各国料理の特徴と主な料理

2024年12月 8日 (日)

中央アジア・コーカサス諸国の料理(ラグマン・カザフシャルガム・オジャクリ・カラムリピログ)と協力隊珈琲

JICA関西

 日本の政府開発援助(ODA)を通じて開発途上国への国際協力を行っている国際協力機構(JICA・ジャイカ)。

 そのJICAの関西の拠点が「JICA関西」で、神戸市中央区にあります。

 このJICA関西の食堂で「中央アジア・コーカサス諸国料理」が提供されていることを知り、興味を持って訪問しました。

 今回は、少し距離がありましたが、神戸の中心街・三宮から歩いてJICA関西を訪問しました。

(JICA関西・夜景)
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 今までランチタイムに何度か訪問しましたが、ディナータイムの訪問は初めてです。

 JICA関西食堂は昼だけでなく夜も営業されていますが、これは宿泊している研修員の食事を提供する役割もあるためです。

(JICA関西玄関)
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 JICA関西の玄関では「JICA」の文字がライトアップされていました。

(JICA関西食堂案内板)
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 ディナータイムはどんな雰囲気なのか、ワクワクしながら施設に入りました。


JICA関西食堂の中央アジア・コーカサス諸国料理

 JICA関西食堂は、施設の1階にあり、誰でも利用することが出来ます。

(JICA関西食堂・玄関)
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 入口で「月替わりエスニック料理」の食券を購入し、厨房へ持っていくと、「少しお時間をください」と、呼び出しベルが手渡されました。

 ひとまずテーブル席へ向かうと、大きなモニター画面に月替わりエスニック料理の案内がありました。

 2024年12月の月替わりエスニック料理は中央アジア・コーカサス諸国料理です。

(月替わりエスニック料理案内(中央アジア・コーカサス諸国料理))
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 このモニターの目の前の席に座り、それぞれの料理を確かめながら食事することにしました。

 中央アジア・コーカサス諸国は、中央アジア(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)と、コーカサス(アルメニア、ジョージア、アゼルバイジャン)で構成される地域の総称です。

(中央アジア・コーカサス諸国)
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 JICAウェブサイト・広報誌「mundi(2017年4月号)」から一部加工・引用

 今回は中央アジア、ジョージア、カザフスタン、ウズベキスタンの料理をいただきます。

 しばらく待っているとブザーが鳴ったので、再び厨房へ行くと、料理が提供されました。

(JICA関西食堂・中央アジア・コーカサス諸国料理)
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 こちらが中央アジア・コーカサス諸国料理のセットです。

 写真左側手前のメインプレートがラグマンです。

 写真右上の四角いプレートには、3種の料理(カザフシャルガム・オジャクリ・カラムリピログ)が盛り付けられています。

 それぞれの料理を簡単に御紹介します。


【ラグマン(麺料理 / Noodle dishes)】

 「ラグマン」は、ウズベキスタンやキルギスなど中央アジアで広く食べられている料理です。

(ラグマン)
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 日本の「うどん」に具だくさんのトマトシチューをかけたような料理です。

 トマトシチューは、玉ねぎ・ナス・牛肉・サヤインゲン・パプリカ(ピーマン)・セロリ・ネギなどの具をトマトでじっくり煮込んだものです。

 美味しいのですが、麺が太くて食べるのが大変でした。

 麺をプラスチックの箸で食べようとするとツルツル滑り、フォークで食べようとすると太すぎてクルクル巻けないのです。

 私の場合は、最終的に麺は箸、スープはスプーンでいただくことで落ち着きました。


【カザフ・シャルガム(大根サラダ / Radish salad)】

 「カザフ・シャルガム」はカザフスタンの料理で、大根サラダです。

(カザフ・シャルガム)
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 大根、人参、パプリカのサラダで、粉唐辛子をまぶしてピリ辛に仕上げられています。

 酢の酸味はあまり感じなかったものの、日本の「紅白なます」によく似ていると思いました。


【オジャクリ(ジャガイモ料理 / Potato dishes)】

 「オジャクリ」はジョージアの料理で、ジャガイモの煮込み料理です。

(オジャクリ)
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 ジャガイモを玉ねぎ、豚肉、パプリカ(黄色)と一緒に煮込んだもので、仕上げにコリアンダー(パクチー・香菜)がのせられています。

 見た目もそうですが、「肉じゃが」そっくりの味でした。

 ワインビネガーが使われているからか、わずかな酸味も感じました。

 フランス・アルザス地方の郷土料理「ベッコフ」もそうですが、改めて、ジャガイモを玉ねぎや肉と一緒に煮込むと「肉じゃが」の味に近づくのだなと思いました。


【カラムリ・ピログ(キャベツパイ / Cabbage pie)】

 「カラムリ・ピログ」はウズベキスタンの料理で、キャベツパイです。

(カラムリ・ピログ)
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 主な具はキャベツと玉ねぎです。

 いただいてみると、コショウやクミンの香りを感じました。

 そして、甘いキャベツに粒コショウがピリッと辛いアクセントとなっていました。

(カラムリ・ピログ(中身))
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 中身を観察すると、キャベツや玉ねぎのほか、クミンシード(クミンの種子)も入っていました。

 表面はサクサク、中身はしっとりとしたパイでした。


 中央アジア・コーカサス諸国に思いを馳せながら、美味しくいただきました。


付記

 青年海外協力隊でペルーに行かれる方から、あいさつの品としてコーヒーをいただきました。

(協力隊珈琲(ペルー))
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 「協力隊珈琲 ペルーに行ってきます」と記載されています。

 協力隊珈琲(JOCABUCKS COFFEE)には、「煌(きらめき)」、「爽(さわやか)」、「深(ふかみ)」の3種類があります。

 いただいたコーヒーは「煌(きらめき)」でした。

(煌(きらめき)・食品表示)
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 裏をめくってみると、コーヒーの原産国はペルー…ではなく、ブラジル、コロンビア、グアテマラとなっていました。

 こうしたちょっとした贈り物があると便利ですね。

 ペルーでの御活躍をお祈り申し上げます。


<関連サイト>
 国際協力機構「JICA関西」(神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2)
 「青年海外協力協会(JOCA)」(長野県駒ヶ根市中央16-7)

<関連記事>
 「ウズベキスタン・キルギス料理の特徴と主な料理 -ノン・ラグマン-
 「ジョージア(グルジア)料理の特徴と主な料理 -クヴェヴリワイン・ハルチョー・サラダ・チュルチヘラ・アジカ・ハチャプリ-
 「フランス料理の特徴と主な料理11 -フォアグラクッキー・アナグマのリエット・生牡蠣とウニ・和牛のロティ・アナグマの煮込み・ベッコフ-

2024年10月27日 (日)

クロアチア料理の特徴と主な料理 -シュトゥルクリ・チェヴァプチチ・アイバル・フリタヤ・ポレンタ・山羊のチーズ・クレームシュニッタ-

クロアチアとクロアチアの食文化

 東京で世界の朝食が味わえるお店「World Breakfast Allday(ワールド・ブレックファースト・オールデイ)」。

 2024年10月・11月限定の朝ごはんは「クロアチアの朝ごはん」です。

 クロアチアは、東ヨーロッパのバルカン半島に位置する国です。

(クロアチア)
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 (帝国書院白地図の一部を引用・加工)

 クロアチアは、1991年に旧ユーゴスラヴィアから独立するまで、周辺国・地域との合併と分離が繰り返された歴史があります。

 食文化においても、かつてのハプスブルク帝国(オーストリア・ハンガリーなど)やオスマン帝国(トルコ・ハンガリーなど)、そしてイタリアなどの影響を受けた多層的な食文化が形成されています。

(クロアチアと周辺国)
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 (帝国書院白地図の一部を引用・加工)

 東西南北に広がるクロアチアは、アドリア海(地中海)沿岸部ではイタリアの影響を受けたシーフード・オリーブ(オイル)・ぶどう・ハーブなどが、北部・東部ではオーストリア・ハンガリー・トルコの影響を受けたチーズなどの乳製品や肉、パプリカやニンニクなどが料理に使われています。


クロアチアの朝ごはん

 今回「World Breakfast Allday」で御用意いただいたクロアチアの朝ごはんプレートがこちらです。

(クロアチアの朝ごはんプレート)
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 シュトゥルクリ、チェヴァプチチ、アイバル、フリタヤ、ポレンタ、そして山羊のチーズが盛り付けられたプレートです。

 それでは順に料理を御紹介します。


【シュトゥルクリ】

 「シュトゥルクリ」は、小麦粉(パスタ生地)を練った皮にチーズを包んだ、クロアチアの伝統的家庭料理です。

(シュトゥルクリ)
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 「ペチェニ・シュトゥルクリ」と呼ばれる焼いたタイプと、「クハニ・シュトゥルクリ」と呼ばれるゆでたタイプがあります。

 今回お店で提供されたシュトゥルクリは、焼いたタイプでサワークリームが添えられていました。

 生地は表面がこんがり焼けてサクサクで、パイのようでした。

 中の具は、白い粒状のもので、その食感は豆腐の「おから」に似ていました。

(シュトゥルクリ(中身))
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 お店の方に中身を尋ねると、2種類のチーズとナツメグで作られたとのことでした。

 チーズはフェタチーズ(塩味の強いギリシャ生まれのフレッシュチーズ)やカッテージチーズ(白くてやわらかい、そぼろ状のチーズ)だと思います。

 挽き肉のミートパイのような感覚でいただきました。


【チェヴァプチチ】

 「チェヴァプチチ」は、スパイスで調味した挽き肉を小さく筒状に丸めてグリルした料理です。

(チェヴァプチチとアイバル)
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 赤いペースト「アイバル」と玉ねぎ(みじん切り)が添えられています。

