日本各地の食文化

2024年9月 1日 (日)

沖縄の食文化探訪7 沖縄の「ぜんざい」-富士家ぜんざい・黒糖ぜんざい 「沖縄ぜんざい」と「かき氷」の違いについて-

沖縄のぜんざい

 「ぜんざい」と言えば、小豆を煮て砂糖で甘みをつけた温かい(つぶあんの)汁をイメージされる方が多いと思います。

 ところが、沖縄の「ぜんざい」は、この温かい「ぜんざい」とは大きく異なります。

 沖縄のぜんざいは、甘く煮た金時豆(または小豆)に冷たい「かき氷」をのせたものなのです。

 お店によっては、かき氷に豆の煮汁・黒糖・抹茶などのシロップやミルクがかけられたり、トッピングとして白玉だんごや紅芋・田芋などがそえられたりします。

 沖縄ぜんざいは、ぜんざい・かき氷店のほか、飲食店のデザートメニューや沖縄そば店のサイドメニューとしても用意されています。

 そして、このぜんざいを通年食べられるお店も数多くあります。

 ちなみに、温かい「ぜんざい」は、「ホットぜんざい」として区別されているようです。

 今回は、そんな沖縄ぜんざいの魅力を御紹介したいと思います。


「ぜんざいの富士家」の「富士家ぜんざい」

 沖縄のぜんざいを求めて、那覇市泊にある「ぜんざいの富士家 泊店」を訪問しました。

(ぜんざいの富士家(店舗))
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 賑やかな壁画を眺め、ワクワクしながらお店に入りました。

 沖縄ぜんざいのお店なので、沖縄ぜんざいやかき氷が年中提供されています。

 また、フードメニューとして、タコライス、タコス、沖縄そばなども用意されています。

 私は沖縄ぜんざいの定番メニュー「富士家ぜんざい」を注文しました。

 しばらくして、テーブルに「富士家ぜんざい」が運ばれてきました。

(富士家ぜんざい(別盛り))
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 かき氷は富士家オリジナルの青いタンブラー容器に、金時豆の煮豆と白玉だんごはガラスの器に、別々に盛られています。

 煮豆と白玉だんごの器の奥には、「亀せんべい」と呼ばれる揚げせんべいが添えられています。

 テーブルには、かき氷と煮豆を別盛りにする理由が紹介されていました。

(「なぜ、この容器に氷を入れるのか」)
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 「豆の煮汁から作った手作りの氷を最後までシャリシャリのまま食べてもらいたい思いから」
 「従来の器だとシャリシャリ氷が溶けるのがどうしても早いため」
 「今回、抜群に保冷性のあるハイドロフラスク社のタンブラー容器に氷を入れました」
 「豆とモチを氷が入ってる容器に」
 「三、四回に分けてゆっくり、くつろぎながらお召し上がりください」

 スプーンでかき氷をすくい、豆とモチが盛られた器に合わせました。

(富士家ぜんざい)
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 今になって気付きました。

 「盛り付けが逆だーっ(笑)」

 豆とモチを、かき氷の入ったタンブラー容器へ移すよう説明書きがあるのに、私はその逆をしています。

 沖縄のぜんざいに不慣れな私は、豆と白玉だんごの組合せこそ「ぜんざい」で、それにかき氷を足す感覚で盛り付けたのです。

 手作りの氷を最後までシャリシャリのまま食べてもらうための方法なのに…

 かき氷は、豆の甘い煮汁を凍らせた氷を削ったもので、これだけでも十分美味しいものでした。

 そのため、改めてシロップをかける必要がなく、豆とモチが盛られた器も、シロップの量はごくわずかでした。

 だからこそ、お店の説明書きにも、かき氷のトッピングとして、かき氷の入ったタンブラー容器に豆とモチを加える方法を紹介されているのでしょう。

 初めてのことばかりで、色々戸惑いましたが、甘い金時豆や白玉だんごとかき氷は、相性が抜群に良いことがわかりました。

 温かいぜんざいと比べて、あっさりとした甘さなので、「(温かい)ぜんざいは甘すぎて…」という方にもおすすめです。

 食べ終えて、くつろいでいると、壁に面白い説明書きが掲示されていました。

(ぜんざいの富士家と不二家のペコちゃん)
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 「フジヤといっても(ペコちゃんの不二家)ではありません」
 「ぜんざいの富士家です。」

 確かにどちらもスイーツを中心とした店舗・飲食店を展開されていますね(笑)


黒糖ぜんざい

 嘉手納町(かでなちょう)にある「道の駅かでな」を訪問しました。

(道の駅かでな)
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 「道の駅かでな」は、飲食・物販・休憩施設だけでなく、隣接する嘉手納基地を一望できる展望所や、嘉手納基地の概要や嘉手納町の歴史が学べる展示室も設置されています。

(嘉手納基地(道の駅かでな展望所))
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 4階の展望所から眺めた嘉手納基地の様子です。

 私が訪問した日は日曜日だったこともあり、戦闘機は飛んでいませんでしたが、嘉手納基地の広大な滑走路や敷地に圧倒されました。

 展望所と同じ4階に、スイーツ・軽食のお店「スカイラウンジ」があります。

(道の駅かでな「スカイラウンジ」)
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 「ぜんざい」の旗が立っていました。

 「(訪問した)3月でもかき氷(ぜんざい)があるとは、さすが沖縄」と思いつつ、吸い寄せられるようにお店に入りました。

 メニュー表を見ると、ぜんざいは「黒糖ぜんざい」と「黒糖ミルクぜんざい」の2種類が用意されていました。

 そこで「黒糖ぜんざい」を注文しました。

(黒糖ぜんざい)
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 「何というボリューム!」

 思わず笑ってしまうほど大きなかき氷でした。

 かき氷に黒糖シロップがかけられ、頂点に甘い金時豆がトッピングされています。

 「せっかくなので外で食べよう」と、お店を出て、再び展望所へ向かいました。

(黒糖ぜんざいと嘉手納基地)
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 展望所のテーブルでいただいた「ぜんざい」は格別でした。

 黒糖のシロップのかき氷は初めてで、注文の時点では「金時豆だけのぜんざいもあれば、そちらを選ぶのだけど…」と思っていたのですが、実際にいただくと、その考えは一変しました。

 黒糖は「重くて、クセがある」イメージがあったのですが、かき氷にかけると「軽くて、カラメルに似た香ばしさがある」シロップに大変身するのです。

 黒糖シロップと金時豆の相性も抜群でした。

 食べ進めると、カップの底に金時豆と白玉が入っていました。

(黒糖ぜんざい(底の様子))
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 これは嬉しいサプライズでした。

(黒糖ぜんざい(金時豆と白玉だんご))
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 前半は黒糖シロップのかき氷を、後半は金時豆や白玉だんごと合わせたかき氷を楽しむことが出来ました。

 最後に、黒糖シロップがほどよく溶け込んだ金時豆や白玉だんごをいただきましたが、これまた、黒糖の風味が金時豆の煮汁と見事にマッチし、最後の最後まで美味しくいただけました。


「沖縄ぜんざい」と「かき氷」の違いについて

 今回、初めて沖縄の「ぜんざい」をいただいて、かき氷と黒糖シロップの相性がとても良いことがわかりました。

 また、宇治金時に使われるような「小豆の粒あん」ではなく、「金時豆とその煮汁」を使ったかき氷だと、(金時豆は煮崩れないので)甘い金時豆そのものの美味しさを味わえることも理解出来ました。

 そして、このことに関連して気付いたことがあります。

 沖縄ぜんざいは、「ぜんざい」という名が示すとおり、金時豆(小豆)とその煮汁、白玉だんごがメインで、それを冷やして食べるために、「かき氷」が(トッピングとして)盛られて完成されたお菓子ではないかということです。

 つまり、沖縄ぜんざいは、冷やしぜんざいにかき氷が追加されたものであり、かき氷の一種として考案されたものではないという考え方です。

 この考え方だと、かき氷にあんこをトッピングした「氷あずき」や「宇治金時」とは全く別物のお菓子となります。

 でもこのように考える方が、「氷あずき」ではなく「ぜんざい」と呼ばれることへの説明がうまくつくのです。

 まあ、美味しければそれで良いのですが、沖縄ぜんざいは、温かいぜんざい(ホットぜんざい)に比べて、さっぱりとした甘さなので、それだけ幅広い方々にお楽しみいただけるお菓子だと思います。

 沖縄ぜんざい。機会があれば、御賞味ください。


まとめ

 今回の沖縄県訪問は1泊2日とわずかな期間でしたが、月桃(サンニン)や田芋(ターム)を使った料理・お菓子、ムーチー・くんぺん(こんぺん)・ポーポー・レモンケーキ・ヒラミーレモンケーキなどの郷土菓子、沖縄の「ランチ」、いなり寿司とチキン、そして今回の「ぜんざい」など、様々な沖縄の食とめぐり合うことが出来ました。

 沖縄の食を中心とした旅となりましたが、レンタカーやゆいレールでの移動途中に、いくつか観光スポットにも立ち寄りました。

 立ち寄ったのは、コザの街並み(沖縄市)、西海岸リゾート(恩納村)、美浜アメリカンビレッジ(北谷町)、国際通り・首里城(那覇市)、平和祈念公園・ひめゆりの塔(糸満市)などです。

(アメリカンビレッジ(デポアイランドシーサイド))
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 こちらは、北谷町(ちゃたんちょう)にある「美浜アメリカンビレッジ」の夜景です。

(アメリカンビレッジ(デポセントラル))
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 多くの人々がショッピングや飲食を楽しんでおられました。

 ゆいレールで首里城公園へも行きました。

(守礼門(首里城公園))
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 守礼門(しゅれいもん)や首里杜館(すいむいかん)などを見学しました。

