食文化体験・イベント

2024年11月10日 (日)

JR伯備線・芸備線の旅(芸備線の存廃問題)と沿線の食-トーストセット・藤戸まんぢゅう・むらすずめ・千屋牛焼肉丼・野方汁・広島バターモチ・きんつば-

日帰りで楽しむJR芸備線の旅プラン

 JR芸備線は、岡山県新見市の備中神代(びっちゅうこうじろ)駅から広島市の広島駅までの区間を走る地方交通線(ローカル線)です。

 JR芸備線は、とりわけ東城駅(広島県庄原市)から備後落合駅(同県同市)までの利用者が少なく、深刻な赤字が続いています。

 そこで、現在どういう状況になっているのか、実際に行って確かめてみることにしました。

 ただ、実際に行くとなると、大きな問題が立ちはだかります。

 利用者数が少ない原因の1つでもあるのですが、芸備線の、特に備中神代駅から備後落合駅の間は、列車の本数・乗り継ぎ列車が非常に少ないのです。

 広島駅から芸備線で備中神代駅まで行き、その日のうちに再び芸備線で広島駅へ戻ってくることもできません。

 そこで、私は広島駅から山陽新幹線と山陽本線を利用していったん岡山県側へ回り、備中神代駅を起点に広島駅まで一気に乗車するルートを考えました。

(山陽新幹線・山陽本線・伯備線・芸備線のルート)
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 (国土地理院地図を引用・一部加工)

 広島駅から山陽新幹線「こだま」で三原駅へ行き、三原駅から山陽本線で倉敷駅へ行きます。

 倉敷駅で伯備線に乗り換え、新見駅を目指します。

 そして新見駅発の芸備線(備中神代駅までは伯備線経由)で備後落合駅へ行き、備後落合駅から列車を乗り継いで広島駅へ戻るというルートです。

 それでは、今回の日帰り鉄道旅を御紹介します。


山陽新幹線・山陽本線(広島~三原~倉敷)

 広島駅から山陽新幹線「こだま」に乗り、三原駅に到着しました。

(山陽新幹線・こだま・三原駅)
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 三原駅に隣接する「サンエトワール三原店」でモーニング(トーストセット)をいただきました。

(トーストセット(絹生))
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 トースト(食パン)の種類が「絹生・ホテル・絹蜜」の3種類から選べたので、私は「絹生」をいただきました。

 その後、みどりの窓口へ行き、三原から倉敷・備中神代経由の広島行きっぷを購入しました。

 通常、三原から広島へは山陽新幹線か山陽本線か呉線を利用することが想定されているため、今回のきっぷはかなり特殊で、みどりの窓口で駅員に応対していただきました。
 ※みどりの券売機でも購入不可

 複数の駅員さんを困らせながらも何とかきっぷを購入でき、山陽本線の電車に乗車しました。

(山陽本線・三原駅)
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 227系電車500番台の電車です。

 広島エリアでは広島カープをイメージさせる赤色のラインが入っているのですが、岡山・備後エリアの電車はピンク(桃)色のラインとなっています。

 岡山の桃や桃太郎、福山のバラ、尾道の桜をイメージした色のようです。

(JR乗車券(三原から広島市内行き))
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 今回購入した特殊なきっぷがこちらです。

 三原駅から広島駅までは片道70kmちょっとなのに、きっぷは「三原から広島市内」となっています。

 「広島市内」は特定都市区内駅といい、主に広島市内エリアならどの駅からも乗り降りできる特例があるのですが、この特例は片道201km以上の場合に適用されます。

 芸備線に乗ろうと、岡山県側から大回りするためにこうしたきっぷとなるのです。

 ちなみに、芸備線区間(備中神代-広島間)の距離は約175km、今回の全区間の距離は約400kmにも及びます。

 三原から途中、糸崎駅で電車を乗り換え、福山駅に到着しました。

(山陽本線・福山駅)
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 福山駅は三原駅と同様に、駅のすぐ近くにお城があります。

 この駅でさらに電車を乗り換え、倉敷駅に到着しました。

(倉敷駅南口)
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 倉敷駅南口の先には、倉敷美観地区があります。

(倉敷駅北口)
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 一方、倉敷駅北口には、今は大型ショッピングセンターがありますが、その建築物にかつての「倉敷チボリ公園」の面影があります。


伯備線(倉敷~新見)

 倉敷駅4番ホームに着きました。

(倉敷駅4番・5番ホーム・発車案内表示器)
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 ここから伯備線の普通列車で新見を目指します。

(倉敷駅・伯備線・普通列車・新見行)
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 車内で、倉敷駅売店で購入した倉敷の銘菓をいただきました。

(藤戸まんぢゅう(藤戸饅頭))
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 こちらは「藤戸まんぢゅう」です。

 薄皮饅頭ですが、皮がとても薄く、ほぼ「あんこ(こしあん)」のかたまりです(笑)

 同じ岡山県の銘菓「大手まんぢゅう」とよく似ています。

 ほのかに酒粕の香りがする、あんこ好きにはたまらない饅頭です。

(むらすずめ)
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 こちらは「むらすずめ(むらすゞめ)」です。

 どら焼きの皮をひっくり返し、焼き目のある方を内側にして「あんこ(つぶあん)」を包んだようなお菓子です。

 豪渓(ごうけい)駅でホームに降り、「特急やくも」を見送りました。

(豪渓駅・特急やくも通過)
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 2024年4月にデビューした新型「特急やくも」です。

 その後、列車は備中高梁駅に到着しました。

(備中高梁駅・2番ホーム・普通列車・新見行)
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 奥の建物は高梁市立図書館で、蔦屋書店が併設されています。

 徳山駅(山口県周南市)に隣接する周南市立徳山駅前図書館などと同じ運営方式です。

 さらに列車は走り、終点・新見駅に到着しました。

(新見駅・5番ホーム・普通列車・岡山行)
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 倉敷駅から1時間40分の鉄道旅でした。

(「ようこそ!新見へ」吉備之国くまなく旅し隊)
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 「くまなく」(制服を着たキャラクター)と「たびにゃん」(小さな猫のキャラクター)が迎えてくれました。

(新見駅)
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 ランチタイムになったので、新見駅で途中下車し、昼食をいただくこととしました。


千屋牛焼肉丼と野方汁

 新見駅から歩いてすぐの場所に郷土料理店「伯備」があります。

(味の庄「伯備」)
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 鯖寿司、川魚料理、ジビエ料理、山菜料理など、郷土料理や地場の食材を使った各種料理を提供されているお店です。

 数多くの料理の中で、私は「千屋牛焼肉丼」を注文しました。

 「千屋牛(ちやぎゅう)」は、「日本最古の蔓牛(つるうし)」、「日本三名蔓」、「和牛の中の和牛」と呼ばれる新見が誇る黒毛和牛です。

 私は過去に車で新見を訪問した際、「和牛レストラン ふゆさと」で初めて千屋牛をいただき、その美味しさに感動しました。

(千屋牛焼肉丼)
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 贅沢に分厚くカットされた千屋牛の焼肉をごはんの上にのせた丼です。

 肉がやわらかく、噛みしめると脂の甘みとコク、肉汁の旨みが口の中いっぱいに広がりました。

 「この調子ならもう一品いける」と思った私は、追加で「野方汁(のかたじる)」を注文しました。

(野方汁)
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 豆腐、ねぎ、大根、人参、ごぼう、竹輪など具だくさんで、上品な味噌仕立ての汁です。

 「たかきび」の団子が入った団子汁です。

 「たかきび」は、「モロコシ」や「コウリャン」とも呼ばれる雑穀です。

 「野方汁」の名称は、この「たかきび」が「野方(のかた・のがた)」(この地方の方言で「高原地帯」のこと)でたくさん収穫でき、その「たかきび」で団子を作り、汁に入れて団子汁にしたことに由来します。

 「たかきび団子」は、たかきび粉に水を加え、耳たぶぐらいの柔らかさの生地を作り、その生地を火が通りやすいように平たくして茹でたものです。

(野方汁(たかきび団子))
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 「野方汁」は、具だくさんの「けんちん汁」に「たかきび団子」が入っているイメージです。

 「たかきび団子」は多少ザラザラ・ネチネチしていますが、その素朴で野趣あふれる食感・味に魅力を感じました。

 岡山は「きびだんご」だけでなく「たかきびだんご」も「でーれーうみゃーで!(とても美味しいよ!)」。


伯備線・芸備線(新見~備中神代~備後落合)

 腹ごしらえしたところで、いよいよ芸備線の旅の始まりです。

(新見駅前)
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 新見駅から芸備線の普通列車・備後落合行に乗車しました。

(新見駅 芸備線・普通列車・備後落合行と姫新線・普通列車・津山行)
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 写真左のオレンジ色と赤色のラインが入った列車が芸備線、写真右の空色と青色のラインが入った列車が姫新線(きしんせん)です。

(新見駅 芸備線・普通列車・備後落合行)
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 この列車に乗って備後落合(広島県庄原市)を目指しました。

 「1両編成で赤字路線なので乗客も少ないだろう」と思いつつ乗ってみると…発車時刻が近づくにつれ20人が30人、30人が40人と、乗客がどんどん増え、ついには座席に座れない人も出ました。

 新見から備後落合で乗り継いで三次まで続く列車が1日たった2本しかないこと、芸備線(の存廃)がニュースになっていること、夏休み期間で「青春18きっぷ」で乗車する人が多かったことが主な原因だと思います。

 遠方からお越しの方もたくさんおられました。

 熱心に写真を撮る人、ひたすら動画撮影する人、鉄道話で盛り上がるグループ、ひたすら時刻表を読む人…乗客のほとんどが「鉄道ファン(マニア)」と見受けられました。

 東城駅(広島県庄原市)を過ぎると、列車はどんどん山の中へ入っていきました。

 途中、車両に枝葉が何度も当たり、まるで木々に囲まれた緑のトンネルの中を走行しているようでした。

 この区間こそ、JR西日本の営業係数ワーストの区間で、100円稼ぐために1万円以上のコストがかかっているのですが、車内の混雑ぶりを見ると、そんな感じには見受けられませんでした。

 約1時間半後、列車は備後落合駅に到着しました。

(備後落合駅ホーム・芸備線乗り換え(三次行と新見行))
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 写真左がこれから乗車する列車(三次行)、写真右がこれまで乗ってきた列車(折り返し運転で新見行)です。

(備後落合駅ホーム・木次線)
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 しばらくすると、備後落合駅のホームに木次線の列車も入ってきました。

 この木次線も営業係数がとても悪く、それもあってか、この日は鉄道ファンを中心にたくさんの乗客がおられました。

 乗り継ぎの関係もあって備後落合駅は大勢の客で賑わっていましたが、この状況はおそらくこのわずかな時間だけだと思います。

(備後落合駅玄関)
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 かつては備北地域の基幹駅として大変賑わったようですが、今は無人駅となっています。


芸備線(備後落合~三次~広島)

 備後落合駅でしばらく過ごした後、芸備線普通列車の三次行に乗車しました。

(備後落合駅ホームと芸備線・普通列車・三次行)
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 列車を乗り換えましたが、乗客はこれまでのメンバーとほぼ同じでした。

 車窓から景色を眺めると、ちらほらと民家も見えるようになりました。

 1時間20分後、列車は終点・三次駅に到着しました。

 次の列車まで少し時間があったので、三次駅でも途中下車し、駅周辺を散策しました。

(三次市交通観光センター)
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 三次駅を降りてすぐの場所にある、三次市交通観光センターです。

 この施設の売店で、備北地域のお菓子を購入しました。

(和泉光和堂「広島バターモチ」・松屋「きんつば」)
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 和泉光和堂(広島県庄原市)の「広島バターモチ」と松屋(広島県三次市)の「きんつば」です。

 「広島バターモチ」は、バターの風味が豊かな餅菓子です。

 和泉光和堂は銘菓「乳団子」のお店として有名なのですが、そのお菓子のレシピがハワイで暮らす庄原出身の移民にも伝授され、各家庭でバターやココナッツを使った独自の焼菓子として作られたのがこの「広島バターモチ」です。

 松屋の「きんつば」は、お店のイチオシ商品と紹介されていたので購入しました。

 大粒の大納言小豆が使われた、すっきりした甘さのきんつばでした。

 再び三次駅に戻りました。

(三次駅ホーム・福塩線・府中行と芸備線・広島行)
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 写真左(手前)が福塩線・府中行(三次駅折り返し)、写真右(奥)が芸備線・広島行の列車です。