 「アイバル」は、パプリカをオイル・ニンニク・塩などとあわせて煮込み、ペースト状にした保存食です。

 「チェヴァプチチ」はトルコ料理のケバブに由来するものです。

 また「アイバル」もトルコが発祥とされています。

 チェヴァプチチの食感は弾力のあるソーセージ、味はハンバーグそのもので、付け合わせのアイバルとの相性も抜群でした。


【フリタヤ】

 「フリタヤ」はオムレツのようなクロアチアの卵料理です。

 イストラ地方の名産・アスパラガスを具にしたフリタヤをいただきました。

(フリタヤ)
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 アスパラガス入りのスクランブルエッグだと思いました。

 料理名や使われる食材がイタリア料理の「フリッタータ」とよく似ており、イタリアの食文化の影響を受けた料理となっています。


【ポレンタ】

 「ポレンタ」はイタリア北部の代表的な料理で、トウモロコシ粉を「お粥(おかゆ)」や「マッシュポテト」のように煮た料理です。

 クロアチアでは「ジュガンツィ」と呼ばれています。

 様々な歴史を経てイタリアからクロアチアに伝えられたのでしょう。

(ポレンタ)
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 今回提供されたポレンタは、ほのかに甘いカラメルのデザートのような仕上がりで、粒々の食感を楽しみながらいただきました。


【山羊のチーズ】

 トッピングとして「山羊のチーズ(シェーブルチーズ)」を付けていただきました。

(山羊のチーズ)
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 水分が少なめで、口に含むとポロポロと崩れます。

 塩辛いので、薄くスライスしていただくのが適していました。

 クセがなく、おつまみ感覚でいただけるチーズでした。


【クレームシュニッタ】

 デザートとして「クレームシュニッタ」をいただきました。

 「クレームシュニッタ」は、カスタードクリームをパイ生地ではさんだ、クロアチアの代表的なお菓子です。

 クロアチアの首都・ザグレブに近い「サモボル」の名物でもあります。

(クレームシュニッタ)
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 厚めのパイ生地に、冷たいカスタードクリームがたっぷりとサンドされていました。

 しっかりと焼き上げられたパイ生地とやわらかいカスタードクリームの組合せなので、ナイフとフォークで容易に切ることができず、パイ生地にナイフを10往復ぐらいさせて慎重に切り分けました。

 フランスのミルフィーユに似ています。

 クロアチアでは軽い食感のカスタードクリームが人気で、クロアチア人のカスタードクリームの取り扱いは抜群に上手なのだそうです。


<関連サイト>
 「World Breakfast Allday」(東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F(外苑前店)ほか)

<関連記事>
 「セルビアの朝食(コーンブレッド・アイバル・ヨーグルト)と手作りアイバル
 世界の料理については,当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」も御参照ください。

<参考文献>
 「World Breakfast Allday」クロアチア料理紹介リーフレット
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」Gakken
 地球の歩き方編集室「世界のお菓子図鑑」Gakken

2024年9月22日 (日)

カリブ諸国の料理とお菓子 -チキンシチュー・フリホレス ネグロス・エンサラダ デ レイポヨ・コーンプディング-

日・カリブ交流年とカリブ共同体(CARICOM)

 2024年は「日・カリブ交流年」です。

 「日・カリブ交流年」は日本とカリブ共同体(CARICOM:カリコム)の本格的な交流が始まってから30年が経過したことを記念して制定されました。

 加盟国・地域は、アンティグア・バーブーダ、ガイアナ、グレナダ、ジャマイカ、スリナム、セントクリストファー・ネービス、セントビンセント及びグレナディーン諸島、セントルシア、ドミニカ国、トリニダード・トバゴ、ハイチ、バハマ、バルバドス、ベリーズと英領モンセラットの14か国1地域です。

(カリブ共同体(CARICOM))
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 外務省ウェブサイト・中南米・カリブ共同体(CARICOM:カリコム)から一部加工・引用

 「日・カリブ交流年2024」では、日本とカリブ共同体(カリコム)双方で、交流を深めることを目的とした記念事業が実施されています。


JICA関西

 日本の政府開発援助(ODA)を通じて開発途上国への国際協力を行っている国際協力機構(JICA・ジャイカ)。

 そのJICAの関西の拠点が「JICA関西」で、神戸市中央区にあります。

 この度、このJICA関西の食堂で「日・カリブ交流年」にちなんだカリブ諸国料理が提供されていることを知り、興味を持って訪問しました。

 神戸三宮駅から阪神電車を利用して岩屋駅で下車し、駅から歩いてJICA関西を訪問しました。

(阪神電車・岩屋駅)
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 岩屋駅は兵庫県立美術館に近いこともあり、アートを意識した駅舎となっています。

 岩屋駅のすぐ近くにはJRの灘駅があり、JRを利用してJICA関西へ行くこともできます。

 JICA関西は、「HAT神戸(ハットこうべ)」と呼ばれる神戸・東部新都心の地区にあります。

 兵庫県立美術館から大通りを西へ向かい、ハット見上げるとJICA関西がありました。

(JICA関西・全景)
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 海外からの研修員の宿泊施設もある、大きくて立派な建物です。

(JICA関西玄関・JICA関西食堂案内板)
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 JICA関西の玄関とJICA関西食堂の案内板です。

 「食べることからはじまる国際協力」

 確かに各国の料理を食べることで、その国の認識が深まり、国際協力に取り組むきっかけにもなると思います。

 食堂は年末年始を除いて年中無休で営業されていますが、これは宿泊している研修員の食事を提供する役割もあるためです。


JICA関西食堂のカリブ諸国料理

 JICA関西食堂は、施設の1階にあり、誰でも利用することが出来ます。

(JICA関西食堂・玄関)
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 メニューケースの横に「月替わりエスニック料理」の案内板がありました。

(月替わりエスニック料理案内(カリブ諸国料理))
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 9月(2024年9月1日~30日)の月替わりエスニック料理はカリブ諸国料理です。

 2024年が「日・カリブ交流年」であることにちなんで提供されています。

 この料理をいただくこととし、レジで食券を購入しました。

 厨房で食券をお渡しし、カリブ諸国料理を御用意いただきました。

(JICA関西食堂・カリブ諸国料理)
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 こちらがカリブ諸国料理のセットです。

 写真左側のメインプレートには、チキンシチュー、フリホレス・ネグロス、ライスが盛り付けられています。

 写真右下の小鉢に入ったサラダは、エンサラダ・デ・レイポヨです。

 そして写真右上のお菓子は、コーンプディングです。

 それぞれの料理やお菓子を簡単に御紹介します。


【チキンシチュー(ハイチ風チキンの煮込み / Haitian chicken stew)】

 「チキンシチュー」はハイチの料理で、鶏肉を野菜やスパイス(トマト、玉ねぎ、パプリカ、セロリ、ニンニク、タイムなど)で煮たシチューです。

(チキンシチュー)
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 鶏肉にスパイスがしっかり効いており、チキンソテーのような感じでいただきました。


【フリホレス・ネグロス(キューバ風ブラックビーンズ / Cuban style black beans cooked)】

 「フリホレス・ネグロス」はキューバの料理で、ブラックビーンズ(黒インゲン豆)の煮込みです。

 ちなみに、「フリホレス(フリホーレス)」はスペイン語で「インゲン豆」を意味し、中南米では「インゲン豆の煮込み」料理の名称ともなっています。

(フリホレス・ネグロス)
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 小豆の煮込みのようにも見え、甘そうなイメージだったのですが、実際は逆で、ピリ辛の豆料理でした。

 ブラックビーンズを刻んだ玉ねぎや青唐辛子と一緒に煮込み、スパイスや塩で調味された料理です。

 ブラジル料理の「フェイジョアーダ」に似ていると思いました。


【エンサラダ・デ・レイポヨ(プエルトリコ風サラダ / Puerto Rican salad)】

 「エンサラダ・デ・レイポヨ」はプエルトリコの料理で、プエルトリコ風のサラダです。

(エンサラダ・デ・レイポヨ)
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 トマト、アボカド、玉ねぎ、人参、カイワレ大根などたくさんの野菜で作られたサラダです。

 ドレッシングはクミンの風味とレモンの酸味が効いていました。

 魚介のマリネ「セビーチェ」に似た、さっぱりして酸味の強いサラダでした。


【コーンプディング(トウモロコシ粉とココナッツミルクのデザート / Dominican Republiccorn flour and coconut milk dessert)】

 食後にコーンプディングとコーヒーをいただきました。

(コーンプディングとコーヒー)
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 ドリンクはセルフサービスで、緑茶・ウーロン茶・紅茶・コーヒーの4種類が用意されていました。

(コーンプディング)
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 「コーンプディング」はドミニカ共和国のお菓子です。

 粒々感のあるトウモロコシ粉にココナッツミルクや砂糖を加え、火にかけてとろみをつけ、冷やし固めたお菓子です。

 仕上げにシナモンがふりかけられています。

 このコーンプディング、ほかの料理と一緒にトレーに用意された時点から、私は気にかかって仕方ありませんでした。

 アイスクリームのような冷たいお菓子だと思ったからです。

 「溶けないうちに食事をサッと済ませないと」との一心で、早めに食事を済ませました。

 そしてデザートにコーンプディングをいただいてみると…全然冷たくない(笑)

 食感はフルフルとして、トウモロコシ粉のツブツブ感も残っていて、木綿豆腐を粗めに裏ごしして作る「白和え」とよく似ています。

 ほんのり甘く、シナモン(肉桂)が効いているので、京都の八つ橋に似た風味だと思いました。

 窓越しに庭を眺めながら、ゆったりと食後のひとときを楽しみました。


 食堂を出る際、レジ横で「けん玉」が販売されている光景を目にしました。

 「けん玉」は広島県廿日市市が発祥の玩具です。

 私はかつて、「けん玉」を広島から世界に広めようと、「ひろしま国際プラザ(※)」の食堂で、世界各国から来られた中国四国地方各県受入れの海外研修員の皆さんと「けん玉交流イベント」をしたことがあります。
 ※Hiroshima International Plaza:広島県立国際協力センターとJICA中国の複合施設

