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2025年10月

2025年10月26日 (日)

ビッグ錠先生の世界20 -浅草すしや通り「十和田」・「美味しんぼ」海原雄山も絶賛した「暮坪そば」・浅草のおかみさんと浅草吉原の文化-

ビッグ錠先生おすすめのお店

 2025年10月12日、神奈川県藤沢市湘南台で開催された「漫画飯オフ会」・「ビッグ錠誕生日祭2025」に参加しました。

(「ビッグ錠誕生日祭2025」チラシ)
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 イベント終了後、ビッグ錠先生、シャンソン歌手の浜野ケイ子さん、そしてアコーディオン奏者のえびさわなおき。さんと私の4人でお話する機会がありました。

 その際、ビッグ錠先生が私に「明日は何か予定があるの?」と聞かれたので、私は「いえ、特に決めてません。東京を散策して(広島へ)帰ろうかなと思っています」とお答えしました。

 するとビッグ錠先生から、
「だったら、浅草のそば屋「十和田」を訪ねるといいよ。六区に近い「すしや通り」のお店。おかみさんが僕のことよく知ってるから」
とお話がありました。

 浅草、すしや通り、そば屋、十和田、おかみさん…キーワードを頼りに、ネットでお店を調べました。

 「浅草は帰りに利用する羽田空港へのアクセスも良好だし、明日お店へ行ってみよう」と心に誓いました。


浅草すしや通りと浅草「十和田」

 翌日、「かっぱ橋道具街」を散策した後、浅草「すしや通り」に到着しました。

(浅草すしや通り商店街)
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 「本当に寿司屋さんが多い!」というのが訪れた感想です。

 「すしや通り」という名称は、明治時代、雷門通りから六区に通ずる延長100mの通りに18軒もの寿司屋が連なったことに由来しています。

 この「すしや通り」に、手打ちそばのお店「十和田」があります。

(十和田(浅草すしや通り))
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 お店に入ろうとした時、お店の中から1人の女性が出て来られました。

 お店の服を着ておられたことから、私は「もしかしてこの方がおかみさんでは」と思い、とっさに「あっ、おかみさんですかー?」とお尋ねしました。

 するとその方が「はい、わたしがおかみさんです」とお答えいただきました。

 本当に「十和田」のおかみさんだったから良かったものの、今思い出しても、よく言えたなぁと恥ずかしくなってしまいます(笑)

 でもこの会話のおかげで、その後もおかみさんとお話しすることが出来ました。

 おかみさんに、「ビッグ錠先生にこちらのお店とおかみさんを紹介していただきました」とお話しすると、おかみさんは嬉しそうに「ビッグ錠さんには浅草のまちおこしでお世話になっていますから」とおっしゃいました。


「十和田」の暮坪そば・一品料理

【暮坪そば】

 席に着くと、おかみさんがお越しになり、おすすめのメニューを教えてくださいました。

 そんなおかみさんのアドバイスをそっちのけで、私の目が釘付けになったメニューがありました。

 「暮坪そば(くれつぼそば)」です。

(「暮坪そば」の紹介文)
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 「暮坪カブ」のおろしが薬味に添えられたそばです。

 「暮坪カブ」は岩手県遠野市の伝統野菜で、グルメ漫画「美味しんぼ」32巻の「第4話 薬味探訪」でも紹介されています。

(岩手県遠野の名産「暮坪カブ」)
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 (雁屋 哲・花咲アキラ「美味しんぼ 32巻」小学館(ビッグコミックス)から一部引用)

 カブは一般的に丸くずんぐりした形をしていますが、暮坪カブは長細い大根のような形をしています。

 美食俱楽部の海原雄山も驚いた伝統野菜です。

(海原雄山「暮坪そば」命名)
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 (雁屋 哲・花咲アキラ「美味しんぼ 32巻」小学館(ビッグコミックス)から一部引用)

 蕎麦と暮坪カブをおろした薬味の組合せに感動した海原雄山は、これを「暮坪そば」と名付けました。

 「グルメ漫画」というつながりや、あの海原雄山を唸らせた料理に興味を持ち、暮坪そばを注文しました。

 おかみさんがお店の方に「暮坪そばって、今日はもう売切れじゃなかったっけ?」と確認してくださったところ、「いえ、まだあります」とのお返事だったので、ホッと一安心しました。

 そばが出来上がるのを待っていると、おかみさんが再びやって来られ、「これをどうぞ」と冊子をプレゼントしていただきました。

(浅草タウン誌「おかみさん」第40号)
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 私はあわててお代をお支払いしようとしたところ、「いいのよ。ビッグ錠さんにはお世話になっているし」とおっしゃいました。

 その後も申し訳ないからとお金をお支払いしようとしたのですが、断られたため、お言葉に甘えて頂戴しました。

 おかみさんの心意気の良さを見せていただいたとともに、これもビッグ錠先生のおかげだと感謝しました。

 感動の余韻が冷めないうちに、料理が運ばれてきました。

(暮坪そば)
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 こちらが「暮坪そば」です。

 お盆の手前に、そばつゆと一緒に、薬味として「暮坪カブおろし」と「刻みねぎ」が用意されていました。

(暮坪カブおろし)
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 こちらが暮坪カブをすりおろした「暮坪カブおろし」です。

 もし私が何も知らずにこれを食べたら、間違いなく「大根おろし」だと思うことでしょう。

 「美味しんぼ」で、美食俱楽部の海原雄山は暮坪カブおろしを食べて、次のような感想を述べています。

 「しかし、辛味大根と決定的な違いがあるぞ…」
 「香りはひなびて みょうに郷愁を誘う…」
 「それは土の香り…」
 「これは…見た目が大根おろしに似ているが、大根ではない…」
 「もしかすると これはカブか」

 海原雄山は、こうして見事に大根おろしではなくカブおろしであることに気付いたのです。

 私にはこうしたワインのソムリエのような味わい方も説明もできませんが(笑)、ただ1つ気付いたのは、大根おろしのように水分をたっぷり含んでフワッとした食感ではなく、カブで繊維が詰まっている分、シャリシャリした食感に近かったということです。