 私は芸備線普通列車・広島行に乗車しました。

 新見駅からずっとお見かけする方もおられました。

 途中から雨が降り始め、外の景色が見えづらくなったのですが、私の隣に座る親子のマニアックな鉄道会話(運転席に流れる「2両停車、所定停目2(しょていていもく2)」の意味などを話し合っていました)を聞きながら、鉄道旅を楽しみました。
 ※所定の停止位置目標は「2(2両列車用)」という意味

 広島市内に入ると徐々に街が広がり、乗降客も増えてきました。

 そして約1時間40分後、終点・広島駅に到着しました。

(広島駅・8番ホーム・芸備線・普通列車)
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 同じ芸備線でも、広島市近郊と郊外では乗降客数がかなり異なることを実感しました。


まとめ

 距離にして約400km、時間にして約11時間の鉄道旅を楽しみました。

 実際に芸備線の列車に乗ってわかったことは、

・列車の本数が極端に少なく、また乗り継ぎ用の列車もほとんど考慮されていないため、気軽に利用することができない。

・いくら列車の乗客が多くても、芸備線沿線(特に深刻な赤字が続く区間)で実際に乗り降りする客(生活の移動手段として利用する客)がいないと意味がない。

ということです。

 芸備線の危機的状況を打開するためには、列車の本数を増やす、乗り継ぎ・折り返しの列車も配慮する、イベント列車を走らせる、あるいは…廃線にするという方法が考えられますが、いずれにせよ、今のままでは沿線住民・地方自治体にとっても、JR西日本にとっても、良い結果はもたらさないように思います。

 芸備線は利用客が少ないとは言え、地域の貴重なインフラであることには間違いなく、廃線されたらそれでおしまいとなる可能性が高いため、存廃については慎重に議論が進められることを願っています。


<関連サイト>
 「サンエトワール」(「サンエトワール三原店」広島県三原市城町1-1-1 三原駅前 ほか)
 「藤戸饅頭」(岡山県倉敷市藤戸町藤戸48)
 「橘香堂」(岡山県倉敷市阿知二丁目19-28)
 「伯備」(岡山県新見市西方469-1)
 「千屋牛」(千屋牛振興会)
 「和牛レストラン ふゆさと」(岡山県新見市千屋実1428-1)
 「和泉光和堂」(広島県庄原市中本町一丁目3-5)
 「松屋」(広島県三次市十日市中4-6-1)

2024年10月20日 (日)

ビッグ錠先生の世界16 -ビッグ錠誕生日祭(味平ライス・タワーリングカレー・肉なしハンバーグ・寿司サンドイッチ・釘師サブやんバースデーケーキ)-

ビッグ錠誕生日祭

 2024年10月13日、神奈川県藤沢市湘南台のバー「アルスノーバ」で、グルメ漫画家・ビッグ錠先生の誕生日祭(漫画飯オフ会&シャンソン歌手・浜野ケイ子氏ライブ)が開催されました。

 私は当日の早朝に広島の自宅を出発し、湘南台の会場へ向かいました。

(飛行機の窓から眺めた富士山)
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 広島発羽田(東京)行き、JAL252便の機内から眺めた富士山です。

 頂上が冠雪してない富士山(主翼の先に見える山)に驚きました。

 少し早く着いたので、湘南台で軽く食事を済ませ、正午過ぎに会場の「アルスノーバ」を訪問しました。

 店内にはマスターやズボラさん、運営スタッフをされるお店の常連さんなどがおられ、久しぶりの再会を喜びました。

 お店の正面に「ビッグ錠誕生日会」のチラシが貼ってありました。

(「ビッグ錠誕生日会」チラシ)
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 今回もビッグ錠先生や寺沢大介先生などに御参加いただき、一次会が漫画飯再現料理イベント、二次会がシャンソン歌手・浜野ケイ子さんのライブという構成で開催されました。

 ズボラさんが今回のイベントに参加されるビッグ錠先生や寺沢大介先生などの書籍やグッズを用意し、会場に展示されました。

 ズボラさんと運営スタッフで調理器具の準備や料理の下拵えなどをし、14時からの開始を目指しました。

 お店入口には参加者名簿が用意されました。

 私はコウジ菌(広島)、紹介欄には「ビッグ錠先生のズッ友」と記載されていました。

 漫画飯YouTubeオフ会ということで、地元神奈川など関東圏を中心に、全国からファンが集まりました。

 漫画家の寺沢大介先生・ピエール手塚先生や、「マンガ食堂」のブログ・本を執筆なさっている梅本ゆうこさん、「異世界ラーメン屋台」などの作家・森月真冬さんなども来場されました。

 またしても、近所にお住まいの主役・ビッグ錠先生が開始時刻になっても来場されず、冷や冷やしましたが、しばらくして来られ、イベント開始となりました。


包丁人味平「味平ライス」

 「味平ライス」は、ビッグ錠先生のグルメ漫画「包丁人味平」に登場する焼き飯です。

 「味平ライス」のストーリーは次のとおりです。

 包丁貴族・団英彦が豚肉の極上の部位「宝肉」を使う一方で、味平は豚のクズ肉を使って料理対決をすることとなりました。

 そこで味平はクズ肉をチャーシューにし、その具で焼き飯を作って「味平ライス」と名付けたのです。

 その「味平ライス」をズボラさんが再現されました。

(味平ライスの盛り付け)
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 この写真は、イベント開始前に、ズボラさんが作られた味平ライスを運営スタッフがホールケーキの形に盛り付けている様子です。

 この「味平ライス」は、角切りチャーシュー、玉子、ネギなどの具をごはんと一緒に炒めたものです。

(バースデー味平ライス)
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 味平ライスの表面にグリーンピースをのせ、それを囲うように紅しょうがを置き、頂点に味平と仲間たちのイラストを飾りました。

 この味平ライスに、さらに目玉焼きをのせることとしました。

 味平ライスがビッグサイズなので、それに合わせ、目玉焼き用の卵も鶏卵ではなくダチョウの卵が用意されました。

(ダチョウの卵)
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 ズボラさんが通信販売を利用し、1個6千円で購入されたそうです。

 目玉焼きなので、中の黄身を崩さないよう、硬い殻に穴を開け、少しずつむしり取りました。

 殻の中身をのぞき込むと…

(ダチョウの卵(中身))
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 すでに白身と黄身が混ざってしまっているような…

 中身を熱したフライパンに出してみると…

(ダチョウの卵で目玉焼きを作る様子)
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 中心が白身、周りが黄身という、通常の目玉焼きとは逆の状態になりました。

 これでは「玉目焼き」です(笑)

 中心部まで火を通す(卵を固める)には、かなり時間がかかりそうだったので、味平ライスに巨大目玉焼きをのせるのは、とりあえずパスしました。

 バースデー味平ライスに85歳を意味する「8」と「5」のバースデーキャンドルと花火を差し、火を付けてビッグ錠先生のもとへ運びました。

(バースデー味平ライスと花火・キャンドル)
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 ビッグ錠先生は花火に顔を近づけながら、その先のバースデーキャンドルの火を吹き消されました。

 その瞬間、みんなで一斉にクラッカーを鳴らし、拍手をして、ビッグ錠先生のお誕生日をお祝いしました。


スーパーくいしん坊「タワーリングカレー」

 続いてズボラさんによる「タワーリングカレー」の実演イベントが始まりました。

 「タワーリングカレー」はビッグ錠先生の漫画「スーパーくいしん坊」に登場するカレーライスです。

 寸胴(ずんどう)の中心に筒を置いてカレーを注ぎ、その筒の周りにごはんを敷き詰めて、筒と寸胴を抜くと、タワーのように高く積み上げられたカレーライスができるというものです。

 今回の実演では、寸胴と筒の代わりに、丸い金属製の型枠を5つずつ積み上げたものを使用しました。

 私も型枠にテープを貼って積み上げ、準備を手伝いました。

(タワーリングカレー調理器具)
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 こうすれば、上から1つずつ型枠を抜くことが可能となります。

 ガスコンロには、キーマカレーが火にかけられ、スタンバイしています。

(キーマカレーとダチョウの卵焼き)
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 キーマカレーの隣は、ダチョウの卵焼きです。

(レーズン入りバターライス)
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 カレー用のライスには、レーズン入りバターライスが使われました。

 私はカウンター内で、ボウルに入れた大量のバターライスとレーズンを混ぜ合わせたのですが、ごはんが重くて大変でした。

(カレーを注ぐ様子)
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 こちらは、ズボラさんが外枠にライスを敷き詰めた後、中枠にカレーを注がれている様子の写真です。

 型枠にライスとカレーを詰めた状態で、まずは中枠が取り外されました。

(タワーリングカレー(中枠取り外し))
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 会場内で「おおっ」と歓声があがりました。

 続いてライスを支える外枠が上から1つずつ取り外されました。

(タワーリングカレー(外枠取り外し))
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 リング状のライスと中心部のカレーが登場しました。

(タワーリングカレー(外観))
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 カレーライスのタワーが見事に完成しました。

 このタワーを上から順に輪切りにし、皿に盛り付ければ、次々にカレーライスができるというシナリオですが…

(タワーリングカレー)
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 お決まりのごとく、タワーが少し崩れてしまいました(笑)

 この「タワーリングカレー」は、ズボラさんが事前にチャレンジされた様子が紹介されているので、こちらも御覧ください。

(【漫画飯オフ会の練習しとこう】タワーリングカレー スーパーくいしん坊 アニメ飯再現料理 再現レシピ)

  (YouTube「ズボラの漫画飯再現料理」)


ミスター味っ子「肉なしハンバーグ」

 続いてズボラさんが、寺沢大介先生の漫画「ミスター味っ子」に登場する「肉なしハンバーグ」を実演されました。

 キャベツと玉ねぎをみじん切りにして油で炒め、さらに牛乳・小麦粉・バターを加えて炒めます。

 これをボウルに移して手でこね、ハンバーグの形に成形し、その上から小麦粉をまぶしたものがこちらです。

(肉なしハンバーグ(タネ))
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 この「肉なしハンバーグ」のタネを焼くところから実演が始まりました。

 実演は、当日参加されていた日本ハンバーグ協会理事長のバーグマン田形さんにお願いしました。

(肉なしハンバーグを焼く様子)
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 原作者の寺沢大介先生(写真奥)の目の前で実演されました。

 仕上げにデミグラスソースをかけて完成です。

(肉なしハンバーグ)
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 実際の味は、ハンバーグよりもお好み焼に近いようです。

 この「肉なしハンバーグ」もズボラさんのサイトで紹介されていますので御覧ください。

(【漫画飯再現レシピ】肉なしハンバーグ ミスター味っ子料理を再現 今回はずぼら飯でもなければガスコンロも使ってハンバーグを作っていきます)

 (YouTube「ズボラの漫画飯再現料理」)


ミスター味っ子「寿司サンドイッチ」

 夕方、湘南台の「日の出寿司」さんから特注のお寿司が届きました。

 寺沢大介先生の漫画「ミスター味っ子」に登場する「寿司サンドイッチ」です。

(寿司サンドイッチの紹介)
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 原作では、ロールパンに寿司ネタをのせたオープンサンドイッチが紹介されています。

 今回の寿司サンドイッチは、食パンに具をのせ、海苔巻き状にクルクル巻いたものを御用意いただきました。

(寿司サンドイッチ(いくら・海苔・サーモン))
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 いくら・海苔(佃煮とキュウリ)・サーモンを食パンで巻いた寿司サンドイッチです。

 本当のお寿司屋さんで作られたところがスゴイです。

 会場の参加者全員に召し上がっていただくため、寿司サンドイッチを包丁で半分に切りました。

(寿司サンドイッチ(いくら)と包丁)
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 私が包丁で切ったのですが、パンも中の具もやわらかいので、切る度に布巾で包丁を拭き、押し切りにならないよう注意しながら切りました。

(寿司サンドイッチ(海苔)の盛り付け)
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 この寿司サンドイッチを斜めに3等分に切って寿司桶に立てた方が見栄えが良いはずですが、食パンを丸めた状態だったので、こうするとバラバラに崩れてしまう危険性がありました。

 「味平ライス」、「タワーリングカレー」、「肉なしハンバーグ」、「寿司サンドイッチ」…私は運営スタッフだったので、何も食べておらず、読者の皆様にどんな味だったかお伝えできないのが申し訳ないところですが、その分、様々な写真で御想像ください。

 途中、カウンターでずっと立ちっぱなしだった私に、梅本ゆうこさん(「マンガ食堂」ブログ・本の執筆者)が温かく声をかけてくださり、グルメ漫画や食の話で盛り上がりました。

