリの刺身に大葉と「カルボネール(スペインのオリーブオイル)」のソースが添えられた前菜です。

 ミョウガ、すりおろした山芋、アクセントとして八朔が添えられていました。


【ほうれん草とオレンジポテトのトルティージャ】

 続いて、冷たい前菜として「ほうれん草とオレンジポテトのトルティージャ」をいただきました。

(ほうれん草とオレンジポテトのトルティージャ(バルサミコ・ほうれん草のピューレ))
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 「トルティージャ」は、日本では「スペイン風オムレツ」として親しまれている、スペインの具だくさんオムレツ(卵料理)です。

 バルサミコ・ほうれん草のピューレ、ミニトマト、カダイフ、粉チーズ、ゲランド塩(フランス)が添えられていました。

(ほうれん草とオレンジポテトのトルティージャ)
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 写真手前がほうれん草のトルティージャ、奥がオレンジポテトのトルティージャです。

 「揚げ春雨」のような細い麺状のものが「カダイフ」です。


【県北産ささゆり豚のロースト ピカーダソース】

 続いて、温かい前菜として「県北産ささゆり豚のロースト ピカーダソース」をいただきました。

(県北産ささゆり豚のロースト ピカーダソース)
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 ほんのりピンク色にローストした「ささゆり豚」に、ピカーダソースとベビーリーフが盛り付けられていました。

(ピカーダソース)
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 「ピカーダソース」は、ニンニク、ナッツ、ハーブなどを叩きつぶし(すりつぶし)、オリーブオイルを加えた、カタルーニャ地方のソースです。

 ニンニクとナッツ(アーモンド、松の実、ピスタチオなど)をオリーブオイルで軽く炒めたソースで、ローストポークにナッツのコクと香ばしさが加わりました。


【天使の海老と魚介、サフランのスパゲッティ パエリア風】

 続いて、「天使の海老と魚介、サフランのスパゲッティ パエリア風」をいただきました。

(天使の海老と魚介、サフランのスパゲッティ パエリア風)
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 パスタはイタリア料理ですが、それを魚介のパエリア風に仕上げることで、スペイン料理らしさが演出されていました。

(オリーブオイル)
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 別添えのオリーブオイルをかけていただきました。

 海老、イカ、アサリ、ムール貝、ズッキーニなどパエリアの食材が使われ、サフランで濃いオレンジ色のパスタに仕上げられていました。

 パエリアそっくりのスペイン風パスタでした。


【鰹のサルタート フルーツトマトソース】

 魚介料理として、「鰹のサルタート フルーツトマトソース」をいただきました。

(鰹のサルタート フルーツトマトソース)
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 「サルタート」はイタリア語で「ソテー(焼く・炒める)」を意味する調理法です。

 カタルーニャ地方の名物料理に「カルソッソ」と呼ばれる焼きネギ料理がありますが、今回のプレートにも焼きネギが添えられていました。

 フルーツトマトの甘いソースとともに、鰹のソテーをいただきました。

 鰹のソテーには、緑色の青唐辛子とマスタードで作られたピリ辛ソースも添えられており、アクセントになっていました。


【和牛フィレ肉のサルタート フリカンドソース】

 肉料理として、「和牛フィレ肉のサルタート フリカンドソース」をいただきました。

(和牛フィレ肉のサルタート フリカンドソース)
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 さすが和牛だけあって、フィレ肉とは言え、霜降りのジューシーな肉でした。

(フリカンドソース)
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 「フリカンド」は、カタルーニャ地方に伝わる「薄切り牛肉の煮込み料理」です。

 牛肉にきのこやナッツを入れて煮込んだ料理ですが、今回の料理は和牛フィレ肉のソテーに玉ねぎ、アーモンド、フライドガーリックなどをフォンドヴォーで煮詰めた「フリカンドソース」がかけられ、きのこ(マッシュルーム)が添えられていました。


【カタラーナ オレンジのソース】

 デザートに「カタラーナ オレンジのソース」をいただきました。

(カタラーナ オレンジのソース)
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 「カタラーナ」は、正式名称を「クレマ・カタラーナ」と言い、「カタルーニャ地方(カタラーナ)」の「クリーム(クレマ)」という意味を持つお菓子です。

 濃厚なカスタードクリームの表面に砂糖をまぶし、その砂糖をバーナーで焦がして表面をパリパリにしたお菓子です。

 今回のカタラーナには、オレンジソース、ミント、そして「アリッサム」という白いエディブルフラワー(食用花)が添えられていました。

 濃厚でアイスのように冷たいカスタードと、ほろ苦くパリパリのカラメルが織りなすハーモニーが楽しめました。


 ダリの作品を鑑賞した後で、ダリの故郷にまつわる料理・お菓子をいただき、ダリへの理解が深まりました。


サルバドール・ダリとチュッパチャプスのロゴマーク

 「チュッパチャプス」は世界160カ国を超える国々で、150種類以上のフレーバーが発売されてきた、世界で最も有名な棒付きキャンディです。

(チュッパチャプス(キャンディ・グミ))
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 「キャンディ(コーラ・グレープ・パイナップル)」と「サワーベルト グミ(ミックスフルーツ味)」です。