 その「けん玉」に人気が出て、JICA関西の食堂でも販売されるようになったことをとても嬉しく思いました。


JICAかんさい地球ひろば

 JICA関西食堂で食事を済ませ,1階のロビー展示コーナーや広報展示室(「JICAかんさい地球ひろば」)を見学させていただきました。

 ロビー展示コーナーには,各国ゆかりの物が展示品されていました。

(SDGs JICA KANSAI)
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 カラフルで派手なセットで、奥からお笑いタレントが登場しそうですが、「JICA MANZAI」ではなく「JICA KANSAI」です(笑)

 左上にある「From KOBE」と書かれたハートマークも、朝日放送「新婚さんいらっしゃい!」のハートマークとそっくりです。

 JICA関西に来られた研修員の皆さんには、関西のお笑い文化にも触れていただきたいです。

 広報展示室には、世界のそれぞれの地域の特性や文化が紹介されたコーナーや、世界の民族衣装や民芸品が展示されたコーナーなどがありました。

(広報展示室)

 さらに中へ進むと,世界の食べもの・飲みものの紹介コーナーがありました。

(世界の食べもの・飲みもの紹介)
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 ドリンク、フルーツの缶詰、麺、海老せんべい、お菓子などが屋台風に展示されていました。

 こんな感じで「JICAかんさい地球ひろば」を興味深く見学させていただきました。


まとめ

 全国のJICAの拠点施設では,国際協力を中心とした世界各国の情報を得ることが出来ます。

 また,世界の料理を用意され,広く一般の方も利用できる食堂が併設されている施設もあります。

 こうした施設を利用すれば,国内にいながら,気軽に世界旅行気分を味わうことが出来ます。


<関連サイト>
 国際協力機構「JICA関西」(神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2)

<関連記事>
 「アルバニア料理の特徴と主な料理 -ペシュク・ネ・フーレ,トゥルリ・ペリメシュ,ミシュ・メ・ラク,ラバーニ-」(JICA関西食堂エスニック料理)
 「ひろしま国際プラザ「難民の故郷の味フェア」 -チキンのレモン煮・麻婆豆腐・アメリカンドッグ・ブロッコリーライス・チルカーノ・アスウィットサラダ・ケニア紅茶-
 「ひろしま国際プラザ「難民の故郷の味フェア」 -ミャンマーのオンタミンとチェッターヒン、ベトナムの鶏肉八角焼き、インドネシアのソトアヤム、スリランカのパリップサラーダヤ-

2024年7月 7日 (日)

デンマーク料理の特徴と主な料理6 -サーモン・ニシンのマリネ・豚バラ煮込み・サムソーチーズ・フレスケスタイ・赤キャベツのピクルス・スメアブロ・キャロットケーキ-

アンデルセンの「デンマークフェア」と広島アンデルセン

 2024年6月1日から30日までの期間,アンデルセンの各店舗で「デンマークフェア 2024」が開催されました。

 デンマークのパン・料理・ドリンク・食材・雑貨などの販売や,デンマーク関係のセミナー・パーティーの開催など,デンマークの魅力を知り,味わい,楽しむことができる盛りだくさんのイベントが実施されました。

 アンデルセンとデンマークのつながりは,アンデルセンの創業者・高木俊介氏が,デンマークでデニッシュの製法を学び,日本で最初にデニッシュを紹介されたことに始まります。

 広島アンデルセンを訪問しました。

(広島アンデルセンと「デンマークフェア2024」のぼり)
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 店舗に「デンマークフェア2024」ののぼりが掲示されていました。

 「HYGGE(ヒュッゲ)」とは、デンマーク語で「人と人とのふれあいから生まれる、温かな居心地のよい雰囲気」を意味する言葉です。

 広島アンデルセン2階のアンデルセンキッチンで「デンマークビュッフェ」をいただきました。

 今回はデンマークフェアで提供されたデンマーク料理やお菓子を中心に御紹介したいと思います。


アンデルセンキッチンの「デンマークビュッフェ」

 「デンマークビュッフェ」では,通常の料理に加え,様々なデンマーク料理が用意されていました。

 大皿やチェーフィングディッシュに用意された料理を自由に皿に取っていただくビュッフェ形式ですが、一部の料理は注文を受けてから提供されるオーダー形式でした。

(オーダーメニュー)
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 オーダーメニューには、代表的なデンマーク料理「フレスケスタイ(クリスピーデニッシュポーク)」や「スメアブロ」も用意されていました。

 ひととおり料理を取り揃えてみました。

(デンマークビュッフェの料理)
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 自分で好みの料理を選び、テーブルに並べた瞬間、何とも言えない幸せを感じました。


デンマーク料理

 デンマークビュッフェでいただいたデンマーク料理をいくつか御紹介します。


【サーモングリル】

(サーモングリル・サーモンエスカベッシュ・ニシンのマリネ・豚バラ煮込み)
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 「サーモングリル」、「ニシンのマリネ」、「豚バラ煮込み」、そして「サーモンエスカベッシュ」のプレートです。

(サーモングリル)
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 「サーモングリル」は石窯でグリルしたサーモンにハーブバターソースをかけ、ピンクペッパー(粒コショウ)とディルが添えられた料理です。

 ハーブバターソースは酸味の効いたマヨネーズソースのような味わいで,サーモングリルとよく合いました。


【サーモンエスカベッシュ】

(サーモンエスカベッシュ)
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 「サーモンエスカベッシュ」は油で揚げたサーモンを酢漬けにした料理で、いわゆる「サーモンの南蛮漬け」です。


【ニシンのマリネ】

(ニシンのマリネ)
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 「ニシンのマリネ」はニシンを酢でしめた料理で、レモン、紫玉ねぎ、ケイパーが添えられています。

 弾力のある「しめ鯖」のような食感・味でした。


【豚バラ煮込み】

(豚バラ煮込み)
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 「豚バラ煮込み」の正式な料理名は「豚バラとリンゴとプルーンの赤ワイン煮込み」で、赤ワインで煮込んだ豚バラにスライスリンゴとプルーンが添えられた料理です。

 「豚バラ肉に甘いリンゴやプルーンは合うのか」と少し抵抗がありましたが、いただくと赤ワイン煮込みの甘みをうまく引き立て、肉の美味しさがより一層増しました。


【茹で海老・ハム・ローストビーフ】

(茹で海老・ミートボール・サムソーチーズ・ハム・ローストビーフ)
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 「茹で海老」、「ミートボール」、「サムソーチーズとスモークチーズ」、そして「ハム・ローストビーフ」のプレートです。

 「茹で海老」と「ハム・ローストビーフ」は、そのまま味わうだけでなく、オープンサンド(スメアブロ)の具としても美味しくいただけます。


【ミートボール】

(ミートボール)
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 「ミートボール」は、甘いリンゴンベリーソースを添えていただくと、リンゴンベリーの甘味と酸味が加わり、ソースに深いコクが出て、より美味しくいただけました。


【サムソーチーズ】

(サムソーチーズとスモークチーズ)
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 「サムソーチーズ」(写真上側)は、デンマークの代表的なチーズです。

 マイルドな味わいでクセがなく、なめらかで適度な弾力があるのが特徴です。

 「スモークチーズ」(写真下側)と一緒に美味しくいただきました。


【フレスケスタイと赤キャベツのピクルス】

(フレスケスタイと赤キャベツのピクルス・スメアブロ)
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 「フレスケスタイ(クリスピーデニッシュポーク)」と「赤キャベツのピクルス」、そして「スメアブロ」のプレートです。

(フレスケスタイと赤キャベツのピクルス)
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 フレスケスタイを注文すると,シェフが大きな肉の塊をその場で切り分けてくださいました。

 フレスケスタイは、豚肉の表面の皮の部分に「ハモの骨切り」のように包丁で細かく切り込みを入れ,その切れ目に塩・ローリエ・クローブなどの調味料やスパイスをすり込んで下味をつけ,オーブンで焼いた料理です。

 パリパリで塩気のある皮とジューシーな肉を一度に味わうことができます。

 酸味の効いた赤キャベツのピクルスと一緒にいただきました。

 デンマークでは,お祝いの日に食べられる特別な料理です。

(フレスケスタイ・赤キャベツのピクルス・リンゴンベリーソース)
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 フレスケスタイをおかわりし、今度は試しにリンゴンベリーソースを添えてみました。

 塩味の効いた豚肉に甘いソースが合うだろうと思ったのですが…実際は、それぞれの味が独立したままで、うまく調和しませんでした(笑)

 ミートボールや「ウインナーシュニッツェル(仔牛のカツレツ)」には、甘いベリーのソースが抜群に合うのですが…。

 甘い果物系のソースは揚げ物や濃厚なソースには合いますが、肉に直接合わせると果物系の甘味と酸味だけが際立ってしまうことがわかりました。


【パン】

 様々な料理と一緒にパンをいただきました。

(トレコンブロート・クルミパン)
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 奥のパンは「トレコンブロート」と呼ばれるゴマのパンで、パンの表面には白ゴマが、中には黒ゴマがたっぷりと使われています。

 手前のパンは「クルミパン」で、パン生地にクルミがザクザク入っていました。

(クルミパン・パンオノア・シリアルブレッド)
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 こちらは「クルミパン」(写真右側)、「パンオノア」(写真左手前)、「シリアルブレッド」(写真左奥)のプレートです。

 「パンオノア」は、見た目が黒っぽいこともあり、私はフランス語で「黒い(noir)パン」という意味だと思ったのですが、このパンの「ノア」は「クルミ(noix)」の意味だと後で知りました。

 仏和辞典で調べると、「黒いパン」の場合は(形容詞なので)定冠詞を付けず「パンノア(pain noir)」と表現されるようです。

 「クルミパン」と「パンオノア」どっちも用意されているから、こんなことになるのです(笑)