 これで一次会(漫画飯オフ会)はお開きとなり、参加者の皆さんには一旦御退場いただき、私を含む運営スタッフは二次会の準備に取りかかりました。


「シャンソン歌手・浜野ケイ子氏ライブ」と「釘師サブやん」バースデーケーキ

 二次会に向け、会場の掃除・後片付けや音響設備のセットなどをし、開始時刻の19時を迎えました。

(アルスノーバ)
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 さぁ、二次会の始まりです。

 二次会はシャンソン歌手の浜野ケイ子さんの歌と音楽を楽しみながら、みんなでビッグ錠先生の誕生日をお祝いしました。

(浜野ケイ子さんとビッグ錠先生)
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 店内の照明を落とし、シャンソンやダンスで盛り上がりました。

 私も少し余裕ができたので、再会した寺井広樹さん(実業家、映画「散歩屋ケンちゃん」監督・まずい棒考案者)と会話を楽しみました。

 その中で、ビッグ錠先生の「包丁人味平」に登場する「ブラックカレー」を商品化し、銚子電鉄で販売されているとの情報をいただきました。

 広島市南区の会社(「有限会社オフィスシン」)で開発された商品とのことです。

 私の自宅の近くで密かにブラックカレーが開発されていたとは…

(銚電ブラックカレー)
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 このブラックカレーは、寺井広樹さんが納得のいくまで何度も作り直されたようで、終盤は感覚が麻痺してしまったとのお話でした。

 私が「感覚が麻痺してこそ、ブラックカレーじゃないですか!」とお応えすると、寺井さんは「確かに」と笑っておられました。

 銚子電鉄のウェブサイトには、
「「銚電ブラックカレー」で、ブラック(黒字)企業としての立ち位置を定着させていきたい…という願いを込めました」
と紹介されていますが、「ブラック企業」という表現は誤解されますよ(笑)

 私から寺井さんへは、湘南台駅のファミリーマートに「銚子電鉄ぬれせんべい」の垂れ幕があったことをお話ししました。

(ファミリーマート「銚子電鉄ぬれせんべい」垂れ幕)
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 相鉄ステーションリテール株式会社が運営するファミリーマート32店舗(相鉄沿線、神奈川、東京)で販売されているようです。

 しばらくして、寺井さんがケーキの箱を取り出されました。

 そして寺井さんからビッグ錠先生へ、特製のバースデーケーキがプレゼントされました。

(特製「釘師サブやん」バースデーケーキ)
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 ビッグ錠先生の漫画「釘師サブやん」のコミックスやイラストがケーキで再現されています。

 会場の参加者から歓声があがり、皆さん写真を撮っておられました。

 少年誌にパチンコの漫画を連載すること自体、ぶっ飛んでいるのですが…(笑)

(ビッグ錠先生と「釘師サブやん」バースデーケーキ)
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 寺井広樹さん撮影

 バースデーケーキと一緒に、上機嫌のビッグ錠先生です。

 大盛況のうちに二次会もお開きとなり、無事イベントは終了しました。

 その後、ビッグ錠先生や浜野ケイ子さんとお話しすることができ、ビッグ錠先生から特製バースデーケーキも少しいただきました。

(「釘師サブやん」バースデーケーキ実食)
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 この時初めて知ったのですが、このケーキは、上のコミックスの部分だけが食べられるケーキで、下の大きな台は発泡スチロールで作られた飾りでした。

 台の部分から食べようとスプーンを入れたところ、発泡スチロールがポロポロ出てきたようです(笑)

 希少なケーキをいただくことができました。

 ビッグ錠先生がお帰りになる時、私は店の外へ出てお見送りをしたのですが、私からビッグ錠先生へ「お気を付けてー」とお話しすると、ビッグ錠先生から「はいよー」とお返事がありました。

 私がすかさず「知らんけどー」と叫ぶと、ビッグ錠先生は暗闇の中でズッコケておられました。


 マスターやズボラさん、運営スタッフの方々(アルスノーバの常連さん)は、12時間以上ずっと立ちっぱなしで頑張りました。

 夜も更けたので、お世話になったマスターや運営スタッフの皆さんにお礼申し上げ、私もお店を後にしました。

 とても疲れましたが、ビッグ錠先生をはじめ、皆さんと楽しいひと時を過ごせたこと、そして運営スタッフの一員としてお手伝いできたことに幸せを感じました。


まとめ

 後日、ズボラさんが今回の「ビッグ錠誕生日祭・漫画飯オフ会第8弾」の様子を動画でアップされました。

(【漫画飯オフ会8弾】タワーリングカレー&肉なしハンバーグ スーパーくいしん坊&ミスター味っ子 再現料理 アニメ飯再現レシピ ビッグ錠誕生日祭)

 (YouTube「ズボラの漫画飯再現料理」)


 「百聞は一見に如かず」で、この動画を御覧いただければ、臨場感あふれるイベント当日の様子がよくわかります。

 お忙しい中、このようなイベントを企画・実施してくださるズボラさんには感謝の気持ちでいっぱいです。

 この場をお借りして、お礼申し上げます。


<関連サイト>
 「ズボラの漫画飯再現料理」(ずぼら料理研究家)
 「マンガ食堂」(梅本ゆうこ)
 「日本ハンバーグ協会
 「散歩屋ケンちゃん」(「散歩屋ケンちゃん」製作委員会 )
 「有限会社オフィスシン」(広島市南区西旭町4-9)

<関連記事>
 「ビッグ錠先生の世界8 -ビッグ錠誕生日祭(チャップマンさんの漫画めし料理 包丁人味平の「味平カレー」と「ブラックカレー」)-
 「ビッグ錠先生の世界14 -映画「散歩屋ケンちゃん」DVD制作プロジェクト 「デキらぁめん」・「ブラックカレー」をビッグ錠先生と食べる会-

2024年9月29日 (日)

魚柄仁之助先生の世界7 -「自家製かんぴょう」と「しそ塩」(かんぴょうの味噌汁・かんぴょう煮・かんぴょう卵とじ・しそ塩サラダ・トンテキ梅風味・しそ塩チキン棒)-

魚柄仁之助先生から「自家製かんぴょう」と「しそ塩」が届く

 食文化研究家の魚柄仁之助さんから,長野で採れた夕顔で作られた「かんぴょう」と「しそ塩」を送っていただきました。

 手紙の封筒に入れて私の自宅へ送ってくださいました。

(郵送で届いた「かんぴょう」と「しそ塩」)
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 突然送られてきたので驚きましたが,尊敬する魚柄先生からの贈り物だけに,とても嬉しかったです。

 天使の乙女が描かれた封筒と送り主とのギャップを感じつつ、開封しました(笑)

 自家製かんぴょうとしそ塩は,それぞれ保存袋に入れられ、さらにラップで丁寧に包まれていました。

 同封されたお手紙には、
 「おこんにちわっ。干瓢(かんぴょう)としそ塩です。赤しその葉を洗って干し、塩漬1年経ってから、天日で干して粉にしました。ハーブソルトと思って、サラダやおにぎりなどに使ってください」
と書かれていました。

 かんぴょうは、夕顔を薄くスライスし、魚柄先生の御自宅(東京)のベランダにある物干しハンガーで干されたものです。

(自家製かんぴょう)
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 このようにグルグル巻きにして送っていただきました。

 そして「しそ塩」です。

(しそ塩)
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 この「しそ塩」は、市販とは異なり、無糖(赤しそと塩のみ)なのだそうです。

 確かに「しそ」はハーブの一種で、それを塩漬けしたものは「ハーブソルト」で間違いありませんが、こういう発想をしたことはなく、新鮮味がありました。

 赤しそを約1年塩漬けして、それをさらに天日干しにし、粉にした、手間暇かけられた一品です。

 いくつか料理して,魚柄先生お手製の「かんぴょう」と「しそ塩」をいただくことにしました。


かんぴょうの味噌汁

 魚柄先生から「細長いままの干瓢はとっつきにくいが、カットしてあれば味噌汁、煮物などにポイポイ入れるだけ」と教えていただいたので、実践してみました。

(かんぴょう(カット・瓶詰め))
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 乾物をカットし、空きびんなどに保存しておくアイデアは、魚柄先生が考案されたもので、こうしておけば乾物も必要な量だけすぐに使うことができます。

 いつもの味噌汁にカットしたかんぴょうをポイポイ入れてみました。

(かんぴょうの味噌汁)
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 かんぴょうはやわらかく元に戻り、いとも簡単にかんぴょう料理ができました。

 かんぴょうは、シャクシャクした食感で、味噌との相性も抜群でした。

 かんぴょうを調理するのは面倒なイメージがありますが、ちょっとの工夫で簡単に調理することが可能なことがわかりました。


かんぴょう煮

 だしパックでだしをとり,醤油・みりん・砂糖で味付けしただし汁でかんぴょうを煮て,かんぴょう煮を作りました。

(かんぴょう煮)
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 自家製かんぴょうは,肉厚・幅広なのでだし汁がよく浸みており,とてもやわらかくなっていました。

 かんぴょうの持ち味を生かすなら,魚柄先生がおっしゃるように,夕顔を肉厚・幅広に切った方が良いことがわかりました。


かんぴょうの卵とじ

 かんぴょう煮を溶き卵で煮て「かんぴょう卵とじ」を作りました。

(かんぴょうの卵とじ)
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 だし汁が浸み込んだ肉厚のかんぴょうが鶏肉や油揚げのような役目をし、ごはんにかけたら親子丼や衣笠丼(※)そっくりだと思いました。

 ※衣笠丼(きぬがさどん)…京都市北区・右京区の衣笠山にちなんだ京都のご当地料理。刻んだ油揚げと九条ねぎを卵とじにしてごはんにのせた丼


しそ塩サラダ

 魚柄先生のお手紙に「サラダに使ってください」とあったので、サラダ用に「しそ塩ドレッシング」を作ってみました。

(しそ塩ドレッシング)
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 材料は米酢、油、塩、しそ塩です。

 しそ塩の塩分が控えめなため、少し塩を足しました。

(サラダ)
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 サラダも用意しました。

 このサラダに「しそ塩ドレッシング」をかけてみましょう。

(しそ塩サラダ)
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 ドレッシングがかかっているところがはっきりわかりますね。

 はっきり言います。これはいまいちでした。

 しその酸味に酢の酸味も加わって、酸っぱくなり過ぎたのです。

 ドレッシングの酸味はしそ塩だけで十分で、油と塩としそ塩で作ればよかったようです。


トンテキ梅風味

 しそ塩をハーブソルトとしてトンテキを作ってみました。

 豚ロース肉の両面を焼き、仕上げにしそ塩をふりかけました。

(トンテキ梅風味)
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 トンテキに、梅干しの風味と酸味がほどよく加わり、さっぱりと美味しくいただけました。


しそ塩チキン棒

 魚柄先生が考案された料理の1つに「チキン棒」があります。

 チキン棒は、鶏のムネ肉やササミに塩をすり込み、肉の水分を飛ばして鶏の旨味を凝縮させ、それを蒸した料理です。

 塩をして水分を飛ばすことで保存性が高まり、地鶏のような食感のハム・サラダチキンが出来上がるのです。

 チキン棒は過去に一度作ったことがあるのですが、今回は魚柄先生お手製の「しそ塩」を使った「魚柄スペシャルチキン棒」を作ってみました。

 鶏のささみに軽く塩を振り、さらに「しそ塩」をまぶしました。

(しそ塩をまぶした鶏ささみ)
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 バジルをまぶしたサラダチキンがあるので、ハーブソルトのように「しそ塩」をまぶしたサラダチキンも相性が良さそうです。

 前回チキン棒を作った時は、自宅のベランダで干すことをためらい、冬場に室内でラップをして3~4日干したのですが、水分が完全に飛ばず、肉を少し傷ませてしまいました。

 そこで今回は思い切って、外のベランダでそのまま干してみることにしました。

 晴れて日差しが強かったこともあり、みるみるうちに肉の水分が飛んでいきました。

(天日干しした鶏ささみ)
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 昼間の約7時間、ベランダで天日干しした鶏ささみです。

 水分が飛んで、旨味が凝縮され、肉の色も濃くなりました。
 (その分、肉も小さくなりましたが…)

 わずか半日でこの状態です。

 晴れた日に洗濯物を干すと一気に乾くのと同じ原理で、改めて日光の力はすごいなと感じました。

 エアコンの室外機の上に置いておいたからかも知れませんが(笑)

 天日干しした鶏ささみをラップで包み、蒸し器にセットしました。

(鶏ささみを蒸し器にセット)
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 15分ぐらい蒸せば完成です。