 だから、めんつゆに入れても味が薄まらず、そばの風味を引き立てる薬味になっていると思いました。

 辛味の中にほのかな甘みも感じる薬味でした。

 そばも、シャッキリ、つるんとした食感で、のどごしがよく、上品な味わいのそばでした。


【海老天ぷら】

 そばと一緒に、単品料理もいただきました。

(海老天ぷら)
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 「海老の天ぷら」です。

 カラッとサクサクに揚げられており、天ぷらもお店の看板メニューであることがわかりました。


【わさびの茎 醤油漬】

(わさびの茎 醤油漬)
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 こちらは「わさびの茎 醤油漬」です。

 メニューに「静岡産わさびの茎は女将イチおし!」とあったので、いただきました。

 シャキシャキした食感で、醤油のマイルドな味わいの後に、わさびの辛味がツンとくる一品でした。


【揚げにんにく】

 お店のメニューの中で、「暮坪そば」と同様に気になる一品料理がありました。

(青森県田子産「揚げにんにく」案内)
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 にんにくの産地・青森の「揚げにんにく」です。

 こちらのお店では、岩手・遠野の「暮坪カブ」、青森の「にんにく」、秋田の「いぶりがっこ」など東北の食も味わうことができます。

 この「揚げにんにく」をいただきました。

(揚げにんにく)
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 なんと、皮付きのにんにくを1玉丸ごと油で揚げた一品が提供されました。

 味噌が添えられています。

 どうやって食べるのかと思いましたが、にんにくを一片ずつ皮ごと口に含むと、茹でた枝豆のようにつるんとにんにくが飛び出してきて、簡単に食べることが出来ました。

 にんにくが中までしっかり加熱され、とろけるような食感でした。

 ほんのり塩味が効いているので、そのままでも美味しく、味噌をつけると深みが増しました。

 ボリューム満点で、お得感もある、コウジ菌イチオシ!の一品です。


【りんごジュース】

(りんごジュース)
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 りんごジュースもいただきました。

 青森を訪問した際、りんごジュースでハズレだったことはなかったのですが、このりんごジュースも当たりでした。

 「そば屋なら、お酒(日本酒)だろう!」

 お酒に弱い私に、貴重な御意見ありがとうございました(笑)


「十和田」とグルメ漫画家

 店内には、グルメ漫画家のサイン・作品も展示されていました。

(「味いちもんめ」メンバーの羽子板)
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 倉田よしみ先生が描かれた「味いちもんめ」メンバーの羽子板が飾られていました。

 そしてこんなお酒も…

(ミッドナイト・ジョー)
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 「ミッドナイト・ジョー ビッグ錠ラベル」!!

(ミッドナイト・ジョー(快盗くいしん坊))
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 「俺流!絶品めし Vol.28」ぶんか社 p177の一部を引用・加工

 「ミッドナイト・ジョー ビッグ錠ラベル」は、スコットランドのスペイサイド(スペイ川流域)・オルトモア蒸留所で11年熟成されたシングルモルトウイスキーです。

 このお酒からも、ビッグ錠先生とお付き合いされている様子が伺えました。


浅草おかみさん会とおかみさん

 後日、おかみさんからいただいた浅草タウン誌「おかみさん」を読ませていただくと、おかみさんが「十和田」のおかみさんだけでなく、「浅草おかみさん会」の会長や理事長としても活躍されていることがわかりました。

 浅草タウン誌「おかみさん」、浅草サンバカーニバル、浅草ニューオリンズ・ジャズフェスティバル、浅草リバーサイドリレーマラソン、歌舞伎、花柳、演劇、能登半島地震の復興支援など、様々な分野で中心的人物として活躍されている様子が伺えました。

(浅草タウン誌「おかみさん」第40号(いい男だねぇ・勝俣州和さんとおかみさんの対談))
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 勝俣州和さんとビールで乾杯されているのがおかみさん(冨永照子さん)です。


吉原の遊郭・花魁

 浅草タウン誌「おかみさん」で、蔦屋重三郎(蔦重)と浅草・吉原(遊郭(ゆうかく)・花魁(おいらん))の話が特集されていました。

 おかみさんは「人を惹きつける街には、色気といかがわしさも必要」とおっしゃっています。

 ちょうどその日、お店を訪問する前に、私は上野にある東京藝術大学大学美術館で「藝大コレクション展2025 名品リミックス!」を鑑賞したのですが、その展覧会で一番印象深かった作品が高橋由一(たかはし ゆいち)さんの「花魁」でした。

(高橋由一「花魁」)
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 高橋由一さんが、明治5(1872)年、次第に廃れていく吉原の花魁風俗を記録に留めるために描いた作品です。

 高橋由一さんは、花魁の装いを化粧や衣装の細部に至るまで丹念に描かれました。

 ただ、その絵はリアルさゆえに、これまでの錦絵の類型化された美人の姿とは異なる画風となりました。

 そのため、モデルをつとめた四代目小稲さんは完成作品を見て、「私はこんな顔じゃありません」と泣いて怒ったのだとか(笑)

 おかみさんのお話から、この「花魁」の絵やエピソードを思い出しました。


まとめ

 浅草のまちおこしに御尽力されているおかみさん、そしてビッグ錠先生。

 お二人のおかげで、浅草で素敵なひとときを過ごせ、浅草の文化や人情に触れることが出来ました。


<関連サイト>
 「浅草すしや通り商店街」(東京都台東区浅草一丁目)
 「十和田(浅草すしや通り)」(東京都台東区浅草1-13-4)
 「東京藝術大学 大学美術館」(東京都台東区上野公園12-8)

<参考文献>
 協同組合浅草おかみさん会「おかみさん 第40号(令和7年5月27日発行)」
 雁屋 哲・花咲アキラ「美味しんぼ 32巻」小学館(ビッグコミックス)

2025年10月19日 (日)

ビッグ錠先生の世界19 -「ビッグ錠誕生日祭2025」(親子巻き・味平ライス・ブラックホール酢豚・三丼フライ・ハンバーガー焼きそば・雲白肉・ウツボ粥)-

ビッグ錠誕生日祭2025

 2025年10月12日、神奈川県藤沢市湘南台を訪問しました。

 漫画飯のオフ会とグルメ漫画家ビッグ錠先生の誕生日会に参加するためです。

 広島空港から飛行機で羽田空港へ向かいました。

(飛行機の窓から眺めた青空)
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 羽田空港からは、京急線・相鉄線に乗車して湘南台駅に到着しました。

