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2025年9月21日 (日)

リトアニア料理の特徴と主な料理 -クゲリス・黒パン(ライ麦パン)・カーシャ・ビーツのサラダ・ティンギニス-

リトアニアの食文化

 東京で世界の朝食が味わえるお店「TASTE THE WORLD(テイスト・ザ・ワールド)」。

 2025年8月・9月限定の朝ごはんは「リトアニアの朝ごはん」です。

 リトアニアはバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の中で最も南に位置する国です。

(リトアニア)
Photo_20250921062001
 (帝国書院ウェブサイト・世界白地図・ヨーロッパを引用・一部加工)

 主な食材は、大麦、ライ麦、ジャガイモ、ビーツ、きのこ、ベリー(ブルーベリー、ラズベリー)、蜂蜜、肉、乳製品です。

 特に18世紀後半にもたらされたジャガイモは、日常的に食べられるようになり、様々なレシピが発達しました。

 ジャガイモを茹でる、焼く、煮るだけでなく、すりおろして調理するのもリトアニア料理の特徴です。

 ジャガイモをすりおろすのは大変な力仕事ですが、現代のリトアニアの家庭にはジャガイモ専用の電動すりおろし機があり、日本の炊飯器のように、一家に一台の調理器具となっています。


リトアニアの朝ごはん

 「TASTE THE WORLD 外苑前店」を訪問すると、お店にリトアニアの国旗が飾られていました。

(TASTE THE WORLD 外苑前店)
Photo_20250921063101

 今回お店で御用意いただいたリトアニアの朝ごはんプレートがこちらです。

(リトアニアの朝ごはんプレート)
Photo_20250921063401

 リトアニアの代表的な料理、クゲリス、黒パン(ライ麦パン)、カーシャ、ビーツのサラダが盛り付けられたプレートです。

 それでは順に料理を御紹介します。


【クゲリス】

 「クゲリス」は、すりおろしたジャガイモをオーブンで焼き上げたジャガイモのパンケーキです。

 リトアニアを代表する伝統的なジャガイモ料理です。

(クゲリス)
Photo_20250921063901

 玉ねぎと角切りベーコンで仕上げたサワークリームソースが、クゲリスにたっぷりかけられています。

(クゲリス(中身))
Photo_20250921064801

 ジャガイモのデンプンと水分により、もっちりとした、やわらかい蒸しパンのような食感でした。

 ほどよい塩気の効いたサワークリームソースとの相性もよく、メインディッシュとしてもいただける料理でした。


【黒パン(ライ麦パン)】

 リトアニアでは、ライ麦から作られる「黒パン」が好んでよく食べられます。

 黒パンは日々の食卓の主役で、昔から様々な儀式や祭事にも用いられてきました。

(黒パン(ライ麦パン))
Photo_20250921070101

 サワー種で発酵させているため、ほのかな酸味があります。

 そのまま食べると少しパサつき感がありますが、ヘンプシードバター(麻の実入りバター)を塗っていただくことで、より食べやすく、美味しさも増しました。


【カーシャ】

 「カーシャ」は、穀物の「お粥」です。

 そば、小麦、大麦、オート麦など様々なカーシャがあります。

(カーシャ)
Photo_20250921071001

 今回いただいたカーシャは、「そばの実のカーシャ」で、ガーリックバターが添えられていました。

 やわらかく煮込まれたそばの実を、スプーンですくっていただきました。

 口の中でプチプチと弾ける食感を楽しみました。

 リトアニアには、水から煮込んだカーシャのほか、牛乳、バター、砂糖、ジャムなどで味付けしたカーシャもあり、甘いカーシャはこどもたちに人気があるようです。


【ビーツのサラダ】

 リトアニアでは、ビーツがよく食べられます。

 そのビーツを使ったサラダをいただきました。

(ビーツのサラダ)
Photo_20250921073601

 角切りのビーツのほかに、角切りのジャガイモ、ニシン、ピント豆(うずら豆)を混ぜ合わせたサラダです。

 ただ、すべての食材がビーツの赤色に染まっているため、ビーツだけのサラダに見えてしまいますが(笑)