(鶏ささみ蒸し上がり)
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 ラップにぴっちりと包まれたチキン棒が出来上がりました。

 しばらく冷ましてから、ラップを取り外しました。

(しそ塩チキン棒)
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 市販のバジルをまぶしたサラダチキンのようです。

 いただいてみると…「うまいっ!」

 肉の旨味が凝縮され、しそ塩の酸味もほどよく効いたチキン棒になりました。

(しそ塩チキン棒(中身))
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 肉に弾力が増し、噛みしめるとモギュモギュとした食感が楽しめました。

 その味わい・食感は、ささみの燻製そっくりでした。

 晴れた日は、洗濯物と一緒に、鶏肉や夕顔(かんぴょう)を干すことをおすすめします(笑)


<関連サイト>
 KOKOCARA「「チキン棒」を作ってみた!」生協パルシステム

<関連記事>
 「魚柄仁之助先生の世界3 -長野の自家製かんぴょう(かんぴょう煮・かんぴょうの油炒め・かみなり汁)-
 「魚柄仁之助先生の世界6 -エゴマ味噌・エゴマの実を使った料理、「縁食」と「非円食」について-

<参考文献>
 魚柄仁之助「うおつか流 食べつくす!」農文協

2024年8月25日 (日)

JR貨物食堂(JR貨物岡山機関区)で「ハチクマライス」を味わう

 岡山市北区にある「JR貨物岡山機関区」を訪問しました。

 この岡山機関区の構内に「JR貨物食堂」という職員食堂があります。

 今回は、この「JR貨物食堂」と「ハチクマライス」について御紹介したいと思います。


JR貨物岡山機関区とJR貨物食堂

 JR貨物岡山機関区周辺を歩いていると、JR貨物食堂の看板がありました。

(JR貨物 岡山機関区とJR貨物食堂の看板)
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 看板には「JR貨物食堂 一般の方もどうぞ」と書かれています。

 「JR貨物食堂」は、JR貨物職員以外の方でも気軽に利用することが出来ます。
 ※現在、平日のみの営業となっています。

(JR貨物食堂へ続く道)
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 看板の矢印が示す方向へ歩きました。

(JR貨物食堂(店舗裏))
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 途中、「JR貨物食堂」と書かれた赤い店舗テントが見えましたが、ここはどうやら店舗の裏側のようです。

 さらに歩くと、職員出入口に着きました。

(JR貨物 岡山機関区・職員出入口(手前))
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 食堂へは、この職員出入口から入るようです。

(JR貨物 岡山機関区・職員出入口)
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 職員出入口には、業務を終えたJR貨物職員向けに「お疲れ様でした」と書かれています。

 その一方で「関係者以外立入禁止」・「防犯カメラ作動中」という標識も…

 駐輪場には、乗務員が構内を移動するための自転車がずらりと駐輪されていました。

(JR貨物 岡山機関区とJR貨物食堂)
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 構内に入ると、JR貨物食堂の案内看板はパタッとなくなるのですが、自動販売機がまとまって設置されている建物が福利厚生棟で、ここに食堂も入っているだろうと、自動販売機へ向かって歩きました。


JR貨物食堂の様子

 予想どおり自動販売機近くにJR貨物食堂の玄関があったので、緊張と期待でドキドキしながら入店しました。

(JR貨物食堂)
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 平日・月曜日の朝9時に伺ったのですが、JR貨物職員の方が数名食事されていました。

 厨房でメニューを注文し、先に精算を済ませる方式です。

 メニュー札には、うどん・そば・カレーライス・焼き飯・カツ丼・天とじ丼などの定番メニューのほか、日替わりの朝定食や単品のおかずも用意されていました。

 お店の方からは「朝定食はいかがですか。今日のおかずは焼き鯖です」とすすめていただきましたが、私は最初に単品のおかずコーナーへ行き、目当ての料理がないか探しました。

 私が目玉をキョロキョロさせて探したのは「目玉焼き」です。

 なぜなら、鉄道関係の食堂で「ハチクマライス」を食べたかったからです。

 「ダメもと」、「なくて当たり前」と思いながらも探してみると…

 「あった!!」

 1皿だけ目玉焼きが用意されていました。

 実は、目玉焼きがなかったら、無理を承知でお店の方に目玉焼きを作っていただくようお願いしようかとまで考えていただけに、あって本当に嬉しかったです。

 朝定食はまたの機会に味わうこととし、目玉焼き(100円)、それに単品でライス(150円)と味噌汁(50円)を注文しました。

(ライス・味噌汁・目玉焼き)
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 目玉焼きには、千切りキャベツも添えられています。

 漬物はセルフサービスで、たくあんときゅうりの漬物を小皿に盛りました。

 スプーンにクルクルと紙ナプキンが巻かれていますが、こうしたところにお店の方のプライドを感じました。


ハチクマライス

 「ハチクマライス」は、ごはんに目玉焼きをのせた、鉄道乗務員向けの「まかない丼」です。

 かつて、長距離夜行列車(ブルートレインなど)の乗務員が、まかないの食事として、食堂車の営業時間(乗客の食事時間)を外した時間帯に、ハチクマライスが食べられたようです。

 ハチクマライスの由来は、古典落語(江戸落語)で常連の登場人物「八五郎(ハチゴロウ)」と「熊五郎(クマゴロウ)」の名前にあやかったものと言われています。

 粗忽な(ドジでおっちょこちょいな)の「ハチ」や、荒っぽい「クマ」でも簡単に美味しく作れるという意味を込めて命名されたのだとか。

 私はハチクマライスという料理があることを、広島の洋食レストラン「広亭タナカ」の先代シェフ・田中恒士さんから教わりました。
 (かつて、このお店でハチクマライス用の万能ソースが販売されていました。)

 鉄道ファン(鉄道マニア)、鉄道関係者、昔の洋食に詳しい人ぐらいしか知らないであろうハチクマライス。

 そのハチクマライスを、JR貨物食堂で作ってみました。

 ごはんに目玉焼きをのせ、テーブルに置かれていた調味料から「中濃ソース」を選んで、目玉焼きにかけました。

(ハチクマライス)
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 これです、これです、私がJR貨物食堂でやってみたかったことが実現出来ました。
 (JR貨物食堂の関係者様へお詫び申し上げます。)

 こちらの食堂は、ごはんの盛りがよく、なおかつ美味しいので、丼物にしても美味しくいただけました。

 鉄道職員さん達と同じ食堂でいただいたハチクマライスは格別で、思い出に残る朝食となりました。


まとめ

 ハチクマライスでお腹を満たした後、少しだけ岡山機関区を見学しました。

(JR貨物 岡山機関区)
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 岡山機関区の玄関には、蒸気機関車「C62-1」の車輪が展示されています。

 もしかすると、この蒸気機関車がけん引した「あさかぜ」・「さくら」などの寝台特急の食堂車で、本当にハチクマライスが食べられていたのかも知れません。

 続いて線路沿いを歩いてみました。

(EF210形電気機関車(桃太郎))
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 手前の車両は、西日本を中心に活躍するEF210形電気機関車で、「桃太郎」という愛称で呼ばれています。

 ちなみに、東日本では「金太郎」という愛称の赤い電気機関車(EH500形電気機関車)が活躍しています。

 「桃太郎」も「金太郎」も、力強く貨物を引っ張る、たくましさや頼もしさを感じます。


 今回御紹介したハチクマライスは、「鉄道博物館」(さいたま市大宮区)や「京都鉄道博物館」(京都市下京区)のレストランでも用意されているようです。

(鉄道博物館・京都鉄道博物館のハチクマライス)
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 (「鉄道博物館」・「京都鉄道博物館」のウェブサイトから一部引用・加工)

 自宅でも簡単に作れますので、御興味を持たれた方は御賞味ください。


<関連サイト>
 「JR貨物食堂」(岡山市北区西島田町2-1)
 「鉄道博物館」(さいたま市大宮区大成町三丁目47)
 「京都鉄道博物館」(京都市下京区観喜寺町)

<関連記事>
 「広島の洋食店「広亭タナカ」の魅力 -桃のコンポートと創作付合せ野菜-
 「新幹線車内で駅弁とレモンケーキを味わう -上越新幹線・JR貨物コンテナ弁当・湘南ハニーレモン・ホットサンドスペシャル-

2024年7月21日 (日)

551蓬莱(HORAI)と海上保安庁のコラボがある時!-「海の事故ゼロキャンペーン」コラボレーション企画-

 海上保安庁では、「海難ゼロへの願い」をテーマに、7月16日から31日までの期間、「海の事故ゼロキャンペーン」が実施されています。

 今回は、このキャンペーンのコラボレーション企画を御紹介したいと思います。


551の豚まん


 「551蓬莱(HORAI)」は、大阪を拠点に関西エリアに店舗展開されているフードサービス会社です。

 「豚まん」や「アイスキャンデー」の販売や、レストランでの中華料理の提供などをされています。

 関西の方なら「551のあるとき~、ないとき~」、「ゴーゴーイチのホーォライ」で有名なテレビCMを御存知の方も多いと思います。

 551蓬莱・JR京都駅店で豚まんを購入しました。

(551蓬莱・豚まん(箱))
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 豚まんの蒸気で箱がふにゃふにゃになってます(笑)

(551蓬莱・豚まん(箱詰め))
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 551蓬莱では、皮を1個ずつ手で丁寧に包んでおられます。

 皮の表面の標準的なひだの本数まで決められているようです。

 貴重な豚まんなので、少しでも美味しくいただこうと、鍋で蒸しました。

(551蓬莱・豚まん(蒸し器))
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 蒸し上がりました。

(551蓬莱・豚まん)
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 笑顔で「551があるとき~」と言いたい気持ちになりました。

 551の豚まんは、皮がもっちりとしてほのかに甘いのが特長です。

 「生地の発酵時間を考慮すると、工場から150分圏内にしか出店できない」とのお考えから、常設店舗は関西エリアにしかありません。

 中の餡は、ブロック状にカットされた豚肉と、その豚肉と同量の玉ねぎが使用されています。

 この餡は、粘りが出るほどしっかり練られており、豚肉の旨味と玉ねぎの甘味が最大限引き出されています。

 添付のからしをつけながらいただきましたが、このからしも551蓬莱で作られています。


551蓬莱と海上保安庁のコラボレーション企画

 ふと持ち帰り用の紙袋を見ると、スタンダードな551の紙袋とは異なることに気付きました。

(海上保安庁コラボ紙袋)
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 海上保安庁・第五管区海上保安本部と551蓬莱のコラボ紙袋となっています。

(海上保安庁コラボ紙袋・イラスト)
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 551蓬莱の紙袋に海上保安庁の巡視艇のイラストが描かれています。

(551蓬莱の海の事故ゼロキャンペーン紹介文)
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 「海での緊急時に118番があるとき~!!」

 事件や事故の話なのに、軽いなぁー(笑)

(PC型巡視艇「ほうらい」)
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 巡視艇の船名は「ほうらい」で、船型はPC(Patrol Craft)型の「551」となっています。

 こういう細かな所にも「ほうらい(蓬莱)」や「551」が登場するところが素晴らしい!