(相鉄・湘南台駅ホーム)
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 お昼過ぎに「ビッグ錠誕生日祭2025」のイベント会場となるバー「アルスノーバ」に到着しました。

(アルスノーバ(オープン前))
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 店内では、すでにイベントの主催者であるズボラさんやマスター、運営スタッフ(アルスノーバの常連さん)の皆さんがイベントの準備に取りかかっておられました。

 そして何と寺沢大介先生もすでにお見えになっていました。

 私も運営スタッフの一員として、イベントの準備をお手伝いしました。

 今回のイベントのチラシです。

(「ビッグ錠誕生日祭2025」チラシ)
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 1次会が「みんなで再現料理の本気チャレンジ」と題した漫画飯の再現イベント、2次会がシャンソン歌手・浜野ケイ子さんのライブとビッグ錠先生のタップダンスという2部構成です。

 ズボラさんが今回のイベントに参加されるビッグ錠先生や寺沢大介先生などの書籍やグッズを用意し、会場に展示されました。

(グルメ漫画コーナー)
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(ビッグ錠先生漫画コーナー)
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(寺沢大介先生漫画コーナー)
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 みんなで食材・ドリンクの買い出しや料理の下拵えなどをし、14時からの開始を目指しました。

 14時前あたりから、イベントに参加される皆さんが来店され、お店がだんだんと賑やかになってきました。

 漫画飯YouTubeオフ会ということで、地元神奈川など関東圏はもちろん、全国からファンが集まりました。

 また、「めしにしましょう」の小林銅蟲先生、「マンガ食堂」のブログ・本を執筆なさっている梅本ゆうこさん、「異世界ラーメン屋台」などの作家・森月真冬先生なども来場されました。

 14時を迎え、「ビッグ錠誕生日会2025」がスタートしました。

 また今回も主役のビッグ錠先生不在での開始となるか…と思われましたが、まもなくビッグ錠先生も来られました。

 特製のバースデーケーキでビッグ錠先生のお誕生日をお祝いしました。

(ビッグ錠先生バースデーケーキ)
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 ビッグ錠先生が懸賞金付きの標的にされています。

 86歳のお誕生日を迎えられたということで、ケーキに8と6のロウソクと花火を差し、点火してビッグ錠先生の元へ届けられました。

 今回の漫画飯オフ会にはお子さんも参加されていたことから、そのお子さんとビッグ錠先生が一緒にケーキを入刀されました。

(ビッグ錠先生とお子さんによるケーキ入刀)
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 ケーキをカットするため、調理で使っていた包丁が差し出されたのですが、私は別の包丁を使うことを提案しました。

 大量にニンニクを刻んでいた包丁をそのままケーキに使うのはマズイからです(笑)

 ビッグ錠先生は、さすがに御自分のお顔の部分へは入刀されていませんでした。

 一方、お子さんは「ビッグ錠先生のお顔の部分が食べたい」とリクエストされていました(笑)


グルメ漫画再現料理の本気チャレンジ

 続いて、グルメ漫画再現料理チャレンジイベントが開催されました。

 当日、チャレンジし、提供されたグルメ漫画再現料理を御紹介したいと思います。


【「将太の寿司」の「親子巻き」】

 湘南台の「日の出寿司」さんから特注のお寿司が届きました。

(親子巻き)
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 寺沢大介先生の漫画「将太の寿司」に登場する「親子巻き」です。

 サーモンとイクラがのった軍艦巻きです。


【味平ライス】

(味平ライス(大皿))
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 ビッグ錠先生の漫画「包丁人味平」に登場する「味平ライス」も用意されました。

(味平ライス)
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 味平ライスの特徴は、具のグリーンピースとチャーシュー(くず肉)、そして紅生姜です。


【ブラックホール酢豚】

 続いて、会場内で様々な漫画飯が作られました。

 まずは、小川悦司先生の漫画「中華一番!」に登場する「ブラックホール酢豚」にチャレンジです。

(漫画本「中華一番!極」)
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 小川悦司先生もこのイベントに御出席いただける予定でしたが、急遽欠席されることになったそうです。

 まずは、ブラックホールのように真っ黒な豚肉の唐揚げが調理されました。

 角切りの豚肉に、片栗粉と竹炭パウダーを混ぜた衣をまぶし(この時点で豚肉の表面は真っ黒になります)、それを油で揚げます。

(片栗粉と竹炭をまぶした豚肉を油で揚げる様子)
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 私は最初に見た時、炭をそのまま油で揚げているのかとビックリしました。

(片栗粉と竹炭をまぶした豚肉を油で揚げ、皿に盛り付けた様子)
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 鍋の油がボコボコに沸き立っているけど、火が強すぎるのでは(笑)

(真っ黒に揚げられた豚肉)
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 石炭のような豚肉の唐揚げ…全く食欲がわきません(笑)

 この真っ黒な豚肉の唐揚げに、黒酢、醤油、みりん、コーンスターチなどで作られたタレを絡めれば、漆黒の「ブラックホール酢豚」の完成です。

(ブラックホール酢豚)
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 タレを絡めると料理らしくなるのが不思議です。

 いただいてみると、馴染みのある酢豚の味がして美味しかったです。


【「スーパーくいしん坊」の「三丼フライ」】

 漫画飯チャレンジの第2弾は、ビッグ錠先生の漫画「スーパーくいしん坊」の「三丼フライ」です。

 ズボラさんから「三丼フライ」が説明されました。

(三丼フライの紹介)
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 カツ丼・天丼・親子丼、3つの味を一度に楽しめる料理が「三丼フライ」です。

 具体的には「トンカツ」と「天ぷら」と「鶏肉と玉ねぎを卵でとじた具」をピラフで包み、それをフライにした料理です。

 漫画では「こうすれば、外の衣は冷めて食べやすく、中のピラフと具はいつまでも温かい」と説明されています。

 油で揚げたカツや天ぷらなどを油で炒めたごはん(ピラフ)で包み、それを1つにまとめてさらに油で揚げる(フライにする)という、ハイカロリーで重たそうな料理です。

(トンカツ・海老フライ・親子丼の素・パン粉・溶き玉子・小麦粉・油)
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 「三丼フライ」の材料(トンカツ・海老フライ・親子丼の素・パン粉・溶き玉子・小麦粉・油)が用意されました。

