食文化事例研究

2024年11月 3日 (日)

広島のレモン菓子・レモンケーキ23 -喫茶しま「宮島ウィークエンドシトロン」・パネテリエ「レモンケーキ」・AndKAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」-

 広島で販売されているレモン菓子・レモンケーキを御紹介します。

喫茶しま「宮島ウィークエンドシトロン」

 宮島(広島県廿日市市)の老舗喫茶店「喫茶しま」の「宮島ウィークエンドシトロン」です。

(喫茶しま「宮島ウィークエンドシトロン」(包装))
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 お店のウェブサイトでは「宮島で採取された自然の花々の香り豊かな蜂蜜と、瀬戸内海の日差しをたっぷり浴びて育った瀬戸内レモン。二つの美味しさを一つのケーキに閉じ込めました!」と紹介されています。

(喫茶しま「宮島ウィークエンドシトロン」)
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 サイズは横約7cm、幅約4.5cm、高さ約3cmです。

 白い帽子のようにちょこんと、アイシングがかけられています。

(喫茶しま「宮島ウィークエンドシトロン」(中身))
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 しっとりとして、みっしりと詰まったケーキ生地で、レモンピールも練り込まれています。

 アーモンドプードルが使われているので、アーモンドの香ばしさも感じられます。

 ケーキ生地の底には、瀬戸内レモンと宮島のハチミツのシロップが染み込んでいます。

 酸味が強くシャリシャリしたアイシング、しっとりとしたケーキ生地、じゅわっと濃いシロップと、様々な食感やレモンの風味を楽しめるレモンケーキです。


パネテリエ「レモンケーキ」

 広島市安芸区阿戸町にある食料品店「パネテリエ」の「レモンケーキ」です。

 広島三越の出張販売「街のパネテリエ」で購入しました。

(パネテリエ「レモンケーキ」(包装))
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 無農薬・無施肥栽培のレモンで作られた、期間限定のレモンケーキです。

(パネテリエ「レモンケーキ」)
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 サイズは横約5.5cm、幅約3.2cm、高さ約2.5cmと、小ぶりのレモンケーキです。

 ケーキ生地の上半分にアイシングがかけられています。

 このアイシングには、刻んだレモンピールが入っていて、さわやかなレモンの風味と強い酸味が味わえます。

(パネテリエ「レモンケーキ」(中身))
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 ケーキ生地の中にも大きめに刻まれたレモンピールがザクザクと練り込まれています。

 アンズや太白油など、ちょっと珍しい原材料も使われています。

 アイシングのレモンの酸味が強烈で、ケーキ生地にもレモンピールがたっぷり含まれているので、小ぶりでも大きな存在感と満足感があるレモンケーキです。


And KAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」

 広島市中区大手町、広島市西区の「LECT(レクト)」、広島駅の「ekie(エキエ)」にあるチーズケーキストア「And KAKA(アンド カカ)」の「チーズ焼きドーナツ(レモン)」です。

 「And KAKA」は、福岡市のチーズケーキ専門店「KAKA(カカ)」と同市にある「KAKA」の姉妹店「Queen(クイーン)」の両方のお店の商品を扱っておられる新コンセプトのお店です。

 「KAKA」という店名は、ケーキ「Cake」の語源となるスカンジナビア語の「Kaka」を引用されたものだそうです。

(And KAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」(包装))
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 チーズ風味の焼きドーナツに輪切りのレモンがのせられ、その周りにぐるっとアイシングがかけられています。

(And KAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」)
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 袋を開けた瞬間、チーズの香りが漂いました。

 輪切りのレモンでドーナツの穴が塞がれているので、見た目はレモンケーキです。

 直径約6cm、高さ約2.5cmです。

 ひっくり返してみました。

(And KAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」(底))
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 底まで穴が開いている…やはりドーナツです(笑)

(And KAKA「チーズ焼きドーナツ(レモン)」(中身))
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 ナチュラルチーズやアーモンドが使われています。

 レモンも、輪切りのレモンだけでなく、ドーナツ生地の中にもレモンピールが練り込まれています。

 しっとりとしたチーズケーキのような焼きドーナツで、輪切りのレモン、レモンの酸味が効いたアイシング、そしてレモンピールによるトリプルレモン効果により、レモンを存分に味わえる仕上がりとなっています。


 広島県内においても、レモンの形にレモンチョコレートがかけられた伝統的なレモンケーキだけでなく、ウィークエンドシトロンタイプやドーナツタイプなど、様々なタイプのレモンケーキが販売されるようになっています。


<関連サイト>
 「喫茶しま」(広島県廿日市市宮島町588)
 「パネテリエ」(広島市安芸区阿戸町1190)
 「And KAKA(インスタグラム)」(広島市中区大手町二丁目5-21)
 「KAKA」(大名店:福岡市中央区大名1-7-2 けやきビル1F ほか)

<レモンケーキ関連記事>
 「レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
 埼玉県在住のchibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。
 当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「レモンケーキ・レモン菓子」も御参照ください。

2024年10月 6日 (日)

あずきの研究18 -御座候 書写山麓店の赤タルト・赤ブレンド珈琲・豆紡(まめつむぎ)-

姫路の御座候と書写山

 兵庫県姫路市にやってきました。

(姫路駅前から眺めた姫路城)
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 姫路駅から真正面に位置する姫路城を眺めると、姫路に来たことを実感します。

 ここ姫路は、回転焼(今川焼、大判焼)で有名な「御座候(ござそうろう)」の本拠地です。

 その御座候が、令和4(2022)年4月に手仕事をテーマとした旗艦店、手仕事喫茶「御座候」書写山麓店(しょしゃさんろくてん)をオープンされました。

 こちらのお店で小豆を使ったオリジナルケーキや、回転焼「御座候」の赤あん・白あんに合うオリジナルコーヒーが味わえるという情報を得たので、訪問することとしました。

 書写山は姫路市街から車で約20分の場所にあり、姫路駅から気軽に歩いて行ける距離ではないため、姫路駅北口から神姫(しんき)バスの「書写山ロープウェイ」行きを利用して書写山を目指しました。

 姫路駅からバスで約30分で終点「書写山ロープウェイ(山麓駅)」に到着しました。

(書寫山圓教寺案内図)
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 書写山山頂にある「書寫山圓教寺(しょしゃさん えんぎょうじ)」は天台宗のお寺で、「西の比叡山」とも呼ばれています。

(書写山ロープウェイ)
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 書写山の山麓と山頂を結ぶ、書写山ロープウェイです。


御座候 書写山麓店

 書写山ロープウェイ山麓駅のすぐ近くに「御座候 書写山麓店」があります。

(御座候 書写山麓店 駐車場案内看板)
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 手仕事を意識し、手作り感のある駐車場案内看板がありました。

(御座候 書写山麓店 入口)
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 お店の入口には、石積みの門と店名が書かれた表札がありました。

 通路の中心に大きな木がありますが、それをあえて残されているところに、自然の恵みを生かし、大切にされているお店のお心遣いを感じました。

 中に入ると、きれいに手入れされた庭の先にお店がありました。

(御座候 書写山麓店 店舗)
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 のれんのデザインが、赤あんと白あんの「御座候(回転焼)」に見えます。

 どんなあずきの世界が待っているのか、期待しながらお店に入りました。


赤タルトと赤ブレンド珈琲

 入口では、お店の方が「御座候(回転焼)」を焼いておられました。

 テーブル席に着き、メニューを見ると、
・焼きたての「御座候(赤あん、白あん)」
・小豆を使ったオリジナルケーキ「赤タルト」、「赤ロール」
・赤あんや白あんの風味に合わせた「赤ブレンド珈琲」、「白ブレンドコーヒー」
・同じく赤あんや白あんの風味に合わせた「赤の煎茶(冷茶)」、「白の煎茶(冷茶)」
・「あずき茶」、「和紅茶」
・「ぞうすい」、「うどん」、「赤飯おにぎり」(ランチタイム)
などが用意されていました。