(ゆいレール(そらとぶピカチュウデザイン)・牧志駅)
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 ゆいレールの車内チャイムは、沖縄の代表曲・沖縄ゆかりの曲を中心に構成されており、心が和みました。

 私は県庁前駅で流れるメロディ「てぃんさぐぬ花」が沖縄らしくて好きです。


 また機会があれば、沖縄を訪問し、沖縄の食文化を探訪したいと思います。


<関連サイト>
 「ぜんざいの富士家」(沖縄県那覇市泊2-10-9)
 「道の駅かでな」(沖縄県中頭郡嘉手納町屋良1026-3)
 「アメリカンビレッジ」(沖縄県中頭郡北谷町字美浜)
 「首里城公園」(沖縄県那覇市首里金城町1-2)

<参考文献>
 芝崎本実 監修「あんこのことがすべてわかる本」誠文堂新光社

2024年8月18日 (日)

広島のいなり寿司 -「尾道いなり」と「棒いなり」(ばあちゃんの駅弁・いなりとチキン)-

 今回は広島県内の「いなり寿司」を2種類、御紹介します。


尾道いなり

 広島県尾道市に「尾道いなり」と呼ばれるいなり寿司があります。

 この「尾道いなり」を、広島市西区のいなり寿司専門店「狐尾(きつねのお)」(「LECT(レクト)」1階)で購入しました。

(「狐尾」のいなり寿司(パック))
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 包装紙にキツネのロゴマークが描かれています。

(「狐尾」ロゴマーク)
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 このキツネ、よく見ると玉に片足を乗せています。

 これは、尾道の石工職人が作った「玉乗り狛犬(たまのりこまいぬ)」がモチーフにされているからです。

 狛犬は神社などに左右一対で設置されている像で、様々なタイプがありますが、「玉乗り狛犬」は「尾道型」とも呼ばれ、石工で栄えた尾道を象徴する石造物なのです。

 つまり、玉乗りのキツネには、「尾道のキツネ(狐)」という意味があるのです。

 店名の「狐尾」もこの意味から名付けられたのではないかと思います。

(尾道いなり)
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 こちらが「尾道いなり」です。

 いなり寿司の上下をひっくり返し、すし飯の上に薄桃色の「えびのおぼろ(えび粉)」がたっぷりまぶされているのが特徴です。

 「えびのおぼろ(えび粉)」は茹でた海老の身を包丁で叩いて細かくし、砂糖・みりん・酒などで甘く炒りつけたもので、巻き寿司やちらし寿司などに用いられます。

(尾道いなり(中身))
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 すし飯には人参・ごぼう・椎茸が入っており、そのすし飯が甘めに炊かれた「いなりあげ」で包まれています。

 この「いなりあげ」ですが、三角形に(いなりあげの角が中心に立つように)握られるのは、キツネの耳の形に似ているからなのだそうです。

 旨味が凝縮したほんのり甘い「えびのおぼろ」が、甘めのいなり寿司とよく合いました。

(狐尾いなり)
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 こちらは「狐尾いなり」です。

 「尾道いなり」とは「えびのおぼろ(えび粉)」がまぶされているかどうかの違いだけで、すし飯の具は一緒です。

 「えびのおぼろ(えび粉)」は尾道の郷土料理であり、これを用いたいなり寿司が「尾道いなり」と呼ばれているのです。

 さらに私には、いなり寿司をひっくり返した姿が港町・尾道に関わりの深い「船」の形にも見えるのですが、いかがでしょうか。


元祖名物おばあちゃんの棒いなり

 広島駅の「ekie(エキエ)」2階にある「安芸太田町みんなの店」では、「棒いなり」や「ばあちゃんの駅弁」、安芸太田町のお土産・特産品などが販売されています。

 お店の前を歩いていて、ふと「ばあちゃんの駅弁」に目が留まりました。

(「ばあちゃんの駅弁」販売の様子)
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 手書きの商品POPで「ばあちゃんの駅弁」が面白く説明されています。

 例えば…
 「子供や孫に食べさせちゃいものを はなえてみたけぇねぇ(作ってみましたの意味)」
 「今日は暑くなるみたいなけぇ、塩は少し多めかなぁ」
 「さぁ~今日も笑顔で楽しんでこうねぇ みんないつもありがとう」
 「ばあさんより」

 ごはんもおかずもぎっしりと詰められた愛情たっぷりの「ばあちゃんの駅弁」です。

 お弁当のごはん(広島菜にぎりめし・炊き込みご飯・棒いなり)もおかずも、様々な種類・組合せがあり、お好みのものを選ぶことが出来ます。

 私は、このお店の名物「棒いなり」が入った「ばあちゃんの駅弁」を手に取り、レジへ向かいました。

 レジ前では単品の「棒いなり」が販売されていました。

(「棒いなり」販売の様子)
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 「棒いなりは しいたけ・人参・かんぴょう・ごま・油あげ・山くらげ・竹の子が入ってますよぉ~♪」

 外国人観光客向けに、英語でいなり寿司を説明したPOPもありました。
 「Inari sushi is sushi made by stuffing vinegared rice in fried tofu」
 (いなり寿司は、油揚げにすし飯を詰めた寿司です)

 本当にばあさんが書いているのか?(笑)

 レジで私より先に並ばれた外国人観光客の方がお弁当を購入されるのを待っていると、年配の女性店員さんがその外国人観光客と英語で流暢に会話されていたので驚きました。

 私の順番となったので、私はその女性店員さんに「棒いなり」についてお話を伺いました。

私:「この棒いなりは大きいですね。通常のいなり寿司の2倍くらいありそうですね」
店員さん:
 「(手で棒いなりの長さを測りながら)うーん、どうなんでしょう」
 「名古屋からいらっしゃるお客さんの話では、名古屋のいなり寿司の3倍くらいあるそうです」
 「名古屋のいなり寿司は小ぶりで具がなく、うちのような具だくさんの田舎いなりは珍しいようです」
 「その名古屋のお客さんは広島に来られる度にうちの棒いなりを買ってくださいます」
私:「なるほど、ありがとうございます」

 精算の際、その店員さんから「650万円です」と言われ、ついさっきまで外国人に英語で値段を伝えておられたのに…とクスっと笑ってしまいました。

 県外にもファンがいる理由は、商品の魅力だけでなく、店員さんのお人柄の良さにもあるようです。

 それでは私が購入した「ばあちゃんの駅弁」を御紹介します。

(ばあちゃんの駅弁)
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 棒いなり1本に、様々なおかずがセットになった弁当です。

 なぜ私がこの弁当を選んだのか、その理由は、いなり寿司と鶏の唐揚げがセットになっていたからです。

(いなりとチキン)
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 このお弁当を見つけた瞬間、「こっ、これは沖縄で人気の『いなりとチキン』の組合せじゃないか!」と嬉しくなりました。

 ちなみに鶏の唐揚げは「ひとくち山賊からあげ」と呼ばれるにんにく醤油味の唐揚げで、こちらもお店の看板商品です。

 棒いなりをもう少し詳しく見てみましょう。

(棒いなり)
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 棒のように長く、ずっしりと重いいなり寿司です。

 測ってみると、長さ約13cm、幅約4cm、高さ約3.5cmありました。

 底がどうなっているか、ひっくり返してみましょう。

(棒いなり(底))
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 大きな「いなりあげ」で全体がきっちりと包まれており、すし飯が見えません。

 この「いなりあげ」を広げてみました。

(棒いなり(いなりあげを広げた様子))
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 具だくさんのすし飯が入っていました。

 「いなりあげ」も「すし飯」も、甘くべったりした感じに仕上げられています。

(棒いなり(中身))
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 しいたけ・人参・かんぴょう・ごま・油あげ・山くらげ・竹の子・ゴマと、山の幸たっぷりのいなり寿司です。

 しっかりとした甘辛さを感じる「田舎いなり」ならではの味付けとなっています。

 1本で十分な食べ応えがありました。

 おかずも、大きな鶏の唐揚げ(ひとくち山賊からあげ)2個をはじめ、海老天ぷら、カマボコ(花と三色団子)、インゲンのゴマ和え、紅白なます、煮しめ(しいたけ・コンニャク・がんもどき)、もち(メロン風味・カスタードあん)と、たくさん詰められており、それぞれ美味しくいただきました。

 こちらのお店では、「棒いなり」と「山賊焼き(鶏肉の串焼き)」をお得なセット価格で販売されています。

 これも「チキンといなり」のセットとなっており、「チキンといなり」の人気が沖縄だけではないことがわかりました。

 このほか、広島菜、祇園坊(柿)のお菓子、絶大な人気を誇る「鯛焼屋よしお」の鯛焼き(冷凍)など、地元ならではの食品・お宝級の食品も販売されています。


 広島県内のいなり寿司だけでもバラエティーに富んでいるだけに、全国には様々ないなり寿司があることでしょう。

 いなり寿司から地域の食文化を分析してみるのも面白そうです。


<関連サイト>
 「いなり寿司 狐尾(キツネノオ)、尾道生まれの専門店が広島市に初出店」(広島ニュース 食べタインジャー)
 「えび粉/巻き寿司 広島県」(「うちの郷土料理」農林水産省)
 「安芸太田町みんなのお店」(広島駅「ekie(エキエ)」2階(インスタグラム))
 「鯛焼屋よしお」(広島県山県郡安芸太田町加計3494-9)

<関連記事>
 「沖縄の食文化探訪6 -沖縄のいなり寿司の特徴・なぜ沖縄で「いなりとチキン」が人気なのか-
 「尾道の夏のお菓子「ふなやき」 -「ふなやき」の由来と「麩の焼き」について-

<参考文献>
 「LECTR(レクター)vol.22」(2023年10月)

2024年8月11日 (日)

