ウズベキスタン料理の特徴と主な料理 -ノン・カイマク・コムハニー・シャクシュカ・サラート・ナッツ・ドライフルーツ・マルコフチャ-
ウズベキスタンの食文化
東京で世界の朝食が味わえるお店「TASTE THE WORLD(テイスト・ザ・ワールド)」。
2025年10月・11月限定の朝ごはんは「ウズベキスタンの朝ごはん」です。
ウズベキスタンは中央アジア、シルクロードの中間に位置する国で、東西の交易の中心地として繁栄してきた国です。
ウズベキスタンは人口の80%以上をウズベク系が占めており、公用語はウズベク語です。
ウズベキスタンという国名には、「ウズベク人の国・土地(スタン)」という意味があります。
中央アジアでは家畜と共に移動・生活する遊牧生活が一般的ですが、ウズベク人は中央のオアシスにで穀物や野菜、果物を栽培しながら定住する生活を選択しました。
そのため、米や小麦粉、野菜、果物を使った料理が豊富にあります。
また、羊の放牧も盛んなことから、羊肉をはじめとする肉料理も数多くあります。
料理にハーブや香辛料が多用されるのも特徴となっています。
ウズベキスタンの朝ごはん
「TASTE THE WORLD 外苑前店」を訪問すると、お店にウズベキスタンの国旗が飾られていました。
(TASTE THE WORLD 外苑前店(ウズベキスタン国旗))
どんなウズベキスタン料理が味わえるか、ウズウズしながらお店に入りました。
席に座り、注文を済ませてホッと一息ついていると、すぐ近くにウズベキスタンの本が用意されていました。
ウズベキスタンの料理が紹介されている本を読んでみると、ウズベキスタンの朝食が紹介されていました。
(ウズベキスタン料理案内本(ウズベキスタンの朝食))
左のページでは「ノン」と呼ばれるパンが紹介され、右のページではウズベキスタンの朝食や代表的な食材が紹介されています。
ウズベキスタンの代表的な朝食は、カイマク、ウズベクブレッド(ノンなど)、季節の果物、野菜、茶、ナヴァト(氷砂糖、ロックキャンディ)、ナッツ、ドライフルーツ、伝統的なデザートなどで構成されると記載されています。
ウズベキスタンの食文化について予習していると、注文した料理が運ばれてきました。
今回お店で御用意いただいたウズベキスタンの朝ごはんプレートがこちらです。
(ウズベキスタンの朝ごはんプレート)
ウズベキスタンの代表的な朝食として、ノン、カイマク、コムハニー、シャクシュカ、サラート、ナッツ、ドライフルーツが盛り付けられたプレートです。
それでは順に料理を御紹介します。
【ノン】
「ノン」は、ウズベキスタンの代表的なパンです。
インドなどで食される「ナン」と語源は一緒です。
(ノン)
パンの表面の黒いゴマのようなものは、ブラッククミン(ブラックシード)です。
「ノン」の特徴は、生地を一次発酵のみか短時間の発酵で済ませてずっしりと食べ応えのあるパンに仕上げられること、生地を「タンディール」(タンドール)と呼ばれる釜で焼き上げられること、そして、パンの表面に独特な幾何学模様がつけられることにあります。
パンの模様は「チェキチ」と呼ばれる金属の型でつけられます。
どんな料理にも合う、ウズベキスタンでは主食のようなパンです。
「カイマク(濃厚なクリーム)」、ハチミツ、アプリコットジャムなどをつけて食べます。
もっちりとして食べ応えのあるパンでした。
【カイマク・コムハニー】
ノンに、「カイマク」や「コムハニー」を塗っていただきました。
(カイマク・コムハニー)
こちらが「カイマク」(写真左側)と「コムハニー」(写真右側)です。
「カイマク(カイマック)」は、牛乳などのミルクをゆっくりと煮詰めて作られる濃厚なクリームで、中央アジア、バルカン半島、トルコなど広い地域で親しまれています。
生クリームから作るフレッシュな手作りバターのような風味・食感で、わずかにヨーグルトのような酸味も感じました。
バターやクロテッドクリームよりもあっさりとして食べやすいと思いました。
(コムハニー)
「コムハニー」は、巣蜜(ハチミツ)です。
サックリとして、液体のハチミツより優しい甘さでした。
ノンにカイマクとコムハニーを一緒につけて食べると、美味しさと贅沢感が増しました。
【シャクシュカ】
「シャクシュカ」は、野菜のトマト煮込みです。
アラビア語で「混ぜ合わせたもの」という意味する、北アフリカ、中近東、中央アジア地域の家庭料理です。
(シャクシュカ)
今回いただいたシャクシュカは、トマトと一緒に玉ねぎ、ナス、パプリカなどの野菜を煮込み、クミンやコショウなどのスパイスを効かせ、最後に卵を落として仕上げられた料理でした。