 あずき好きの私は、このお店でしか味わえない「赤タルト」と「赤ブレンド珈琲」を注文しました。

 その際、お店の方から、持ち帰り用の「御座候(回転焼)」の注文の有無を確認されました。

 喫茶ルームで過ごした後、帰りに焼きたての「御座候(回転焼)」を用意していただけるようです。

 遠方ということもあり、私は「赤タルト」と「赤ブレンド珈琲」のみ注文しました。

 テーブル席から外の庭を眺めながら待っていると、しばらくしてタルトとコーヒーが運ばれてきました。

(赤タルトと赤ブレンド珈琲)
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 あずき好きにはたまらない、夢のような組合せです。

 「赤タルト」をアップで見てみましょう。

(赤タルト)
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 タルトの表面に寒天でつやを出した小豆がのせられている様子は、和菓子の「水無月(みなづき)」を連想させます。

 サックリと焼かれたタルト生地の上に、しっとりとしたあんこクリームの生地がのせられ、表面には粒あんがたっぷりとかけられています。

 タルトの周囲には生クリームがデコレーションされ、和菓子好きも洋菓子好きも喜ぶお菓子となっています。

 「赤タルト」を味わってから「赤ブレンド珈琲」をいただきました。

 私はコーヒーをストレートで飲むため、濃すぎたり苦すぎたりするコーヒーは苦手なのですが、このコーヒーは繊細な小豆の味を生かすよう、まろやかで苦味も少なく仕上げられています。

 「小豆にはお茶」という概念を覆す、ストレート派にも嬉しいハンドドリップコーヒーでした。


書写山麓店限定「豆紡(まめつむぎ)」

 喫茶タイムを楽しんだ後、店内の販売商品を見て回りました。

 すると、書写山麓店限定で「豆紡(まめつむぎ)」というお菓子が販売されていました。

(豆紡(包装))
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 遠方から来られたお客さん向け、お土産向けに開発された商品です。

 日持ちがし、小豆やてぼう豆の風味を最大限生かした豆粉のお菓子です。

(豆紡(詰め合わせ))
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 写真左列の茶色のお菓子が「珈琲(エスプレッソ)」、中央列の紫色のお菓子が「あずき」、右列の若草色のお菓子が「煎茶」です。

 丸いコイン形をした、直径約3.5cm、厚さ約0.8cmのお菓子です。

(豆紡(あずき・煎茶・珈琲))
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 こちらの写真は、上が「あずき」で御座候(回転焼)を焼く職人の姿が、右下が「煎茶」で重箱に詰められた和菓子が、左下が「珈琲(エスプレッソ)」でお餅を搗く臼と杵がそれぞれ描かれています。

(豆紡・あずき(中身))
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 見た目は落雁(らくがん)のようですが、落雁より甘さは控えめで、しっとりとしています。

 豆粉を氷砂糖の粉末で固めたお菓子です。

 「あずき」があるのは当然として、なぜ「珈琲(エスプレッソ)」があるのか、なぜ抹茶ではなく「煎茶」なのかと思いましたが、よく考えるとお店の喫茶のドリンクメニューと一致していることに気付きました。

 「お店の味を御家庭でも」が商品コンセプトだと思います。

 豆粉特有のホロッとした食感で、豆とそれぞれの素材の濃厚な味わいを楽しむことが出来ました。


 「御座候 書写山麓店」は、あずき好きにはたまらない、手仕事喫茶で御座候。


<関連サイト>
 「御座候 書写山麓店」(兵庫県姫路市書写1199-3)

<関連記事>
 「あずきの研究11 -今川焼きと小豆あんの呼び方-
 「あずきの研究13 -御座候本社工場・あずきミュージアム見学-
 「あずきの研究16 -河岡食品の「ぬれおはぎ」・「月見ぬれ団子」,イズミの「小豆と抹茶のタルト」-
 「夏越の祓と京都の和菓子 水無月 -神道と道教,道教の特徴と日本の行事・文化-

2024年9月15日 (日)

ドライブインの魅力2 -岡山県備前市「大阪屋」のサービスランチ-

食事のオアシス・大阪屋

 岡山県南部は、中四国地方の交通の要衝であり、関西にも近いことから、幹線道路沿いにたくさんのドライブインがあります。

 そんな岡山県内のドライブインの1つ、岡山県備前市の「大阪屋(大阪屋食堂)」を訪問しました。

 「大阪屋」は、大阪と北九州を結ぶ幹線道路・国道2号沿いにある24時間営業のドライブインです。

(大阪屋)
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 NHKの「ドキュメント72時間」やTBSの「坂上&指原のつぶれない店」でも紹介されたお店です。

(ドキュメント72時間「岡山 24時間営業のドライブイン」紹介画像)
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 ※NHKウェブサイト「ドキュメント72時間」・「過去のエピソード」の画像を一部引用

 私はお昼時に訪問したのですが、お店の前の広い駐車場には、たくさんの小型車(軽自動車や普通車)が駐車していました。

 さらに国道をはさんだ向かい側にも広い駐車場があり、こちらの駐車場にはたくさんの大型車(トラックなど)が駐車していました。

 ちなみに、近くにJR赤穂線の香登(かがと)駅があり、この駅から徒歩約1分なので、鉄道でお店を訪問することも可能です。

(大阪屋(店舗))
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 お店に出入りされるお客さんが多く、お客さんが映り込まないタイミングでお店の写真を撮るのに一苦労でした。

 お店の入口にはUFOキャッチャーも設置されています。

 お店に入ると、前払い方式となっており、レジには順番待ちの列ができていました。

 注文する料理もレジの順番を待っている間に決めておく必要があります。

(食品サンプル)
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 ラーメン、チャンポン、うどん・そば、焼飯、うな重、焼肉、海老フライ、ハンバーグ、トンカツ、カレーライス、唐揚、皿うどん、カツ丼、天丼、中華丼、握り寿司、ホットケーキ、チョコレートパフェ、ビール、日本酒、チューハイ…和洋中、人気の料理は何でも揃っています。

 これらの料理・ドリンクが24時間、お手頃価格で、いつでも味わえるところがこのお店の魅力です。


大阪屋の「サービスランチ」

 数多くのメニューの中で、私は「サービスランチ」(1,050円(税込1,155円))の食券を購入しました。

 席は自由に決められるようですが、訪問時は満席に近く、唯一空いていたテーブル席に座りました。

 すると、すぐに店員さんが来られて、水とおしぼりがセットされ、食券の半券を持って厨房に向かわれました。

 お昼時だったこともあり、店内は長距離ドライバー、職場仲間、近所の人々などでとても賑わっていました。

 お店の人気メニューは、大阪屋の「秘伝のタレ」が使われた「ホルモンうどん」(ホルモン入り焼うどん・岡山県津山市のご当地グルメ)と「焼肉セット」です。

 「ホルモンうどん」は、大盛りや定食(ごはん・みそ汁・漬物のセット)で注文される方も多く見かけました。

 店内を眺めていると、すぐに(5分程度で)サービスランチが運ばれてきました。

(サービスランチ)
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 洋食だけに、割り箸のほか、紙ナプキンに包まれたナイフとフォーク、スプーンが用意されていました。

 箸袋には「食事のオアシス 大阪屋」と記載されています。

 メインプレートのほかに、ライスとポタージュスープが付いています。

 最初にポタージュスープをいただいたのですが、これが美味しく、最初からテンションが上がりました。

(サービスランチ(おかず))
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 こちらがサービスランチのおかずです。

 鶏肉のソテー(ステーキ)、ハンバーグ(デミグラスソース)、白身魚のフライ(タルタルソース)、マカロニサラダ、千切りキャベツ(フレンチドレッシング)、レタス、プチトマトがワンプレートに盛られています。