沖縄の食文化探訪6 -沖縄のいなり寿司の特徴・なぜ沖縄で「いなりとチキン」が人気なのか-

沖縄のいなり寿司・「いなりとチキン」

 午前中に那覇空港に着き、レンタカーを借りて、すぐさま向かったのが、有名な観光地や絶景スポット…ではなく、いなり寿司のお店です。

 沖縄はいなり寿司が人気で、食事やおやつとして、よく食べられています。

 「いなりとチキン」(いなり寿司とチキンの揚げ物)の組合せも人気で、セットで販売されているお店も多く見かけます。

 いなり寿司やチキンが売り切れ次第閉店というお店も多く、こうしたお店では早めに購入する必要があります。

 沖縄のいなり寿司にはどんな特徴があるのか、「いなりとチキン」はどんな食べ物なのか、そしてなぜ沖縄で人気があるのか、真相を解明すべく、車で沖縄県内のお店を巡ってみました。


「いなり寿し家」の「いなり寿し」

 那覇市から車で沖縄市へ向かいました。

 レンタカーのお店で「沖縄の道路のアスファルトには、サンゴ礁(琉球石灰岩)が使われているので、雨の時はスリップに注意してください」と伺ったので、「サンゴ礁が埋まっているのかな」と、道路の舗装を眺めながら走行しました。

 あと、道路沿いに「軍用地売買」の不動産広告が点在していることにも興味を持ちました。

 前回、友人の結婚式で沖縄を訪問した際の移動手段は借上げバスやタクシーだったので、今回は「ごっぱち(国道58号)」を中心とした沖縄のドライブも楽しみました。

 そのうち、車は沖縄市内に入りました。

 最初に目指したお店「いなり寿し家」は、沖縄市の「沖縄こどもの国」近く、沖縄郵便局通り沿いにありました。

(「いなり寿し家」郵便局通り店)
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 売り切れ次第終了のお店です。

 お店ではお客さんの列が途絶えることがなく、沖縄のいなり寿司人気は本物だと実感しました。

 店頭に「法事用いなり寿し」の案内がありました。

(法事用いなり寿しの案内)
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 沖縄では、お供え物としても「いなり寿司」や「レモンケーキ」が用いられることを知りました。

 確かにどちらも色・形・大きさがそっくりで、大勢の人におすそ分けすることも出来ます。

 やがて私が注文する番となり、私はチキンを重さ(グラム)で注文するのか個数で注文するのかよくわからないまま、「いなり寿し2個とチキン2本ください」と注文しました。

 チキンは本数で注文し、お店の方がその重さを量って値段が決まる仕組みでした。

 いなり寿し2個とチキン2本が包装され、無事購入出来ました。

 いなり寿しもチキンも、お好みの数量で注文できるところがいいですね。

 これなら、食事としてしっかり食べたい時、おやつとして軽く食べたい時など、その時の状況に合わせて必要な分だけ気軽に購入することが出来ます。

(いなり寿しとチキン(包装))
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 スーパーマーケットなどで見かける普通のポリ袋に、いなり寿司とチキンが詰められています。

 地元の人が食事・軽食用として購入されることを想定した簡易包装となっています。

(いなり寿しとチキン)
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 いなり寿しもチキンも結構大きめのサイズです。

 いなりあげ(油揚げ)は、薄くて白っぽく、味も薄味に仕上げられていました。

 すし飯も甘さ控えめの、あっさりとした味付けでした。

 いなりあげとすし飯は三角形に握られ、すし飯に白ゴマがトッピングされていました。

 チキンは、鶏肉にパン粉をまぶして揚げた、いわゆる「チキンカツ」でした。

 ガーリック(にんにく)が効いていて、食欲が増しました。

 このチキンに、あっさりとした味付けのいなり寿しが実によく合いました。

 揚げ物のチキンを食べた後でいなり寿しを食べると、適度な酸味と甘味で口の中がさっぱりとし、またチキンが食べたくなる…という無限ループにはまってしまいます。

 揚げ物と沖縄のいなり寿司は最強のコンビであることが理解出来ました。


「丸一食品」塩屋店

 続いて、車でうるま市へ向かいました。

 次に目指すお店は「丸一食品」です。

 いなり寿司とチキンを中心に販売されているお店で、売り切れ次第終了の人気店です。

 11時頃、那覇市内からお店へ電話して在庫を確認したところ、「まだ若干ございますが、早めにお越しいただいた方が良いと思います」とのお話だったので、急いでお店へ向かいました。

 お店には13時30分頃到着しました。

(「丸一食品」塩屋店)
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 すると、お店に併設した広い駐車場のゲートが半分閉められ、駐車場内には車が1台のみという状態でした。

 ただならぬ気配を感じ、駐車場におられたお店の方に尋ねてみると、「売り切れで営業を終了しました」と申し訳なさそうにお答えいただきました。

 とても残念でしたが、諦めるほかありませんでした。

 いなり寿司とチキンは、地元の人々に絶大な人気がある食べ物なのだと改めて認識しました。


「城まんじゅう」の「アーサいなり」

 続いて、「丸一食品」塩屋店からほど近い、うるま市の「うるマルシェ」を訪問しました。

(うるマルシェ)
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 こちらの産直コーナーで珍しいいなり寿司が販売されていました。

 「城(ぐすく)まんじゅう」から販売されている「アーサいなり」です。

(アーサいなり(包装))
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 アーサ(朝)でなく、昼過ぎでもいなり寿司が1パックだけありました。

 すし飯に北中城(きたなかぐすく)特産のアーサ(海藻)が混ぜられているいなり寿司です。

(アーサいなり)
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 三角形のいなり寿司が5個入っていました。

 すし飯といなりあげを分けてみました。

(アーサいなり(すし飯といなりあげ))
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 すし飯には、緑色の海藻「アーサ」が混ぜられ、隠し味としてマヨネーズも加えられていました。

 一方、いなりあげは、「いなり寿し家」と同様に、薄くて白っぽく、味も薄味に仕上げられていました。

 爽やかなアーサの風味や、ほのかに感じるマヨネーズのコクと旨味が、いなり寿司をより一層美味しくさせていました。

 このお店でも、法事や香典返し用のいなり寿司セット(折詰・重箱)が用意されています。

(城まんじゅうチラシ(法事・香典返し用))
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 (食べログ・城まんじゅう公式ページより一部引用・価格は2024年8月11日現在)

 生地にアーサが練り込まれた「城まんじゅう」が法事の際にも使われることについては、当ブログでも御紹介しました(「関連記事」参照)が、これにいなり寿司を加えたセットを「法事・香典返し用」として販売されているのです。

 さらに、ここでもチキンが登場し、「いなりとチキン」のセットにもなっているところが興味深いです。

 沖縄県ならではの法事用折詰・香典返しです。


まとめ

 沖縄のいなり寿司には、いくつか特徴が見い出せます。

・三角形が中心で、比較的大きい
・いなりあげは白っぽくて厚みがなく、薄味(甘さ控えめ)に仕上げられている
・すし飯はあっさりしており、具はほとんど入っていない
・チキン(揚げ物)との相性が抜群に良い

 沖縄では揚げ物やファストフードが好まれる傾向にありますが、そのニーズにぴったり合う食事・軽食の1つが「いなりとチキン」なのです。


<関連サイト>
 「いなり寿し家」(沖縄県沖縄市園田2-13-6)
 「丸一食品」(「塩屋店」沖縄県うるま市塩屋494-6(インスタグラム))
 「うるマルシェ」(沖縄県うるま市字前原183-2)
 「城まんじゅう」(沖縄県中頭郡北中城村仲順230)

<関連記事>
 「沖縄の食文化探訪4-城まんじゅう、くんじゃんナントゥ、いもぽき、ポーポー、こんぺん・くんぺん-

2024年7月28日 (日)

沖縄の食文化探訪5-沖縄の大衆食堂で「ランチ」を味わう(トンカツ・天ぷら・海老フライ・揚げかまぼこ・ポークと玉子焼き・沖縄そば)-

国際通りと第一牧志公設市場

 沖縄県那覇市のメインストリート「国際通り」にやってきました。

(国際通り)
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 お土産屋さんや飲食店などがぎっしりと連なり、夜遅くまで賑やかな通りです。

 この国際通りから「市場本通り」を南へ向かって少し歩いたところに、「第一牧志公設市場」があります。

(那覇市第一牧志公設市場)
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 久しぶりに訪問すると、第一牧志公設市場は真新しい建物になっていました。
 (2023年3月移転・リニューアルオープン)

 市場内をしばらく散策した後、さらに南へ歩きました。


大衆食堂ミルク

 浮島通りまで歩くと、そのすぐ近くに、長い間地元の人々に愛されている食堂があります。

(大衆食堂ミルク(浮島通り側))
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 「大衆食堂ミルク」です。

 初めての方は入るのに少し勇気が要るかも知れませんが、地元の常連さんが普段使いで利用されている沖縄の大衆食堂で、誰でも温かく迎えていただけます。

 店内には、沖縄料理を中心としたメニュー札がびっしりと並べられており、お客さんは食事したり、会話を楽しんだり、テレビを観たり、新聞を読んだりと思い思いの過ごし方をされていました。

 「ほーっ いいじゃないか こういうのでいいんだよ こういうので」

 とつぶやきながら店内を見渡していると、「孤独のグルメ」の主人公・井之頭五郎(松重豊)さんの写真がありました。

(大衆食堂ミルクを訪れる井之頭五郎の写真)
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 たまたま見つけられるような場所ではないのですが…(笑)