(巡視艇「ほうらい」電光掲示板)
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 相手の船に警告・周知するための電光掲示板にも「118番があるとき!」と記載されています。

 海上保安庁の職員で、なおかつユーモアセンスを持った人じゃないと、こんな発想は出て来ないはずです(笑)

 こうした取組みはどんどん応援したいです。

 ちなみに、551蓬莱はこれまで大阪市消防局や大阪府警察などとコラボレーションされた実績もあり、大きな宣伝効果があることがわかります。

 大阪市消防局と言えば、「知らんけど 言うたらあかん 火の始末」(令和4年度大阪市防火標語)を思い出します。

 大阪はすごいなぁ(笑)


広島港・六管桟橋と海上保安庁の船艇

 海上保安庁の船を見学するため、広島港へ向かいました。

 広島港には、第六管区海上保安本部・広島海上保安部の拠点があります。

(広島港「六管桟橋」と118番案内看板)
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 海上保安庁が使用されている「六管桟橋(ろっかんさんばし)」と118番案内看板です。

 日清・日露戦争時は、ここから多くの兵士が船で中国などへ送り出されました。

(海上保安庁の船艇)
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 写真左が測量船「くるしま」(第六管区海上保安本部)、写真中央が巡視艇「あきかぜ」(広島海上保安部)、写真右(正面を向いている船)が巡視艇「しまぎり」(広島海上保安部)です。

 「しまぎり」の沖に見える「NYK」と書かれた青い船舶は、自動車を積んでマツダ仁保Bバースを出航した日本郵船の大型自動車専用船(外航船)です。


第六管区海上保安本部のコラボレーション企画

 第六管区海上保安本部も様々なコラボレーション企画をされています。

 オリジナル缶バッジ、トートバッグ、海難ゼロ作戦にちなんだ「ウルトラマンゼロ」が瀬戸大橋で活躍するクリアファイルなどがありますが、広島ならではのコラボレーションイラストがこちらです。

(六管本部・海上保安協会と「カープ坊や」のコラボレーションイラスト)
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 プロ野球・広島東洋カープのマスコットキャラクター「カープ坊や」が海上保安庁の制服と救命胴衣を着たイラストです。

 こちらはクリアファイルのイラストを抜粋したものですが、「カープ坊や」とのコラボはよく採用されています。


まとめ

 「海の警察」である海上保安庁ですが、様々な企業や団体とコラボレーションすることで、より身近で親しみのある機関を目指しておられる様子が伺えました。

 今回は第五管区海上保安本部と第六管区海上保安本部の事例を御紹介しましたが、他の地区でも様々なコラボレーション企画がなされていることでしょう。


 「空腹を感じたら551のお店へ、海の事件・事故があったら電話で118へ!」


<関連サイト>
 「551蓬莱」(本店・大阪府大阪市中央区難波3-6-3 ほか)
 「海上保安庁」(東京都千代田区霞が関2-1-3)

<関連記事>
 「ガスビル食堂で昼食を -特製ガスビルカレー(ビーフカレー)・ムーサカ-」(令和4年度大阪市防火標語の紹介)

2024年6月23日 (日)

チョコレートの新しい潮流4 -「ラテアートカフェ クレマ」のチョコレートとカカオサブレ・広島修道大学公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」-

「ラテアートカフェ クレマ」のチョコレート・カカオサブレ

 広島県東広島市八本松にあるカフェ「ラテアートカフェ クレマ」を訪問しました。

(「ラテアートカフェ クレマ」店舗)
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 エスプレッソ、カプチーノ、デザート、ランチのほか、手作りのビーントゥバーチョコレートも提供されています。

 チョコレートの製造・販売は、広島大学名誉教授の佐藤清隆先生との御縁によるものです。

 今回は、このお店のチョコレートを購入するために訪問しました。

 お店に入ると、チョコレートやクッキーなどの販売コーナーがあり、お店の代表者である竹崎さんが、ランチタイムでお忙しいにもかかわらず、親切・丁寧に対応してくださいました。

 このお店では、スイスのダニエル・ペーター(※)が開発したミルクチョコレート(ダニエル・ペーターのレシピをもとに再現したミルクチョコレート)も販売されているのですが、この商品は不定期販売で、一度に作られる量も少ないため、訪問日には販売されていませんでした。
 ※世界で初めてミルクチョコレートを開発した人物

 そこで私は、そのダニエル・ペーターのミルクチョコレートと同じ原材料を使用して作られた「ホワイトチョコレート」と、チョコレートクッキーを購入しました。

 ホワイトチョコレートには、説明書と保冷剤も付けていただきました。

(ホワイトチョコレート(包装・説明書))
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 竹崎さんがチョコレートにかけておられる情熱や愛情が伝わってきました。

 佐藤先生のお話をすると、竹崎さんは喜んでくださり、「チョコレートと佐藤先生のどちらがお好きなのですか?」と問われました。

 私は少し照れながら「どっちもです」とお答えしました。

 続けて「佐藤先生にはどんな印象を持たれていますか?」と問われたので、私は「ずばり「お調子者」ですかね。私も同じなので、波長が合うんです(笑)」とお答えすると、竹崎さんは「そうそう、その表現ぴったりですね」と笑いながらおっしゃっていました。

 バリスタである竹崎さんの接客サービス・お人柄の良さに触れたワンシーンでした。

 お店の外で、面白い看板を見つけました。

(「激痛公園」案内看板)
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 「激痛公園?そんな名前の公園があるんだ」と思い、歩いて行ってみました。

(「激痛公園・健康の小路」)
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 足つぼマッサージが出来る公園でした。

 八本松ガーデンプレイスは面白い所だなと思いつつ、自宅に帰りました。

 自宅でホワイトチョコレートを開封しました。

(チョコレート包装紙(裏面))
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 包装紙の裏面にメッセージがありました。

 佐藤先生との出会いにより、クレマのチョコレートが生まれたことが説明されています。

(ホワイトチョコレート)
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 銀紙を外すと、中に長方形のタブレットチョコレート(板チョコ)が入っていました。

 口に含むと、カカオバターのコクとミルクの甘い香りが広がりました。

 きめ細かく、口の中でやさしく溶ける美味しいホワイトチョコレートでした。

 続いて、カカオサブレをいただきました。

(カカオサブレ(包装))
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 カカオニブがのせられた、丸いチョコレートクッキー(サブレ)です。

(カカオサブレ)
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 甘さを抑えたチョコレートクッキーとほろ苦いカカオニブを一緒にいただくと、不思議なことに、クッキーのわずかな甘みが強く引き出されました。

 ビターで芳醇なカカオの美味しさをダイレクトに味わえる、チョコレート好きの方におすすめのクッキーです。


修道オーブンアカデミー公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」

 2024年6月22日、広島修道大学で修道オーブンアカデミー公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」が開催されました。

 担当講師は、広島修道大学人文学部の松崎雅広教授と広島大学の佐藤清隆名誉教授です。

 チョコレートをカカオを極めたい一心で、私も受講させていただきました。

 久しぶりに広島修道大学を訪問しました。

(広島修道大学7号館)
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 広島修道大学7号館です。

(広島修道大学7号館玄関)
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 7号館の玄関に、今回の公開講座のポスターが掲示されていました。

(公開講座「チョコレートとカカオを極めよう」ポスター)
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 カカオの原産地、ヒトとカカオの遭遇、カカオの生産、チョコレートの製造など、チョコレートやカカオに関する様々な研究成果が学べる講座です。

 私は最前列の席で佐藤先生に御挨拶し、受講しました。

※広島修道大学関係者様へ
 以下の記事は講座の概要紹介に留め、直接研究内容に触れる資料・レジュメについては掲載しておりませんが、何か支障となる記事や表現がございましたら御連絡ください。すぐに修正させていただきます。


今回の講座で新たに学んだこと

 今回の講座で私が新たに学んだことをまとめます。

・カカオ豆は、赤ちゃんのミルクのように栄養が豊富

・カカオ豆ほど脂肪の含有率が高い豆はない

・チョコレートの健康効果として、抗ガン・抗炎症、糖尿病・動脈硬化予防、利尿作用、血流の促進、中枢神経刺激、肥満防止、脳梗塞の抑止などが期待される

・カカオは、日差しが強く高温な熱帯の環境下でも自らを酸化させないよう、抗酸化作用のあるポリフェノールをたくさん保有している

・カカオの生育には、気温16℃以上、年間雨量1500ミリ以上、湿度70%以上を確保できる環境が必要

・地球は過去に何度も氷期を迎えたが、最終氷期(ヴュルム氷期:7万年~1万8500年前)にも、アマゾン川周辺だけは熱帯雨林として残り、カカオは絶滅を免れた。

(最終氷期のアマゾン川周辺の熱帯雨林)
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 佐藤清隆「チョコレートを極める12章」幸書房 p83 図4.9を引用

空色の斜線部分が熱帯雨林として残ったエリアです。
ちなみに、この講座が開催された6月22日は世界熱帯雨林の日でした。

・カカオの外皮は非常に硬く、それを割って中の甘い果肉(カカオポッド)を得られるのは、ゾウやサイなどの大型哺乳類(メガファウナ)かヒトのみ

・メガファウナやヒトを介することにより、カカオの種子はより遠くへ運ばれた

・現在のカカオ生産は、西アフリカが中心で、ガーナとコートジボワールだけで全体の約60%を占める

・カカオ農家のうち、生活収入ライン(5.81USドル/日)以下が約73%、極度貧困ライン(1.9USドル/日)以下が約35%を占めている

・カカオ豆の国際価格は、ロンドンやニューヨークの先物市場の取引で決められるため、実態に即していない(フェアトレードがなされていない)

・最近の世界的な異常気象(西アフリカの大雨・洪水・干ばつ、フィリピンの洪水、アマゾン流域の干ばつ等)で、カカオ豆の国際価格が暴騰している


カカオニブの試食と産地当てテスト

 講演の途中、カカオニブの試食と産地当てテストが行われました。

 フィリピン産とベネズエラ産のカカオニブを試食してそれぞれの特徴をつかんだ上で、改めて出されたカカオニブがどちらの産地のものか、ブラインドテストで当てるというものです。

 テスト開始の際、佐藤先生が「最前列には、いつも私の講演に参加してくれる人がおられますが、このテストで当たらなかったらやめなさい!」と挑戦状が出されました。

 ほら、お調子者でしょう(笑)

 同じお調子者の私は「必ず当ててみせる!」との意気込みでテストに臨みました。

 まずはフィリピン産とベネズエラ産、それぞれのカカオニブを試食し、その特徴をとらえました。

(カカオニブ(フィリピン産))
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 フィリピン産は、フルーティで酸味を強く感じました。

 水を飲んで舌をリセットし、続いてベネズエラ産のカカオニブをいただきました。

 ベネズエラ産は、酸味が控えめな分、若干の渋味があり、ワインかシャンパンのようなアルコールの香りと、ナッツのような香ばしい香りを感じました。

 私が感じた特徴をグラフにお示しすると、次のとおりです。

(カカオ産地別の特徴(テスト))
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 ※画像をクリックすると拡大します

 このグラフは私が感じた特徴をお示ししたもので、一般的な産地の特徴をお示ししたものではないことに御留意ください。

 こうした特徴をつかんだ上で、改めてブラインドテスト用のカカオニブが用意され、どの産地のものか当てるテストが開始されました。

 熟成されたアルコールの香りがしたことから、私はベネズエラ産だと判断しました。

 正解は「ベネズエラ産」でした。

 何とか当てることができ、私は次回以降も佐藤先生の講演に参加することが認められました(笑)


まとめ

 講演会終了後,佐藤先生に御挨拶に伺いました。

 私が「ラテアートカフェ クレマ」へ伺ったことをお話しすると、喜んでおられました。

 その後、ちょうどお昼を迎えたので、大学の食堂「フォレスト」でランチをいただきました。

(フォレスト「ふわふわオムライス」)
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 チキンライスをふわふわの卵で包んだオムライスをいただきました。

 大学からの帰りがけに、お店で明治のハイカカオチョコレート「チョコレート効果 Cacao 86%」を買いました。

(明治「チョコレート効果 Cacao 86%」)
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 ダークチョコレートは55%前後のものが多く流通しているようで、カカオ86%だと相当苦いレベルです。

 知れば知るほど、その奥深さに驚くチョコレートとカカオの世界。

 当ブログのカカオ・チョコレートの内容もハイレベルになれるよう、これからもフィールドワーク・記事作成を続けていきたいと思います。


<関連サイト>
 「ラテアートカフェ クレマ」(広島県東広島市八本松東6-2-31 八本松ガーデンプレイス1階)
 「広島修道大学」(広島市安佐南区大塚東1-1-1)
 「チョコレート効果」(明治)

<関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「チョコレートの研究」を御参照ください。

<参考文献>
 佐藤清隆「チョコレートを極める12章」幸書房

2024年6月16日 (日)

ひろしま国際プラザ「難民の故郷の味フェア」 -ミャンマーのオンタミンとチェッターヒン、ベトナムの鶏肉八角焼き、インドネシアのソトアヤム、スリランカのパリップサラーダヤ-

6月20日は世界難民の日

 毎年6月20日は「世界難民の日」(World Refugee Day:ワールド・リフュージー・デー)です。

 難民の保護と支援に対する世界的な関心を高めることを目的に,2000年12月4日の国連総会で決議されました。

 日本でも,全国各地で「世界難民の日」にちなんだイベントが行われています。

 今回は,そのイベントの1つ,「ひろしま国際プラザ」で開催された「難民の故郷の味フェア」について御紹介したいと思います。


ひろしま国際プラザ(HIP)

 広島県東広島市鏡山には,試験・研究機関が集積する「広島中央サイエンスパーク」があります。

(広島中央サイエンスパーク)
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 そしてこの「広島中央サイエンスパーク」内に「ひろしま国際プラザ」があります。