 鶏肉のソテーは、塩とスパイスで調味されており、肉厚でジューシーでした。

 ハンバーグは、ボリュームがあり、デミグラスソースがかけられていました。

 白身魚のフライは、熱々で、肉厚のフライをナイフとフォークで切り分け、タルタルソースをたっぷりまぶしていただきました。

 マカロニサラダとフレンチドレッシングのサラダは、「ランチ」の定番の付け合わせで、ごはんやおかずと一緒にいただくと食が進みました。

 メインの鶏肉のソテー・ハンバーグ・白身魚のフライは、いずれも熱々のベストな状態で提供されたことが嬉しかったです。

 「和洋中」何でもありの食堂(レストラン)ですが、それぞれの料理のクオリティも高いところが素晴らしいと思いました。

 ボリューム満点のサービスランチを美味しくいただきました。


まとめ

 食事後に店内を見渡すと、野球の山本由伸選手のサイン入りユニフォームが展示されていました。

(山本由伸選手サイン入りユニフォーム)
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 山本由伸さんがオリックス・バファローズに在籍されていた時のユニフォームです。

 地元・岡山県備前市出身の山本由伸さんは、子供の頃からこの「大阪屋」へ食事に来られていたそうです。

 その山本由伸さんのイチオシは大阪屋の秘伝のタレで味付けされた「焼肉セット」なのだとか。

 確かに、ホルモンうどんと同様に、焼肉セットを召し上がっておられるお客さんを多く見かけました。

 このお店に限らず、岡山県内には焼肉店とトンカツ店がとても多いように思います。

 岡山県内の幹線道路を車で走っていると、意識しているからかも知れませんが、頻繁に焼肉店とトンカツ店を見かけるのです。

 今回訪問した「大阪屋」も焼肉店が併設されており、焼肉の人気の高さが伺えました。

(大阪屋・ゲームコーナー)
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 お店の出入口付近に、ゲームコーナーがありました。

 その奥には、お菓子やドリンクの販売コーナーもありました。

 こちらのお店は、食事をするだけでなく、憩いの場でもあり、まさに「オアシス」だと実感しました。


 岡山にある「大阪屋」

 トラックで全国を移動されている長距離ドライバー、マイカー・タクシードライバー、普段使いされている近所の人、職場仲間で来られる人、深夜・早朝に食事に来られる人など、24時間、様々な人々が行き交うドライブインレストランです。


<関連サイト>
 「大阪屋」(岡山県備前市香登西238)

<関連記事>
 「ドライブインの魅力1 -「ドライブイン灘」の灘定食・「ドライブイン黒浜」の黒浜定食-

2024年9月 8日 (日)

ドライブインの魅力1 -「ドライブイン灘」の灘定食・「ドライブイン黒浜」の黒浜定食-

ドライブインとは

 1955年頃から高度経済成長期を迎えた日本は、生活水準の向上や、自動車の利便性が認識されてきたことを背景に、自動車の保有者・利用者が増加する「モータリゼーション(自動車中心社会)」を迎えました。

 そのモータリゼーションに合わせて増加したのが「ドライブイン」(自動車利用者向けの飲食施設・商業施設)です。

 かつては主要幹線道路沿いにたくさんのドライブインがありましたが、高速道路網の発達、飲食チェーン店やファストフード店の全国展開、コンビニエンスストアの店舗数拡大、道の駅の充実などの影響を受け、昔ながらのドライブインは減少傾向にあります。

 そんなドライブインの魅力は、お店ごとに個性があること、実力一本勝負なこと、誰もが楽しめる(美味しく食べられる)こと、お手頃価格でコストパフォーマンスが良いこと、そして温かいサービスが受けられることです。

 そんなドライブインの魅力に触れたいと、ドライブインのレストラン・食堂を巡る企画を考えました。

 ドライブインをあまり御存知ない方、ドライブ中にドライブインを目にするけど利用されたことがない方、日ごろからドライブインをよく利用される方、様々な方がいらっしゃると思いますが、どなたにも楽しんでいただける記事になればと思います。


「ドライブイン灘」の「灘定食」

 瀬戸内海沿岸を走る国道185号沿い、広島県呉市安浦町から東広島市安芸津町にかけてのエリアには、人気のドライブインが集まっています。

 その1つが、広島県呉市安浦町にある「ドライブイン灘」です。

(ドライブイン灘)
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 車の運転中にドライブインの目立つ大きな看板を見ると、どんなお店なのか入ってみたくなる騒動にかられます。

 駐車場に車を止め、お店を訪問しました。

(ドライブイン灘(店舗))
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 お店の入口に「灘」と書かれた立派な石碑が置かれています。

 お店に入りました。

(ドライブイン灘(店内))
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 ログハウスのような店内で、窓からは目の前に瀬戸内海が眺められます。

 大きな石から作られたテーブルにも驚きました。

 海沿いのテーブル席に座り、メニューを見ると、海鮮料理をはじめとして、定食、寿司、丼もの、ハンバーグ・海老フライ、カレーライス、うどん・そば、手打ちラーメン、中華料理など、和洋中様々な料理がありました。

 こうしたジャンルを問わず人気メニューが楽しめるところも、ドライブインの魅力の1つです。

 こちらのお店は海鮮料理が充実しているので、私はメニューに「魚を堪能したい方はこちら!」と書かれた「灘定食(松)」を注文しました。

(テーブル席からの眺め(海))
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 その後、窓越しに瀬戸内海を眺めながら料理を待ちました。

 目の前が海なので、船に乗っているような気分です。

(温泉たまご)
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 「はい、どうぞ」

 まずは単品の温泉たまごが運ばれてきました。

 コース料理の前菜みたいだなと思いながらいただきました。

 しばらくして全ての料理がセットで用意されました。

(灘定食(松))
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 魚の煮付け、刺身の盛合せ、小鉢、ごはん、味噌汁、漬物がお盆いっぱいにのせられています。

 小鉢(写真右下)は玉ねぎを出汁で煮込んだ料理でした。

(刺身盛合せ(灘定食))
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 刺身は、鯛、カンパチ、マグロ、イカ、甘エビの盛合せでした。

 それぞれの刺身が分厚く、種類も多いので贅沢感がありました。

(煮付け(灘定食))
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 魚の煮付けは本メバルでした。

 メバルと一緒に煮た青菜、エリンギ、豆腐も添えられています。

 煮汁が濃すぎず甘すぎず、絶妙な味加減で、新鮮で身がプリプリのメバルを味わいました。


「ドライブイン黒浜」の「黒浜定食」

 次に御紹介するのは、東広島市安芸津町にある「ドライブイン黒浜」です。

 こちらのお店も瀬戸内海沿岸を走る国道185号沿いにあります。

(ドライブイン黒浜(入口))
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 東広島市と呉市の境に位置し、実は「ドライブイン灘」と至近距離にあります。

 私は複数の地元(東広島市)の人から「魚が美味しいお店」、「家族や仲間が集まると行くお店」だと聞いていたので、いつか訪問したいと思っていました。

 日を改めて車で訪問しました。

(ドライブイン黒浜(店舗))
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 落ち着いた雰囲気のお店です。

 この写真の背後には瀬戸内海が広がっています。

 お店に入りました。

 店内は地元の家族連れや団体客が多く、一般的なドライブインのイメージとは少し異なる光景でした。

 私は奥のテーブル席を御案内いただきました。

(ドライブイン黒浜(店内の様子))
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 ふかふかの椅子に座ると、窓越しに海と大芝大橋が見えました。

(木製のメニューブック)
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 年季の入った木製のメニューブックが、レトロ喫茶店のようで嬉しくなりました。

 定食・丼・うどん・寿司・洋食・中華とバラエティーに富んだ料理が用意されています。

 海鮮料理が有名なお店なので、私は「黒浜定食」を注文しました。

 ちなみに、鯛のかぶと煮や魚のアラ炊きがメニューにあるお店は、そのお店で鮮魚を捌いて提供されている可能性が高いので、鮮魚を取り扱っておられるかどうかの1つの目安となります。