 親子丼は、レトルト食品のものが用意されたのですが、「肉がねぇー(無い)」と叫び声が聞こえました(笑)

(ピラフにトンカツ・海老フライ・親子丼をのせた様子)
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 まな板の上にピラフを敷き、その上にトンカツ・海老フライ・親子丼がのせられました。

(具をピラフで包む様子)
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 具をピラフで包もうとピラフを追加したところ、ピラフがパラパラでなだれが起きてしまいました。

(ピラフで必死に包もうとする様子)
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 冷静に考えると、ピラフはパラパラになるよう仕上げられているのですから、おにぎりのようにまとまらない(粘りがない)のは当然です(笑)

 これでは到底、油で揚げられないという結論となり、ピラフに粘りを加えることにしました。

(ピラフに小麦粉を混ぜて炒めなおす様子)
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 ピラフに小麦粉を加えてフライパンで炒めることで、粘りを加えました。

 そして改めて、ピラフに具をのせました。

(再度ピラフにトンカツ・海老フライ・親子丼をのせた様子)
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 ピラフに粘りが出て、おにぎりのように1つにまとめることが出来ました。

(かためたピラフにパン粉をまぶす様子)
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 かためたピラフに片栗粉、溶き玉子、パン粉をまぶしました。

 ピラフが崩れないようかき揚げリングに入れ、ゆっくりと油の中に投入しました。

(かためたピラフをかき揚げリングに入れ、油で揚げる様子)
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 参加者から「おっ、出来そうだ」という声が聞こえてきました。

 褐色になったところで油から取り出し、「三丼フライ」が完成しました。

(三丼フライ)
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 出来上がった「三丼フライ」は、ダチョウの卵のような形・大きさでした。

 考案者であるビッグ錠先生に試食していただきました。

(三丼フライを試食するビッグ錠先生)
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 「紅生姜がない」とかブツブツおっしゃってましたが、最後は御満悦でした。


【「ミスター味っ子」の「ハンバーガー焼きそば」】

 漫画飯チャレンジの第3弾は、寺沢大介先生の漫画「ミスター味っ子」の「ハンバーガー焼きそば」です。

 こちらもズボラさんから「ハンバーガー焼きそば」についての説明がありました。

(ハンバーガー焼きそばの紹介)
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 「ハンバーガー焼きそば」は、ワンタンであんかけの具を包み、それをさらに焼きそば麺で包んで油で揚げた料理です。

 どこか「三丼フライ」と発想が似ているような…(笑)

 ワンタンの代わりに餃子の皮を使って、あんかけの具を包むこととなりました。

(餃子の皮にあんかけをのせる様子)
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 あんかけを包みやすいよう、四角いギョウザの皮が用意されました。

(餃子の皮であんかけを包む様子)
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 焼きそば麺は、ゆで麺と生麺の両方が用意され、実演では生麺が使われることとなりました。

(焼きそば麺にあんかけ包み餃子をのせた様子)
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 焼きそば麺にあんかけ包み餃子をのせ、さらに焼きそば麺で覆いました。

(かき揚げリングにあんかけ包み焼きそば麺を入れた様子)
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 底をまな板で支えながら、焼きそば麺を油の入った鍋に持って行き、ゆっくりと油の中に投入しました。

(あんかけ包み焼きそば麺を油で揚げる様子)
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 生麵を入れた際、油の温度が高かったことから、油がブクブクに沸き立っていました。

(あんかけ包み焼きそば麺を油で揚げた様子)
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 かなり膨張した「かた焼きそば」のかたまりになりました。

 これで、あんかけ入りのかた焼きそば「ハンバーガー焼きそば」の完成です。

(ハンバーガー焼きそば)
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 菜切り包丁で半分に切った様子です。

(ハンバーガー焼きそばを試食する寺沢大介先生)
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 「ハンバーガー焼きそば」を考案された寺沢大介先生に試食していただきました。

 「うまいぞー」との感想をいただきました。

 イベント終了後、私も「ハンバーガー焼きそば」をいただきました。

(ハンバーガー焼きそば(小皿))
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 「ハンバーガー焼きそば」の上に、余ったあんかけをかけていますが、これではハンバーガーにした意味がない(笑)

 皿うどん(かた焼きそば)の中に、生焼けに近い(何とか食べられる程度に火が入った)揚げ春巻きが入っている感じでした。

 「ハンバーガー焼きそば」は、ズボラさんが今回の漫画飯オフ会に向けてチャレンジされた動画がありますので、こちらも御覧ください。

(【練習しておけ】ハンバーガー焼きそば ミスター味っ子 漫画飯再現料理 アニメ飯再現レシピ)

 (YouTube「ズボラの漫画飯再現料理」)


【雲白肉(ウンパイロウ)】

 小林銅蟲先生と弟さんが「雲白肉(ウンパイロウ)」を作ってくださいました。

 「白肉」は茹でた豚肉のことで、盛りつけたときの豚肉のひらひらとした形が「たなびく雲」を連想させることから、この名がつけられたそうです。

(豚肉のかたまりを鍋で茹でる様子)
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 豚肉のかたまりをネギや生姜と一緒に鍋で茹でます。

(茹でた豚肉)
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 茹であがった豚肉を鍋から取り出し、薄切りにします。

 一方で、豚肉に添えるタレも作られました。

 塩レモン、山椒の実、青唐辛子の塩麹漬けなどをハンドブレンダーを使ってペースト状のタレに仕上げます。

(ハンドブレンダーでタレを作る様子)
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 刻んだキュウリの上にスライスした豚肉を盛り付け、スパイスの効いたタレをかけて「雲白肉(ウンパイロウ)」の完成です。

(雲白肉(ウンパイロウ))
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 豚肉がとても柔らかく茹であがっていて、山椒や青唐辛子でピリ辛のタレとよく合いました。


【ウツボ粥】

 会場の参加者に、小林銅蟲先生が作られたウツボ粥も振る舞われました。

(ウツボ)
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 小林銅蟲先生が高知から取り寄せられたウツボです。

