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2025年11月23日 (日)

ウクライナ(東欧)料理の特徴と主な料理 -ビーツサラダ・ミモザサラダ・オリビエサラダ・ボルシチ・ピロシキ・メドウィク・ラズベリージャム入り紅茶-

ウクライナの食文化

 ウクライナは国土の7割以上が農地で、肥沃な黒土(チェルノーゼム)に恵まれていることから「世界の穀倉地帯」と呼ばれています。

 首都キーウ(キエフ)は、東スラブ人(ウクライナ人、ロシア人、ベラルーシ人など)初の統一国家「キエフ公国」が成立した地であることから、ロシア料理の礎が築かれた地とも言われています。

 肥沃な大地と温暖な気候に恵まれ、豊かな食文化が形成されてきました。

 小麦粉を使ったパンやクレープ、ソバや雑穀を使ったお粥(カーシャ)、肉・魚・野菜料理、乳製品など様々な料理やお菓子があります。


神戸のウクライナ(東欧)料理店「レストランベルーガ」

 2025年2月、神戸市中央区に、ウクライナ出身のオーナーやシェフが振る舞うウクライナ(東欧)料理店「レストランベルーガ」がオープンしました。

 ウクライナ(東欧)料理を求めて、お店を訪問しました。

(レストランベルーガ(遠景))
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 過去に営業されていたロシア料理の老舗「バラライカ」の跡地にオープンされていますが、これは全くの偶然のようです。

(レストランベルーガ案内看板)
Photo_20251123102801

 お昼時だったので、ランチメニューの案内看板が置かれていました。

 ボルシチランチ、サラダランチ、ミートボールランチ、ペルメニランチ、ビーフストロガノフランチなど、東欧の伝統的な料理がランチセットで提供されています。

 建物の3階にお店があります。

(レストランベルーガ店舗入口)
Photo_20251123102802

 豪華な佇まいに、少し緊張しながらお店のドアを開けると、お店の方が温かく迎えてくださいました。

(店内装飾品(マトリョーシカ))
Photo_20251123103001

 装飾品やアンティーク家具が揃えられた、美術館のようなレストランです。

 背が高い私は、天井から吊り下げられた豪華なシャンデリアに頭をぶつけてしまいました。

 お店の方に謝ったところ、逆に「おケガはないですか」とお気遣いいただき、温かい気持ちになりました。

 メニューブックを眺めながら、どのランチセットを注文するか考えました。

 少し悩んだ末、伝統的なサラダ3種が味わえる「サラダランチ(Bランチ)」を注文しました。

 ドリンクもついており、コーヒーか紅茶(ラズベリージャム付き)を選べたので、紅茶を注文しました。


ビーツサラダ・オリビエサラダ・ミモザサラダ

 ラグジュアリーな店内でくつろいでいると、しばらくしてサラダが運ばれてきました。

 サラダがメイン料理で提供されるイメージを持っていましたが、冷静に考えたら冷製の前菜です(笑)

(サラダ3種)
Photo_20251123105901

 美しい、芸術作品のようなサラダの3種盛りを御用意いただきました。

 プレート上側の黄色いサラダが「ミモザサラダ」、プレート右側の赤いサラダが「ビーツサラダ」、そしてプレート手前の角切りサラダが「オリビエサラダ」です。

 「ビーツサラダ」は、その名のとおり、茹でて真っ赤になったビーツを角切りにして盛り付けたサラダです。

 ビーツは茹でたジャガイモのようにホクホクした食感で、ほんのりと甘みも感じました。

 「オリビエサラダ」は、角切りの野菜や肉をマヨネーズで和えた東欧の伝統的なサラダです。

 今回御提供いただいたオリビエサラダは、ジャガイモ、人参、グリーンピース、キュウリ、ハムなどで構成されていました。

 角切りのジャガイモで作ったポテトサラダに似た料理でした。

 「ミモザサラダ」は、表面にまぶされたゆで卵の黄身が、黄色いミモザの花のように見えることから名付けられたサラダです。

 様々な具が層になるように重ねられ、見た目がケーキのようなサラダに仕上げられていました。

 ミモザサラダの中身を確認してみました。

(ミモザサラダ)
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 底がジャガイモの層で、その上にマヨネーズで和えたツナ、人参、裏ごししたゆで卵の白身が積み重ねられ、表面に裏ごししたゆで卵の黄身がまぶされていました。