 料理を待っている間も、ひっきりなしに家族連れや地元同窓会などのメンバーが出入りされ、地元で評判が高いことがよくわかりました。

 しばらくして「黒浜定食」が運ばれてきました。

(黒浜定食)
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 刺身盛合せ、魚の煮付け、小鉢、ごはん、吸い物、漬物、緑茶がお盆に所狭しと並べられています。

 小鉢は、あさりとクラゲとキュウリの酢の物でした。

(刺身盛合せ(黒浜定食))
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 刺身は、鯛、カンパチ、マグロの盛合せでした。

 隣の席におられた地元の女性が、刺身を見て「太い刺身じゃねえー」(ぶ厚い刺身だね)と広島弁丸出しでつぶやいておられたのが笑えました(笑)

 その女性は爆盛りの天ぷら定食を嬉しそうに召し上がっていました。

 そして特筆すべきは魚の煮付けです。

(煮付け(黒浜定食))
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 「でかい煮付けじゃねえー」と言いたくなるほど、大きな(丸ごと1尾の)鯛の煮付けでした。

 少々お行儀が悪いですが、煮付けの横に割り箸を置いてサイズを確かめました。

(煮付け(黒浜定食)・サイズ測定)
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 「太い刺身」に「でかい煮付け」、魚好きにはたまりません。

 お吸い物にも鯛の身がたっぷり入っていました。

 お手頃価格でうまいものを惜しみなく提供されるところに、ドライバーだけでなく、地元の人々からも愛される秘訣があるように思いました。


まとめ

 お腹いっぱいになったので、車で大芝大橋を渡って大芝島へ行ってみました。

(大芝大橋)
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 写真左側が本州、写真右側が大芝島です。

 大芝大橋を車で渡り、しばらく走っていると、海を隔てた先にある小芝島の案内看板がありました。

(小芝島案内看板)
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 小芝島はその形から「ハート島」とも呼ばれています。

(小芝島)
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 干満差がある日の干潮時には、大芝島と陸続きになることから、「大芝島のモンサンミッシェル」とも呼ばれています。


 瀬戸内海・国道185号沿いに集まるドライブインと、大芝島のモンサンミッシェル、2大聖地を巡礼することが出来ました。


<関連サイト>
 「ドライブイン灘」(広島県呉市安浦町三津口6-9-8)
 「ドライブイン黒浜」(広島県東広島市安芸津町小松原5)

<関連記事>
 「広島のレモン菓子・レモンケーキ6」(「ハート島のレモンケーキ」の紹介)

2024年8月16日 (金)

菓子パン「アベック」の謎に迫る2 -ニシカワ食品「アベックレモン」-

ニシカワパン「アベックレモン」

 兵庫県加古川市の「ニシカワ食品」から、期間限定で「アベックレモン」という菓子パンが販売されています。

 広島市中区の「パントリー そごう広島店」で購入しました。

(アベックレモン(包装))
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 「たっぷりのミルクホイップを瀬戸内産レモン使用の爽やかなレモンコーティングで仕上げた 夏限定のアベック」と説明書きがあります。

 袋を開けてみましょう。

(アベックレモン)
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 パンの間にホイップクリームが詰められ、その上にレモンチョコレートがコーティングされています。

(アベックレモン(真上))
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 真上から眺めると、オリジナル商品「アベック」と同様に、キスを求める唇のようにも見えます。

(アベックレモン(断面))
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 断面を見ると、パンがハート形に見えます。

 そのパンの谷間には、ホイップクリームがぎっしり詰められていることがわかります。

 パンを裏返してみました。

(アベックレモン(底面))
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 チョコレートの「アベック」と同様に、平たい円形のパンに切れ目を入れ、その切れ目で半分に折り返してボリューム感のある立体型に仕上げられています。

 いただいてみると…レモンケーキに使われるレモンチョコレートがたっぷりとコーティングされており、ホイップクリームをサンドした巨大なレモンケーキだと思いました。

 パンがフワフワでとても軽いので、意外とすんなりいただけました。

 レモンチョコレートとホイップクリームがアベック(ペア)になった、レモンケーキのような菓子パンです。


<関連サイト>
 「ニシカワ食品」(兵庫県加古川市野口町長砂799番地)

<関連記事>
 「菓子パン「アベック」の謎に迫る1 -ニシカワ食品「アベック」・岡野製パン所「アベックパン」-

2024年8月 4日 (日)

「ガトーキングダム せとうち」のレモン菓子・レモンケーキ -せとれもん・マドレーヌ・ブッセ・瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ-

シャトレーゼ ガトーキングダム せとうち

 広島県呉市安浦町は、野呂山を有し、瀬戸内海が広がる風光明媚な地域です。

 2024年9月、この町に「シャトレーゼ ガトーキングダム せとうち」が開業します。

 その開業に先行して、2024年4月29日にシャトレーゼの売店がオープンしました。

 そこで私は、この先行オープンしたシャトレーゼの売店を訪問しました。

 「シャトレーゼ ガトーキングダム せとうち」の駐車場に車を止め、周囲を見渡すと、美しい瀬戸内海と島の光景が目に映りました。

(瀬戸内海と横島)
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 しばらく瀬戸内の光景を楽しんだ後、シャトレーゼの売店へ向かいました。

(ガトーキングダムせとうち・正面玄関)
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 「シャトレーゼ ガトーキングダム せとうち」は、シャトレーゼホールディングスが2023年に呉市から購入した「グリーンピアせとうち」(リゾート・宿泊施設)を活用した、新たなリゾートホテル・レジャー施設です。

 私も研修でこの施設(旧グリーンピア)に宿泊したことがあるので、懐かしさと新鮮さを感じながら入館しました。

(ガトーキングダムせとうち・看板)
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 「シャトレーゼ」という名前はフランス語っぽい響きだなと思い、シャトレーゼのウェブサイトで調べてみると、フランス語の「シャトー(城)」と「レザン(ぶどう)」を合わせた「ぶどうの城」という意味なのだそうです。

 それなら、この施設の愛称は、瀬戸内のレモン(フランス語でシトロン)を売りにした「シャトロン」(レモンの城)でいかがでしょう(笑)

 ロビーのすぐ近くに、シャトレーゼの売店がありました。

(ガトーキングダムせとうち・シャトレーゼ売店)
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 地元の瀬戸内レモンを使ったお菓子をいくつか購入しました。


せとれもん

 この店舗では、地元の瀬戸内レモンを使ったレモンケーキが販売されています。

 菓匠・徳増俊則さん監修が監修された、全国で唯一、この店舗だけで販売されているレモンケーキです。

(せとれもん(包装))
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 正式名称は「瀬戸内レモンマドレーヌ せとれもん」と言います。

 「せとうち れもん」を意識した(略した)ネーミングなのでしょう。

 個人的には「ドラえもん」を意識してしまいますが…(笑)

 マドレーヌタイプのレモンケーキです。

(せとれもん)
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 ケーキ生地からボコッと丸い頭が飛び出し、船のような形をしています。

 横約7.5cm、幅約5cm、高さ約3cmのレモンケーキです。

 通常はレモンケーキを横にカットするのですが、今回は形が珍しいので縦にカットしてみました。

(せとれもん(中身))
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 見てください、船の形ですよね(笑)

 ではなぜ「マドレーヌ」という名称なのか。その答えは、この船をひっくり返すとわかります。

(せとれもん(マドレーヌ))
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 底から眺めると確かにマドレーヌの形をしています。

 しっとりして、みっしり詰まったケーキ生地で、表面にはレモン果汁たっぷりの砂糖がコーティングされています。

 豪快にガブリといただくと、レモンを丸ごとかじったかのような、爽やかなレモンの風味と酸味を感じました。

 現在はこの「ガトーキングダムせとうち」1店舗のみの販売ですが、今後全国展開される可能性もあるようです。


瀬戸内レモンのマドレーヌ

 瀬戸内レモンのお菓子として、「瀬戸内レモンのマドレーヌ」を購入しました。

(瀬戸内レモンのマドレーヌ(包装))
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 先程御紹介した「瀬戸内レモンマドレーヌ せとれもん」とよく似た名称なので、マドわさレーヌよう注意が必要です(笑)

