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2025年6月22日 (日)

山形の食文化の特徴3 -「つるおか食文化市場FOODEVER」と鶴岡の食文化(つや姫・昔ながらの郷土料理・いとこ煮)-

広島空港から庄内空港へ

 2025年3月7日、山形県鶴岡市を訪問しました。

(空路案内(広島-羽田-庄内))
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 広島空港から飛行機を利用し、羽田空港経由で庄内空港へ向かいました。

 広島空港から羽田空港へ向かう途中、窓から富士山が見えました。

(ANA672便から眺めた富士山)
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 その後、飛行機は着陸態勢に入り、羽田空港に到着しました。

 庄内空港行きの乗り継ぎ時間は約1時間30分だったので、空港内のラウンジで過ごしました。

(ANA395便(羽田空港))
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 羽田空港発、庄内空港行きANA395便です。

 出発時刻となり、同便は庄内空港へ向けて離陸しました。

(ANA395便から眺めた東京都心部)
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 眼下に東京都心部を眺めつつ、北へ向かって飛行しました。

 早朝からの旅だったので、疲れてウトウトしていると、飛行機が着陸態勢に入るとのアナウンスがありました。

 ふと窓の外を眺めると…

(ANA395便から眺めた山形県山地・内陸部)
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 3月にもかかわらず、雪で覆われている光景に驚きました。

 「雪に慣れていないので困ったな…」と思っていると、やがて状況が一変し、田畑が広がる庄内平野に入りました。

(ANA395便から眺めた庄内平野)
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 羽田空港から約1時間(フライト時間は約40分)、あっという間に庄内空港に到着しました。

(ANA395便・庄内空港着)
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おいしい庄内空港

 庄内空港の愛称は「おいしい庄内空港」です。

 到着ロビーでマスコットキャラクターの「まめうさ」が出迎えてくれました。

(庄内空港ビルマスコットキャラクター「まめうさ」)
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 「まめうさ」は、口元にだだちゃ豆の「だだちゃさん」を付けたウサギです。

(おいしい庄内空港)
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 ターミナルビルの屋根は庄内米をデザイン化したものです。

 食に興味を持つ私は、空港名に「おいしい」と付く庄内空港の施設をゆっくり見学してみたかったのですが、庄内空港連絡バスのりばへ直行しました。

 なぜなら、この空港連絡バスは飛行機の到着時刻に合わせて出発し、出発の目安が到着の10分後と設定されているからです。

(庄内空港連絡バス(酒田行・鶴岡行))
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 写真手前の赤いバスが鶴岡行、奥の青いバスが酒田行です。

 鶴岡行きの連絡バスに乗車すると、ほどなくしてバスが出発しました。


観光・食文化情報発信拠点「つるおか食文化市場FOODEVER」

 連絡バスは約30分かけて鶴岡駅に到着しました。

(鶴岡駅と鶴岡市内循環バス)
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 鶴岡駅前を散策すると、目の前に観光案内所・「つるおか食文化市場FOODEVER(フーデヴァー)」の入口がありました。

(観光案内所・つるおか食文化市場FOODEVER入口)
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 駅前交差点側にも入口がありました。

(つるおか食文化市場FOODEVER入口)
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 中に入って、施設を見学させていただきました。

(世界のユネスコ食文化創造都市 鶴岡)
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 鶴岡は、その風土や歴史に育まれた豊かな食文化が認められ、2014年12月1日、日本で初めて「ユネスコ食文化創造都市」に認定されました。

(世界のユネスコ食文化創造都市)
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 (「つるおか食文化市場FOODEVER」展示資料)

 日本では、鶴岡市のほか、大分県臼杵市も「ユネスコ食文化創造都市」に認定されています。

(世界のユネスコ食文化創造都市 鶴岡のあゆみ)
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 ユネスコの認定を目指し、2010年から食文化関連のシンポジウム・フォトコンテスト・映画祭・フェスタなど様々なイベントが鶴岡で開催されました。

(情報発信スペース)
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 情報発信スペースでは、鶴岡の食文化を紡ぐ人々や食材が紹介されています。

(庄内の代表食材(野菜))
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 庄内地方の野菜を中心とした代表食材が紹介されているコーナーもありました。