(ひろしま国際プラザ)
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 「ひろしま国際プラザ」(HIP:Hiroshima International Plaza)は,「広島県立広島国際協力センター(HICC:Hiroshima International Cooperation Center)」と「国際協力機構(JICA)中国センター」が一体化した複合施設です。

(ひろしま国際プラザ入口(レストラン「ラコルト」と宿泊棟))
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 手前の丸い建物がレストラン「ラコルト」,奥が海外からの研修員などが宿泊・滞在する宿泊棟です。

 私はJICA中国やHICCの職員の方々とインドネシアへ出張したり,このHIPで中国・四国地方各県の海外研修員の皆さんと交流事業を企画・実施したことがあるので,HIPには親しみと懐かしさを感じます。


難民の故郷の味フェア

 「難民の故郷の味フェア」は,「世界難民の日」にちなんだイベントで,今年度(2024年度)は6月11日から24日まで開催されています。

(難民の故郷の味フェア(2024年)チラシ)
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 JICA中国ウェブサイト(イベント)から引用

 ひろしま国際プラザの玄関に、レストラン「ラコルト」のメニューと「難民の故郷の味フェア」の案内がありました。

(レストラン「ラコルト」メニュー・難民の故郷の味フェア案内)
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 「MEAL For Refugees(ミール・フォー・リフュージーズ)」とは、食(ミール)を通じて難民(リフュージーズ)への理解を深める取組みのことです。

 フェア期間中は、「食」を通じて難民問題を知ることを目的に,難民を多く輩出している国の料理が毎日2品以上提供されます。

 レストラン「ラコルト」に入店しました。

 ランチは定額制(大人900円、小学生800円、3歳~小学生未満350円、3歳未満は無料)でバイキング形式となっています。

 世界各国の料理が日替わりで提供され,それにご飯・野菜カレー・フレッシュサラダ・ドリンク(コーヒー・紅茶・ウーロン茶・お茶)・デザートが付きます。

 レジで支払いを済ませ、セルフサービスで料理を皿に盛りました。

 それでは、今回味わった料理を御紹介します。

(レストランラコルトのランチ(2024年6月15日))
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 私が訪問した2024年6月15日のランチです。

 近くにおられた海外研修員(イスラム圏出身の女性)と私では、皿の盛り付け方が全く異なることに気付きました。

 私はライス、スープ、おかずを別々の皿に分け、定食のような盛り付けにしたのですが、その海外研修員の方は1枚の大皿にライスとおかずを一緒に盛り付け、ワンプレートランチにされていました。

 食文化の違いが、こういうシチュエーションでも無意識に出てくることを実感しました。

 それでは,それぞれの料理を御紹介します。


オンタミン(ミャンマー)

 最初に、ミャンマーの「オンタミン」を御紹介します。

(オンタミン(チェーフィングディッシュ))
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 ミャンマーの「ココナッツミルクご飯」です。

 ハラルフードにはネームプレートに緑色の「Halal」シールが貼られており、イスラム圏の人々へ配慮がなされています。

(オンタミン)
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 ココナッツミルクの香ばしさが楽しめる米料理です。

 わずかに油と塩分を感じ、ピラフやバターライスに似た料理でした。

 ちなみに「タミン」は「ご飯」という意味で、ミャンマーでは、日本語と同様に「食事」という意味でもこの単語が用いられています。


チェッターヒン(ミャンマー)

 続いて、同じミャンマーの「チェッターヒン」を御紹介します。

(チェッターヒン(大皿))
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 「チェッター」が鶏、「ヒン」がカレー(風の煮込み)で、ミャンマーの「チキンカレー」です。

(チェッターヒン)
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 鶏肉・玉ねぎ・トマトなどの具を炒め、ターメリックやチリペッパーなどのスパイスを合わせて煮込まれた料理でした。

 ピリ辛のカレー煮込みで、オンタミンと一緒にいただきました。

 イスラム圏の出身の女性研修員は、大皿にオンタミンを盛り、その上からチェッターヒンをかけて召し上がっていましたが、これが正解だと思います。


鶏肉の八角焼き(ベトナム)

 続いて、ベトナムの「鶏肉の八角焼き」を御紹介します。

(鶏肉の八角焼き(チェーフィングディッシュ))
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 スパイスの「八角(はっかく、スターアニス)」で香り付けしたグリルチキンです。

(鶏肉の八角焼き)
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 醤油ベースの甘辛なタレに、八角の甘くてさわやかな風味が加わった中華風の鶏料理でした。


ソトアヤム(インドネシア)

 続いて、インドネシアの「ソトアヤム」を御紹介します。

(ソトアヤム(お椀))
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 汁椀が用意されていたので、それに「ソトアヤム」(スープ)を注ぎ入れました。

 カレー風味の鶏肉汁で、具は鶏肉、玉ねぎ、人参などが入っていました。

 スープの色を確かめるため、おかわりをいただき、今度は皿に「ソトアヤム」を注ぎ入れてみました。

(ソトアヤム(皿))
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 ターメリックで黄色味を帯びたスープでした。

 実は私、メニュー表を見た時点では、すっかり「サテアヤム」(鶏の串焼き)だと思い込んでいたので、スープジャーに入った「ソトアヤム」を見た瞬間、「さて?」と少し戸惑いました(笑)

 ちなみに、インドネシア語で「ソト」は「スープ」、「サテ」は「串焼き」、「アヤム」は「鶏」という意味になります。

 「サテアヤム」はこれまで何度か味わったことがありますが、「ソトアヤム」は今回初めていただきました。


パリップサラーダヤ(スリランカ)

 続いて、スリランカの「パリップサラーダヤ」を御紹介します。

(パリップサラーダヤ)
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 「パリップ」は「レンズ豆」のことで、「パリップサラーダヤ」は「レンズ豆のサラダ」という意味です。

 レンズ豆のほか、刻んだパプリカや赤玉ねぎが入った、さっぱりとした冷製サラダでした。


カレーコロッケ・デザート(冷やし焼き芋)・コーヒー

 難民の故郷の料理とは別に、カレーコロッケや冷やし焼き芋もいただきました。

(鶏肉の八角焼き・カレーコロッケ・冷やし焼き芋)
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 カレーコロッケは揚げ立てで、サクサク・ホクホク感が楽しめました。

 冷やし焼き芋は、ねっとりとした食感でとても甘く、締めくくりのデザートとして最適でした。

 食後にコーヒーをいただきました。

(コーヒーと難民紹介文(フレディ・マーキュリー))
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 カウンターにイギリスのロックバンド「クイーン」のボーカリスト「フレディ・マーキュリー」の紹介文がありました。

 タンザニアのサンジバルで生まれ、その地に住んでいたことのあるフレディ・マーキュリーも難民の1人だったそうです。

 難民の苦労・辛さ・大変さについて考えつつ、コーヒーをいただきました。

(「MEAL For Refugees」の紹介と募金箱)
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 食事を済ませてレストランを後にする際,「MEAL For Refugees」の一環として募金箱が設置されていたので,わずかながら募金させていただきました。

 訪問した日は多くの研修員・留学生が食事しておられ,国際色豊かな環境での食事となりました。


ひろしま国際プラザ館内見学

 ランチを済ませた後、ひろしま国際プラザ館内を見学しました。

 「世界難民の日」にちなんで,世界の難民の状況を紹介するコーナーがありました。

(「難民って聞いたことありますか?」(紹介・展示コーナー))
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 「難民」という言葉を聞いたことはありますが、周りを海に囲まれた日本に住んでいると、どこか遠い国の出来事のような感じもします。

 だからこそ、日本でも意識啓発が必要なのでしょう。

(ミャンマーの子供たち)
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 自分の背丈ほどの収穫物を背負って仕事をしているミャンマーの子供たちの写真がありました。

 この子供たちの屈託のない笑顔を絶やすことのないよう、国際問題を1つ1つ解決していく必要があると感じました。

 また、玄関ロビーでは、JICA青年海外協力隊の平和活動が紹介されていました。

(ヒロシマから世界へ~協力隊員が伝える原爆~)
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 さらに同時開催で、「G7広島サミット」に出席された各国首脳・国際機関の長の芳名録も展示されていました。

(G7広島サミット・各国首脳・国際機関の長・芳名録)
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 皆さん横書きで書かれている中、飛び込みで参加されたウクライナのゼレンスキー大統領だけが思いっきり斜めに書いておられます(笑)(写真右下)

 岸田総理の芳名録もありました。

(G7広島サミット・岸田文雄総理大臣・芳名録)
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 なるほど、こんな字を書かれるのか(笑)

 JICAプラザの一角には、「世界のファッション紹介コーナー」がありました。

(世界のファッション紹介コーナー)
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 カラフルで様々な絵柄があるものですね。

 今回のひろしま国際プラザ訪問は、世界各国の料理を楽しみ、難民や世界平和など国際問題を考える良い機会となりました。


<関連サイト>
 「ひろしま国際プラザ(HIP)」(広島県東広島市鏡山3-3-1 広島中央サイエンスパーク内)
 「国際協力機構(JICA)中国センター」(広島県東広島市鏡山3-3-1)
 「難民支援協会(JAR)」(東京都千代田区西神田2-5-2 TASビル4階)
 「世界難民の日」(UNHCR(国連難民高等弁務官事務所))

<関連記事>
 「アルバニア料理の特徴と主な料理 -ペシュク・ネ・フーレ,トゥルリ・ペリメシュ,ミシュ・メ・ラク,ラバーニ-」(JICA関西「JICA関西食堂」)
 「ひろしま国際プラザ「難民の故郷の味フェア」 -チキンのレモン煮・麻婆豆腐・アメリカンドッグ・ブロッコリーライス・チルカーノ・アスウィットサラダ・ケニア紅茶-

<参考文献>
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会
 地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」学研プラス

2024年6月 2日 (日)

広島工業大学公開講座「食資源、食品製造、健康科学の分野から食を考える」を受講して

広島工業大学公開講座

 広島工業大学では、毎年一般市民を対象とした公開講座が開催されています。

 令和6年度は「食」の分野の講座が開催されました。

 テーマは「食資源、食品製造、健康科学の分野から食を考える -人と食と健康についての知見を再認識しよう-」です。

(広島工業大学公開講座チラシ)
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 講座は3日間、各日2講座(1講座90分)ずつの計6講座で構成され、全講座受講すれば修了証も交付されます。

 「食」をテーマにした大学の公開講座であればぜひ受講したいと思い、私も申し込みました。

 講座開催当日、広島市中区の「サテライトキャンパスひろしま(広島県民文化センター)」を訪問しました。

(サテライトキャンパスひろしま(広島県民文化センター))
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 広島県民文化センターの建物です。

 「サテライトキャンパスひろしま」はこの建物の5階にあります。

(会場案内)
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 1階ロビーで会場を確かめ、5階の会場に伺いました。

 私は全講座受講しましたので、各講座の概要を御紹介したいと思います。

※広島工業大学関係者様へ
 以下の記事は講座の概要紹介に留め、直接研究内容に触れる資料・レジュメについては掲載しておりませんが、何か支障となる記事や表現がございましたら御連絡ください。すぐに修正させていただきます。


講座1「食品マーケティングと新商品開発」

 生命学部食品生命科学科の畠中和久教授から、「食品マーケティングと新商品開発」について学びました。

○マーケティングを理解したからと言って、決して売れるとは限らない

○「ニーズ」は「何かが不足している状態、その状態から沸き起こる欲求」、「ウォンツ」は「ニーズを満たしてくれる特定のモノ・サービスに対する欲求」

○顧客の声を聴き、顧客の要求や困りごとに応えるのが「マーケットイン」、一方、買い手のニーズやウォンツよりも企業側の理論を優先させるのが「プロダクトアウト」

○これまで大ヒットした商品は、実はすべて「プロダクトアウト」(市場創造型)商品
(例:カップヌードル、ボンカレー、カニかまぼこ、ウォークマン、スマートフォン、パソコン)

○「セグメンテーション(顧客の切り分け・細分化)」も重要
 例:明治の「フラン」…30歳前後の女性、帰国子女を対象にしたおしゃれな感じのチョコレート

○アサヒの「スーパードライ」は、消費者志向(コクとキレ味)を優先し、そのネーミングと一点集中戦略で大ヒットした

○アマノフーズのフリーズドライ技術が世界初のカップラーメンの具材(エビ・ネギ)として採用された


講座2「高電圧を用いた殺菌・食品加工技術」

 生命学部食品生命科学科の松井雅義准教授から、「高電圧を用いた殺菌・食品加工技術」について学びました。

○高電圧殺菌法は、非加熱なので食品の品質劣化を防ぐことができる

○高電圧の食品加工は、非加熱でやわらかくでき、細胞に適度な傷をつけることができ(調味料がしみ込みやすくなり)、加工と同時に殺菌もできる(消費期限が長くなる)というメリットがある