 こちらはシェル型ではなく菊型(丸型)のマドレーヌです。

(瀬戸内レモンのマドレーヌ(中身))
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 袋を開けた瞬間、バターの良い香りを感じました。

 ケーキ生地の中には、比較的大きめにカットされたレモンピールが混ぜ込まれており、バターだけでなくレモンの風味も楽しめました。


瀬戸内レモンブッセ

 同じ瀬戸内レモンのお菓子として、「瀬戸内レモンブッセ」を購入しました。

(瀬戸内レモンブッセ(包装))
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 瀬戸内レモンを96%使用されたブッセです。

 「保管は25℃以下で」と記載されているのですが、真夏の昼間に持って帰っているうちに高温になったようで、ブッセ表面の皮が包装袋にくっついてしまいました。

(瀬戸内レモンブッセ(中身))
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 フワフワなケーキ生地に、レモンクリームがたっぷりと挟まれています。

 レモン風味・酸味を効かせたレモンクリームが嬉しいブッセです。


瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ

 「ガトーキングダムせとうち」の売店では、購入したお菓子やドリンクをその場でいただく(イートインする)ことが出来ます。

 しかも、お菓子と一緒なら、ドリンクがセット価格でお得にいただけます。

 ケーキのコーナーに、瀬戸内レモンを使ったケーキがあったので、このケーキとホットコーヒーをいただきました。

(瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ(ドリンクセット))

 「瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ」とホットコーヒーのセットです。
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 「ガトーキングダムせとうち」のロビーやテラスでいただくことが出来ます。

(瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ)
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 こちらが「瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ」です。

 このケーキは、アールグレイ茶葉入りのスポンジケーキの上に、クレープと紅茶クリーム(ダージリン)をミルクレープのように交互に何層も重ね、その中にレモンピール入りのレモンカード(レモンのスプレッド)を入れて仕上げられたものです。

(瀬戸内レモンと紅茶のクレープケーキ(構造図))
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 (シャトレーゼのウェブサイトから引用)

 スポンジケーキとミルクレープの組合せを3枚重ね合わせた三層構造となっています。

 2種類の紅茶(ダージリン・アールグレイ)のフレーバーと、瀬戸内レモンの爽やかな酸味・フレーバーを一度に楽しむことが出来ます。

 もっちりしたクレープとフワフワのスポンジケーキ、食感の異なる2種類の生地が紅茶クリームでうまくまとめられており、ボリュームがあるのにいくらでも食べられる美味しさでした。


 2024年9月に本格開業される「シャトレーゼ・ガトーキングダムせとうち」

 瀬戸内地域での展開に期待しています。


<関連サイト>
 「シャトレーゼ・ガトーキングダムせとうち」(広島県呉市安浦町三津口326-48)
 「シャトレーゼ」(山梨県甲府市下曽根町3440-1)
 「菓匠徳増」(横浜市港南区丸山台3-30-4)

2024年6月30日 (日)

日本各地のレモン菓子・レモンケーキ7 -沖縄のレモンケーキ・ヒラミーレモンケーキ、沖縄のレモンケーキの特徴-

沖縄のレモンケーキ

 沖縄県内では、たくさんのレモンケーキが販売されています。

 沖縄のレモンケーキは、定番のおやつとして人気があるだけでなく、年中行事(お盆(旧盆)やシーミー(清明祭)など)のお供え物としても用いられています。

 今や全国展開しているレモンケーキですが、沖縄では独自の文化が形成されてきたようです。

 そこで私は、「沖縄にはどんなレモンケーキがあり、どんな特徴が見い出せるのか」を研究テーマの1つとし、その真相を解明すべく、沖縄県内各地でレモンケーキを購入しました。


佐和田洋菓子店「レモンケーキ」

 沖縄市美原にあるスーパーマーケット「コープ美里」のお菓子コーナーで、レモンケーキが販売されていました。

(佐和田洋菓子店「レモンケーキ」(包装))
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 「佐和田洋菓子店」(浦添市)の「レモンケーキ」です。

 1個130円(税込)でした。

 包装は全国的によく見かけるレモンケーキ用のものです。

(佐和田洋菓子店「レモンケーキ」)
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 サイズは横約7cm、幅約5cm、高さ約4cmと大きめです。

 レモンチョコレートがほぼ全体に(7割程度)コーティングされています。

(佐和田洋菓子店「レモンケーキ」(中身))
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 ケーキ生地は軽くて、サックリとしています。

 「レモンケーキと言えばこれ!」と言えるような定番のレモンケーキです。


マルキヨ製菓「レモンケーキ」

 読谷村の大型スーパーマーケット「サンエー大湾シティ店」を訪問しました。

(サンエー大湾シティ店)
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 パン・お菓子コーナーへ行くと、レモンケーキが販売されていました。

(マルキヨ製菓「レモンケーキ」(包装))
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 「マルキヨ製菓」(浦添市)の「レモンケーキ」です。

 1個100円(税込)でした。

 こちらの包装も、全国的によく見かけるレモンケーキ用のものです。

(マルキヨ製菓「レモンケーキ」)
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 開封すると、レモンの香りが広がりました。

 サイズは横約6.5cm、幅約4cm、高さ約4.5cmです。

 高さがあり、いなり寿司のような珍しい形をしています。

 レモンチョコレートが表面に4割程度、厚めにコーティングされています。

(マルキヨ製菓「レモンケーキ」(中身))
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 上げ底になっており、底の部分はカステラの焼き目(焼き色が付いた部分)のように、香ばしい焼き目が付いていました。

 きめ細かで、サックリとして、クッキーのような香ばしさのある、レモン風味豊かなレモンケーキです。


御菓子御殿「レモンケーキ」

 同じ「サンエー大湾シティ店」のパン・お菓子コーナーで見つけた「御菓子御殿」(読谷村)の「レモンケーキ」です。

(御菓子御殿「レモンケーキ」(包装))
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 包装に「爽やかな香り レモンケーキ」と表記されています。

 1個120円(税込)でした。

(御菓子御殿「レモンケーキ」)
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 ケーキ生地の焼き色が薄く、色がレモンチョコレートと一体化しています。

 サイズは横約6.5cm、幅約4cm、高さ約4.5cmです。

 レモンチョコレートが表面に5割程度コーティングされています。

(御菓子御殿「レモンケーキ」(中身))
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 ケーキ生地がしっかりと焼き上げられており、サックリとした仕上がりになっています。

 このレモンケーキも、馴染み深い定番のレモンケーキでした。


アヤナス大宜味「シークヮーサー&レモンケーキ」

 うるま市の農水産直売所「うるマルシェ」を訪問しました。

(うるマルシェ)
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 「うるマルシェ」には、沖縄県中部を中心とした広いエリアから集められた数多くの食材・加工品・お土産が販売されています。

 加工品・焼菓子のコーナーでレモンケーキが販売されていました。

(アヤナス大宜味「シークヮーサー&レモンケーキ」販売風景)
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 かご一杯に山積みで販売されているレモンケーキ、こういうのを期待していました(笑)

 POPに、
「もう食べました?」
「どこか懐かしくも新しい味わい」
「お土産にどうぞ」
と書かれていることから、シークヮーサーのレモンケーキは地元でもまだ新しい(珍しい)お菓子なのでしょう。

(アヤナス大宜味「シークヮーサー&レモンケーキ」(包装))
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 「山原レモンケーキ with シークヮーサー」と記載されたシールが貼られています。

 沖縄本島北部「山原(やんばる)」地方の「大宜味(おおぎみ)シークヮーサーパーク」で販売されているシークヮーサー入りレモンケーキです。

 1個180円(税込)でした。

(アヤナス大宜味「シークヮーサー&レモンケーキ」)
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 ケーキ生地の表面いっぱいにレモンチョコレートがコーティングされています。

 艶やかな濃い黄色のレモンチョコレートです。

 サイズは横約7cm、幅約5cm、高さ約4.5cmと大きめです。

(アヤナス大宜味「シークヮーサー&レモンケーキ」(中身))
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 レモンチョコレートが厚めにコーティングされています。