【スメアブロ】

(スメアブロ)
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 「スメアブロ」は、薄く切ったパンにバターを塗り,様々な具を彩りよく盛り付けたオープンサンドイッチです。

 ゆで卵と海老、スモークサーモン、フレスケスタイをのせたスメアブロをいただきました。

 パンは「ソフトカーネラグブロート(やわらかい種入りのライ麦パン)」と呼ばれる、ひまわりの種、亜麻仁、ゴマ、ライ麦粒などが入ったライ麦パンが使用されています。

 どっしりとした生地のパンなので,薄くスライスしたものでも,具材をしっかりと受け止めることができます。

 オープンサンドにすることで,それぞれの具材をより一層美味しくいただくことができました。

 デンマークでは「スメアブロパーティー」が催されるようですが、このパーティーは日本の「手巻き寿司パーティー」と似た楽しさや魅力があるように思います。


アンデルセンキッチンの人気・定番料理

 デンマーク料理のほかに,アンデルセンキッチンの人気・定番料理もいただきました。


【ローストビーフ】

(ローストビーフ)
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 広島アンデルセンの自家製ローストビーフとマッシュポテトです。

 ホースラディッシュを添えていただきました。


【高原黒牛のビーフシチュー】

(高原黒牛のビーフシチュー)
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 広島アンデルセンの人気メニューの1つ,ビーフシチューです。

 注文すると,鉄鍋に入った熱々のビーフシチューが供されました。

 牛肉のかたまりが、やわらかくトロトロに煮込まれていました。


【広島熟成どりのクラブハウスサンド】

(広島熟成どりのクラブハウスサンド)
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 やわらかい蒸し鶏,ベーコン,ゆで卵,トマト,レタス,レッドキャベツなどをパンで挟んだクラブハウスサンドです。

 パンは軽くトーストされていました。

 このクラブハウスサンドだけを延々と食べ続けても良いと思えるぐらい、クオリティと完成度の高いサンドイッチでした。


各種デザートとエルダーフラワーのジュレ


【デザートプレート】

(デザートプレート)
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 デザートとして、フルーツ(パイナップル、キウイ、グレープフルーツ、オレンジ)、マカロン、抹茶のケーキ、ベリーのケーキ、そして「エルダーフラワーのジュレ」をいただきました。

(エルダーフラワーのジュレ)
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 こちらは「エルダーフラワーのジュレ」です。

 エルダーフラワーは花の一種で,ライチやマスカットに似たさわやかでフルーティーな風味が特徴です。

 デンマークでは初夏に「フーゴ」と呼ばれる、エルダーフラワーシロップ入りの微炭酸ソフトドリンクが飲用されています。


 アンデルセンキッチンの定番メニューやデザートも含め,デンマークビュッフェをお腹いっぱい堪能しました。


カミラさんのキャロットケーキ

 広島アンデルセン1階のベーカリーショップで,デンマークフェア限定のキャロットケーキが販売されていたので購入しました。

(カミラさんのキャロットケーキ)
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 「カミラさんのキャロットケーキ」です。

 アンデルセン・デンマーク店でパティシェをされているカミラさん()が考案されたお菓子です。
 ※「デンマークフェア2024」のぼりに写っている人物

 キャロットケーキにクリームチーズフィリングが盛られ、オレンジピールが飾られています。

 ケーキ生地の中には、刻んだクルミが入っていました。

 褐色に焼き上げられたケーキで、キャロット(人参)のほのかな甘みのほか、深みのあるコクも感じられました。

 また、さわやかなシナモンの風味も楽しめました。

 キャロットケーキは今まであまり食べたことがなかったのですが、今回いただいたことで、その美味しさ・魅力に目覚めました。


 今年もアンデルセンの「デンマークフェア」でデンマーク料理を楽しむことが出来ました。


<関連サイト>
 「広島アンデルセン」(広島市中区本通7-1)

<関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」にある「デンマーク料理」を御参照ください。

<参考文献>
 「Denmark Fair 2024」アンデルセン広報誌

2024年6月16日 (日)

ひろしま国際プラザ「難民の故郷の味フェア」 -ミャンマーのオンタミンとチェッターヒン、ベトナムの鶏肉八角焼き、インドネシアのソトアヤム、スリランカのパリップサラーダヤ-

6月20日は世界難民の日

 毎年6月20日は「世界難民の日」(World Refugee Day:ワールド・リフュージー・デー)です。

 難民の保護と支援に対する世界的な関心を高めることを目的に,2000年12月4日の国連総会で決議されました。

 日本でも,全国各地で「世界難民の日」にちなんだイベントが行われています。

 今回は,そのイベントの1つ,「ひろしま国際プラザ」で開催された「難民の故郷の味フェア」について御紹介したいと思います。


ひろしま国際プラザ(HIP)

 広島県東広島市鏡山には,試験・研究機関が集積する「広島中央サイエンスパーク」があります。

(広島中央サイエンスパーク)
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 そしてこの「広島中央サイエンスパーク」内に「ひろしま国際プラザ」があります。

(ひろしま国際プラザ)
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 「ひろしま国際プラザ」(HIP:Hiroshima International Plaza)は,「広島県立広島国際協力センター(HICC:Hiroshima International Cooperation Center)」と「国際協力機構(JICA)中国センター」が一体化した複合施設です。

(ひろしま国際プラザ入口(レストラン「ラコルト」と宿泊棟))
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 手前の丸い建物がレストラン「ラコルト」,奥が海外からの研修員などが宿泊・滞在する宿泊棟です。

 私はJICA中国やHICCの職員の方々とインドネシアへ出張したり,このHIPで中国・四国地方各県の海外研修員の皆さんと交流事業を企画・実施したことがあるので,HIPには親しみと懐かしさを感じます。


難民の故郷の味フェア

 「難民の故郷の味フェア」は,「世界難民の日」にちなんだイベントで,今年度(2024年度)は6月11日から24日まで開催されています。

(難民の故郷の味フェア(2024年)チラシ)
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 JICA中国ウェブサイト(イベント)から引用

 ひろしま国際プラザの玄関に、レストラン「ラコルト」のメニューと「難民の故郷の味フェア」の案内がありました。

(レストラン「ラコルト」メニュー・難民の故郷の味フェア案内)
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 「MEAL For Refugees(ミール・フォー・リフュージーズ)」とは、食(ミール)を通じて難民(リフュージーズ)への理解を深める取組みのことです。

 フェア期間中は、「食」を通じて難民問題を知ることを目的に,難民を多く輩出している国の料理が毎日2品以上提供されます。

 レストラン「ラコルト」に入店しました。

 ランチは定額制(大人900円、小学生800円、3歳~小学生未満350円、3歳未満は無料)でバイキング形式となっています。

 世界各国の料理が日替わりで提供され,それにご飯・野菜カレー・フレッシュサラダ・ドリンク(コーヒー・紅茶・ウーロン茶・お茶)・デザートが付きます。

 レジで支払いを済ませ、セルフサービスで料理を皿に盛りました。

 それでは、今回味わった料理を御紹介します。

(レストランラコルトのランチ(2024年6月15日))
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 私が訪問した2024年6月15日のランチです。

 近くにおられた海外研修員(イスラム圏出身の女性)と私では、皿の盛り付け方が全く異なることに気付きました。

 私はライス、スープ、おかずを別々の皿に分け、定食のような盛り付けにしたのですが、その海外研修員の方は1枚の大皿にライスとおかずを一緒に盛り付け、ワンプレートランチにされていました。

 食文化の違いが、こういうシチュエーションでも無意識に出てくることを実感しました。

 それでは,それぞれの料理を御紹介します。


オンタミン(ミャンマー)

 最初に、ミャンマーの「オンタミン」を御紹介します。

(オンタミン(チェーフィングディッシュ))
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 ミャンマーの「ココナッツミルクご飯」です。

 ハラルフードにはネームプレートに緑色の「Halal」シールが貼られており、イスラム圏の人々へ配慮がなされています。

(オンタミン)
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 ココナッツミルクの香ばしさが楽しめる米料理です。

 わずかに油と塩分を感じ、ピラフやバターライスに似た料理でした。

 ちなみに「タミン」は「ご飯」という意味で、ミャンマーでは、日本語と同様に「食事」という意味でもこの単語が用いられています。


チェッターヒン(ミャンマー)

 続いて、同じミャンマーの「チェッターヒン」を御紹介します。

(チェッターヒン(大皿))
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 「チェッター」が鶏、「ヒン」がカレー(風の煮込み)で、ミャンマーの「チキンカレー」です。

(チェッターヒン)
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 鶏肉・玉ねぎ・トマトなどの具を炒め、ターメリックやチリペッパーなどのスパイスを合わせて煮込まれた料理でした。

 ピリ辛のカレー煮込みで、オンタミンと一緒にいただきました。

 イスラム圏の出身の女性研修員は、大皿にオンタミンを盛り、その上からチェッターヒンをかけて召し上がっていましたが、これが正解だと思います。


鶏肉の八角焼き(ベトナム)

 続いて、ベトナムの「鶏肉の八角焼き」を御紹介します。

(鶏肉の八角焼き(チェーフィングディッシュ))
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 スパイスの「八角(はっかく、スターアニス)」で香り付けしたグリルチキンです。

(鶏肉の八角焼き)
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 醤油ベースの甘辛なタレに、八角の甘くてさわやかな風味が加わった中華風の鶏料理でした。


ソトアヤム(インドネシア)

 続いて、インドネシアの「ソトアヤム」を御紹介します。

(ソトアヤム(お椀))
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 汁椀が用意されていたので、それに「ソトアヤム」(スープ)を注ぎ入れました。

