各国料理の特徴と主な料理

2026年1月25日 (日)

ギリシャ料理の特徴と主な料理3 -グリークサラダ・フェタチーズフライ・スブラキプレート・ジャジキ・ドルマデス・トマトのゲミスタ-

 広島市中区のギリシャ料理店を訪問し、ギリシャ料理をいただきました。

 今回いただいた料理を御紹介します。


グリークサラダ

 「グリークサラダ」は、ざく切りのトマト、オリーブの実、玉ねぎ、キュウリなどの野菜に、一口サイズにカットしたフェタチーズをのせたサラダです。

 ギリシャでは「ホリアティキ(田舎風・自家製サラダ)」と呼ばれています。

(グリークサラダ)
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 「フェタチーズ」は山羊乳や羊乳から作られる、やわらかくて塩味の強いチーズで、ギリシャの代表的なチーズです。

 ドレッシングは、主にオリーブオイル、レモン汁、白ワインビネガーが使われます。

 仕上げにオレガノがふりかけられるのも特徴の1つです。

 野菜やフェタチーズにオリーブオイルをかけていただくシンプルなサラダですが、美味しいのでたっぷりといただくことができます。

 ギリシャでは角切りのスイカを加えたサラダも好まれています。


フェタチーズフライ

 「フェタチーズフライ」は、フェタチーズにパン粉をまぶし、油で揚げた料理です。

(フェタチーズフライ)
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 フェタチーズにほのかな塩気があるので、コショウやレモン果汁を加えるだけで美味しくいただけます。

(フェタチーズフライ(中身))
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 また、フェタチーズはクセが少なく、やわらかくてさっぱりしているため、厚く切って豪快にいただくことができます。

 チーズのほどよい塩気と油のコクの相乗効果でうま味がグーンと高まり、絶好のおつまみだと思いました。


スブラキプレート

 「スブラキ」は、串焼き料理のことです。

(スブラキプレート)
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 プレートに横たわる棒のような形をしたものが豚肉のスブラキです。

 プレート左下の「ジャジキ」と呼ばれるタルタルソースのような白いディップをつけていただきます。

 「ジャジキ」は、ヨーグルトにすりおろしたにんにくや細かく刻んだキュウリを混ぜ、塩、オリーブオイル、酢などで味を調えたディップで、ギリシャ料理には欠かせない付合せです。

 豚肉の串焼きはそのままでも美味しいのですが、ジャジキを添えていただくと、さわやかな酸味も加わって、より美味しく、そして食べやすくなりました。

 フライドポテト、トマト、ピタパン(薄焼きの丸パン)も盛り付けられたボリューム満点のプレートで、これ一皿で食事になるような一品でした。


ドルマデス

 「ドルマデス」は、ぶどうの葉でお米や肉を包み、煮込んだ料理です。

 ギリシャだけでなく、中央アジアから中東、北アフリカにかけて、「ドルマ」などの料理名で幅広く食べられています。

 キャベツの葉で具を包んで煮込んだ「ロールキャベツ」の原形とも言われています。

(ドルマデス)
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 ドルマデスとレモンが交互にきれいに盛り付けられていました。

 ディップとしてジャジキも添えられていました。

(ドルマデスとジャジキ)
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 中にはライスが入っていました。

 ぶどうの葉の香りやパリッとした食感を楽しめる料理です。

 この発想は、日本の和菓子「桜餅(道明寺桜餅)」と似ているように思いました。


トマトのゲミスタ

 「ゲミスタ(イェミスタ)」は、トマトにお米や挽き肉、玉ねぎなどを詰めて焼いたギリシャの伝統料理です。

(トマトのゲミスタ)
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 今回いただいた「トマトのゲミスタ」は、熱々の鉄皿の中心にトマトのゲミスタが置かれ、その周囲にもゲミスタの具(トマトソースライス)が盛られたボリュームたっぷりの料理でした。

(トマトのゲミスタ(トマトとライス))
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 中心に置かれたトマトのふたを開けてみると、中身をくり抜かれたトマトに、トマトソースライスがたっぷり詰められていました。

 トマトソースライスは、トマトソースたっぷりのリゾットをイメージさせる食感・味でした。


まとめ

 今回いただいたギリシャ料理は、オリーブオイル、トマト、レモン、ヨーグルトがよく使われており、これらの食材がギリシャ料理の重要な役割を果たしていることがわかりました。


<関連サイト>
 「ポリカラ」(広島市中区中島町2-16 パレグレース平和公園1F)

<関連記事>
 「ギリシャ料理の特徴と主な料理1 -サガナキ・ホリアティキ・スブラキ・ムサカ・マスティクア-
 「ギリシャ料理の特徴と主な料理2 -ティロピタ・グリークサラダ・ギリシャヨーグルト・フルーツ・ガラトピタ-
 今回のギリシャ料理を含む世界の料理は、「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」を御覧ください。


2025年12月21日 (日)

中国料理の特徴と主な料理6 -中国の高級食材・上海蟹の魅力(上海蟹味噌の茶碗蒸し・上海蟹味噌入り小籠包・上海蟹の姿蒸し・肉団子の上海蟹味噌煮込み)-

上海蟹とは

 中国料理で、秋から冬にかけて注目される食材の1つに「上海蟹(シャンハイガニ)」があります。

 上海蟹は、学名で「チュウゴクモクズガニ(シナモクズガニ)」と呼ばれる、淡水のモクズガニの一種です。

 上海蟹の主産地は中国の長江沿いやその周辺の湖で、中でも蘇州近郊の陽澄湖や無錫太湖で採れるものが重宝されています。

 上海蟹は日本へも生きた状態で空輸されますが、日本では生態系に影響を及ぼす「特定外来生物」に指定されているため、飲食店で調理する目的以外での生体の売買は禁止されています。

 上海蟹は秋から冬(10月から12月頃)にかけて出荷の最盛期を迎え、日本でも中華街の料理店や高級中国料理店で上海蟹の料理が提供されています。

 私はこの上海蟹の料理を、上海市の観光地「豫園(よえん)」にある「緑波廊酒楼(リウボーランシュロウ)」という上海料理店で初めていただき、その美味しさに感動しました。

 高価な蟹ですが、それだけの価値(美味しさ)があることは確かです。


上海蟹コース

 「ホテルグランヴィア広島」の中国料理店「煌蘭苑(こうらんえん)」で、上海蟹を使った様々な料理が味わえる「上海蟹コース」が提供されていることを知り、予約しました。

 高価なコースでしたが、上海・豫園の料理店で食べた上海蟹の味が忘れられず、「あの味と感動をもう一度味わえるなら」と決断しました。

 予約時刻にお店を訪問し、テーブル席に案内されると、テーブルに「上海蟹コース」のお品書きが用意されており、テンションが上がりました。

 しばらくして、料理が運ばれてきました。


【前菜盛合せ】

(前菜盛合せ)
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 こちらは、一口前菜の盛合せです。

 写真左から、「上海蟹味噌の茶碗蒸し」、「酔っぱらい海老」、「アイミィトマトのライチ酒漬け」、「瀬戸内六穀豚のチャーシュー」です。

 「上海蟹味噌の茶碗蒸し」は、茶碗蒸しの上に上海蟹の蟹味噌が盛られた料理です。
 前菜から上海蟹の蟹味噌がいただけるとは、さすが上海蟹コースだと思いました。

 「酔っぱらい海老」は、生の甘海老を紹興酒に漬けた料理です。
 紹興酒の甘い香りが甘海老の身に浸みて、ねっとりとして芳醇な甘海老を楽しめました。

 「アイミィトマトのライチ酒漬け」は、広島県産の「アイミィトマト(ミディトマトの一種)」の皮をむき、ライチ酒に漬けた一品です。
 トマトにライチ酒の甘みと風味が加わり、デザートのような仕上がりでした。

 「瀬戸内六穀豚のチャーシュー」は、広島県産の瀬戸内六穀豚(せとうちろっこくとん)(※)で作られたチャーシューです。
 八角の効いた甘辛醤油でじっくり煮込まれた肉はきめ細やかでやわらかく、脂身は甘みとコクがありました。
 ※六穀豚…六種類の穀物(とうもろこし、大麦、小麦、米、マイロ(コウリャン)、大豆)をメインにした配合飼料を与えて育てられた国産豚肉


【漢薬蒸しスープ】

 続いて「漢薬蒸しスープ」が提供されました。

(漢薬蒸しスープ)
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 青森シャモロック、スッポン、金華ハム、牛肉、貝柱などの高級食材が使われたスープです。

 修行中のお坊さんも塀を跳び越えて食べに来ると言われる中国の高級スープ「仏跳牆(ファッチューション、ぶっちょうしょう)」に似ていると思いました。

 様々な食材の旨みが凝縮された、滋味深いスープでした。


【上海蟹味噌入り小籠包】

 続いて、せいろで蒸された小籠包が提供されました。

(上海蟹味噌入り小籠包)
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 小籠包の上に上海蟹の蟹味噌がのせられています。

 刻み生姜が添えられた黒酢のタレをつけていただきました。

 小籠包を口にした瞬間、皮の中から旨みたっぷりのスープが飛び出しました。

 蟹味噌には、上品な旨みとコクがありました。

 ズワイガニやワタリガニの蟹味噌と比べると、上海蟹の蟹味噌は意外とあっさりとしているように感じました。


【生姜茶】

 上海蟹味噌入り小籠包と一緒に、ポットで温かい生姜茶が用意されました。

 その際、お店の方から「蟹は身体を冷やしますので、温かい生姜茶を御用意しました」と説明がありました。

(生姜茶)
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 漢方では、蟹は陰性(身体を冷やす食べ物)なので、生姜などの陽性(身体を温める食べ物)と一緒に摂取するのが良いようです。

 「温かさが恋しくなる時期にシーズンを迎える蟹は、逆に身体を冷やす食べ物とされているのか」と思いつつ、生姜茶をいただきました。

 甘い生姜茶だったので、びっくりしました(笑)


【上海蟹の姿蒸し】

 「上海蟹コース」のメインデッシュ「上海蟹の姿蒸し」が用意されました。

(上海蟹の姿蒸し)
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 上海蟹の甲羅を器にして、上海蟹の肉(甲羅や脚の殻から取り外したもの)や卵などが盛り付けられていました。

(上海蟹の肉・上海蟹の卵)
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 上海蟹は、ほかの蟹と比べて体は小さいものの、蟹肉の旨みや濃厚さにおいては圧倒的な存在感があると思いました。