 まるでケーキの3種盛りのような、見た目も美しいサラダのセットでした。


ボルシチ

 ボルシチは、肉や野菜をビーツと一緒に煮込んだ真っ赤なスープです。

 ロシアの代表的な料理として有名ですが、もともとはウクライナの家庭料理でした。

 ウクライナからスラブの広い地域に伝播していったものと考えられています。

 そのため、出汁にスペアリブが使われたり、牛骨が使われたりと、ボルシチの作り方は地域によって千差万別で、地名を冠して「キエフ風ボルシチ」、「モスクワ風ボルシチ」などと呼ばれています。

 日本で言えば、地域によって具や味が異なる「雑煮(ぞうに)」に該当します。

 ボルシチに共通する(欠かせない)食材はビーツで、好みで白いサワークリーム(スメタナ)も加えられます。

(ボルシチ)
Photo_20251123104501

 ビーツ入りの真っ赤なスープの中心にスメタナが添えられています。

(ボルシチ(中身))
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 具はビーツのほか、角切りの牛肉、人参、ジャガイモ、ハーブ、青ねぎなどが使われていました。

 スープ皿も壺形の熱々にした状態のものを御用意いただきました。

 ビーツの赤色で見た目にも温かみを感じます。

 肉や野菜の旨みが凝縮された、身も心も温まるスープでした。


ピロシキ

 ピロシキは、肉・魚・野菜・きのこ・ゆで卵などを刻んで炒めた具を小麦粉の生地で包み、油で揚げたり、オーブンで焼いたりして作られる東欧の総菜パイ(惣菜パン)です。

(ピロシキ)
Photo_20251123104801

 焼きたてのピロシキを御用意いただきました。

(ピロシキ(中身))
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 生地の中には、牛の挽き肉や細かく刻んだ野菜を具にとろみをつけた「あん」がたっぷりと入っていました。

 このお店のピロシキは、単品だと2個で400円、テイクアウトだと5個で1000円でいただけるので、とてもお得感があります。

 このお店は王子公園で人気だった東欧デリの「ロシアンピロシキ」が前身で、ピロシキは看板メニューの1つとなっています。


メドウィク

 ランチを利用すると、お得な値段で本日のデザートをセットにすることができるため、デザートも注文しました。

 本日のデザートは「メドウィク」と呼ばれる、ウクライナやロシアで食べられる伝統的なケーキでした。

 「メドウィク」の「メド(ミョド)」は「ハチミツ」という意味で、ハチミツのケーキです。

(メドウィク)
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 ハチミツ入りの薄い生地とサワークリーム(スメタナ)を何層にも重ねたケーキです。

 ケーキの表面には、焼いた生地の切れ端やナッツを細かく粉砕したものがトッピングされています。

 ウクライナは養蜂が盛んで、ハチミツはそのまま食されるだけでなく、料理やお菓子にも幅広く使われています。

 ミルクレープをもう少しザックリさせたような食感で、ハチミツ入りの優しい甘さのケーキでした。


紅茶とラズベリージャム

 デザートと一緒に、紅茶をいただきました。

(紅茶とラズベリージャム)
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 紅茶と自家製ラズベリージャムのセットです。

 紅茶にラズベリージャムを混ぜていただきました。

 ラズベリージャムを加えると、甘味と酸味が増して、より一層美味しくいただけました。

 紅茶にラズベリージャムをいくらたっぷり入れても、ほどよい甘味と酸味に落ち着くのが不思議でした。


 店名の「ベルーガ」は、チョウザメやその卵「キャビア」のことで、お店のシンボルマークにもチョウザメとキャビアが描かれています。

 ディナータイムにはキャビアのコースもあるようで、このコースにも心惹かれます。


<関連サイト>
 「レストランベルーガ」(神戸市中央区中山手通一丁目22-13 ヒルサイドテラス 3F)
 「ウクライナ はちみつたっぷりの家庭の味「メドウィク」」(不二家・世界のお菓子)