 カレー風味の鶏肉汁で、具は鶏肉、玉ねぎ、人参などが入っていました。

 スープの色を確かめるため、おかわりをいただき、今度は皿に「ソトアヤム」を注ぎ入れてみました。

(ソトアヤム(皿))
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 ターメリックで黄色味を帯びたスープでした。

 実は私、メニュー表を見た時点では、すっかり「サテアヤム」(鶏の串焼き)だと思い込んでいたので、スープジャーに入った「ソトアヤム」を見た瞬間、「さて?」と少し戸惑いました(笑)

 ちなみに、インドネシア語で「ソト」は「スープ」、「サテ」は「串焼き」、「アヤム」は「鶏」という意味になります。

 「サテアヤム」はこれまで何度か味わったことがありますが、「ソトアヤム」は今回初めていただきました。


パリップサラーダヤ(スリランカ)

 続いて、スリランカの「パリップサラーダヤ」を御紹介します。

(パリップサラーダヤ)
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 「パリップ」は「レンズ豆」のことで、「パリップサラーダヤ」は「レンズ豆のサラダ」という意味です。

 レンズ豆のほか、刻んだパプリカや赤玉ねぎが入った、さっぱりとした冷製サラダでした。


カレーコロッケ・デザート(冷やし焼き芋)・コーヒー

 難民の故郷の料理とは別に、カレーコロッケや冷やし焼き芋もいただきました。

(鶏肉の八角焼き・カレーコロッケ・冷やし焼き芋)
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 カレーコロッケは揚げ立てで、サクサク・ホクホク感が楽しめました。

 冷やし焼き芋は、ねっとりとした食感でとても甘く、締めくくりのデザートとして最適でした。

 食後にコーヒーをいただきました。

(コーヒーと難民紹介文(フレディ・マーキュリー))
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 カウンターにイギリスのロックバンド「クイーン」のボーカリスト「フレディ・マーキュリー」の紹介文がありました。

 タンザニアのサンジバルで生まれ、その地に住んでいたことのあるフレディ・マーキュリーも難民の1人だったそうです。

 難民の苦労・辛さ・大変さについて考えつつ、コーヒーをいただきました。

(「MEAL For Refugees」の紹介と募金箱)
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 食事を済ませてレストランを後にする際,「MEAL For Refugees」の一環として募金箱が設置されていたので,わずかながら募金させていただきました。

 訪問した日は多くの研修員・留学生が食事しておられ,国際色豊かな環境での食事となりました。


ひろしま国際プラザ館内見学

 ランチを済ませた後、ひろしま国際プラザ館内を見学しました。

 「世界難民の日」にちなんで,世界の難民の状況を紹介するコーナーがありました。

(「難民って聞いたことありますか?」(紹介・展示コーナー))
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 「難民」という言葉を聞いたことはありますが、周りを海に囲まれた日本に住んでいると、どこか遠い国の出来事のような感じもします。

 だからこそ、日本でも意識啓発が必要なのでしょう。

(ミャンマーの子供たち)
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 自分の背丈ほどの収穫物を背負って仕事をしているミャンマーの子供たちの写真がありました。

 この子供たちの屈託のない笑顔を絶やすことのないよう、国際問題を1つ1つ解決していく必要があると感じました。

 また、玄関ロビーでは、JICA青年海外協力隊の平和活動が紹介されていました。

(ヒロシマから世界へ~協力隊員が伝える原爆~)
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 さらに同時開催で、「G7広島サミット」に出席された各国首脳・国際機関の長の芳名録も展示されていました。

(G7広島サミット・各国首脳・国際機関の長・芳名録)
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 皆さん横書きで書かれている中、飛び込みで参加されたウクライナのゼレンスキー大統領だけが思いっきり斜めに書いておられます(笑)(写真右下)

 岸田総理の芳名録もありました。

(G7広島サミット・岸田文雄総理大臣・芳名録)
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 なるほど、こんな字を書かれるのか(笑)

 JICAプラザの一角には、「世界のファッション紹介コーナー」がありました。

(世界のファッション紹介コーナー)
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 カラフルで様々な絵柄があるものですね。

 今回のひろしま国際プラザ訪問は、世界各国の料理を楽しみ、難民や世界平和など国際問題を考える良い機会となりました。


<関連サイト>
 「ひろしま国際プラザ(HIP)」(広島県東広島市鏡山3-3-1 広島中央サイエンスパーク内)
 「国際協力機構(JICA)中国センター」(広島県東広島市鏡山3-3-1)
 「難民支援協会(JAR)」(東京都千代田区西神田2-5-2 TASビル4階)
 「世界難民の日」(UNHCR(国連難民高等弁務官事務所))

<関連記事>
 「アルバニア料理の特徴と主な料理 -ペシュク・ネ・フーレ,トゥルリ・ペリメシュ,ミシュ・メ・ラク,ラバーニ-」(JICA関西「JICA関西食堂」)
 「ひろしま国際プラザ「難民の故郷の味フェア」 -チキンのレモン煮・麻婆豆腐・アメリカンドッグ・ブロッコリーライス・チルカーノ・アスウィットサラダ・ケニア紅茶-

<参考文献>
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」学研プラス

2024年5月12日 (日)

美術館とカフェ・レストランの魅力9 -ひろしま美術館「フィンランドのライフスタイル」-フィンランド風ミートボール・リンゴンベリーのクランブルタルト・小海老のオープンサンド)-

ひろしま美術館特別展「フィンランドのライフスタイル」

 広島市中区基町にある「ひろしま美術館」で特別展「フィンランドのライフスタイル」(2024年4月6日~6月2日)が開催されています。

(ひろしま美術館特別展「フィンランドのライフスタイル」チラシ)
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 (ひろしま美術館特別展「フィンランドのライフスタイル」チラシを引用)

 この特別展では、1930年代から現在にかけてフィンランドが育んだデザイナーが制作した家具、陶器、ガラス製品、テキスタイルなどが展示されており、生活を豊かに彩るフィンランドのデザインと、自然に育まれたその暮らしについて紹介されています。

 「ひろしま美術館」を訪問しました。

 エントランスには,特別展「フィンランドのライフスタイル」の案内がありました。

(ひろしま美術館・特別展案内)
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 このエントランスの一角に、今回の特別展にちなんだフィンランドの料理・お菓子の案内看板がありました。

(カフェ・ジャルダン掲示板(特別メニュー案内))
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 「フィンランド風ミートボール」、「小海老のオープンサンド」、「リンゴンベリーのクランブルタルト」の3種が提供されています。

 はやる気持ちを抑えながら、正面玄関へと向かいました。

(ひろしま美術館正面玄関・「フィンランドのライフスタイル」案内)
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 ミュージアムショップには、特別展の図録や絵葉書、フィンランドの様々なグッズ(ムーミン・マリメッコ・イッタラなど)が販売されていました。


フィンランド風ミートボール(リハプッラ)

 ひろしま美術館内の「カフェ・ジャルダン」に伺いました。

 庭が眺められる窓側の席に座り、しばらくメニュー表を見た後、フィンランド風ミートボールとリンゴンベリーのクランブルタルト(ドリンクセット)を注文しました。

 料理が運ばれてくるのを待っていると、やたらと私のそばに人が近づいてきました。

 何事かと周りを見渡すと、私が座る席の窓越しにメニュー表が置かれており、外からそのメニュー表を眺めて(お店を利用するかどうか)思案されている人々でした。

(ひろしま美術館中庭とメニュー表)
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 お店で注目度ナンバーワンの席に座ったようです(笑)

 やがて待望の料理が運ばれてきました。

(フィンランド風ミートボール・パン・スープ)
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 フィンランド風ミートボール(リハプッラ)、パン、スープのセットです。

 パンは「アンデルセン」の3種類のパン(食パン・セサミパン・バゲット)、スープはミネストローネが用意されました。

(フィンランド風ミートボール)
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 フィンランド風ミートボールには、デミグラスソースに似たソースがかかり、マッシュポテト、キュウリのピクルス、リンゴンベリー(こけもも)のジャムが添えられていました。

 ミートボールにリンゴンベリーのジャムが添えられているのが、この料理の一番の特徴です。

 フィンランドは国土の7割以上が森で覆われていることもあり,リンゴンベリーやビルベリーなどのベリーが豊富に採れるのです。

 お菓子だけでなく、肉料理にも甘いベリーソースを合わせるのがフィンランド流なのですが、これが意外とよく合うのです。

 ミートボールに甘酸っぱいリンゴンベリーのジャムを付けたり、酸味の効いたキュウリのピクルスをのせたりしながらいただくと、より一層深い味わいとなり、美味しくいただけました。


リンゴンベリーのクランブルタルト

 デザートとして、リンゴンベリーのクランブルタルトをいただきました。

(リンゴンベリーのクランブルタルト)
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 タルト生地にカスタードクリームとベリー(リンゴンベリーとラズベリー)の層があり、表面にはクランブルがのせられていました。

 リンゴンベリーのソース、アイスクリーム、イチゴ、ミントが添えられています。

 しっとりとしたタルト生地、甘酸っぱいベリー、ホロホロ・サクサクのクランブルと、様々な味・食感が一度に楽しめ、それらが見事に調和しました。

 その後、庭を眺めながらカモミールティーをいただき、食後のひとときを楽しみました。


小海老のオープンサンド(トースト・スカーゲン)

 それから1週間後、再び「カフェ・ジャルダン」に伺いました。

 もう1つの特別メニュー「小海老のオープンサンド(トースト・スカーゲン)」をいただくためです。

 席に着き、今回は迷わず「小海老のオープンサンド」(ドリンクセット)を注文しました。

 しばらくして料理とドリンクが運ばれてきました。

(小海老のオープンサンドとコーヒー)
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 見た目の美しさに感動しました。

 パンに小海老と野菜がたっぷりのせられたオープンサンドです。

(小海老のオープンサンド)
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 土台のパンは、穀物(ひまわりの種、亜麻仁、ゴマ、ライ麦粒)がたっぷり入った「ソフトカーネラグブロート」というパンです。