 鶴岡では、カブ、ナス、ネギ、柿など、約60種類の在来種が栽培されています。

 ちなみに、希少な在来作物「藤沢かぶ」が栽培されている鶴岡市藤沢地区は、作家・藤沢周平のペンネームの由来となったことでも有名です。

(紅エビ・トラフグの紹介)
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 海に面した庄内地方は、紅エビやトラフグをはじめ、タラ、ハタハタ、真鯛、アンコウ、カナガシラ、スルメイカ、由良アナゴ、口細カレイ、サクラマス、岩のり、エゲシ(海藻)など海産物にも恵まれており、豊かな食文化が形成されました。

(飲食店舗)
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 館内には飲食店舗もあり、様々な料理やお酒を味わうことができます。

 「つるおか食文化市場FOODEVER」は、鶴岡の食文化の情報発信・交流拠点です。


ふろむ亭の「ふるさと定食」

 鶴岡のふるさと料理を求めて、同市日出一丁目の「ふろむ亭」を訪問しました。

 鶴岡駅から少し距離があったのですが、歩いてお店へ向かいました。

(切添大橋から眺めた新内川と金峰山)
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 途中、鶴岡の街並みや自然の風景を楽しむことができました。

(ふろむ亭店舗)
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 お店に着くと、「営業中」と掲げられているものの、のれんが玄関の中にあったので、「営業されていますように…」と祈る気持ちでお店のドアを開けました。

 すると店主さんが出て来られ、御案内いただけたので、ホッと一安心しました。

 外は風が強かったため、のれんは中に掲げられていたのでしょう。

 旅先で荷物が多かったこともあり、座敷席でゆっくり食事させていただくことにしました。

 注文するメニューはあらかじめ決めていました。

 鶴岡で誕生したお米「つや姫」を土鍋で炊いたごはんと、鶴岡の伝統的な御馳走が味わえる「ふるさと定食」です。

 土鍋でごはんが炊かれるため、この定食は注文してから約20分かかるのですが、その時間も旅行スケジュールに折り込み済みです。

 出来上がりに本当に20分程度かかったのですが、その間、店主さんとの会話も弾み、楽しく時間を過ごせました。

 まずは料理が運ばれてきました。

(ふるさと定食)
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 鶴岡の伝統的な御馳走をずらりと用意していただきました。

 高級料理ではなく、昔から地元・鶴岡で「日常の食事」として食べられてきた料理ばかりです。

 それぞれの料理を御紹介します。

(味噌汁)
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 味噌汁の具は、麩・厚揚げ・ネギ・大根・人参・レンコン・椎茸・しめじで、たっぷり具を入れることで、良い「だし」が出ていました。

(ヒラタケと鶏肉の煮物)
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 こちらは「ヒラタケと鶏肉の煮物」です。

 庄内地方はきのこや山菜も多く採れます。

(切り干し大根)
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 こちらはお馴染みの「切り干し大根」です。

(玉こんにゃくの煮物)
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 「玉こんにゃくの煮物」です。

 「玉こんにゃく」は、山形市の「山寺(宝珠山立石寺)」で精進料理として使われていたものが周辺住民にも広まっていったとされる、山形のご当地食材です。

(しそ巻き)
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 こちらは「しそ巻き」と呼ばれる、昔ながらの郷土料理です。

 大葉(しそ)に「味噌ダネ」(味噌に砂糖、ゴマ、クルミ、ピーナッツ、唐辛子などを加え、もち粉などで練り固めたもの)をのせてクルクル巻き、油で揚げた料理です。

(しそ巻き(味噌ダネ))
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 油でサクサクに揚げられた大葉と甘辛の味噌ダネのコンビネーションが最高で、おかずにもおつまみにも嬉しい一品です。

(冷奴(山ぶどう塩))
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 こちらは冷奴です。

 ざっくりとした食感の手作り豆腐が使われています。

 豆腐にかけられているピンク色のものは「山ぶどう塩」です。

 山ぶどうの風味・酸味が味わえる塩で、新潟県村上市の製塩業者から仕入れておられるそうです。

(赤魚の煮付け)
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 こちらは「赤魚の煮付け」です。

(大根の桜漬け)
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 大根を梅酢で漬けた「大根の桜漬け」です。

(ひじき煮)
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 こちらは「ひじき煮」です。

 海の幸・山の幸に恵まれた鶴岡で、昔から食べられてきた日常の料理を堪能しました。

 やがて炊き上がったごはんも運ばれてきました。

 土鍋のフタを開けると、炊きたての「つや姫」ごはんが登場しました。

(土鍋で炊いた「つや姫」ごはん)
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 「つや姫」という名のとおり、お米がつやつやと光り輝いていました。