 あらかじめ取り出された蟹肉や蟹味噌をいただけることを、とても贅沢に思いました。

 生姜入りの黒酢だれをつけながら、美味しくいただきました。


【肉団子の上海蟹味噌煮込み】

 続いて肉団子の上海蟹味噌煮込みをいただきました。

(肉団子の上海蟹味噌煮込み)
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 あんかけ肉団子で、あんには上海蟹の肉や蟹味噌がたっぷり加えられ、上海蟹の旨みが引き出されていました。


【海老入り焼きビーフン】

 ひととおり上海蟹をいただいたあと、焼きビーフンが用意されました。

(海老入り焼きビーフン)
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 海老入りの焼きビーフンです。

 漢方では、海老は身体を温める作用があるとされています。

 上海蟹と生姜(茶)の組合せと同様のお考えで、海老を具にした焼きビーフンを御用意いただいたのではないかと思いました。


【梨・白キクラゲ・南北杏仁入り温かいデザート】

 コースの締めくくりに、デザートを御用意いただきました。

(梨・白キクラゲ・南北杏仁入り温かいデザート)
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 世羅幸水農園(広島県世羅町産)の梨、白キクラゲ、南北杏仁入りの甘く温かいスープです。

 写真のヒラヒラしたものが「白キクラゲ」、左手前の赤いものが「ナツメ(棗)」、右手前の赤いものが「梨(の皮)」、銀杏のような白いものが「杏仁(アンズの仁(種の核))」です。

 白キクラゲを使ったデザートは、ほかの中国料理店でもいただいたことがあり、日本では馴染みが薄いものの、中国では好まれていることがわかりました。

 ほどよい甘さで、ポカポカと身体が温まりました。


まとめ

 今回、上海蟹の様々な料理をいただくことができ、上海蟹の魅力・美味しさについて再認識しました。

 ただ、私が上海で食べた上海蟹は「ゼリー状のもの」だったように記憶しています。

 この記憶が間違ってないとすれば「上海蟹の刺身(生肉)を食べたのではないか」とも考えたのですが、淡水ものの生食は危険を伴うため、おそらく違うでしょう。

 あと考えられるのは、蒸した上海蟹の白子か、生の上海蟹を紹興酒で漬けた「酔蟹(酔っぱらい蟹)」ですが、後者の場合は紹興酒の味に気付くはずなので、おそらく雄の白子をいただいたのだと思います。

 この当時、私は食にあまり興味がなく、ましてや上海蟹の価値など知らなかったので、この記憶自体もあまり頼りになりませんが…。

 いつか機会があれば、白子や酔蟹(酔っぱらい蟹)も味わってみたいです。


<関連サイト>
 「ホテルグランヴィア広島・煌蘭苑」(広島市南区松原町1-5)

<関連記事>
 「中国料理の特徴と主な料理1 -水豆鼓炒蛋(貴州納豆の卵炒め)-」(白きくらげのデザート)
 「中国料理の特徴と主な料理2 -空芯菜炒め・鮎の揚げ春巻・二色酢豚・佛跳牆・杏仁豆腐-

2025年11月23日 (日)

ウクライナ(東欧)料理の特徴と主な料理 -ビーツサラダ・ミモザサラダ・オリビエサラダ・ボルシチ・ピロシキ・メドウィク・ラズベリージャム入り紅茶-

ウクライナの食文化

 ウクライナは国土の7割以上が農地で、肥沃な黒土(チェルノーゼム)に恵まれていることから「世界の穀倉地帯」と呼ばれています。

 首都キーウ(キエフ)は、東スラブ人(ウクライナ人、ロシア人、ベラルーシ人など)初の統一国家「キエフ公国」が成立した地であることから、ロシア料理の礎が築かれた地とも言われています。

 肥沃な大地と温暖な気候に恵まれ、豊かな食文化が形成されてきました。

 小麦粉を使ったパンやクレープ、ソバや雑穀を使ったお粥(カーシャ)、肉・魚・野菜料理、乳製品など様々な料理やお菓子があります。


神戸のウクライナ(東欧)料理店「レストランベルーガ」

 2025年2月、神戸市中央区に、ウクライナ出身のオーナーやシェフが振る舞うウクライナ(東欧)料理店「レストランベルーガ」がオープンしました。

 ウクライナ(東欧)料理を求めて、お店を訪問しました。

(レストランベルーガ(遠景))
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 過去に営業されていたロシア料理の老舗「バラライカ」の跡地にオープンされていますが、これは全くの偶然のようです。

(レストランベルーガ案内看板)
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 お昼時だったので、ランチメニューの案内看板が置かれていました。

 ボルシチランチ、サラダランチ、ミートボールランチ、ペルメニランチ、ビーフストロガノフランチなど、東欧の伝統的な料理がランチセットで提供されています。

 建物の3階にお店があります。

(レストランベルーガ店舗入口)
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 豪華な佇まいに、少し緊張しながらお店のドアを開けると、お店の方が温かく迎えてくださいました。

(店内装飾品(マトリョーシカ))
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 装飾品やアンティーク家具が揃えられた、美術館のようなレストランです。

 背が高い私は、天井から吊り下げられた豪華なシャンデリアに頭をぶつけてしまいました。

 お店の方に謝ったところ、逆に「おケガはないですか」とお気遣いいただき、温かい気持ちになりました。

 メニューブックを眺めながら、どのランチセットを注文するか考えました。

 少し悩んだ末、伝統的なサラダ3種が味わえる「サラダランチ(Bランチ)」を注文しました。

 ドリンクもついており、コーヒーか紅茶(ラズベリージャム付き)を選べたので、紅茶を注文しました。


ビーツサラダ・オリビエサラダ・ミモザサラダ

 ラグジュアリーな店内でくつろいでいると、しばらくしてサラダが運ばれてきました。

 サラダがメイン料理で提供されるイメージを持っていましたが、冷静に考えたら冷製の前菜です(笑)

(サラダ3種)
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 美しい、芸術作品のようなサラダの3種盛りを御用意いただきました。

 プレート上側の黄色いサラダが「ミモザサラダ」、プレート右側の赤いサラダが「ビーツサラダ」、そしてプレート手前の角切りサラダが「オリビエサラダ」です。

 「ビーツサラダ」は、その名のとおり、茹でて真っ赤になったビーツを角切りにして盛り付けたサラダです。

 ビーツは茹でたジャガイモのようにホクホクした食感で、ほんのりと甘みも感じました。

 「オリビエサラダ」は、角切りの野菜や肉をマヨネーズで和えた東欧の伝統的なサラダです。

 今回御提供いただいたオリビエサラダは、ジャガイモ、人参、グリーンピース、キュウリ、ハムなどで構成されていました。

 角切りのジャガイモで作ったポテトサラダに似た料理でした。

 「ミモザサラダ」は、表面にまぶされたゆで卵の黄身が、黄色いミモザの花のように見えることから名付けられたサラダです。

 様々な具が層になるように重ねられ、見た目がケーキのようなサラダに仕上げられていました。

 ミモザサラダの中身を確認してみました。

(ミモザサラダ)
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 底がジャガイモの層で、その上にマヨネーズで和えたツナ、人参、裏ごししたゆで卵の白身が積み重ねられ、表面に裏ごししたゆで卵の黄身がまぶされていました。

 まるでケーキの3種盛りのような、見た目も美しいサラダのセットでした。


ボルシチ

 ボルシチは、肉や野菜をビーツと一緒に煮込んだ真っ赤なスープです。

 ロシアの代表的な料理として有名ですが、もともとはウクライナの家庭料理でした。

 ウクライナからスラブの広い地域に伝播していったものと考えられています。

 そのため、出汁にスペアリブが使われたり、牛骨が使われたりと、ボルシチの作り方は地域によって千差万別で、地名を冠して「キエフ風ボルシチ」、「モスクワ風ボルシチ」などと呼ばれています。

 日本で言えば、地域によって具や味が異なる「雑煮(ぞうに)」に該当します。

 ボルシチに共通する(欠かせない)食材はビーツで、好みで白いサワークリーム(スメタナ)も加えられます。

(ボルシチ)
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 ビーツ入りの真っ赤なスープの中心にスメタナが添えられています。

(ボルシチ(中身))
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 具はビーツのほか、角切りの牛肉、人参、ジャガイモ、ハーブ、青ねぎなどが使われていました。

 スープ皿も壺形の熱々にした状態のものを御用意いただきました。

 ビーツの赤色で見た目にも温かみを感じます。

 肉や野菜の旨みが凝縮された、身も心も温まるスープでした。


ピロシキ

 ピロシキは、肉・魚・野菜・きのこ・ゆで卵などを刻んで炒めた具を小麦粉の生地で包み、油で揚げたり、オーブンで焼いたりして作られる東欧の総菜パイ(惣菜パン)です。

(ピロシキ)
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 焼きたてのピロシキを御用意いただきました。

(ピロシキ(中身))
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 生地の中には、牛の挽き肉や細かく刻んだ野菜を具にとろみをつけた「あん」がたっぷりと入っていました。

 このお店のピロシキは、単品だと2個で400円、テイクアウトだと5個で1000円でいただけるので、とてもお得感があります。

 このお店は王子公園で人気だった東欧デリの「ロシアンピロシキ」が前身で、ピロシキは看板メニューの1つとなっています。


メドウィク

 ランチを利用すると、お得な値段で本日のデザートをセットにすることができるため、デザートも注文しました。

 本日のデザートは「メドウィク」と呼ばれる、ウクライナやロシアで食べられる伝統的なケーキでした。

 「メドウィク」の「メド(ミョド)」は「ハチミツ」という意味で、ハチミツのケーキです。

(メドウィク)
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 ハチミツ入りの薄い生地とサワークリーム(スメタナ)を何層にも重ねたケーキです。

 ケーキの表面には、焼いた生地の切れ端やナッツを細かく粉砕したものがトッピングされています。

 ウクライナは養蜂が盛んで、ハチミツはそのまま食されるだけでなく、料理やお菓子にも幅広く使われています。

 ミルクレープをもう少しザックリさせたような食感で、ハチミツ入りの優しい甘さのケーキでした。


紅茶とラズベリージャム

 デザートと一緒に、紅茶をいただきました。

(紅茶とラズベリージャム)
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 紅茶と自家製ラズベリージャムのセットです。

 紅茶にラズベリージャムを混ぜていただきました。

 ラズベリージャムを加えると、甘味と酸味が増して、より一層美味しくいただけました。

 紅茶にラズベリージャムをいくらたっぷり入れても、ほどよい甘味と酸味に落ち着くのが不思議でした。


 店名の「ベルーガ」は、チョウザメやその卵「キャビア」のことで、お店のシンボルマークにもチョウザメとキャビアが描かれています。

 ディナータイムにはキャビアのコースもあるようで、このコースにも心惹かれます。


<関連サイト>
 「レストランベルーガ」(神戸市中央区中山手通一丁目22-13 ヒルサイドテラス 3F)
 「ウクライナ はちみつたっぷりの家庭の味「メドウィク」」(不二家・世界のお菓子)