 みっしりと詰まった生地で、オープンサンドに適しています。

 そのパンにバターが塗られ、その上に小海老とルッコラなどの野菜(ベビーリーフ)がのせられています。

 さらに、長細く刻んだビーツ、とびっこ(魚卵)、ディルが飾られ、彩り豊かなオープンサンドに仕上げられています。

 添えられたレモンを絞り、オープンサンドにふりかけていただきました。

 パンとともに、たっぷりの海老と野菜を一度に味わう贅沢感・満足感を味わえました。


 食後にコーヒーを飲みながら、「全体的に店内の照明が控えめなので、料理の写真が若干暗くなってしまうよな…」と思いました。

 その後、しばらく庭を眺めていて、ふと店内の照明が落とされている理由がわかりました。

 店内から眺める庭、それ自体を1つのアート作品ととらえた時、店内から美しく観賞するためには店内(周囲)の照明を落とす必要があるのです。

(カフェ・ジャルダンから眺めた庭)
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 このように理解すると、店名を「カフェ・ジャルダン(庭)」と命名されている理由もわかります。

 このお店は、パリのオープンカフェのように外のテラスで食事することもできるのですが、外のテラスでいただくと、より身近に庭(ジャルダン)を感じながらカフェタイムを楽しめそうです。


<関連リンク>
 「ひろしま美術館」(広島市中区基町3-2)
 「アンデルセン」(広島アンデルセン・広島市中区本通7-1 ほか)

<関連記事>
 「美術館とカフェ・レストランの魅力1 -ジャルダンプレート・ピスタチオのムース・黒ねこクッキー・白磁彩菓・トンバイ有田-
 「美術館とカフェ・レストランの魅力6 -ひろしま美術館特別展と印象派・バルビゾン派,2種のタルティーヌとペーシュメルバ-
 フィンランド料理については、「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」に掲載している「フィンランド料理」の記事を御覧ください。

2024年4月 7日 (日)

ポーランド料理の特徴と主な料理2 -ラツーシュキ・プラツキ・トファルク・トマト入りスクランブルエッグ・キェウバサ・シャルロトカ-

ポーランドの朝ごはんプレート

 東京・外苑前の「World Breakfast Allday」(ワールド・ブレックファスト・オールデイ)を訪問しました。

 2024年2月・3月のスペシャルメニューは、「ポーランドの朝ごはん」です。

(ポーランドの朝ごはんプレート)
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 今回は、この「ポーランドの朝ごはん」を御紹介します。


【ラツーシュキ】

 ポーランドの代表的な果物としてリンゴが挙げられます。

 「ラツーシュキ」は、そのリンゴが入った甘いパンケーキです。

(ラツーシュキ)
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 表面はサクサク、中はフワフワのパンケーキです。

 パンケーキの中には、角切りのリンゴが入っており、おやつ感覚でいただきました。


【プラツキ】

 ポーランドの代表的な食材の1つにジャガイモがあります。

 「プラツキ」は、すりおろしたジャガイモをフライパンで焼いたパンケーキです。

(プラツキ)
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 ハッシュドポテトのようなザクザク感が楽しめました。

 塩気と酸味のあるサワークリームを添えると、より一層美味しくいただけました。


【トファルク】

 「トファルク」は、生乳を軽く発酵させて作られる、酸味の効いた白いフレッシュチーズ(カッテージチーズ)です。

 今回は、ラディッシュや白ネギを混ぜ、パンにのせた状態で提供されました。

(トファルクとパン)
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 軽く黒コショウを振り、ディルが添えられています。

 さっぱりとして、ほのかに塩気と酸味が感じられるフレッシュチーズで、野菜やパンとの相性も抜群でした。


【トマト入りスクランブルエッグ】

 プレートにトマト入りのスクランブルエッグがありました。

(トマト入りスクランブルエッグ)
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 トマトの旨味が加わった、トロトロのスクランブルエッグでした。


【キェウバサ】

 「キェウバサ」は、ポーランド語で「ソーセージ」を意味します。

(キェウバサ)
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 今回は、ソフトな食感の粗挽きソーセージが提供されました。

 ソーセージと言えばドイツをイメージしますが、ポーランドでも数多くのソーセージが食べられています。


シャルロトカ

 食後のデザートとして、「シャルロトカ」を注文しました。

 「シャルロトカ」は、ポーランドのリンゴケーキです。

(シャルロトカ)
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 バニラアイスとミントが添えられています。

 表面はホロホロのクランブル(※)、中はリンゴを褐色になるまで煮詰めたコンポート(リンゴジャム)、底はサクサクのタルト生地で、アップルクランブルタルトに似たお菓子でした。
 ※小麦粉、バター、砂糖などをそぼろ状に混ぜ合わせた生地。シュトロイゼル。

 ポーランドは「セルニク(セルニック)」と呼ばれるチーズケーキも有名で、セルニクとシャルロトカがポーランドの代表的なケーキとなっています。


<関連リンク>
 「World Breakfast Allday」(外苑前店・東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F ほか)

<関連記事>
 「ポーランド料理の特徴と主な料理1 -ピエロギ・ビゴス風スープ・チョコとベリーのケーキ,食の多様化と食堂車-

<参考文献>
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」(東京外国語大学出版会)

2024年1月14日 (日)

国立科学博物館特別展「和食」-日本にある料理と「和食」の違い・「和食」とはどんな料理なのか-

国立科学博物館特別展「和食」

 東京・上野公園にある国立科学博物館で、「特別展「和食」-日本の自然、人々の知恵-」が開催されています。(2023年10月28日~2024年2月25日)

(国立科学博物館特別展「和食」パンフレット)
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 私は「和食の日」にあたる2023年11月24日(11(いい)24(にほんしょく)の日)に国立科学博物館を訪問しました。

(国立科学博物館)
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 特別展「和食」は、国立科学博物館の地球館・特別展示室で開催されています。

(特別展「和食」・会場MAP)
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 こちらは会場マップです。

 「「和食」とは?」という問いかけから始まり、「日本列島の食材の紹介」、「和食の成り立ち」、「和食の真善美」、「わたしの和食」、「和食のこれから」(特設ショップ)という構成となっています。


特別展「和食」会場の様子

 展示会場では、和食に関する様々な事例が紹介されています。

 その一部を御紹介したいと思います。


【和食が育む食材】

 食材の展示コーナーに、和食の原点となる「日本の水」の紹介コーナーがありました。

 そこでは「硬水(こうすい)」と「軟水(なんすい)」(※)について触れられており、日本は総じて「軟水」の国だと説明されていました。
 ※ミネラル成分(カルシウム・マグネシウム)が多く含まれる水を「硬水」、少ない水を「軟水」といいます。

 各都道府県別の水道水(原水)の硬度マップを見ると、沖縄と熊本、そして関東南部の硬度が高く、逆に山形、宮城、愛知、広島の硬度が低いことがわかりました。

 硬度が高い地域は、石灰岩などを多く含む地質(琉球石灰岩、阿蘇火山による溶結凝灰岩、関東ローム層など)が影響していますが、国土が狭く降雨量が多い日本では、総じて軟水地域が多いのが特徴です。

 西条(広島)は、灘(兵庫)や伏見(京都)と並ぶ「日本三大酒処」として有名ですが、それは三浦仙三郎さんが広島で初めて製造が難しいとされる軟水を使った酒造に成功し、その技術が全国に伝えられたからです。

 「なぜ広島は全国指折りの軟水地域なのか」と思いつつ会場を歩いていると、「あっ、これか」とわかる展示がありました。

(花崗岩と塊状石灰岩)
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 花崗岩(かこうがん)と塊状石灰岩(かいじょうせっかいがん)の展示なのですが、花崗岩は「水の硬度を上げにくい地質試料」として、塊状石灰岩は「水の硬度を上げる地質試料」として紹介されていました。

 広島はこの花崗岩が多いのです。

 和食料理人・平野 寿将(ひらの ひさま)さんが、だしをとるのに最適な水(軟水)を求めて、広島に来られた理由もわかりました。

 キノコのコーナーでは、興味深い標本が展示されていました。

(マツタケとバカマツタケ)
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 バカマツタケって…(笑)

 マツタケよりもこのバカマツタケを食べてみたいです。

 野菜のコーナーでは、次のような問いかけがありました。

 「ジャガイモのどこを食べてる?」
 「サツマイモのどこを食べてる?」

 ジャガイモは「茎」、サツマイモは「根」を食べているそうです。

 ジャガイモは土中の茎の先端に栄養を蓄えて太くなったもの、サツマイモは根が栄養を蓄えて太くなったものなのだそうです。

 ジャガイモのくぼみにあるのは芽で、サツマイモのくぼみから生えているのは細い根であることがその証拠です。

 栽培する際、ジャガイモは種芋を植え、サツマイモは茎を植えるのも、結局同じ茎の部分を植えているということなのですね。

 さらに歩くと、ダイコンが勢ぞろいしていました。

(多彩な地ダイコン)
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 ちなみに、ダイコンは地上に出た部分(青い部分)は「胚軸(はいじく)」、地下の部分(白い部分)は「根」と分けられるようです。

 魚のコーナーでは、マグロの仲間が展示されていました。

(マグロの仲間)
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 海の中にいるような気分になりました。

 続いて「発酵」に関する展示コーナーがありました。

(日本人が飼いならしたカビ コウジカビ)
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 コウジカビ(コウジ菌)は、遺伝子が部分的に壊れ、固体に生えると機能し、野外ではめったに見つからず、日本人が麹をつくる目的で飼いならしたものとのことです。

 コウジカビを使って作られる、日本酒、醤油、味噌などの原材料や製造工程の展示もありました。

(しょうゆの分類)
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 写真左側、色の濃い方から、再仕込みしょうゆ、たまりしょうゆ、濃口しょうゆ、淡口しょうゆ、白しょうゆです。