 ごはんを茶碗によそって、いただきました。

 米粒は大きくて真っ白、食感はモチモチしてやわらかく、噛みしめるほどに甘みとうまみが感じられました。

 さらに、冷めてもモチモチで美味しいことがわかりました。

 むしろ冷めた時(おにぎりにした時)こそ本領を発揮するのが「つや姫」の特長なのです。

 「つや姫」は他のお米と比べて少し高価なのですが、それだけの価値があることが理解できました。

 店内には、山形のブランド米「つや姫」と「雪若丸」の登録証が掲げられています。

(「つや姫」と「雪若丸」の登録証)
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 山形県全体で「つや姫」と「雪若丸」の生産・販売・消費の拡大に取り組まれています。

 店主さんにお話を伺ったところ、「鶴岡は昔からお米の一大産地で、米沢(山形県内陸部)が飢饉の時も、鶴岡では白い米を食べていた」、「鶴岡では(昔から白米が好まれ)玄米を食べる文化すらない」とのことでした。

 さすがお米の本場。お米の美味しさを知ることができました。

 食後のデザートとして「いとこ煮」をいただきました。

 「いとこ煮」と言えば、小豆とカボチャを煮た料理がよく知られていますが、鶴岡では小豆ともち米を一緒に甘く炊いたものを言います。

(いとこ煮の紹介文)
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 最近では「いとこ煮」を作る家庭が減ってしまい、食べる機会が失われつつあるようです。

(いとこ煮)
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 こちらが鶴岡の「いとこ煮」です。

 おはぎを崩したような仕上がりになっています。

 店主さんのお話では、「作る家庭・お店によって違いがある」とのことです。

 また、「祖母に作ってもらった「いとこ煮」はかなり甘かったので、祖母の作り方を伝承しつつ、甘さは控えめに仕上げている」そうです。

 さらに、「作りたてより、少し寝かせた方が美味しさが増す」ことも教えていただきました。


 高級料理ではなく、見映えを意識した料理でもない、鶴岡の伝統的な日常料理ばかりですが、実はこうした料理が鶴岡の食文化の原点であり、魅力なのだと思いました。

 店主さんとの会話が盛り上がり、土鍋のごはんが何度も炊けるぐらいの時間を過ごしましたが(笑)、こうした番狂わせは大歓迎です。

 鶴岡の食文化の知識も深まり、とても有意義なひとときを過ごすことができました。


<関連サイト>
 「鶴岡食文化創造都市推進協議会」(事務局 鶴岡市食文化創造都市推進課)
 「つるおか観光ナビ 頂きます(グルメ)」(鶴岡ツーリズムビューロー)
 「ふろむ亭」(山形県鶴岡市日出一丁目4-8)
 「つや姫・雪若丸」(山形「つや姫」「雪若丸」ブランド戦略推進本部)

<関連記事>
 「山形の食文化の特徴1 -米沢の鯉料理と食用菊-
 「山形の食文化の特徴2 -芋煮,納豆汁,ひょう干し煮,あさつきの酢味噌和え,そば-

<参考文献>
 「つるおかおうち御膳 改訂令和4年版」鶴岡食文化創造都市推進協議会

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コメント

味噌汁の色がすごく濃いですね。
アップの写真を見ると味噌だとわかりますが、定食全体の写真のはおしる粉かと思いました(^^;)
山ぶどう塩って面白いですねー。
ひと振りするだけで料理が華やかになるのもいい感じです。
さすが米どころ山形、白飯に合いそうな料理がたくさんありますね。

chibiaya 様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

chibiayaさんからいただくコメントは、時々ハッと気付かされることがあるのですが、味噌汁がお汁粉に見えましたか(笑)
確かに私も「愛知の赤味噌みたいに濃い色の味噌汁だな」と思いました。
具だくさんで美味しい味噌汁でした。

山ぶどう塩、山ぶどうの風味とかすかな甘味を感じるお塩でした。
店主さんが大学の工学部応用化学科の御出身と伺ったので、こうした料理の発想はお得意なのだと思います。

今回、山形を訪問し、ごはんの美味しさに感動しました。
そのごはんに合う素朴なおかずが、鶴岡の食文化の中心となっていました。

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