<関連記事>
 「ひろしま南区スイーツフェア -南区3名山(似島(安芸小富士)・黄金山・比治山)と代表花(ミモザ・桜・広島椿)のスイーツ-
 世界の料理については、当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。

<参考文献>
 「あまから手帖(2025年7月号)」クリエテ関西
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会

2025年11月 9日 (日)

ウズベキスタン料理の特徴と主な料理 -ノン・カイマク・コムハニー・シャクシュカ・サラート・ナッツ・ドライフルーツ・マルコフチャ-

ウズベキスタンの食文化

 東京で世界の朝食が味わえるお店「TASTE THE WORLD(テイスト・ザ・ワールド)」。

 2025年10月・11月限定の朝ごはんは「ウズベキスタンの朝ごはん」です。

 ウズベキスタンは中央アジア、シルクロードの中間に位置する国で、東西の交易の中心地として繁栄してきた国です。

 ウズベキスタンは人口の80%以上をウズベク系が占めており、公用語はウズベク語です。

 ウズベキスタンという国名には、「ウズベク人の国・土地(スタン)」という意味があります。

 中央アジアでは家畜と共に移動・生活する遊牧生活が一般的ですが、ウズベク人は中央のオアシスにで穀物や野菜、果物を栽培しながら定住する生活を選択しました。

 そのため、米や小麦粉、野菜、果物を使った料理が豊富にあります。

 また、羊の放牧も盛んなことから、羊肉をはじめとする肉料理も数多くあります。

 料理にハーブや香辛料が多用されるのも特徴となっています。


ウズベキスタンの朝ごはん

 「TASTE THE WORLD 外苑前店」を訪問すると、お店にウズベキスタンの国旗が飾られていました。

(TASTE THE WORLD 外苑前店(ウズベキスタン国旗))
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 どんなウズベキスタン料理が味わえるか、ウズウズしながらお店に入りました。

 席に座り、注文を済ませてホッと一息ついていると、すぐ近くにウズベキスタンの本が用意されていました。

 ウズベキスタンの料理が紹介されている本を読んでみると、ウズベキスタンの朝食が紹介されていました。

(ウズベキスタン料理案内本(ウズベキスタンの朝食))
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 左のページでは「ノン」と呼ばれるパンが紹介され、右のページではウズベキスタンの朝食や代表的な食材が紹介されています。

 ウズベキスタンの代表的な朝食は、カイマク、ウズベクブレッド(ノンなど)、季節の果物、野菜、茶、ナヴァト(氷砂糖、ロックキャンディ)、ナッツ、ドライフルーツ、伝統的なデザートなどで構成されると記載されています。

 ウズベキスタンの食文化について予習していると、注文した料理が運ばれてきました。

 今回お店で御用意いただいたウズベキスタンの朝ごはんプレートがこちらです。

(ウズベキスタンの朝ごはんプレート)
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 ウズベキスタンの代表的な朝食として、ノン、カイマク、コムハニー、シャクシュカ、サラート、ナッツ、ドライフルーツが盛り付けられたプレートです。

 それでは順に料理を御紹介します。


【ノン】

 「ノン」は、ウズベキスタンの代表的なパンです。

 インドなどで食される「ナン」と語源は一緒です。

(ノン)
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 パンの表面の黒いゴマのようなものは、ブラッククミン(ブラックシード)です。

 「ノン」の特徴は、生地を一次発酵のみか短時間の発酵で済ませてずっしりと食べ応えのあるパンに仕上げられること、生地を「タンディール」(タンドール)と呼ばれる釜で焼き上げられること、そして、パンの表面に独特な幾何学模様がつけられることにあります。

 パンの模様は「チェキチ」と呼ばれる金属の型でつけられます。

 どんな料理にも合う、ウズベキスタンでは主食のようなパンです。

 「カイマク(濃厚なクリーム)」、ハチミツ、アプリコットジャムなどをつけて食べます。

 もっちりとして食べ応えのあるパンでした。


【カイマク・コムハニー】

 ノンに、「カイマク」や「コムハニー」を塗っていただきました。

(カイマク・コムハニー)
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 こちらが「カイマク」(写真左側)と「コムハニー」(写真右側)です。

 「カイマク(カイマック)」は、牛乳などのミルクをゆっくりと煮詰めて作られる濃厚なクリームで、中央アジア、バルカン半島、トルコなど広い地域で親しまれています。

 生クリームから作るフレッシュな手作りバターのような風味・食感で、わずかにヨーグルトのような酸味も感じました。

 バターやクロテッドクリームよりもあっさりとして食べやすいと思いました。

(コムハニー)
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 「コムハニー」は、巣蜜(ハチミツ)です。

 サックリとして、液体のハチミツより優しい甘さでした。

 ノンにカイマクとコムハニーを一緒につけて食べると、美味しさと贅沢感が増しました。


【シャクシュカ】

 「シャクシュカ」は、野菜のトマト煮込みです。

 アラビア語で「混ぜ合わせたもの」という意味する、北アフリカ、中近東、中央アジア地域の家庭料理です。

(シャクシュカ)
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 今回いただいたシャクシュカは、トマトと一緒に玉ねぎ、ナス、パプリカなどの野菜を煮込み、クミンやコショウなどのスパイスを効かせ、最後に卵を落として仕上げられた料理でした。

 フランス料理のラタトゥイユに似ており、ノンとよく合いました。

 半熟の黄身を和えながらいただくと、旨みとコクが増してより一層美味しくいただけました。


【サラート】

 「サラート」はサラダのことです。

 お店では「ウズベキスタンらしいブドウ入りのサラダ」と説明されていました。

 ぶどうのほか、フェタチーズのような白くてボソボソした塩気の強いチーズも混ぜ合わせられていました。

(サラート(ぶどう入りサラダ))
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 レタス、プチトマト、キュウリ、ぶどう、オリーブの実、チーズのサラダです。

 ギリシャの「ホリアティキ」と呼ばれる、野菜にオリーブやフェタチーズ、そしてスイカが加えられるサラダと発想がよく似ているように思いました。


【ドライフルーツとナッツ】

 日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きく、降水量が少ないウズベキスタンの気候は、ドライフルーツとナッツの生産に非常に適しているため、ウズベキスタンではドライフルーツやナッツがよく食べられるそうです。

 ウズベキスタンの料理本を読むと、「ドライフルーツやナッツがもたらす健康への貢献度の高さが認識され、いくつかの国では薬局でも販売されている」と説明されていました。

(ドライフルーツとナッツ)
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 今回は、アプリコット(アンズ)、レーズン(干しぶどう)、殻付きアーモンドをいただきました。

 ウズベキスタンには、お茶(緑茶・紅茶)と一緒にドライフルーツやナッツが提供され、お茶や会話を楽しむ文化があります。


マルコフチャ

 追加で「マルコフチャ」という料理をいただきました。

 「マルコフチャ」は、人参のキムチです。

 「マルコフ」はロシア語で「人参」を意味します。

(マルコフチャ)
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 「キャロットラぺ」や「にんじんしりしり」とよく似ています。

 ウズベキスタン(中央アジア)には旧ソ連により朝鮮半島から強制移住させられた「高麗人」と呼ばれる朝鮮系の人々がおられ、この人々が白菜の代わりに現地で入手しやすかった人参を用いてキムチ風にアレンジされた料理が「マルコフチャ」です。

 かねてから朝鮮半島から遠く離れたウズベキスタンにキムチがあるという話に興味を持っていたので、注文しました。

 いただいてみると、キムチというよりは、フレンチドレッシングに唐辛子やクミンなどのスパイスを加えた人参のマリネに近く、辛味よりも酸味やスパイシーさを強く感じました。

 辛い物が苦手なウズベク人向けにアレンジされた経緯もあるようです。


まとめ

 ウズベキスタンでは、朝鮮系の人々からもたらされた「キムチ」が食べられたり、日本以外ではあまり一般的でない「緑茶」がよく飲まれたり、「ラグマン」と呼ばれるうどんに似た麺料理があったりと、「なぜ遠く離れたウズベキスタンで?」と思う料理も多く、興味深い食文化が形成されています。

 ウズベキスタンがシルクロードの中間に位置し、東西の交易の中心地として繁栄したことや、旧ロシア帝国・旧ソ連に属していたことなど、様々な要因が組み合わさって形成された食文化だと言えるでしょう。


<関連サイト>
 「TASTE THE WORLD」(東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F(外苑前店)ほか)

<関連記事>
 「アルメニア・ウズベキスタン・ロシア・モルドバのスープとパン
 「ウズベキスタン・キルギス料理の特徴と主な料理 -ノン・ラグマン-
 「ギリシャ料理の特徴と主な料理1 -サガナキ・ホリアティキ・スブラキ・ムサカ・マスティクア-
 世界の料理については,当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。

<参考文献>
 「TASTE THE WORLD」ウズベキスタン料理紹介リーフレット
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken
 地球の歩き方編集室「地球のかじり方 世界のレシピBOOK」Gakken

2025年9月21日 (日)

リトアニア料理の特徴と主な料理 -クゲリス・黒パン(ライ麦パン)・カーシャ・ビーツのサラダ・ティンギニス-

リトアニアの食文化

 東京で世界の朝食が味わえるお店「TASTE THE WORLD(テイスト・ザ・ワールド)」。

 2025年8月・9月限定の朝ごはんは「リトアニアの朝ごはん」です。

 リトアニアはバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の中で最も南に位置する国です。

(リトアニア)
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 (帝国書院ウェブサイト・世界白地図・ヨーロッパを引用・一部加工)

 主な食材は、大麦、ライ麦、ジャガイモ、ビーツ、きのこ、ベリー(ブルーベリー、ラズベリー)、蜂蜜、肉、乳製品です。

 特に18世紀後半にもたらされたジャガイモは、日常的に食べられるようになり、様々なレシピが発達しました。

 ジャガイモを茹でる、焼く、煮るだけでなく、すりおろして調理するのもリトアニア料理の特徴です。

 ジャガイモをすりおろすのは大変な力仕事ですが、現代のリトアニアの家庭にはジャガイモ専用の電動すりおろし機があり、日本の炊飯器のように、一家に一台の調理器具となっています。


リトアニアの朝ごはん

 「TASTE THE WORLD 外苑前店」を訪問すると、お店にリトアニアの国旗が飾られていました。

(TASTE THE WORLD 外苑前店)
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 今回お店で御用意いただいたリトアニアの朝ごはんプレートがこちらです。