 「だしの科学」コーナーでは、「うま味」の資料として、池田菊苗博士が昆布から抽出したグルタミン酸(具留多味酸)が展示されていました。

(第一号抽出具留多味酸)
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 「うま味」は池田博士が命名した味覚の分類上の表現、「旨味」は美味しさの表現と区別されています。


【和食の成り立ち】

 和食の成り立ち(歴史)のコーナーでは、各時代の様々な料理が展示されていました。

(織田信長の饗応膳)
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 こちらは1582(天正10)年5月に、織田信長が安土城で徳川家康をもてなした時の料理を再現したものです。

 5つの膳で構成されている本膳料理です。

 当時は鶴(つる)、鴫(しぎ)、白鳥などの野鳥や、鮒(ふな)、鯉(こい)のような川魚がごちそうだったようです。

 江戸時代の屋台を再現したコーナーがありました。

(江戸時代の屋台(再現))
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 そば、寿司、天ぷらの屋台が展示されていました。

(江戸時代の寿司(再現))
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 寿司の屋台では、アナゴ、アユ、エビ、卵巻き、コハダ、白魚、マグロの握り寿司が紹介されていました。

 さらに時代は幕末へと進みます。

(ペリー提督の饗応膳)
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 こちらは幕末の1854(嘉永7)年、2度目の来日となるペリーを横浜の応接所でもてなした時の料理を再現したものです。

 江戸の料理屋「百川(ももかわ)」が料理を請け負いました。

 吸い物、刺身、煮物、なます…と、まさに当時の日本の贅を尽くした料理が用意されたようです。

 これらの料理について、アメリカ人のペリーがどう受け止めたのか興味深いところです。

 アメリカの民謡「ヤンキードゥードゥル」(※)を流しながら浦賀に登場したペリーと当時の日本では、文化の差がかなりあったことでしょうから。
 ※日本では「アルプス一万尺」の歌として親しまれています。

 明治以降、日本独自に発展した洋食も紹介されていました。

(ライスカレーなど洋食の紹介)
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 ライスの山のくぼみにカレーが注がれているライスカレーに、ひときわ興味を持ちました。


「和食」特別展記念料理・デザート

 特別展の展示をひととおり見学し、特設ショップで買い物をした後、地球館中2階のレストラン「ムーセイオン」でランチをいただきました。

 特別展「和食」の開催期間中は、記念メニューも用意されています。

(「和食」特別展記念メニュー(料理))
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 料理は「牛タンシチュー赤味噌仕立て 生海苔バターソース」と「イクラと紅鮭の和食丼 ばら海苔を添えて」の2種類です。

 バターソースに生海苔が使われていたり、サーモンではなく紅鮭(本当の親子丼!)が使われているところが大きな魅力です。

 どちらにするかとても悩ましいところですが、牛タンシチューを注文しました。

(牛タンシチュー・玉ねぎスープ・ライス)
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 玉ねぎスープとライス(又はパン)も付いています。

(牛タンシチュー赤味噌仕立て 生海苔バターソース)
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 赤味噌仕立てのデミグラスソースでじっくり煮込まれた厚切りの牛タンに、生海苔入りのバターソースが添えられています。

 オクラ、アスパラガス、ズッキーニなどの野菜も彩り良く盛り付けられていました。

 デミグラスソースに赤味噌を加えることで、コクと深みのあるシチューに仕上げられていました。

 また、牛タンに生海苔のバターソースを添えていただくと、さわやかな海苔の風味が口の中に広がり、味に変化と美味しさが加わりました。

 ライスとの相性も抜群でした。

 続いてデザートをいただきました。

 デザートも記念メニューが用意されています。

(「和食」特別展記念メニュー(デザート))
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 盆栽仕立ての和風ムースです。

(白あん黒蜜のムース 盆栽仕立て)
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 南天の葉やエディブルフラワーが添えられ、盆栽のように仕上げられています。

 バニラアイス、焼きさつまいも、抹茶わらびもち、黒蜜ソース、白あんムース、黒まめ、ワッフルコーンが使われています。

 ワッフルコーンの中にはイチゴが隠されています。

(ワッフルコーンとイチゴ)
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 和のテイストを生かしたデザートで、ボリュームのある洋食をいただいた後でもすんなりといただくことができました。


朝日新聞記念号外「特別展和食」と「科博寄席 on 和食の日」

 館内では、朝日新聞の記念号外も配布されています。

(朝日新聞記念号外「特別展和食」)
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 マンガ「サザエさん」の新聞記事も掲載されています。

(新聞記事「磯野家にみる食卓の変化」)
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 「サザエさん」は戦後から現代までの食卓の変化がマンガに反映されており、こうした視点から「サザエさん」を読むのも面白いと思います。

 午後は日本館2階の講堂で、「和食の日」にちなんだ寄席や手品を楽しみました。

(「科博寄席 on 和食の日」パンフレット)
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(「科博寄席 on 和食の日」案内と参加整理券)
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 三遊亭右左喜(さんゆうてい うさぎ)さんの「正しいラーメンの食べ方」と、三遊亭遊馬(さんゆうてい ゆうば)さんの「百川(ももかわ)」、そしてきょうこさんの「和妻(わづま)」(日本古来の手品)を観賞しました。


日本にある料理と「和食」の違い・「和食」とはどんな料理なのか

 2013年に「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを機に、和食は国内のみならず、世界からも注目される食文化となりました。

 その一方で、今の日本では、全国の食材・料理のみならず、世界各国の食材・料理まで入手し、味わえるようになっています。

 では、日本にある料理と「和食」の違いは何なのでしょうか。

 そして、そもそも「和食」とはどんな料理をいうのでしょうか。

 今回の特別展「和食」は科学的・歴史的な観点から和食にアプローチする展覧会ですが、この問いかけに対し、明確な回答が導き出されているわけではありません。

 世界各国から様々な料理を取り入れ、自国の料理に組み入れてきた日本は、伝統食である和食と、それ以外の料理を線引きすることがとても難しいからです。

 どこまでを「和食」ととらえるかは人によってまちまちで、主催者はその傾向を把握するためのアンケートまで実施されています。

(あなたにとっての「和食」アンケート回答結果(中国・四国地方))
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 すき焼き、あんパン、オムライス、照り焼きバーガー、焼き餃子などはいずれも日本の国民食ですが、「和食」だと思うかどうかは別であることがわかります。

 また、しょうゆ、味噌、うどんなど、多くの人が「和食」だと思う食べ物であっても、その原材料の多くが海外からの輸入品というケースも多いのです。

 一般的な「和食」の定義として、次のようなものが挙げられます。
・明治時代以降の「洋食」や「中華」に対する言葉
・日本人の伝統的な食文化
・油脂や肉食を排除した食文化
・米飯を中心とした食事(ご飯と副食(汁・おかず・漬物)で構成される食事)体系
・食材の持ち味を重視する料理(「料理しない料理」・「引き算の料理」)
・コウジカビ(コウジ菌)から展開する発酵食文化(しょうゆ、味噌、日本酒など)
・甘味、酸味、塩味、苦味に次ぐ第五の味「うま味」を重視する食文化

 そもそも「洋食」ですら、海外の料理を日本に取り入れ、日本人向けにアレンジされた料理なのですから、「和食」と呼ぶか「洋食」と呼ぶか「中華」と呼ぶか本国の「○○料理」と呼ぶかはとても難しく、人によって意見が分かれるのです。

 室町時代にポルトガルから伝来した「天ぷら」は「和食」だと思う人が多いのも、歴史が作り上げた1つの結果だと思います。

 人それぞれの思いが積み重なり、「和食」のイメージが形成されているのでしょう。

 「和食」とはどんな料理をいうのか、御興味のある方は特別展「和食」(今後、山形、宮城、長野、愛知、京都、熊本へ巡回予定)でヒントを探してみてください。


<関連サイト>
 公式ウェブサイト「国立科学博物館特別展 和食
 「国立科学博物館」(東京都台東区上野公園7-20)

<関連記事>
 「日本料理の特徴と主な料理1 -日本料理は引き算の文化-
 「日本料理の特徴と主な料理2 -料理人 平野寿将さんから熟成魚の魅力を学ぶ-
 「安芸津のじゃがいもと肉じゃが・杜氏と広島の日本酒 -広島県東広島市安芸津町-

<参考文献>
 公式ガイドブック「特別展 和食 日本の自然、人々の知恵」朝日新聞社
 朝日新聞記念号外「特別展和食」
 「時空をこえる本の旅50選」東洋文庫

2023年11月26日 (日)

モロッコ料理の特徴と主な料理 -バグリール・ムサンメン・ベルベルオムレツ・モロカンサラダ・ハリラ-

モロッコの食文化

 モロッコはアフリカ大陸の北西部に位置する国で、ジブラルタル海峡をはさんでスペインと向き合っています。

 首都はラバトで、アラブ人やベルベル人などの民族で構成されています。

 そして、モロッコ最大の商業・金融都市はカサブランカ(「白い家」という意味)です。

 モロッコ、アルジェリア、チュニジアの3か国は地理的区分で「マグレブ」とよばれ、これらの国々は食文化もよく似ています。

 このマグレブの代表料理が粒状のパスタ「クスクス」です。

 クスクスはアラブ人がやってくる前から存在したベルベル人の伝統料理で、専用の蒸し器で蒸され、野菜・肉・魚などのシチューをかけて食べられます。

 モロッコはそのマグレブにおける文化の中心地として栄え、食文化の分野でも、ベルベル人の伝統的な料理を基盤に、アラブの食文化が融合して発展してきました。

 代表的なモロッコ料理は、クスクスのほか、バステーラ(又はバスティラ、パイ料理)、タジン(三角錐の形をしたタジン鍋を使った煮込み料理)、カフタ(又はケフタ、挽き肉料理)、メシュイ(羊の丸焼き)、ハリラなどです。