○高電圧パルス電界(Pulsed Electric Field:PEF)の研究事例として、魚肉のアニサキス死滅、ポテトチップスの改良(細胞に適度な傷を入れるとカラッと揚がり、油切れも良くなる)、フレッシュジュースの改良(色よく仕上がる・消費期限の延長)などがある

○PEF印可によるタンパク質(食品アレルギーの元)の構造変化の研究
 ※印可(いんか)…電気回路に電源や別の回路から電圧や信号を与えること

○放電プラズマを利用したコーヒー豆の焙煎
 ※プラズマ…原子核(プラスイオン)と電子(マイナスイオン)がバラバラに動き回っている状態


講座3「食とがん予防」

 生命学部生体医工学科の十川千春教授から、「食とがん予防」について学びました。

(会場(講座3「食とがん予防」)とレジュメ)
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○食生活を見直す(塩分を控える、野菜・果物を食べる、熱いものは少し冷まして摂取する)ことも、がん予防につながる

○「ファイトケミカル」は「抗酸化・殺菌・免疫力向上などが期待できる植物由来の微量成分」

○免疫細胞の約7割が腸内に存在するため、腸内環境を整えることも大切


講座4「ゲノム情報を駆使して行う新しい時代の農作物品種の創造」

 生命学部食品生命科学科の今井章裕准教授から、「ゲノム情報を駆使して行う新しい時代の農作物品種の創造」について学びました。

○細胞は筋肉細胞、皮膚細胞、神経細胞などに分化するが、その分化した細胞を元に戻した(脱分化・多能性をもった細胞に戻した)ものがiPS細胞

○植物の生殖様式には「種子繁殖」のほか、根・茎・葉から次世代の植物が無性的に繁殖する「栄養繫殖」(挿し木(芽)・種芋・株分けなど)がある

○倍数性育種法(コルヒチンなどを用いて染色体数を増減させた育種法)の事例として、4倍体のジャガイモ、6倍体のサツマイモ・パンコムギ、8倍体のイチゴなどがある

○ハイブリッド野菜の例:「ハクラン(白菜とキャベツ(※))」、「オレタチ(オレンジとカラタチ)」、「千宝菜(キャベツと小松菜)」、「メロチャ(メロンとカボチャ)」、「はなっこりー(菜心とブロッコリー)」
 ※キャベツの和名は「甘藍(かんらん)」

○ゲノム編集食品の例:「天然毒素低減ジャガイモ」、「GABA高蓄積トマト」、「高オレイン酸ダイズ」、「穂発芽耐性コムギ」、「無花粉スギ」


講座5「超高齢社会における健康寿命の延伸への取り組み」

 生命学部生体医工学科の玉里祐太郎講師から、「超高齢社会における健康寿命の延伸への取り組み」について学びました。

(会場(講座5「超高齢社会における健康寿命の延伸への取り組み」)とレジュメ)
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○「平均寿命」は、(今生きている人全体ではなく)生まれたばかりの赤ちゃん(0歳)の平均余命

○「健康寿命」は、日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間
 (平均寿命-介護を必要とする年数=健康寿命)

○日本人は現在のところ平均寿命・健康寿命とも世界トップ

○日本は高齢化社会や高齢社会を超え、超高齢社会に突入している

○日本が取り組むべき栄養課題は、「食塩の過剰摂取」、「若年女性のやせ」、「経済格差による栄養格差」

○和食は脂肪が少なく、野菜が多く、バランスが良い一方、塩分が多い

○長寿の食として、野菜・果物・魚・未精製の穀物・オリーブオイル・赤ワインを多く摂取する地中海食が注目されている


講座6「健康づくりの定番!「食と運動」の再検討」

 生命学部食品生命科学科の長﨑浩爾教授から、「健康づくりの定番!「食と運動」の再検討」について学びました。

○エネルギーが余ると脂肪細胞に脂肪が蓄積され、エネルギーが必要になると脂肪は遊離脂肪酸とグリセロールに分解されてエネルギーとして利用される

○血糖の80%以上は筋肉で使われる

○食事をすると血糖値が上昇し、すい臓から血糖降下作用のあるインスリンが分泌される

○インスリンの情報伝達が異常をきたすと、血糖の筋細胞への流入がブロックされ、血糖が消費されなくなる

○体内にインスリンが出回ると、脂肪合成の促進や脂肪分解の抑制作用が働き、さらに太ってしまう

○食後に血糖値が急上昇・急低下する現象を「血糖値スパイク」という

○体脂肪は1グラムあたり約7キロカロリー。脂肪を1kg減らすためには、約7000キロカロリーを消費する必要がある

(脂肪(1kg)の模型)
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○フルマラソン(42.195km)走っても消費カロリーは2000~3000キロカロリー。運動だけでダイエットすることは容易ではない

○食事制限だけで減量させると、筋肉や骨まで減少し、基礎代謝も低下し、太りやすい体質となる

○ダイエットには、「いい加減に」食事制限・運動することが有効

 最後に質問の時間があり、残り時間にも若干余裕があったので、長﨑先生へ質問させていただきました。

【質問】
 「血糖値の急激な上昇を防ぐ「低GI食品」がありますが、筋細胞での血糖取り込みと比べて有効性はいかがでしょうか」

【回答】
 「低GI食品にも一定の有効性があると思うので、食生活にうまく取り入れていくのが良いでしょう」

 この回答に続き、長﨑先生から聴講者向けに「GIとはグリセミック・インデックスの略で…」と補足説明していただきました。

 回答だけでなく、フォローまでしてくださり、ありがとうございました。


まとめ

 こうして3日間、全6講座を受講しました。

(講座レジュメ)
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 各講座に用意されたレジュメも厚みがある冊子で、質・量ともに充実していました。

 講座終了後、受付で修了証をいただきました。

(修了証)
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 ライトグリーンの厚紙で作成された、名前と交付番号入りの立派な修了証でした。

 自分が興味を持った講座を受講でき、大学から修了証までいただけたことに感動しました。

 こうした講座を通じて、一般市民や大学進学を目指す高校生などに学問に興味を持ってもらう機会が増えれば、大学にとっても受講者にとってもメリットは大きいと思います。

 科学的な視点から「食」を考える良い機会となりました。


<関連サイト>
 「広島工業大学」(広島市佐伯区三宅2-1-1)
 「サテライトキャンパスひろしま」(広島県広島市中区大手町一丁目5-3・県立広島大学)

2024年5月12日 (日)

美術館とカフェ・レストランの魅力9 -ひろしま美術館「フィンランドのライフスタイル」-フィンランド風ミートボール・リンゴンベリーのクランブルタルト・小海老のオープンサンド)-

ひろしま美術館特別展「フィンランドのライフスタイル」

 広島市中区基町にある「ひろしま美術館」で特別展「フィンランドのライフスタイル」(2024年4月6日~6月2日)が開催されています。

(ひろしま美術館特別展「フィンランドのライフスタイル」チラシ)
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 (ひろしま美術館特別展「フィンランドのライフスタイル」チラシを引用)

 この特別展では、1930年代から現在にかけてフィンランドが育んだデザイナーが制作した家具、陶器、ガラス製品、テキスタイルなどが展示されており、生活を豊かに彩るフィンランドのデザインと、自然に育まれたその暮らしについて紹介されています。

 「ひろしま美術館」を訪問しました。

 エントランスには,特別展「フィンランドのライフスタイル」の案内がありました。

(ひろしま美術館・特別展案内)
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 このエントランスの一角に、今回の特別展にちなんだフィンランドの料理・お菓子の案内看板がありました。

(カフェ・ジャルダン掲示板(特別メニュー案内))
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 「フィンランド風ミートボール」、「小海老のオープンサンド」、「リンゴンベリーのクランブルタルト」の3種が提供されています。

 はやる気持ちを抑えながら、正面玄関へと向かいました。

(ひろしま美術館正面玄関・「フィンランドのライフスタイル」案内)
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 ミュージアムショップには、特別展の図録や絵葉書、フィンランドの様々なグッズ(ムーミン・マリメッコ・イッタラなど)が販売されていました。


フィンランド風ミートボール(リハプッラ)

 ひろしま美術館内の「カフェ・ジャルダン」に伺いました。

 庭が眺められる窓側の席に座り、しばらくメニュー表を見た後、フィンランド風ミートボールとリンゴンベリーのクランブルタルト(ドリンクセット)を注文しました。

 料理が運ばれてくるのを待っていると、やたらと私のそばに人が近づいてきました。

 何事かと周りを見渡すと、私が座る席の窓越しにメニュー表が置かれており、外からそのメニュー表を眺めて(お店を利用するかどうか)思案されている人々でした。

(ひろしま美術館中庭とメニュー表)
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 お店で注目度ナンバーワンの席に座ったようです(笑)

 やがて待望の料理が運ばれてきました。

(フィンランド風ミートボール・パン・スープ)
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 フィンランド風ミートボール(リハプッラ)、パン、スープのセットです。

 パンは「アンデルセン」の3種類のパン(食パン・セサミパン・バゲット)、スープはミネストローネが用意されました。

(フィンランド風ミートボール)
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 フィンランド風ミートボールには、デミグラスソースに似たソースがかかり、マッシュポテト、キュウリのピクルス、リンゴンベリー(こけもも)のジャムが添えられていました。

 ミートボールにリンゴンベリーのジャムが添えられているのが、この料理の一番の特徴です。

 フィンランドは国土の7割以上が森で覆われていることもあり,リンゴンベリーやビルベリーなどのベリーが豊富に採れるのです。

 お菓子だけでなく、肉料理にも甘いベリーソースを合わせるのがフィンランド流なのですが、これが意外とよく合うのです。

 ミートボールに甘酸っぱいリンゴンベリーのジャムを付けたり、酸味の効いたキュウリのピクルスをのせたりしながらいただくと、より一層深い味わいとなり、美味しくいただけました。


リンゴンベリーのクランブルタルト

 デザートとして、リンゴンベリーのクランブルタルトをいただきました。

(リンゴンベリーのクランブルタルト)
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 タルト生地にカスタードクリームとベリー(リンゴンベリーとラズベリー)の層があり、表面にはクランブルがのせられていました。

 リンゴンベリーのソース、アイスクリーム、イチゴ、ミントが添えられています。

 しっとりとしたタルト生地、甘酸っぱいベリー、ホロホロ・サクサクのクランブルと、様々な味・食感が一度に楽しめ、それらが見事に調和しました。

 その後、庭を眺めながらカモミールティーをいただき、食後のひとときを楽しみました。


小海老のオープンサンド(トースト・スカーゲン)

 それから1週間後、再び「カフェ・ジャルダン」に伺いました。

 もう1つの特別メニュー「小海老のオープンサンド(トースト・スカーゲン)」をいただくためです。

 席に着き、今回は迷わず「小海老のオープンサンド」(ドリンクセット)を注文しました。

 しばらくして料理とドリンクが運ばれてきました。

(小海老のオープンサンドとコーヒー)
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 見た目の美しさに感動しました。

 パンに小海老と野菜がたっぷりのせられたオープンサンドです。

(小海老のオープンサンド)
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 土台のパンは、穀物(ひまわりの種、亜麻仁、ゴマ、ライ麦粒)がたっぷり入った「ソフトカーネラグブロート」というパンです。

 みっしりと詰まった生地で、オープンサンドに適しています。

 そのパンにバターが塗られ、その上に小海老とルッコラなどの野菜(ベビーリーフ)がのせられています。

 さらに、長細く刻んだビーツ、とびっこ(魚卵)、ディルが飾られ、彩り豊かなオープンサンドに仕上げられています。

 添えられたレモンを絞り、オープンサンドにふりかけていただきました。

 パンとともに、たっぷりの海老と野菜を一度に味わう贅沢感・満足感を味わえました。


 食後にコーヒーを飲みながら、「全体的に店内の照明が控えめなので、料理の写真が若干暗くなってしまうよな…」と思いました。

 その後、しばらく庭を眺めていて、ふと店内の照明が落とされている理由がわかりました。

 店内から眺める庭、それ自体を1つのアート作品ととらえた時、店内から美しく観賞するためには店内(周囲)の照明を落とす必要があるのです。

(カフェ・ジャルダンから眺めた庭)
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 このように理解すると、店名を「カフェ・ジャルダン(庭)」と命名されている理由もわかります。