(リトアニアの朝ごはんプレート)
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 リトアニアの代表的な料理、クゲリス、黒パン(ライ麦パン)、カーシャ、ビーツのサラダが盛り付けられたプレートです。

 それでは順に料理を御紹介します。


【クゲリス】

 「クゲリス」は、すりおろしたジャガイモをオーブンで焼き上げたジャガイモのパンケーキです。

 リトアニアを代表する伝統的なジャガイモ料理です。

(クゲリス)
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 玉ねぎと角切りベーコンで仕上げたサワークリームソースが、クゲリスにたっぷりかけられています。

(クゲリス(中身))
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 ジャガイモのデンプンと水分により、もっちりとした、やわらかい蒸しパンのような食感でした。

 ほどよい塩気の効いたサワークリームソースとの相性もよく、メインディッシュとしてもいただける料理でした。


【黒パン(ライ麦パン)】

 リトアニアでは、ライ麦から作られる「黒パン」が好んでよく食べられます。

 黒パンは日々の食卓の主役で、昔から様々な儀式や祭事にも用いられてきました。

(黒パン(ライ麦パン))
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 サワー種で発酵させているため、ほのかな酸味があります。

 そのまま食べると少しパサつき感がありますが、ヘンプシードバター(麻の実入りバター)を塗っていただくことで、より食べやすく、美味しさも増しました。


【カーシャ】

 「カーシャ」は、穀物の「お粥」です。

 そば、小麦、大麦、オート麦など様々なカーシャがあります。

(カーシャ)
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 今回いただいたカーシャは、「そばの実のカーシャ」で、ガーリックバターが添えられていました。

 やわらかく煮込まれたそばの実を、スプーンですくっていただきました。

 口の中でプチプチと弾ける食感を楽しみました。

 リトアニアには、水から煮込んだカーシャのほか、牛乳、バター、砂糖、ジャムなどで味付けしたカーシャもあり、甘いカーシャはこどもたちに人気があるようです。


【ビーツのサラダ】

 リトアニアでは、ビーツがよく食べられます。

 そのビーツを使ったサラダをいただきました。

(ビーツのサラダ)
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 角切りのビーツのほかに、角切りのジャガイモ、ニシン、ピント豆(うずら豆)を混ぜ合わせたサラダです。

 ただ、すべての食材がビーツの赤色に染まっているため、ビーツだけのサラダに見えてしまいますが(笑)

 さらにビーツの食感は、少しかために茹でたジャガイモの食感とよく似ているため、実際に食べてもビーツとニシンだけのサラダだと勘違いしそうです。

 ビーツのほんのりとした甘さと酢漬けニシンの酸味が絶妙な、ポテトサラダのような料理です。

 ロシアには「毛皮のコートを着たニシン」と呼ばれるビーツと酢漬けニシンのサラダがありますが、これとよく似た料理だと思いました。


ティンギニス

 デザートとして「ティンギニス」をいただきました。

(ティンギニス)
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 「ティンギニス」は、砕いたクッキーと練乳、ココア(チョコレート)、バターなどを型に流し込み、冷やし固めたお菓子です。

 簡単に作れることから、「怠け者」を意味する「ティンギニス」と呼ばれるようになりました。

 今回のティンギニスには、クッキーのほかにベリーやクルミも加えられ、赤スグリの甘酸っぱいソースが添えられていました。

 冷やし固めたクッキー入りの生地はとてもかたく、フォークで一口サイズに切るのが大変でした。

 隣の席のお客さんに飛ばしてしまうのではないかとヒヤヒヤしながら(笑)、フォークで切り分けました。

 クッキーのザクザク感と、キャラメルチョコバーのようなネッチリ感が合わさった、リトアニアで人気のお菓子です。


<関連サイト>
 「TASTE THE WORLD」(東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F(外苑前店)ほか)

<関連記事>
 「リトアニアのお菓子 -Sesame Bars(セサミバー)-
 世界の料理については,当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。

<参考文献>
 「TASTE THE WORLD」リトアニア料理紹介リーフレット
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken
 地球の歩き方編集室「世界のお菓子図鑑」Gakken

2025年7月27日 (日)

ミャンマー料理の特徴と主な料理 -オンタミン・チェッターヒン・ひろしま国際プラザのランチ・ミャンマーの民族衣装-

ひろしま国際プラザ・レストラン「ラコルト」

 広島県東広島市鏡山には、試験・研究機関が集積する「広島中央サイエンスパーク」があります。

 そしてこの「広島中央サイエンスパーク」内に「ひろしま国際プラザ」があります。

(ひろしま国際プラザ)
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 「ひろしま国際プラザ」(HIP:Hiroshima International Plaza)は、「広島県立広島国際協力センター(HICC:Hiroshima International Cooperation Center)」と「国際協力機構(JICA)中国センター」が一体化した複合施設です。

 私はかつてJICA中国やHICCの職員の方と一緒にお仕事させていただいたことがあるので、ひろしま国際プラザにはとても親しみがあります。

(宿泊棟とレストラン「ラコルト」)
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 手前の丸い建物がレストラン「ラコルト」、奥が海外からの研修員などが宿泊・滞在する宿泊棟です。

 レストラン「ラコルト」は、日替わりで世界各国の料理を提供されています。

 今回、このレストランで珍しいミャンマーの料理を中心としたランチが提供されていたので訪問しました。


ミャンマー料理

 ミャンマーは、バングラデシュ、インド、中国、ラオス、タイと国境を接する東南アジアの国です。

 面積は68万平方キロメートル、人口は5,114万人(2019年推計)、首都はネーピードー(ネピドー)です。

(ミャンマー)
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 (帝国書院ウェブサイト・世界白地図・南アジアを引用・一部加工)

 首都は2006年にヤンゴンからネーピードー(ネピドー)に移転しました。

 今回は、ミャンマーの料理を2つ御紹介します。


【オンタミン】

 「オンタミン」は、米をココナッツミルクで炊いたココナッツミルク風味ごはんです。

(オンタミン)
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 今回提供されたオンタミンは、鶏肉が入り、ターメリック(もしくはサフラン)で黄色く色付けられていました。

 ほのかに塩味が効いており、これだけでもピラフの感覚で食事になる一品でした。


【チェッターヒン】

 ミャンマーには、インドの食文化の影響を受け、鶏肉・豚肉・牛肉・山羊肉・海老・魚など様々な具を使ったカレー「ヒン」があります。

 ミャンマーの「ヒン」は、油をたっぷり使い、野菜をひたすら炒めて汁気を飛ばす調理法「油戻し法(スィービャン)」に特徴があります。

 ミャンマーの代表的なヒンの1つが「チェッターヒン」です。

(チェッターヒン)
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 「チェッター」は鶏肉という意味なので、日本で言う「チキンカレー」となります。

 今回提供されたチェッターヒンは、玉ねぎとトマトをベースに、ピーナッツオイルを使って調理されたもので、スパイスも効かせてピリ辛に仕上げられていました。

 オンタミンと一緒に、鶏肉をたっぷりいただきました。


レストラン「ラコルト」のランチ

 当日、ミャンマー料理以外にも様々な世界の料理がビュッフェ形式で提供されていましたので、御紹介します。


【ムラーバムカ】

 「ムラーバムカ」はスーダンの料理で、オクラと鶏肉のスープです。

(ムラーバムカ)
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 味噌汁の汁椀でいただくところが、日本のビュッフェっぽくて、いいですね(笑)

 オクラ、鶏肉、玉ねぎ、人参などを煮込んだスープで、日本のお吸い物のようなシンプルですっきりした味わいのスープでした。


【チキンソテー サンバルソース・白身フライ チリソース】

(チキンソテー サンバルソース・白身フライ チリソース)
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 写真右上が「チキンソテー サンバルソース」、手前が「白身フライ チリソース」です。

 「チキンソテー サンバルソース」はインドネシアの料理で、鶏肉を「サンバル」と呼ばれるチリソースで和え、ソテーした料理です。

 「サンバル」は唐辛子や発酵調味料を主体にしたチリソースで、インドネシアでは、ナシゴレン(焼き飯)やミーゴレン(焼きそば)、アヤムゴレン(フライドチキン)など、たくさんの料理に使われています。

 今回のチキンソテーは、インドのタンドリーチキンに似た味でした。

 「白身フライ チリソース」は、甘辛いスイートチリソースをかけて、東南アジア風にいただきました。


【ギゼリ】

 「ギゼリ」はケニアの料理で、トウモロコシと豆を茹で、塩やニンニクで調味した料理です。

(ギゼリ)
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 今回の「ギゼリ」は、トウモロコシ、レッドキドニービーンズ(金時豆)、玉ねぎなどをトマトベースのスープで煮込んだ料理でした。


【豆のサラダ・ガドガド・レタス・そばサラダ】

(豆のサラダ・ガドガド・レタス・そばサラダ)
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 写真右上が「そばサラダ」、手前が「豆のサラダ」・「ガドガド」・「レタス」です。

 「ガドガド」は温野菜に甘辛いピーナッツソースを和えた、インドネシアの代表的な料理の1つです。

 私がJICA中国やHICCの職員の方と一緒にインドネシアへ出張に行った際、一番印象に残った(美味しいと思った)料理が「ガドガド」です。

 現地で食べた「ガドガド」は、茹でキャベツ、茹で卵、厚揚げ、えびせん(クルプック)などに甘辛いピーナッツソースをかけたものでした。

 今回は、茹でたカリフラワーにピーナッツソースを和えたものが用意されました。

 お皿に盛り付ける際、「ガドガド」だと意識してなかったため、「豆のサラダ」に紛れ込ませてしまったのですが、いただくと甘辛いピーナッツ風味のカリフラワーでした。


【青りんごゼリー・コーヒー】

(青りんごゼリー・コーヒー)
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 デザートに青りんごゼリーをいただきました。

 締めくくりにホットコーヒーを飲みながら、ゆったりとしたひとときを過ごしました。


「JICAひろしま地球ひろば」とミャンマーの民族衣装

 食後に館内を見学させていただきました。

 「JICAひろしま地球ひろば」で、世界の民族衣装が展示・紹介されていました。

(世界の民族衣装展示)
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(東アフリカ「KANGA」の魅力)
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 東アフリカ、タンザニア、ケニアの女性たちに愛用されている一枚布の衣装「KANGA(カンガ)」が展示されていました。

 「カンガ」はスワヒリ語で「ホロホロ鳥」を意味し、初期のカンガはホロホロ鳥のようなドット柄だったようです。

 今回ミャンマー料理をいただいたので、ミャンマーの民族衣装はないかと探してみると、ありました。

(ミャンマー・カレン族の民族衣装)
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 ミャンマー・カレン族の女性が着る、可憐な民族衣装です。