 主な食材として、肉は羊・鶏・ラクダなど、野菜はトマト・パプリカ・豆類・玉ねぎ・オリーブなど、香辛料・ハーブは唐辛子・シナモン・クミン・サフラン・ターメリック・ミントなど、それにドライフルーツ(ナツメヤシ・ブドウなど)やナッツ(アーモンド)などが挙げられます。


モロッコの朝ごはんプレート


 東京・外苑前の「World Breakfast Allday」(ワールド・ブレックファスト・オールデイ)を訪問しました。

 2023年10月・11月のスペシャルメニューは,「モロッコの朝ごはん」です。

(モロッコの朝ごはんプレート)
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 今回は,この「モロッコの朝ごはん」を御紹介します。


【バグリール】

 バグリールは、セモリナ粉で作られた白いパンケーキです。

(バグリール)
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 甘いシロップと粉砂糖がかけられており、お菓子の感覚でいただきました。

 フワフワでもちもちした食感のパンケーキでした。


【ムサンメン】

 ムサンメンは層になるように折り重ねたクレープです。

(ムサンメン)
Photo_20231113155502

 バグリールと同じセモリナ粉が使われているため、生地がもちもちしていますが、ムサンメンはクレープやインドのナンのように薄く平べったい形をしています。

 こちらも甘いシロップと粉砂糖がかけられており、そのままお菓子の感覚で食べたり、おかずと一緒に食べたりと、様々な方法でいただきました。


【ベルベルオムレツ】

 ベルベルオムレツは、トマトと玉ねぎを煮込み、上から卵を落としたモロッコのオムレツです。

(ベルベルオムレツ)
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 トマトと玉ねぎがよく煮込まれてトロトロになっており、それに卵の黄身や白身を添えていただきました。

 クミンや唐辛子などのスパイスもほどよく効いていました。

 そのままいただいたり、ムサンメンと一緒にいただいたりしました。

 昔からベルベル人に愛され続けてきた卵料理です。


【モロカンサラダ】

 モロカンサラダは、トマト・キュウリ・玉ねぎ・オリーブなどを細かく刻み、クミンやコショウなどのスパイスを加えて、オリーブオイルで和えたサラダです。

(モロカンサラダ)
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 様々な種類の生野菜を一度に美味しく食べられ、パンやおかずにも合わせやすい万能サラダです。


ハリラ

 単品で「ハリラ」を注文しました。

 「ハリラ」は、豆や肉などを具にしたトマトベースのスープに、極細のショートパスタを加えて煮込んだスープです。

(ハリラ)
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 穏やかな味で、この一皿で様々な具が一度に摂取できるため、ラマダン(断食)期間の断食明けにもよく食べられます。

 皿に添えられたレモンをキュッと絞ってスープに加えると、酸味の効いた口当たりの軽いスープとなりました。


まとめ

 モロッコと言えば、私はタコが思い浮かびます。

 魚屋さんや鮮魚コーナーで販売されているタコは、モロッコ産かモーリタニア産が多いからです。

 あと、最近、産直市や産直野菜コーナーなどで「モロッコインゲン」をよく見かけるようになりました。

 ちょっとした煮物や炒め物を作る時に重宝する野菜ですが、この「モロッコ」はモロッコが原産という意味ではなく、どうやら日本の種苗会社のネーミングのようです。

 いずれにせよ、モロッコは日本と親しみ深い国であると言えるでしょう。


<関連リンク>
 「World Breakfast Allday」(外苑前店・東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F ほか)

<関連記事>
 「マグレブ料理の特徴と主な料理 -ハリラ・クスクス・チキンの煮込み・ヒヨコ豆の煮込み・モロッコにんじん-

<参考文献>
 「モロッコ」(「World Breakfast Allday」リーフレット)
 石毛直道「世界の食べもの 食の文化地理」講談社学術文庫
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」(学研プラス)
 「大使館の食卓 おうちで簡単レシピ集」(産経新聞出版)

2023年9月10日 (日)

メキシコ料理の特徴と主な料理 -ウェボスディボルシアドス・トルティーヤ・トマティーヨ・フリホーレス・ワカモレ・チョリソ・チチャロン-

メキシコの食文化

 メキシコ料理は、マヤ文明やアステカ文明など先住民から受け継がれてきた食文化と、スペインの征服によって持ち込まれたスペインの食文化が融合して形成されています。

 メキシコはトウモロコシ、トマト、アボカド、ピーマン、唐辛子などの食材の原産地で、これらの食材はスペインを通じて世界に広まりました。

 メキシコの代表的な料理として、トウモロコシを使ったパンや料理(「トルティーヤ」(トウモロコシの平焼きパン)、「タコス」(トルティーヤに肉や刻み野菜をはさんだ料理)、「エンチラーダ」(トルティーヤに炒めた肉や野菜を詰め、ソースやチーズをかけてオーブンで焼いた料理、「ポソレ」(豚肉とトウモロコシのスープ)など)、サボテンを使った料理、豆・唐辛子・トマトなどを使ったスープ、トマト・玉ねぎ・唐辛子などで作られる調味料「サルサ」、カカオや唐辛子を砕いて作られる「モレ(ソース)」、アボカドのディップ「ワカモレ」などがあります。

 お酒では、リュウゼツランから作られる蒸留酒(テキーラ・メスカルなど)やビール(コロナ・エキストラなど)が有名です。


メキシコの朝ごはんプレート

 東京・外苑前の「World Breakfast Allday」(ワールド・ブレックファスト・オールデイ)を訪問しました。

 2023年8月・9月のスペシャルメニューは,「メキシコの朝ごはん」です。

 今回は,この「メキシコの朝ごはん」を御紹介します。


【ウェボス・ディボルシアドス】

 今回のプレートのメイン料理は「ウェボス・ディボルシアドス」です。

(ウェボス・ディボルシアドス)
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 お店のリーフレットによると、「ウェボス・ディボルシアドス」は、メキシコの朝ごはんの定番「ウェボス・ランチェロス(※)」の一種で、直訳すると「離婚した卵」という意味を持つ料理なのだそうです。
 ※トルティーヤに卵と赤いサルサ(サルサ・ランチェラ)をかけた料理。「牧場の卵」という意味。

 トルティーヤに赤いサルサと緑のサルサがかけられているのが特徴です。

 日本の赤いきつねと緑のたぬきを一度に味わうような贅沢感があります(笑)

 赤と緑はメキシコの国旗にも採用されている、メキシコを象徴する色でもあります。

 写真左側はトウモロコシを原料とした濃い紫色のトルティーヤと赤いサルサの組合せ、写真右側はトウモロコシ粉や小麦粉を原料とした白いトルティーヤと緑のサルサの組合せです。

 赤いサルサ(サルサ・ロハ)はトマト・玉ねぎ・ニンニク・唐辛子などで、緑のサルサ(サルサ・ベルデ)はトマティーヨ(ほおずきトマト)・玉ねぎ・ニンニク・緑色の唐辛子などで作られています。

(トマティーヨ)
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(「World Breakfast Allday Mexico」紹介リーフレットから一部抜粋・引用)

 「トマティーヨ」は、見た目も呼び名も緑色のトマトを連想させますが、食用ホオズキの一種です。

 半熟卵の黄身をくずし、トルティーヤやサルサにまぶしていただきました。

(ウェボス・ディボルシアドス(目玉焼きの黄身をくずした様子))
Photo_20230910111601

 トルティーヤの生地がサルサや卵でやわらかくなっており、フランスのガレットに似た料理だと思いました。

 プレートの中央には、2種類のトルティーヤの仲を取り持つように「フリホーレス」(塩茹でしたいんげん豆を炒めたペースト状の料理)がかけられ、その上に2種類のトルティーヤチップスが飾られていました。

(フリホーレスとトルティーヤチップス)
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 フリホーレスは、粘りとコクがあるいんげん豆のペーストで、トルティーヤチップスに添えたり、サルサと共にトルティーヤにまぶしたりしていただきました。

 また、プレート上部にはアボカドのディップ「ワカモレ」や挽き肉と唐辛子を炒めた「チョリソ」、「赤玉ねぎのピクルス」が盛り付けられており、こちらもトルティーヤやトルティーヤチップスと一緒にいただきました。

(ワカモレ)
Photo_20230910112601

 こちらは「ワカモレ」です。

 アボカドに細かく刻んだトマトや玉ねぎなどを加え、ライム(レモン)と塩で味を調えたディップ(浸しソース)で、アボカドの濃厚なコクと旨味を楽しむことができました。


チチャロン

 単品で「チチャロン」を注文しました。

 「チチャロン」は、豚皮を油でカリカリに揚げた「豚皮せんべい」です。

 スペイン発祥のスナックなので、メキシコだけでなく、ペルーやフィリピンにも似た名称のスナックが存在します。

(チチャロン)
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 お皿にドサッと大量に盛られていました。

 中心部はトマト・玉ねぎ・ハーブ・唐辛子などを細かく刻み、ビネガー(酢)をベースに調味したサルサです。

 一瞬、「油で揚げた豚皮をこんなにたくさん食べられるだろうか」と思いましたが、豚皮の存在を感じさせないほど軽く、中国・東南アジアの海老せんべいのようなパリッとした食感で、スナック菓子感覚でいただけました。

 ビネガーベースのサルサを添えると、さっぱりとしてより一層美味しくいただけました。


 今回いただいたメキシコ料理は、いずれも酸味や辛さが生かされており、サルサやディップを添えることにより、多様な味を楽しむこともできました。

 「ビバ メキシコ!」(メキシコ万歳!)


<関連リンク>
 「World Breakfast Allday」(外苑前店・東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F ほか)

<参考文献>
 「メキシコ」(「World Breakfast Allday」リーフレット)
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」(学研プラス)
 「大使館の食卓 おうちで簡単レシピ集」(産経新聞出版)

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