 このお店は、パリのオープンカフェのように外のテラスで食事することもできるのですが、外のテラスでいただくと、より身近に庭(ジャルダン)を感じながらカフェタイムを楽しめそうです。


<関連リンク>
 「ひろしま美術館」(広島市中区基町3-2)
 「アンデルセン」(広島アンデルセン・広島市中区本通7-1 ほか)

<関連記事>
 「美術館とカフェ・レストランの魅力1 -ジャルダンプレート・ピスタチオのムース・黒ねこクッキー・白磁彩菓・トンバイ有田-
 「美術館とカフェ・レストランの魅力6 -ひろしま美術館特別展と印象派・バルビゾン派,2種のタルティーヌとペーシュメルバ-
 フィンランド料理については、「食文化関連記事一覧表・索引」の「各国料理の特徴と主な料理」に掲載している「フィンランド料理」の記事を御覧ください。

2024年5月 5日 (日)

多磨全生園「お食事処なごみ」と映画「あん」・国立ハンセン病資料館 -森の釜めし・旅する小豆たち・ハンセン病療養所の食・白桃クリームパン-

多磨全生園(たまぜんしょうえん)

 東京都東村山市にある国立療養所「多磨全生園」・国立ハンセン病資料館を訪問しました。

 西武鉄道・池袋駅から池袋線の電車に乗り、秋津駅で下車しました。

(西武鉄道・秋津駅)
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 多磨全生園へは、近隣の駅から相当な距離があることから、バスを利用するのが一般的ですが、私は街の散策も兼ねて、秋津駅から徒歩で向かいました。

 そのため、多磨全生園まで約20分かかかりました。

 多磨全生園は、かつては隔離された施設でしたが、現在は居住区など一部の施設を除き、一般にも開放されています。

(「多磨全生園」入口)
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 入口にはたくさんのお願い・注意事項が示されており、マナーを守って入園する必要があります。

 園内に入ってしばらく歩くと、総合案内図がありました。

(「多磨全生園」総合案内図)
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 総合案内図で食堂(お食事処なごみ)の場所を確かめ、その食堂を目指しながら散策しました。


「お食事処なごみ」の「森の釜めし」と「旅する小豆たち」

 「お食事処なごみ」に到着しました。

(「お食事処なごみ」店舗)
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 入所者の皆さんのための食堂ですが、一般にも開放されています。

(「お食事処なごみ」店舗の様子)
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 柘植 文「森の釜めし」(少年画報社「ひとりごはん No.17」)から一部引用

 店内の様子は、この絵のとおりです。

 客席のうち、半分がテーブル席、半分が座敷席となっています。

 テーブル席に着き、テーブルに置かれていたメニュー表を眺めました。

 しばらく考えたのち、「森の釜めし」(とり五目釜めし)を注文しました。

 お店の方から「釜めしは約20分かかりますが、よろしいですか?」と尋ねられたので、私は「あっ、大丈夫です」とお答えしました。

 釜めしが炊き上がるのを待つ間、店内を見学させていただきました。

(映画「あん」関連品展示コーナー)
Photo_20240505142101

 樹木希林さん主演の映画「あん」の関連品が展示されていました。

 この食堂が映画のロケ地となったからです。

 映画製作時に樹木希林さんと市原悦子さんが愛用された急須、湯呑み、マグカップがラップをかけて展示されていました。

 再び席に戻り、パンフレットを読みながら、のんびりと出来上がりを待ちました。

 その時、後ろから「アイーン!」という声が聞こえてきました。

 「えっ、志村けん?」

 振り向くと、ソフトクリームを買いに来た親子がおられ、キャッシュレス決済をされているところでした。

 「アイーン」という声は、東村山市のキャッシュレス決済「アインPay」の決済音のようです。

 名称の「アイン」は、地域愛の「アイ」とコインの「イン」に由来すると説明されていますが…私には、東村山市出身の志村けんさんの名言を意識して作られているようにしか思えません(笑)

 クスクス笑いながら過ごしていると、釜めしが運ばれてきました。

(森の釜めし(とり五目釜めし)セット)
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 お釜でじっくり炊き上げた釜めしに、味噌汁と漬物がセットになっています。

(森の釜めし(とり五目釜めし))
Photo_20240505142602

 具は鶏肉、しめじ、人参、ゴボウ、タケノコ、絹さやです。

 人参と絹さやが、赤い花のように見えます。

 鶏肉と野菜の旨味がご飯にたっぷり染み込んだ、具だくさんの釜めしでした。

 釜めしを味わった後、ぜんざいも注文しました。

(ぜんざい「旅する小豆たち」(店舗))
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 お店の方がぜんざいを持って来られた際、しみじみと「ここのぜんざいは美味しいですよー」と教えてくださいました。

 とろりとして、ほど良い甘さのぜんざい、モチモチの白玉、ぜんざいの甘さを引き立たせる塩昆布。

 思わず「アイーン!」と声に出したくなるような、美味しいぜんざいでした。


人権の森と国立ハンセン病資料館

 食事を済ませ、園内を散策しました。

 人と出会う度にあいさつを交わし、清々しい気持ちになりました。

(「いのちとこころの人権の森宣言」の碑)
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 多磨全生園の散歩道は「人権の森」と呼ばれ、いのちとこころの人権の学びの場となっています。

 その「人権の森」の中に「国立ハンセン病資料館」があります。

(国立ハンセン病資料館)
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 館内には、ハンセン病対策の歴史や療養所での暮らしなどが展示・紹介されています。

 今回学んだことをいくつか御紹介します。

・1907年頃、国と県が療養所をつくってハンセン病患者を閉じ込める政策を開始した

・1930年頃、国はすべてのハンセン病患者を療養所に閉じ込めてしまうことにした(絶対隔離)

・いったん入所した患者は死ぬまで外に出られず、家にも帰れないようにした(終生隔離)

・それぞれの県で、どこが早くすべての患者を療養所に入れてしまえるか競争した(無癩県運動)

・各療養所に、逃亡を試みたり、職員へ反抗した患者を閉じ込めるための監禁室が作られた

・入所者が療養所から逃げ出さないよう、持参金を取り上げられ、療養所の中でしか使えないお金(※)に換えさせられた
 ※「園内通用券」と呼ばれた。多磨全生園では1952年まで使用

・治療薬「プロミン」が出るまで、ハンセン病の治療には大風子油(※)の筋肉注射しかなかった
 ※大風子(たいふうし)という木の種からとった油。効果は不明

・入所者は病気を治すどころか、食事の支度や洗濯、重病患者のお世話などの労働「患者作業」をさせられた

・入所者の給料はわずかで、入所者へ食べ物や包帯を買うためのお金が原資とされたため、給料の支払いが増えると、逆に入所者の食べ物や包帯を買うお金が減ることとなった

・入所者が子どもを産むことは許されず、断種・中絶手術が行われた

・亡くなって火葬されても家のお墓に入れず、園内の納骨堂に眠っている人がたくさんおられる


ハンセン病療養所の食とショッピングセンター「多磨」

 国立ハンセン病資料館で「隔離の中の食 -生きるために 悦びのために-」という冊子をいただきました。

 ハンセン病患者・療養所の食についても、いくつか御紹介します。

・ハンセン病で味覚と嗅覚が冒されることはほとんどない

・隔離された環境で暮らす人々にとって、食は数少ない楽しみの1つ

・かつては園内で野菜や果物の栽培、養鶏・養豚が行われた

・大量の主食(麦飯)に味噌汁・漬物・わずかなおかずが付く程度の献立、一汁一菜の献立が長く続いた

・様々なおかずが作られるようになったのは、食料事情が安定する1960~1970年代以降

・症状や後遺症の重い患者へは、職員が食事を介助したり、食材をすりおろして提供したり、自助具付きスプーン・フォーク・湯呑みが支給されたり、プラスチックの食器が用いられたりした

・食材を調理前に受け取り、自分で調理する(例:「焼き魚」→生の魚を自分で焼く、「ご飯」→米を自分で炊く(※))人もおられる
 ※「現品支給」と呼ばれる

・自分のお金で好きな食品を買って食べる「補食」が認められるようになり、園内に売店も設置された


 売店はその後、スーパーマーケット化され、現在はショッピングセンター「多磨」として営業されています。

 このショッピングセンター「多磨」は、「お食事処なごみ」の隣にあります。

(ショッピングセンター「多磨」)
Photo_20240505145901

 店内では食料品や日用品など様々な商品が販売されています。

 私は地元のパン屋さんで作られた菓子パンを購入しました。

(白桃クリームパン(包装))
Photo_20240505150001

 商品のパンが、スーパーなどで見かけるロール型のポリ袋に入っているところに味があります。

 包装がポリ袋で、周りに商品案内もなかったので、お店の方にどんなパンなのか尋ねると、「おそらく白桃ホイップクリーム入りのパンだと思います」とのお話でした。

(白桃クリームパン(中身))
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 ホイップクリームと白桃クリームの二層で、白桃クリームの中には細かくカットされた白桃がザクザク入っており、予想を大きく上回る美味しさでした。


「旅する小豆たち」と映画「あん」

 「お食事処なごみ」で会計をする際、お土産用ぜんざい「旅する小豆たち」も購入しました。

(ぜんざい「旅する小豆たち」(お土産用・包装))
Photo_20240505150901

 その際、お店の方から「映画「あん」は御覧になりましたか?」と問われ、私は「あ、いえ、まだ観てません」とお答えしました。

 するとお店の方から「ぜひ御覧ください。この店も登場しますから」とお話があったので、私は「あ、ぜひ映画も観てみます」とお話しし、お店を後にしました。

 後日、映画「あん」を観賞しました。

 どら焼き屋を営む千太郎(永瀬正敏)のもとに、徳江(樹木希林)が訪れ、そのお店で働くことを懇願します。

 千太郎は当初、老齢の徳江を雇うつもりはなかったのですが、徳江が持ち寄った小豆あんを食べて、その美味しさに考えが一変し、徳江に働いてもらうこととなりました。

 次第に徳江の作るあんこの味が評判となり、開店前からお客さんが列をなすほど人気店になったのですが…

 徳江の変形した手に気づいた人から、ハンセン病患者だという噂が街で広まったのです。

 ハンセン病への偏見から、やがてお客さんは遠のき、その異変に気付いた徳江は辞職し、療養所に戻ってしまいます。

 徳江を引き留められなかったことを悔いた千太郎は、常連客のワカナ(内田伽羅)とともに徳江の住む療養所(多磨全生園)を訪問するようになりますが、ある日突然、徳江は亡くなってしまいます…


 徳江はあんこを作る際、小豆に語りかけたり、小豆の声を聴いたりと、小豆に愛情をたっぷり注ぐのですが、それが美味しさの秘密だったというわけです。

 ぜんざいの商品名「旅する小豆たち」も、「小豆がやってきた旅の話を聴いてあげる」ことに由来するようです。

 映画「あん」を観賞してから、ぜんざい「旅する小豆たち」をいただきました。

 包装紙を広げてみると…

(ぜんざい「旅する小豆たち」(お土産用・包装紙とレトルトパウチ))
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 包装紙の裏側には、映画「あん」と「お食事処なごみ」について、写真入りで詳しく紹介されていました。

 映画を観て、改めて気付いたことも多かったです。

 レトルトパウチを開け、ぜんざいをお椀に盛りました。

(ぜんざい「旅する小豆たち」(お土産用・盛り付け))
Photo_20240505152401

 地元・東村山市に工場がある「遠藤製餡」で作られたぜんざいです。

 小豆の一粒一粒をふっくらと炊き上げ、全体がねっとりとした食感に仕上げられています。

 甘さ控えめで、小豆の風味が生かされています。

 徳江さんがにこやかに語りかけてくれているような、やさしくてホッとする味のぜんざいでした。


<関連サイト>
 「国立療養所多磨全生園」(東京都東村山市青葉町4-1-1)
 「多磨全生園 お食事処なごみ」(東京都東村山市青葉町4-1-10 多磨全生園内)
 「国立ハンセン病資料館」(東京都東村山市青葉町4-1-13)
 「あん」(映画「あん」製作委員会)
 「遠藤製餡」(工場・営業本部 東京都東村山市久米川町5-36-5)

<参考文献>
 柘植 文「森の釜めし」(少年画報社「ひとりごはん No.17」)
 「「人権の森と史跡」めぐり」多磨全生園入所者自治会
 「常設展示解説シート はじめてのみなさんへ」国立ハンセン病資料館
 「隔離のなかの食 -生きるために 悦びのために-」国立ハンセン病資料館

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