こども食堂について理解を深める -「夕焼けぽっぽ食堂」(広島市中区)での食事体験-
「こども食堂」については、最近よく話題になっており、街中で見かけることも多くなりましたが、実際にどんな思いで、どんな活動をされているかについては、「こども食堂」の運営者・参加者でないとわかりづらい状況にあるように思います。
そこで今回は、実際に提供された「こども食堂」の食事から、皆さんと一緒に「こども食堂」の理解・認識を深めていけたらと思います。
最初で最後の「夕焼けぽっぽ食堂」
2025年5月30日、広島市中区猫屋町の「本川公園集会所」で最後の「夕焼けぽっぽ食堂」が開催されました。
「夕焼けぽっぽ食堂」は、本川公園集会所で毎週金曜日に「こども食堂」を開催されてきました。
その「夕焼けぽっぽ食堂」代表者・レイコさん(初谷禮子さん)が今回で御勇退されることとなったのです。
私はこの話を「モアニクラブ」(「こども食堂」を支援するボランティアグループ)のメンバーの方から教えていただきました。
当日はモアニクラブの皆さんも応援に行かれるとのことでした。
これも何かの御縁であり、「こども食堂」を知る良い機会だと思い、私も最後の「夕焼けぽっぽ食堂」に参加させていただくことにしました。
「夕焼けぽっぽ食堂」訪問
開催当日の夕方、仕事を終えて、会場の本川公園集会所へ急いで向かいました。
開設時間が16時から19時と、こどもの生活リズム(下校時間など)に合わせた設定となっているからです。
途中、原爆ドーム近くの相生(あいおい)橋を走って渡り、本川公園集会所を目指しました。
(相生橋から眺めた原爆ドームと元安川)
本川公園集会所は、広島平和記念公園の近くにある本川公園内の集会所です。
広島市立本川小学校や本川児童館と隣接しており、本川公園では大勢のこどもたちが遊んでいました。
(夕焼けぽっぽ食堂(本川公園集会所))
本川公園集会所に着くと、中に入りきれないぐらい大勢のこどもで賑わっていました。
公園で遊び回っていたこどもや、保育園・幼稚園・学校帰りのこども・親子連れが中心でした。
(本川公園集会所(玄関))
玄関に靴の置き場がないほどの盛況でした。
ひっくり返ったままの靴や、大量のゴミが中の様子を物語っています(笑)
「こども食堂」初訪問で、中に入るのを少しためらっていたところ、そんな私を見つけ、中へと誘導してくださったのがモアニクラブの皆さんでした。
「夕焼けぽっぽ食堂」での食事体験
「夕焼けぽっぽ食堂」最終日ということもあって、会場内はとても混雑していました。
混雑しているにもかかわらず、こどもたちはキャッキャッと走り回って遊んでいました。
一方で、運営側のボランティアの方々は、食事を提供するため、声を掛けるのもはばかられるほど忙しく働いておられました。
受付簿に名前を記入し、手作りの集金箱に食事代(こどもは無料・大人は300円)を入れたら受付完了です。
配膳スペースへ行くと、テーブルの上におかずやデザートが用意されていました。
(配膳スペースの様子)
配膳される食べ物(おにぎり、おかず、デザート)や食器類(箸・スプーン・フォーク)が、あらかじめプラスチック(保存)容器やステンレスボウル、紙箱に入れて用意されていました。
お子様ランチプレート(ワンプレート)で提供したり、紙箱に入ったケーキをセルフサービスで提供したりと、食事後の洗い物を少なくするための工夫もみられました。
ボランティアの方に料理とデザートを盛り付けていただき、最後に自分で好みのケーキをプレートに盛り付けたら完成です。
(夕焼けぽっぽ食堂の食事(2025年5月30日))
麦茶と味噌汁は別に用意していただきました。
おむすび、味噌汁(水菜の豚汁)、ハンバーグ、大根の煮物、茹で野菜(ブロッコリー、人参、アスパラガス、スナップエンドウ)とコーンのサラダ、バナナ、カットフルーツ、ケーキ(ロールケーキ又はチョコレートケーキ)、お菓子(チョコレート)、そして麦茶と、様々な料理や飲み物、お菓子を提供していただきました。
私を含めた大人へは木製の皿で提供していただきましたが、こどもたちへはお子様ランチプレートで提供されていました。
いずれのプレートにも「夕焼けぽっぽ食堂」のランチ旗が飾られていました。
(夕焼けぽっぽ食堂のランチ旗)