(ミャンマー・カレン族の民族衣装の紹介文)
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 白い縦糸に赤い横糸を浮かせながら織り込まれ、立体感のある衣装に仕上がるのが特徴のようです。

 日本でもおしゃれ着として通用しそうな、色もデザインもかわいい民族衣装だと思いました。


まとめ

 今回は珍しいミャンマーの料理が食べられると意気込み、ひろしま国際プラザのレストランを訪問しましたが、後になって、実は「難民の故郷の味フェア」でいただいたことのある料理だとわかりました(笑)

 その分、「オンタミン」と「チェッターヒン」は深く印象に残る料理となりました。

 次回はどこの国のどんな料理と出会えるか楽しみです。


<関連サイト>
 「ひろしま国際プラザ(HIP)」(広島県東広島市鏡山3-3-1 広島中央サイエンスパーク内)
 「国際協力機構(JICA)中国センター」(広島県東広島市鏡山3-3-1)

<関連記事>
 「ひろしま国際プラザ「難民の故郷の味フェア」 -ミャンマーのオンタミンとチェッターヒン、ベトナムの鶏肉八角焼き、インドネシアのソトアヤム、スリランカのパリップサラーダヤ-

2025年5月25日 (日)

イギリス料理の特徴と主な料理6 -ベイクウェルプディング・マーマレードケーキ・キャロットケーキ・イートンメス・ミンスパイ・クロテッドクリーム・スコーン-

 広島市内のデパート・福屋 八丁堀本店で「英国展」(2025年5月8日~13日)が開催されました。

 会場でイギリスのお菓子が販売されていたので、いくつか購入しました。

 今回はこの「英国展」で購入したお菓子を中心に、イギリスのお菓子について理解を深めたいと思います。


ベイクウェルプディング

 「ベイクウェルプディング(Bakewell Pudding)」は、イングランド北部のピークディストリクト国立公園にある小さな村・ベイクウェルで生まれた地方菓子です。

 日本で「プリン(プディング)」と言えば、卵・牛乳・砂糖などを蒸して冷やし固めた「カスタードプリン」が一般的ですが、イギリスの「プディング」はもっと広い意味で使われます。

 イギリスの「プディング」は、「小麦粉・パン・米などに卵・牛乳などを混ぜて蒸したり焼いたりしたやわらかい食べ物」といった意味で使われているのです。

 「ベイクウェルプディング」は、パイ生地の一種「パフ・ペイストリー(Paff Pastry)」にジャムをのせ、さらにアーモンドフィリング(アーモンドクリームの生地)を流し込んで焼き上げたお菓子です。

 このお菓子は、「小麦粉を使ってふわふわに焼き上げている」ことから「プディング」と呼ばれています。

(ベイクウェルプディング)
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 外側がふわふわのペイストリー、中心がしっとりとしたアーモンドフィリングとなっています。

(ベイクウェルプディング(中身))
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 底に赤いラズベリージャムが入っています。

 パフ・ペイストリーはパイ生地の一種ですが、小麦粉生地とバターを何層にも折り重ねたサクサクのパイではなく、シュークリームの皮に似たやわらかい(フニャフニャした)練り粉のパイです。

 その食感は、ローストビーフに添えられる「ヨークシャープディング(Yorkshire Pudding)」にも似ています。

 対照的に、中のアーモンドフィリングはアーモンド風味のしっとりした生地に仕上げられていました。

 甘酸っぱいラズベリージャムがアクセントとなったお菓子でした。


マーマレードケーキ

 「マーマレード(Marmalade)」はイギリスで人気の果皮入りジャムです。

 オレンジのマーマレードが使われた「マーマレードケーキ(Marmalade Cake)」をいただきました。

(マーマレードケーキ)
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 焼き上げられたケーキの上にオレンジマーマレードがたっぷりかけられています。

(マーマレードケーキ(オレンジピール))
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 しっとりとしたケーキで、中にオレンジピールがザクザク入っていました。

 オレンジマーマレードとオレンジピールが使われた、オレンジの風味を存分に楽しめるケーキでした。


キャロットケーキ

 「キャロットケーキ(Carrot Cake)」は、生地にすりおろした人参を使ったケーキです。

 砂糖が高価だった中世に、砂糖の代わりに人参の甘さを利用して考案されたケーキです。

 日本で販売されているキャロットケーキには、ケーキの上にクリームチーズのフロスティングがのせられたものも多く見かけます。

(キャロットケーキ)
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 ケーキ生地に粗く刻んだ人参とクルミがたっぷり入っていました。

 人参の甘みとスパイス(シナモン、ナツメグ、オールスパイスなど)の風味がよく効いた素朴なケーキでした。


イートンメス

 「イートンメス(Eton Mess)」は、生クリームにメレンゲやいちごを加えた、イギリスの夏を代表するお菓子です。

 イギリスのパブリックスクール「イートン校」発祥の、「ごちゃ混ぜの・乱雑な(mess)」という意味をもつお菓子です。

 この発想・呼び方は、同じイギリスのお菓子「トライフル(Trifle:つまらないもの)」とよく似ています。

(イートンメス)
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 生クリームにメレンゲといちごがのせられています。

(イートンメス(中身))
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 生クリームの中にもメレンゲといちごが混ぜ込まれていました。

 上にのせられたメレンゲはサクサク、生クリームに混ぜられたメレンゲはしっとり柔らかくなっていて、異なる食感を一度に味わうことができました。

 生クリームに甘いメレンゲと甘酸っぱいいちごが加わった、シンプルで美味しいお菓子です。


ミンスパイ

 「ミンスパイ(Mince Pie)」は、洋酒(ブランデー・ラム酒など)にドライフルーツやナッツ、スパイス(シナモン・クローブなど)を漬け込んだ「ミンスミート」と呼ばれるフィリングが詰められたパイ菓子です。

 「ミンス」は日本で言う「ミンチ」のことで、細かく刻んだ肉(ミンチ)を詰めた肉入りのパイがミンスパイの起源とされています。

 その名残で、現代でもフィリングに牛脂(ミンスミート)を加えて作る製法があるようです。

 クリスマスプディングと同様に、クリスマスシーズンに人気の伝統菓子です。

(ミンスパイ)
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 丸いパイ生地の中にミンスミートが詰められ、上に星形のパイがのせられています。

 初期のミンスパイは、キリスト降誕の言い伝えにならい、飼い葉桶(かいばおけ)の形をしたパイにミンスミートが詰められ、その上に小さな人形のパイがのせられましたが、清教徒(ピューリタン)革命以後、これが「偶像崇拝」にあたるとされ、現在のような丸い形のパイになりました。

(ミンスパイ(中身))
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 ミンスミートは干しぶどう・りんご・アーモンドが使われており、甘くねっとりとして、ラム酒の風味もよく効いていました。


クロテッドクリーム・スコーン

 「クロテッドクリーム(Clotted cream)」は、生乳を低脂肪乳と生クリームに分離させ、その生クリームを低温で加熱して作られるクリームです。

(ロダス・コーニッシュ クロテッドクリーム(包装))
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 こちらは「ロダス(Roddas)」の「コーニッシュ クロテッドクリーム」です。

(クロテッドクリーム)
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 ロダスのクロテッドクリームは、低温オーブンで蒸し焼きして作られるため、表面に黄色い膜(クラスト)ができています。

 試しにクロテッドクリームだけで食べてみましたが、濃厚でクセのない(塩気もない)クリームでした。

 スコーンに塗っていただくのが一番とされるので、スコーンとジャム(いちごジャム)も用意しました。

(スコーン・クロテッドクリーム・いちごジャム)
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 スコーンをパカッと横に割りました。

 「はい、大きく口を開けてー」と歯医者さんになった気分です。

(スコーンを横に割った様子)
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 割ったスコーンに、クロテッドクリームを塗り、さらにいちごジャムを塗りました。

(スコーンにクロテッドクリームといちごジャムを塗った様子)
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 スコーンだけでも十分美味しいのに、さらにクロテッドクリームといちごジャムを添えていただくとは、何とも贅沢な食べ方です。

 今回、紅茶と一緒にこのスコーンをいただいたのですが、クロテッドクリームやいちごジャムは紅茶との相性も良く、スコーン(クロテッドクリーム・ジャム)と紅茶のセットが「クリームティー(Cream Tea)」と呼ばれる理由も理解できました。


「イギリストースト」と「ふらいすこーん」

 おまけとして、イギリスの食文化を踏まえ、日本人向けにアレンジされた創作パン・創作菓子を御紹介します。

 スコーンにクロテッドクリームといちごジャムを添えていただいた際、ふと頭に浮かんだのが、日本でロングセラー商品となっている、食パンにマーガリンといちごジャムを塗った菓子パン(ジャム&マーガリン)です。

(イギリストースト・ジャムストライプ)
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 特に「工藤パン」(青森市)の「イギリストースト」シリーズの「ジャムストライプ」は、スコーンがイギリスパン、クロテッドクリームがマーガリンになっただけで、よく似ています。


 もう1つ、広島の和菓子店「青柳屋」で販売されている「ふらいすこーん・つぶあんバター(折生地スコーン)」を御紹介します。

(ふらいすこーん・つぶあんバター(折生地スコーン))
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 スコーンを油で揚げ、あんこ(つぶあん)とバターをサンドした創作菓子です。

 揚げたスコーンはザクッとしたクッキーのような食感で、あんドーナツ・小倉トースト・あんバターサンド・かりんとう饅頭といった様々な要素が取り入れられた創作菓子です。


 日本でも様々な形でイギリス菓子が取り入れられ、独自のアレンジもなされていることがよくわかります。


<関連サイト>
 「ブリティッシュプディング」(大阪市住之江区西住之江2-7-9)
 「ジェリーズ・パイ」(京都市右京区嵯峨天龍寺瀬戸川町6-7)
 「ロダス」(銀座三越店 東京都中央区銀座4-6-16ほか)
 「フォートナム・アンド・メイソン」(三越広島店 広島市中区胡町5-1ほか)
 「イギリストースト」(工藤パン 青森市金沢三丁目22-1)
 「青柳屋(インスタグラム)」(広島市中区幟町5-8)

<関連記事>
 今回のイギリス料理を含む世界の料理は、「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」を御覧ください。

<参考文献>
 21世紀研究会編「食の世界地図」文春新書
 地球の歩き方編集室「世界のお菓子図鑑」Gakken

2025年5月 4日 (日)

台湾の食文化の特徴と主な料理2 -「和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」と「駅弁ひとり旅」から台湾の駅弁を理解する・魯肉飯(滷肉飯)と台湾の駅弁「排骨便當」を作る-

