青森のソウルフード探訪記3 -生姜味噌おでん・いがめんち・嶽きみの天ぷら・黒石つゆ焼きそば・七戸産長芋の紫蘇漬け-
弘南鉄道・弘南線列車に乗って黒石へ
青森県黒石市に「つゆ焼きそば」と呼ばれる、ちょっと珍しい御当地料理があるという情報を入手しました。
そこで、2025年3月、この「つゆ焼きそば」を味わうべく、弘前駅から弘南鉄道・弘南線列車に乗って黒石駅へ向かいました。
(弘南鉄道・弘南線列車(弘前駅))
弘前駅の券売機で紙のきっぷを購入し、改札口で入鋏(にゅうきょう・ハサミの切れ込みを入れること)してもらって、入場しました。
(弘南鉄道のきっぷ)
地方ローカル線のほのぼのとした雰囲気に癒されました。
17時発の列車に乗り、黒石駅へ向かいました。
途中、車窓から「津軽富士」とも呼ばれる岩木山が見えました。
「ああ、津軽富士が見える」
(弘南線の列車から眺めた岩木山(津軽富士))
「ただ津軽富士だけを、レンズ一ぱいにキャッチして、津軽富士、さようなら、お世話になりました。パチリ。」
太宰治の気持ちでシャッターをパチリと切ったのでした。
ただ実際には、岩木山が大きく、岩木山を囲む感じで列車が走るため、岩木山に「さようなら」するどころか、岩木山がいつまでもついてくる感じでした。
17時36分、終点の黒石駅に到着しました。
(やきそばのまち黒石)
改札を出ると、「よぐ来たねし~やきそばのまち黒石」という看板が目に留まりました。
焼きそばは黒石市民に馴染み深い食べもので、黒石市内には焼きそばの店舗数が約70軒もあります。
黒石焼きそばの特徴は、甘辛いソースと太くて平たい麺(太平麺)にあります。
(黒石駅)
3月上旬でしたが、駅前には、まだ雪がたくさん積もっていました。
歩いてお店へ向かいました。
(「蔵よし」店舗)
「蔵よし」というお店の名前のとおり、江戸時代の土蔵造りを基調とした建物となっています。
お店に入り、テーブル席を案内していただきました。
メニュー表を見て、黒石の郷土料理・名物料理を中心に料理を注文しました。
今回いただいた料理を御紹介します。
いがめんち
「いがめんち」は、イカ(津軽弁では「いが」)と野菜(玉ねぎ、人参など)を細かく刻み、小麦粉や片栗粉をつなぎにして、多めに油を敷いた鉄板で焼いた津軽の郷土料理です。
料理で余ったイカや野菜をミンチにし、ハンバーグやミートボールのように仕上げた、無駄のない、津軽の先人の知恵と工夫が詰まった料理です。
(いがめんち)
こちらが「いがめんち」です。
熱々のいがめんちにレモンを絞っていただきました。
(いがめんち(中身))
細かく刻んだイカと人参を丸め、揚げ焼きされていました。
油で揚げたミートボールのような食感で、イカの旨みと人参の甘みが合わさり、いくらでもいただける美味しさでした。
生姜味噌おでん(青森おでん)
青森市を中心とした地域では、おでんに生姜味噌をつけて食べる風習があります。
厳しい寒さの中、青函連絡船を利用するお客さんの体を少しでも温めようと、屋台のおかみさんが味噌に生姜をすりおろして入れたものをお客さんに提供したのが始まりとされています。
(生姜味噌おでん)
竹輪、大根、こんにゃく、さつま揚げ(平天・ボール)、たまご、昆布など、様々な具が入っていました。
(すりおろし生姜入り味噌だれ)
こちらが「すりおろし生姜入り味噌だれ」です。
甘めの味噌に、粗めにすりおろした生姜をたっぷり入れた味噌だれです。
(こんにゃくと味噌だれ)
こんにゃくに生姜入り味噌だれをかけていただきました。
昆布や魚粉の旨みを生かした、上品であっさりした味のおでんだしに、生姜入り味噌だれの味がよく合いました。
(さつま揚げと味噌だれ)
さつま揚げにも味噌だれをつけてみました。
からしのようにも見えますが、生姜がたっぷり入った甘めの味噌なので、たっぷりかけていただくことができます。
確かに、身も心も温まりました。
この「青森おでん」とよく似た食べ方として、おでんに生姜醤油をつけて食べる「姫路おでん」(兵庫県姫路市)があります。
嶽きみの天ぷら
「嶽きみ(だけきみ)」は、とうもろこしのブランド名です。
岩木山麓の嶽(だけ)高原で栽培・収穫されたものだけが「嶽きみ」と呼ばれます。
「嶽きみ」の特徴はとても甘いことで、採れたてのものだと糖度が18度以上にもなり、メロンかそれ以上の甘さがあります。
その「嶽きみ」の天ぷらをいただきました。
(嶽きみの天ぷら)
とうもろこしの実の部分を包丁でそぎ切り、衣をつけて揚げたものです。
(嶽きみの天ぷら(中身))
いただくと、スイーツのように甘いとうもろこしの天ぷらでした。
天ぷらにし(高温で加熱し)、衣にほのかな塩味をつけることで、より一層とうもろこしの甘みが引き出されているように感じました。
「富士には月見草、津軽富士には嶽きみがよく似合う」
黒石つゆ焼きそば
最後に黒石名物「つゆ焼そば」を注文しました。