 ケーキ生地はしっとりとしてクリーミーな食感で、ほのかにシークヮーサーの風味を感じました。


エーデルワイス沖縄「ヒラミーレモンケーキ 島果のめぐみ」

 那覇空港でもレモンケーキを探しました。

(ゆいレール・那覇空港駅)
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 デパートリウボウ那覇空港店で箱入りのレモンケーキが販売されていました。

(エーデルワイス沖縄「ヒラミーレモンケーキ 島果のめぐみ」(箱))
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 エーデルワイス沖縄(西原町(にしはらちょう))の「ヒラミーレモンケーキ 島果(しまか)のめぐみ」です。

 「ヒラミーレモン」はシークヮーサーの和名です。

(エーデルワイス沖縄「ヒラミーレモンケーキ 島果のめぐみ」(包装))
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 太陽、ヒラミーレモン(シークヮーサー)、島、海がデザインされた包装です。

(エーデルワイス沖縄「ヒラミーレモンケーキ 島果のめぐみ」)
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 ヒラミーレモン風味のアイシング(砂糖がけ)が縞模様にかけられています。

 サイズは横約6cm、幅約4.5cm、高さ約3cmです。

(エーデルワイス沖縄「ヒラミーレモンケーキ 島果のめぐみ」(中身))
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 表面はカリッと香ばしく、中はしっとりとしています。

 アイシングはシャリシャリで、ヒラミーレモン(シークヮーサー)の酸味とほろ苦さを強く感じました。

 レモンではなくヒラミーレモンで、チョコレートではなくアイシングで、コーティングも表面全体ではなく縞模様で作られた、ちょっと珍しいお菓子です。


沖縄のレモンケーキの特徴

 沖縄のレモンケーキの特徴をまとめておきます。

①レモンの形(基本形)を守り、レモンチョコレートがコーティングされた伝統的なレモンケーキが中心
②レモンの風味や酸味を強調したり、レモンピール(レモンの皮)が加えられたりした個性的なレモンケーキは少ない
③ケーキ生地は、バターやアーモンドプードルを使った濃厚なものより、軽くてあっさりとしたものが主流
④ケーキ生地の焼き色が薄く、レモンチョコレートと一体化した色合いになっている
⑤比較的サイズが大きめのものが多い
⑥スーパーマーケットや産直施設でも販売され、気軽にお手頃価格で購入できる
⑦沖縄特産のシークヮーサー(ヒラミーレモン)が使われたレモンケーキもある

 沖縄のレモンケーキは、年中行事のお供え物としても使われることもあり、一般的・伝統的な形・製法で作られたものが主流で、サイズは比較的大きく、誰もが食べやすいよう軽めの食感で仕上げられ、身近なお店で気軽に入手できることが特徴と言えるでしょう。

 また最近の傾向として、沖縄特産のシークヮーサー(ヒラミーレモン)を使ったレモンケーキも販売され、新たな沖縄みやげとなっています。

 沖縄では、お供え物や身近なお菓子としてレモンケーキが愛され続けています。


<関連サイト>
 「コープ美里」(沖縄県沖縄市美原4-29-1)
 「佐和田洋菓子店」(沖縄県浦添市屋富祖2-2-3)
 「サンエー」(「大湾シティ店」沖縄県中頭郡読谷村字大湾343 ほか)
 「マルキヨ製菓」(沖縄県浦添市牧港5-11-3)
 「御菓子御殿」(「読谷本店」沖縄県中頭郡読谷村字宇座657-1 ほか)
 「うるマルシェ」(沖縄県うるま市字前原183-2)
 「大宜味シークヮーサーパーク」(沖縄県国頭郡大宜味村津波1424-1)
 「エーデルワイス沖縄」(「デパートリウボウ那覇空港店」沖縄県那覇市鏡水150 ほか)

<レモンケーキ関連記事>
 「レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
 埼玉県在住のchibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。
 当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「レモンケーキ・レモン菓子」も御参照ください。

2024年6月23日 (日)

チョコレートの新しい潮流4 -「ラテアートカフェ クレマ」のチョコレートとカカオサブレ・広島修道大学公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」-

「ラテアートカフェ クレマ」のチョコレート・カカオサブレ

 広島県東広島市八本松にあるカフェ「ラテアートカフェ クレマ」を訪問しました。

(「ラテアートカフェ クレマ」店舗)
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 エスプレッソ、カプチーノ、デザート、ランチのほか、手作りのビーントゥバーチョコレートも提供されています。

 チョコレートの製造・販売は、広島大学名誉教授の佐藤清隆先生との御縁によるものです。

 今回は、このお店のチョコレートを購入するために訪問しました。

 お店に入ると、チョコレートやクッキーなどの販売コーナーがあり、お店の代表者である竹崎さんが、ランチタイムでお忙しいにもかかわらず、親切・丁寧に対応してくださいました。

 このお店では、スイスのダニエル・ペーター(※)が開発したミルクチョコレート(ダニエル・ペーターのレシピをもとに再現したミルクチョコレート)も販売されているのですが、この商品は不定期販売で、一度に作られる量も少ないため、訪問日には販売されていませんでした。
 ※世界で初めてミルクチョコレートを開発した人物

 そこで私は、そのダニエル・ペーターのミルクチョコレートと同じ原材料を使用して作られた「ホワイトチョコレート」と、チョコレートクッキーを購入しました。

 ホワイトチョコレートには、説明書と保冷剤も付けていただきました。

(ホワイトチョコレート(包装・説明書))
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 竹崎さんがチョコレートにかけておられる情熱や愛情が伝わってきました。

 佐藤先生のお話をすると、竹崎さんは喜んでくださり、「チョコレートと佐藤先生のどちらがお好きなのですか?」と問われました。

 私は少し照れながら「どっちもです」とお答えしました。

 続けて「佐藤先生にはどんな印象を持たれていますか?」と問われたので、私は「ずばり「お調子者」ですかね。私も同じなので、波長が合うんです(笑)」とお答えすると、竹崎さんは「そうそう、その表現ぴったりですね」と笑いながらおっしゃっていました。

 バリスタである竹崎さんの接客サービス・お人柄の良さに触れたワンシーンでした。

 お店の外で、面白い看板を見つけました。

(「激痛公園」案内看板)
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 「激痛公園?そんな名前の公園があるんだ」と思い、歩いて行ってみました。

(「激痛公園・健康の小路」)
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 足つぼマッサージが出来る公園でした。

 八本松ガーデンプレイスは面白い所だなと思いつつ、自宅に帰りました。

 自宅でホワイトチョコレートを開封しました。

(チョコレート包装紙(裏面))
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 包装紙の裏面にメッセージがありました。

 佐藤先生との出会いにより、クレマのチョコレートが生まれたことが説明されています。

(ホワイトチョコレート)
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 銀紙を外すと、中に長方形のタブレットチョコレート(板チョコ)が入っていました。

 口に含むと、カカオバターのコクとミルクの甘い香りが広がりました。

 きめ細かく、口の中でやさしく溶ける美味しいホワイトチョコレートでした。

 続いて、カカオサブレをいただきました。

(カカオサブレ(包装))
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 カカオニブがのせられた、丸いチョコレートクッキー(サブレ)です。

(カカオサブレ)
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 甘さを抑えたチョコレートクッキーとほろ苦いカカオニブを一緒にいただくと、不思議なことに、クッキーのわずかな甘みが強く引き出されました。

 ビターで芳醇なカカオの美味しさをダイレクトに味わえる、チョコレート好きの方におすすめのクッキーです。


修道オーブンアカデミー公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」

 2024年6月22日、広島修道大学で修道オーブンアカデミー公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」が開催されました。