フランス料理のラタトゥイユに似ており、ノンとよく合いました。
半熟の黄身を和えながらいただくと、旨みとコクが増してより一層美味しくいただけました。
【サラート】
「サラート」はサラダのことです。
お店では「ウズベキスタンらしいブドウ入りのサラダ」と説明されていました。
ぶどうのほか、フェタチーズのような白くてボソボソした塩気の強いチーズも混ぜ合わせられていました。
(サラート(ぶどう入りサラダ))
レタス、プチトマト、キュウリ、ぶどう、オリーブの実、チーズのサラダです。
ギリシャの「ホリアティキ」と呼ばれる、野菜にオリーブやフェタチーズ、そしてスイカが加えられるサラダと発想がよく似ているように思いました。
【ドライフルーツとナッツ】
日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きく、降水量が少ないウズベキスタンの気候は、ドライフルーツとナッツの生産に非常に適しているため、ウズベキスタンではドライフルーツやナッツがよく食べられるそうです。
ウズベキスタンの料理本を読むと、「ドライフルーツやナッツがもたらす健康への貢献度の高さが認識され、いくつかの国では薬局でも販売されている」と説明されていました。
(ドライフルーツとナッツ)
今回は、アプリコット(アンズ)、レーズン(干しぶどう)、殻付きアーモンドをいただきました。
ウズベキスタンには、お茶(緑茶・紅茶)と一緒にドライフルーツやナッツが提供され、お茶や会話を楽しむ文化があります。
マルコフチャ
追加で「マルコフチャ」という料理をいただきました。
「マルコフチャ」は、人参のキムチです。
「マルコフ」はロシア語で「人参」を意味します。
(マルコフチャ)
「キャロットラぺ」や「にんじんしりしり」とよく似ています。
ウズベキスタン(中央アジア)には旧ソ連により朝鮮半島から強制移住させられた「高麗人」と呼ばれる朝鮮系の人々がおられ、この人々が白菜の代わりに現地で入手しやすかった人参を用いてキムチ風にアレンジされた料理が「マルコフチャ」です。
かねてから朝鮮半島から遠く離れたウズベキスタンにキムチがあるという話に興味を持っていたので、注文しました。
いただいてみると、キムチというよりは、フレンチドレッシングに唐辛子やクミンなどのスパイスを加えた人参のマリネに近く、辛味よりも酸味やスパイシーさを強く感じました。
辛い物が苦手なウズベク人向けにアレンジされた経緯もあるようです。
まとめ
ウズベキスタンでは、朝鮮系の人々からもたらされた「キムチ」が食べられたり、日本以外ではあまり一般的でない「緑茶」がよく飲まれたり、「ラグマン」と呼ばれるうどんに似た麺料理があったりと、「なぜ遠く離れたウズベキスタンで?」と思う料理も多く、興味深い食文化が形成されています。
ウズベキスタンがシルクロードの中間に位置し、東西の交易の中心地として繁栄したことや、旧ロシア帝国・旧ソ連に属していたことなど、様々な要因が組み合わさって形成された食文化だと言えるでしょう。
<関連サイト>
「TASTE THE WORLD」(東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F(外苑前店)ほか)
<関連記事>
「アルメニア・ウズベキスタン・ロシア・モルドバのスープとパン」
「ウズベキスタン・キルギス料理の特徴と主な料理 -ノン・ラグマン-」
「ギリシャ料理の特徴と主な料理1 -サガナキ・ホリアティキ・スブラキ・ムサカ・マスティクア-」
世界の料理については,当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。
<参考文献>
「TASTE THE WORLD」ウズベキスタン料理紹介リーフレット
地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken
地球の歩き方編集室「地球のかじり方 世界のレシピBOOK」Gakken
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どんなウズベキスタン料理が味わえるか、ウズウズし・・・
予想外にタジキスタン料理が出てきてタジタジする・・・(^.^)
どちらも中央アジア、シルクロードの中間に位置する国で、旧ソ連、イスラム教の国と
理解していますが、違いがよく分かりません(^_^;)
他の土地(スタン)より農作物が豊富という事でしょうか?