鉄道博物館交流協力企画展「和風×台味 台湾鉄路の食文化」

 2025年3月、さいたま市大宮区にある「鉄道博物館」を訪問し、交流協力企画展「和風×台味(タイウェイ) 台湾鉄路の食文化」(開催期間:2025年2月22日~同年6月2日)を見学しました。

(「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化」広告(日本語版))
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 この企画展では、「台湾の鉄道と食」の観点から、台湾の鉄道、日台の食堂車の歴史・概要、駅弁の歴史、2027年オープン予定の台北の国家鉄道博物館などが紹介されています。

 館内のレストラン・カフェでは、この企画展の会期中に台湾名物のコラボメニューも用意されており、「トレインレストラン特製魯肉飯(ルーローハン)&マンゴーシャーベットセット」、「ビューレストラン特製牛肉麺(ニョウロウメェン)」、「タピオカミルクティー」を味わうことができます。


「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」にみる台湾の排骨便當

 交流協力企画展「和風×台味 台湾鉄路の食文化」では、駅弁が誕生した日本統治時代から現在に至る「台湾の駅弁」について詳しく紹介されていました。

(「和風×台味 台湾鉄路の食文化」会場入口)
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 会場内は写真撮影禁止となっていたので、会場内の様子を御紹介することはできませんが、この企画展の図録の一部から、台湾の駅弁を御紹介したいと思います。

 日本統治時代(1895年~1945年)、台湾の駅弁には日本と台湾、両方の物産(食材)が利用されていました。

 主食はごはん、メインは煮魚、魚・豚肉・野菜の天ぷら、魚の塩焼きなど、副菜は卵焼き、野菜の煮物、煮豆、たくあん・漬物などで構成されていました。

 戦後、台湾総督府鉄道部は「台鉄(台湾鉄道)」に引き継がれました。

 そして、台中鉄道食堂のマネージャー・陶徳鱗(とうとくりん)氏(浙江省出身)と上海出身のシェフが、「江浙料理(こうせつりょうり・江蘇省と浙江省の料理)」をもとに「初代台鉄排骨菜飯弁当(パイコーなめしべんとう)」を開発します。

(初代台鉄排骨菜飯弁当)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p35を一部引用)
 (陳朝強寄贈・国家鉄道博物館準備処所蔵)

 こちらが初代台鉄排骨菜飯弁当です。

 主食はごはんにラードとチンゲン菜を加えて炒めた「菜飯(なめし)」、主菜は素揚げの排骨(パイコー、骨付き豚肉、スペアリブ)、副菜は煮卵、きゅうりの漬物、高菜で構成されています。

 以来、台湾鉄道の代表的な駅弁はこの「排骨(パイコー)弁当」となります。

(2代目台鉄排骨弁当)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p36を一部引用)

 こちらは、林火柴(りんかさい)氏が開発した2代目台鉄排骨弁当です。

 排骨は揚げたあとにタレで煮込み、おかずも塩分を増やすなど、暑い台湾の気候に合わせて、おかずを傷みにくく(腐りにくく)する工夫がなされました。

(3代目台鉄排骨弁当)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p37を一部引用)

 こちらは、李玉霞(りぎょくか)氏が開発した3代目台鉄排骨弁当です。

 排骨は必ずスジ切りして叩くなど調理工程が統一され、タレもネギ・生姜・八角・花椒・玉ねぎ・醤油・氷砂糖・酒などを使う健康的な配合のものに改良されて、現在の定番「排骨弁当」に至っています。


台湾の排骨弁当の特徴-「駅弁ひとり旅」で紹介されている排骨弁当の事例をもとに-

 「駅弁ひとり旅」(双葉社)は、駅弁に特化したグルメ漫画です。

 主人公の大ちゃん(中原大介)が、全国の駅弁を求めて鉄道旅行をする物語ですが、ザ・ワールド編として台湾へも遠征し、台湾の鉄道と駅弁が紹介されています。

 この漫画から、台湾の「排骨弁当」の事例をみてみましょう。

(台北駅・八角排骨便當)
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 (櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p65を一部引用)

 台北駅の「八角排骨便當」です。

 「便當(ヴェンタン)」は「弁当」という意味です。

 白飯に排骨、煮玉子、魚の燻製、野菜炒め、高菜が盛り付けられた弁当です。

(台中駅・台鐡便當)
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 (櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p103を一部引用)

 こちらは、台中駅の「台鐡便當」です。

 白飯に排骨、煮玉子、福神漬、ザーサイ漬物が盛り付けられた弁当です。

(自強号車販・台鐡便當)
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 (櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p179を一部引用)

 こちらは、自強号(特急)車内販売の「台鐡便當」です。

 白飯に排骨、煮玉子、薄い干し豆腐、ししゃもフライ、大根キムチ、ブロッコリーが盛り付けられた弁当です。

 こうして見てみると、台湾の排骨弁当には、「排骨と煮卵(煮玉子)がセットになっている」という共通点を見い出すことができます。

 台湾の「煮卵(煮玉子)」は、日本の弁当の「卵焼き」と同じような定番おかずとなっているのです。

 台湾の「排骨弁当」は、日本の「鮭弁当(鮭と卵焼き)」や「のり弁当(白身魚フライと卵焼き)」と似ています。

 また、台湾では八角の風味が好まれ、弁当のおかずにも甘い八角の風味を効かせた排骨や鶏肉などがよく使われています。

 そのため、揚げ物や煮物が多い、いわゆる「茶色い弁当」になっています。

 そして弁当の盛り付け方も、日本と台湾では異なります。

(台湾駅弁の盛り付け・おかずの配置)
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 (櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p92を一部引用)

 「おかずの味が染みついて美味しい」・「量も少なく見えるし何か物足りない感じがする」といった理由から、「台湾の弁当は(日本のような仕切りで分けた弁当ではなく、)ご飯の上におかずを乗せた「どんぶり形式」が多い」ことが紹介されています。


魯肉飯(滷肉飯)を作る(「和風×台味 台湾鉄路の食文化」企画展コラボメニューを再現する)

 鉄道博物館で「和風×台味 台湾鉄路の食文化」企画展のコラボメニューとして味わった、トレインレストラン日本食堂の「魯肉飯(滷肉飯、ルーローハン)」を作ってみました。

(煮豚)
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 煮汁は醤油・酒・みりんで、香りづけに「五香粉(ウーシャンフェン、ミックススパイス)」を加えました。

 少ない煮汁で、豚肉にすぐ染み込むよう、角切りにした豚肉を煮込みました。

 皿にごはんを盛り付け、茹でたチンゲン菜を添えて完成です。

(魯肉飯(滷肉飯))
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 写真では香りまでお伝えすることはできませんが、五香粉や八角を入れると、本格的な風味の煮豚に仕上がります。

 甘みはみりんだけなので、あっさりした味の魯肉飯(滷肉飯)が出来上がりました。

 これに煮卵と針唐辛子を加えればよかった…と後から気付きました(笑)


台湾の駅弁「排骨便當(パイコーヴェンタン)」を作る

 「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」と「駅弁ひとり旅」を読み、台湾の駅弁「排骨便當」について学んだところで、今度は実際に作って味わってみたくなりました。

 そこで一発奮起し、この弁当を作ってみることとしました。

 台湾の弁当容器は丸いものが多いように感じていたところ、「駅弁ひとり旅」に、その丸い容器についての説明がありました。

(台湾の丸形・フタ付駅弁)
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 (櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p58を一部引用)

 台湾の弁当容器は、丸型でプラのフタ付きが多いようです。

 「どんぶり形式」の弁当が多いことも、丸型が多い理由の1つと言えるでしょう。

 奮起湖(ふんきこ)駅の「奮起湖弁当」の容器を御覧ください。

(奮起湖弁当の容器)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p39を一部引用)

 排骨(パイコー)弁当に、金属製の、繰り返し使用されて多少ボコボコになったような丸型容器を使うと、現地の雰囲気まで味わえそうです。

(奮起湖駅・奮起湖便當)
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(櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅 ザ・ワールド 台湾+沖縄編」双葉社 p159を一部引用)

 こちらは奮起湖駅の「奮起湖便當」です。

 白飯に排骨、鶏もも肉、キャベツ、豆絲(トースー、豆腐を薄く伸ばして乾燥させ細切りにしたもの)、干しタケノコ、たくあんが盛り付けられた弁当です。

 こうした事例を踏まえ、これから作る排骨弁当にも丸い容器を使うことに決めました。

 100円ショップへ行き、プラスチックのフタが付いた丸型の容器(紙製)を購入しました。

 メインの排骨は、本来は豚のあばら肉(スペアリブ)が使われますが、大きなかたまり肉はなかなか入手できないので、今回は豚バラ肉のかたまりを使用しました。

(豚バラ肉)
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 この豚バラ肉を縦に半分に切り、さらに側面から二等分(厚みを半分)に切ったものを1人前としました。

(チンゲン菜・豚バラ肉・八角・五香粉)
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 今回使用した食材(チンゲン菜・豚バラ肉・八角・五香粉)です。

 まずは豚バラ肉を叩いて薄く伸ばしました。

(豚バラ肉をうろこ取りで叩いて伸ばす)
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 豚肉をどうやって薄く伸ばそうかとしばらく考えましたが、たまたまあった魚の「うろこ取り」で肉を叩いて薄く伸ばしました。

 チンゲン菜は1本1本にちぎり、洗ってから、お湯でさっと茹でました。

(チンゲン菜を茹でる)
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 外側の葉が大きいチンゲン菜は、包丁で縦に半分に切ってから茹でました。

(煮汁)
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 煮汁は、醤油・酒・みりんをベースに、ホールの八角(スターアニス)をひとかけ入れ、五香粉もパラパラと加えて風味付けしました。

(糸唐辛子・煮卵・チンゲン菜)
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 排骨が出来上がってすぐに盛り付けられるよう、糸唐辛子・煮卵・茹でたチンゲン菜を別皿に用意しておきます。

 本当はすべて手作りにしたかったのですが、時間の関係上、煮卵だけは市販のものを準備しました。

 下拵えができ、あとは排骨を調理するのみです。

(片栗粉をまぶした豚肉)
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 薄く伸ばした豚肉の両面に片栗粉をまぶしました。

(片栗粉をまぶした豚肉を揚げ焼きする)
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 フライパンに油を注ぎ、片栗粉をまぶした豚肉を揚げ焼きしました。

(揚げ焼きした豚肉)
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 フライパンから油が飛び跳ねて大変でした…

 片栗粉の衣なので、表面がパリパリに仕上がりました。

 この揚げたての豚肉を、別鍋で煮立てた煮汁の中に入れ、煮込みました。

(揚げ焼きした豚肉を煮込む)
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 揚げ焼きした時点では「少し焦げ色が薄いかな」と思いましたが、煮込んだらちょうどよい焼き色に仕上がりました。

 丸い容器にごはんをよそい、出来上がった豚肉、チンゲン菜、煮卵、針唐辛子を盛り付けたら完成です。

(排骨便當)
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 「成為炸過再滷的臺灣味排骨便當!」
 (揚げてから煮込む、台湾テイストの排骨弁当ができました!)