「たくさんの笑顔とごちそうさま!をありがとうございました。」とのメッセージ付きです。
(スパムむすび)
おむすびはスパム(ランチョンミート)が入った「スパムむすび」で、協力されたモアニクラブさんらしさ(ハワイらしさ)が感じられました。
(ケーキとフルーツ)
ケーキやフルーツなど、甘いものの割合が多いのも、こども向けの食事ならではの特徴です。
食後にデザート(ケーキ・フルーツ)をいただいていると、「追加の差し入れです」と「わかめおにぎり」をいただき、食事モードに逆戻りしました(笑)
(わかめおにぎり・お茶)
出来たて、ホカホカのおにぎりをいただきました。
私の隣や向かいの席に座り、何ら抵抗なく無邪気に食べているこどもたちを眺めると、「共食(きょうしょく):みんなと一緒に食べること」の原点を見ているような感じがしました。
一般的な飲食店のような、どのメニューを注文しようか悩んだり、配席に気遣ったり、料理の味やコストパフォーマンスを評価したり、スマートフォンやカメラで写真や動画を撮影したりといった世界とは全く異なりました。
1つ1つの料理やデザートがどうだったか、実はゆっくり味わえる余裕がなかったのですが、「みんなと一緒に美味しく食べられて、(大人である私も)幸せな気持ちになった」ことは確かです。
「こどもたちを幸せにするために大人としてできることは何か」についても、深く考えさせられました。
その後、モアニクラブの方から、これまで運営されてきた「夕焼けぽっぽ食堂」へのお礼メッセージ(寄せ書き)を依頼されました。
突然の依頼で、何を書けばよいか戸惑いましたが、用意された鉛筆でメッセージを書きました。
(夕焼けぽっぽ食堂へお礼メッセージ)
「最初で最後になりましたが、とても貴重な経験ができました。ありがとうございました。お疲れ様でした。」
本当は「夕焼けぽっぽ食堂」代表者のレイコさんに直接お礼申し上げたかったのですが、最後ということで、多くの方がレイコさんとお話をされていました。
そこで、私はその雰囲気を邪魔しないよう、メッセージだけ提供させていただきました。
この日は参加者にお土産まで用意されていました。
(お土産(おもちゃ・お菓子))
手作りのおもちゃや提供されたお菓子のお土産です。
「夕焼けぽっぽ食堂」が、こどもたちや地域の人々の憩いの場・交流の場になっていたことがよくわかりました。
関係者の皆さんにお礼を申し上げ、夕焼け空の公園で遊ぶこどもたちを眺めながら、会場をあとにしました。
まとめ
今回「こども食堂」について学んだこと・理解できたことをまとめておきます。
・「こども食堂」の開設時間は、こどもの生活リズム(下校時間など)に合わせ、夕方早い時間に設定される
(大人の夕食タイムとはズレがある)
・大人だけでなく、児童・生徒・学生もボランティアメンバー(運営者・協力者)として活躍している
・開始時刻までにあらかじめ食事を作っておく(用意しておく)必要がある
・あらかじめ1人分の分量に分けておく、セルフサービスで提供する、種類別のゴミ箱(袋)を用意するなど、会場内でできるだけ手間をかけない工夫をされている
・野菜はできるだけ加熱したものを提供されている
・大人とこどもで配膳される分量に差がない(こども向けの分量で提供される)
・大人は親子連れでの参加が中心
・こどもが好むフルーツやお菓子(デザート)の割合が高い
・食材は主に個人・事業者からの寄付(金)やフードバンクからの提供で確保されている
・フードバンクとは、「食品を取り扱う事業者や各家庭から、まだ食べられる余っている食品を引き取り、必要としている団体や施設などに提供する団体・活動」のこと
・フードドライブとは、「事業者や各家庭から提供された食品が、フードバンクを通じて、必要としている団体や施設などに提供される活動の総称」のこと
今回の食事体験をもとにしたお話なので、現状と少し異なる話があるかも知れませんが、今後、少しずつブラッシュアップさせていきたいと思います。
<関連サイト>
「NPO法人広島こども食堂支援センター」
「イクちゃん子ども食堂ネットワーク」(公益財団法人ひろしまこども夢財団)
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