ノン(ナン)は発酵の仕方やタンドールで焼き上げるダンドリは同じでも、スタンによっ
て形に対するスタンスが違う様です^ ^
ヨーロッパ同様乳製品が豊富なのは西アジアに共通ですね^ ^
逆に中国料理に極端に乳製品が少ないのは、長年遊牧民に国土を蹂躙されてきたトラウ
マなのでしょうか?
オリーブ入りのサラダも好きですがブドウ入りも美味しそう!
お茶請けがドライフルーツやナッツというのはとてもおしゃれ!
トマトの原産地は南米ですが、世界中の人に愛されている様ですね(^_^)
投稿: なーまん | 2025年11月 9日 (日) 17時21分
なーまん 様
なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
なーまんさん、今回はパワー全開ですね!(笑)
手元の資料では、中央アジアのうち、ウズベキスタンとタジキスタンが農耕文化(オアシス文化)、カザフスタンとキルギスタンが遊牧民文化(牧畜文化)、トルクメニスタンが両方、と説明されています。
農耕中心か遊牧中心か、同じ地域にあっても国によってスタンスが異なるようです。(先手を打たれましたが…)
ノンもおっしゃるとおりで、主食のような存在ですが、様々な形を作ることで、個性が表現されています。
旧ソ連時代は、~スタンを敢えて外して、ウズベク共和国とかカザフ共和国と呼ばれたようですね。
中国料理に乳製品が少ないのは、遊牧民族のトラウマとのお話、とても興味深く思いました。
乳製品が遊牧民族をイメージしてしまう食べ物という印象は多かれ少なかれあるでしょうね…。
ぶどうとサラダは違和感なくいただけました。塩気のあるチーズもアクセントで美味しかったです。
ウズベキスタンで緑茶が飲まれ、お茶菓子があり、チャイハナと呼ばれる喫茶店まであるというお話は、日本の茶道・喫茶文化にも相通じるものを感じました。
ウズベキスタンにも「うどん」がありますが、さすがに汁はトマトスープのようです(笑)
投稿: コウジ菌 | 2025年11月 9日 (日) 19時06分
以前、近所にキルギス出身の店主がやっているパン屋があって、
そこでノンを買ったことがあります。
もうどんな味だったか記憶にありませんが、ブログに「独特の香り」「ひよこ豆の粉末か?」と書き残していました。
サラダにブドウ!ギリシャではスイカですか~。
なかなか日本人の発想にはない組み合わせですね。
投稿: chibiaya | 2025年11月 9日 (日) 21時53分
chibiaya 様
chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございます。
キルギス御出身の店主さんのノンは、結構個性的だったようですね(笑)
キルギスの料理って何だろう?とネットで検索してみましたが、ウズベキスタンと共通した料理も多いようです。
今でもそのパン屋さんがあるなら行ってみたいところですが…。
サラダに甘いものって、意外に合うと思います!
蒲田にあるギリシャ料理のお店「スピローズ」でサラダ「ホリアティキ」をいただきましたが、このお店はchibiayaさんから教えていただき、私も実際に訪問したお店だったなと懐かしく思いました。
サラダには、レーズンよりもぶどうの方が、みずみずしい甘さで合うような気がします。
と言いながら、私ももしかしたら、サラダとぶどうを別々にいただいていたかも(笑)
投稿: コウジ菌 | 2025年11月 9日 (日) 22時47分