 八角の甘い香りがする、醤油風味の排骨(豚肉)です。

 サクサクの衣に、甘辛のタレがジュワッと浸み込んでいました。

 丸い容器も、台湾の排骨弁当らしさを演出し、現地で食事しているような感じがしました。

 こうした排骨と煮卵の組合せは、美味しくて、ごはんとよく合い、傷みにくいことから、台湾で定番の弁当となったのでしょう。

 最後に私の感想を…

 「排骨(パイコー)便當、最高(サイコー)!」


<関連サイト>
 「鉄道博物館」(さいたま市大宮区大成町三丁目47番)

<関連記事>
 「台湾料理の特徴と主な料理1 -燜齋鴨(素食北京ダック)と菜食主義(ベジタリアン)-
 「鉄道博物館交流協力企画展「和風×台味 台湾鉄路の食文化」-トレインレストラン特製魯肉飯・マンゴーシャーベット・ビューレストラン特製牛肉麺-
 「ザ・キャピトルホテル東急「ORIGAMI」の受け継がれた味 -シーフードサラダ・排骨拉麺(パーコーメン)・ジャーマンアップルパンケーキ-

<参考文献>
 「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」鉄道博物館・国家鉄道博物館準備処
 櫻井寛/はやせ淳「駅弁ひとり旅(ザ・ワールド 台湾+沖縄編)」双葉社
 「マンガと鉄道(旅と鉄道 増刊 2023年5月)」天夢人・山と渓谷社

2025年4月27日 (日)

鉄道博物館交流協力企画展「和風×台味 台湾鉄路の食文化」-トレインレストラン特製魯肉飯・マンゴーシャーベット・ビューレストラン特製牛肉麺-

鉄道博物館駅から鉄道博物館へ

 2025年3月、さいたま市を訪問しました。

 大宮駅に着くと、ポスターなどで「鉄道のまち大宮」というコピーをよく見かけました。

 大宮駅からニューシャトルに乗って、鉄道博物館駅へ向かいました。

 ニューシャトルは、東北・上越・北陸新幹線の高架軌道に沿って走る新交通システムです。

 大宮駅を出発すると、次の駅が鉄道博物館駅です。

(ニューシャトル・鉄道博物館駅・内宿行)
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 現代的なデザインで、グッドデザイン賞を受賞した2020系車両です。

(鉄道博物館駅(駅名標))
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 「鉄道博物館駅」…鉄道ファンや鉄道好きの子どもたちにはたまらない駅名です。

 入館券を提示し、鉄道博物館に入館しました。

 訪問した日は平日の月曜日でしたが、親子連れや子どもを中心に多くの人で賑わっていました。

(鉄道博物館・車両ステーション)
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 鉄道博物館の中心にある「車両ステーション」には、数多くの鉄道車両が展示されていました。

(特急「ひばり」(クハ481形)と急行列車(クモハ455形))
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 特急「ひばり」(写真左)は、かつて東京・上野~仙台を結んでいた特急列車です。

 一方、急行列車(クモハ455系)(写真右)は、かつて東北本線や常磐線などで活躍した交直両用の急行列車です。

 貨物列車も展示されていました。

(貨物列車・コンテナ内部)
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 山口県下関市からコンテナで海産物が運ばれる様子だと思います。

 寝台特急・ブルートレインも展示されていました。

(寝台特急「あさかぜ」・B寝台車)
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 ブルートレインに乗ったことがないので、とてもワクワクしました。

(寝台特急「あさかぜ」・B寝台車(内部))
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 寝台車の中を見学しましたが、想像していたより狭く、簡易な作りでした。

 私が寝台車に乗ったら、寝る間を惜しんで車窓から外を眺め、寝ることはないでしょう(笑)


交流協力企画展「和風×台味(タイウェイ) 台湾鉄路の食文化」

 今回、鉄道博物館を訪問した一番の理由は、企画展「和風×台味 台湾鉄路の食文化」を鑑賞し、館内のレストランで企画展コラボ料理を味わうことでした。

(「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化」広告(日本語版))
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 2024年の年末、JR上野駅で偶然このチラシを見つけ、訪問することを決めました。

 「台湾の鉄道と食」の観点から、台湾の鉄道、日台の食堂車の歴史・概要、駅弁の歴史、2027年オープン予定の台北の国家鉄道博物館などを紹介する企画展です。

(「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化」広告(台湾華語版))
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 チラシをひっくり返すと、このような台湾華語版の広告となっています。

 鉄道博物館のエントランスホールにも案内看板がありました。

(「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化」案内看板)
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 企画展初日には、日本と台湾の駅弁文化をテーマにした「駅弁シンポジウム」(主催:株式会社広島駅弁当)も開催されました。

(「和風×台味 台湾鉄路の食文化」会場入口)
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 「和風×台味 台湾鉄路の食文化」会場入口の様子です。

 会場内は写真撮影禁止となっていたので、御紹介することはできませんが、日本と台湾の鉄道・食堂車・駅弁の歴史について、興味深く学ぶことができました。


「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」から台湾の食文化を学ぶ

 ミュージアムショップで「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」を購入しました。

(「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」)

 図録は、「Ⅰ 台湾の鉄道路線」、「Ⅱ 列車内外のレストラン」、「Ⅲ 台湾の駅弁」、「Ⅳ 出発!国家鉄道博物館プロジェクト ただいま進行中」という4章で構成されています。

 図録のコラムに、「日本統治時代の台湾の駅では、駅弁の他に何を売ってたの?」という題名で、1916年の台湾日日新報の記事内容がイラスト付きで紹介されていました。

(1916年当時 台湾の駅のホームで販売されていた商品)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p41のイラストを一部加工・引用)

 当時の台湾の駅では、国姓爺(こくせんや)まんじゅう、巻き寿司、弁当、ミカン、スイカ、柿、まんじゅう、牛乳、芭蕉実(実芭蕉(みばしょう):バナナの一種)、スモモ、国姓爺もち、寿ずし(いなり寿司)、羊羹などが販売されていたようです。

 ちなみに「国姓爺」とは、「鄭成功(ていせいこう)」という人物の別称です。

 鄭成功は、江戸時代初期の1624年に今の平戸市で貿易商だった中国人の父(鄭芝龍)と日本人の母(田川マツ)との間に生まれました。

 1645年、21歳のとき、隆武帝から明王朝の姓(国姓)である「朱」姓を賜わったことから、人々の間で「国姓爺」(「国の姓」を賜った「爺(旦那)」という意味)と呼ばれるようになりました。

 「明」王朝の復興を願って大陸の「清」と戦い(反清復明運動)、その後、オランダに占拠されていた台湾を解放した功績から、台湾では英雄としてたたえられています。

 近松門左衛門は、この鄭成功をモデルに「国性爺合戦(こくせんやかっせん)」という物語を描き、人形浄瑠璃や歌舞伎で人気を得ました。

 こうした背景から、「国姓爺まんじゅう」や「国姓爺もち」など「国姓爺」という名を冠した菓子・お土産が人気だったようです。

(「国姓爺まんじゅう」・「国姓爺もち」の広告)
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 (「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」p41の広告を一部引用)

 私も成功して「乞爺菌」と呼ばれるように頑張ります!
 (と言いつつ、本当にこう呼ばれたら、ちょっと嫌かも…(笑))


トレインレストラン特製魯肉飯(ルーローハン)&マンゴーシャーベットセット

 お昼時になったので、館内のレストランで企画展コラボメニューをいただくこととしました。

 本館2階の「トレインレストラン日本食堂」を訪問しました。

(トレインレストラン特製魯肉飯&マンゴーシャーベット案内看板)
Photo_20250427100101

 こちらのお店の企画展コラボメニューは、「トレインレストラン特製魯肉飯&マンゴーシャーベット」です。

 お店に入ると、店員さんから「窓側のお席と車内のお席どちらになされますか?」と尋ねられました。

 窓側の席で行き交う列車を眺めながら食事をいただくか、車内席で食堂車の雰囲気を楽しみながら食事をいただくかを決める必要があったので、私は車内席をお願いしました。

(トレインレストラン日本食堂・車内席)
Photo_20250427100401

 テーブル席を御案内いただき、席に着いた後、私は「トレインレストラン特製魯肉飯&マンゴーシャーベット」を注文しました。

 ちなみに「魯肉飯」は、本来は「滷肉飯」と表記するのが正しいとされています。

 「滷」という文字に「(長時間)汁で煮込む」という意味があるからです。

 しかし、あまりにも複雑な字のため、発音の同じの「魯」であてられるようになったと言われています。

 しばらくして、魯肉飯が運ばれてきました。

(トレインレストラン特製魯肉飯(テーブル席))
Photo_20250427101101

 台湾の食堂車(臺灣餐車)に乗って食事しているような気分になりました。

(トレインレストラン特製魯肉飯)
Photo_20250427101301

 ごはんの上に豚肉の煮込みが盛られ、その上に糸唐辛子が飾られています。

 チンゲン菜と煮卵が添えられていました。

 大きな角切りの豚肉は、醤油ベースの甘辛で、八角(スターアニス)の香りが効いており、口の中でホロリと崩れるほどやわらかく煮込まれていました。

 豚肉はごはんとの相性も抜群で、あっという間に食べ終えてしまいました。

 その後、デザートとしてマンゴーシャーベットをいただきました。

(マンゴーシャーベット)
Photo_20250427101501

 マンゴーシャーベットにウエハースが添えられていました。

 マンゴーそのものをいただいているような、ねっとりした食感のシャーベットでした。


ビューレストラン特製牛肉麺(ニョウロウメェン)

 満腹中枢が働く前に、続けて南館4階の「ビューレストラン」を訪問しました。

 店名のとおり、(実際に走行している新幹線の)眺めを楽しみながら食事することができるレストランです。

 事前に食券を購入し、厨房へ注文するセルフサービスのレストランで、広い店内に大勢のお客さんが利用されていました。

 私は「ビューレストラン特製牛肉麺」の食券を購入し、注文しました。

 空いている席に座り、しばらく待っていると、出来上がりを知らせる呼び出しベルが鳴ったので、料理を受け取りに行きました。

(ビューレストラン特製牛肉麺)
Photo_20250427102001

 台湾の牛肉麺(ニョウロウメェン)は、「外省人」(がいしょうじん:中国各地の省から台湾へ移住した人やその子孫)の故郷の味と、地元台湾の食材を融合して生み出された料理です。