 担当講師は、広島修道大学人文学部の松崎雅広教授と広島大学の佐藤清隆名誉教授です。

 チョコレートをカカオを極めたい一心で、私も受講させていただきました。

 久しぶりに広島修道大学を訪問しました。

(広島修道大学7号館)
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 広島修道大学7号館です。

(広島修道大学7号館玄関)
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 7号館の玄関に、今回の公開講座のポスターが掲示されていました。

(公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」ポスター)
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 カカオの原産地、ヒトとカカオの遭遇、カカオの生産、チョコレートの製造など、チョコレートやカカオに関する様々な研究成果が学べる講座です。

 私は最前列の席で佐藤先生に御挨拶し、受講しました。

※広島修道大学関係者様へ
 以下の記事は講座の概要紹介に留め、直接研究内容に触れる資料・レジュメについては掲載しておりませんが、何か支障となる記事や表現がございましたら御連絡ください。すぐに修正させていただきます。


今回の講座で新たに学んだこと

 今回の講座で私が新たに学んだことをまとめます。

・カカオ豆は、赤ちゃんのミルクのように栄養が豊富

・カカオ豆ほど脂肪の含有率が高い豆はない

・チョコレートの健康効果として、抗ガン・抗炎症、糖尿病・動脈硬化予防、利尿作用、血流の促進、中枢神経刺激、肥満防止、脳梗塞の抑止などが期待される

・カカオは、日差しが強く高温な熱帯の環境下でも自らを酸化させないよう、抗酸化作用のあるポリフェノールをたくさん保有している

・カカオの生育には、気温16℃以上、年間雨量1500ミリ以上、湿度70%以上を確保できる環境が必要

・地球は過去に何度も氷期を迎えたが、最終氷期(ヴュルム氷期:7万年~1万8500年前)にも、アマゾン川周辺だけは熱帯雨林として残り、カカオは絶滅を免れた。

(最終氷期のアマゾン川周辺の熱帯雨林)
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 佐藤清隆「チョコレートを極める12章」幸書房 p83 図4.9を引用

空色の斜線部分が熱帯雨林として残ったエリアです。
ちなみに、この講座が開催された6月22日は世界熱帯雨林の日でした。

・カカオの外皮は非常に硬く、それを割って中の甘い果肉(カカオポッド)を得られるのは、ゾウやサイなどの大型哺乳類(メガファウナ)かヒトのみ

・メガファウナやヒトを介することにより、カカオの種子はより遠くへ運ばれた

・現在のカカオ生産は、西アフリカが中心で、ガーナとコートジボワールだけで全体の約60%を占める

・カカオ農家のうち、生活収入ライン(5.81USドル/日)以下が約73%、極度貧困ライン(1.9USドル/日)以下が約35%を占めている

・カカオ豆の国際価格は、ロンドンやニューヨークの先物市場の取引で決められるため、実態に即していない(フェアトレードがなされていない)

・最近の世界的な異常気象(西アフリカの大雨・洪水・干ばつ、フィリピンの洪水、アマゾン流域の干ばつ等)で、カカオ豆の国際価格が暴騰している


カカオニブの試食と産地当てテスト

 講演の途中、カカオニブの試食と産地当てテストが行われました。

 フィリピン産とベネズエラ産のカカオニブを試食してそれぞれの特徴をつかんだ上で、改めて出されたカカオニブがどちらの産地のものか、ブラインドテストで当てるというものです。

 テスト開始の際、佐藤先生が「最前列には、いつも私の講演に参加してくれる人がおられますが、このテストで当たらなかったらやめなさい!」と挑戦状が出されました。

 ほら、お調子者でしょう(笑)

 同じお調子者の私は「必ず当ててみせる!」との意気込みでテストに臨みました。

 まずはフィリピン産とベネズエラ産、それぞれのカカオニブを試食し、その特徴をとらえました。

(カカオニブ(フィリピン産))
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 フィリピン産は、フルーティで酸味を強く感じました。

 水を飲んで舌をリセットし、続いてベネズエラ産のカカオニブをいただきました。

 ベネズエラ産は、酸味が控えめな分、若干の渋味があり、ワインかシャンパンのようなアルコールの香りと、ナッツのような香ばしい香りを感じました。

 私が感じた特徴をグラフにお示しすると、次のとおりです。

(カカオ産地別の特徴(テスト))
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 ※画像をクリックすると拡大します

 このグラフは私が感じた特徴をお示ししたもので、一般的な産地の特徴をお示ししたものではないことに御留意ください。

 こうした特徴をつかんだ上で、改めてブラインドテスト用のカカオニブが用意され、どの産地のものか当てるテストが開始されました。

 熟成されたアルコールの香りがしたことから、私はベネズエラ産だと判断しました。

 正解は「ベネズエラ産」でした。

 何とか当てることができ、私は次回以降も佐藤先生の講演に参加することが認められました(笑)


まとめ

 講演会終了後,佐藤先生に御挨拶に伺いました。

 私が「ラテアートカフェ クレマ」へ伺ったことをお話しすると、喜んでおられました。

 その後、ちょうどお昼を迎えたので、大学の食堂「フォレスト」でランチをいただきました。

(フォレスト「ふわふわオムライス」)
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 チキンライスをふわふわの卵で包んだオムライスをいただきました。

 大学からの帰りがけに、お店で明治のハイカカオチョコレート「チョコレート効果 Cacao 86%」を買いました。

(明治「チョコレート効果 Cacao 86%」)
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 ダークチョコレートは55%前後のものが多く流通しているようで、カカオ86%だと相当苦いレベルです。

 知れば知るほど、その奥深さに驚くチョコレートとカカオの世界。

 当ブログのカカオ・チョコレートの内容もハイレベルになれるよう、これからもフィールドワーク・記事作成を続けていきたいと思います。


<関連サイト>
 「ラテアートカフェ クレマ」(広島県東広島市八本松東6-2-31 八本松ガーデンプレイス1階)
 「広島修道大学」(広島市安佐南区大塚東1-1-1)
 「チョコレート効果」(明治)

<関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「チョコレートの研究」を御参照ください。

<参考文献>
 佐藤清隆「チョコレートを極める12章」幸書房

2024年4月21日 (日)

菓子パン「アベック」の謎に迫る1 -ニシカワ食品「アベック」・岡野製パン所「アベックパン」-

「アベック」の意味

 「アベック」は、フランス語で「avec」と表記し、「~と、~と一緒に」という意味を持つ言葉です。

 英語の「with(ウィズ)」と同じ意味となります。

 この「アベック」という言葉は、かつて日本では「恋人」という意味で使われていました。

 現在では「カップル」という言い方が一般的で、「アベック」という言い方はすっかり昭和の言葉となってしまいましたが、今でも少数ながら「アベック」を使う方もおられます。

 私としては、「カップル」という言葉には「一般的、あっさり」というニュアンスが、「アベック」という言葉には「懐かしの、じめじめ、ベタベタ」というニュアンスが込められている印象があります。

 そして「パートナー」とか「ペア」という言葉になると、「アベック」のニュアンスからはますます遠ざかるようにも思います。

 そんな複雑な事情を抱える「アベック」という言葉を、あえて商品名にされている菓子パンを見つけました。

 今回は、私が見つけた「アベック」パンを2つ御紹介し、最後にパンの名称「アベック」に込められた意味についても検証してみたいと思います。


ニシカワパン「アベック」

 兵庫県加古川市の「ニシカワ食品」から、「アベック」という菓子パンが販売されています。

 広島市中区の「パントリー そごう広島店」で購入しました。

(アベック(包装))
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 金色の文字で「アベック」、「ミルク風味のクリームを折り込んで焼き上げたパンにミルクホイップを絞り チョコで仕上げました」と説明書きがあります。

 袋を開けてみましょう。

(アベック)
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 長さ約11cm、幅約7cm、高さ約6.5cmのパンです。

 パンの間にホイップクリームが詰められ、その上にチョコレートがコーティングされています。

(アベック(真上))
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 真上から眺めると、キスを求める唇のようにも見えます。

(アベック(断面))
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 断面を見ると、パンがハート形に見えます。