 さらにビーツの食感は、少しかために茹でたジャガイモの食感とよく似ているため、実際に食べてもビーツとニシンだけのサラダだと勘違いしそうです。

 ビーツのほんのりとした甘さと酢漬けニシンの酸味が絶妙な、ポテトサラダのような料理です。

 ロシアには「毛皮のコートを着たニシン」と呼ばれるビーツと酢漬けニシンのサラダがありますが、これとよく似た料理だと思いました。


ティンギニス

 デザートとして「ティンギニス」をいただきました。

(ティンギニス)
Photo_20250921075101

 「ティンギニス」は、砕いたクッキーと練乳、ココア(チョコレート)、バターなどを型に流し込み、冷やし固めたお菓子です。

 簡単に作れることから、「怠け者」を意味する「ティンギニス」と呼ばれるようになりました。

 今回のティンギニスには、クッキーのほかにベリーやクルミも加えられ、赤スグリの甘酸っぱいソースが添えられていました。

 冷やし固めたクッキー入りの生地はとてもかたく、フォークで一口サイズに切るのが大変でした。

 隣の席のお客さんに飛ばしてしまうのではないかとヒヤヒヤしながら(笑)、フォークで切り分けました。

 クッキーのザクザク感と、キャラメルチョコバーのようなネッチリ感が合わさった、リトアニアで人気のお菓子です。


<関連サイト>
 「TASTE THE WORLD」(東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F(外苑前店)ほか)

<関連記事>
 「リトアニアのお菓子 -Sesame Bars(セサミバー)-
 世界の料理については,当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。

<参考文献>
 「TASTE THE WORLD」リトアニア料理紹介リーフレット
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken
 地球の歩き方編集室「世界のお菓子図鑑」Gakken

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コメント

ヨーロッパというところは小さな国がいっぱいあって、言葉も宗教も違う!
当然料理も違って当然d(^_^o)
という感じでしょうか?
見るからにズッシリとした、満腹感を予感される料理ではありませんか ʘ‿ʘ
ライ麦とジャガイモがなければ、北ヨーロッパの人口はどんだけだったか?
デザートも質実さを感じますが、ソースのデコレーションはお店のオリジナル
でしょうか?

なーまん様

なーまんさん、こんにちは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

今回、リトアニアの料理の記事をまとめていて、「ヨーロッパはそれぞれの国で違いや特徴が見い出せる一方で、周辺国とよく似た料理もあるな」と思いました。
食材はよく似たものが使われますが、その国々で様々なバリエーションが見られるといった感じだと思います。

ライ麦やジャガイモを使った料理は、ずっしりとして食べ応えがあり、寒冷地でも育つので、重宝されてきたのでしょうね。
おっしゃるとおり、ライ麦とジャガイモがなかったら、北ヨーロッパの人口は増えなかったことでしょう。
これは歴史が証明してますね。

デザートのソースのデコレーション、これはお店のオリジナルだと思います。
「怠け者」はここまでしないはずです(笑)

この前、業務スーパーでリトアニア産のライブレッドを買いました!
…と思って念のため調べたら、エストニア産でした(^^;)
https://www.gyomusuper.jp/product/detail.php?go_id=6876
酸味が効いていて美味しかったです。
さすが旧ソ連、食文化はロシアと似た感じですね。
でもティンギニスはイタリアのチョコレートのサラミみたいです。

chibiaya 様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

へぇー、業務用スーパーでは、エストニア産のライブレッドといった珍しいものも売られているんですね!
そしてchibiayaさんもライブレッドを召し上がるんですね。
素朴で、ずっしりと食べ応えがあって、ほのかな酸味も感じる、独特のパンですよね。
私は何も塗らずに(つけずに)、素朴な味をそのまま味わうのも好きです。

リトアニアのすぐ南の地域は、ロシアの飛び地・カリーニングラード州ですが、確かにカーシャやビーツのサラダなど、ロシアの食文化と共通している料理も多いですね。
リトアニアは周辺の様々な国・地域の影響を受けていると言えます。

ティンギニスは、確かにチョコレートのサラミとそっくり(というかほぼ同じ)ですね!
チョコレートのサラミも、冷やしたものだと結構硬そう(笑)
肉のサラミと同様に、薄く切って味わいながらいただきたいです。

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