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2025年10月11日 (土)

広島県呉市「入船山煎茶会」・「入船山秋祭り2025」-煎茶・茶菓・大和ラムネ(なぜ戦艦・空母でラムネが製造されたのか)-

入船山記念館

 2025年10月5日、広島県呉市の「入船山記念館(いりふねやまきねんかん)」を訪問しました。

 同日同館内で開催された「入船山煎茶会」に参加するためです。

(「この世界の片隅に」呉市ロケ地MAP(入船山記念館))
Photo_20251011160001

 こちらは第二次世界大戦中の広島・呉を舞台にしたアニメーション映画「この世界の片隅に」のロケ地マップです。

 マップの赤い丸印が入船山記念館の場所です。

 入船山記念館へ向かう途中、日本遺産と入船山記念館を紹介する案内看板がありました。

(日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴」)
Photo_20251011160101

 旧日本海軍の鎮守府が置かれたというつながりで、横須賀(神奈川県)、呉(広島県)、佐世保(長崎県)、舞鶴(京都府)が日本遺産に指定されています。

(入船山記念館入口)
Photo_20251011160102

 こちらは入船山記念館の入口です。

 門に「入船山」・「旧呉鎮守府司令長官官舎」と書かれた表札が掲げられています。

 入口を入って左側に、東郷平八郎氏が呉鎮守府参謀長として呉に在任されていた時の離れ座敷がありました。

(旧東郷家住宅離れ)
Photo_20251011160201

 昭和55(1980)年に呉市宮原地区から移築されたもので、日本遺産に指定されています。

 番兵塔(警備詰所)や旧呉海軍工廠塔時計を眺めながら、奥へと進みました。

 入場手続きを済ませ、2階の郷土館展示室で海軍時代の資料を見て回りました。

(郷土館展示室「呉からはじまった事」)
Photo_20251011160202

 「呉には病院が多い」

 確かにそのとおりです。

 「呉からはじまった事」
・衛生事務所(地元医師会)のはじめ
・コレラ流行、検疫所のはじめ
・判事検事による死体解剖検案のはじめ
・流行性感冒流行のはじめ
・生命保険代理店のはじめ
・海上船舶検疫のはじめ

 コレラや流行性感冒(インフルエンザ)流行のはじめという、あまり自慢にならない「はじめ」も多いですが、こうした事案が起きたからこそ、呉には病院が多く作られ、医療・保健・保険関係の「はじめ」が多いとも言えるでしょう。


入船山煎茶会

 入船山記念館敷地の奥にある「旧呉鎮守府司令長官官舎」に着きました。

(旧呉鎮守府司令長官官舎)
Photo_20251011160401

 日本遺産にも指定されているこの建物の中で、お茶会が開催されました。

 お茶会の会場は2つあり、1つは三癸亭賣茶流(さんきていばいさりゅう)呉支部による「奥伝仙友棚普通式席」、もう1つは海上自衛隊幹部候補生学校による「卓式普通式席」でした。

 玄関でそれぞれのお茶会の受付をしました。

 芳名帳に筆で住所と名前を書くのが苦手な(字が汚い)のですが、何とか書き終え、お茶席券をいただきました。

 制服姿の海上自衛隊幹部候補生の方に待合室まで御案内いただきました。

(お茶席券)
Photo_20251011160601

 御招待いただいたお茶の先生からお茶券を2枚いただいていたので、2席目(11時00分から)と3席目(11時30分から)に入らせていただくこととしました。

(煎茶会会場(卓式普通式席))
Photo_20251011160602

 最初に参加させていただいた2席目は、海上自衛隊幹部候補生学校の学生さんによるお茶席です。

(2席目(卓式普通式席)のお茶菓子)
Photo_20251011160701

 お茶菓子は海上自衛隊の「桜」に「碇(いかり)」のマークが描かれたオリジナル練り切り(上生菓子)でした。

 お茶とお菓子を堪能した後、続いて3席目のお茶会の待合室へ向かいました。

 待合室の展覧席に「文房具」が飾られていました。

(展覧席の文房具飾り)
Photo_20251011160901

 昔、中国では文章を書く部屋(書斎)を「文房(ぶんぼう)」と呼ばれていました。

 その文房で用いられる道具が「文房具」で、中心的な4つを「文房四宝(ぶんぼうしほう)」と呼びました。

 その4つの宝が「硯(すずり)」、「墨」、「紙」、「筆」だったのです。

 中国にルーツをもつ煎茶道の会場で、文房具が飾られていた理由は、おそらくこの話を踏まえてのことだと思います。

 「なるほど」といかにも知っているような感じで鑑賞していると(笑)、お茶席の準備が整ったとお知らせがありました。

(3席目(奥伝仙友棚普通式席)の煎茶とお茶菓子)
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 翌日がお月見の日だったことから、お茶菓子はウサギの練り切りでした。

 お茶やお菓子をいただきながら、参加された皆さんとの会話も楽しんだのですが、ある方が「お月見にちなんだ飾り(お花)やお菓子ですね」とおっしゃったのを伺った時、「お茶席はお茶やお菓子だけでなく、みんなで季節の移ろいも楽しみ、共有するための場なんだ」と思いました。