(チュッパチャプス(コーラ味のキャンディとミックスフルーツ味のグミ))
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 手前がコーラ味のキャンディ、奥がミックスフルーツ味のグミです。

 こうした「チュッパチャプス」の商品に使われている「Chupa Chups」というロゴマークは、1969年にダリがレストランで描いたスケッチが採用されたものです。

(チュッパチャプスのロゴマークについて)
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 (ウェブサイト「チュッパチャプス」から一部引用)

 絵心のない私だと、どういうデザインにするか悩んダリ、考え込んダリすることでしょうが、天才肌のダリは「ひらめき」で描いたようです。

 チュッパチャプスのロゴマークは、ある意味、世界で最もよく知られたダリの作品です。

<関連サイト>
 「広島県立美術館」(広島市中区上幟町2-22)
 「チュッパチャプス」(クラシエ)

<関連記事>
 「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展と食 -ラクレット・カスクノーフル-
 「美術館とカフェ・レストランの魅力1 -ジャルダンプレート・ピスタチオのムース・黒ねこクッキー・白磁彩菓・トンバイ有田-
 「美術館とカフェ・レストランの魅力7 -「おいしいボタニカル・アート」おいしいコラボレーション・ホテルグランヴィア広島「サブール」-
 「美術館とカフェ・レストランの魅力8 -おいしいボタニカル・アート記念講演会「おいしい植物」と人間の歴史・展示会特別メニュー-

<参考文献>
 池上英洋監修「マンガでわかる「西洋絵画」の見かた」誠文堂新光社
 広島県立美術館ワークシート「のぞいてみよう さがしてみよう ダリの不思議な世界」

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コメント

なーまんが若者の頃は実存主義や精神分析について、知ったかぶりするのが流行ってました(^^;;
ダリもわけもわからず好きで、今も画集や美術展の図録を蔵書しています(^.^)v
ダリの絵画は「抽象美術」というより「現実離れした具象美術」といった感じでしょうか?
抹茶とこしあんのチュロスは日本人でもシュール?
でも、あんぱんという前例がありますからね( ̄∇ ̄)
カタルーニャ地方の郷土料理といえばパエリアですが、スパゲッティ パエリア風というのは、
ちょっと意表をつかれました(^。^)
肉も魚もフルーツも美味しそう!
でも、フランス人は赤身が好みだそうですが、スペイン人はどうなのでしょうか?

有名な画家=古い人というイメージなのですが、ダリは意外と最近(といっていいのか…)の人なんですね。
チュッパチャプスのロゴが彼の作品だとは知りませんでした。
スペイン風オムレツってトルティージャって言うんですね。トルティーヤと似てて紛らわしいです(笑)

なーまん 様

なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

へえーっ、なーまんさんはダリの画集や図録をお持ちなんですね!
ダリの絵画は「現実離れした具象美術」。確かにおっしゃるとおりだと思います。
逆に私の知ったかぶりがバレてしまい、お恥ずかしい限りです(^^ゞ

抹茶とこしあんのチュロス、あんこ好きの私にとっては、むしろこちらの方が合っていました(笑)
よく考えれば、海外から伝えられたパンに日本独特の甘い小豆(あんこ)やジャム、カレーなどを入れることの方が、外国の方から見ればよっぽどシュールですね。

スパゲッティのパエリア風は、イタリアンレストランならではの料理・工夫だと思いました(笑)
これこそ、意表をついたダリ的発想かも知れませんね。

写真がお上手ななーまんさんから、美味しそうだと言っていただき、とても嬉しいです!
ただ、やはり野菜が美味しそうとはならないんですね(笑)

スペイン人はどんなものが好みなのか…ごめんなさい、正直なところ、そこまでは把握しておりませんが、肉だけでなく、魚介や米も好まれていることから、好みが日本人と共通する点も多いように思います。

chibiaya 様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

美術の長い歴史の中では、ダリはごく最近の画家に位置付けられますね。
最近の画家で、世界中に知られているというのはとても名誉なことだと思います。

チュッパチャプスのロゴマークのお話、私も今回の特別展を鑑賞して初めて知りました。
5月11日がダリの誕生日ということで、広島県立美術館が同日、「先着300名にダリがロゴを手掛けたキャンディ・チュッパチャプスをプレゼントする」というイベントをされたことで知りました。
このイベントを知った瞬間、「この話題を含めたブログ記事を作ろう」と思ったという訳です(笑)

スペインで「トルティージャ」はオムレツ(卵料理)、それが海を渡ってメキシコへ伝わると、トウモロコシ粉を生地にした「トルティーヤ」と呼ばれる料理に変化する…確かに紛らわしいですね!(笑)

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