 写真のような大きなウツボは、通常、個人では入手できないのですが、小林銅蟲先生が「めしにしましょう 出張食い倒れ編」として高知県の食材・料理を紹介された御縁で入手できたとのことでした。

 皮が付いてグニャグニャしたウツボを包丁で切るのは難しく、小林銅蟲先生は機転を利かせてキッチンバサミで切っておられました。

(ウツボをキッチンバサミで切る様子)
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 手が痛いだろうと私が心配するほど、延々とウツボをハサミで切っておられました。

 お粥は、昆布を入れた水にお米を入れて煮たものです。

 お米の10倍程度の水で煮ておられたので、大丈夫かなと思ったのですが、延々と火にかけるうちに、徐々にどろりとしたポタージュスープ状のお粥ができました。

(お粥とウツボ)
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 このゆるいお粥に、一口サイズに切ったウツボを加えて加熱すれば「ウツボ粥」の完成です。

(ウツボ粥)
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 仕上げに高知県四万十市の「ぶしゅかん」という柑橘の皮のすりおろしをかけていただきました。

 ゼラチン質と脂肪をたくさん含んだウツボは、身がプリプリで、グロテスクですが食べたらとても美味しかったです。


 これで1次会「みんなで再現料理の本気チャレンジ」はお開きとなり、参加者の皆さんには一旦御退場いただきました。


2次会(浜野ケイ子さんライブとビッグ錠先生のタップダンス)

 満員御礼の1次会が終了し、しばらくお店の外で休憩しました。

(アルスノーバ(2次会オープン前))
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 その後、2次会に向けて会場の掃除・後片付けや音響設備のセットなどをしました。

 シャンソン歌手の浜野ケイ子さんとアコーディオン奏者のえびさわなおき。さんもお越しになり、開始時刻の19時を迎えました。

 2次会にもたくさんの方が参加され、会場は人で埋め尽くされました。

(浜野ケイ子さんライブ・ビッグ錠先生タップダンス)
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 浜野ケイ子さんが歌うシャンソンに合わせてビッグ錠先生がタップダンスを披露され、みんなで歌い、踊って楽しみました。


まとめ

 2次会もいったん中締めとなりましたが、盛り上がった余韻でその後も賑やかな状況が続きました。

 ズボラさんが、お疲れにもかかわらず、落ち着いて食べる暇がなかった運営スタッフのために「まかない鍋」を作ってくださいました。

(ズボラさんのまかない鍋)
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 豚肉、野菜、餃子など具だくさんの鍋は、疲れた体に浸み、元気をもらえました。

 ビッグ錠先生、寺沢大介先生、浜野ケイ子さん、えびさわなおき。さんともお話しすることが出来ました。

 今回は少し早めにおいとまさせていただくことにしました。

 すると皆さんがお店の外まで見送りに来てくださり、記念撮影までしてもらいました。


 参加された皆さん、楽しいひと時をありがとうございました。

 ズボラさんやマスターをはじめとする運営者の皆さん、お疲れ様でした。

 そしてビッグ錠先生、誕生日おめでとうございました!


<関連サイト>
 「ズボラの漫画飯再現料理」(ずぼら料理研究家)

2025年10月11日 (土)

広島県呉市「入船山煎茶会」・「入船山秋祭り2025」-煎茶・茶菓・大和ラムネ(なぜ戦艦・空母でラムネが製造されたのか)-

入船山記念館

 2025年10月5日、広島県呉市の「入船山記念館(いりふねやまきねんかん)」を訪問しました。

 同日同館内で開催された「入船山煎茶会」に参加するためです。

(「この世界の片隅に」呉市ロケ地MAP(入船山記念館))
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 こちらは第二次世界大戦中の広島・呉を舞台にしたアニメーション映画「この世界の片隅に」のロケ地マップです。

 マップの赤い丸印が入船山記念館の場所です。

 入船山記念館へ向かう途中、日本遺産と入船山記念館を紹介する案内看板がありました。

(日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴」)
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 旧日本海軍の鎮守府が置かれたというつながりで、横須賀(神奈川県)、呉(広島県)、佐世保(長崎県)、舞鶴(京都府)が日本遺産に指定されています。

(入船山記念館入口)
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 こちらは入船山記念館の入口です。

 門に「入船山」・「旧呉鎮守府司令長官官舎」と書かれた表札が掲げられています。

 入口を入って左側に、東郷平八郎氏が呉鎮守府参謀長として呉に在任されていた時の離れ座敷がありました。

(旧東郷家住宅離れ)
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 昭和55(1980)年に呉市宮原地区から移築されたもので、日本遺産に指定されています。

 番兵塔(警備詰所)や旧呉海軍工廠塔時計を眺めながら、奥へと進みました。

 入場手続きを済ませ、2階の郷土館展示室で海軍時代の資料を見て回りました。

(郷土館展示室「呉からはじまった事」)
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 「呉には病院が多い」

 確かにそのとおりです。

 「呉からはじまった事」
・衛生事務所(地元医師会)のはじめ
・コレラ流行、検疫所のはじめ
・判事検事による死体解剖検案のはじめ
・流行性感冒流行のはじめ
・生命保険代理店のはじめ
・海上船舶検疫のはじめ

 コレラや流行性感冒(インフルエンザ)流行のはじめという、あまり自慢にならない「はじめ」も多いですが、こうした事案が起きたからこそ、呉には病院が多く作られ、医療・保健・保険関係の「はじめ」が多いとも言えるでしょう。


入船山煎茶会

 入船山記念館敷地の奥にある「旧呉鎮守府司令長官官舎」に着きました。

(旧呉鎮守府司令長官官舎)
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 日本遺産にも指定されているこの建物の中で、お茶会が開催されました。

 お茶会の会場は2つあり、1つは三癸亭賣茶流(さんきていばいさりゅう)呉支部による「奥伝仙友棚普通式席」、もう1つは海上自衛隊幹部候補生学校による「卓式普通式席」でした。

 玄関でそれぞれのお茶会の受付をしました。

 芳名帳に筆で住所と名前を書くのが苦手な(字が汚い)のですが、何とか書き終え、お茶席券をいただきました。

 制服姿の海上自衛隊幹部候補生の方に待合室まで御案内いただきました。

(お茶席券)
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 御招待いただいたお茶の先生からお茶券を2枚いただいていたので、2席目(11時00分から)と3席目(11時30分から)に入らせていただくこととしました。