 そのパンの谷間には、ホイップクリームがぎっしり詰められていることがわかります。

 コッペパン(ロールパン)にホイップクリームをサンドし、チョコレートでコーティングした「銀チョコ(ロール)」とよく似ています。

 ユニークな形をしたパンなので、パンを裏返してみました。

(アベック(底面))
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 平たい円形のパンに切れ目を入れ、その切れ目で半分に折り返してボリューム感のある立体型に仕上げられていることがわかりました。

 ここが「銀チョコ(ロール)」との違いです。

 ずっしりとして、とてもボリュームがあるパンのように見えますが、パンがフワフワでとても軽いので、意外とすんなりいただけました。

 その軽いパンがホイップクリームとチョコレートをうまく受け止め、エクレアのような感覚で美味しくいただけました。

 ニシカワ食品のウェブサイトでは「アベック」について、「1980年代の登場から「ずっと仲良し」スイーツなパン」、「コーヒー・紅茶もとても仲良し」と紹介されています。

 チョコレートとホイップクリームが出会い、パンの上で「仲良く」一緒になった、みんなに愛される菓子パンです。


岡野製パン所「アベックパン」

 広島県尾道市因島で創業し、同県福山市に本社を構える「岡野製パン所」から、「アベックパン」という菓子パンが販売されています。

 広島県三原市の「フジグラン三原店」で購入しました。

(アベックパン(包装))
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 この「アベックパン」のデザイン、フォント、色…まさに「アベック」と呼ばれた時代のイメージそのものです。

 よく見ると、袋に大きく「AVEC」と記載されています。

 袋にホイップクリームやチョコレートがベタベタついているのも、これまた「アベック」感を出しています(笑)

 開封しました。

(アベックパン)
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 長さ約17cm、幅約7cm、高さ約4.5cmのパンです。

 パンの間にホイップクリームが詰められ、チョコレートとホワイトチョコレートがコーティングされています。

 ホイップクリームはチョコレートがコーティングされたあとにのせられています。

(アベックパン(断面))
Photo_20240421133301

 半分に切ってみると、やはりパンがハート形に見え、そのパンの谷間にホイップクリームがぎっしり詰められています。

 ホイップクリームと2種類のチョコレートの「アベック」です。

 パンの底を確かめてみました。

(アベックパン(底面))
Photo_20240421133601 

 こちらもパンに切れ目を入れて二つ折りになされています。

 1つのパンが寄り添うのも「アベック」と呼ばれる理由の1つかも知れません。

 見た目からドーナツのような重い生地のパンをイメージしましたが、実際にいただいてみると、そのイメージとは裏腹に、クロワッサンのような軽い生地のパンでした。

 パンを軽めの生地にした方が、ホイップクリームやチョコレートとのバランスがとれるからでしょう。

 食べ進めるうち、このパンはホイップクリームと2種類のチョコレートだけではないことに気付きました。

 パンの中にさらに「つぶあん」が練り込まれているのです。

 どこに入っているのか、次の図解を御覧ください。

(アベックパン(図解))
Photo_20240421133901
 ※画像をクリックすると拡大します。

 アベックどころの話じゃない複雑な関係が展開されています(笑)

 ホイップクリームとチョコレート、ホイップクリームとあんこ、いずれも相性抜群の「アベック」なので、これらを一度にいただくと、美味しさもお得感も飛躍的にアップしました。


まとめ

 今回は「アベック」という菓子パンについて検証しましたが、現在主流の「銀チョコ(ロール)」も含め、チョコレートとホイップクリームを組み合わせたパンは、今も昔も不動の人気であることは間違いありません。

 「アベック(パン)」は、その見た目や組合せから、洋菓子の「エクレア」にヒントを得たパンではないかとも思います。

 「アベック(パン)」ではなく「カップルパン」と呼べばより親しみがわくかと言われたら、そんな感じもせず、やはり今はほとんど使われなくなった「アベック」という言葉だからこそ、インパクトや話題性を持つパンなのだと思います。

 まとめると、菓子パンの「アベック」という名称には、
①1つの丸いパンが身を寄せ合い
②その形が唇やハートに見え
③ホイップクリームとチョコレートが出会い
④コーヒーや紅茶とも仲良く
⑤時代を超えて長年愛され続けたい
という意味が込められているように思います。

 また、秋田の「たけや製パン」では食パンにジャムとマーガリンを組み合わせた「アベックトースト」というロングセラーパンも販売されています。

 「アベック」は、時代を超えてパンの世界で受け継がれ、愛され続けているのです。


<関連サイト>
 「ニシカワ食品」(兵庫県加古川市野口町長砂799番地)
 「岡野製パン所」(広島県福山市神村町3120-1)
 「アベックトースト」(たけや製パン・秋田県秋田市川尻町字大川反233-60

2024年4月19日 (金)

広島のレモン菓子・レモンケーキ22 -呉市「NISHIMAKI」(シャルロット)の「まんまるレモンケーキ」-

タイムスリップイベント「クレトロ巡り」

 2024年3月24日(日)に、広島県呉市で呉海軍グルメと呉のレトロスポットを楽しむタイムスリップイベント「クレトロ巡り」(呉海軍グルメ研究会主催)が開催されました。

(「クレトロ巡り」チラシ)
Photo_20240410225301

 私は呉YWCAで開催された「クレハイカラお茶会」に参加したり、ジャズや尺八の演奏を楽しんだりして、半日のんびりと過ごしました。

(呉YWCA2階・コーヒー)
Photo_20240410225401

 館内では、着物・礼服・旧海軍の制服などで着飾った人々が思い思いの場所で写真撮影を楽しんでおられました。

 私はお茶席の合間に呉YWCA館内でコーヒーを飲んでくつろぐなど、和洋ごちゃ混ぜのハイカラな1日を過ごしました。

 呉YWCAの受付で手作りクッキーが販売されていました。

(呉YWCAで購入したクッキー)
Photo_20240410225601

 ザクザクとした手作り感満載の美味しいバタークッキーでした。


NISHIMAKI(シャルロット)のまんまるレモンケーキ

 イベントに参加した後、呉YWCAに近いレストラン「NISHIMAKI」を目指しました。

 「NISHIMAKI(シャルロット)」のレモンケーキを購入するためです。

 しかしながら、お店の場所がよくわからず、呉駅まで戻ってしまいました。

 呉駅近くのショッピングセンター「ゆめタウン呉」で買い物して帰ろうと、食品売場を見て回っていると…呉銘菓のコーナーでNISHIMAKIの総菜やレモンケーキが販売されていました。

 一度はあきらめていただけに、喜びもひとしおでした。

(NISHIMAKI(シャルロット)のまんまるレモンケーキ(包装))
Photo_20240410225801

 このレモンケーキの大きな特徴は、何と言ってもその形です。

 丸くてレモンチョコレートがかかったレモンケーキは珍しいです。

(NISHIMAKI(シャルロット)のまんまるレモンケーキ)
Photo_20240411224001

 直径約6cm、高さ約3.5cmの丸いレモンケーキです。

 千葉・幕張メッセで開催された「スーパーマーケットトレードショー」にも出品され、好評だったようです。

(NISHIMAKI(シャルロット)のまんまるレモンケーキ(中身))
Photo_20240411224101

 ケーキ生地に、レモンチョコレートが厚めにコーティングされています。

(NISHIMAKI(シャルロット)のまんまるレモンケーキ(底面))
Photo_20240411224102

 レモンケーキの底も、こんがりと美味しそうな焼き色が付いています。

 しっとりとしたケーキ生地で、アーモンドと洋酒の香りが効いていました。

 レモンチョコレートにもレモンの酸味がしっかり効いており、レモンケーキを食べたという満足感がありました。

 瀬戸内の太陽をイメージするようなレモンケーキです。


<関連サイト>
 「呉海軍グルメ研究会」(月刊くれえばん編集室)
 「呉YWCA」(広島県呉市幸町3-1)
 「おうちレストランNISHIMAKI」(広島県呉市中通一丁目3-20 小柴ビル)

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