<関連記事>
 「ひろしま南区スイーツフェア -南区3名山(似島(安芸小富士)・黄金山・比治山)と代表花(ミモザ・桜・広島椿)のスイーツ-
 世界の料理については、当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。

<参考文献>
 「あまから手帖(2025年7月号)」クリエテ関西
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会

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コメント

英語で奴隷を意味する“slave ”の語源が、スラヴ人に由来すると知った時は少々驚きま
したが、キエフ公国の王様がノルマン人と聞いて英国と同じなんだと思いました(*´-`)
ボルシチもてっきりロシア料理かと思ったら、実はもともとはウクライナの家庭料理!
肥沃な穀倉地帯に住みながら、長い事バイキングを先祖に持つロシア皇帝の農奴に甘ん
じていたわけですから・・・
この上、ピロシキまでウクライナの家庭料理だったとしたら、あまりにも可哀想!
と思いましたが、こちらは生粋のロシア料理でしょうか?
ロシア人とウクライナ人が、ハチミツ入りのケーキを食べ、ラズベリージャム入りの紅
茶を飲みながら和解出来れば良いと思いますが・・・
そんなに甘いものではないんでしょうかね(~_~;)

このレストランはウクライナから非難されている方が始められたのでしょうか?
ミモザサラダもボルシチもピロシキもロシア料理の印象でしたが、旧ソ連の料理ってことですね。
ビーツは何となく土臭い感じがしてが私は苦手です。
ちゃんと下処理をすれば土臭さは消えるのでしょうか…
スメタナと聞くと、どうしてもモルダウのメロディが頭の中に流れてしまいます(^^;)

なーまん 様

なーまんさん、おはようございます。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

スラヴ人の語源、今回お話を伺って、私も驚きました。
まあ、他民族の呼び名はこういった感じのものが多いのかも知れませんね。
そして、キエフ公国の王様がノルマン人!これも驚きました。
キエフ公国もノルマンコンクエストに似た背景を持っていたのですね。
アイルランドに着目した北欧の歴史を特集されていましたが、さすが歴史の王様、なーまんさん!

今回、一番お伝えしたかったのは、ボルシチがウクライナ発祥の料理だというお話です。
ピロシキはロシア発祥かどうか自信がありませんが、一般的にはロシア料理として認識される傾向がありますね。
ウクライナの料理ということでまとめたかったのですが、ウクライナ料理とロシア料理は歴史的背景から共通するものが多く、はっきりとしたお話ができないのが悩ましいところでした…。

ロシアのウクライナ侵攻により、世界の食糧価格にも影響しているわけですから、食の観点からもお互い和解をめざしてほしいところです。

chibiaya 様

chibiayaさん、おはようございます。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。

こちらのレストランの皆さんはウクライナの御出身ですが、ロシアのウクライナ侵攻以前から神戸におられたようなので、避難されてのことではないと思います。
もともと王子公園でピロシキを販売されていたようで、ウクライナ料理とロシア料理の違いはあまりない(意識されない)のかも知れません。
お話のように、食文化で言えば、旧ソ連のエリアを1つのまとまりとしてとらえる方が、理解しやすいようにも思います。

ビーツは、土をよく洗い流して、赤色が抜けないように温度調整しながら、茹で汁を何度も変え、下茹でを繰り返し…と下処理が大変な食材ですよね。
土臭さが残るかどうかはやはり下処理次第だと思います。

サワークリームの「スメタナ」。私も作曲家のスメタナが頭をよぎり、スメタナと言えばモルダウと思いながら記事を作成しました(笑)
私たち以外にも、同じことをイメージされる方がおられると思います(笑)

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