 テーブル席に着き、メニューを眺めて、何を注文するかしばらく考えました。

 その時、隣の席の方がメニューにはない「ランチ」を注文されました。

 「えっ、ランチがあるんだ」

 食堂や町中華で提供される「ランチ」は、ごはん・おかず・サラダなどが1つの皿(ワンプレート)に盛られて提供されるもので、サービスメニューの一種です。

 「ランチ」という名称ですが、ランチタイムだけでなく終日注文できるお店も多いのも特徴の1つです。

 メニューにない料理を注文する面白さもあり、私も「ランチ」を注文しました。


大衆食堂ミルクの「ランチ」

 向かいのテーブル席に座っておられた年配の女性が地元紙・琉球新報を読んでおられました。

 そして読み終えられた時、にこっと笑顔で私に新聞を手渡してくださいました。

 「アットホームな雰囲気でいいなぁ」、「これが沖縄の温かい人情なんだろうな」と思いつつ、しばらく琉球新報を読んでいると、テーブルに「ランチ」が運ばれてきました。

(大衆食堂ミルクのランチ)
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 「うわっ、すごいボリューム!」

 料理が盛られた大皿が定食のお盆からはみ出しています。

 山盛りのライスに、トンカツ、鶏の天ぷら、海老フライ、玉子焼き、サラダ、漬物、オレンジ、さらに沖縄そばまで付いています。

 そしてトンカツや海老フライの調味料として、小袋のとんかつソース(大皿の右上)が付けられているところが面白いです。

 トンカツ1枚、鶏の天ぷら2枚、開いた海老フライ1本、大きな玉子焼き、山盛りでドレッシングもたっぷりかかったサラダ(レタス・千切りキャベツ・キュウリ)…と、テンション上がりまくりです。

 トンカツや鶏の唐揚げを食べ進めていると、さらにその奥からおかずが登場しました。

(ランチのおかず(揚げかまぼこ・ポーク))
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 焼いたポーク(ランチョンミート)2枚と、揚げかまぼこ2枚が奥に埋まっていました。

 なるほど、沖縄の定番料理「ポークと玉子焼き」も味わえるよう構成されているのです。

 油で焼いた料理や揚げた料理ばかりなので、ボリューム満点です。

 ライスと一緒に美味しくいただきました。

 そして沖縄そばです。

(沖縄そば)
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 麺のコシがかなり強いことに驚きました。

 この麺に、かつお節の出汁が効いたつゆがたっぷり注がれ、刻みねぎと刻み玉子が盛られていました。

 あっさりしたつゆで、「ラーメン」よりは「かけそば」に近いと思いましたが、麺が太くてコシがあり、量もあったので、沖縄そばだけでも相当食べ応えがありました。

 「大衆食堂ミルク」の「ランチ」には、沖縄料理・沖縄の食文化が詰め込まれていました。

(大衆食堂ミルク(奥側))
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 お腹いっぱいになり、幸せな気分でお店を後にしました。


まとめ

 沖縄のローカル食堂には、今回御紹介した「ランチ」のほか、
「みそ汁」(野菜や卵など具材たっぷりの一品料理)
「ポークと玉子焼き」(ランチョンミートと玉子焼き)
「ちゃんぽん」(卵でとじた野菜炒めをごはんにのせた料理)
「カレー」(昔ながらの黄色いカレー)
「煮付け」(豚の三枚肉と野菜の煮物)
「ゆし豆腐」(にがりを入れて固まる前のおぼろ豆腐)
「すき焼き」(フライパンで調理し、皿に盛り付けられるのが特徴)
「イカスミ汁」(イカ、豚肉、ニガナを煮込み、イカ墨を加えた真っ黒な汁)
など、地元ならではの料理が用意されています。

 こうした食堂では、メニューに「おかず」しか書かれていなくても、ごはんと汁物が付いてくるようです。

 ボリューム満点ですので、お腹を空かせてから訪問されることをおすすめします。


<関連サイト>
 「第一牧志公設市場」(沖縄県那覇市松尾2-10-1)
 「大衆食堂ミルク」(沖縄県那覇市松尾2-10-20)

2024年7月14日 (日)

沖縄の食文化探訪4-城まんじゅう、くんじゃんナントゥ、いもぽき、ポーポー、こんぺん・くんぺん-

 今回は沖縄のお菓子を御紹介します。

城まんじゅう

 沖縄県うるま市の「うるマルシェ」には、沖縄のお菓子がたくさん販売されています。

(うるマルシェ)
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(うるま市の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)

 そのほとんどが地元のお菓子として販売されているのですが、県外客にとっては珍しいお菓子ばかりです。

(城まんじゅう(包装))
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 こちらは「城(ぐすく)まんじゅう」です。

 「北中城(きたなかぐすく)名物」と書かれています。

(北中城村の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)

 「城まんじゅう」(北中城村)で作られた饅頭で、1パック280円(税込)でした。

(城まんじゅう)
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 小麦粉と山芋粉の生地で、緑色の生地には「アーサ」と呼ばれる海藻が練り込まれています。

 白い饅頭は「小豆まんじゅう」、緑色の饅頭は「アーサまんじゅう」と呼ばれています。

 饅頭の底には、「サンニン(月桃、げっとう)」の葉が敷かれています。

 生地の中には、小豆あん(粒あん)がぎっしり入っています。

 モチモチした生地で、さわやかで香ばしいサンニン(月桃)の香りに包まれた饅頭でした。

 ちなみに、今回の白と緑の組合せは「法事」用として、これに赤を加えた組合せは「お盆(旧盆)」や「シーミー(清明祭)」用として、セット販売もされています。


くんじゃんナントゥ

 「うるマルシェ」で「くんじゃんナントゥ」が販売されていました。

(くんじゃんナントゥ(包装))
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 「ふじや食品」(国頭村(くにがみそん))の商品で、1つ280円(税込)でした。

(国頭村の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)


 「くんじゃん」は「国頭」、「ナントゥ」は餅菓子という意味です。

(くんじゃんナントゥ)
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 黒糖の餅菓子で、側面に白ゴマがまぶされています。

 見た目や触感から、黒糖の「ういろう」をイメージしました。

 沖縄の「ナントゥ」には味噌が使われることが多いのですが、この「くんじゃんナントゥ」は、味噌ではなく生姜が使われています。

 いただくと、ナントゥも強い生姜の風味を感じました。

 生姜がたくさん入っているので、次第に体がポカポカ温まりました。

 黒糖と生姜の風味を効かせた(名古屋の)ういろうのようなお菓子です。


いもぽき

 「うるマルシェ」で「いもぽき」が販売されていました。

(いもぽき(包装))
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 伊計島(いけいじま)産の甘藷「黄金芋(おうごんいも)」を使った芋菓子です。

(伊計島の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)

 「黄金茶屋」(うるま市)の商品で、1袋260円(税込)でした。

 包装に「焼き芋の皮までまるごとたっぷり入れた逸品をお楽しみください」とありました。

(いもぽき)
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 長さ約15cmのスティックが3本入っていました。
(1本は様子がわかるように、ぽきっと折っています)

 スティック状に加工された焼き芋クッキーです。

 焼き芋をそのままギュッと濃縮させて焼き固めたような、自然な甘味とほろ苦さを感じるクッキーでした。


ポーポー

 「うるマルシェ」で「ポーポー」が販売されていました。

(ポーポー)
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 読谷村在住の方が作られたお菓子で、2本セットで270円(税込)でした。

 味噌や黒糖で味付けした生地をクレープ状に焼き、筒状にグルグル巻きにしたお菓子です。

 「ポーポー」という名称の由来は、中国の「包子(パオズ)」・「炮炮(ポーポー)」など諸説ありますが、中国から沖縄へ伝えられたお菓子のようです。

 沖縄では、旧暦の5月4日に「ユッカヌヒー(四日の日)」と呼ばれる海神様への祈願祭が行われ、子供のおやつとして「ポーポー」が食べられてきました。

 今回のポーポーは読谷村の「楚辺ポーポー」と呼ばれる黒糖入りのポーポーで、長さは約18cmでした。

(読谷村の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)

 ほのかに黒糖の甘さと風味を感じる、素朴なお菓子でした。

 「ポーポー」という名称は、その愛らしい響きが好まれてか、新潟県に沖縄の「ポーポー」そっくりの「ぽっぽ焼き」があったり、アケビに似た「ポーポー(ポポ)」と呼ばれる果物があったり、福島県いわき市に「ポーポー焼き」と呼ばれるサンマの「つくね・ハンバーグ」があったりと、全国各地で使われています。

 ちなみに、新潟県の「ぽっぽ焼き」の由来は、「焼き器の蒸気口に笛をつけポーポーと鳴る音で客寄せをしたことから」とか「蒸気が上がる様子が蒸気機関車(ポッポ)に似ていることから」など諸説あります。
 ※新潟県観光協会「にいがた観光ナビ」の記事による。

 また、福島県いわき市の「さんまポーポー焼き」の由来は、「漁師が船上で料理をする際、サンマの脂が炭火に落ちてポーポーと炎が出たから」とか、「アツアツをポーポーと息をしながら食べたから」だと伝えられています。


こんぺん

 「うるマルシェ」で「こんぺん」が販売されていました。

(こんぺん(包装))
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 包装に「煎り胡麻が香ばしい」、「ピーナツ餡こんぺん」、「琉球伝統菓子」と紹介されています。

 「佐久本もち店」(うるま市)の商品で、1個130円(税込)でした。

(こんぺん)
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 小麦粉・砂糖・油脂・卵・牛乳などの生地を焼き上げた、クッキーのようなお菓子です。

 中国から琉球(沖縄)へ伝わったお菓子で、「くんぺん(薫餅)」とも呼ばれています。

(こんぺん(中身))
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 中には、煎り胡麻たっぷりのピーナツあんが入っていました。

 ねっとりとしたコク・風味のピーナツあんと香ばしい煎り胡麻を、サックリとした生地で包み込んだ焼菓子でした。


くんぺん

 「道の駅いとまん」や那覇空港の売店で「くんぺん」が販売されていました。

(道の駅いとまん「うまんちゅ市場」)
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 先程御紹介した「こんぺん」と同じお菓子です。

(くんぺん(包装))
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 包装に「沖縄・石垣島銘菓」と紹介されています。

(石垣島の位置図)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を加工・引用)

