平松洋子さんの名作「パセリカレー」を作る -パセリカレーライス・パセリカレー麺-
パセリカレーの材料
広島市内のデパートの野菜売場で、花束ぐらいの大きさ・量のパセリ(徳島県産)が1袋100円(税込み108円)で販売されていました。
購入した大量のパセリを目の前に、パッとひらめいたのが平松洋子さんが考案された「パセリカレー」です。
美味しいと評判のパセリカレーですが、「パセリで本当に美味しいカレーが作れるのか?」と半信半疑だった私は、「今こそチャンス!」と思い、パセリカレーを作ってみることにしました。
(パセリ・合挽き肉・にんにく・生姜)
パセリカレーの材料となるパセリ(大・7~8本)、牛肉と豚肉の合挽き肉(約300グラム)、にんにく(1片)、生姜(にんにくと同量)です。
このほか、トマトピューレ(濃縮トマト)、カレー粉、塩、こしょう、唐辛子(パウダー)を用意しました。
シンプルで用意しやすい材料ばかりです。
カレーに欠かせない玉ねぎがないのも驚きです。
材料の揃えやすさも、パセリカレーが多くの人から支持される理由の1つと言えそうです。
パセリカレーを作る
カレーを作る際、面倒なのが玉ねぎ・にんにく・生姜などのみじん切りです。
今回のパセリカレーは、パセリさえ細かく刻めば、挽き肉はそのまま使えるし、にんにくと生姜はすりおろせば済むので、比較的楽にカレーが作れるだろうと思っていました。
しかし、いざパセリを刻んでみると、茎の部分と葉の部分を分けて刻んだり、大量の葉をできるだけ細かく刻んだりと、意外と時間がかかりました。
(みじん切りにしたパセリ)
手前が細かく刻んだ茎、奥(上側)が細かく刻んだ葉です。
もう二度とやりたくないと思ったほど(笑)、大量のパセリを刻みました。
にんにくと生姜もすりおろしておきます。
(すりおろしにんにく・生姜)
どうせ鍋の中で混ざってしまうのだからと、両方同じすりおろし器ですりおろしました。
ちなみに、にんにくの後で生姜をすりおろせば(刻めば)、にんにくの臭いが手に残るのを軽減させることができます。
これで料理の下ごしらえが済みました。
鍋を加熱し、合挽き肉とカレー粉を入れて炒めます。
油は合挽き肉から大量の油脂が出るので不要です。
生の挽き肉にカレー粉を加え、カレー粉を挽き肉に馴染ませるよう炒めるのがコツです。
挽き肉を炒めてからカレー粉を加えると、挽き肉が脂でコーティングされた状態でカレー粉を加えることになり、カレー風味がよく浸み込まないのだそうです。
(挽き肉とカレー粉)
カレー粉を別に炒めたり、ルウを作る必要がないので楽です。
このように挽き肉にカレー粉を馴染ませながら炒めると…
(挽き肉を炒めた様子)
挽き肉、特に豚肉の挽き肉を炒めると、大量の油脂が出てきます。
挽き肉に焼き色が付き、カレー粉と馴染んだところで、細かく刻んだパセリを同じ鍋にドサッと加えます。
(炒めた挽き肉にパセリを加えた様子)
挽き肉とパセリが馴染むよう、数回に分けて入れるのがコツです。
こうすることにより、パセリの水分も飛びやすくなります。
挽き肉とパセリが馴染んだところで、トマトピューレ、ニンニクとショウガのすりおろしを加えます。
(トマトピューレとにんにく・生姜のすりおろしを加えた様子)
水を加えるとスープのようなカレーになってしまうので、私はあえて水は加えませんでした。
平松洋子さんのレシピでは少量の水を加えるようになっていますが、水よりもトマトピューレの割合が多く、その後によく煮込む(水分を飛ばす)よう説明されています。
カレーにトマト(ピューレ)を加えることにより、とろみがつき、甘みとコクが出て、さらにカレーの黄色(ターメリックの色)の発色が良くなる効果があります。
約15分、時々混ぜ返しながら煮込み、最後に塩で調味してパセリカレーの完成です。
(パセリカレーの完成)
大量に入れたパセリが、加熱されたことにより凝縮し、挽き肉と一体化してキーマカレーかドライカレーのような感じに仕上がりました。
平松洋子さんのレシピには、挽き肉の分量が6人分で500グラムとなっています。
私は当初、「この分量では挽き肉の量が多いのでは」と思ったのですが、出来上がったパセリカレーを見て、挽き肉をたくさん使う理由が理解できました。
パセリが熱で凝縮し、具が挽き肉主体のカレーになるからです。
(パセリカレーライス)
皿にごはんとパセリカレーを盛り付け、パセリカレーライスにしました。
どんな味に仕上がっているか、ドキドキしながらいただきました。
「パセリの香りが強いのでは」と想像していたのですが、パセリをじっくり炒めたことにより、パセリが「さわやかな香りのスパイス」に変化していました。
玉ねぎやセロリなどの「香味野菜」としての役割をパセリが担っているのです。
カレーを作る際、よく炒めた玉ねぎを使うことが多いですが、その玉ねぎの役割をパセリが担い、玉ねぎよりも香り高い香味野菜としての効果を発揮していました。
美味しくてあっという間になくなるので、パセリと挽き肉はたくさん使うことをおすすめします。
パセリカレー麺
ラーメン用の生麺を使って「パセリカレー麺」も作ってみました。
パセリカレーがスパゲッティのミートソースに似ていることからの発想です。
(パセリカレー麺)
生麺を茹で、ザルでお湯を切って皿にのせ、その上にパセリカレーを盛り付けました。
一口食べてみて、少し一体感がないように感じたので、汁なし担々麵のようにかき混ぜ、「まぜ麺」にしてみました。
(パセリカレー麺(まぜ麺))
汁なし担々麵に似た、パセリと挽き肉たっぷりのカレー麺になりました。
パセリカレーは、今回のようなラーメンのほか、うどんやパスタにも合いそうです。
半熟の温泉卵を添え、黄身を崩しながら食べても美味しいでしょう。
まとめ
パセリカレーを実際に作ってみて思ったこと、学んだことをメモしておきます。
・挽き肉は、炒めた際に出る油脂の量を考慮すると、牛と豚の合挽きミンチが最適(鍋に油をひく必要がない)
・玉ねぎをみじん切りにする手間がない分、大量のパセリをみじん切りにする手間がかかる
・パセリは炒めるとカサが減り、トマトの汁気も飛ばすので、挽き肉の量が仕上がるカレーの量に直結する
・汁気のあるカレーを作る感覚で塩を加えると、塩辛くなってしまう
・パセリを炒めると、パセリ特有の香りは抑えられ、香味野菜とスパイス両方の効果を発揮する
大量のパセリを刻むのに少し手間がかかりますが、シンプルな調理法で美味しく仕上がるカレーなので、御興味を持たれた方はぜひお試しください。
<関連サイト>
「平松洋子さんの名作「パセリカレー」のレシピを公開!」(「dancyu」)
<関連記事>
「産直市・産直野菜コーナーの魅力3 -広島の伝統野菜「祇園パセリ」の特徴とパセリ料理-」
<参考文献>
「平松洋子さんのパセリBOOK(dancyu 2022年12月号)」(プレジデント社)
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