 醤油ベースの汁麺に、角切りの牛肉の煮込みがたっぷり盛られていました。

(ビューレストラン特製牛肉麺(牛肉))
Photo_20250427102201

 具は、牛肉煮込み、チンゲン菜、煮卵、白ねぎです。

 かかっているスパイスは花椒(ホアジャオ)だと思います。

 醤油ベースのピリ辛スープと、甘辛く仕上げられた牛肉煮込みが麺とよく合いました。

 魯肉飯に続けて牛肉麺を食べると、ごはんか汁麺かの違いだけで、同じような具・味付けのものをいただいているような感じもしましたが、いずれもあらかじめ作っておいて、注文に応じて素早く提供できるというメリットがあると思いました。

 パスタや洋食を食べる親子連れ、うどんやラーメンを食べるシニア世代、カツカレーを箸で食べる欧米人など、多種多様な国の料理・人々で構成される面白いレストランでした。


まとめ

 食事を終え、館内から外を眺めると、様々な列車を見ることができました。

(新幹線E4系Max・E259系・E231系)
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 写真手前のE4系Max(二階建て新幹線)は鉄道博物館の展示列車ですが、その奥を走るE259系(成田エクスプレスなどで使用される列車)や、E231系(二階建て・グリーン車を有する在来線)は、実際に運行されている車両です。

 帰り際、鉄道博物館駅構内で、アーケードゲーム「電車でGO!!」を見かけました。

(電車でGO!!(鉄道博物館駅構内))
Photo_20250427103701

 私もかつて広島駅の改札口に設置されていた「電車でGO!」にハマり、通勤・通学客に注目されながら運転していたことを思い出しました。

(ニューシャトル・鉄道博物館駅・大宮行)
Photo_20250427104001

 2000系車両がやってきました。

 写真左側は新幹線の高架で、ニューシャトルと新幹線が並行して走っています。

 「鉄道のまち大宮」で、鉄道や台湾の鉄道の食文化について学ぶことができました。
 (「鐡道之街-大宮」可見鐡道與臺灣鐡路的飲食文化)


<関連サイト>
 「鉄道博物館」(さいたま市大宮区大成町三丁目47番)
 「鉄道のまち大宮」(JR東日本)

<関連記事>
 「台湾の食文化の特徴と主な料理2 -「和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」と「駅弁ひとり旅」から台湾の駅弁を理解する・魯肉飯(滷肉飯)と台湾の駅弁「排骨便當」を作る-

<参考文献>
 「交流協力企画展 和風×台味 台湾鉄路の食文化 図録」鉄道博物館・国家鉄道博物館準備処

2025年3月16日 (日)

フランス料理の特徴と主な料理12 -瀬戸内産真鯛のヴァプール・瀬戸内六穀豚のシャルキュティエール風-

 ホテルグランヴィア広島の「スカイレストランアンドラウンジ L&R」で、フランス料理の代表的な調理・調味法「ヴァプール」と「シャルキュティエール風」の料理が組み合わされたコースが味わえることを知り、予約を取りました。

 「ちょっと豪華に」とか「記念日だから」といった目的でなく、単純にこれらのフランス料理に興味を持ち、味わってみたかったからです。

 当日、ホテルの21階にあるレストランを訪問し、広島の街を一望できるテーブルで食事をしました。

 「サブール(Saveur)」というコースをいただきました。


【スパークリングワイン(ノンアルコール)】

 ドリンクは、スパークリングワイン(ノンアルコール)をいただきました。

(スパークリングワイン(ノンアルコール))
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 ノンアルコールですが、ちょっと気取ってスパークリングワインを飲むという自分に酔いしれました(笑)


【カボチャのポタージュとマスカルポーネ】

 コースの始めに、カボチャのポタージュをいただきました。

(カボチャのポタージュとマスカルポーネ)
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 ポタージュに、マスカルポーネ(白いフレッシュチーズ)とカボチャの種がのせられています。

 濃厚なカボチャのポタージュが、身も心もポカポカにしてくれました。


【ホテルメイドパン】

 続いて、ホテル特製のパンが用意されました。

(ホテルメイドパン(広島菜・チャバタ・バゲット))
Photo_20250224105001

 レストランやブラッスリーで提供されるパン、特にバゲットは、なぜおかわりしたくなるほど美味しいのでしょうか。

 表面はパリッと、そして中までじんわりと焼き上げられていました。


【カリフラワーのブランマンジェとサーモンマリネ イクラのあしらい】

 続いて前菜(冷菜)として、カリフラワーのブランマンジェが用意されました。

(カリフラワーのブランマンジェとサーモンマリネ イクラのあしらい)
Photo_20250224102001

 背の高いカクテルグラスに、カリフラワーのブランマンジェが盛り付けられ、その上にエキュメ、カリフラワー、イクラがのせられていました。

 エキュメには、エディブルフラワー(食用花)とディルが彩られていました。

 「エキュメ(écume)」は「泡」という意味で、写真の白い泡状のものを言います。

 最初にスプーンでエキュメをいただくと、泡なのに昆布の旨みと広島レモンの酸味がしっかりと感じられ、不思議でした。

 続いてブランマンジェをいただきました。

 「ブランマンジェ」は、白いプリンのような料理やお菓子を言い、もともと「白い(ブラン:blanc)」、「食べ物(マンジェ:manger)」という意味があります。

 今回御用意いただいたカリフラワーのブランマンジェは、カリフラワーの甘みと香りがしっかりと感じられました。

 さらに食べ進めると、ブランマンジェの中にサーモンムースとサーモンマリネが盛り付けられていました。

 食事の合間に外の景色を眺め、ラグジュアリーな雰囲気も楽しみました。


【瀬戸内産真鯛のヴァプール 春菊のソース】

 そしていよいよ、魚のメイン料理です。

(瀬戸内産真鯛のヴァプール 春菊のソース)
Photo_20250224105401

 瀬戸内産真鯛のヴァプールです。

 「ヴァプール(vapeur)」は「蒸気、湯気」という意味で、「ア・ラ・ヴァプール(à la vapeur)」で「蒸し料理」という意味になります。

 蒸す調理法は、もともと中国が発祥ですが、1970年代のヌーベル・キュイジーヌの普及とともにフランス料理にも用いられるようになりました。

 「(ア・ラ・)ヴァプール」は表面が乾燥せず、しっとりと仕上がるのが特徴です。

 魚を焼く(ソテ・ポワレ)より、蒸す方が火加減は楽そうですが、素材の持ち味を生かし、ふっくらと火が通っている状態に仕上げるには相当の技術が求められます。

 今回の料理は、蒸した瀬戸内産真鯛に春菊のソースを添えた料理です。

 真鯛の上には、ごぼうチップス、松きのこ(広島県世羅町産)、アマランサスがのせられています。

 ヴァプールされたことにより、瀬戸内産真鯛のうまみとふっくらした食感を味わうことができました。

 真鯛に絶妙な塩加減で味付けがなされているので、このままでも十分美味しいのですが、春菊がたっぷり使われた濃い緑色のソースをつけていただくと、繊細な真鯛の味にさわやかで濃厚な春菊の風味が加わり、より一層美味しくいただけました。


【ホテルメイドパン】

 食べ終わり、一息ついていると、お店の方から「パンのおかわりはいかがでしょうか」と再びパンのバスケットが運ばれてきました。

 3種類のパンが用意されていましたが、私は「全部ください」とお願いしました。

(ホテルメイドパン(ライ麦パン・フォカッチャ・バゲット))
Photo_20250224110301

 時折バターを塗りながら、様々なパンを味わいました。


【瀬戸内六穀豚のシャルキュティエール風】

 しばらくして、肉のメイン料理が運ばれてきました。

(瀬戸内六穀豚のシャルキュティエール風)
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 「瀬戸内六穀豚のシャルキュティエール風」です。

 「シャルキュティエール風(charcutière)」は、豚肉やハム・ソーセージなどの肉加工品・総菜を販売するお店「シャルキュトリ(charcuterie)」に由来する料理名で、「お肉屋さん風」・「豚肉屋風」という意味となります。

 「豚肉のシャルキュティエール風」は、平たく言えば「お肉屋さん風ポークソテー」です。

 ソースは、刻んだエシャロット(玉ねぎ)をバターで炒め、それに白ワインを加えて煮詰め、さらにフォン・ド・ヴォやトマトなどを加えて煮詰め、マスタードや刻んだコルニッション(小型キュウリのピクルス)などを加えて仕上げられたものです。

 シャルキュティエール風のソースについて、「ソース・ロベール(sauce robert)にコルニッションを加えたもの」と表現されているものもあります。

 シャルキュティエール風ソースは、刻んだエシャロット(玉ねぎ)やピクルス、マスタードが使われ、バターや白ワインでどっしりと濃厚なソースに仕上げられているのが特徴です。

(瀬戸内六穀豚のシャルキュティエール風(豚肉))
Photo_20250224111201

 ホロリと崩れそうなほどやわらかく仕上げられた豚肉に、どっしりと濃厚なソースがたっぷりとかけられています。

 ソースに、ほどよい酸味と甘味、そして深いコクを感じました。

 ポークソテーにゆるいタルタルソース(マヨネーズとピクルスのソース)をかけたような料理だと思いました。

 ソースが濃厚なので、パンとの相性も抜群の肉料理です。


【デザート】

(本日のデザート)
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 デザートはチーズケーキ、バニラアイス、はっさくでした。

 チーズケーキはベイクドチーズケーキとレアチーズケーキが二層になっており、サクサクのクランブルで覆われていました。

 バニラアイスには、リーフ(葉っぱ)の形をしたクッキーが添えられていたのですが、このリーフが透けて見えるほどの薄さで、どうやって作られるのか不思議でした。

 はっさく(八朔)は広島県尾道市因島が発祥とされており、広島にちなんだフルーツが用いられていることを嬉しく思いました。

 
 フランス料理の代表的な技法・調理法が施された料理をいただくことができました。


<関連サイト>
 「ホテルグランヴィア広島」(広島市南区松原町1-5)

<関連記事>
 「美術館とカフェ・レストランの魅力7 -「おいしいボタニカル・アート」おいしいコラボレーション・ホテルグランヴィア広島「サブール」-

<参考文献>
 辻調理師専門学校監修「基礎からわかるフランス料理」柴田書店
 日仏料理協会編「仏和・和仏料理フランス語辞典」白水社

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