「つゆ焼そば」が提供される前に、「つゆ焼そば」と「黒石つゆ焼そば」の説明資料を見せていただきました。
(「黒石焼そば」・「黒石つゆ焼そば」の始まり)
その説明資料には、
・「黒石焼そば」は戦後まもなく、市内の製麺所で中華麺の素材で作られた
・当時、麺裁断用の刃がうどん用のものしかなかったので、特有の「太平麺(ふとひらめん)」が生まれた
・昭和30~40年代には、市内のあちこちに何十軒もの焼きそば店が点在していた
・当時は10円単位で買うことができ、三角に丸めた経木や紙に包んで提供された
・「黒石焼そば」は半世紀以上前から市民に愛された黒石伝統の食文化
・「黒石つゆ焼そば」は、昭和30年代後半、中郷中学校の傍にあった「美満寿(みます)」という食堂で、学校帰りの子供たちが注文した焼きそばに、中華そばのつゆをかけて提供したのが始まりと言われている
・当時「もつけ(お調子者)」の子供たちは、テーブルに置いてあったウスターソースをこれでもかと大量に入れ、むせるほど酸っぱくして食べたというエピソードが知られている
と紹介されていました。
「焼きそばを経木や紙に包んで提供された」というお話は、群馬県桐生市で「ポテト焼きそば」や「子供洋食」を食べた時にお店の御主人から伺ったお話とまったく一緒で、昭和30~40年代の光景が目に浮かぶようでした。
(「つゆ焼そば」のお召し上がり方)
「つゆ焼そば」の食べ方についても紹介されていました。
・当店では、焼きそばの麺をソースで炒め、出汁は和食屋ならではの本鰹節を使っている
・まずは、かき混ぜる前にお出汁を味わっていただきたい
・麺を食べ進むと、徐々にソースが浸み出してきて、鰹出汁とソースの不思議な美味しさに変化してくる
・サクサクの舞茸天とプリプリの海老天も当店の特徴
知れば知るほど「つゆ焼そば」への期待が高まりました。
その期待感が頂点に達した時、タイミングを見計らったかのように「つゆ焼そば」が運ばれてきました。
(つゆ焼そば)
うどんのような麺に、透き通った汁、そして舞茸と海老の天ぷら。
「えっ、これのどこが焼きそば?」と思いました。
(つゆ焼そば(麺・海老天・舞茸天))
まずはそのままの状態でおつゆをいただいてみると、確かにうどんやそばに使われる鰹節ベースの上品な和風だしでした。
ところが、太さはうどん、見た目は蕎麦のような麺をいただくと、味はソース焼きそばなのです。
ひととおり味わったところで、麺と汁を混ぜてみました。
すると、汁の色が濃くなり、味も甘い焼きそばソースの味にどんどん近づいていきました。
こうなると、もう元の味には戻れません(笑)
食べ進めるうちに、焼きそばの証拠となる具が登場しました。
(つゆ焼そば(豚肉・玉ねぎ))
麺と一緒に炒められた豚肉と玉ねぎです。
この写真から、汁の色がソースで濃くなり、焼きそばを炒めた際の油もにじみ出ていることがわかります。
和風だしのそば・うどんが、かき混ぜながら食べ進めるうちにソース焼きそばに近づいていく、味の変化も楽しめる料理です。
「つゆ焼そば」について、お店の方に直接お話を伺ったところ、焼きそばは前の日にあらかじめ作っておき、時間をかけて麺にソースを馴染ませているとのことでした。
作りたての焼きそばに汁を注ぐと、焼きそばのソースがそのまま汁に溶け込んでしまうのだそうです。
意外と手間暇かけられた料理であることがわかりました。
七戸産長芋の紫蘇漬け
つゆ焼そばに、漬物が添えられていました。
(七戸産長芋の紫蘇漬け)
青森県七戸(しちのへ)産長芋の紫蘇漬けです。
七戸町は青森県内有数の長芋の産地で、昼夜の寒暖差により、糖度の高い長芋が採れます。
この長芋を赤紫蘇の梅酢に漬けた紫蘇漬けは、ほんのりピンク色をして、ほどよい紫蘇の風味があり、シャキシャキした食感も楽しめました。
黒石のつゆ焼きそばを中心に、津軽の郷土料理を堪能しました。
お店の方にお世話になったお礼を申し上げ、お店を後にしました。
まとめ
再び黒石駅に戻り、同駅から弘南鉄道・弘南列車を利用して弘前駅へと向かいました。
(弘南鉄道・弘南線列車(黒石駅))
列車があと数メートル後進したら、雪に埋もれてしまいます(笑)
私が乗車したのが土曜日の夜だったこともありますが、列車の乗客が私1人になる区間もありました。
(弘南線列車・車内)
ただ、車内広告には、各種イベントや地元の高校とのコラボレーション企画など、弘南鉄道を盛り上げる様々な取組みがなされており、地元で愛されている鉄道であることがよく伝わってきました。
私からは、弘前駅から弘南鉄道・弘南線を利用して黒石市を訪問し、全国的にも珍しい「黒石つゆ焼きそば」や津軽の郷土料理を味わうグルメ旅をおすすめします。
<関連サイト>
「弘南鉄道」
「蔵よし」(青森県黒石市横町13)
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