 「宮城菓子店」(石垣市)の商品です。

(くんぺん)
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 小麦粉・砂糖・卵・オリーブオイル・黒糖・ハチミツなどの生地を焼き上げた、ソフトクッキーのようなお菓子です。

(くんぺん(中身))
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 中には、ピーナツバター、さらに中心部には黒ゴマあんが入っていました。

 ピーナツバター、黒ゴマあん、いずれも濃厚でコクがありますが、それらをクッキー生地がうまく包み込んでいました。

 電子レンジやオーブントースターで温めると、ピーナツバターや黒ゴマあんが程よく溶けて風味が増し、より一層美味しくいただけます。

 私は職場仲間へ沖縄のお土産として配りましたが、好評でした。


<関連サイト>
 「うるマルシェ」(沖縄県うるま市字前原183-2)
 「地域に愛される沖縄銘菓・北中城自慢の名産品「城まんじゅう」」(北中城村観光情報サイト)
 「黄金茶屋」(沖縄県うるま市与那城照間1860-1)
 「ポッポ焼き」(にいがた観光ナビ・新潟県観光協会)
 「佐久本もち店」(沖縄県うるま市兼箇段1762−4)
 「宮城菓子店」(沖縄県石垣市石垣727-1)
 「道の駅いとまん」(沖縄県糸満市西崎町4-20-4)

<関連記事>
 「ポポ -なぜ「幻の果物」と呼ばれるのか-

2024年6月 9日 (日)

沖縄の食文化探訪3 沖縄の「田芋(タイモ)」-田芋ジューシー・田芋でんがく・タームパイ(タームパイの形は何に由来しているのか)-

沖縄の田芋(タイモ)

 沖縄で芋と言えば全国的に「紅芋(ベニイモ)」が有名ですが、地元では「田芋(タイモ)」という芋も人気があります。

 沖縄ではタイモのほか、地域によってターンム、タームとも呼ばれています。

 サトイモ科の芋で、里芋以上に粘りがあり、ご飯のおこげのような、独特の香ばしい香りがあるのが特徴です。

 サトイモ科の芋は「タロイモ」と呼ばれますが、「タイモ」もこれとよく似た呼び名となっています。

 沖縄では料理やお菓子によく用いられる食材です。

 今回は沖縄の田芋の魅力を御紹介したいと思います。


月桃葉包み田芋ジューシー

 沖縄県うるま市の「うるマルシェ」で「田芋ジューシー」が販売されていました。

 「ジューシー」は、米を豚肉・鶏肉・野菜などの具とだし汁で炊いた「炊き込みご飯」を言います。

(田芋ジューシーの商品紹介)
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 「ちまき」のように月桃の葉で包まれた「月桃葉包み田芋ジューシー」のほか、月桃葉のカップに詰められたジューシー、そして「よもぎ」入りのジューシーも販売されていました。

(月桃葉包み田芋ジューシー(包装))
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 こちらは「月桃葉包み田芋ジューシー」です。

 「やんばる入口食品」(うるま市)で作られたもので、1つ400円(税込)でした。

 月桃の葉を開けると、1食分のジューシーが入っていました。

(月桃葉包み田芋ジューシー)
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 ジューシーの具に、さいの目切りの田芋が入っていました。

 里芋入り炊き込みご飯のイメージですが、とても香ばしい田芋の風味が味わえました。

 さらに月桃のさわやかで香ばしい風味が加わり、沖縄ならではの魅力的なジューシーに仕上がっていました。


田芋でんがく

 宜野湾市大山、「ごっぱち」(国道58号)沿いにあるスーパーマーケット・レストラン「ジミー大山店」の総菜コーナーで、「田芋でんがく」が販売されていました。

(田芋でんがく(パック))
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 「でんがく」と言えば、沖縄以外では「田楽、豆腐やこんにゃくなどに味噌を塗って焼いた料理」をイメージされる方が多いと思います。

 また、私の住む広島市では、ホルモンの煮込み汁のことを「でんがく」と呼んでいます。

 見た目から、これらの「でんがく」とは明らかに違うと思いつつ、「田芋でんがく」を購入しました。

 宿泊施設に持ち帰り、田芋でんがくを紙皿に盛ってみました。

(田芋でんがく)
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 ドロッとした粘りがあり、色は灰色に近い紫色です。

(田芋でんがく(粘り))
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 田芋でんがくをスプーンで持ち上げると、相当な粘りがありました。

 そのまま口に運んでみると…ほどよい甘さの「きんとん」でした。

 そして、見た目とは裏腹に美味しく、そのギャップに驚きました。

 田芋でんがくは、田芋の香ばしい香りが楽しめる、沖縄のおやつです。


タームパイ

 「タームパイ」は、甘い田芋あん入りのパイです。

 沖縄では様々なお店でタームパイが販売されており、人気の高さが伺えました。

 そんなタームパイをいくつか御紹介します。


【金武町産田芋の三角パイ】

 沖縄県うるま市の「うるマルシェ」でタームパイを購入しました。

(金武町産田芋の三角パイ(パック))
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 金武(きん)町産の田芋で作られた「金武町産田芋の三角パイ」です。

(金武町産田芋の三角パイ)
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 小さな三角おむすびのような形をしたタームパイです。

 油で揚げたパイです。

(金武町産田芋の三角パイ(中身))
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 パイ生地の中には、甘くてトロッと粘りのある、「田芋でんがく」のようなあんが入っていました。

 おやつにぴったりのお菓子でした。


【タームパイ(マルキヨ製菓)】

 読谷村(よみたんそん)の「サンエー」大湾シティ店で、ホールのタームパイが販売されていました。

 「マルキヨ製菓」(浦添市)のタームパイです。

(タームパイ(マルキヨ製菓)(ホール))
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 「ホールケーキのようなビッグサイズのタームパイもあるのか」と思いながら購入しました。

(タームパイ(マルキヨ製菓)(カット))
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 タルトの土台に田芋あんとケーキ生地をのせ、オーブンで焼いたパイです。

 表面のケーキ生地は、香ばしくしっとりとしています。

 紫色の層が「田芋あん」で、田芋(タロイモ)のほか、なた豆、いんげん豆、えんどう豆も使われています。

 美味しいので、ホールにもかかわらず、あっという間に食べてしまいました。


【田いもパイ(おおやまパイ)】

 タームパイを求めて、レンタカーで「ごっぱち」を走り、宜野湾市のお店へ向かいました。

 お店の周辺は住宅地で道も狭く、カーナビを頼りに何とかたどり着けました。

(おおやまパイ店舗)
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 天女が描かれた看板に「ようこそ 田芋の里 大山へ」と記載されています。

 ちなみに、左側の黒い軽自動車は、私が使用したレンタカーです。

 注文を受けてからタームパイが揚げられるため、出来上がりに約10分かかります。

 初めての訪問で、到着時刻が予測出来なかったこともあり、突然のお店訪問となってしまったことをお店の方にお詫びし、出来上がるまで車の中で待ちました。

(田いもパイ(おおやまパイ)(パック))
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 手渡された「田いもパイ」は、揚げたてアツアツでした。

 車の中に入れておくと、車内に油の匂いが充満しました(笑)

(田いもパイ(おおやまパイ))
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 こちらが「おおやまパイ」の「田いもパイ」です。

(田いもパイ(おおやまパイ)(中身))
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 田芋あんをパイ生地で包み、油で揚げたものです。

 生地はドーナツのようなサックリとした仕上がりで、中には田芋あんがたっぷりと包まれていました。

 ねっとりとして香ばしい田芋あんと揚げたパイの相性が抜群でした。

 揚げ立てを味わっていただきたい一品です。


タームパイの形は何に由来しているのか

 今回の沖縄の旅では、このタームパイが研究テーマの1つでした。

 その理由は、タームパイの形が、中国からもたらされた日本古来のお菓子「唐菓子(からくだもの)」の「餢飳(ぶと)」の形にそっくりだからです。

(餢飳(ぶと))
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 これは京都・祇園の京菓子店「亀屋清永」で購入した餢飳です。

 中にあんこ(こしあん)が詰められています。

 先程御紹介した「おおやまパイ」の「田いもパイ」とそっくりの形ですよね。

 「タームパイと餢飳にどんな関係性があるのか」を調べるため、レンタカーで沖縄県内の様々なタームパイを購入したというわけです。

 その結果、「タームパイは餢飳ではなく、アップルパイとの関係性が強い」ことがわかりました。

 その理由として、
①タームパイは餢飳の形だけでなく、三角形や円形など様々な形がある
②沖縄の食文化は中国だけでなく、アメリカの影響も大きく受けている
③タームパイだけでなく、アップルパイにも餢飳に似た形をしたものがある
④沖縄ではタームパイと並んで、アップルパイも数多く販売されている
⑤タームパイとアップルパイを同じコーナーで販売しているお店も多い
⑥タームパイは近年、田芋の知名度向上のために作られたお菓子である
ことが挙げられます。

 これらの理由から、タームパイは沖縄で身近なアップルパイをお手本に作られている可能性が高いという結論に至りました。

 残念ながら、当初私が予想した餢飳との関係はなさそうですが、田芋やタームパイを通じて沖縄の食文化について学ぶことが出来ました。


まとめ

 田芋を使った様々な料理・お菓子をいただき、沖縄の田芋の魅力を知ることが出来ました。

 沖縄では、田芋のチーズケーキやアイスクリームなども人気のようです。

 沖縄の田芋、私は今回初めていただきましたが、またぜひ食べタイモのの1つとなりました。


<関連サイト>
 「タイモ(田芋)」(「くゎっちーおきなわ」)
 「うるマルシェ」(沖縄県うるま市字前原183-2)
 「やんばる入口食品」(沖縄県うるま市赤道1056-1)
 「Jimmy's(ジミー)」(「大山店」沖縄県宜野湾市大山2-22-5 ほか)
 「ターンムディンガク」(「うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味」農林水産省)
 「サンエー」(「大湾シティ店」沖縄県中頭郡読谷村字大湾343ほか)
 「マルキヨ製菓」(沖縄県浦添市牧港5-11-3)
 「おおやまパイ」(沖縄県宜野湾市大山三丁目15-26)
 「亀屋清永」(京都市東山区祇園石段下南)
 「沖縄田芋チーズケーキ」(「BLUE SEAL(ブルーシール)」アイスクリーム)