 そして、時がゆっくりと流れていくような気持ちになり、忙しい毎日の生活から一瞬だけ解き放たれたような気持ちがしました。

 それぞれのお茶席を楽しみ、御招待いただいた先生にお礼を伝えて帰ろうと、先生のもとへ伺いました。

 するとその先生から「せっかくだからもう1席、お茶を飲んでいかれたらどうです」と、さらにもう1枚お茶券をくださいました。

 「わかりました」と代金をお支払いした上で、再び受付へ行き、5席目(12時30分から)を予約しました。

(5席目のお茶席券と生栗のお土産)
Photo_20251011161501

 先生からお土産として生栗もいただきました。

 5席目は、先生が指導されている海上自衛隊幹部候補生学校のお茶席に参加させていただきました。

(5席目(卓式普通式席)のお手前)
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 海上自衛隊幹部候補生学校煎茶道部は、週1回練習日があるのですが、忙しくて実施できない時もあるとのお話でした。

 海上自衛隊幹部候補生学校の皆さんや参加者の皆さんとの会話を楽しみました。

(5席目(卓式普通式席)の煎茶とお茶菓子)
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 お茶碗に海上自衛隊幹部の「絡み碇(絡み錨)」が描かれています。

 お茶は小さなお茶碗なので何杯でもいただけますが、お茶菓子を立て続けに3つというのは、私のような「あんこ好き」でないとちょっときついかも知れません(笑)

 私は過去に一度に4つか5つぐらいお茶菓子をいただき、その上余ったお茶菓子を1箱いただいたこともあります。

 海上自衛隊幹部候補生学校の皆さんは、これから海外でもお茶を披露されるとのことでした。

 御活躍をお祈りいたします。


入船山秋祭り2025

 先生にお礼を申し上げてお茶会会場を後にし、近くの「青山クラブ(旧下士官兵集会所)」へ行きました。

(「入船山秋祭り2025」ポスター)
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 この青山クラブ中庭で「入船山秋祭り2025」が開催されていました。

(「入船山秋祭り2025」会場)
Photo_20251011162402

 会場は大勢の市民の方で盛り上がっていました。

 呉の誇りでもある「戦艦大和」にちなんだラムネやラムネ菓子も販売されていました。

(大和ラムネのらむね)
Photo_20251011162501

 こちらはラムネ菓子の販売コーナーです。

 「戦艦大和の楽しみはラムネだった」と紹介されています。

(戦艦のラムネ製造機)
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 (魚乃目三太「漫画戦争めし(戦艦大和のラムネ)」秋田書店の一部を引用)

 戦時中、海軍の戦艦や空母にはラムネ製造機があり、機械分隊が消火用の炭酸ガス設備を利用して1日数百本のラムネが製造されていました。

(船上で生水に代わる飲料水として考案されたラムネ)
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 (魚乃目三太「漫画戦争めし(戦艦大和のラムネ)」秋田書店の一部を引用)

 船上ですぐに腐ってしまう生水に代わる乗務員の飲料水として、ラムネが考案されたようです。

 この漫画ではさらに、「一方、敵国の米国では、空母にアイスクリーム製造機を載せており、食事の際、兵士は自由に食べられたという。クーラーが貴重だった時代にである…」と紹介されています。

(大和ラムネ)
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 私もラムネ(飲料)を購入し、いただきました。

(ラムネ早飲み)
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 ラムネの早飲み大会も開催され、盛り上がっていました。


まとめ

 旧呉鎮守府司令長官官舎でお茶をじっくり味わったり、戦艦大和にちなんだラムネを豪快にグビグビ味わったり、呉ならではの体験ができました。

 お茶と甘いものでお腹いっぱいになりました(笑)


<関連サイト>
 「この世界の片隅に(映画)
 「日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴」」(文化庁)
 「煎茶道三癸亭賣茶流
 「海上自衛隊幹部候補生学校」(広島県江田島市江田島町国有無番地)
 「トビキリ・中元商店」(直営店:呉市宝町5-10 ゆめタウン呉店内)

<参考文献>
 魚乃目三太「漫画戦争めし」秋田書店

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コメント

「駆けつけ三杯」は、酒席に遅れてきた人に対する罰ゲームだそうですが、煎茶なら大丈夫そうですね^o^
正座も書道も苦手ですが「卓式普通式席」なら大丈夫(^.^)v
ただ・・・
ビール5杯なら大丈夫ですが、お茶菓子5個は無理!
茶道では食べきれないお菓子を懐紙に包んで持ち帰るのが作法だそうですが、なーまんなら3個か4個持ち帰ると思います(^_^)
ラムネの一気飲みも・・・(^_^;)
ご遠慮させて頂きますm(_ _)m

海上自衛隊の幹部候補生は茶道も学ぶんだ!?と思ったけど「茶道部」とあるので、部活動=趣味の活動なのでしょうか?
そして茶道部なのに抹茶じゃないんだ~と思ったら「煎茶道部」だった(^^;)
煎茶限定の部活動?
茶道が、幹部になるための必須のスキルだったら面白いのに(^^)

なーまん様

なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
「駆け付け三杯」には、そういう意味があるのですね。私は絶対に遅れる事が出来ません(笑)
海上自衛隊幹部候補生学校のお茶席は、リラックスしていただけました。

なーまんさんとは真逆で、私はお菓子5個は平気ですが、ビールは1杯飲みきる事は出来ません。
ラムネは飲めても、ビールは飲めません…
戦艦大和の乗組員なら、私が優先的に採用されそうです(笑)

chibiaya様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

そうです。海上自衛隊幹部候補生学校の煎茶道部で、クラブ活動の1つです。
だからなかなか時間確保が難しいようです。
クラブ活動ではありますが、アメリカをはじめとする世界の寄港地で、日本文化として披露されているようで、たしなみの1つとして、学ばれている学生も多いようです。
煎茶道や茶道を理解されている幹部自衛官って、とてもカッコイイですね!

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