(煎茶会会場(卓式普通式席))
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 最初に参加させていただいた2席目は、海上自衛隊幹部候補生学校の学生さんによるお茶席です。

(2席目(卓式普通式席)のお茶菓子)
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 お茶菓子は海上自衛隊の「桜」に「碇(いかり)」のマークが描かれたオリジナル練り切り(上生菓子)でした。

 お茶とお菓子を堪能した後、続いて3席目のお茶会の待合室へ向かいました。

 待合室の展覧席に「文房具」が飾られていました。

(展覧席の文房具飾り)
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 昔、中国では文章を書く部屋(書斎)を「文房(ぶんぼう)」と呼ばれていました。

 その文房で用いられる道具が「文房具」で、中心的な4つを「文房四宝(ぶんぼうしほう)」と呼びました。

 その4つの宝が「硯(すずり)」、「墨」、「紙」、「筆」だったのです。

 中国にルーツをもつ煎茶道の会場で、文房具が飾られていた理由は、おそらくこの話を踏まえてのことだと思います。

 「なるほど」といかにも知っているような感じで鑑賞していると(笑)、お茶席の準備が整ったとお知らせがありました。

(3席目(奥伝仙友棚普通式席)の煎茶とお茶菓子)
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 翌日がお月見の日だったことから、お茶菓子はウサギの練り切りでした。

 お茶やお菓子をいただきながら、参加された皆さんとの会話も楽しんだのですが、ある方が「お月見にちなんだ飾り(お花)やお菓子ですね」とおっしゃったのを伺った時、「お茶席はお茶やお菓子だけでなく、みんなで季節の移ろいも楽しみ、共有するための場なんだ」と思いました。

 そして、時がゆっくりと流れていくような気持ちになり、忙しい毎日の生活から一瞬だけ解き放たれたような気持ちがしました。

 それぞれのお茶席を楽しみ、御招待いただいた先生にお礼を伝えて帰ろうと、先生のもとへ伺いました。

 するとその先生から「せっかくだからもう1席、お茶を飲んでいかれたらどうです」と、さらにもう1枚お茶券をくださいました。

 「わかりました」と代金をお支払いした上で、再び受付へ行き、5席目(12時30分から)を予約しました。

(5席目のお茶席券と生栗のお土産)
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 先生からお土産として生栗もいただきました。

 5席目は、先生が指導されている海上自衛隊幹部候補生学校のお茶席に参加させていただきました。

(5席目(卓式普通式席)のお手前)
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 海上自衛隊幹部候補生学校煎茶道部は、週1回練習日があるのですが、忙しくて実施できない時もあるとのお話でした。

 海上自衛隊幹部候補生学校の皆さんや参加者の皆さんとの会話を楽しみました。

(5席目(卓式普通式席)の煎茶とお茶菓子)
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 お茶碗に海上自衛隊幹部の「絡み碇(絡み錨)」が描かれています。

 お茶は小さなお茶碗なので何杯でもいただけますが、お茶菓子を立て続けに3つというのは、私のような「あんこ好き」でないとちょっときついかも知れません(笑)

 私は過去に一度に4つか5つぐらいお茶菓子をいただき、その上余ったお茶菓子を1箱いただいたこともあります。

 海上自衛隊幹部候補生学校の皆さんは、これから海外でもお茶を披露されるとのことでした。

 御活躍をお祈りいたします。


入船山秋祭り2025

 先生にお礼を申し上げてお茶会会場を後にし、近くの「青山クラブ(旧下士官兵集会所)」へ行きました。

(「入船山秋祭り2025」ポスター)
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 この青山クラブ中庭で「入船山秋祭り2025」が開催されていました。

(「入船山秋祭り2025」会場)
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 会場は大勢の市民の方で盛り上がっていました。

 呉の誇りでもある「戦艦大和」にちなんだラムネやラムネ菓子も販売されていました。

(大和ラムネのらむね)
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 こちらはラムネ菓子の販売コーナーです。

 「戦艦大和の楽しみはラムネだった」と紹介されています。

(戦艦のラムネ製造機)
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 (魚乃目三太「漫画戦争めし(戦艦大和のラムネ)」秋田書店の一部を引用)

 戦時中、海軍の戦艦や空母にはラムネ製造機があり、機械分隊が消火用の炭酸ガス設備を利用して1日数百本のラムネが製造されていました。

(船上で生水に代わる飲料水として考案されたラムネ)
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 (魚乃目三太「漫画戦争めし(戦艦大和のラムネ)」秋田書店の一部を引用)

 船上ですぐに腐ってしまう生水に代わる乗務員の飲料水として、ラムネが考案されたようです。

 この漫画ではさらに、「一方、敵国の米国では、空母にアイスクリーム製造機を載せており、食事の際、兵士は自由に食べられたという。クーラーが貴重だった時代にである…」と紹介されています。

(大和ラムネ)
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 私もラムネ(飲料)を購入し、いただきました。

(ラムネ早飲み)
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 ラムネの早飲み大会も開催され、盛り上がっていました。


まとめ

 旧呉鎮守府司令長官官舎でお茶をじっくり味わったり、戦艦大和にちなんだラムネを豪快にグビグビ味わったり、呉ならではの体験ができました。

 お茶と甘いものでお腹いっぱいになりました(笑)


<関連サイト>
 「この世界の片隅に(映画)
 「日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴」」(文化庁)
 「煎茶道三癸亭賣茶流
 「海上自衛隊幹部候補生学校」(広島県江田島市江田島町国有無番地)
 「トビキリ・中元商店」(直営店:呉市宝町5-10 ゆめタウン呉店内)

<参考文献>
 魚乃目三太「漫画戦争めし」秋田書店

2025年10月 5日 (日)