<関連記事>
 「広島の名物・郷土料理4 -でんがく・ホルモンおでん,田楽とおでんの食文化史-
 「唐菓子(からくだもの)-清浄歓喜団と餢飳(ぶと)-

2024年5月26日 (日)

沖縄の食文化探訪2 -月桃(げっとう)を使ったお菓子・料理(カーサームーチー・月桃葉包み田芋ジューシー・あがらさー)-

旅先で感動した食材・料理

 旅先で初めて出会った食材や料理の中で、1つでも心の底から感動したものがあれば、それはとても幸せなことだと言えるでしょう。

 沖縄は今回で2回目の訪問となりましたが、私が初めて沖縄へ訪問した時に感動した食材は「シークヮーサー」でした。

 シークヮーサーは、レモン・かぼす・すだちに似た柑橘類の1つで、酸味が強く、さわやかな風味があるのが特徴です。

 那覇市街を歩いていて、のどが渇いてたまらなかった時、自動販売機でたまたま買ったペットボトルのシークヮーサージュースがさわやかでとても飲み心地が良く、目が覚めるような感動をした思い出があります。

 そして今回、シークヮーサーと同様に感動したのが「月桃(げっとう)」です。

 「月桃」は、沖縄や奄美大島、台湾などの温暖な地域に群生するショウガ科の植物で、沖縄では「サンニン」とも呼ばれます。

 そのまま食べるのではなく、様々な食品を月桃の葉で包むことで、食品への香り付けや殺菌・防腐効果が期待できる植物です。

 東南アジアの「バナナの葉」と似たような使い方がされます。

 私は当初、月桃の葉は「ムーチー(餅)を包む葉」程度の認識しかなかったのですが、実際に月桃の葉が用いられた食品を食べてみて、そのジャスミンにも似たさわやかな風味に感動を覚えました。

 今回は、そんな月桃を使ったお菓子・料理を御紹介します。


カーサームーチー(紅芋)

 沖縄県うるま市の「うるマルシェ」を訪問しました。

(うるマルシェ)
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 このお店で「カーサームーチー」が販売されていました。

 「カーサー」は「月桃の葉」、「ムーチー」は「餅(鬼餅とも表現される)」で、「月桃の葉に包んで蒸した餅」という意味です。

 「もち家のモッチッチ」(沖縄市)で作られたムーチーで、1個172円(税込)でした。

(カーサームーチー(包装))
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 月桃の葉の形に合わせ、お餅が縦長に包まれています。

 紅芋(べにいも)の色と同じ紫色のひもで結ばれています。

 御祝儀袋を開ける感覚で、ゆっくりと開けてみました。

(紅芋のカーサームーチー)
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 紫色のお餅(ムーチー)が入っていました。

 ほんのりとした甘みを感じる素朴な紅芋のお餅です。

 お餅を月桃の葉に包んで蒸すことで、さわやかで香ばしい月桃の香りがしみ込んでいました。

 月桃の葉は、調理器具であり、皿であり、天然の香料であり、殺菌剤・保存料でもあるのです。

 カンボジアでバナナの葉を使った料理をいただきましたが、それとよく似た使い方だと思いました。

 そして、沖縄は東南アジアと共通する南国の食文化圏でもあることを実感しました。


月桃葉包み田芋ジューシー

 同じ「うるマルシェ」で、月桃の葉で包まれたジューシーが販売されていました。

 「ジューシー」は、米を豚肉・鶏肉・野菜などの具とだし汁で炊いた「炊き込みご飯」です。

 「ちまき」のように月桃の葉で包まれたものが販売されていました。

 「やんばる入口食品」(うるま市)で作られたもので、1つ400円(税込)でした。

(月桃葉包み田芋ジューシー)
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 月桃の葉を開けると、田芋のジューシーが詰められていました。

 「田芋(たいも・ターム)」は里芋の一種で、沖縄では料理やお菓子によく用いられる食材です。

 ジューシーの具は田芋、ゴボウ、ニンジン、椎茸、鶏肉で、だし汁には醤油・みりん・かつお・昆布が使われていました。

 月桃のさわやかで香ばしい風味が、ジューシーの味をより一層高みへと導いていました。

 私はこのジューシーの味に感動し、月桃に魅力を感じるようになったのです。

 そしてこの「月桃」と同様に「田芋」にも感動を覚えたのですが、沖縄の田芋につきましては、また別の機会に特集を組み、皆様に御紹介できればと考えています。


あがらさー

 沖縄県糸満市の「道の駅いとまん」は、全国最南端で、沖縄県最大規模の道の駅です。

 こちらのファーマーズマーケット(農産物直売所)「うまんちゅ市場」へやってきました。

(道の駅いとまん「うまんちゅ市場」)
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 このお店に「あがらさー」という郷土菓子があったさー。

(「あがらさー」紹介・販売)
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 陳列ケースに「あがらさー」の紹介文がありました。

「あがらさー」
 あがらさーとは蒸し器の意味です
 沖縄のお菓子で蒸しカステラ又は蒸しパンに近いもっちりした感じのお菓子もあがらさーと言います
 沖縄の黒糖、蒸し器に入れた月桃の香りも一緒に味わってください

 カップケーキのような形をしたお菓子が3つ、月桃の葉とともに袋詰めされていました。

 地元・糸満市にお住まいの個人の方が作られたもので、1袋190円(税込)でした。

(あがらさー)
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 黒糖のミニ蒸しパンで、特に頂点の黒糖が集まったカリカリした部分が美味しかったです。

(あがらさーと月桃葉)
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 あがらさーの中身はこんな感じで、まさに黒糖の蒸しパンそのものでした。

 月桃の葉を敷いて蒸されることで、蒸しパンに月桃の良い香りが加わっていました。

 「あがらさー」は、おやつにぴったりの、沖縄の郷土菓子です。


まとめ

 月桃の葉は、実用性(蒸し台・包装・皿・保存・殺菌)だけでなく、風味付け(フレーバー)にも大きな役割を果たしている植物であることがわかりました。

 沖縄県内のお店を意識して探せば、月桃が使われた様々な商品をゲットできますよ!


<関連サイト>
 「「月桃」お菓子やコスメ、オリオン商品まで沖縄で広く親しまれるハーブ」(オリオンビール)
 「うるマルシェ」(沖縄県うるま市字前原183-2)
 「やんばる入口食品」(沖縄県うるま市赤道1056-1)
 「道の駅いとまん」(沖縄県糸満市西崎町4-20-4)

<関連記事>
 「カンボジア料理の特徴と主な料理4 -プラホックを使った料理(プラホック・チャー,バナナの葉包み焼き)・カンボジアの食文化-
 「カンボジア料理の特徴と主な料理7 -トゥック・トレイ・コンコン,ナムガウ,モアン・アン,冬瓜茶,チョンボ,ドリアン-

2024年5月19日 (日)

沖縄の食文化探訪1 -もずく塩パン・グルクン唐揚げ・てびち・ばくだんおにぎり-

広島から東京・神奈川経由で沖縄へ

 2024年3月10日から11日にかけて、沖縄県を訪問しました。

 前日(3月9日)に東京・池袋で開催された映画「散歩屋ケンちゃん」のイベントに参加し、神奈川県藤沢市のホテルに泊まりました。

 そして翌朝、羽田空港から飛行機で那覇空港へ向かったのです。

(空路案内)
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 (国土地理院「地理院地図」の一部を使用)

 ①広島空港から羽田空港、②羽田空港から那覇空港、③那覇空港から広島空港という3つ空路を利用しました。

 ここでクイズです。

 「この3つの空路を航空運賃が高かった順に並び変えてください」
 ※ヒント1:①414マイル、②984マイル、③650マイル
 ※ヒント2:広島-羽田便や羽田-那覇便は多数あるが、広島-那覇便は1日1往復のみ

 マイルだけで推測すると、航空運賃が高い順に②→③→①となりそうですが、実際はそうではありませんでした。

 正解は、航空運賃が高い順に③→②→①です。
 (式で表すと「③>>②≒①」という感じです)

 航空運賃は距離だけでなく、発着便数や利用客数、競合会社数など複数の要素で決められることがわかります。


 今回は、沖縄のスーパーマーケット・道の駅で出会った沖縄の食を御紹介します。


もずく塩パン

 那覇空港に着いて、沖縄市内でレンタカーを借り、スーパーマーケットや道の駅に行ってみました。

 うるま市にある「うるマルシェ」では、沖縄の名産「もずく」を使った塩パンが販売されていました。

(もずく塩パン(包装))
Photo_20240519133801

 小麦粉、太白胡麻油、砂糖、もずく、塩、パン酵母、バターで作られた、添加物なしのパンです。

(もずく塩パン)
Photo_20240519133802

 パン生地の中に黒いもずくが練り込まれているのがわかります。

 もっちりした食感で、「チャバタ」や「フォカッチャ」に似ています。

 ほのかに胡麻油とバターの風味を感じる、美味しいパンでした。


グルクン唐揚げ

 沖縄市美原にあるスーパーマーケット「コープ美里」の総菜コーナーで、グルクンの唐揚げが販売されていました。

(グルクン唐揚げ(包装))
Photo_20240519134001

 「グルクン」は沖縄県の県魚で、一般的には「タカサゴ」と呼ばれています。

 全体的に赤っぽい、色鮮やかな魚ですが、唐揚げにすると目立たなくなります。

(グルクン唐揚げ)
Photo_20240519134101

 「唐揚げにされているから骨も大丈夫だろう」と、丸ごといただきました。

 外はパリパリ、中はジューシーな状態に揚げられていました。

 あっさりとした白身に、旨味が凝縮されていました。

 ギザミ(キュウセン、ベラ)、メバル、キス、コチなど近海で採れる白身魚に近い味です。


てびち

 「てびち」は、豚足をやわらかく煮た料理で、沖縄の代表的な料理の1つです。

 調味料は醤油、砂糖、酒(泡盛)、昆布などが用いられます。

 宜野湾市大山(国道58号沿い)にあるスーパーマーケット・レストラン「ジミー大山店」の総菜コーナーで「とろとろてびち」が販売されていました。

(てびち(包装))
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 豚足をとろとろに煮込んだ「てびち」が2つ入っていました。