魚柄仁之助先生の世界8 -魚柄先生の御自宅訪問(梅酒の梅・酢漬けビーツ・ビーツ葉の佃煮・薄切り干し大根煮・しそ塩・ミョウガ)-

魚柄先生との再会がかなう

 2025年9月23日、広島から飛行機を利用して、東京へ行きました。

 当日の朝、羽田空港に到着し、電車で都心へ向かっていた際に、魚柄先生から私を含めたミズホ学級のLINEグループにメッセージが届きました。

 そこで私は、そのメッセージの感想とともに、「今、東京(羽田)に着き、今日明日は東京にいます」と魚柄先生や皆さんにお伝えしました。

 あわせて、私が東京に着いたのを見計らったかのように絶妙なタイミングで魚柄先生からメッセージが届いたので、「(東京におられる魚柄先生が)監視カメラで私の行動を確認されているのでは」と冗談もお伝えしました。

 すると、しばらく時間を置いて魚柄先生から、
 「数日前にビーツの酢漬けを作りましたので、よろしかったらお土産にお持ち帰りください。今日明日は自宅にいますから、もし寄れるのでしたら電話ください」とお返事をいただきました。

 「これは魚柄先生と再会できるチャンスだ」と思った私は、新橋駅で下車し、魚柄先生にお電話しました。

 そして魚柄先生へ同日15時に御自宅に伺うことをお伝えし、実際にお会いできることとなりました。

 2023年11月25日に開催された「ミズホ学級ファイナル講演会」でお会いして以来、約2年ぶりの再会となります。

 LINEや電子メールでメッセージをやり取りしたり、魚柄先生が作られた乾物などを郵送で送っていただいたりとお付き合いは続いているものの、直接お会いする機会はもうないのではと思っていただけに、喜びはひとしおでした。

 何もお土産らしきものを持参していなかった私は、地下鉄で銀座へ向かいました。

 銀座にある広島のアンテナショップ「TAU(タウ)」に行けば、広島のお土産が売られているからです。

(ひろしまブランドショップ TAU)
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 もみじ饅頭、音戸ちりめん、藻塩といった広島土産を買いました。

(広島土産を詰めたTAUの袋)
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 袋にお土産を詰めてもらったのですが、銀座で買ったことがバレバレです(笑)

 新宿で昼食をとり、カフェで少し時間調整した後、都内の魚柄先生の御自宅へ向かいました。


魚柄先生の御自宅で時間を忘れて会話を楽しむ

 スマートフォンの地図アプリに魚柄先生の御自宅の住所を入力し、近くなったところで魚柄先生へ近くに着いたことを連絡しました。

 しばらくして、普段着に雪駄を履いた姿の魚柄先生が出てこられました。

 魚柄先生に導かれるがままに、御自宅へ伺いました。

 途中、お庭で栽培されているミョウガを見せてもらいました。

 私には草が生い茂っているだけにしか見えなかったのですが、しゃがんで地面を覗くと、確かにミョウガがなっていました。

(魚柄先生御自宅のミョウガ)
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 玄関まで来た時、魚柄先生から「どうぞ上がってください」とおっしゃっていただいたのですが、私は「いえ、ここでお土産をいただいたら失礼します」とお答えしました。

 それでも「(奥の部屋から)どうぞ」とおっしゃっていただいたので、「それでは少しだけお邪魔します」と言って、中へ入らせていただきました。

 魚柄先生自作の大きなテーブル席に案内され、座ると、お茶とおつまみを用意してくださいました。

(梅酒の梅・酢漬けビーツ・ビーツ葉の佃煮・薄切り干し大根煮)
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 写真左から、梅酒から引き上げた梅、酢漬けビーツ、ビーツの葉の佃煮、薄切り干し大根煮です。

 箸も手作りだと思います。

 お茶や手作りのおつまみをいただきながら、魚柄先生といろんな食の話で盛り上がりました。

 その話をいくつか御紹介します。

○わらびの乾物
 塩を強くして保存性を高めれば、わらびも乾物にできる。

○和歌山の痩せたサンマとサンマ寿司
 寒流にのって三陸沖から南下し、和歌山で採れるサンマは身が引き締まり、脂がほどよく抜けているため、寿司に適していた。
 すし酢の代わりに温州みかんの果汁が使われた。

○人手(担い手)不足と農業問題
 島しょ部では、みかんが生っていても収穫する人がいない状況も見受けられる。

○民俗学者・宮本常一さんと「塩の道」
 とてもしょっぱい塩鮭は、塩を運ぶ目的で作られた。
 能登の「揚浜式塩田」と瀬戸内の「入浜式塩田」。
 長野県の「塩尻」という地名や、福井県敦賀市と京都市を結ぶ鯖街道に見られる「塩の道」。

○かんぴょうとナタ
 かんぴょうをナタで厚めにむくとシャキシャキ感がでる。

○カマの草刈りとカマの研ぎ方
 カマによる草刈りの方法と、カマの研ぎ方を教えてもらう。

○ビーツの調理方法
 ビーツを水で煮ると真っ赤な液体になる。しっかり煮た後で料理の食材として用いる。

○冷蔵庫のない時代(状況)の保存方法
 カンボジアの市場では冷蔵庫がなく、腐敗を防ぐため、動物は生きた状態で売られ、魚は水中で泳いだ状態で売られていたことを魚柄先生に報告。

○米の高騰と備蓄米、タイ米
 備蓄米やタイ米でも炊き方次第で美味しく食べられる。

○液卵・乾燥卵の輸入・流通と食品産業
 液卵や乾燥卵は戦前から開発されていた。
 海外からも輸入しており、加工食品に使われている

○囲炉裏と火力調節、調理機能と暖房の機能、いぶりがっこと凍み大根
 囲炉裏は家屋の暖房器具であったと同時に、調理器具でもあった。
 かまどがなくても囲炉裏はある家が多かった。
 東北地方では、冬場に大根の水分が凍って「凍み大根」になってしまうため、大根を燻製させて水分を抜き、漬物にする「いぶりがっこ」が誕生した。

○北海道のジャガイモ(餅)とイカの塩辛
 北海道では大量に採れたイカを保存するため「イカの塩辛」を作り、タンパク源とした。
 イカの塩辛は炭水化物のジャガイモや、保存性を高めた「いももち(ジャガイモ餅)」と一緒に食べた。

○北海道とジンギスカン
 軍隊が軍服に羊毛が必要となったため、北海道で羊が飼われるようになり、その副産物の肉をジンギスカンとして食べられるようになった。

○イギリスのウスターソースと日本
 イギリス発祥のウスターソースは、日本では醤油と同様に料理や素材につけて(かけて)食べるのが一般的となった。
 日本のかけ醤油の使い方がベースとなっている。