 夜に伺ったので半額でした。

(てびち)
Photo_20240519135201

 特に皮のプルプルした食感がたまりません。

 甘さ控えめで、くどくないので、いくらでも食べられそうでした。

 その美味しさから、野生動物のように無心になって「てびち」にかぶりつき、骨以外を食べ尽くしました。


ひめゆりの塔と平和祈念公園

 沖縄県南部、糸満市にある「ひめゆりの塔」と「平和祈念公園」を訪問しました。

(ひめゆりの塔)
Photo_20240519135401

 「ひめゆりの塔」は、沖縄戦で亡くなったひめゆり学徒のための慰霊碑です。

 ひめゆり学徒のことをほとんど知らずに訪問したのですが、現地で資料を読むと、いかに悲惨な出来事だったかが理解できました。

 当時の軍部は、沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の生徒(ひめゆり学徒)を動員し、陸軍病院で看護活動に従事させました。

 しかしながら、米軍の攻撃で日本軍が劣勢になると、軍部は突然「解散命令」を出して「ひめゆり学徒」を危険な戦場に放してしまうのです。

 人の命よりも軍部の都合が優先されたわけです。

 そのため「ひめゆり学徒」は多くの犠牲者が出ました。

 この話を知っただけでも、「ひめゆりの塔」に訪問した価値がありました。


 続いて、平和祈念公園を訪問しました。

 とても広い公園で、園内には様々な施設がありました。

(多目的広場と沖縄県平和祈念堂)
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 手前が多目的広場、奥の白い塔が平和祈念像が安置されている平和祈念堂です。

(平和の丘モニュメント)
Photo_20240519135902

 こちらは「平和の丘モニュメント」です。

 アーチ形で、広島平和記念公園の「原爆死没者慰霊碑」とよく似ています。

(平和の礎(いしじ))
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 こちらは「平和の礎(いしじ)」と呼ばれる刻名碑です。

 沖縄戦などで亡くなられた20万人余りの人々のお名前が刻まれています。

(「命どぅ宝」石碑)
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 「命(ぬち)どぅ宝」、命こそが最高の宝だと改めて思いました。


「道の駅いとまん」の「ばくだんおにぎり」

 ひめゆりの塔と沖縄平和祈念公園を見学した後、車で糸満市の「道の駅いとまん」に寄りました。

 「道の駅いとまん」は、全国最南端で、沖縄県最大規模の道の駅です。

(道の駅いとまん「うまんちゅ市場」)
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 「うまんちゅ広場」は、野菜や果物、加工品などが販売されているファーマーズマーケットです。

(道の駅いとまん「糸満市物産センター 遊食来(ゆくら)」)
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 「糸満市物産センター 遊食来(ゆくら)」では、糸満市をはじめとする沖縄県内の特産品・名産品が販売されています。

(糸満市の名物・特産品)
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 これらの施設をひととおり回った後、「お魚センター」へ行ってみました。

 この施設では、鮮魚、もずく、海ぶどう、水産加工品、海鮮丼などが販売されています。

 施設内店舗「西南門小(にしへーじょうぐわー)カマボコ屋」に掲示されている「ばくだんおにぎり」の広告が目に留まりました。

(西南門小カマボコ屋「ばくだんおにぎり」の広告)
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 船上の漁師の「まかない」から生まれた料理のようです。

 単に「ばくだん」とも呼ばれています。

 お土産にされるのか、「ばくだん」をまとめ買いされる地元客もおられました。

(西南門小カマボコ屋「ばくだんおにぎり」(包装))
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 「さけ」、「うめ」、「みそ」の3種類が販売されていたので、私は「みそ」を購入し、外のテラスでいただきました。

(西南門小カマボコ屋「ばくだんおにぎり」(中身))
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 ご飯に甘辛いみそを詰め、そのおにぎりを魚のすり身(かまぼこ)で包んで揚げたものです。

 薄いかまぼこ(さつま揚げ)で包まれているので、弾力があって、プリプリした歯ごたえが楽しめました。

 これなら少々上から落としても、割れないどころか、バウンドして再び手元に戻ってきそうです(笑)

 ご飯と具とかまぼこの美味しさを一度に味わえる、ボリュームのあるおにぎりでした。

 糸満市で、平和と「ばくだん(おにぎり)」について多くのことを学びました。


<関連サイト>
 「うるマルシェ」(沖縄県うるま市字前原183-2)
 「コープ美里」(沖縄県沖縄市美原4-29-1)
 「Jimmy's(ジミー)」(大山店:沖縄県宜野湾市大山2-22-5 ほか)
 「ひめゆりの塔・ひめゆり平和祈念資料館」(沖縄県糸満市字伊原671-1)
 「平和祈念公園」(沖縄県糸満市字摩文仁444)
 「道の駅いとまん」(沖縄県糸満市西崎町4-20-4)
 「西南門小カマボコ屋」(沖縄県糸満市西崎町4-17-21)

2024年4月14日 (日)

東京會舘の「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」と「マロンシャンテリー」

 東京・日本橋、日本橋三越本店の本館7階にある「特別食堂日本橋」を訪問しました。

 このお店では、東京會舘の伝統的な料理やデザートを味わうことが出来ます。

 今回は、東京會舘の伝統的な料理・デザートを御紹介します。


本日のスープ(カボチャのポタージュ)

 本日のスープとして、カボチャのポタージュが提供されました。

(本日のスープ(カボチャのポタージュ))
Photo_20240414100801

 カボチャの甘みとコクが楽しめる、濃厚なポタージュでした。


舌平目の洋酒蒸 ボンファム

 東京會舘の代表的な料理の1つに「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」があります。

 舌平目とシャンピニオン(マッシュルーム)を白ワインと魚の出汁で煮込み、さらに卵黄とバターたっぷりの「オランデーズソース」をかけてオーブンで焼き色を付けた料理です。

 この料理はとても手間がかかります。

 料理のベースとなるフォン(だし)やソースだけでも、①魚の「あら」からとったフォン「フュメ・ド・ポワソン」、②フュメ・ド・ポワソンに白ワインや生クリーム・バターなどを加えた「ヴァンブランソース(白ワインソース)」、③卵黄やバターで作った「オランデーズソース」を用意する必要があるのです。

 こうして作られる濃厚で重いソースは、正統派・クラシックフレンチの特徴でもあります。

 「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」がテーブルに運ばれてきました。

(舌平目の洋酒蒸 ボンファム)
Photo_20240414101501

 お皿の中心に舌平目を置き、その周りに刻んだシャンピニオン入りのソースがたっぷりとかけられています。

(舌平目の洋酒蒸 ボンファム(接写))
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 焼き色が付けられたソースから香ばしいバターの香りが漂い、食欲がそそられました。

 舌平目は、ふっくらとジューシーに焼き上げられています。

 舌平目の淡白な白身と、バタークリームをベースにした濃厚なソースの相性が抜群でした。

 この料理のもう1つのお楽しみは、ライス(またはパン)との組合せです。

 私はライスを選びました。

 ライスとソースを交互にいただくのも美味しいのですが、ライスをソースに混ぜていただくのもおすすめです。

(舌平目の洋酒蒸 ボンファムとライス)
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 少々お行儀が悪いですが、こうしてソースの上にライスをのせ…

(ライスにソースを混ぜ合わせた様子)
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 ライスにソースを混ぜ合わせます。

 濃厚なクリームシチューにご飯を混ぜたような味わいで、あまりの美味しさに、あっという間に食べ尽くしてしまいました。

【「ボンファム」の意味を考える】

 「ボンファム」はフランス語で「Bonne Femme」と表記されます。

 日本語に直訳すれば「良い女性」で、料理名では「貴婦人風」・「良い妻風」・「おふくろ風」などと訳されています。

 念のため手元の仏和辞典で調べてみると、「bonne femme」は口語で「おばさん」と訳されていました。

 貴婦人からおばさんまで訳し方によって随分違いがあります(笑)

 「貴婦人」には「dame(ダム)」という表現もあることから、私としては、この料理には「(こなれた・仕立ての良い)お母さん・おふくろの味」といった意味をあてるのが適当ではないかと思います。


マロンシャンテリー

 デザートとして、東京會舘の代表的なお菓子「マロンシャンテリー」をいただきました。

(マロンシャンテリーとコーヒー)
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 マロンシャンテリーは、東京會舘の初代菓子長がモンブランを日本人向けにアレンジしたお菓子です。

(マロンシャンテリー)
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 東京會舘のマロンシャンテリーと言えば、この生クリームの外観が有名ですが、中身がどうなっているのかも気になります。

(マロンシャンテリー(中身))
Photo_20240414104401

 マロンシャンテリーの中身はこんな感じになっています。

 そぼろ状にした黄色い栗のペーストが入っています。

 黄色いモンブランのマロンクリームと生クリームを逆に盛り付けたようなお菓子です。

 この栗ペーストは、和菓子の「きんとん(そぼろ状のあんこ)」とよく似ており、和菓子の要素を組み入れた洋菓子だと思いました。

 甘くてほろりとした栗のペーストを、生クリームがしっかりと受け止めてくれる、東京會舘オリジナルのお菓子です。


<関連サイト>
 「東京會舘」(特別食堂日本橋・東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店本館7Fほか)