○ハヤシライスの素、美人の素
 昔は「○○の素」という商品が流行った。エスカレートして「美人の素」と呼ばれる化粧品まで販売された。

○牛鍋の調理と肉を柔らかくする方法
 昔の牛肉は今と比べて肉が固かったと思われるが、その肉を柔らかくするため「パパイン」と呼ばれるタンパク質分解酵素が使われた。

○融米、炭で濾過(ろか)した日本酒
 日本酒の製造法には、酒米を無駄なく使い切るため、酒米を溶かして作る「融米(ゆうまい)造り」という方法や、炭で濾過しクリアな味に仕上げる方法もある。

○かつての港の食料事情
 かつては港に傷んだ輸入野菜が積み上げられていた時代もあった。こうした背景から食の安全・安心意識が高まった。

○戦後日本の小麦粉・牛乳輸入とアメリカのララ物資

○日本と海外の食料(食糧)政策・食料自給率の違い

○食品添加物と日本の食文化
 食品添加物が多用されるようになったのも日本の食文化の1つと言える。

○著書「ひと月9000円の快適食生活」の意味
 「ひと月9000円」は1か月を30日、1日300円で計算したもの。実際はもっと少額で済んだ。

○里芋とお月見(月見団子)
 団子として丸い形の里芋や「むかご(球状の芽)」も使われた。

○「かつお羊羹」
 かつて鰹のサク(短冊状の切身)に大量の砂糖をまぶした「かつお羊羹」という保存食が考案された。

○魚柄先生の古道具屋時代の思い出話

○海外のものを日本人に合わせて取り込んだ日本人の柔軟性

○「和食」の定義
 ヨーロッパのカツ(コートレット)とインドからイギリス経由で伝わったカレーから誕生した日本の「カツカレー」も「和食」の1つと呼べるのではないか。

○食の偏差値
 食の知識を得て選り好みするようになった人と、食の知識は乏しいが何でも美味しく(ありがたく)食べられる人では、どちらが食の偏差値が高いと言えるか。

○お金が大事か、お金で買えないものが大事か
 魚柄先生も私も後者が大事という意見で一致。
 高額なお金を払って価値あるものを買うのではなく、身近なものを価値あるものへと作り替える能力こそ生きる術。


 中でも面白かったのが、魚柄先生が秋葉原や隅田川でのホームレスの皆さんの暮らしを研究されていた時のお話でした。

 魚柄先生はホームレスの仲間に入れてもらって、すっかり仲良くなり、残飯として捨てられた肉や野菜で作った焼肉や、日雇い仕事で稼いだお金を集めて買った焼酎などを振る舞ってもらったそうです。

 その際、とあるホームレスの方が魚柄先生に対し「仕事は何やってるの?」と聞かれたらしく、新聞や雑誌の連載記事を執筆しておられた魚柄先生は「新聞や雑誌の仕事をしています」と答えられたそうです。

 するとそのホームレスの方は「新聞や雑誌?ダメダメ、空き缶の方が高く売れるよ。特にアルミ缶がおすすめ」と教えてくれたそうです(笑)

 食べること(を研究すること)が好きな2人が、食べるのも忘れて食の話題で盛り上がりました。

 会話の途中、魚柄先生がお得意のギターを手に取り、ギター演奏も披露してくださいました。

 魚柄先生がギターで讃美歌「いつくしみ深き」を演奏されたので、私もそれに合わせて歌いました。

 気付けばすっかり夜が更け、お庭から虫の音が聞こえてきました。

 やがてトイレに行きたくなり、トイレをお借りするため席を立ちました。

 その際、ふと目の前に柱時計が見えたのですが、時計の針は夜10時30分を過ぎていました。

 昼の3時から7時間半以上、2人はトイレも行かず、ひたすら食の話で盛り上がったことになります。

 「えっ、いつの間に…」と我に返った私は、トイレを済ませた後、おいとますることにしました。

 たくさんお土産をいただき、外まで見送っていただきました。

 夜遅くなったことをお詫びし、感謝の気持ちを込めて深々とお礼を申し上げたあと、宿泊先へと向かいました。


魚柄先生からいただいたお土産

 今回、魚柄先生からいただいたお土産は「ビーツの酢漬け」と「しそ塩」、そして「ミョウガ」です。

(ビーツの酢漬け・しそ塩(実・粉末))
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 「ビーツの酢漬け」は、長野の畑で収穫されたビーツを煮て、酢漬けにしたものです。

 「しそ塩」は、赤しそやしその実を約1年塩漬けして、それをさらに天日干しにしたものです。

 市販のものとは異なり、無糖(赤しそ・しその実と塩のみ)なのが特徴です。

 薬物のようにも見える「しそ塩」の袋詰めと、怪しいほど赤い「ビーツの酢漬け」。

 空港の手荷物検査で捕まりはしないかとドキドキしました(笑)

(ミョウガ(小皿))
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 「ミョウガ」は刻んで醤油をかけていただきましたが、刺激的な辛さでした(笑)


まとめ

 今回、魚柄先生がラインでメッセージをくださったのも、その時、私が東京(羽田)に着いたとお返事したのも、それを受けて魚柄先生が声をかけてくださったのも、全て偶然の出来事でした。

 でもその偶然をチャンスととらえ、お互いの都合も一致したことで、今回の再会が実現しました。

 こうした出来事こそ、お金の力で実現できるものではない典型例だと思います。

 とても思い出深い東京訪問となりました。

 今回お会いできたことをステップに、またいつか魚柄先生とお会いできないかなと欲張りなことを考えています(笑)

 最後にこの場をお借りして、「魚柄先生、どうもありがとうございました!」


<関連サイト>
 「ひろしまブランドショップ TAU」(東京都中央区銀座1-6-10)

<関連記事>
 「魚柄仁之助先生の世界5 -ミズホ学級ファイナル講演会「毎日が命日」・食事会-
 「魚柄仁之助先生の世界7 -「自家製かんぴょう」と「しそ塩」(かんぴょうの味噌汁・かんぴょう煮・かんぴょう卵とじ・しそ塩サラダ・トンテキ梅風味・しそ塩チキン棒)-

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