<参考文献>
 辻調理師専門学校監修「基礎からわかるフランス料理」柴田書店

2024年3月17日 (日)

京都の食文化探訪 -志津屋のカルネ(京かるね)・濱登久の煮魚御膳・新幹線コーヒー・進々堂のパン-

京都タワー・京とれいん雅洛・スーパーマリオ

 学生時代の同窓会に出席するため、久しぶりに京都へ行きました。

 同窓会は昼開催だったのですが、有志で前夜会をしようという話になり、前の晩に到着しました。

(京都タワー(ライトアップ))
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 京都駅前の京都タワーがライトアップされていました。

 四条烏丸駅から京都河原町駅までの阪急電車は、「京とれいん雅洛(がらく)」という特別列車に乗ることが出来ました。

(京とれいん雅洛・河原町駅)
Photo_20240224113502

 海外からの観光客にも人気でした。

(京とれいん雅洛・ドア付近)
Photo_20240224113701

 車内は京都らしい、みやびな和のデザインとなっていました。

 私は、特別な団体列車か臨時列車かも知れないと、1駅のみの移動でしたが内心ドキドキしました。
 ※普通運賃のみで乗車できます。

 高島屋近くの地下道に、任天堂のスーパーマリオの像が展示されていました。

(スーパーマリオ・Nintendo KYOTO・四条通り地下道)
Nintendo-kyoto

 スーパーマリオが四条河原町にある緑色の土管に「ゴッゴッゴッ」と吸い込まれています(笑)

 スーパーマリオと言えば任天堂、任天堂と言えば京都の会社ですね。


志津屋のカルネ

 同窓会会場は油小路通三条にあるお店だったため、そのお店の近くにある「ハートンホテル京都」(東洞院通御池)に宿泊しました。

 ホテルの最寄り駅となる地下鉄・烏丸御池(からすまおいけ)駅に着くと、改札近くに「SIZUYA 烏丸御池店」がありました。

(志津屋・烏丸御池店)
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 「志津屋(SIZUYA)」は、京都のパン屋で、「カルネ」と呼ばれるサンドイッチパンが有名です。

 地元の人に愛される志津屋の「カルネ」をいつか味わってみたいと思っていました。

(「京かるね」のポスターと店舗案内)
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 このお店は駅の改札口を入った構内にあるのですが、改札で駅員の方に「志津屋を利用します」とお伝えすると、地下鉄を利用しなくても利用できるようです。

 志津屋の「カルネ」にはいくつか種類がありますが、基本となるのは「京かるね」で、単に「カルネ」とも呼ばれます。

 店頭ポスターに、
 「京都人が愛する京かるね」
 「マーガリンを塗ったパンにハムとたまねぎを挟んだだけのとてもシンプルなパンは一度食べるとクセになる」
と紹介されていました。

 なるほど、これで「京かるね」がわかるね!

 イートインメニューには、サーモンや生ハムとクリームチーズを合わせた豪華版カルネが用意されていました。

 ただ、初カルネとなる私は、基本であり憧れでもある「カルネ(京かるね)」から食べたいのが本音です。

 そこでお店の方に「お店に陳列されている「京かるね」とコーヒーをイートインでいただくことは出来ますか」とお尋ねしました。

 するとすんなり「出来ますよ」とお返事いただいたので、それならと、冷蔵ケースに陳列されていた「京かるね」をレジへ持って行き、コーヒーと一緒に購入しました。

 すると、お店のパンとドリンクのセット割で100円引きになりました。

 これは儲かるね!

(「京かるね」とコーヒー)
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 「京かるね」とコーヒーのセットです。

 まずはカルネをじっくりと観察しましょう。

(京かるね)
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 ドイツパンの「カイザーゼンメル」を使ったサンドイッチです。

(京かるね(中身))
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 パンに特製マーガリンが塗られ、ハムと玉ねぎが挟まれています。

(京かるね(断面))
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 食べると、口の中でパンと具とマーガリンが見事に調和しました。

 ただ、このカルネは温めた方がパンとマーガリンが馴染んで、より一層美味しいと思いました。

 初心者の私は冷蔵ケースに陳列されていた「京かるね」を購入し、そのままいただいたのですが、お店の厨房には「温めてさらにおいしく スタッフにお申し付けくださいませ」という案内もありました。

 私はこの案内にカルネを半分食べたところで気付いたのですが、イートインでカルネをお召し上がりの際は、このサービスを利用されることをおすすめします。

 翌日、JR二条駅を利用しました。

(223系・京都行普通列車・二条駅ホーム)
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 二条駅の改札を出た構内にも「SIZUYA」がありました。

(志津屋・JR二条駅店)
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 1泊2日の京都滞在でしたが、烏丸御池駅、二条駅、四条烏丸駅、京都駅と行く先々の駅に「SIZUYA」のお店がありました。

 京都駅構内の売店(新幹線改札内売店も含む)にも、カルネ(京かるね)がたくさん売られています。


濱登久の煮魚御膳

 宿泊先のホテルに、京料理「濱登久」のお店があることを知り、朝食をいただくこととしました。

 このお店は学生時代から知っていたのですが、敷居が高く、とても行けるようなお店ではありませんでした。

 ちなみに、私が馴染みのある京料理店は「餃子の王将」、「天下一品」、「からふね屋珈琲」です。

(濱登久・ハートンホテル京都店)
Photo_20240224120601

 お腹が空いてたまらなかった私は、お店に一番乗りしました。

 今回の朝食は「煮魚御膳」でした。

(煮魚御膳)
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 メインは鯖の煮付けで、味付ゆで卵、おから、レンコン、大葉春菊も添えられていました。

 これに、ご飯、味噌汁、漬物、かまぼこの刺身、手羽先と根野菜の煮物、切り干し大根煮、そしてふりかけ(のりたまご)というお膳でした。

 醤油で甘辛く煮た鯖、シコシコした食感のかまぼこの刺身、箸で外せるほどやわらかく煮た手羽先、だしをたっぷり吸いこんだ切り干し大根・おから・ゆでたまご、京都らしい漬物など、朝からとても贅沢な気分になりました。

 そして何より、ご飯が美味しかったのが印象的でした。

 ご飯をおかわりし、のりたまをかけていただきました。

 周りを見渡すと、おかわりして目の色を変えて食べていたのは私だけでしたが…(笑)


新幹線コーヒー・志津屋の北海道メロンパン・進々堂のパン

 京都駅新幹線ホームで帰りの列車を待っている際、面白いコーヒーの自動販売機を見つけました。

(京都駅・「SHINKANSEN COFFEE」自動販売機)
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 「新幹線こだまブレンド」、「新幹線ひかりブレンド」、「新幹線のぞみブレンド」は各300円、「ドクターイエローブレンド」は500円です。

 「ものは試し」と、ソフトで酸味のある「新幹線こだまブレンド」を購入してみました。

 すると「会いにいこう」のメロディーが流れ、調理中のシーンが生映像で流されました。

 コーヒーが抽出されるまでにかなり時間がかかるのですが、私が買う様子を見て、ほかのお客さんも興味を持たれていました。

 抽出が終わると扉が自動で開きました。

 この時、出来上がったコーヒーにちゃんとプラスチックのフタまでされていたので驚きました。

 私が購入した後、家族連れの方がすかさず購入されていましたが、宣伝効果があったのでしょう。

 新幹線車内で志津屋のメロンパンと一緒にいただきました。

(北海道メロンパン(志津屋)と新幹線こだまブレンド)
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 のぞみで飲むこだまブレンド。

 なるほど、新幹線の車内販売で買ったことのあるコーヒーの風味・雰囲気とよく似ていました。

(北海道メロンパン(志津屋))
Photo_20240224133101
 
 志津屋の北海道メロンパンです。
 
 中にメロン風味のクリームが入っていました。

 これとは別に、「進々堂」京都伊勢丹店でいくつかパンを購入しました。

 「進々堂」は京都を代表する老舗のパン屋さんです。

(五色豆ぱん・チョコスコーン・クリームパン)
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 写真左から五色豆ぱん、チョコスコーン、クリームパンです。

 五色豆ぱんは、5種類の蜜漬け豆(黒大豆、青えんどう豆、小豆、白いんげん豆、赤いんげん豆)入りの豆パンで、豆がたっぷり入っているのが特長です。

 チョコスコーンは大きなダイス状のチョコレートが入ったスコーンで、しっとりして甘すぎないので、朝食やアフタヌーンティーにも適していると思いました。

 クリームパンはしっとりとやわらかいパン生地に、卵の風味がきいたカスタードクリームがたっぷり入っていました。

 お店のレジ横に冊子があったので、いただいて読んでみました。

(進々堂の小説冊子「クロワさん」)
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 「いしいしんじ」さんの「クロワさん」という小説の冊子です。

 この小説で、主人公の黒羽(くろわ)さんが、目の前のクロワッサンの皮を1枚1枚ピンセットではがして、ほの白い哀しげな生地のかたまりにし、それをルーペで覗き込むシーンがあるのですが、これを進々堂のクロワッサンでやってみたいな(笑)

 今度京都を訪れた際は、「進々堂」のレストラン・カフェにも伺えたらと思っています。


 新幹線の車内メロディー「会いにいこう」と、久しぶりに京都に集まった恩師や仲間との思い出が見事に重なり、「会いたい人に会えて良かった」と思いながら広島へ帰りました。


<関連サイト>
 「京とれいん雅洛」(阪急電鉄)
 「志津屋」(烏丸御池店(地下鉄烏丸御池駅構内)ほか)
 「濱登久」(ハートンホテル京都店ほか)
 「進々堂」(京都伊勢丹店(京都駅ジェイアール伊勢丹内)ほか)

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